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Weekend Strummer

ウィークエンド・ストラマー。
世間知らずのオジサンが脈絡無く語る、ギター・アフリカ・自閉症。

爆弾カレー

2010-07-26 00:40:30 | その他の国々
カレーライスは各家庭の個性が出る料理だと思います。
妻が作るのはとろみの少ないタイプのカレーです。カレー汁。
粘り気の少ないインディカ・ライスを皿に平べったく盛り付け、カレーをかける。汁がライスの下に抜け、具がライスの上に残ります。
食感がネコマンマに似ていて私好みです。
本日のカレーは挽肉がメインのキマカレー。オクラがトロトロに煮込んであり、とてもおいしい。
ウメーウメーと食べていたら何か硬いものを噛んだ感触があり、次の瞬間、強い香りが口中を満たしました。

うっ! なんだ?

たまらず、吐き出してよく見るとカルダモンでした。
妻によると、いつもカレーを作る時は香り付けにカルダモンとクローブ12個づつを数えて投入し、そろそろ出来上がり、という時にオタマですくって探し、全部回収するんだそうです。
寸胴鍋のどこにあるのかわからない香辛料をすべて回収するのに、何回オタマですくうのか、ちょっと想像できませんが、かなり根気の要る作業だと思います。

「ゴメンネ、いつもは全部回収できるんだけど、今回はカルダモンは9個しか見つけられなかった」

いや、9個見つけただけでもたいしたもんだ。

オカワリした私はすくいきれなかった3個のカルダモン、すべてを口中で発見することになりました。私はこういうの、運が悪くてよく当たるんです(変な表現ですが)。

10数年前のスリランカ。
スリランカでの食事はほとんどがカレーでした。
ある晩、私が独りで食事をしている時、急に停電になりました。
ハウスボーイがすかさずキャンドルを灯してくれます。
キャンドルの揺らめく明かりが照らす食卓というのも、雰囲気があって良いものです。
キャンドルの明かりに黄色味を増したカレーをおいしく味わっていた時、凄い香味が口中に充満しました。

うわ、強烈。何だ、このスパイスは?

口腔内から鼻に抜ける香りが異質でした。普通、カレーの香料は食欲を増進させますが、その香りは逆に食欲をなくすほど独特で強烈だったのです。
ちょっと耐えられなくなって、咀嚼していたものを数枚重ねたティッシュペーパーに吐き出しました。一体何が入っていたんだろうと思ってよく見ると、カレーの中から一匹のカメムシがよたよたと這い出てきました。
スパイスではなく、カメムシの臭いだったんです。道理で強烈なはずだ。
テーブル上のキャンドルの灯りに寄ってきたカメムシがカレーの中に墜落したのでしょう、それに気づかず、食べちゃった。カメムシの踊り食い。
タイの東北部ではカメムシを乾煎りして、その強い香りを料理のスパイスに使うと聞いたことがあります。でもやっぱりナマは無理。

そんな昔のことを妻と話しておりましたら、娘が手を伸ばして皿の上に残しておいたカルダモンをつまみ、口に入れてしまいました。
あわてて止めたのですが、平気な顔をしてクチャクチャ噛んで飲み込んじゃいました。
吐息がカルダモンの強い匂い。

・・・すげーなー。きっと生のカメムシも食えるぜ、お前なら。
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掟破りのネコマンマ

2010-07-17 11:48:20 | その他の国々
出張でベトナムに来ています。
滞在中に何度か経験した酒宴では、いろんなお料理と酒でいい気持ちに酔ったころ、決まってゴハンとスープが運ばれて来るんです。
ベトナムの〆ゴハンはブッカケめし。茶碗に盛ったメシに汁をザンブとかけてザクザク食べる、俗に言うネコマンマであります。

日本ではネコマンマは行儀の悪い食事という事になっているようで、実家では私が幼児であった昔から「やってはいけないこと」の一つになっていました。
実際には面と向かって禁止されたわけではないのですが、それは例えば「子供は飲酒・喫煙すべからず」などと同様で、「世間の常識」としての「べからず」であったようです。
あまり噛まずに食べることになるので消化が悪いとか、食べる時に音がするので行儀が悪いとか、そんなネガティブなイメージから禁止されたのではないかと想像します。

ベトナムは自由な国です。普通のレストランで当たり前のようにネコマンマを食べます。
一番うまかったのは、モロヘイヤと魚卵のスープをぶっかけたネコマンマ。
魚卵が奥深い味を醸し出す澄まし汁。モロヘイヤの鮮やかな緑が染み出した、新茶のような色のスープです。
茶碗に盛ったゴハンにそのスープを注ぎ、いただきまーす。
モロヘイヤのひかえめな粘り気が、もともと粘り気の少ないインディカ米のゴハンに纏わりつき、かつて味わったことのないような新鮮な食感。飯粒のひとつひとつが固まりにならず、しかし微妙につながったまま喉を通っていくんです。

うわー! これはウマイ!

