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Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

話を聞かない日本人、地図を読めないアフリカ人

2012-09-09 15:16:43 | その他の国々

我々は日常的に図を多用しております。たとえば相手にとって未知の場所への行き方を説明する時には簡単な地図を描きますし、ある装置の構造について説明する時には略図を描きます。図が無ければ、言葉を連ねて説明しなくてはならず時間がかかりますし、またその説明内容を相手が正確に把握してくれたかどうか、言葉だけで確認するのは容易なことではありません。

以前、広辞苑について「文章だけですべてを説明しているからスゴイ」と書きましたが、これはほんとにスゴイことだと思います。

西アフリカで仕事をしていたことがあるのですが、あちらは語り部文化の土地。誰も図なんて使わないんです。更に言ってしまえば文字も使わない。これは伝統的なことらしく、遺跡などにも何も文字らしきものは残ってないらしい。何も書き残すことなく、しかし太古の昔から今まで文化が継続しているということは、これはこれでとても偉大なことのような気がします。

我々日本人は視覚的に表現する。これは伝統であり、また教育の過程においても強化された習慣だと思います。小学生の頃、算数の記述問題も図に描いて考えたりしましたよね。

そういう習慣がない西アフリカのヒトタチは言葉による説明を試みる。

例えばある農学実験について説明する時、実験田の見取り図を描いて各処理などの情報を書き込んでいけばそれこそ一目瞭然なのに、全部話し言葉で説明するんです。つまり、区画面積や施す肥料の種類や量、施肥時期など、延々とシャベクリで説明していく。とてもじゃないけど覚えていられない。でも一緒に聞いていた他のスタッフ(アフリカ人)は、みんな理解しているみたいなんです。ちゃんと覚えている。覚えていないのは私だけでした。聞いていたくせに、何で理解できないの? なんて不思議がられたりもしました。ただ、彼らの言う「理解」は「記憶」と同じ意味なんですが。

伝統的な文字が無い西アフリカの無文字社会では、暗記こそが知識の蓄積となります。暗記できる人がインテリ。

そのせいでしょうか、紙を大事にしません。我々日本人なら絶対にとっておいて無駄にしないであろう書き損じの紙など、あっさり捨ててしまいます。躊躇することなく。

アンタらさぁ、特に裕福でもないんだからとっときなさいよ、その書き損じ。まだ使えるでしょう? と諭すように言っても無駄。理解してくれません。ずーっと昔っから紙の重要度低かったんですから。

紙を無駄にできない日本人の私は、今日もせっせとアフリカ人の書き損じを拾って綴じてメモ帳つくり。

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乾季のサバンナ

2012-07-15 00:17:12 | その他の国々

ガーナの北部、ブルキナファソとの国境に近い地域を乾季の盛りに訪れた時のこと。

サバンナは人口密度が低く、したがって建造物も少ない。草の類は全部枯れてしまっていて、内部に多少は水分を蓄えているのか、大きな立木ばかりが目につきます。それもやっぱり枯木色。どこを見ても全体的に茶色っぽくて寂しい風景です。地面も乾ききっており、歩を進めると足が着地するたびに土煙が立ちます。

体感する湿度はとても低く、シャツの袖をまくり上げていると紫外線が皮膚を焼き、乾燥した風がヒリヒリと撫でて行きます。

もっと敏感な唇などの粘膜はとっくに乾燥し、ガサついています。他人と話しているとき、うっかり笑ったりすると表情が大きく変化して皮膚が引っ張られるのでしょう、乾いて柔軟性をなくした鼻の粘膜がピキンと割れて鼻血が噴き出すことが頻繁にあります。笑顔で鼻血ブー。自然と笑いを控えるようになり、無表情になります。砂漠に住む民族が寡黙かつ無表情でクールな印象が強いのは、表情豊かだと鼻血が出ちゃうからだと納得しました(たぶん違うと思うけど)。

乾燥しているので、シャワーで皮膚を濡らすのはとても気持ちがよろしい。ただし、気持ちが良いのはシャワーを浴びている最中だけ。水を止めた途端、身体に着いた水滴が急速に乾いて気化熱が奪われ、入浴直後なのにものすごい寒さに震えることになります。身体がガクガクと震え、口の中で歯が勝手にカチャカチャと鳴ります。

