映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

2021年読んだ本

2021-12-31 20:47:36 | 
1.神楽坂ホン書き旅館 黒川鐘信◎
2.クヒオ大佐 吉田和正
3.不勉強が身にしみる 長山靖生
4.経済数学の直感的方法 確率統計編 長沼伸一郎◎
5.見るレッスン 蓮實重彦◎
6.半自叙伝 菊池寛
7.テレビの黄金時代 小林信彦◎
8.映画評論家未満 重政隆文◎◎
9.偉大な記憶力の物語  ルリヤ
10.押井守の映画50年50本 押井守◎◎
11.運と実力の間 木原直哉
12.若者はなぜ決めつけるのか 長山靖生
13.田中清玄自伝 田中清玄◎◎
14.東京 坪内祐三
15.小津安二郎東京グルメ案内 貴田庄◎
16.周恩来「十九歳の東京日記」 周恩来著 矢吹晋編
17.焼け跡のイエス他 石川淳
18.昼夜日記 坪内祐三◎
19.決定版私説コメディアン史 沢田隆治◎◎
20.ドナルド・キーン著作集思い出の作家たち ドナルド・キーン◎
21.大都会隠居術 荒俣宏編◎
22.映画批評は批評できるか 重政隆文◎

23.俺の遺言 野坂昭如
22.断言2 山形浩生◎
23.ヤクザと過激派が棲む街 牧村康正
24.田中角栄と国土建設 米田雅子
25.ファイアマン流物理がわかるコツ ファイアマン
26.一六世紀文化革命 山本義隆◎
27.確率的発想法 小島寛之
28.日本がバカだから戦争に負けた 大塚英志
29.ゆるく考える 東浩紀
30.日本的発想力の未来 東浩紀編◎
31.本の雑誌の坪内祐三 坪内祐三◎
32.中国の行動原理 益尾知佐子◎

33.酒日誌 坪内祐三
34.ストリート・ワイズ 坪内祐三◎◎
35.地獄で仏 ナンシー関、大月隆寛◎
36.反解釈 スーザン・ソンタグ◎
37.横丁の戦後史 フリート横田◎

38.誰もが嘘をついている セス・スティーブンス
39.運の技術 角田陽一郎
40.人口の中国史 上田信◎
41.昭和トワイライト百景 フリート横田
42.東京ノスタルジア百景 フリート横田
43.階級断絶社会アメリカ チャールズ・マレー◎
44.50年代新宿シネマグラフィティ 北村公一
45.東京放浪記 別役実
46.相続地獄 森永卓郎
47.中国人のお金の使い道 中島恵◎
48.スマホ脳 アンデッシュ・ハンセン◎

49.認知バイアス 鈴木宏昭
50.高速読書 上岡正明
51.すべての知識を20字でまとめる 浅田すぐる
52.寿町のひとびと 山田清機
53.ヒューマンネットワーク マシュー・ジャクソン◎◎
54.昭和の子どもだ君たちも 坪内祐三◎
(1月 54冊)
56.書くための勇気 川崎昌平
55.ネット右派の歴史社会学 伊藤昌亮◎◎◎
57.記憶の山荘 トニー・ジャネット
58.無礼講 坪内祐三、福田和也
59.地図帳の深読み 今尾恵介
60.東京バックビート族 林立夫
61.この不寛容の時代に 佐藤優◎
62.工学部ヒラノ教授の終活大作戦 今野浩
63.不謹慎 坪内祐三、福田和也
64.新書百冊 坪内祐三
65.同時代も歴史である1979問題 坪内祐三◎
66.システムトレード発見のポイント 斎藤正章
67.頭が良くなる速読術 川村明宏、若桜木◎
68.断薬記 上原義広
69.エマニュエル・トッドの思考地図 エマニュエル・トッド◎
70.速読×記憶術トレーニング 川村明宏
71.革命的飲酒主義宣言 坪内祐三、福田和也
72.数字で考えるは武器になる 中尾隆一郎◎
73.超速読知られざる受験勉強法 理数系を目指す人へ 川村明宏
74.最後の人生天語 坪内祐三
75.スクリーンが待っている 西川美和◎
76.英単語スーパー記憶術 川村明宏
77.されどわれらが日々 柴田翔
78.戦後が若かったころ 海老坂武◎
79.頭が良くなる速脳術 川村明宏◎

80.中国経済はどこまで崩壊するか 安達誠司
81.完全教祖マニュアル 
82.やさしい行動経済学
83.古くさいぞ私は 坪内祐三
84.マネジメント1 ピーター・ドラッカー◎◎
85.文化の定義のための覚え書き TSエリオット
86.かくも激しき希望の歳月 海老坂武
87.世界史の構造を読む 柄谷行人
88.世界の経営学者は今何を考えているのか 入山章栄◎
89.マネジメント2 ピーター・ドラッカー◎◎
90.僕らの頭脳の鍛え方 立花隆、佐藤優
91.5時間でわかるKOSEI式ネット株
92.21世紀を生きるための社会学の教科書 ケン・プラマー
93.ランキング ペーテル・エールディ
(2月 39冊)
94.国富論 アダムスミス◎◎
95.マネジメント3 ピーター・ドラッカー◎◎

96.貨幣の悪戯 ミルトン・フリードマン◎
97.百人十色の投資法1 JACK
98.百人十色の投資法2 JACK◎
99.百人十色の投資法3 JACK
100.マネジメント4 ピーター・ドラッカー◎◎
101.アイデアの99% スコット・ベルスキ
102.トレード・オフ ケビン・メイニー
103.評伝小室直樹上 村上篤直
104.評伝小室直樹下 村上篤直
105.メモの変態が手帳をスマホに変えた理由 堀越吉太郎◎
106.デザインされたギャンブル依存症 ナターシャ・シュール
107.祖国よりも一人の友を 海老沢武
108.戦後民主主義のリハビリテーション 大塚英志◎
109.貧乏人の経済学 アビジット・バナジー
110.百人百色の投資法4 JACK
111.百人百色の投資法5 JACK
112.1440分の使い方 ケビンクルーズ
113.風の歌を聴け 村上春樹
114.羊をめぐる冒険上 村上春樹
115.羊をめぐる冒険下 村上春樹
116.リスクテイクの経済学 アリソン・シュレーガー
117.ナイスの法則 リンダ・キャプラン・セイガー
118.人を助けるとはどういうことか エドガー・シャイン
119.パズルでひらめく補助線の幾何学 中村義作◎
120.一六世紀文化革命2 山本義隆◎

121.スーパー・インテリジェンス ニック・ボストロム◎◎
122.グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業 ハーマン・サイモン
123.日本人は右傾化したのか 田辺俊介
124.趣味の社会学 片岡栄美◎◎
(3月 31冊)
125.明日泣く 色川武大
126.数学する身体 森田真生
127.ステイ・スモール  ポール・ジャルヴィス◎
128.経済数学の直感的方法 確率統計編 長沼伸一郎◎◎
129.磁力と重力の発見2 山本義隆
130.小数と対数の発見 山本義隆
131.世界の見方の転換 山本義隆◎
132.ヒトラーの科学者 ジョン・コーンウェル◎

133.うらおもて人生録 色川武大◎◎
134.遺伝子の不都合な真実 安藤寿康◎◎

135.双葉山の邪宗門 加藤康男
136.帰郷 大佛次郎◎
137.ボリンジャーバンド×自動売買FX  山中康司◎
138.統計学が最強の学問である 西内啓
139.統計学が最強の学問である数学編 西内啓
140.統計学が最強の学問であるビジネス編 西内啓
141.経済数学の直感的方法マクロ経済学編 長沼伸一郎
142.ナッジ 那須耕介
143.ハリウッド式映画制作の流儀 リンダシーガー◎
144.専門知はもういらないのか トム・ニコルズ◎◎
145.どうしても頑張れない人たち 宮口幸治◎
146.ポチらせる文章術 大橋一慶
(4月 22冊)
147.鎌倉資本主義 柳澤大輔
148.ストーリーマッピングをはじめよう ドナ・リチョウ
149.岩井俊二 夏目深雪編
150.THIS IS MARKETING セス・ゴーディン
151.デジノグラフィ 博報堂生活総合研究所◎
152.数値と客観性 セオドア・M・ポーター
153.あなたは自分を利口だと思いますか  ジョン・ファーンドン
154.ヤバい予測学 エリック・シーゲル◎
155.あなたの会社が理不尽な理由 清水勝彦◎◎
156.アイデアを棄てるとうまくいく 堀宏史
157.すぐメモする人がうまくいく 堀宏史
158.クラウドファインディング革命 マクアケ中山亮太郎
159.奇想の系譜新版 辻惟雄◎
160.バルミューダ熱狂を生む反常識の哲学 上岡隆
161.菅政権 東大話法とやってる感政治 宇佐美典也◎
162. アメリカの反知性主義 リチャード・ホーフスタッター
163.分析力を武器とする企業 トーマス・ダベンポート◎
164.手書きの戦略論 磯部光毅◎

165.直感で発想、論理で検証、哲学で飛躍 伊丹敬之
166.アルゴリズム思考学 ブライアン・クリスチャン
167.ザ・セカンドマシンエイジ エリック・ブリニョルフソン◎
168.企業を大切にする会社 ヴィニート・ナイアー
169.考える練習帳 細谷功
170.エスノグラフィー入門 小田博志
171.調査と分析のための統計 上藤一郎
172.33年後のなんとなくクリスタル 田中康夫
173.分析力を駆使する企業 トーマス・ダベンポート
174.意識と脳 スタニスラス・ドゥアンヌ
175.ニッポンのおじさん 鈴木涼美◎
176.ストーリーのつくりかたとひろげ方 イシイジロウ
177.リサーチドブリンイノベーション 安斎勇樹
178.話題を作り出すしくみのつくり力 西山宏
179.DX思考法 西山圭太
180. 真実を見抜く トーマス・ダベンポート
181.ラディカル・マーケット エリック・A.ポズナー◎
182.データ・ドブリン・マーケット マーク・ジェフリー◎◎
183.FXボリンジャー常勝の技 山中康司◎
184.パーソナルネットワーク 安田雪◎

