映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

プリンセストヨトミ 堤真一

2011-12-31 16:31:58 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
「プリンセストヨトミ」は万城目学の原作を映画化したものだ。
万城目学がいつものように奇想天外な発想で大阪の街を描く。今回は京都でなく大阪だ。
今回は大阪城と普通の商店街である空堀商店街がストーリーの核であるが、大阪舞台の映画の定番通りミナミのナンパ橋付近や新世界界隈を映し出す。
超フィクションでもあり、ストーリー自体に不自然さがあるのは仕方がない。でも妙にありえそうな話に思えてくるのは、江戸とは異なる大阪の町民文化の特異性がそう感じさせるのであろう。


東京から大阪に3人の会計検査院調査官がやって来た。
彼らは国家予算が適正に使われているかを調べる役人たちにとっては怖い人たちだ。調査対象を徹底的に追い詰め、怖れられている主人公こと堤真一、その部下女性調査官こと綾瀬はるか、若手男性調査官こと岡田将生だ。
彼らは大阪での実地調査で次々に指摘を重ね役人たちをふるえがらせた後、次の調査団体のある空堀商店街を訪れる。そんな商店街の横に財団法人「OJO(大阪城跡整備機構)」があった。
収支に疑惑はなかったが、主人公は不信な点を感じる。だが、徹底的な調査を重ねるも、経理担当の長曽我部にかわされた。その商店街には、お好み焼き屋「太閤」があった。そこでは店主の真田幸一こと中井貴一と妻こと和久井映見夫婦と一人息子がいた。息子は女の子になりたいという悩みを抱えていた。その幼馴染・橋場茶子が男勝りでいつも大輔を守っていた。そのお好みで食事をしている時主人公は携帯を忘れていたことに気付いた。さっきの調査法人だと思い、主人公は戻った。
しかし、そこには誰もいない。さっきは職員たちがいたはずなのにと思い、彼らの机を開けると何も入っていない。おかしい?そう思いその法人に再度調査を要請する。
その後再調査したが同じ結果、しかも取引先に聞いても不審なことは見当たらないのであったが。。。



そもそもこの手の調査官が携帯を忘れるなんて話があるはずがない。携帯の紛失に関する企業の気の配り方は異常なくらいである。自分の会社でもそうだし、どこでも大変だ。一般企業でもそうなんだから、会計検査院の調査官が携帯を紛失するなんて話があるはずがない。
しかも、調査官が自分の身分証明書を街に落とすなんてこともあるわけないだろう。
そういうありえない話が、ストーリーのカギになるわけだから欠陥の多い脚本といわざるを得ない。
それに加えて途中から語られる壮大な地下帝国のような話は大胆だ。

大坂夏の陣で豊臣家が滅ばされるときに、後継ぎが逃げのびて、豊臣秀吉が好きだった大阪の町民たちがバックアップしていくなんて話はありえそうな話に思えてくる。
大阪の町民たちがみんな集合して、大阪にとって天皇みたいな存在の人を助けるなんて話はあってもおかしくない気もした。しかし、現実的にありえない。なぜなら大阪には朝鮮韓国系の人が他の都市に比べて格段に多い。16世紀朝鮮本土をむちゃくちゃに荒らしまくった秀吉は向こうでは罪悪人である。それを迎え撃つ李舜臣なんて男が英雄扱いされているんだからまあこの映画のようにはならないだろうなあ。

でもそういう欠点ばかりに目を奪われているだけでも仕方ないだろう。
土着の大阪の商店街の映像は楽しめたし、各俳優も悪くはなかった。堤真一はいつも通りのポーカーフェイスだし、東京出身なのに上方お好みの店主を演じた中井貴一もわるくない。綾瀬はるかは食欲満点でかわいい。
まあまあと評価すべきではないか?

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モーツァルトとクジラ

2011-12-31 15:49:21 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
映画「モーツァルトとクジラ」は自閉症にかかっている男女の恋を描く。
自閉症というと映画「レインマン」が連想される。あの映画は本当にすごかった。
今回はそういう2人が恋をしたらどうなるのかを描く。興味深く見れた。


主人公ことジョシュ・ハートネットは、タクシーの運転手として働く一見普通の若者である。彼はアスペルガー症候群という障害を抱えていた。しかし同じような障害を持つ仲間たちと集りを開き、環境に適応しようと努力している。
そこに若い女性のメンバーが参加した。他人の言うことをありのまま解釈してしまう美容師ことラダ・ミッチェルであった。自由奔放な女性であった。彼女をハロウィンのパーティに誘いたい彼はなんとか彼女とのランチに漕ぎ着ける。だが彼女は主人公がパーティ嫌いと知って、ハロウィンに仮装して一緒にショッピングへ行くことを提案した。ハロウィン当日。クジラの仮装をした主人公のところへモーツァルトの扮装に身を包んだ彼女が現れ、躊躇する主人公を街へと連れ出す。恋のはじまりを思わせる瞬間だったが。。。


