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Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

すずめの戸締り

2022-11-30 14:38:46 | 映画の話

話題になっている映画「すずめの戸締り」を観に行きました(以下はネタバレありの感想です)。

いつもの金曜日のレイトショー。大きなスクリーンに映し出される色彩豊かなアニメーション映画は自閉症の娘も厭きずに集中できる好プログラムです。
地震の素となるので、出てきてもらっては困る大きく禍々しい「ミミズ」が空に立ち上るシーンでは、その迫力に圧倒されて不安になり、隣に座る私の手を握って胸元に引き寄せる、なんてかわいい反応がありました。そして怖いシーンが終わった途端、いかにも邪魔者のように私の手を放り出すところが正直で、また憎たらしいところでもあります。父親は真に必要な時にしか頼りにされません。

劇中、特定の悪役は登場せず、不可抗力的に発生する不都合を治めるために必要な生贄(いけにえ)として誰を充てるか、が物語の軸となります。その犠牲が無ければ人間社会に多大な被害が及ぼされるにもかかわらず、ごく限られたヒトにしか知られていない生贄。他者からの評価を期待せずにその身を捧げなくてはなりません。
子にとって必要な時にしか頼られない親の存在のようです、って、劇中の生贄の立場とは比較にもならないささやかな犠牲でありますが。

ミミズ出現の場が目まぐるしく移動し、それに連れてアクション・シーンが連続するので見応えがあります。

広く言われているようですが、そこここにスタジオ・ジブリ作品の影響がうかがえました。空にそびえる赤黒いミミズは「もののけ姫」に登場した頭部を失くしたシシ神のようでありましたし、要石を打ち込む際にすずめの身体が凍えていく様は、やはりアザだらけになるアシタカとサンを連想させました。なにより、扉の鍵穴に鍵を差し込んだすずめが発する「お返しします!」のヒトコトがアシタカの「お返し申す!」と同じでしたし。
厄介ごとがすべて終わって主人公たちが草むらで平和に目覚めるところまで「もののけ姫」と同じで、安心してエピローグに入りこむことができました。

ただ、ようやく苦役から解放されたと思ったら再度生贄として身を捧げることになるダイジンに救いが無いように思え、心底気の毒に感じました。
また、モザンビークラオスでしめ縄の原型のような風習に触れた私としては、ミミズを治めるためには鍵を差したり要石を打ちこんだりするのではなく、やはり捕縛してほしかった。残念。

コメント
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