(5月 38冊)
185. つながり ニコラス・クリスタキス
186.人脈作りの科学 安田雪
187.スポーツの経済学  小林至
188.測りすぎ ジェリー・ミュラー
189.予測不能の時代 矢野和男◎
190.模倣の法則 ガブリエル・タルド◎
191.一年仕事がなくても倒産しない経営術 坂口孝則◎

192.大佛次郎一大初心 福島行一
193.文庫本千秋楽 坪内祐三
194.ツウが語る映画この一本 中村千晶
195.なりすまし スザンナ・キャラハン
196.花街の引力 三浦展◎◎
197.映画評論家への逆襲 荒井晴彦他◎
198.ガラパゴス政党日本共産党 柳原滋雄◎◎
199.バカに唾をかけろ 呉智英◎
200.保身 藤岡雅◎
201.1970年代のプログレ 馬庭教二
202.老いぼれ記者魂 青山学院春木教授事件 早瀬圭一
203.日本衆愚社会 呉智英◎
204.日本の分断 平川新
205.東京80年代から考えるサブカルチャー 仲正◎
206. 戦国日本と大航海時代 平川新◎◎

207.東大首席弁護士が教える7回読み 山口真由
208.内田裕也 スクリーン上のロックンロール
209.孫基禎 
210.1971年 土谷英夫
211.夢中になれる東大世界史 福村国春
212.億万長者だけが知っている教養としての数学 ヒューバーカー
(6月 28冊)
213.中国の見方がわかる中国史入門 福村国春
214.林彪事件と習近平 古谷浩一◎
215.毛沢東と林彪 笠井孝之◎

216.柔軟的思考 レナード・ムロディナウ
217.名指導書で読むなつかしの高校国語 
218.ピーター・ティール トーマス・ラッポルト
219.最も賢い億万長者上 グレゴリー・ザッカーマン
220.最も賢い億万長者下 グレゴリー・ザッカーマン
221.全米は泣かない 五明拓弥
222.物理学者のすごい思考法 橋本幸士◎
223.スピリチャルズ 橘玲◎

224.経済のトリセツ 山形浩生◎◎
225.養子縁組みの社会学 
226.地上最強の男 百田尚樹
227.最高の集い方 プリヤ・パーカー
228.和僑 安田峰俊
229.闇の脳科学 ローン・フランク
230.さっさと不況を終わらせろ ポール・クルーグマン◎
231.日本経済はなぜ浮上しないのか 片岡剛士
232.お金の改革論 ジョン・メイナード・ケインズ◎◎◎
233.自分で考えて動く社員が育つOJTマネジメント 中尾隆一郎
234.経済政策で人は死ぬか デヴィッド・スタックラー◎◎
235.論集蓮實重彦 工藤庸子編◎
236.すべてはノートから始まる 倉下忠憲◎

237.ライティングの哲学 千葉雅也、読書猿、山内朋樹、瀬下翔太◎◎
(7月 25冊)
238.ゾンビとの論争 ポール・クルーグマン
239.歴史修正主義とサブカルチャー 倉橋耕平
240.円山町瀬戸際日誌 内藤篤◎
241.いねむり先生 伊集院静
242.ファンベースな人たち 佐藤尚之
243.女性向け風俗の現場 柾木寛◎
244.戦後世界経済史 猪木武徳
245.21世紀の資本 トマ・ピケティ◎
246.東京貧困女子 中村淳彦◎
247.ワルに学ぶ黒すぎる交渉術 多田文明
248.世界でいちばん素敵な建築の教室 田所辰之助
249.行動科学と投資 ダニエル・クロスビー
250.1980年代 斎藤美奈子、成田龍一
251.仮住まいと戦後日本 平山洋介◎
252.静かな生活 大江健三郎
253.取り替え子 大江健三郎◎
254.ナイアガラに愛を込めて 木村ユタカ
255.大義の末 城山三郎
256.IPのつくりかたと広げ方
257.日本型格差社会からの脱却 岩田規久男
258.立花隆最後に語りたいこと 立花隆◎◎
259.普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門 山崎俊輔
260.チョンキンマンションのボスは知っている  小川さやか
261.黒澤明の映画 喧々囂々 岩本憲児◎
262. 無理ゲー社会 橘玲◎◎
263.歪む社会 安田浩一、倉橋耕平
(8月 26冊)
264.学校選択制のデザイン 安田洋祐
265.マイホームの彼方に 平山洋介
266.自閉スペクトラム症 岡田尊司◎
267.吉田茂の自問 小倉和夫
268.勝率9割の選択 のぶき
269.賭けの考え方 イアン・テイラー
270.言葉はどこからやってくるのか 蓮實重彦◎
271.フレデリック・ショパン フランツリスト◎◎
272.60年代郷愁の東京 本橋信宏
273.理系のお姉さんは苦手ですか 内田麻理香
274.わが闘争猥褻罪 大坪利夫
275.アンダークラス2030 橋本健二◎
276.人新世の資本論 斎藤幸平
277.教育論の新常識 松岡亮二ほか◎
278.東京23区×格差と階級 橋本健二◎
279.自由と成長の経済学 柿埜新吾◎

280.やっぱり友だちはいらない 押井守
281.秋葉原は今 三宅理一
282.東京から 現代アメリカ映画論議 蓮實重彦、黒沢清
283.渋谷の秘密 三浦展ほか◎
284.危ない読書 佐藤優◎◎
285.上野新論 五十嵐泰正
286.思考術 大澤真幸
287.シネマの神は細部に宿る 押井守
288.首都圏住みたくない街 逢阪まさよし◎
289.映画時評修正2004ー2016 伊藤洋司◎
290.中流崩壊 橋本健二◎

291.新東京風景論 三浦展
292.東京β 速水健朗
293.Z世代 原田曜平
294.ゼロ 堀江貴文◎
295.死ぬこと以外かすり傷 箕輪厚介◎

296.テレビリサーチャーという仕事 高橋直子
297.トランプ自伝 ドナルドトランプ◎
298. 小説と映画の世紀 菅野昭正
299.東京の忘れもの 村木与四郎
300.クーデターの技術 クルツィオマラパルテ◎◎
301.ヒトラーの秘密図書館 ティモシーライバック
302.金のつくり方は億万長者に聞け ドナルドトランプ
303.創造元年1968 笠井潔、押井守
304.アジアの中の日本映画 四方田史彦
305.科学的管理法 フレデリックテイラー◎◎
306.かつてチョイスという名の英語教材があった 斎藤雅久
307.音楽の黙示録 森本恭正
308.類似と思考 鈴木宏昭
(9月 45冊)
309.記憶術と書物 メアリー・カラザース
310.プロパガンダ戦史 池田徳真
311.獣たちの夜 押井守
312.リスクと流動性 ヒュン・ソン・シン◎
313.トロツキー ロバート・サーヴィス
314.日本映画僕の300本 双葉十三郎
315.シンギュラリティは近い レイ・カーツワイル◎◎
316.もの忘れの脳科学 苧阪満里子
317.暴走する能力主義 中村高康◎
318.ふと浮かぶ記憶と思考の心理学 関口貴裕/編著 森田泰介/編著 雨宮有里/編著
319.押井学の人生のツボ 押井守
320.21世紀の経済政策 浜田宏一◎◎
321.経済社会の学び方 猪木武徳
322.幼児教育の経済学 ジェームズ・ヘックマン
323.暴走する世界 アンソニー・ギデンズ
324.マイルスデイビスの真実 小川隆夫
325.妖怪少年の日々 荒俣宏
326.学力心理家庭環境の経済分析 赤林英夫他◎
327.危機の中の若者たち 本田由紀、中村高康他
328.ラクして稼ぐ不動産投資33の法則 今井基次◎◎
329.ビッチェズブリュー 中山康樹◎
330.日本のGPAトップ大学生たちはなぜ就職で楽勝できるか 辻太一郎、曽和利光
331.アヌイ作品集 ジャンアヌイ
(10月 23冊)
332.東大生と語り尽くした6時間 立花隆の最終講義
333.知っているつもり 西林克彦◎◎
334.映画監督三隅研次 吉田 広明
335.スクリプトドクターの脚本教室 初級篇  三宅 隆太◎
336.水の女 中上健次◎
337.データエコノミー入門 野口悠紀雄
(11月 6冊)
338.映画監督神代辰巳◎◎
339.トッド自身を語る エマニュエルトッド
340.老人支配国家 日本の危機 エマニュエルトッド◎
341.使える行動分析学 島宗理
342.左翼商売 森口朗
343.共産主義批判の常識 小泉信三◎◎
344.情報生産者になってみた 上野ゼミ卒業生チーム◎◎

345.「日本」ってどんな国? 本田由紀
346.シャルリとはだれか エマニュエル・トッド
347.その言葉だと何も言っていないと同じです 吉岡友治◎
(12月 8冊)

緊急事態宣言で飲み会禁止令が出ると、本はとにかく読める。映画館は移動の時間も含めて拘束時間があるが、本にはない。ある本を読んでインスパイアして編み出した「18分法」で時間を計って読む。1日のうち何回「18分」が取れるかだけど、意外に隙間時間ってある。途中まで400冊ペースだったのに、11月にこの年にしてある資格試験に挑戦したから10月より読書ペース落ちる。資格の国家試験はものすごく久々、今さら資格なんて関係ないが、酒なき日々が充実して過ごせた。試験前の緊張感久々味わった。やはり勉強は繰り返しだ。もっと早く気づいていればとも思う。

ケインズが1920年代前半に書いた「お金の改革論」という本をはじめて読んだ。今年いちばん感銘を受けた本だ。こんなに経済のこと、いやどういう風にビジネスをするかを優しく語ってくれる本だとは思っていなかった。

何せわれわれの世代は翻訳に恵まれていなかった。ケインズの名著と言われる「雇用利子および貨幣の一般理論」にせよひどいもんだった。最近の若者はなんて恵まれているのかと思う。普通こういう場合原著を読むと、なんだこんなにやさしく書いてあるのにと思うことが多い。でも、ケインズの英語は関係代名詞とカンマの連続で逆に発狂しそうですぐ断念。それだけに妙に感動した。

これを読むと、実はケインズの基本はマネタリストであることもわかる。当然「一般理論」で語られる不況時の処方箋もあるが、あくまで平常時の根本はそういうことなのかとも思う。
あとは「ネット右翼の歴史社会学」が読み応えあった。これはよく調べていて感心した。普通こういう右傾化問題はどちらかの方向に一方通行の議論だけど、これは偏見が抜けていてよかった。

読書数の激減はコロナ解禁後飲み会のお誘い急増のせいもあるかもしれない。いくら高級店の料理にありつけても酒は週3回までが限界、4回はキツい。それもいつも行かなくてもいいのに2軒目以降の余計な店行ってしまうからだ。今年も常連の店はいくつも潰れた。残念。12月初めに久々銀座クラブ突入したら、意外に一杯だった。ママが気前よくヴーヴクリコをサービスしてくれていつもの半額以下だった。どうして?