映画「レインマン」でダスティンホフマンが演じた自閉症の男は鮮烈なイメージを残した。落ちたマッチの数を一瞬にして数えたり、難しい演算を一瞬にして解いたり、カジノでカードカウンティングをして大勝ちをしたりという映像に驚かされた。思わず自閉症に関する本を買ってしまったくらいだ。
今回の主人公にもその匂いはある。数字に強い。彼女も絵画の才能がある。でもどちらかというと症状は軽い。そうでないと恋はできないであろう。しかし、そのふるまいは不器用そのものである。見ていてやきもきする。そう観客に感じさせるのが狙いなんだろうけど。。。

この主人公もまともに相手の顔を見れない。視線をそらす。
恋なんてしたことないから相手に電話する瞬間もドキドキだ。そんなときめきを持って美容師の女性に接する。彼女もある意味同様だ。この女性はこだわりが強い。そのせいかかんしゃくを起こしてしまう。
そんな2人は近い存在なのになかなかくっつかない。そしてくっついた後もトラブルだらけだ。

バックで脇役を演じる同じ自閉症にかかった仲間たちが映し出される。自閉症患者の特徴を示すが、どちらかというと「カッコーの巣の中で」で映し出される統合失調症の人たちとダブってしまう。むしろ自閉症をオーバーに映し出しているような気もする。

せつない思いをしながら映像を見た。

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キッズオールライト  アネットベニング&ジュリアンムーア

2011-12-30 18:28:32 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
映画「キッズオールライト」はかなり特殊な家族が生み出す奇妙な物語だ。
アネットベニング、ジュリアンムーアの主演級の女優2人がレズビアンカップルを演じる。この2人には人工授精で生まれた二人の子供がいる。今ではティーンになった2人の子どもたち。ところが、その子たちが本当の父親(精子提供者)にあいに行くという設定がなされ、小さな家族にきしみが生まれる。
ホームドラマと思しき設定だが、かなり大胆なベッドシーンもあり映画には多彩な色彩がある。


18歳の女の子ことミア・ワシコウスカには、医師である自分の母親ことアネット・ベニング、同じ父親を持つ15歳の弟、そして弟の母親ことジュリアン・ムーアの4人暮らしである。ママ二人と姉弟という特殊な家族で仲良く生活を送っている。18歳になったミアは大学進学のために一人暮らしをすることになる。
2人の子供たちはまだ会ったことのない自分たちの父親ことマーク・ラファロに興味を持ち、こっそり会いに行くことにした。レストランを経営し、気ままな独身生活をする実父に親しみを感じた二人だった。その後このことが2人の母親にわかるようになるが。。。


人工授精が日本より一般的に行われていると思われるアメリカならではの話だ。
父親については秘密を守る原則であるが、子供がどうしても会いたいという希望には答えねばならないであろう。そこで本当に父親に会いながら、子供たちは今まで欠けていた何かを求めようとする。
父親は農園を経営しながらレストランを営む経営者だ。女性遍歴も豊かでナオミキャンベルばりの美人の黒人女性が恋人だ。そんな彼も照れながら子供たちに会ううちに、次第に父親の顔を見せていく。

主演2人はレズビアン。だからと言って大胆なベッドシーンがあるわけではない。たまにはといって行為を起こそうとするときに見るのが、男性同士のプレイの映像。ちょっと変わっているなあ??
当然女性2人と父親には精子提供者と卵子を持つ女性という関係しかないが、子供という媒介を持って会うようになる。そうしていくうちに間違いも起きてしまうという構図だ。
そこで登場するのがジュリアンムーアだ。アネットが男役でジュリアンが女役といったカップルだ。その彼女がこの映画ではかなり大胆な動きをするので少々驚く。

お金をかけないでつくられた作品のようであるが、西海岸の都市特有の日差しの強いエリアのなかでグリーンをふんだんに見せながら、視覚的にも心地よい作品となっている。ワインをベースに映画をつくった「サイドウェイ」のあの感覚と同じだ。
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スクールオブロック  ジャックブラック

2011-12-30 06:24:09 | 映画(自分好みベスト100)
スクールオブロックは何度も見ている映画である。
実におもしろい。自分自身のベストでも上位に来る作品だ。
コメディアンとしてのジャックブラックの才能がいかんなく発揮される。彼の恐るべきパワーに何度圧倒されたことであろうか?