別の機会に同じ地域を、やはり乾季に訪れた友人は炎天下をドライブ中、収穫したてのスイカが道端で売られているのを見つけました。のども乾いたし、スイカでも食べっか、と、山積みのスイカをポンポン叩いて熟れて甘そうなのを一つ選んで購入。売り子に頼んでナイフで割って食べやすいように切り分けてもらった途端、果肉に豊富に含まれる水分が飛ぶように乾燥してゆき、やはり気化熱で切断面からぐんぐん冷えていったそうです。唇にあたる部分はとても冷たいのに、歯が食い込んでゆく内部はまだ生ぬるく、とても面白い食感だった、と言ってました。

シャワーの後、濡れたタオルは振り回していると数分で完全に乾きますし、濡れた髪もアタマをぶんぶんと5~6回振るとほぼ乾きます。これは便利です。

シャワーでの濡れ乾きを毎日経験しておりましたら、天然パーマで穏やかなウェイブがかかっている私の髪は次第に丸まりが解け、1週間後には完全なサラサラの直毛になっておりました。これも滅多にできない不思議な経験でありました。湿った街に帰ってすぐ、天然ウェイブに元通りでしたけど。

 

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オナニー!

2012-03-25 07:30:24 | その他の国々

別の国の言葉の中に日本語と似た発音で、しかもほぼ同じ意味を持つ単語を見つけるのは、ちょっとした喜びです。楽しくて不思議。例えば「階段」のことをラオス語では「カンダイ」と言いますし、「構わない」を意味するシンハラ語(スリランカの言葉)は「カマンネ」、「解らない」を意味するソマリア語は「ワンガラネーヨ」。

逆にまったく違う意味になってしまう言葉もあって、例えば、ミツビシの四輪駆動車「パジェロ(Pajero)」はスペイン語圏では「パヘーロ」という発音になりますが、少々恥ずかしい言葉を連想させるそうで、仕方なく差し障りのない名前に変えて販売しているんですって。

10年ほど前、西アフリカのガーナに滞在していた時のこと。現在と同様、農業関係の仕事に就いていた私は、灌漑事業地の田畑を見回ることを日課としておりました。ある日、事務所のオートバイで田圃を巡回していた時、転んで左足首を骨折してしまい、その後の2ヶ月余りを松葉杖のお世話になって生活することになりました。どこへ行くにも松葉杖がなくては移動できず、そのため行動範囲は極めて狭く、とても不自由な毎日でありました。

当然業務上にも大きく制約を受けたのですが、仕事は仕事。松葉杖を使って行ける範囲内だけでも圃場を見て回ろう、と決めました。我ながら、その意気や良し。

しかし事務所を出て歩き始めて、すぐに後悔することとなりました。松葉杖での長距離移動はやはり無理があります。両掌(てのひら)を保護するためにウェイト・トレーニング用の手袋を着けておりましたが、それでもすぐに手が痛くなりました。また、歩くのは小石の浮いた炎天下の農道です。杖を突く場所を誤って小石の上に突いたりするとバランスを崩してズッコケちゃうので、視線は路面に集中し、周りを見る余裕がありません。田畑の様子を見に来たのに、これじゃ何の意味も無い。

じくじくと流れる汗に濡れる私が、もう帰ろうかな、と思い掛けた時。

農家のオバサンが一人、畑から走り出てきました。両手を振りながら「オナニー! オナニー!」と叫びつつ駆け寄ってきます。大声で叫んでおりますが、表情は柔らかく、切迫した雰囲気はありません。でもビックリしました。オナニー!なんて、女性が白昼、畑の中で叫ぶ言葉じゃありません。

私の前まで駆けて来たオバサンは「なんとかかんとかオナニー、なんとかオナニー。なんとかかんとかオナニー?」とまくし立てます。英語はガーナの公用語ですが、農家の多くは部族語を多用しています。彼女が口早に話す部族語は、私にはさっぱりワンガラネーヨ。聞き取れるのはただ「オナニー」一語のみ。語尾が何かを尋ねるように上がり調子なので、何らかの反応が求められているようですが、まさか「あの」オナニーについて、こんなところでインタビューするヒトもいないでしょうし、ワケがわからないのでとりあえず曖昧な笑顔を見せるだけの私。