いずれにせよイベント事以外家では飲まない。酒は頭脳には悪影響、そろそろ逆方向に向かいたい。
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2021年好きだった映画10作

2021-12-31 08:22:26 | 映画 ベスト
2021年観た映画201本(DVD、Netflixと名画座含む)7年ぶりに200本超えた。

その中で10作ピックアップする。優劣つけがたいがサブで10作をピックアップしてみる。
これは自分の好みが入る。映画の質がいい悪いは別である。

(観た順番で、内容はクリックして確認ください)
1.すばらしき世界 

2.水を抱く女

3.いとみち

4.インザハイツ

5.サマーフィルムにのって

6.ドライブマイカー

7.由宇子の天秤

8.花椒の味

9.ファイター、北の挑戦者

10.ラストナイトインソーホー

前年は日本映画でいいものがなかった。逆に5作も入ってしまう。今年は西川美和監督の新作「すばらしき世界」が口火を切った。念入りに映画の材料を取材をして、娯楽作品として観客を楽しませようとする要素に満ち溢れている。そのほかにも若手監督のよくできた作品が目立った。「いとみち」では普通の青森の女の子がメイドカフェに勤める設定で、津軽三味線という小道具も効果的に効いていい作品になった。父親役豊川悦司の存在を横浜聡子監督が巧みに使っていた。「サマーフィルムにのって」も好感がもてた。高校生にして大映の監督三隅研次を崇拝する時代劇オタクという主役に加えて周囲の高校生の特異なキャラクターの設定に成功している。

もはや日本を代表する映画監督かつ論客になりつつある濱口竜介監督も2作披露してくれた。村上春樹の短編集にある「ドライブマイカー」では題名作品に加えて、2つの作品からエッセンスを引用してすばらしいシナリオにした。途中演劇の部分が長すぎる気もしたが、あの短編集をここまで映像化してくれたことに感激した。もう一作偶然と想像の方がいいという人もいる。もちろん水準を大きく超えるが、室内劇中心で明らかな低予算の作品なので映画としての膨らみがあると自分には思えない。ここまで名が売れたら次回はもっとぜいたくして作って欲しい。

瀧内公美がいい女優になってきた。火口のふたりで大胆な演技をしてから前年のアンダードッグも含めてこのところ脱ぎっぱなしであった。そうしているうちに「由宇子の天秤」というインテリの役をもらった。この映画のストーリー展開は先を読ませぬ巧さがある。でも若干長回しが長すぎるかな?という印象をもつ。それでも春本雄二郎監督光石研をはじめとした演技の職人を絶妙に使い、今後に期待できる監督だ。

「水を抱く女」のミステリータッチに若干ホラー的要素を加えた展開には思わずドキドキした。クリスティアン・ペッツォルト監督はこれまでニーナホスという1人の女優とのコンビが主だった。今回女優をかえて、テイストも若干変わったのがいい結果を生んだ。「インザハイツ」はラテン版「LALALAND」といった感じで、観ていて気持ちが高揚した。古い映画からの引用も多々あるが、ひたすら楽しい。たぶん他の評者はピックアップしないと思う「花椒の味」はまったく仲のよくなかった父娘の関係だったのに、父が死んで2人の異母妹が現れて父の経営した火鍋店をやるという設定だ。ここで娘が亡き父を想う気持ちに同化した。デモとコロナでしばらく行けていない香港が舞台ということも自分にはプラス要素だ。

「ファイター、北の挑戦者」は脱北者の若い女性がボクシングで身を立てようとする話だ。女性のボクシング映画には「ミリオンダラーベイビー」と「百円の恋」という素晴らしい傑作がある。脱北者の苦悩が映画の要素に加えられた脚本が良く、どこにでもいるような女の子が演じているのも良かった。そして「ラストナイトインソーホー」が実に良かった。60年代のロンドンを魔界のように仕立て上げ、2人の美少女をピックアップして悪夢と現実を渡り歩く。照明設計も美術も音楽もみんな良く、デイヴィッドリンチ監督やヒッチコック、パルマなど古今東西の映画作家の要素を盛り込んだ素敵な作品にしてくれた。今年一年の洋画ではいちばん好きだ。

1.わたしの叔父さん

2.世界で一番幸せな食堂

3.春江水暖

4.キャラクター

5.一秒先の彼女

6.17歳の瞳に映る世界

7.少年の君

8.サマーオブソウル
 
9.ONODA

10.悪なき殺人

一転して日本映画が一作のみ。日本のクライムサスペンス映画のレベルは韓国と比べると低いが「キャラクター」はその見方を変えるほどよくできていておもしろかった。ここにピックアップしていないがあのこは貴族も良かった。自分の母校のことも語られていて懐かしい思いになった。

コロナ禍でアメリカ資本の映画が少なく、欧州や中国系の映画が増えてくる。「わたしの叔父さん」と「世界で一番幸せな食堂」はいずれも北欧産でよく似たやさしいムードをもつ。いずれも自分の肌合いに合った映画だ。それに似た感じで中国映画「春江水暖」も心地よい。台湾映画「1秒先の彼女」はファンタジーの要素を持つがコミカルな主人公の存在が笑えてしまう。中国映画「少年の君」は現代中国受験事情がこれを観てよくわかり、裏社会的要素を加えてニュースだけではわからない中国事情がつぶさにわかった。

「サマーオブソウル」は1969年のソウルミュージックフェスティバルの映画化である。こんなすごいフィルムが残されているとは思わなかった。個人的にはフィフスディメンションがでてきたときにいちばんドッキリ。「ONODA」は小野田少尉のフィリピン生活を描いている。日本人が作れないフランス人による日本映画という内容だ。サスペンス系では緻密に映画の設計がされているフランス映画「悪なき殺人」は今年一押しだ。

前年公開の作品で今年見た中で、前の年に観たなら絶対入れていたのは「37セカンズ」と「異端の鳥」
いずれもすごく良かった。


特別に日本映画外国映画でそれぞれ3つ選んでみる。

日本映画
1.すばらしき世界
2.いとみち
以下はどうしようかと一日考えて同着
3.由宇子の天秤
3.ドライブマイカー

外国映画
1.ラストナイト・イン・ソーホー
2.インザハイツ
3.水を抱く女


2007年から手書きでノートに観た作品の題名を書いている。いよいよ2900を超えた。
3000を目標にしてきたが、2022年にようやく達成できそうだ。果たして死ぬまでに5000いくだろうか?
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映画「ただ悪より救いたまえ」

2021-12-30 08:04:41 | 映画(韓国映画)
映画「ただ悪より救いたまえ」を映画館で観てきました。


「ただ悪より救いたまえ」は韓国映画得意のクライムアクション映画である。レベルの高い韓国クライムものでも2014年の新しき世界は自分の中で上位に入る傑作である。その映画で主演だったファン・ジョンミンとイ・ジョンジェが再度組むというだけでワクワクする。加えて、これも韓国クライムものではピカイチの「チェイサー」の脚本を書いているホンウォンチャンがメガホンを持つということなら必見ということで映画館に向かう。

引退寸前の殺し屋が最後の仕事を終えたときに、バンコクにいる元恋人の娘が臓器売買の組織に誘拐されたと聞き、救出に向かうという話だ。ただ、最後の仕事で始末した男の弟分が復讐でバンコクに向かっているので、容易にはいかない。常に危機一髪のシーンが続く。

東京でのロケもあるが、タイロケのウェイトが高い。灼熱のバンコクということを示すためにフィルムの色合いもかえる。猥雑なバンコクの商店が立ち並ぶ狭い道で、縦横無尽に追跡するシーンはスリリングで楽しめるが、激しすぎて我が末梢神経を刺激しすぎる。ちょっときついかな。題材には子どもの臓器売買というきわどい題材も含み、いかにも裏社会経済が蔓延する東南アジアぽい映画の匂いがつよい。

「チェイサー」の脚本を書いているホンウォンチャン監督作品ということで、意外性のあるストーリーを予測したが、それはさほどでもなかった。でも主役2人には安定感がある。それなりにおもしろい。


東京でのミッションを最後に、引退するはずだった殺し屋のインナム(ファン・ジョンミン)は静かにパナマで余生を暮らすはずだった。ところがかつての恋人がバンコクで殺害され、別れた後に生まれたインナムとの9歳の娘ユミンが行方不明だと知らされる。

インナムはバンコクに飛び、娘の居所を突き止めようと聞き込みをして関わった者を次々と拷問にかけ真相を確かめると、臓器売買組織にさらわれたことがわかる。バンコクの協力者からトランスジェンダーのユイ(パク・ジョンミン)をガイド役にあてがわれ、組織のアジトに乗り込む。そして、インナムに兄を殺された裏社会でも狂犬と恐れられる殺し屋レイ(イ・ジョンジェ)も、復讐のためにバンコクに降り立ち、兄を殺したインナムの行方を血眼になって探していたのであるが。。。


⒈圧倒的なアクション
韓国映画のクライムアクションはレベルが高いので、外国資本の資金も流入しているようだ。日本とタイでのロケでクルマをたくさんド派手につぶしっぱなしだ。金かかっているんだろうと思う。スタントマンも階段で投げられたりして、こりゃ痛いだろうなあ。爆弾でいろんなものも破壊される。