ザクザクと食い進み、メシと一緒に胃に入った空気を鼻からスーと排気。このとき、腹に収めたばかりのメシと汁の香りが長い尾を残し、うまさが途切れることなく続く。

出されたメシとスープ、全部食ってしまいました。
食いすぎて腹ダブダブ。ウェストがきつい。ベルトゆるめたい。
「ついつい食いすぎて、あとでつらくなってしまうから」というのが、ネコマンマ禁止の本当の理由かも。
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蚊の進化

2010-06-28 00:12:02 | その他の国々
蚊はヒトや他の動物から吸血します。
血液は体外に出ると凝固してしまうので、蚊は凝血を妨げるためにヒトの体内に唾液を注入してから吸血します。我々が感じる痒みの原因は、この唾液という異物に対する人間のアレルギー反応なんだそうです。
痒みのつらさから、よく「痒みさえなければいくらでも蚊に血を吸わせてやるのに」などと言うヒトがいますが、蚊の方も可能であればヒトに痒みを感じさせずに吸血したいと考えているはずです。ヒトに気づかれずにコッソリと吸血できれば、叩き潰される確立は激減しますもの。
そのため蚊は唾液成分を変化させて、できるだけヒトのアレルギー反応が起こらないように工夫しているんだそうです。
そうだとすると、蚊の吸血行為はヒトにとってどんどん痒くない方向に向かい、双方にとって平和になるかと思われますが、しかし蚊は吸血するだけでなくマラリヤや脳炎やデング熱などの病気も媒介するのです。
ですから、痒くなけりゃ血を吸わせて良いってわけじゃないんで、我々も蚊の唾液には常に敏感であるべきなんです。人間は痒みを感じることで、蚊から我が身を守っているのですから。

蚊は唾液成分を変化させることで進化し、ヒトは敏感にアレルギー反応することで対応する。
一方の働きかけにもう一方が反応する、ということだけに注目すれば、これは一種のコミュニケーションの様でもあります。

ラオスに来る前の話。
西アフリカのガーナに長期間滞在したあと、日本に帰国しました。
その時の関東地方はまだ蚊が生息する季節であったため、知らないうちに何箇所も蚊に刺され、腕や足に相当の数の吸血痕が赤く浮き出て来ました。しかし、不思議なことにまったく痒みを感じませんでした。
ガーナの蚊と日本の蚊では唾液成分が異なるのだと思います。ガーナ滞在中、彼の地の蚊の唾液に対して敏感に対応していた私の身体は、日本の蚊には無防備になってしまったのでしょう。

長期の外国暮らしの後、母国・日本が遠い存在に感じられるようになり、情けないことにそこに生息する蚊とのコミュニケーションも成立しなくなってしまった。
私は本当に日本人なのかー?
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趣味はハエタタキ

2010-03-28 01:42:12 | その他の国々
15年位前の話です。
当時スリランカに住んでおり、ハエの多さに閉口しました。
更に閉口したのは、どこにもハエタタキが売っていないことでした。
国民の多くが敬虔な仏教徒である彼の国では、殺生を嫌います。五月蝿いからハエを殺す、なんてとんでもないことなのです。
私も一応仏教徒であるということになっておりますが、普通の日本人であり、ハエも蚊もゴキブリも、私の生活を邪魔するものは全部殺します。
休暇で日本に一時帰国した際、買いましたハエタタキ。スリランカに持ち帰ったら、これが大活躍。面白いようにハエを殺せるんです。