主人公ことジャック・ブラックはロック・バンドのメンバーだ。人気は下降気味。観客へのダイブも誰も支えてくれない。代用教員の親友ネッドのアパートに居候しているのに家賃をずっと支払っていない。ネッドの恋人は激怒し、アパートから追い出すと宣告されるが一向に態度は変わらない。そんなジャックは破天荒な態度が問題となり自らつくったバンドをクビになった。暇になった彼が家にいると、小学校からネッドにかかってきた仕事の依頼の電話を受け取る。
ジャックブラックはネッドになりすまして、この学校の代用教員になろうとした。年間15000ドルの学費を支払う名門私立小学校だ。厳しい女校長ことジョーン・キューザックがそこにはいた。履歴書のキャリアとのギャプを感じたが、そのまま採用した。小学校5年生の担任になる。何を教えていいのかもわからないジャックは机の上に足を延ばして、いつも自習に。とまどう生徒たちだった。
ある日、ジャックは音楽室から流れてくる担任の生徒たちのクラシック演奏を聴き妙にうまいのに驚く。それぞれに役割分担を持たせると素直にやる。そこで生徒たちにロックをやらせて一緒にバンド・バトルへ出場するという計画を思いつくのであるが。。。。


ニセ教師の話である。気分を悪くする人もいるだろう。でもここは気楽にみることにしたい。
名門小学校だけにみんな素直でまじめだ。楽器ができる生徒も多い。でもそうでない生徒もいる。一番活発なクラス委員の女の子をマネジャーにして、バックコーラスや校長の見張り係などみんなに役割分担をさせる。ロックなんてみんな知らない年頃だから、ロック史を教えたりする。
普通の勉強は全く教えられないが、ロックのことなら何でもわかる。歴史のチャートをつくって説明する。おもしろい!教師ジャックブラックの真骨頂である。


この中で絶対に忘れようと思っても忘れられない名場面がある。スクールバスに生徒と一緒にのりながら、レッドツェッぺリンの「移民の歌」にのってジャックブラックが「アーアアーアー」と歌う場面だ。まさにパワーあふれるジャックブラックのしぐさに最初見た時背筋に電流が走った。中学校の時ロバートプラントが歌うこの歌を初めて聞いた時もドキッとしたが、それを上回る衝撃である。でもこういう一流どころの歌を映画内で使うのは大変なことだ。メイキングフィルムを見ると直接ダメもとでジミーペイジに頼み込んだらしい。

校長との絡みも笑える。ジョンキューザックの姉上ジョーンキューザック演じる固い眼鏡女校長を誘い出しビールを飲ませ、生徒たちの外出許可をとってしまう。釣り餌にするのは校長の大好きなロックミュージックだ。生ビールを飲ませながら、許可をとるそのやり口は参考?になる。もちろんちびっこバンドの盛り上がりもすごい。白人、黒人、アジア人と人種はまちまちなのもいかにもアメリカ映画らしい。
映画史において、この映画とブルースブラザーズの音楽的盛り上げ方は2つの大きな頂点であろう。

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男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎  松坂慶子

2011-12-29 18:15:00 | 映画(日本 昭和49~63年)
男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎は81年の作品
当時美の絶頂にある松坂慶子の姿を見れるだけで価値のある作品だ。


芦屋鴈之助、大村昆、かしまし娘のお姐さんなどの上方お笑いの重鎮が脇を固め、東京のシーンではいつものレギュラーがいる団子屋に美女があらわれびっくりという構図だ。吉岡が子役としてデビューする記念すべき作品でもある。

いつもながら柴又で身内げんかをして寅次郎こと渥美清はさすらいの旅に出る。
瀬戸内海の小さな島で美しい女こと松坂慶子に出会った。妙に気があった二人だった。その後、大阪の新世界界隈に寝城をとってテキ屋稼業に精を出す。神社で口上を飛ばす寅の前を三人の芸者が通りかかった。その中の一人に島で会った松坂がいた。「寅さんやね、確か」と寅の手をとる松坂。意気投合して飲み屋街へ。彼女は大阪の芸鼓であった。新世界の寝城にいる仲間も送ってきた美女にビックリであった
ある日、寅は松坂と生駒の山に遊びに行った時、十何年も前に生き別れになった弟がいることを聞いた。たった二人の姉弟じやないかと会いに行くことを勧める寅。弟の勤め先を探しあてた。しかし、弟はつい最近心臓病で他界していたことを勤務先の大村昆から聞く。弟の恋人から思い出話を聞き、涙を流す松坂に寅はなぐさめる言葉もない。その晩、寅の宿に酒に酔った松坂がやって来たが。。。。