「なんとかかんとかオナニー。なんとかかんとかオンニンニー?」

今度はオンニンニーかよー。ますますわかんなくなってきました。オナニーとオンニンニー。そして僕は途方に暮れる。

ちょうどその時、他の圃場を見回っていたガーナ人の同僚が現れました。助かった。

彼が通訳してくれたところによると、「オナニー」は正確には「オンナンニー」で、部族語で「足」を意味する言葉だそうです。「足を怪我しているのに、杖を突いて圃場を見回るなんて大変ですね」と同情してくれていたようです。「オンニンニー」は「手」だそうです。「杖を突いて歩くと手も痛くなっちゃうでしょ?」と、これも心配してくれていたようです。心配してくれていたとわかって、嬉しくなりました。

10年前の些細な出来事ではありますが、今でも思い出すたびにホンワカした気持ちになるんです。

 

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ガーナのオオコウモリ

2010-12-23 12:53:02 | その他の国々
多様な野生動物が見られるのは東アフリカ。
ナショナル・パークでのサファリ・ツアーが一般的に楽しまれています。
大陸の反対側の西アフリカでは、あまり目立った野生動物は見かけません。
ですが、ガーナの首都アクラでは、乾季にちょっと珍しい光景を眼にすることができます。



この画像、青空をバックに舞うのは鳥ではありません。コウモリなんです。草食性のフルーツ・バットと呼ばれる種類で、和名ではオオコウモリと言うそうです。
乾季になると、アクラ市上空にコウモリの姿が目立つようになり、市内で最も交通頻度の高い交差点付近に集中して生息するようになります。他の場所ではほとんど見かけないのが不思議。その場所に珍しい樹木があって、乾期にだけ実るその実を食べに集まってくるのではないかと考えたのですが、どうもそういうわけでもないようです。なにか理由があるに違いないのですが、専門的な知識があるわけではないのでワカリマセン。

オオコウモリという名のとおり、一般的な肉食コウモリよりも身体も翼も大きく、飛ぶ姿も比較的おおらかに見えます。日中も活動するようで、群れを作って舞い乱れ、遠くから見ると大きな渦を巻くように飛んでいます。多分数千匹という単位でしょう。
連中、ヒマなときは街路樹にぶら下がっているのですが、その数がハンパじゃないために枝への加重は相当なもので、細い枝から順に折れてしまいます。折れた枝が歩道に落ちてくるので危なくてしょうがなく、警官が時々空に向けて威嚇射撃をして追い払おうとするのですが、まったく効果なし。発砲に驚いてギャースカ言いながら一旦は飛び立つのですが、すぐに樹に戻ってきてしまうんです。
どうしようか思案しているうちに、細くて折れやすい枝は全部折れてしまったからとりあえずは大丈夫。でも来年は知らないよ、って、いいのかそれでー?


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ベトナムの味

2010-10-08 01:55:35 | その他の国々
出張でベトナムに行ってきました。7月以来、3ヶ月ぶりの再訪です。
首都のハノイはビエンチャンはもちろんルアンナムターよりも緯度が高いせいか、10月の気温は前回の訪問時よりもかなり低いものでありました。周囲の風景などは前回の記憶のままなのに、気温だけ低くてビックリするほど肌寒い時もあり、なんだか不思議な感覚です。

今回もおいしく頂いたのはモロヘイヤのスープのネコマンマであります。
前回(掟破りのネコマンマ)は確か魚卵とモロヘイヤのスープでしたが、今回はなんと蟹の卵とモロヘイヤ! 魚卵を使ったスープに比べて滋味の深さが更に増したようです。
炊き立てのメシを茶碗に盛り、スープをざんぶとかけ回し、ザクザクと食べ始める。

ちくしょー、やっぱりウメー!





お茶漬け同様のサラサラ感はあるのですが、モロヘイヤのねっとり感がやっぱり独特。
日本のお茶漬けの味わいは、粘着性の高い日本米の団結力をお茶(もしくはだし汁)が引き離すことで生まれるサラサラ感ですが、ベトナムのネコマンマはもともとパラパラで独立感の強いインディカ米をモロヘイヤが穏やかに繋ぎ留める。合流はするけど融合しない面白い食感。

その面白さから食が進み、またしても食いすぎるバカな俺。
くるしい・・・。
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