アフリカ大陸南部の国、モザンビークに来ています。
1975年までポルトガル領だった国で、そのせいかアフリカにしてはレストラン等で供される料理が洗練されているような気がします。
私が滞在しているのはザンベジア州というところなのですが、ここにはフランゴ・ザンベジアーナという、ソースで味付けした地鶏(ぢどり)を炭火でじっくり焼いた郷土料理があり、これがすごくおいしいんです。皮はパリパリと香ばしく、中の身はしっとりシコシコの噛み応え。スープと炭火焼という違いはありますが、以前ご紹介したケニヤのクク・キベラに匹敵するうまさです。
どんなふうに料理するんだろ?
興味に駆られて、グリルに観察しに行きました。
椰子の葉影に設えたグリルには、ヒゲの濃い、見た目からして暑苦しそうな料理人が汗を流しながら働いていました。
下味をつけたチキンをじりじりと焼きます。焼きながら、ときどき刷毛でソースを塗るのですが、このソースがちょっと不思議。塗った直後はとろみがあり、白濁していますが、焼き上がるころにはところどころ透明化してゼラチンのようになります。まろやかな酸味を含むその味はマヨネーズのようでもあり、ヨーグルトのようでもあり。味を探るとどこかにココナツの風味とレモンのさわやかさも感じられ、なんだか繊細でオシャレな感じ。
同じ皿に載っているのはシマ。ケニヤのウガリに似た主食です。
メイズの粉を炊いたものなので、同じと言えば同じですが、これは違うものですね。断じてウガリではない。
アフリカ南部に在住する日本人がケニヤを訪問してウガリを食べると、こぞって「シマの方がウマイ」とおっしゃるのですが、なるほどウガリよりも肌理(きめ)が細かくて舌触りがスムースです。マッシュド・ポテトのよう。
ですが、ウガリのような甘みやコクに乏しい。炊く前にしつこく研ぎ過ぎたコメのように味気ない。
トマトソースをかけて食べるのですが、それはそうでしょう。そのまま食べたら味に乏しく、はっきり言っておいしくないのです。二者を食べ比べれば、私の軍配はウガリに上がります。高々と。
・・・これは身内びいきでしょうか? もしくは縄張り根性かな?