大阪というと通天閣、新世界界隈がロケ地というのはお決まりのようである。
しかし、より観光地化した最近はともかく1980年前後は新世界付近はなかなか行きづらいところだったのではないか?フーテンの寅が宿に選ぶ安い所といえばそうかと思うが、おそらくは南の芸者が住むところではないだろう。
生駒の山に松坂慶子と二人で寅がいくシーンもいい。生駒の山はあくまで通過点であって、なかなか映画の舞台にならないものである。懐かしさを感じた。いかにも大阪らしさを醸し出すのに上方の芸人が出てくるのがいい。まだ生きているのか?と思ってしまうが、かしまし娘のお姐さん達のしぐさを見るだけで楽しくなる。芦屋雁之助のボケもいい。「ちびっこのど自慢」の大村昆は真面目な役で普通だ。

あとはロケ地に対馬が出てくる。最近「韃靼の馬」という小説を読んだ。対馬を起点にして朝鮮大陸や大阪が出てくる小説だ。30年前の映像となるが、対馬を映すめずらしい映像ではないか。寅次郎、松坂慶子のご両人のロケで島の風景を映す。小説の主人公と同じ名字の商店の名前が映るのが印象深い。

いずれにせよ、この映画は松坂慶子の全盛時の美貌を見るためのものといってもいいかもしれない。あでやかな芸者姿はもとより普段着の清楚さも美しい。「愛の水中花」で大フィーバーしたあと、松本清張原作のサスペンス映画などで活躍した。「蒲田行進曲」よりは若干前だ。そんな全盛時の松坂慶子にもてっぱなしで渥美清も悪い気はしないだろう。ここの渥美清は口上含めて普通かな?

男はつらいよ 浪花の恋の寅次郎
美の絶頂にある松坂慶子


第17作 男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け
太地美和子が美しい全48本中の人気№1作品
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2011-12-29 06:06:09 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
山岳ものである「岳」を見た。
割と楽しめた。

石塚真一による原作コミックを映画化した。日本アルプスを舞台に、山岳救助ボランティアの主人公と仲間たちが繰り広げる。明るい主人公を演じるのは小栗旬。小栗はクランクイン前から厳しい真冬の山岳トレーニングにも励んだようだ。クレパスのシーンは見る方がドキドキする。


北アルプスの雪山で一人の登山者がクレパスに転落するシーンからスタートする。
目撃者の情報が山岳救助隊に入る。隊長こと佐々木蔵之介が隊員たちに指示をする。ちょうど配属されたばかりの警察官こと長澤まさみは来たところである。すぐには遭難場所に行けないので山にいる島崎三歩こと小栗旬に連絡をとる。三歩は、山岳救助ボランティアとして登山者たちの命を守っている。三歩はクレパスに転落している遭難者をいち早く発見救助するのであった。

長澤まさみは、隊長こと佐々木蔵之介や三歩の指導の下、過酷な訓練を乗り越え新人女性隊員として成長していく。だが、実際の救助では自分の未熟さや大自然の脅威により、遭難者の命を救うことが出来ない日々が続くのだが。。。。

救助の逸話をいくつも積み重ねていく。全部うまくいくわけではない。主人公はスーパーマンだが、それだけではないところも見せる。それを演じる小栗旬のキャラがいい。いつもにこにこしながら、難しい救助をこなしていく。スキー以外の雪山経験のない自分からすると、このロケはかなりハードに映る。かなりの危険と背中合わせだ。長澤まさみもよく頑張ったと思う。それぞれの役者魂に雪山を映す撮影の妙が加わりいい作品になった。
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「家政婦のミタ」にハマった

2011-12-23 18:15:37 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「家政婦のミタ」が終わった。
矢沢コンサートが終了したあと、今年最後の楽しみとなったドラマの最終回ついに終了した。
喪失感に似た脱力感がある。

テレビドラマを見るなんてことはめったにない。比較的自宅で食事をとることが多い水曜日に流れでテレビを見ることもある。でもそれにはまるなんてことはない。

題名をみて、明らかに市原悦子のドラマのオマージュかなという印象を受けた。「ふーん」と思いながら、家のテレビ画像を見ていた。ずいぶんとぶっきらぼうな家政婦だなというのが第一印象。普段の彼女のイメージと違う気がした。そうしたら水の中に入り込んでいくとか、派遣先の息子をいじめる男の子を手篭めにするとかすげえ話だなあと思いハマっていった。
ドラマの最後予告編を見ると、次回はもっとすごい話になる雰囲気
毎週水曜日が楽しみになった。