主人公インナムの殺しの腕は抜群だ。いきなり日本で殺しの腕前を見せるわけだ。でも、今回はイ・ジョンジェ演じる殺し屋の方が気味が悪いし、圧倒的な強さと人の心がなそうな冷徹ぶりに怖さを見せつける。首にある入れ墨もちょっと違う。そんな2人が比較的早めに対峙する場面がでてくる。アレ、どうなってしまうのかと思ったが、最後まで結果はお預けになっていく。


⒉ロケ地のリアリティ
街のリアリティがないと、そこで動く人物のリアリティが出ない。日本ロケはともかく、猥雑なバンコクロケでは雑多に立ち並ぶ市場のど真ん中で、立ち回りやカーアクションが続く。その度に屋台のように路上に出している商店がぐちゃぐちゃだ。見ている方が大丈夫かいと思ってしまう。夜のネオン輝くバンコクのシーンもエキゾティックな肌合いをだしている。

⒊ファン・ジョンミンとイ・ジョンジェ
ファン・ジョンミン出演作品は気がつくと近年ほとんど観ている。相性がいいのかもしれない。新しき世界でのヤクザの親分もずいぶん気性が激しい役だったけど、アシュラでの汚職市長がハチャメチャで強烈だ。いまだシャーマンの世界にとらわれていると言われる韓国社会を象徴するようなコクソン」の祈祷師ぶりも脳裏に残る。中国で北朝鮮高官に近づく商人を装うスパイを演じた前作も悪くない。ここでは、抑えをきかせながら圧倒的な格闘能力をもつ殺し屋だけど、「悪人にも心」を強調するシーンも用意されている。題名はそこから出ているのであろう。


新しき世界ではイ・ジョンジェは黒社会に裏から潜入する警官を演じた。表面的にはヤクザの顔をしながら、裏で苦悩するナイーブな役柄だった。今回の怖いくらいの凶暴な役柄はこれまでのキャリアからするとめずらしい。自分にとっては、もう20年以上前になってしまったがラブストーリーの名作「イルマーレ」がいちばん印象に残る。ハウスメイドで家政婦に手をつけるご主人役も役になり切る。今はNetflixドラマ「イカゲーム」で主役のようだ。これをきっかけに見てみたい。


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映画「黒薔薇昇天」 谷ナオミ&岸田森&神代辰巳

2021-12-29 07:08:49 | 映画(日本 昭和49~63年)
映画「黒薔薇昇天」を映画館で観てきました。


黒薔薇昇天は1975年の日活ポルノ映画だ。数多く見た日活作品の中で自分には最も衝撃的な作品だった。18歳前だけど、リアル映画館で観ている。いい時代だった。神代辰巳監督にとっても最盛期といえる時期だ。谷ナオミといえば、団鬼六原作の、SM的縛りものがあまりにも有名だが、神代辰巳三部作ともいえるコミカルなタッチの日活ポルノ作品がある。

今回名画座の日活ポルノ特集では「悶絶どんでん返し」と「黒薔薇昇天」を観た。11PM関西版司会の藤本義一原作で、ブルーフィルム製作の男の物語だ。ブルーフィルムが題材の今村昌平監督「エロ事師たちとはちがう面白味がある傑作といえる。

感想を書こうと思ってなかなか筆が進まないときがある。それはつまらない映画の時ではない。衝撃をどう表現しようと思って筆が止まってしまうのだ。少年の時の衝動を思い浮かべ脳裏でようやく言葉がまとまってくる。

紀州和歌山の海辺のホテルでブルーフィルムの監督である十三(岸田森)は裸で戯れる男女を撮影している。ところが、演じている女優のメイ子(芹明香)が男優で亭主の子供ができたので、休ませてほしいと駄々をこねる。結局、やむなく撮影を中止せざるを得ないので大阪へ戻ることになる。

監督の十三はエロテープもつくっていた。犬猫の息遣い、歯科治療に苦しむ女性の悩ましい声等を寄せ集めて、生録りテープのように仕立ていた。いつものように仕掛けていた歯医者の診療所に置いたテープレコーダーを再生する。すると、歯科でよく出会う令夫人(谷ナオミ)が、診療台の上で歯医者からいたずらをされるよろめき声が聴こえる。これは何かあると、早速十三が調べあげると、女が財界の実力者の愛人幾代であることがわかる。


十三は実は探偵事務所の者だと偽って幾代に接近する。十三が執拗に幾代を追いかけると、徐々に気持ちがほだされてしまい、十三の仕事場に連れ込んでしまう。そして、ブルーフィルムを見せながら幾代に迫って身体をからませる。しかし、いつのまにか取り囲んだ映画スタッフたちが、撮影し始めるのに気づき幾代は激しく抵抗する。でも、もとに戻れない快感に狂う。こうして、幾代は十三のブログションに加わるのだったのであるが。。。

⒈谷ナオミと想い出
想い出深い女優である。中学生のとき、試験前などスッキリしない気分になると五反田のピンク映画館に行った。池上線の五反田駅を階下に下り、御殿山に向かって少し進んだところの奥にあった。道路を隔てて三井銀行の反対側である。好奇心で恐る恐る最初入ったが、超未成年にもかかわらず何も言われなかったのでずっと通った。

ピンク映画を観ていると、作品が替わってもいつも出てくる俳優が変わらないことに気付いた。男優では港雄二や久保新二、女優では珠瑠美、原悦子と谷ナオミが取っかえひっかえ出てくるのだ。その中でも谷ナオミの張りのある豊満な肉体に魅かれた。日活ポルノとはまた異なるアウトローな感覚に魅せられた。やがて、谷ナオミも日活作品に出演するようになる。その頃には日活の映画館が地元五反田からなくなっていたので、新宿まで観に行っていた。その頃観たのが「黒薔薇昇天」である。


当時20代半ばだったという谷ナオミの年齢が信じられないくらい年上の役柄が多かった。団鬼六作品で悶える姿が目に浮かぶ。

そんな谷ナオミが引退して熊本でクラブを経営していることを知った。ずっと気になっていたが、突如熊本出張があり大学の同期で地元の役人になっている友人に事前に声をかけていた。日本三大SOと言われているエリアには東京から一緒に行った同僚といきなりいった。そこで体力使った後、おいしい熊本名産物を食べて、同期と落ち合い谷ナオミのクラブへ行った。行く前から心は高揚感であふれていた。そこで実際にお会いした谷ナオミのやさしい笑顔はもう15年以上あれから経つが忘れられない。

話すだけで緊張した。そのむかしお世話になったんですよ。と話しかけると、やさしい笑顔でそうおっしゃる方っていらっしゃるんですよ。そう言っていた。一生の想い出である。

⒉岸田森
何せわれわれの世代にとっては、怪奇ものドラマと「傷だらけの天使」での萩原健一、水谷豊コンビを雇う探偵社で岸田今日子の下につく辰巳さん役である。自分には、中山麻理がストリッパー役をする回での裸を見るエロい目つきが脳裏から離れられない。「黒薔薇昇天」は、「傷だらけの天使」が終わってそんなに経っていない頃だ。

それにしても、ここでの谷ナオミとの絡みは絶妙である。当時映画を観ていて、本気でやっているんじゃないかと思った。大阪の海岸側に建つとおぼしき寂れた船宿での絡みではお互いに真剣度が増して、汗で身体が濡れているのがわかる。岸田森の髪が汗で濡れて薄いのが露呈する。何かいやらしい。迫力あるとしかいいようにない。


⒊神代辰巳
ここ数年神代辰巳作品が映画館で観られるとなると、ついつい仕事の合間を抜け出しても行ってしまう。今年は萩原健一の「恋文に行った。喜劇とまではいかないが、コミカルなタッチが強いのに気づく。以前、内田裕也特集を名画座でやっていた際にも、神代辰巳監督作品だけ観ている。常にロックンロールと言っているだけの内田裕也に笑いを誘う演技をさせる。撮影の姫田真左久との名コンビはいつも通りで、激しめの絡みの演出で臨場感あるカメラが冴えわたる。

日活での谷ナオミが出演する神代辰巳三部作は、かなりコミカルな要素をもつ。上流の貴婦人が罠にはまってSMの縄で苦痛と快楽に喘ぐというのがいつもの谷ナオミパターンなのにこのシリーズだけはちがう。谷ナオミに笑顔が見えることも多い。この映画を久々見て熊本のクラブで自分に振りまいてくれたあの笑顔が目に浮かんだ。

⒋紀州の海景色と70年代半ばの大阪
映画がはじまりすぐさまブルーフィルムを撮っているホテルの外にある景色に見覚えのあるのに気づく。和歌山市と南紀白浜の中間あたりにある白崎海岸だ。まるで北極に来たかとも思える石灰岩で真っ白な海岸線を平成のはじめに初めて見た時の感激は忘れない。地元の人でもこの辺りは行かないと思うし、関西の人でも知らない人の方が多いだろう。産湯海岸など近場の海の透明度は奇跡的だ。その海岸をロケ地に選ぶ神代辰巳のセンスがいい感じだ。


大阪に戻ると、ブルーフィルム撮影隊は街中に繰り出す。大阪難波の南海電車の駅のタクシー乗り場谷ナオミが彷徨うシーンでは心斎橋パルコ前でのシーンを含めて今から46年前、万博から5年しか経っていないミナミの雑踏が映る。


そして、圧巻なのは松坂屋の屋上の遊園地のゴンドラに乗って、谷ナオミと岸田森がエロいやりとりをするシーンだ。何と、ゴンドラには松坂屋の老舗看板マークが付いている。日活ポルノの撮影とわかっていたのであろうか?撮影の姫田真左久が別のゴンドラに乗ってアクロバット的な撮影をしている。1975年当時、大阪松坂屋は京阪電車の天満橋にあったようだ。こんなことって今では考えられない。
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ドキュメンタリー映画「GUNDA グンダ」

2021-12-28 18:05:25 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
ドキュメンタリー映画「GUNDA グンダ」を映画館で観てきました。


