ラオスにいた頃、同僚たちと屋外で昼食を摂ることがよくありました。
作業をしている圃場の脇で、その日の当番が火を熾して調理するんです。
調理が済んでヒルメシ時になると、みんな作業を中断して手を洗い、事務所からお皿やお椀などを持ち出して、地面に敷いたシートの上に並べます。なんだかお花見かピクニックのような雰囲気。
おかずは焼き魚とかスープとか、その日によって違うのですが、絶対に欠かせなかったのがカオニャオ(ふかしたもち米)。カオニャオはラオスの主食で、これが無いと食事した気分になりません。口当たりがよく、やさしい甘みがあってどんなおかずにも合いますし、それに腹持ちが良いので午後も田んぼ仕事に力を出せるんです。
食後、農場内のそこここに植わっているマンゴーの樹から、熟れて食べ頃の実を一つ選びます。普通に皮を剥いて食べてももちろんおいしいですが、こんなピクニック気分の時は一味違ったデザートが欲しい。
完熟マンゴーを手で揉んで柔らかくします。あまり強く揉むと皮が破れてしまいますのでやさしく丁寧に指で圧力を加えていきます。柔らかくなってくると、皮の下に種子(タネ)の存在が硬く感じられるようになります。更に揉んで中でタネが動くほど内部をぐにょぐにょにしてやります。
充分柔らかくなったらヘタの周囲にナイフを入れて丸く切り抜き、チューブから押し出すような按配でタネを取り出します。この時、ナイフでくりぬいた穴を必要以上に大きくしないように、また、ぐにょぐにょ状態になったマンゴーをできるだけ中に残すように、慎重かつ丁寧な作業を心がけます。
ティップカオ(カオニャオ用の竹籠)からカオニャオをとります。手で握って細長く、マンゴーと同じくらいの長さになるように成形して、タネを取り出したマンゴーの中に入れます。先ほどよりもさらにやさしく揉んでやりますと、カオニャオにマンゴーの果肉がまぶされておいしいデザートになるんです。
下の方から圧力をかけてカオニャオを押し出して、そのまま口に運びます。
食べたことのないヒトには、ちょっと想像できない味だと思います。マンゴーのぼたもち。
独特な風味を持つマンゴーの濃厚な甘みがカオニャオの好ましい食感に移り、なんとも言えないおいしさ。
特に屋外でのマンゴーのおいしい食べ方としてはイチオシであります。
機会がありましたら、どうぞお試しあれ。