家族の絆うんぬんが言われるけど、このドラマの基本はスリラーである。
音楽も実に効果的に使われて、スリル感を盛り上げる。
次に何が起こるか分からないドキドキ度の高さが人気を支えたのであろう。
しかも三田さんのキャラが凄すぎる。本当にはまった。

12月の初め、水曜日から木曜日にかけて箱根のホテルで泊りの忘年会があった。
6時半から2時間ほど一次会で宴会場でやったあと、2次会のカラオケラウンジに移った。
9時近くなった後、メンバーが時計を気にしだす。あと一時間で「家政婦のミタ」だと
おっとみんな見ているんだ。聞くと中年のオヤジたち大部分が見ている。
9時45分には早々に引き揚げて部屋に向かう。
いつもだったらカラオケが延々と続くのに部屋でみんな興奮しながら見た。
なんせその日「憎き隣の家の家政婦」になってしまうのであるから。。。。

翌週も忘年会づくしだが、水曜日は休み。当然誘われても先約を理由に行かない。
木曜日に社内および関係者の忘年会をやった。女性はたいてい見ているかと思ったらそうでもない。
逆に男が見ている率が多い。技術の部署の女の子なので若干違うかもしれないが。。。
でもこういった人たちも忘年会もほぼ終わりになっている21日には家に帰ってみただろう。
当然口コミもすごいので見ないと話題に合わないから必ず見るはずだ。
女性の方がそういう心理が強いだろう。最後の視聴率10%アップには女性が貢献したのでは?
その日初めて斎藤和義の「やさしくなりたい」カラオケを自らやった。

それから翌週の矢沢コンサートと「家政婦のミタ」への期待でうきうきした。
月曜矢沢コンサートの翌日は千葉のある業者さんに浦安高級ホテルでの忘年会に誘われた。
着座形式でディナーを食べながらの豪華忘年会だ。
昨年もそうであったが、招待を受ける代わりに替え歌を歌う。
去年はモー娘でいったが、今年は斎藤和義「やさしくなりたい」の替え歌をつくって歌った。
今年最大の人気ドラマ主題歌の替え歌という前置きでうけた!

もうそんなわけで最終回前は興奮していた。だって前回の最後の最後斎藤和義の歌が終わった後で
お母さんになってと言われ「承知しました。」というんだから
会社でもその話題で持ち切り

ドキドキハラハラ度が高く楽しんでいたが、正直子供たちがしゃべるセリフには
うっとうしいと思うことも多かった。最終回も同様である。
展開はうまいが、セリフには欠点が目立つ
それでもこんなに毎週楽しみにさせられることなんて久々だ。
途中の展開が読めそうで意外に読めない。予告編の使い方が実にうまい!

あともう少し私たちと一緒にいてよと言われた時、少し間が空いて松嶋奈々子がいう。
「承知しました」これは意外だった。
最後泣ける展開だとは自分には思えない。
でも笑ったというより微笑の松嶋奈々子の表情には世のお父さん連中はみんなノックダウンだろう。
(どの家もとなりに奥さんが見ているんで、何も言わないでいるけど)
きれいだったなあ。

最後余韻を残したのがいい。
ハッピーエンドで終わるだけだったら魅力はない。
いつもの不気味さを見せながら次もあるのでは?と期待させるわけだから。。。。
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矢沢永吉 2011武道館コンサート参戦 3

2011-12-21 13:13:04 | 矢沢永吉
MCにはいり
いやなことたくさんあった。酒で飛ばすことが多いけど。それを超越してもう俺もだめだ。と思うこともあったという。そういったとき映画にたとえてみたら、気持ちが晴れたことがあるという。その中にオーストラリアの件で自分をだました奴が出てきたなんて話もしていた。
ヤザワがいう。「自分なりの勝手な理屈でいやなことは乗り切るしかない。」名言だ。