ドキュメンタリー映画「グンダ」はある農場での母豚と子ぶたの交情を中心に動物たちの映像を追った作品だ。ロシアのヴィクトル・コサコフスキー監督の作品で、ジョーカー役で世界中に名を売ったホアキンフェニックスがエグゼクティブプロデューサーだ。

映画情報でイノシシみたいなブタの写真を見ても正直いく気にもならなかった。それでも至るところで推薦されているので、あらためてHPの予告編を見てみる。そこで、親豚のそばで動き回る生まれたばかりと思しきかわいい子ぶたの様子が気になってしまい映画館に向かう。

映像はモノクロで、ナレーションがないばかりか音楽もない。自然音のみである。場所がどこかもわからないし、ブタだとわかっても品種の解説もない。字幕も皆無だ。今回その存在を初めて知ったヴィクトルコサコフスキー監督は作品情報で、ビジュアルより魂に焦点を置いたとのたまう。農場では、ブタの親子だけでなく、ニワトリや牛も映し出す。でもあくまで中心はブタの親子だ。その仕草にずっと目を奪われる。最後には少し悲しいシーンもある。でもこれは演技ではない。

⒈子豚の出産ってこうなんだ!
いきなり農舎の出入口のそばで寝そべっている母豚を映す。しばらくすると、小さな子犬のような子ぶたが大きな母豚のそばを横滑りに落ちる。しばらくすると、別の子ぶたもまるで小さなリスのように母豚の周りをたわむれる。


そして、母豚の乳を大勢の子ぶたが自分が先とばかりに吸い付く映像が出てくるのだ。イヤーこの年になって豚の出産ってこうなんだというのを初めて知った。本当にびっくりした。思春期に赤ちゃんが生まれる原理を初めて知ったときと似た衝撃だった。映画を見終わったあと、早速ネットで調べた。どうも母豚は一度に10匹前後の子ぶたを産むようだ。YouTubeを検索すると、出てくる出てくる。出産の映像が。頭の中ではもう気になって気になって仕方ない。

⒉本能で動く子豚
最初は気づかなかったが、映像に映る子ぶたは生まれたばかりだったのだ。母豚には乳房が14あるという。であるからか?、10匹前後生まれるといっても14匹以内になるようだ。映像では、母豚の乳房を競い合うように吸い付くようにおしゃぶりに向かっている。いきなりの生存競争だ。モノクロ作品とはいえ、母親の体内から抜け出したばかりで羊水で濡れている子ぶたというのはツルツルした感じでわかる。そんな子ぶたも生まれていきなり母親の乳房をまさぐる。この本能にはおったまげた。


生まれてばかりの人間の赤ちゃんは、当然ながら自らの身体を動かすことなど含めて何もできない。手足をバタバタするだけだ。生まれる前に、誰かが子ぶたたちに世に飛び出したらすぐおっぱいにすぐ飛びつくんだよと教えているみたいに膣から乳に向かう映像は、知っている人には当たり前なのかもしれないが、自分には子ぶたの本能が驚異としか思えない。

実に不謹慎な話だが、幼児に戻って本能のように乳を求めてみたくなるような心境になってしまった。本当にまいった。年末にして調子が狂う。
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映画「モスル あるSWAT部隊の戦い」

2021-12-27 20:57:57 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「モスル あるSWAT部隊の戦い」を映画館で観てきました。


「モスル あるSWAT部隊の戦い」はイラクのSWAT特殊部隊がISIS(イスラム過激組織)とイラク第2の都市モスルで戦う姿を描いている。正直イラクの内戦についての知識はあまりない。非常に緊迫感のある映画という情報があったが、半端じゃない高圧の電流が流れて心臓をパクパクさせるすごい作品である。近年観た戦争映画ではピカイチの迫力ではないか。

主演級に自分の知らない俳優が多いので、もともとアラブ諸国のどこかで製作した作品だと思っていた。しかし、米国資本でお金はかかっているので質的には高い。「アベンジャーシリーズ」他の製作者ルッソ兄弟がプロデュースにあたり、監督は最近は「21ブリッジ」の脚本を書いたマシュー・マイケル・カーナハンがはじめてメガホンを持つ。

映画の流れの本流に流れるのは、SWATに入隊した21歳の警察官の成長である。でも、そんなたやすいものではない。欠点を克服するとか、主人公に逆風を吹かせるといったよくある成長物語ではない。SWAT内部のメンバー同士の葛藤もあるが、少し間違えたら死んでしまうのである。この危機感の設定に、今の日本で育った運の良さを強く感じる。

長引く紛争で今ではすっかり荒廃したイラク第2の都市モスル。この地で働く21歳の新人警察官カーワ(アダム・ベッサ)は、ISIS(イスラム過激派組織)に襲われたところを、あるSWAT部隊に救われる。部隊を率いるジャーセム少佐(スヘール・ダッバーシ)は、カーワをその場でSWATの一員に徴兵する。彼がISISに身内を殺されたという、入隊条件を満たしていたからだ。彼らは10数名の元警察官で編成された特殊部隊で、本部からの命令を無視して独自の戦闘を行っていた。


彼らを繋ぐ使命は秘密で、カーワにも明かされない。やがて手段を選ばない激烈な戦闘で仲間を失っていく中、絶望的な状況に直面する。それでも部隊は、ISISの要塞へと向かう決断をするのだが。(作品情報より)

⒈アラビア語の映画
出演者にアラビア系の出演者を揃えて、アラビア語で映画を構成するだけでちがう。オーディションを重ねてアラブ系俳優を用意しただけある。本年もソ連やドイツでの出来事なのに、英語で主要セリフを整えた映画をいくつか観た。いい映画なんだけど、物足りなさを感じてしまう。

それに加えて、SWATを構成するメンバーの顔つきがちがう。比較するのもどうかと思うが、日本の俳優も戦争をリアルで体験した世代の顔つきと今の俳優がその時代の人間になりきろうとする顔つきでは弱い。SWATの隊長を演じたスヘール・ダッバーシに戦前の日本軍下士官の匂いを感じた。虫ケラのように身近な人が亡くなっている国の俳優の動きすべてに凄みがある。


⒉戦闘シーンのリアル
いきなり敵か味方かよくわからない銃撃戦が繰り広げられる。なんじゃこれというスタートである。爆弾も至るところで爆発する。わずかな休憩時間も安心していられない。いきなりドローンで撮影したと思われるビルのコンクリートが崩れ落ちる荒廃したモスルの街を映し出した。その後もガレキの山での戦闘が続き、イラクってこんなところばかりなのかと観ながら思っていた。あとで、監督インタビューでモロッコでのロケで大規模なセットだったと確認して驚いた。


⒊超越したカメラワーク
何よりカメラが激しい銃撃戦を身近で捉えている。「トレーニングデイ」や「イコライザー」といったアクション映画の名作で撮影担当だっただけでなく、「アバター」アカデミー賞撮影賞を受賞しているマウロ・フィオーレの腕前には感服である。深作欣二の「仁義なき戦い」では、狭い空間でのヤクザ同士の立ち回りを手持ちカメラで捉えているシーンはスピード感があって好きだが、その高揚感をもっと激しくしたような凄みを感じる。なめるように戦闘集団を追う手持ちカメラは緊迫感を強める。
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映画「偶然と想像」 濱口竜介

2021-12-26 20:14:33 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「偶然と想像」を映画館で観てきました。


映画「偶然と想像」は、外国映画祭で受賞の常連となり、今や一流監督の道を歩んでいる濱口竜介監督の新作短編集である。オムニバス映画とも言えるが、それぞれの話がどこかでつながっているわけではない。前作ドライブマイカーでは村上春樹の短編3作を巧みにアレンジして、途中演劇の部分がちょっと長すぎたが良かった。

今回も期待感をもって映画館に向かう。しかし、都内でなんとBunkamuraしかやっていない。もっとも期待されている映画作家なのにそれはないでしょうとも思ってしまう。観に行くと、男性が大部分なのに驚く。観客の笑いを誘いだす喜劇的場面もいくつかあり、どこかなごやかな館内の雰囲気であった。

いずれも、濱田竜介監督の作品「寝ても覚めても」や「ドライブマイカー」のように観客を驚かす部分を備えた脚本なので、作品情報を引用する。

(第一話)
 撮影帰りのタクシーの中、モデルの芽衣子(古川琴音)は、仲の良いヘアメイクのつぐみ(玄理)から、彼女が最近会った気になる男性(中島歩)との惚気話を聞かされる。つぐみが先に下車したあと、ひとり車内に残った芽衣子が運転手に告げた行き先は──。(作品情報より)



結局、芽衣子は夜会社で残業している元彼氏のところに乗り込んでいくのである。それにしても、この女主人公のセリフの数々にはひたすらムカつく。なんだこの女と思って腹が立つけど、男もなんかぐずぐずしている。元カレが別の彼女といい感じで結婚とかに進もうとしているときに、邪魔したり強引にもう一度よりを戻そうとする話って割とあるような気がする。これもそのパターンかも?最後の展開が見ものだ。

(第二話)
 作家で教授の瀬川(渋川清彦)は、出席日数の足りないゼミ生・佐々木(甲斐翔真)の単位取得を認めず、佐々木の就職内定は取り消しに。逆恨みをした彼は、同級生の奈緒(森郁月)に色仕掛けの共謀をもちかけ、瀬川にスキャンダルを起こさせようとする。



単位をくれなかったおかげで恨むということだけど、恋人にハニートラップをさせぐちゃぐちゃにしてしまおうというのも普通そこまでは考えない。しかも、この同級生の女性すでに結婚していて子供までいるのだ。それなのに不倫している。しかし、教授を誘惑しようとして乗り込んだ研究室は、さすがの教授も扉を開けたままにしている。用心深い。それでも、教授が書いた小説のエロい部分を読み上げたりしてあえて扉を閉めて誘惑する。さてどうなるか?


