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Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

ギターを通して感じるセルフ・イメージ

2010-11-21 00:13:54 | ギター
皆さん経験あるかと思いますが、自分の声を録音したものを聞くとずいぶん印象が違っていて戸惑うものです。
自分の発声を聞くのは専ら「骨導音」という、自らの体内を通った音として聞こえるのに対し、録音用のマイクが拾うのは空気が振動する「気導音」であるため、音の性質が違うんです。
私の声は、骨導音では低く太く聞こえているのですが、録音した気導音を再生して聞くとなんだか甲高くて頼りない。自分自身に対して抱くセルフ・イメージとはずいぶん違う印象なんです。
俺ってこんなヘナチョコ声なのに、カッコつけてあんな発言やこんな発言もしてたのか・・・。などと考えると、赤面しちゃいそうなほど恥ずかしい。
趣味の音楽で自分の歌声を録音する機会を繰り返し経験するうちに、慣れて気にならなくなりましたけど。

先日、久しぶりに自分のギター演奏を録音してみました。新しく覚えた曲があって、その弾き語りを録音したんです。
録音して聴くと、自分の演奏の良い点悪い点が客観的にわかり、それが上達にうまく作用するんです。たぶん、録音して聴くことを繰り返すだけでも演奏技術は向上すると思います。
さて、今回の録音では、ギターがとても良く鳴っているのでビックリしました。小型のデジタル・レコーダーを前に置いてあまり力まず演奏したのですが、録音したものを再生すると、演奏中に自分が聞いている音よりもずっと良いんです。
もちろん、ギターの音は主に正面方向に進みますから、ギターの前に設置したレコーダーが効率良く音を拾うのは当然ですが、それにしても高音が良く伸びていて、聞いていて気持ちが良い。ホントに俺が弾いてんのか? 

自分の声を録音して聞く気導音に違和感があるのは、骨導音に慣れているからです。
自分が弾くギターを録音して聞くと音色が違って聞こえるのも、演奏中にギターが自分の身体を通じて響いているからではないでしょうか。
その考えを更に発展させると、ギターはその周囲の空気を振動させているだけでなく、演奏者の身体をも振動させており、その振動はわずかながらも音響的に貢献しているのではないか。
それがどの程度の影響力があるのかはわかりませんが、ゼロではないような気がします。
オペラ歌手などは歌声をより響かせるために身体を大きくする、と聞いたことがありますし、演者の体格は音質に確実に影響している。

私の演奏はギターの響きだけでなく、私の身体がギターと一体になって響いている結果であり、その音は同じギターを使ったとしても、他の誰にも出せない、私特有の音である。

と、想像すると、とても楽しい。
俺にしか出せない音なんだから、ま、いっか。ヘタでも。
なんて思ったりもして。
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アメリカの楽器店 (ギブソン SJ-200)

2010-10-16 00:13:11 | ギター

楽器店は楽しいところです。
新しい楽器特有の木材の良い匂いが漂い、新製品に関する情報も豊富です。買い物の予定がなくて、単にブラブラしているだけでも充分楽しめる。
珍しい高価なギターを弾かせてもらったりするのも楽しい。
しかし買う気も無いのに高級ギターを試奏させてもらうのは、やっぱり気が引けるものです。

アメリカのカリフォルニア州コンコード。
この町のギター・センターに行った時、ちょっとビックリしました。ギターに対する考え方というか、商慣習があきらかに日本と違うんです。
広い店内の湿度が保たれたアコースティック・ギターのコーナー。高価なアメリカ製のギターがたくさん展示されています。でも周囲には店員が一人もいなくて、日本に良くあるような「試奏なさる時は店員にお声をおかけください」なんていう張り紙も無い。
つまり好みのギターを好きなだけ試奏してもいいんです。
開店と同時に店内に入って、展示してあるマーティンを手にしてソロを弾き始めるおじさんがいました。通りかかった店員や他の客との会話から察するに、どうも毎日来てるようです。かなりのマニアです。かなりの暇人とも言えますが。
ラックに納めてあるギターはどれも控えめながらも弾きキズが多数ついていて、日本の楽器店だったらこれはもう新品としては売れない状態です。

日本の楽器店は楽器を売っていますが、アメリカの楽器店はあくまで音楽の道具を売っているのだ、と感じました。もちろん楽器をキレイなまま店頭に置いておければそれに越したことはないけれど、出音を確認するために試奏してキズがつくのはしょうがない、と割り切っているのでしょう。

私も壁にかかっているギブソンのSJ-200を見つけ、弾かせてもらうことにしました。
やはり弾き傷がついていて、でも値札に明記された値段は$3,300でした。当時のレートでは30万円以上。たぶん新品の定価です。
手に取るとすでにチューニングが済んでおり、すぐに弾ける状態になっています。
Eのロー・コードを、じゃん! と鳴らしてみました。Eのコードは六弦の開放(一番低い音)が良く響くので、いつも私が最初に試す音出しです。

おお! いい音!