スローな曲だ。イントロで一瞬わからない。
仲間が「ラストクリスマスイブ」だという。そうか。歌いながらステージの花道に進む。英語の歌がハートに響く。弦楽のバックも加わる。
北島三郎のステージばりに上から雪が降ってくる。水蒸気のような雪だ。ステージの画面で見ると粒が大きい。その中を素敵な調べが流れる。今日一番の見せ場だ。
矢沢がMCでこの曲を作ったときの話をする。
20歳になったころ本当に金がなかった。蒲田のキャバレーで少ない観客に向かって演奏していた。帰り道終電ぎりぎりに改札をくぐろうとした。そのとき「ラストクリスマスイブ」のフレーズが頭に浮かんだ。歌詞ではない。メロディだ。今と違って携帯電話とかでそのフレーズを録音することができない。だから電車に乗りながら、同じフレーズをずっと口ずさみ続けた。忘れないように。そして家について、ようやくカセットに吹き込めたという。そんな笑い話だ。

娘がきているのであろうか?マリアを歌う。でもこれはあんまりのれない。
「最高なROCK YOU」でなんと後ろにプロモーションビデオばりに黒いジャンプスーツを着ているお姉さんたちが現れる。これも曲の最後だけだ。30秒も出ていたであろうか?たったこれだけのために彼女たちが現れる。贅沢としかいいようにない。さすが矢沢
「SHAKE YOU」「見つめ合うだけで」最近のロックが続きいったん終了

アンコールだ。「ONLY ONE」はなかなかいい。評判が賛否両論だが悪くないと思う。でも割とあっさり終了する。ギター交換が目にうつるので次は「HA HA」だなって
独特のギターの音色が聞こえる。「ウォー」という雰囲気はいつ見てもいい。
恒例のタオル投げが始まる。会場の一体感はピークになる。花道が上がっていく。そこで歌う矢沢
「止まらない!離れない!」観客がみんな歌いだす。カラオケで歌う演歌とさして変わらない。これで終わりか?いやそうではなさそうだ。
「トラベリンバス」の雰囲気だ。明るいままだったが、一瞬暗くなる。
「ルイジアナ~」いつものように舞うテープ!大好きなすばらしい瞬間だ。
でも今回は注意して観客を見た。前列の面々が矢沢を見ずに必死にテープをかき集めようとする姿が滑稽だ。テープを家に飾っておくのか?貴重な代物だけど。。
これで最後かとばかりに観客も大フィーバー
エーチャンものっているなあ。カラフルなタオルを買ってとばかりに一度退いた後も走り回る。

やっぱりヤザワに会わないと年が越せないなあ。
一緒に行った仲間と帰りに反省会をしたが、来年で辞めちゃうんじゃないか心配していた。
そう感じさせるMCの言葉が多かったのは事実
でもここでやめてもらうと困るのは日本全国のエーチャンファンだ。
来年もまた頑張って!!
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矢沢永吉 2011武道館コンサート参戦 2

2011-12-21 13:09:39 | 矢沢永吉
「トレジャーハンター」
このロックンロールビートはここ最近の2作品の特徴だ。なじみやすい。
「ヘイユー」も優しい曲だ。比較的最近のバラードも悪くない。



年末が近づき、今日でコンサートが終わると思うと、なんか違う何かを感じてしまう。矢沢がいっていた。今回のMCでは、来年のプロデビュー40周年の話を繰り返し話していた。キャロルのラストコンサートの話もしていたり、燃え尽きるなんて言葉が聞こえたりして、マニアックなファンからは矢沢は来年やめてしまうのではないかと心配している声も聞こえる。でも大丈夫でしょう。まだまだやるよ。そう信じるしかない。

観客と掛け合いが楽しい「レイニーウェイ」
毎年欠かさずにやる「コバルトの空」紅白でもやったけど、矢沢この曲歌いやすいのかな?
バラードというべきなのであろうか「未来に重ねて」を今回やってくれた。これも大好きな曲だ。いかにも矢沢らしいメロディラインの中、会場が星空のように輝く。素敵な瞬間だ。

そしてアコースティックギターを弾きながら「二人だけ」を歌う。キャロル時代だ。キーが違ったのか?もう一度やり直す。今回は珍しい。
何よりも驚いたのが「この詩つくったのはジョニー大倉だけど、いい詩だよね」とのたまうところ。最近は不仲の話が伝えられるが、大人のエーチャンがさらっと話すと実にしびれる。

懐かしい曲ということで始まった「SHE BELONGS TO HIM(彼女は彼のもの)」
これもとちった。本当に珍しい。とちった2曲が2つともキャロルの曲というのは皮肉だ。
途中で歌が止まったとき、観客が歌い始める。古いファンはみんな歌詞まで知っている。会場の中で歌声が聞こえ始めたときに、エーチャンの声が復活する。ちょっと疲れが見える。
この曲はキャロルではジョニー大倉が歌っていた。甘いジョニーの声が素敵だ。むしろ彼の代表作というべき曲であろう。もしかして何らかの和解があったのであろうか?それともまさかコンサート会場に???ありえないか。でも「ジョニー大倉の詩いいよね」の言葉は何かを暗示しているのかもしれない。


