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Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

できること。やらなくていいこと。やっちゃいけないこと。

2016-03-27 00:57:47 | 自閉症

自閉症の娘は約1年前に県立特別支援学校を卒業しました。今は作業所と生活支援施設に通っており、毎日を忙しく過ごしています。
週に二回通う作業所では、ボールペンを組み立てたり、マスク周囲の毛羽(ケバ)を取り除いたり、という簡単な作業をさせていただいて、少額ではありますが毎月のお給金も頂戴しております。

昨年の某日。娘が初任給とともに帰宅した時は、我が家はもう大コーフン状態でありました(親だけ)。

うそっ? 給料もらってきたの? やったー!

こんな嬉しいことはありません。まさかA級障害者である娘が外で仕事をしてお金を稼いでくる、なんて思ってもいなかったのです。
妻と私は、

よかったねー! えらかったねー! 今夜はおごってね!

と誉めそやし、3人でラーメン屋に行って楽しく食事をしました。
娘本人は「作業をこなして給料をもらってきて、そのお金で両親に食事を振る舞っている」なんて複雑なことは理解できず、そしてその初任給もラーメン3杯には少々足りないものではありましたが、親孝行をしてもらったと勝手に考えています。

さて、作業を通じて手先が器用になってきたのか、最近は変なことに凝るようになってきました。
衣類のボタンをかけるんです。
洗濯したシャツをハンガーにかけて干しておくと、いつの間にかボタンが全部かかっています。外出から帰ってきて、脱いだ上着を椅子の背にかけておくと、これもボタンをかけられてしまいます。
どれも娘の仕業です。狭い穴に物を通す、という作業が好きなのか、幼少の時分から穴の開いたビーズに糸を通すなどの作業にも熱中していた娘です。
よほど楽しいらしく、ハンガーにかかっているものだけでなく、ヒトが着用している衣類のボタンにも固執するようになってしまいました。
私がシャツを着る時、ボタンは上から二つくらいかけないままにしていますが、娘にはそれがだらしなく見えるのか、私の喉元を下から覗き込むようにして無理矢理かけられてしまいます。
ボタンだけでなく閉まっていないファスナーも気になるようです。
例えば筆記用具などを取り出すためにバッグのファスナーを開けてそのままにしておくと、すかさずファスナーを閉めます。
困るのは街中の無関係のヒトビトのカバンのファスナーまで勝手に閉めようとしてしまうこと。例えば外食時、隣のテーブルで食事をなさる方のバッグが開いているのに気付くと、素早く近づいて閉めようとします。赤の他人が無断でバッグに触る、という状況には誰もが驚きます。慌てて娘を止めて謝罪しますが、やはり困惑するヒトが多いです。
強く叱っても一向に止めようとしないので、このボタンかけやファスナー閉めには楽しみだけではなく、どうも強迫観念のようなものがあるような気がします。

よくわかんないんですけどね。

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先輩ちゃん

2015-03-22 01:20:54 | 自閉症

娘は県立の特別支援学校(養護学校)に通っていましたが、先日、卒業しました。

生まれてからのほとんどの時間を外国で過ごしてきた娘が、特支学校の高等部に入学させていただいたのは18歳の時でした。彼女にとって日本の教育を受ける初めての機会です。
その後の3年間、彼女が充実した学校生活を送っていたことは主に妻を通じて、ケニヤに単身赴任していた私にも伝わってきておりました。

自閉症という障害を被っている娘について「ヒトの役に立つことなど、ほとんど何もできないのでは」と、実の親でありながら思い込んでいた私はひどいヤツであります。
先生方の御指導のもと、娘は給食係を務めたり、教室から出席簿を運んで職員室に往復したり、思った以上にクラス内での活動に関わっていたようです。とはいうものの、お気に入りのメニューの際には配膳前に他の生徒の分の給食も食べてしまったり、職員室への経路で何か面白いものを見つけて追いかけて行って、そのまま行方不明になってしまったことも数回あったりして、とても「大活躍だった」とは言えないのが残念からげるところでありますが。

