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Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

育つメイプル(ヤマハCJ-15B)

2013-10-07 03:05:18 | ギター

ヤマハのCJ-15Bというギターは、1976年に販売が開始された古いギターです。現在は製造されておらず、当然新品の販売も行われておりません。
このギターのサイド・バックにはメイプル(楓)が使われています。サトウカエデという、メイプル・シロップが採れる種類です。この材はかなり特徴的な音を出すと言われており、アメリカのカントリー・ミュージックに使われるギターの多くはメイプルでできていることが多いようです。

私はCJの持つグラマラスな形が好きで、発売開始当初からのファンでありました。いつかは所有したい、と長い間考えていたのですが、なかなかその機会がありませんでした。
実は何度となく楽器店に赴いて試奏したことがあったのですが、さほど良い音がしないんです。どんなに強く弾いても音に密度が無いというか、圧力が貧弱というか、大きなボディサイズの割にはビックリするほど鳴らない。けっこう値の張るギターなのに、この程度なの? と、違う意味でもビックリしちゃう。で、購入せずに帰宅。でもしばらくするとやっぱりまた欲しくなって、楽器店に行って試奏。で、ガッカリして帰宅。この繰り返しでした。
数年前、当時すでに珍しかった初期型の中古品を見つけました。店頭で試奏しましたが、やっぱりあまり鳴らない。でも今まで弾いたものと違い、これは初期型です。ヤマハが最初に作って売りだしたCJです。私が高校生の頃にギター雑誌の広告で見たCJです。ヒット商品にするべく特に気合を込めて、材料だって吟味して良いものを使っているに違いありません。他のヒトには普通のギターでもマニアにとっては貴重品。ここで今まで同様ガッカリ+帰宅しちゃったら、この先もう巡り会えないかも知れない。
そんな風に考えて、なんか無理に自分を納得させたようでもありますが、購入しました。

購入後、少しでも音が良くなるように、と浜松のバナナムーンにチューンナップを依頼しました。
アコースティック・ギターの音作りに関しては日本のトップクラスにあるお店に、前回のキャッツアイに続き、またも古い国産ギターを送りつけてしまう私であります。
バナナムーンは快く引き受けてくれました。プロに見てもらったところ、これは少々難アリのシロモノであることが判明しました。
たぶん張りっぱなしにされた弦の張力によってネックがねじれてしまい、それをアイロンなどで矯正せず、指板を削って弦と平行にするという荒療治が施された形跡が見られるんだそうです。指板上の特徴的に大きめのポジションマークが部分的に薄くなっているフレットがあり、これは指板を削った証拠だ、と。なーるほど。言われてみればポジションマークに、黒檀の地肌が透けて見える部分があります。
薄くなった指板は音にも影響し、このギターがもともと持っていたオリジナルな音ではなくなっているはず。というわけで、それ以上のチューンナップは行わず、古くなったナットを新しく作り直してもらうだけにしました。 

買った以上は元を取ろう、と貧乏根性丸出しで、購入後は毎日ストロークで鳴らしていました。娘と歌う時はほとんどこのギターで伴奏していました。
バナナムーンで新調してもらったナットのおかげで明るく輪郭のある音質にはなりましたが、ボディの鳴りは未発達のままでした。ですが、控え目に鳴るCJの音は娘との合唱を邪魔せず、ちょうど良かったんです。
そのまま弾き続けたおよそ1年後、ギターがものすごく良く鳴っているのに気が付きました。変化が徐々に表れたせいでしょう、意識するまで気が付かなかったんです。楽器店のポスターでよく見かけるフレーズ、激鳴り!というやつです。軽く爪弾いただけのはずなのに、大きなボディの中で反響した音がブワン! とサウンドホールから出てきます。だからといって決してブーミーな音ではなく、明るくて輪郭が際立つ音。なるほど、カントリー・ミュージックに似合う雰囲気のある音像です。

どのギターも長期間弾いていればそれなりに音が変化してくるものですが、こんなに育つギターは初めてです。ヤマハのギターは他にも所有しておりますが、これほどの変化は経験したことがありません。なので、これはサイド・バックの材質、メイプルがもつ特性ではないか、と考えています。