各弦の音色が独立していて、どの音がどの弦から出ているのか良くわかる。音の独立感が歯切れの良さにつながり、ワイルドな印象がある。にもかかわらず音が散らからず、まとまり良く響く。
ほほー、これがギブソンの音かー。さすがに良いギターだー。
ラーメンにたとえれば、もっちりと太い縮れ麺です。麺が太くて噛み応えがあり、口中でも一本一本の存在感がある。その麺が全体的に縮れているためにスープがうまく絡んで味が良く馴染む。

お気に入りのフレーズをいくつか弾いて楽しんだ後、他のギターも弾かせてもらおうと思い、SJをラックに返しました。その途端、今までマーティンを弾いていた常連のおじさんが手を伸ばし、私が弾いていたSJを抱えてズンチャカとストラミング。
他人が弾いているのを聴いても良い音。これは30万円するのもうなずける。
聴いているうちにもう一度弾いてみたくなりました。でも常連おじさんはギブソンを手放しません。いつまでも気持ち良さそうに弾いている。

んもー、いい加減に返してくれよー、俺のギブソン。
・・・いや、俺のじゃないや・・・。

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テイラーの広告

2010-09-12 01:25:03 | ギター
時々アメリカのギター雑誌を入手する機会があります。
オタク向けの楽しい記事が豊富ですが、特に目を惹くのは広告です。なかなかセンスが良い広告があって感心することもしばしば。
中でもテイラーの広告には渋いものが多い。
ひとつ紹介したいのですが、現在手元にその雑誌が見当たらないので以下の記述はうろ覚えによるものです。

雑誌の見開き二頁に、ホテルの薄暗い部屋でコーヒーカップを持ってたたずむ、物憂げな中年男の写真。ゆるめたネクタイの結び目のあたりに疲れがにじんでいます。
写真には以下のようなキャプションがついています。

   商用の旅行。
   予定では3泊4日だった。
   ギターを持って行く必要も無いほどの小旅行。
   ところが帰宅前日に突然の大雪。空港が閉鎖されてもう5日目。
   女房に電話して「ギターが恋しいよ」と告げる。
   「How is my guitar?」

英字部分がどうだったか、実は記憶が定かでないんです。
上記の通り「How is my guitar?」だったのか。
もしかしたら「How about my guitar?」だったかもしれない。
前者「How is my guitar?」という問いは単純に「僕のギター、どうしてる?」と、尋ねるものですが、後者だとちょっとニュアンスが異なります。
「How about my guitar?」だと、その前文の「ギターが恋しい」を受けて「ギターも僕を恋しがっていないか?」という意味になるんです。
ギターが持ち主を恋しがる、と考えるなんて、ちょっと異常なほどのギター・マニアです。まるでギターに命・感情があるかのように接している。
テイラーのギターには感情があります、と言いたいんでしょうか?
フレーズとしてはカッコいいけど、まじめに考えるとちょっと怖い。

ところで。
女房に電話したなら先ずは「君が恋しいよ、ダーリン」って言えよ。
いや、俺も言えないけどさ。
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ホトトギスの意味 (ヤマハ L-54)

2010-08-29 00:34:55 | ギター

以前も書きましたが、私はヤマハのギターが好き。
音も好きですけど、特にボディ・シェイプがカッコ良くて好きなんです。
カタチが良いことに加え、それが独自のデザインによるものである、というところにも好感を持っています。
他のギター・メイカーがこぞってマーティン社のギターをコピーし、どれだけマーティンに似たものを作ることができるか、を追求していたのに対し、ヤマハは独自の特色を持ったギターを目指した、という姿勢に意気を感じるんです。

1970年代半ばに、ヤマハはカスタム・モデルと銘打った高級ギターの作製・販売を始めました。
この時作られたのがL-51、52、53、54の4種類のギター。これらはすでに製造中止になっておりますが、現在の中古市場でも「ヤマハ四天王」と呼ばれ、人気も値段も高いギターです。
四天王のうち、51を当時デビューしたばかりのチャーが、52をポール・サイモンが、そして53をジョン・デンバーが愛用することで、ヤマハ・カスタムの人気は高まり、定着したのです。

ところで54が有名ミュージシャンに使われることはなかったようです。あまり人気が出なかったのかもしれません。
しかし、このギターは非常に印象的かつ象徴的なデザインだったように思えるんです。
ギブソン社のダヴ(Dove)を真似て作られたこのギターは、ダヴがその名のとおりハトの図柄のピックガードを持つのに対し、54はホトトギスの図柄が彫られたピックガードが付いていたんです。
とてもきれいな図柄なんですが、でもどうしてよりによってホトトギスなんだろう?