これはなかなか面白い。教授は用心深くガードが硬いのであるが、思わぬ罠があった。タダではすまない。一部笑いの部分も作りながら現代風に展開する。オレだったら、こんないい女が目の前に現れたら引っかかるんだろうなあと思いながら観ていた。

(第三話)
 高校の同窓会に参加するため仙台へやってきた夏子(占部房子)は、仙台駅のエスカレーターであや(河井青葉)とすれ違う。お互いを見返し、あわてて駆け寄る夏子とあや。20年ぶりの再会に興奮を隠しきれず話し込むふたりの関係性に、やがて想像し得なかった変化が訪れる。(作品情報より)



仙台にある女子高の同窓会に参加した夏子は目当ての友人がいなくてつまらないと思ったまま東京に帰ろうとしていた。その時、仙台駅のエスカレーターですれ違うお目当ての旧友にばったり出会う。お互いに再会を喜び、旧友の自宅に歩いて向かう。地元なのに夏子には同窓会の通知が来ていなかったのだ。

(注意:ここからネタバレあり)
自宅で会話していた夏子が高校時代かなりきわどい関係だった旧友が緊迫な会話に誘導しないのにイライラしていたときに、ようやくわかる。なんと、お互いがそれぞれ思っていた旧友とはまったくの他人だったのだ。館内は一気に笑いの渦となった。でも、ここでは終わらなかった。ここからも2人の好演に支えられていい感じで進んでいった。

オリジナル脚本のようだ。予想外の展開で観客が驚くのを濱口竜介が楽しんでいるような面白さはある。俳優は主演級ではない。ただ、いずれもどこかで観たことのある俳優である。演技の優劣はあるなあ。みんなうまいわけではない。ドッシリとしたフルボディのワインを飲むような感覚があるわけではないが、B級グルメの小品を楽しめた感触を残した。
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映画「悪なき殺人」

2021-12-19 21:31:34 | 映画(フランス映画 )
映画「悪なき殺人」を映画館で観てきました。


これは今年でピカイチのミステリーである。
緻密に細部まで設計された映画の構成にはうならざるを得ない。フランスの雪が降る山岳地帯にある小さな農場と遠く離れたアフリカコートジボワールがなぜか1つの出来事に絡んでくるのだ。

「悪なき殺人」の原題は「動物だけが」である。確かに主要登場人物は動物を飼っている。真実も知っている。フランスのドミニクモル監督の作品だ。登場人物にスターは誰もいない。
作品情報には殺人をめぐる黒澤明の「羅生門」形式のスタイルの映画と書いてある。ただ、ちょっとこの書き方は違う。「羅生門」のように殺人の顛末がどうだったかと証言を追うわけではない。前後を揺さぶる構成は「パルプフィクション」をはじめとした時間軸をずらすのが得意なクエンティンタランティーノ作品や誰もが勘違いをしていて誤解が誤解を生む「ブラッドシンプル」などのコーエン兄弟の映画の匂いを感じさせる。

事件に関わるそれぞれの登場人物の視点ということで作品は流れるが、最初のアリスの視点だけ触れてみる。

雪が降り積もるフランスの高原地帯が舞台。共済組合の外交職員のアリスは、変人と周囲から思われている農場を営むジョゼフに接近している。この日もジョゼフを誘惑する。しかし、いつもとは態度が違う。早々に引き上げるアリスは帰る途中、路上に放ってある車を見かける。

自宅に帰ると、TVニュースでエヴリーヌという女性が行方不明になって車だけ残されているのを知る。アリスの夫である牧場主のミシェルは、家でパソコンの画面に向かっていて関心もなさそうだ。やがて、アリスの家に警官が聞き込みにやって来る。仕事柄ジョゼフについて何か知っているか?と聞かされる。どうやら、エヴリーヌの失踪について、ジョゼフに疑惑があるようだ。


先ほど会ったとき、ジョゼフの様子もおかしかったので、アリスは気になりジョゼフの家に向かう。誰も出てこないので奥へ行くと、愛犬の無惨な死体を見つける。ようやくジョゼフが出てくるが、追い出される。アリスが家に戻ると夫のミシェルの様子がおかしい。電話口で大声を出した後に外出してしまう。

この辺りで第一話が終わる。第二話のジョゼフの視点からは語るのをやめておこう。ここでも真実はわからない。第三話では死んだエヴリーヌとレズの関係にあったマリオンが話の中心になる。この映画では、普通では考えられない異常行動を起こす人と人を欺く人物を数人登場させ普通の人に混ぜる。登場人物の設定はうまい。



⒈伏線が意味を持つ
この映画の綿密な脚本の設計図の前提に、伏線となるセリフをいくつも散りばめているというのがある。第一話ではアリスがいて,仲の良いのジョセフが疑われていると言う事実しかない。犯人は到底特定できない。でも,アリスやジョセフや夫のミシェルが言った一言一言に最終章に向けての伏線がちりばめられている。思いっきりジョゼフが犯人だと決めつけていきそうな流れをつくった後に、別の流れをつくる。観客に誤解させる伏線と真実への伏線をつくるのだ。


第二話は,アリスがジョセフの家を訪ねてきた直前のある事実からスタートする。一話とかぶるが、目線が違う。アリスの知らない事実がある。そのような形で、それぞれの登場人物の視点で事件の経過を追う。そして、一部ダブりながら新しい局面、真意が浮き彫りになる。重ね合わせていくと、いくつもの誤解があらわになる。誤解が誤解を生み悲劇につながる構図だ。

⒉つながりがつながりを生む社会
仕事をしていると、まったく関係のない筋が突然つながり上手くいったりいかなかったりする。居住地が数千キロ離れているところとの関係が浮き上がるのは、ネットのおかげだろう。もう100年以上前から無線にしても通信手段でワールドワイドにはなっていたが、身近で金銭的にも気軽ではなかった。ここでは、アフリカコートジボワールの詐欺グループが関与する。まだまだ貧しい国である。そんな国のあんちゃんでも関わりが出てくるのがネット社会の怖さでもある。インチキにはご注意を


いずれにせよ、ここではこれ以上ネタバレは省きたい。観客を欺きうならせるための脚本の設計図の見事さに身を任せて欲しい。必見のミステリーである。最後の締めもそうくるかと思わず唸った。
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Netflix映画「浅草キッド」柳楽優弥&大泉洋

2021-12-16 05:29:38 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「浅草キッド」は2021年のNetflix配信


「浅草キッド」はビートたけしが浅草フランス座で下働きをしている時代の物語、座長で師匠の深見千三郎との関係を中心に描かれている劇団ひとりがメガホンを持ち、ビートたけしを柳楽優弥、深見千三郎を大泉洋が演じる。毒の強いビートたけしの創成期がこんなにナイーブだったのかと思わせる柳楽優弥の演技には調子が狂う。一方で大泉洋演じる大衆娯楽の座長ぶりはうまい。

計算尽くされ洗練された外国映画を観た後で、映画の序盤戦はどこかB級というよりC級の匂いでどこか中途半端な感じがする。ストリップ小屋とはいえ、裸は見せない。でも、中盤からなんとか這い上がろうとするたけしを映し出し良くなっていく師匠深見千三郎のセリフの数々には重みがあるものも多い。正直70点以上の点数はだせない作品だが、見ておいた方がいい。泣けてくるシーンもある。

北野武(柳楽優弥)は浅草六区のストリップ小屋フランス座のエレベーターボーイである。こんな仕事をやるつもりで入ったわけでないと劇場のおばちゃんに愚痴を言っていると、座長の深見千三郎(大泉洋)が通りかかリ、この子芸人になりたいんでと声をかける。
「お前何か芸あるか?」下を見て黙り込むたけし。「それで芸人になろうというのは甘い」たけしは何も言えない。


しばらく経ってまたたけしを見た時に深見千三郎はタップダンスを見せてやった。「芸というのはこういうもんだ。」
たけしは密かにタップダンスの練習を始める。フランス座のストリッパーには深見千三郎の連れ合い麻里(鈴木保奈美)と歌手志望の千春(門脇麦)がいた。ストリップダンスの合間に演じるつなぎのお笑いで自らの技をみがくのであるが。。。

⒈小林信彦の「日本の喜劇人」と深見千三郎
お笑いコメディアン史には古典ともいうべき名著小林信彦「日本の喜劇人」がある。そこでどのように取り上げられているか気になるので書棚に向かう。ビートたけしについて書かれている項目で深見千三郎のことが書いてあるので引用する。

深見千三郎は戦前派の浅草芸人で,萩本欽一の先生でもあった。萩本の話では,たけしは,深見千三郎の芸風にそっくりだと言う。たけしに言わせると, 「捨て台詞と田舎者を莫迦にするところが似ている」そうだ。(小林信彦 日本の喜劇人p314)


大泉洋はいつものスタイルと変わらない。でも深見千三郎ってこんな人だったんだろうなあというのが映像から伝わってくる。

たけしについて
上昇志向のみの人間には見えない真実を,さりげなく,下町の土着的な笑いのオブラートに包んで言ってのけるところに,たけしの本領がある。ドロップアウトした人間のみに見える真実,と言っても良い。文化的ニセモノ,うさんくささをかぎつける彼の能力,本能は,ちょっと,類がない。(同 pp.315-316)

さすが小林信彦の評価である。そのテイストはこの映画の根本に流れている。

⒉ビートきよし
途中からフランス座でくすぶっているたけしのもとに、辞めて別の道を歩んでいたきよしが一緒にやらないかと訪れる。フランス座では所詮ストリップを見に来た客に、ステージの合間に芸を見せるだけ。誰もちゃんと見てくれない。たけしにはそういうストレスが溜まっていた。しかも、フランス座の懐具合は最悪。そこで親方の逆鱗に触れる覚悟で退団を申し入れるのだ。

強烈なビートたけしの横でいつもボケ役だったビートきよしという存在は昔から気になっていた。とても主役を張れるタマではない。毒舌満開のたけしの横で「やめなさい!」というだけ。ナイツ土屋の柔らかさがいい感じに見えた。


⒊門脇麦
好きな女優だ。特に若松孝二監督の下にいたアシスタントを演じた「止められるか俺たちを」から追いかけている。今回はストリッパーだけど、歌手になる夢を捨てられないという役柄だ。「さよならくちびる」でも歌を唄っていたが、今回も誰もいないステージで弘田三枝子の「人形の家」を披露する。