同じ材質を持つギターでは以前ご紹介したギブソンSJ-200があります。あれは店頭に置かれていながらもすごく良い音がしました。アメリカの楽器店はどんな高級ギターも試奏自由なので、冷やかしの客に毎日弾かれることで音が完成していたのだと思います。

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ギターを空輸する方法

2013-02-03 04:51:34 | ギター

犬に続いてギターの空輸です。

海外に赴任するたびに愛用のギターを持って行きます。なので、今までに海外にギターを空輸した経験は豊富です。

大事な楽器ですから、やはり他人の手に委ねるのは少々勇気が要ります。特にヨーロッパ諸国で乗り換える必要があるときなど、積み下ろし時の荷物の取り扱いが少々荒いことが多いので、できれば自分の手で運びたい。

客室に持ち込むことができればそれに越したことはないのですが、手荷物として認めていただくには、ギターは少々サイズ・オーバーのシロモノで、チェックイン・カウンターで係の方に交渉しても断られることが多々あります。

以前、チェックインの時には見送りに来てくれた家族にギターを預けてその存在を知らせず、搭乗時にいきなりギターを持ち込もうとしたことがあります。一応許してくれはしましたが、ものすごく嫌な顔をされました。自分でもこれはとてもズルイ行為であった、と反省しております。それ以来、最初からチェックイン・カウンターで預けることを前提に準備しておきます(一応、お願いはしてみますけどね)。

当然ですが、ハードケースを使用し、収納時にはゆるめた弦の下に新聞紙などを挟み、エレアコの場合は内臓電池をはずしておきます(振動ではずれてケース内で暴れたらヤバイので)。

一番重要なポイントは、ヘッドが収まる空間に新聞紙を丸めて詰めることです。輸送中に何か衝撃を受けたとき、ケース内部でヘッドが振動し、そのショックで折れることがあるんです。ですからその振動を抑える工夫をしておく必要があります。

新聞紙を丸めて♪オベント箱にオニギリをちょいと詰める♪要領で詰めていきます。隙間なく、しかしギッチリ過ぎず、多少ソフトに。試しにギターを入れてみて、ヘッドがちょっと浮くくらいの感じにします。更にヘッド上にもいくつか新聞紙玉を載せ、ケースの蓋を閉めるときに若干抵抗を感じる程度に仕上げます。

ケース内部とボディの間に隙間があるようでしたら、シリコンクロスとかタオルとか、柔らかめの布を詰めて動かないようにします。

で、ケースを閉めて、その上からダンボールをガムテープなどで貼り付け、荷造り用のひもでしばります(ケースに傷がつくのが嫌なので)。楽器店でケースが入るくらいのダンボール箱をもらってくると非常に楽です。

荷造りがすんだら「Fragile!!」と朱書きします。チェックイン時にもカウンターでフラジャイル・スティッカーを数枚もらってベタベタ貼り付けます。

これでたぶん大丈夫。今まで、目的地に到着後、ケースを開けて後悔したことは一度もありません。

でもお断りしておきますが、何か好ましくない結果になったとしても、私は責任持てません。

 

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低音の魅力

2012-03-18 19:44:04 | ギター

私は甘党ではありませんが、時々甘いものが欲しくなります。量はそんなに必要ないんです。チョコレートならほんの一かけらで充分。例えば板チョコを一枚購入すると、全部食べ終わるまでに1ヶ月くらいはかかります。そんな少量ではあるけれど、全く無いとちょっと困る。やっぱり時々は口にしたい。

私にとってはベースの音もそれに近いものがあります。

ベースの低い音は単に鼓膜を振るわせるだけでなく、身体の芯に響くような感覚があります。むしろ鼓膜を通じては聞き取りにくい、身体全体で感じ取る音域です。そのため和音を構成しても複雑すぎてあまり美しくは響かず、単音で演奏されることが多い。魅力的な音域ではありますが、単音で鳴らすだけではやはりすぐに飽きてしまう。甘味は身体に必要だけれど単調な味覚で、大量に食べると飽きるし、時には胸焼けもする。ですからソロ・ベーシストは卓越した技術の持ち主だと思います。ベースだけを奏でながらもリスナーの注意を持続させ、低音に飽きさせない。