私がその充実した学生生活を垣間見たのが昨年11月。休暇でケニヤから一時帰国していた私は、学校を訪ねて文化祭を見物させてもらいました。愛すべきクラスメイトや先生方に囲まれて、我が娘はとても生き生きとして、明るい笑顔を振りまいておりました。

楽しい催しを満喫したその帰り道、学校近くのコンビニに寄った時のこと。

店内で、妻はドリップ・コーヒーを買うためにレジに向かい、娘は店内監視用の凸面鏡に映る自分の姿を見て独り楽しんでおりました。普段と違う面相が楽しいのでしょう、ミラーに注目しながらヤジロベエがバランスを取るようにカッチコッチと左右に身体を傾けて遊ぶ娘。機嫌が良い時、彼女はメトロノームのようになってしまうのです。
店内に客は多くなく、なので誰の迷惑になるわけでなし、だけど念のため、私は周囲に気を配りつつ娘の近くに立ち、品数豊富な日本のコンビニ・ストアの雰囲気を楽しんでおりました。

その時、娘と同じ制服を着た少女たちが入店し、つまりは娘と同様特支学校の生徒たちでありますが、その少女たちが娘を見て、ヒトコト。

「あ、〇〇〇先輩だー」

せ、先輩だって!? 君は学校では下級生たちから「先輩」と呼ばれているのか? 

普通の学校生活ではごく当たり前の習慣ですが、重い障害を持つ我が子が「先輩」と呼ばれることがあろうとは、全く予想しておりませんでした。少女たちの口調から、日常的に娘をそう呼んでいると察することができ、父はすごく嬉しかった。

しかし、周囲を気にせずメトロノームごっこに興じるこの巨大幼児が「先輩」とは。申し訳ないけど、めちゃくちゃおかしいのも事実であります。
私は笑いを噛み殺しつつ、レジに並ぶ妻に御注進に向かったのでありました。

我が娘を 「先輩」と呼ぶ子らがおり 茨城県立特支学校

 

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コケたら起きなはれ。

2012-11-13 17:33:24 | 自閉症

休暇を頂いて9ヶ月ぶりの日本の生活を楽しんでおります。

妻や娘を伴う愛犬バタコの散歩を日課としており、ケニヤに赴任する前に歩いていたのとほぼ同じコースを毎日飽きもせず、テクテクと歩いています。こういった日常生活がことのほか楽しい。普段は行けないどこかに旅行に出かけるとか、アフリカでは食べられないおいしいものを食べに行くとか、もちろんそういう行動も楽しいのでしょうが、散歩のような何気ない日常生活の一部に大きな幸福を感じるオジサンであります。

自閉症の娘はラオス時代と同様、大きなショルダーバッグにお気に入りの品々を詰め込み、ニコニコ歩きます。屋外の景色を見ながらも自分の世界に没頭してしまうことが多く、足元にあまり注意を払わないので、たまには転ぶことがある。

健常者である我々は屋外での遊びに長けております。なので、身体の動かし方を知っている。遊びの過程で幼少時から何度も転んでおり、転倒してもとっさに受け身を取ることができますし、地面との接触で生じる痛みへの対処法など、その後の傷の処置法なども含めて、熟知しています。

ですが、娘のような障害者はスポーツのルールを理解できず、したがってその楽しみ方を知らず、その結果健常者よりも運動神経などが未発達のままなのではないかと思われます。

そういうヒトが転ぶと予想外に大きなダメージを被ることが多い。転倒時の急な姿勢の変化にビックリしますし、身体に被る痛みにも慣れていないので、無意識でありながら物凄く大きな声が出てしまいます。

うわぁーん!