(画像:左がギブソンのダヴ、右がヤマハのL-54)

ホトトギスという鳥はちょっと変わった習性を持っています。モズなど他の鳥の巣に卵を産みつけ(托卵)、その巣の主を仮親として世話をさせるんです。卵から孵った雛は当然のように仮親から餌をもらい、それどころか仮親の留守中に仮親の本来の子である他の卵や雛を巣から落として殺してしまう。で、自分が巣の中で唯一の雛となる。それに気づかぬ仮親は、育児本能でホトトギスに餌を与え続ける。

ヤマハはそういう鳥の図柄をピックガードに彫りつけたんです。ちょっと意味深ですよね。

私が思うに、ヤマハには「ギブソンの有名なダヴの真似をしてダヴに惹かれる日本のギブソン・ファンを横取りしよう」とする意図があったんじゃないかと。
そういった、いわばギブソンに対する宣戦布告の意味を含ませて、ヤマハはピックガードの意匠にホトトギスを選んだのではないでしょうか。
しかし残念ながら54の人気は低迷し、ヤマハの目論見は失敗に終わります。
でも天下のギブソンにケンカを仕掛けるだけでも凄いよ、さすがヤマハだ。
と、結果はどうあれ、どうしてもひいき目に見てしまうヤマハ・ファンの私。

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中年オヤジのギター選び

2010-04-22 00:05:07 | ギター

世の中にはいろんな形のギターがあります。
鉄弦を張るアコースティック・ギターで最も一般的な形は、この分野のパイオニアであるアメリカのマーティン社製ドレッドノート(=Dタイプ)のそれだと思います。
この形は多くのメーカーによってコピーされ、また多少アレンジもされ、広まりました。
その中で私が一番好きなのはヤマハのLタイプの形です。マーティンDタイプより曲線を少々強調したその形は、有名なギター・デザイナーであるテリー・中本氏による造型。私にとって完璧とも思える「くびれ」を描いており、更に言ってしまえば「セクシー」でさえあるのです。

以下、ちょっと脱線します。
タケウチ・クミコのエッセイで読んだのですが、女性のウェストのくびれはそのヒトの受精率に大いに関係しているんだそうです。
オランダの人工授精クリニックの統計では、ウェストがくびれている女性、つまりヒップに対してウェストが細い女性ほど妊娠し易いという結果が出ているんですって。その境目がウェストの対ヒップ値70%だそうで、例えばヒップ90センチの女性の場合、ウェストが63センチ未満では受精率が高くなり、逆にそれ以上になると受精率は著しく低下するんだそうです。
中年オヤジはヒップの大きい女性を好む、というのは巷の定説でありますが、性的にも下降期にあたる我々は、より受精能力が高いであろう女性、つまり妊娠しやすい女性に魅力を感じるようになっているのでありましょう。
人間の生理反応というものは、つくづく不思議だと感じます。

さらに発展させて考えると、このような中年オヤジの好みの傾向というものは、そのヒトのギター選びにも影響しているのではないか、と思えます(私だけかもしれませんが)。
前述したように世間で最も普及しているマーティン・Dタイプ(の国産コピー)と、私が大好きなヤマハ・Lタイプのくびれを比較してみると、そのウェストの対ヒップ値はマーティンが69%でヤマハが65%でした。
僅差ではありますがヤマハの方がくびれが強調されており、やはり、と思わせる結果です。
最近の私は同じヤマハのCJ(カントリー・ジャンボ)という、さらにくびれが強調されたケツデッカ・タイプにも強く惹かれるようになっており(ウェスト比60%)、好みの老化は坂を転がるように進行中であると思われる。

ちなみに、以前「ファット・ママ」と呼んだヤイリのバリトンギターはCJと等しいくびれ値でありました。
それなのに、いつぞやは「オバサン体型」なんて言っちゃってスマンスマン。


コメント (2)
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