「どんな店のメニューの中にも、うまいものは必ず一つはある」
晩年は映画監督として有名だった伊丹十三氏が、その著書の中に記したお言葉です。
うまいものを食べたければ、その店のメニューには真剣に取り組むべし。
でも、その料理店にメニューが無い場合はどうするか?
ルアンナムターの中華料理屋の多くはメニューを持ちません。
日本人からするとメニューの無い料理店が果たして生業として成立するのか心配になってしまいますが、客の多くは店主との会話で「今日のオススメは何? じゃ、それを一人前」などと注文しているようで、ちゃんと営業できています。
このように、言葉が通じればスムースに注文・食事が出来ますが、実は私はラオス語をほとんど解さない。だからメニューがあったとしても読めないんですね。
うう、もっとちゃんとラオス語を勉強しとけば良かった、と、空腹と後悔で眦(まなじり)を下げる異邦人。
バカな異邦人とは言葉が通じず、また通訳してくれそうな他の客もおらず、途方に暮れる店主。
こんな時はしょうがないので席を立ち、勝手に厨房まで行ってしまいます。
なんだなんだどしたんだ、と店主は少々慌て気味についてきます。
厨房の調理台に並ぶ色々な食材を眺め、更に冷蔵庫を開けて、食べたいものをコレとアレとソレ、と指し示す。で、財布から2万キープ(約200円)を出し、自分の腹をぽんぽんと叩き、要するに「この食材+この予算=ハライッパイ」というジェスチャーです。
どのように料理するかは店主に任せます。
「焼く」とか「煮る」くらいの単語は知っておりますが、ヘタにそういうことを言うと、示した食材を馬鹿正直に単に焼いたり煮たりしただけのものが出てきて面食らうことがあるので、お任せしたほうが無難。
席に戻って待っていると、洗面器大のおひつ山盛りのゴハンとスープ、それにおかず2品ほどが出てきます。
いただきまーす。
から揚げにして欲しかった食材がスープになってしまって小さくガッカリしたり、でもそのスープが意外にも凄くうまくてボクちゃんニッコリだったり、と、思惑通りではない献立になることがほとんどですが、そんなバクチ的な食事がとても楽しいルアンナムターであります。
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