愛用のベースはマーティン社製BC-15E。アコースティック・ギターと同じ形をしていて、ベースギターと呼ばれるものです。温かみのある出音が特徴と言われるマホガニーが全体に使われており、実際、このベースに限って言えば、その丸みのある音色は、単音でありながらあたかも和音のように倍音豊かに響きます。

多くのアコースティック・ベースギターはブリッジの位置をボディ下端近くに置いています。そうすることで全長サイズが縮小され、演奏し易くはなりますが、ボディ・トップを響かせるためにはベストの位置ではありません。振動しにくいサイドに近いためにブリッジの振動が抑えられて硬めの音となり、弦の金属的な響きの方が強調されてしまいます。聞き取りやすいけれど、私にとってはベースらしくない音です。私のベースはブレイシングなどの内部構造をギターと同じくするためでしょう、ブリッジの位置がギター同様、トップのほぼ中央に位置しています。そのため、トップが効率よく振動し、良く鳴るんです。

大きなボディを抱きこんで、ブリッジ付近ではなく指板上で弾くと更に甘い音が出て、身体の芯がジィーンと響きます。あー、良い音だー。膝の上で撫でていた飼い猫がリラックスして喉を振るわせ始め、そのゴロゴロ音が飼い主の身体に響いてゆく。アレに似た気持ち良さがあるんです。

ソロ・ベーシストのようなテクニックを持ち合わせていない者にとって、ベースに求めるべきは低音の質です。良き低音。私は音の良さだけでこのベースを選びました。購入したのは米国カリフォルニヤ州パロアルトのグリフォン弦楽器店。同店創設者のリチャード・ジョンストン氏が対応してくれました。彼はTV番組「アンティック・ロードショウ」(アメリカ版なんでも鑑定団)のギター鑑定人でもあります。

初めて買うベースなんだ。

と言ったら、「こんな良いベース、君のような初心者には贅沢すぎる!」と叱られました。

ま、誰もがそう思うことではありましょう。でも、いいんだもーん。

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ウクレレ

2012-01-06 14:26:43 | ギター

あけましておめでとうございます。今年もよろしく。

ウクレレはハワイの楽器です。ウク(蚤)がレレする(跳ねる)ような音がする、ということからウクレレという名前がついたんだそうです。言われてみればウクレレの高い音は、蚤がピョーンと跳ねる姿を連想させます。

私の愛用ウクレレはフェイマスというブランドのウクレレでした。胴にくびれがない、いわゆるパイナップル型というタイプで、材質はすべてマホガニーの合板。胴にくびれがない分ボディの容積が大きいから出音も大きいですよ、と楽器店のヒトに言われ、納得して購入したものです。

マホガニー製のギターはサステインが短いために温かみのあるホッコリとした出音が特徴である、とよく言われますが、その特徴がテンションの低いウクレレのナイロン弦によく合って、私のフェイマスは「いかにもウクレレの音」がします。

先日、近所のセコハンショップを冷やかしていたら、ジャンク品のコーナーにヤマハのウクレレが転がっているのを見つけました。私のフェイマスとは違って胴にくびれのあるタイプで、弦の張力によるものか、もしくは何かの事故のせいか、はがれてしまったらしいブリッジをかなり強引にエポキシ系の接着剤で固めてあり、楽器としての見てくれはとても悪い。なるほどジャンク品。

 

ま、こんなに乱暴にブリッジを固定してあるんだから良い音出るはずないよな。と、思いつつも試奏せずにはいられないGASな私。適当にチューニングしてポロリン♪とCメジャーのコードを弾いてみる。

・・・ふーん。まぁ、割と良い音かな?