急に脳裏にテレビ「ギンザナウ」の光景が目に浮かんできた。
銀座三越の屋上で毎日生放送をやっていた。キャッシー中島とせんだみつおの司会でレギュラーが毎日変わった。中学の授業が終わると、駅にすっとんで友達と行き、銀座三越の屋上で並ぶ。何曜日だったかは記憶にない。キャロルのレギュラー日を狙っていった。仲間にはギター好きで、ウッチャンのギターをコピーしている奴や矢沢のベースを意識していて、リーゼントまで真似ていたやつもいた。
そのとき「SHE BELONGS TO HIM(彼女は彼のもの)」をやっていた。
であるからBELONG TOという英語は習う前から頭にしみつく。BELONG( )なんて英文法の穴埋め問題は絶対に間違えようがない。助かった。
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矢沢永吉 2011武道館コンサート参戦 1

2011-12-21 13:09:23 | 矢沢永吉
2011年矢沢コンサート最終日に参戦してきました。
大満足でした。


それまでのセットリストをネットで見た。だいたい様子はつかむ。
全体の流れはほぼ同じだけど、序盤戦や終盤はその時々で変えている。先入観がないほうがかえっていいのでは?と思っていた。
金正日が死んだことが判明するという歴史的な日、お世話になった人への年末のあいさつまわりを朝から千葉でしていた。その最後をあえて水道橋にした。武道館に近いからだ。時間があまり、水道橋から歩いて大好きな神保町界隈を散策した。時間ぎりぎりになってから武道館の待ち合わせ場所に歩いていく。武道館が近づくにつれて、白いスーツがちらほら見える。いつもどおりの矢沢コンサートの様相だ。年齢層は50プラスマイナス10が中心だ。
席は2階の後ろのほう、去年より後ろだ。後ろのほうが全体の雰囲気はわかりやすい。

6時10分すぎにもう会場に入る。まだ空席がめだつ。
それがあれよあれよという間に満員になる。6時40分ごろから恒例の「エーチャン」コールが始まる。異様な光景だが、この日を晴れ舞台にしようとしている矢沢フリークが大勢いるのだ。てっぺんから見下ろすと、いつもより白いスーツ姿の数が多い気がする。
気のせいだろうか?
開始時間が近づき、観客のコールはピークに。そして7時5分に矢沢が登場する。今年はギターの2人が元のメンバーに戻る。それはそれでよかったのではないか?
「ジェラシー」ではじまり、待っていたとばかり観客の声が絶頂になる。
となりの自分と同年代のお姉さんも日ごろのうっぷんを晴らすように「エーチャン」と叫び続ける。最初のMCは静かに「今夜はゆっくりお楽しみください。」と
4曲目にスローな曲が流れる。観客も着座する。
「SORRY」だ。これが実にいい。個人的にはコンサートのたびに楽しみなのは、スローで何をやるかである。
5曲目は「苦い雨」
いつもはアンコールか、その寸前にやっていた曲だ。矢沢の定番ともいうべきこの曲が流れると、曲にあわせて観客の歌う声が聞こえる。みんなこの曲好きなんじゃないかな?ドラマティックな感じがする。コンサートから帰って一番耳にフレーズが残ったのはこの曲である。
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マーラー  君に捧げるアダージョ

2011-12-18 09:11:42 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「マーラー 君に捧げるアダージョ」は作曲家マーラーの不貞の妻に焦点を当てる作品だ。
映画「ベニスで死す」の主人公の作曲家はマーラーをモデルにしたと言われる。男色系かとおもったら、この映画を見るとそうでもなさそうだ。むしろかなり年下の妻に振りまわされるダメ男のマーラーと自由奔放な妻のそれぞれの奇行に焦点をあてる。
当然ながらバックの「マーラー」のシンフォニーは美しくオーストリアの歴史ある風景に調和する。