日本のハエは敏感で素早い。例えばテーブルの上に止まった状態でも危険に対して常に身構えているようです。こちらがハエタタキをかざして接近すると、それだけで殺気を感じるのか、プン、と飛び去ってしまう。
常に緊張している日本のハエと比較すると、スリランカのハエはテーブルの上で腕枕しながらハナクソほじくってんじゃないかと思えるくらいリラックスしまくってます。
スリランカのハエはヒトに追われるなんて経験したことが無いんです。屋外では捕食昆虫や鳥などに食べられることはあっても、人家にいる限り、そのリスクはかなり低くなります。ほぼ天寿を全うできるのではないでしょうか。
だから完全な無防備。先祖代々全部鈍感。

そういう鈍感バエに狙いを定めて打ち据えると、我が身に起こった不幸が信じられないハエどもは「うっそー」とささやくようにうめき、簡単に死んでゆくのでありました。
死んだハエはハエタタキの柄の部分に仕込まれた専用のピンセットでつまみ、バケツに集めます。何しろいっぱいいますし、しかし簡単に殺せるので、結構忙しい。数十分、熱中すると、バケツの底に溜まったハエの死体はかなりの量になりました。

これ全部ハエ? すっげーな。

すごく充実した気分。パチンコで大当たりした時の感覚に似ています。
ハエの死骸を庭の池にまいてやると、魚たちが大興奮。
水が盛り上がるほどに躍り上がり、あっという間に食べつくしてしまいました。
きれいになった水面に揃って顔を出し、口をぷかぷかと開閉させ、
「うまかったー! もっとくれー!」
と言っているようです。

そーかそーか、うまかったか。じゃ、また明日な。

狩猟のような楽しみがあり、食卓の周りを飛ぶハエは激減するという実益もあり、獲ったハエは池の魚たちが喜んで食べてくれる。
成果も実益も評価も得られるんです。
これはひとつの趣味といってもおかしくないくらい充実した活動です。

と言うわけで、しばらく後に厭きてしまうまで、私の殺戮の日々は続いたのでありました。

コメント (2)
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野口英世、輝く。

2010-03-13 00:09:56 | その他の国々
最近、日本の皇太子がガーナを訪問しましたね。
日本人にとってガーナと言えばチョコレートと野口英世。
野口英世は黄熱病の原因を突き止めるため、1927年にガーナに赴任しました。
しかし翌年、研究中に自身が黄熱病にかかり、残念ながら命を落としてしまいます。
彼の最後の言葉は、「どうも私にはわからない」だったそうです。
黄熱病の病源体はウィルスですが、それは当時の顕微鏡では見ることができないほど小さなものです。得体の知れない病気に太刀打ちできない無力さを感じていたのかもしれません。
野口英世博士がガーナで勤務していた研究室は現在も首都アクラのコレブ国立病院敷地内にあり、彼の活動を讃える意味もこめて、愛用の研究器具などもほぼ当時のまま残されております。また研究室の近くには小さな日本庭園と彼の胸像もあります。

さて、以下はあまり知られていない事実です。
1990年代後半、当時の総理大臣ハシモト・リュータロー氏がアフリカを訪問することになり、ガーナにも立ち寄ることになりました。その際、件の野口英世博士研究室を訪れ、胸像にもお参りすることになったそうです。
で、日本大使館がコレブ病院に「日本の総理大臣が来て野口の胸像に献花するからきれいにしておいてね」と依頼したんだそうです。
このヒトコト、「きれいにしておいてね」をどのように英語で伝えたのか知りませんが、日本人の感覚で言えば、周囲を掃除してゴミなどが落ちていないようにし、胸像の埃をぬぐっておく、というようなことだと理解できます。
ところが、「きれいにする」ために病院側がしたことは野口像を塗装することでした。
やっぱ国際的な理解って難しいよな、と感じるのはこんな時であります。
で、われらが野口英世はこんなになりました。



ノグチ・ゴールデン・スペシャル。
使ったのはたぶん安物のスプレー・ペイントで金色に品がない。しかも素人仕事なのでムラがあり、特に背面は塗装配分を間違えて塗料が足りなくなっちゃったのがあきらか。地の色が透けて見えるんです。
博士にはお気の毒でありますが、「きれいにしよう」という病院側の善意から行なわれたことなので抗議するわけにもいきません。

今回2枚目の画像は、そんな経緯はご存じないままに、金色のノグチに手を合わせる総理大臣としては二人目のこの方。




(画像はいずれも内閣府のホームページから転用)
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