たけしが気を利かせて歌を披露するタイムを用意する。とりあえず観客は拍手はする。しかし, いつ脱ぐんだいとみんなから言われる。ドロップアウトしていく姿を演じるのは門脇麦には得意技だ。悪くはないが,せっかくのストリッパー役でもう少しサービスして欲しかった。

最後のエンディングロールは桑田佳祐、これがまたいい曲だねえ

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Netflix映画「消えない罪」サンドラブロック

2021-12-12 18:43:50 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
Netflix映画「消えない罪」は2021年配信


久々のサンドラブロックである。日本でも大人気だったゼログラビティが2013年、その後ポツポツ出演しているようだが、blogコメントしていない。Netflix映画で久々に登場して早速見る。「愚作駄作もみろ!」という押井守の教えでNetflix新作を見ても半分以上はずれる。最近のNetflix映画「パワーオブザドッグ」や「チックチック」もおもしろくなかった。ヴィオラデイヴィスをはじめ共演俳優陣は充実していても、この映画も期待していなかった。

ところが、久々にサンドラブロックが登場製作するだけあって、脚本は練られている。映画の展開は悪くない。途中で何回も予想をはずす。思わずグイッと引き込まれてしまう。サスペンス映画的にドキドキしてしまう場面も数多く,思ったよりも良かった。

保安官殺しで20年の刑を終えて出所したばかりの女が、事件で離れ離れになった年の離れた妹をムショ帰りで世間の白い目に耐えながら探そうとする話である。主人公ルースの父が亡くなったあと家に居座り強制退去を命じられた家で、無理やり家に入り込もうとした保安官を撃ち刑務所に入った。その時、まだ5才の年の離れた妹を親代わりで面倒をみていた。彼女は養女として一般家庭に預けられているが、行方は分からず、何度も手紙を送っても返事はなかった。そのあたりからのスタートだ。


⒈葛藤をもつ適切な登場人物の配置
出所した女ルースに恨みをもつ人もいる。殺された保安官に2人の息子がいる。兄はもう犯人も刑期を終えたからと淡々としているが、弟は殺気じみてルースの行動を追っている。どこかで復讐せねばという話を常にしている。ルースに対して強い葛藤をもって敵対する。この兄弟が重要人物になってくる。

ルースは住んでいた家で事件を起こした。そこで何か妹の行方はわかるのではと向かう。そこで、現在の住人と出会う。場所が辺鄙な場所で今の住人に帰り送ってもらう時に事情を告白する。住人は弁護士で相談にのってあげる。でも、弁護士は家を訪ねてきた女が殺人犯だったことを妻に黙っていてということで罵倒される。夫婦の軋轢が起きる。

以上のような対立関係をいくつもつくる。脚本づくりの定石かもしれないが、適度な数の登場人物で葛藤する関係がいくつもできておもしろくなる。単純にいかない人間関係にうまさを感じる。

⒉読みをはずす展開
いくつかの対立関係をつくりながら、進むストーリーも単純ではない。弁護士名で妹が引き取られた現在の養父母に手紙を送る。最初は面会も嫌がった養父母も結局弁護士立ち会いの元、会うことになるのだ。ここで驚いたのであるが、ルースがその養父母に対して縦つく態度が普通でない。弁護士の顔が丸つぶれだ。何でそうするのと画面の外の自分がヒヤヒヤする。

これがこれが一つの例だが、世間の常識では考えられない事象をいくつもつくる。保安官の遺族に関しても兄弟に予想外の出来事が起こる。読みをはずす。脚本が練られているというのはそういうことだ。

この映画のネット上の評価は割れているが、悪い評価もある。その中に映画の展開は読みやすいと言っている投稿もある。これを読めるそんな神様のような鑑賞者はいないと思う。超一流女優サンドラブロックが選んだ脚本だけあると自分は思う。

⒊汚れ役サンドラブロック
もともとキツイ顔立ちのサンドラブロックなので、気が強い女の役は似合う。この女はまともな教育は受けていないようだ。すごいかんしゃく持ちだ。上記であげた弁護士を交えての面会でも普通はこういうパフォーマンスはしない。もともと日本流に言うと大工のルースが、あまりに腹立たしくせっかく自ら造作工事をして貼り付けた石膏ボードを壊すシーンにも精神の荒々しさを示す。


「スピード」での活躍で人気女優になってからのサンドラブロックの輝かしいキャリアは40代になって絶頂に達した。アカデミー主演女優賞を受賞しただけでなく、最悪映画のラジー賞を受賞して授賞会場に行くなんてすごいパフォーマンスでみんなをあっと言わせる。それなのに最近の沈黙はどうしたんだろう。

しかし、色鮮やかなアメリカ流ラブコメディ美貌を見せつけてきたこれまでのサンドラブロックからは違う凄みを感じる。いくつかのシーンでは演技のうまさに感嘆した。さすがの格の違いを見せつけた。今後の活躍を期待する。
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映画「ラストナイト・イン・ソーホー」トーマシン・マッケンジー&アニャ・テイラー=ジョイ&エドガーライト

2021-12-11 18:08:44 | 映画(自分好みベスト100)
映画「ラストナイト・イン・ソーホー」を映画館で観てきました。


ものすごく魅力的なサイコスリラーというべきであろう。

ラストナイトインソーホー「ベイビードライバー」エドガーライト監督作品で1960年のポップスが劇中流れるという先行情報だけで映画館に向かう。夢を持ち都会に出てきた女の子が、さまざまな困難に打ちあたり克服していくという話の流れだけであれば、過去いくらでもある。ただ、この映画では60年代にタイムスリップしてというテイストがあり、ウディアレンの「ミッドナイトインパリ」を連想させる。また、魔界の都市での奇怪な遭遇ということではデイヴィッドリンチの「マルホランドドライブ」にも通じるところがある。同じように悪夢と現実が交錯して訳がわからなくなる。

また、英国ミステリー映画の傑作「赤い影」も意識させる不気味な照明の点滅の使い方が絶妙である。ヒッチコックの「マーニー」でヒロインであるティッピ・ヘドレンが赤を恐れた時の点滅連想した。60年代の曲は馴染みのある曲も多く、最後まで音楽で心が動く。あまり語ると良くないのでともかく見てみるといい。日本では絶対つくれない傑作である。


ファッションデザイナーを夢見るエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、念願かなってロンドンのデザイン学校の服飾科に入学する。主人公は母親が死んで育ての親だった祖母の影響で60代ポップスが好きだ。スーツケースの中にもたっぷりその時代のレコードを詰め込んでロンドンに向かう。しかし、ロンドンでは、同級生たちとの寮生活に馴染めず、ソーホー地区の片隅の古い家の階上の部屋で一人暮らしを始めることになる。

新居のアパートで眠りに着くと、夢の中で60年代のソーホーにいた。そこで歌手を夢見るサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)に出会うと、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。現実の世界で服も髪型も、エロイーズはサンディの真似をする。夢の中に出現するサンディのピンクのドレスを学校の課題に選び、エロイーズは、常に夢と現実のタイムリープを繰り返す。だがある日、血にまみれたサンディを目撃してしまう。現実でも謎の亡霊が現れ始め、エロイーズは徐々に精神を蝕まれるのであるが。。。


⒈ビートポップス
この映画で1960年代のポップスを聴いて、自分が小学校低学年だった1966年から1967年に「ビートポップス」というTV番組をとっさに思い浮かべた。兄貴がポップス好きだった友人の影響で、土曜日にオンエアされていたこともあり、いつも見ていた。独自のヒットチャートでは、モンキースや初期のビージーズの曲が印象に残るが、この映画で流れるウォーカー・ブラザーズ「ダンス天国」などの曲も独自のDJスタイルで番組で流れていた。大橋巨泉の司会の記憶がまったくないけど、小山ルミや杉本エマといったいった美人モデルが曲に合わせて踊る姿が目に浮かぶ。

この映画で1960年代夜のナイトクラブのステージでアニャ・テイラー=ジョイが踊る姿に思わず、昔の日本人のダンサーが思い浮かぶという人もいるまい。


⒉トーマシン・マッケンジーとアニャ・テイラー=ジョイ
映画が始まって1960年代のレコード「愛なき世界/ピーターとゴードン」を聴いて楽しむトーマシン・マッケンジーが登場する。あれ?見たことあるぞ。映画「ジョジョラビット」で主人公の少年があこがれるユダヤ人少女を演じていた。これは最後まで気づかなかった。20才過ぎて間もない美少女である。


しばらくして、1960年代夜のロンドンの映像で歌手を夢見る少女がでてくる。ピンクのドレスを着たアニャ・テイラー=ジョイで、鏡にはトーマシン・マッケンジーが映る。夢の中で一体化するのだ。彼女もどこかで見たことあるぞ!と気づき、思い出すのに時間はかからなかった。Netflix「クイーンズギャンビット」の主役とわかった。このシリーズはNetflixの中でも数少ない最後まで見終えたもので実におもしろかった。ここでの再会は偶然でうれしい。


トーマシン・マッケンジーとアニャ・テイラー=ジョイが男性相手に代わりばんこにジルバを踊るシーンの楽しさはウキウキしてくる。

2人とも現実の映像に合わせて、悪夢の映像を撮る。実際にエロイーズにとっては悪夢であっても、撮影はリアルである。サイコスリラーとしての映像やホラーの匂いもある。なかなかの健闘ぶりで賞賛したい。

⒊エドガーライト監督
「ベイビードライバー」はなかなかの傑作であった。ドライブテクニックをひけらすシーンだけでなく、音楽のセンスが抜群に良かった。最後のエンディングロールでサイモン&ガーファンクルの「明日にかける橋」でかかるアコースティックタッチのロックンロール「ベイビードライバー」がかかってきた時には身震いした。ペトゥラ・クラークの「ダウンタウン」がこの映画のテーマ曲と言っても良いが、今回の選曲も抜群に良い。


エドガーライト監督は年齢的に1960年代のロンドンを実体験しているわけがないが、夜の華やかなスウィンギング・ロンドンのセットを再現して懐かしい車を走らせる。007の映画看板「サンダーボール作戦」にもドキドキしてしまう。赤や青のネオンにいかにも魔界の怖い世界を蘇らす。映画が始まる前に注意書きで、「チカチカ点滅するネオンにご注意を」と出てくる。実際に見終わってそこまでのクラクラしなかったが、ホラー的な要素は映画の楽しみを増やす。