チャンカチャンカと軽いストロークを続けてみると、さらに音が響くようになってきました。

・・・おっかしいなぁ。こんなジャンク・ウクレレ、良い音がするはずないんだけどなぁ・・・。

見てくれの悪さとジャンク品の棚にあったことの先入観からか、なかなか認めたくない私。しかし、正直言って音は良いぞ、コレ。

よく見ると、表板が単板なんです、このウクレレ。きっとそのせいでウクレレにしては出音が妙に鮮やか。

ヤマハのギターは低音がドンと響き、高音がシャリーンと鳴る、いわゆるドンシャリ系と形容されることが多いのですが、このウクレレはまさしくそのヤマハのシャリン感が強い。

音の良さをウクレレに求めるべきではない、とも思いますが、でもやっぱり音が良いに越したことはない! と、いうわけで、買っちゃいました、そのジャンク・ウクレレ。

しかしジャンク品でこんなに音が良いのなら、正規品はどんな音がするんだろう?

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アリア・シンソニード AS-100C/SPL

2011-04-27 00:25:56 | ギター

ルアンナムターへの出張時、夜が長くて手持ち無沙汰になりがちです。

こういう時間を利用してギターを練習したらうまくなるだろうなぁ。

でもハードケースに収めたギターを持って出張に行く、というのもかっこ悪い。飛行機利用時に貨物係にどんな扱いを受けるか心配だし。

それに持って行ったとしても定宿にしているゲストハウスではあまり大きな音も出せないし。

などとウジウジ考えていたら良いものがありました。

サイレント・ギターです。

共振するボディが無いので音が極小に抑えられ、演奏時には付属のヘッドフォンを接続して音を聴く、という極めて個人的な楽器です。また分解可能なので飛行機の客席にも手荷物として持ち込める。まさに私の出張旅行にうってつけの開発コンセプトです。

最近はサイレント・タイプの楽器が流行っているようで、アリアとヤマハから似たようなギターがそれぞれ販売されています。

ヤマハ・ファンの私としては当然ヤマハのSLG(サイレントギター)を選びたいところですが、カタログで比べるとアリアのシンソニード(スペイン語で"消音"を意味するそうです)の方がコンパクトなんです。

SLGが全長965mmであるところ、シンソニードは863mm。10cmも短い。

また、ボディ代わり(?)のフレームも、シンソニードは高音側・低音側とも取り外しができるのに対し、SLGは片側が固定されているようです。

旅行時に携行する、というのが前提になるので、より小さくなるシンソニードを選択しました。

画像はアリアのホームページから、最新モデルAS-101C/SPL

購入してから4年近くになりますが、その間、完璧に出張用としてのみ使用しております。

携行が楽です。さすがに小さくて軽い。

そして生音は小さくて静か。旅先のゲストハウスでミッドナイト・ストラマーに変身しても大丈夫です。

ヘッドフォンを通して聴く音質は、私が選んだナイロン弦モデルに関して言えば、とても良いです。特に低音が倍音豊富でふくよかな音色。

これは搭載されているピックアップ・マイクの性能によるもののようです。一般的なピエゾ(サドル底部に貼り付けるテープ状のマイク)ではなく、プラスティック製の円筒状のサドル内部にコンデンサー・マイクが仕込んであるらしい。

エレアコ特有のクリスピーな音質がまったく無いわけではありませんが、それでも充分温かみがあり、耳に心地良い音です。

この音質に関しては、有名アーティストである山崎まさよし氏も某ギター雑誌のインタビューで「このままライブでも使えそう」などと絶賛しておりました。

良い買い物したー、と満足しておりますが、ささやかながら欠点もいくつかあります。

コンパクト化の代償としてヘッドが無く、チューナー・ペグが右手近くに位置しています。チューニングの勝手が少々違う。それに演奏中にうっかり引っ掛けてしまいそうで気を使います。

また付属のヘッドフォンは私の耳には馴染まず、別のものを購入しました。

付属するソフトケースはファスナーの開口部が広くて容量にも余裕がありますが、残念ながらあまり頑丈なものではありません。月一回のペースで出張につき合わせていたら2年目にはところどころほころびてきました。現在はガムテープで補強して使っていますが、近いうちに新しいケースを調達しようと思っています。

さて、明日からまたルアンナムターへ出張です。シンソニードと。

 

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