娘が転倒したということよりも彼女の大声に驚いてしまう。転倒した拍子に、ひょっとしてどこか骨折したんじゃないかと疑ってしまうほど。こちらが心配して身体のあちこちを点検するうちに、気持ちが落ち着いてくるのでしょう、数分もしないうちに「エヘヘ」などと照れ笑いを浮かべる人騒がせな娘です。

体重があるので、膝小僧のすりむきはちょっと痛々しいほどですし、とっさに地面に突いた手のひらも、皮膚が破けて血がにじんでいます。普段何の仕事もしないせいで筋肉がなく、皮膚も柔らかいままなのです。巨大幼児。

君の父は日ごとに老化が進み、いつまで君を支えていられるか、毎日不安で仕方がないというのに。でも、いいです。永遠に可愛いままでいてくれろ。

 

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平和を願う自閉症

2011-10-03 17:44:19 | 自閉症

自閉症の我が娘が嫌いなもののひとつに「諍(いさか)いごと」があります。

モメる当人同士のきつめの口調が彼女の神経をかき乱すようで、身近で発生した口論はもちろん、テレビドラマや映画の役者によるケンカの演技などにも敏感に反応し、不快の意を表明します。彼女の「不快の意」とは、①大きな音を立てて拍手、②大声を上げる、③自分の腕や腿を叩く自傷行為、などで、たいていこの番号順にエスカレートして行きます。親としては遅くとも娘が自傷行為を始める前に諍いの場から彼女を遠ざけ、落ち着かせてやる事が重要になります。

友人たちと外食する機会などでは、会食終了後、会計の前にテーブル上の伝票を争って「ここはウチが払うから」「いやいや、前回ご馳走になったから今日はウチが」などというやりとりをすることがありますよね。ああいった、仲が良いが故に勢いのあるやりとりも、その口調から「争っている」と勘違いした娘が突然起立して「ウオオオオ!」と吠える場合があり、それ以上の彼女のエスカレーションを避けるために、我が家はすんなり身を引くことが多いです。本来ならば、ぜひともお支払いしたいところなのですが、娘が荒れるのを避けるためですので誤解の無いように・・・。

ところで、我が家の一員となったばかりの子犬は今がしつけ時であります。最近は口に入るものなら何でも生え揃ったばかりの乳歯に当てないと気が済まないようで、我々の手足には生傷が絶えません。噛み癖をつけないためには、噛まれたその時に犬が驚くくらいの大声でコラッ!と叱らなくてはならないのですが、その声に娘が反応してしまうので、こちらの躾もやや控え目となり、あまり効果がありません。その結果、愛犬はやりたい放題になってしまって、どんな子に育つのか、少々不安な次女の先行き。

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自閉症児のお気に入り3

2011-09-01 09:59:57 | 自閉症

ちょっと前から娘のお気に入りアイテムの数が増えてきました。

当初はトトロのぬいぐるみ一つで済んでいたのですが、いつの頃からか「トトロプラス本1冊」というコンビネーションになり、その後、本が2冊に増え、更にアニメ映画DVDのパッケージが加わりました。以後、どこへ行くにもその4アイテム全てを抱えて移動するようになりました。

両手がふさがってしまって不便ですし、また、そんな状態で転倒でもしたら危険です。ショルダーバッグを与えたところ、気に入ったものは何でもかんでもそれに入れて持ち歩くようになってしまいました。携行アイテムがどんどん増加し、現在はなんと11個。全部ガラクタ。その中にはなぜか茨城県詳細ロードマップという、重くかさばるブツも仲間入りしております。

ま、許そう。別に私が持つわけじゃないし。何より、説得を試みたってムダなんだし。「広辞苑じゃないだけマシ」と喜ぼう。

以前は紙類のお気に入りは、ある程度の期間固執すると未練なく自分で廃棄していたのですが、バッグ導入以降は固執期間延長してずーっと携行するようになってしまいました。バッグという道具を使うことによって物への執着心が持続するようになってきたようです。我が娘にとって、これは進歩というべきでしょう。

その結果、ショルダーバッグの総重量はかなりのものになっています。娘の肩に食い込むショルダー・ストラップ。しかしそんなことは苦にもせず、愛するガラクタを背にしてご機嫌ニッコニコで散歩に出かける娘。

単なるお散歩で、ロードマップが必要になるほどの遠出にはならないはずなんですけどね・・・。

 

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