ストーリーも単純ではなかった。途中からの展開はまったく読めなかった。老優テレンス・スタンプやダイアナ・リグの使い方も絶妙だ。ストーリーテラーぶりもすぐれている。おもしろかった。必見である。
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映画「パーフェクトケア」ロザムンド・パイク

2021-12-05 20:23:01 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「パーフェクトケア」を映画館で観てきました。


「パーフェクトケア」は映画ゴーンガールの悪女ぶりがお見事だった美人女優ロザムンドパイクが再度悪女を演じるという宣伝文句にすぐさまのってしまう。怖いもの見たさの心境だ。介護が絡むという文字は見えたが、事前情報は最小限レベルで観た。

これはおもしろかった
サスペンススリラー基調に加えて若干ブラックコメディの要素もある。若い人がデートで観るというよりも、介護する身内がいる方や、初老の域に入った人が観るには超おすすめである。でも、自分はこれを観て、身震いするような怖さも感じた。

数多くの老人の法定後見人として、財産管理というよりも養護施設に住む維持費という名目で勝手に所有建物や財産を売却したりする悪徳女性後見人の物語である。ロザムンドパイクは、狂気じみたゴーンガールでの悪女ぶりとは異なり、むしろ本当のインテリワルを演じる。アメリカじゃ本当にこんな感じで老人を食い物にする連中がいるのかと思うとショックを受けた。

実に薄気味悪い。日本は大丈夫なのかと感じながら映画を観ていた。最近雑誌などで老後特集記事が目立つが、その手の類に関心のある人は必見の映画である。このところ低予算映画ばかり観ていたので、いかにも典型的な現代アメリカ映画という感じだ。美術、衣装と編集、ポストプロダクションは完璧の映画を堪能した。

法定後見人のマーラ(ロザムンド・パイク)は、判断力の衰えた高齢者を守り、ケアすることが仕事だ。医師や高級老人ホームと結託し多くの高齢者たちから資産をむしり取る悪徳後見人である。パートナーのフラン(エイザ・ゴンザレス)とともに新たに獲物を狙っている。

今回、馴染みの女医から認知症の気が少し出てきたと紹介された老女ジェニファー(ダイアン・ウィースト)は長期に渡って金融機関に勤めていた独身で、これまで結婚歴もなく身寄りはいない。多額の預金があり、一戸建住宅はキャッシュで建てている。狙い打ちをかけて裁判所で認知症が急激に進んだと医師が証言して、マーラが後見人と認められる。


マーラがジェニファーの自宅を訪問し、裁判所で認定されたことを伝えても、自分は一人で十分生活と言い切る。それでも、家の外に警官もいて車に乗せられ行った先は高級老人ホームで、一旦入所すると出入り不可能で所有の携帯も取り上げられたのであるが。。。

⒈後見人としての認定
映画が始まりいきなり、高級老人ホームに母親に会わせてくれという息子が無理やり入り込もうとする映像が映る。プロレスラーのような警備員にガードされ入れないのだ。この息子にはもう権利がない。気がつくと、裁判所で後見人と認定された主人公に権利がすべて行っているのだ。

それにしても、本人が立ち会わず、医師の診断と証言だけで裁判所が後見人として認めてしまうこの話は実にショックだ。こんなこと認められるんだと呆れるばかりである。しかも、そのあとは、家中の持ち物をオークションにかけ、貸金庫のカギを見つけると金庫を荒らし放題である。家も売り物にされる。

本当にこんなんでいいの?と思ってしまう。この映画をきっかけに日本で後見人と称したワルが増えないか心配である。

⒉ロザムンドパイク
ロザムンドパイクはオックスフォード大学出の才媛である。それこそ先日久々観たハルベリーと007のボンドガールをやったのがメジャーデビューである。ただ、映画界に存在感を示したのはゴーンガールであろう。普通の奥さんが狂気じみた悪女に変貌する姿には驚いた。傑作である。


でも、そのあといくつか出演しているが、「エンテベ空港7日間」は死んでしまうテロリスト役で実力からするとちょっともったいなかった。やはり今回のような悪女役が似合う。水中でのシーンとか割とむずかしい演技を必要とされるシーンもあり、かなり頑張った。

⒊ダイアンウィースト
後見人に食い物にされる老女を演じる。ダイアンウィースト出演の映画にはハズレがない。ブログ記事でそう書いたことがある。今回出会うのは久しぶりだ。履歴を見ると、クリントイーストウッドの「運び屋」に出演している。すっかり脳裏に記憶がない。その昔の「チャンス」や「ブロードウェイと銃弾」の印象が強い。最初はアネットべニングが老化粧をしているかに見えた。


わりとほんわかしたタッチのいでたちで今回も巧みにこなす。後見人ロザムンドパイクに引きつられ、所員の大歓迎を受けて老人ホームに入るシーンが印象的だ。その後、裏社会とのつながりがあることがわかる場面での表情の変化もうまい。若い頃はウディアレン映画の常連だったけど、最近はちょっとウディは評判悪いからなあ。

⒋全部うまくはいかない。
最初は軽妙に悪徳後見人を演じていたロザムンドパイクも予期せぬ背後に調子が狂う。それでも「私には負けはないの」と強気だ。このようにストーリーにアップダウンの変化をつける。詐欺映画からサスペンスに転化して、裏社会の親玉の小人(ピーター・ディンクレイジ)も出てくると、コメディの匂いさえ出てくる。なかなか巧妙だ。


ただ、最後はゴールデンエイジの頃のアメリカ映画の終わりかたにまとめたのはどうしてなのか?

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映画「MONOS 猿と呼ばれし者たち」

2021-12-01 21:51:02 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
「MONOS 猿と呼ばれし者たち」を映画館で観てきました。


「MONOS 猿と呼ばれし者たち」2021年の日本公開映画でも最上位の評価を受けているので、ロングラン中の映画館ですき間時間に寄って観たコロンビア映画である。コロンビア南米でコーヒーの産地という知識があっても、詳しい知識は皆無だ。ただ、麻薬のシンジケートが絡む映画ではよく舞台になる。初めて知ったが、社会主義国家を作ろうとしてゲリラ組織による内戦が長期間続いていたようだ。そういう地下組織でのイザコザに焦点をあてる。

山岳地帯で生活するゲリラ組織の男女が、敵との対決や仲間割れをする生死の境目の中で生き抜こうとするサバイバル映画である。ただ、具体的な地名は出てこない。コロンビアであるとも出てこない。人名はそれぞれにあるが、組織の究極の目的が何かはわからない。政治思想の要素はセリフにはない。

実際に映画の内容は非常にわかりづらい。難しい言葉が飛び交う観念的というわけではないが、すべてが具体的でなく抽象的な映画だという感覚をもつ。それなので、これが好きとは到底いえない映画である。ただ、カメラワークについては今年見た映画ではピカイチである。


作品情報を引用する

世間から隔絶された山岳地帯で暮らす8人の兵士たち。ゲリラ組織の一員である彼らのコードネームは“モノス”(猿)。「組織」の指示のもと、人質であるアメリカ人女性の監視と世話を担っている。

ある日、「組織」から預かった大切な乳牛を仲間の一人が誤って撃ち殺してしまったことから不穏な空気が漂い始める。ほどなくして「敵」の襲撃を受けた彼らはジャングルの奥地へ身を隠すことに。仲間の死、裏切り、人質の逃走…。(作品情報より)

最初は山間部でのゲリラ兵士の訓練みたい様相だ。コメディアンの岡村隆史みたいな風貌の親分が指揮している。上は絶対だ。兵士たちの顔立ちは若い。男女入り交じっていて、仲良くスポーツにふけっているシーンもある。年ごろなのでお互いに惹かれあっている同士もいる。


作品情報によると、コロンビアの複数のゲリラ組織の中でも最大だったFARCの戦闘員たちがモデルのようだ。密林や高地に潜伏しながら、政府軍と戦ったり、人質の拘束を続けたりしている。何となくよくわからないままストーリーが進んだ後で、ジャングルの中に場所を移した後でカメラが冴えて面白くなってくる。

⒈ジャングルと驚異のカメラワーク
敵の襲撃を受けたため、人質の「博士」を連れてジャングルの奥地へと移動するのだ。ところが、徐々に人間関係が崩れてくる。崩れ方はひと昔前の過激派の分裂のようだ。見慣れない顔が8人もいるので区別がつきにくい。頭が混乱する。ジャングルの横を川が流れる。風景自体は日本のどこかと言ってもおかしくない風景だ。ルソン島に居続けた小野田さんの映画とも風景は共通する。


動きが早くなる。その時にカメラが常に人を追い続けていく。この接近が緊迫感を高める。僻地に来てしまった当事者になったみたいだ。演技を超越した心理状態を見抜くカメラワークである。しかも、水の中まで追いかけるのだ。川に飛び降りる時もほぼ同時にその水中に落ちていくアクションを捉える。水中カメラも併用する。こんな映像どうやって撮ったのかと思う。そういうカメラの捉え方だけで興奮する。カメラマンのヤスペル・ウルフについては大絶賛しかない。


⒉水辺のシーン
ジャングルの横を流れる川も位置によって流れが違う。それが、ある位置からかなりの急流になる。TVの画面に映る台風で嵐のように押し寄せる川の激流だ。そんなすごい流れの中で、登場人物が実際に流れていくのだ。どうもCGでない。何それ!という急激な流れの中を俳優が流される。たぶん日本だったら大騒ぎになるんじゃないかな?こんな映像撮ったら。

これもすごいが、鎖で動かないようにさせられた女が逃げ出そうと水の中で大暴れをするシーンもすごい。水中で2人の格闘を映し、首を鎖で締められ、足をバタバタしているのが収まって浮き上がる映像もドッキリする。加えて、バックの音楽が良い。自然音も多いが、こういう究極の地での顛末にはピッタリ合う。


2つ取り上げたが、見所はこれだけではない。観る価値はある。
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