1910年夏、作曲中のマーラーに届いた衝撃的な一通の手紙。そこには、新進の建築家グロピウスから妻アルマへの熱烈な愛が綴られていた…。
世紀末ウィーンを代表する後期ロマン派の大作曲家であり、スター指揮者グスタフ・マーラー。その19歳年下の妻であり、類まれな美貌と音楽的才能で、 画家クリムトなど当時の芸術家たちを魅了したアルマ。誰もが羨む理想の夫婦であったが、その年の差と、マーラーがアルマに作曲を禁じたことで生じた亀裂が、 愛娘の死によって悪化してしまう。そして、アルマは療養先で知り合った 5歳年下のグロピウスに慰めを求める。その事実に困惑したマーラーは、休暇中の精神分析医フロイトの元を訪れ、 アルマとの愛と情熱、希望と苦悩、そして音楽に溢れた人生を語りはじめる。。。。


監督は「バグダッドカフェ」のパーシーアドロンである。現代アメリカの田舎町のカフェを舞台にした映画だ。黒人主人公とドイツ人女性の違和感が妙におもしろい。女の友情を描いた作品で、個人的には大好きである。その監督がつくるという興味深さに加えて、マーラーの音楽の調べに酔いしれたい思いもあった。

ただし、映画に流れるのは一貫してマーラーの妻の不貞ぶりだ。33歳と女ざかりの女優が演じるので、色仕掛け的色彩が強い。イタリア女性だけにフェロモンが画面中に発散される。実際の話をもとにしたのに、ストーリーは官能小説のようだ。その一歩で精神分析で有名なフロイトのカウンセリングを受けるマーラーがいかにも対照的だ。しかし、不倫がわかった後でもマーラーは彼女を捨てない。ひたすら彼女を見つめる。その目つきを見て「ベニスに死す」に映る主人公が美少年を見つめる視線にだぶってしまった。

マーラーとのかかわりは中学3年の時からだ。同級生の兄貴がマーラーが大好きだった。彼の家ではじめて聞いた時、躍動感のある曲をかけてくれた。最初は良さはわからなかったが、映画「ベニスに死す」でながれる交響曲5番の美しさに魅せられた。映画が好きな人で強い影響を受けた。この映画でも有名な5番のフレーズが出てくる。「ベニスに死す」ほど印象的に使われているわけではない。むしろ他の曲に焦点を合わせる。いずれもすばらしい。曲線が美しいウィーンの歌劇場でのロケやアルプスと思しき山々のバックも美しかった。
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映画 ヤバい経済学 

2011-12-17 21:09:00 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画 「ヤバい経済学」は経済学者のスティーヴン・D・レヴィットと、ジャーナリストのスティーヴン・J・ダブナーによるベストセラーを映画化。あまり期待していなかったが、これはおもしろい。
「30万$売りだした不動産に29万$で客がついた。話に乗るべきか?」「子どもは名前で人生が決まる」「大相撲の八百長問題」「ニューヨークで1990年代に犯罪が激減した理由」「賞金で高校生の成績が伸びるのか」といった多彩なテーマを短編仕立てに料理していく。見事だ。
日本の相撲界の八百長問題にメスを入れる映像は、アメリカだからつくることができた映像だと思う。曙や小錦も映像に姿を現す。死んだ親方の写真や板井も出てきて、これを見るだけでも価値がある。

映画は原作本の著者の大学教授とジャーナリスト2人の対談形式でスタートする。
第1のテーマは不動産売買。
30万ドルで売りに出した自宅に29万ドルの買い手が現れた、不動産業者は先のことはわからないからと確実な29万ドルでの売却をアドバイスする。手数料は売却額で決まるのだから少しでも高く売りたいが顧客のことを考えて早期売却を勧めるという。それを信じてよいか。。。。
第2のテーマは名前の付け方。
黒人と白人ではそれぞれの名前の付け方に特徴がある。黒人の方が大胆な名前を付けることが多い。多数の企業にまったく同じ履歴書を名前を変えて送りつけた。黒人らしい名前で出した場合は白人らしい名前で出した場合より連絡が少なく就職できるまで時間がかかった。あとは「痴女」という言葉の名前になった黒人の子の行く末を語る。
第3のテーマは大相撲の八百長。
7勝7敗の力士が同クラスの力士と対戦した時の勝率はなんと75%。しかも同じ組み合わせで次に対戦すると、結果が逆になっている。相撲で八百長が行われていることは明らかだとする。八百長を暴露した大鳴門親方が病院で死んでいる。この死に方はおかしい。その後司法解剖もされていない。何か黒い動きがあったのではないかと。。。
第4のテーマはニューヨークの犯罪の減少理由
犯罪率の減少はニューヨークのジュリアーノ市長の重罰化や軽犯罪検挙の成果だけではない。1973年中絶を合法化したことにより、望まれない子どもが劇的に減ったことが20年後に効いてきたのではないかという推論をたてるが。。。。
第5のテーマは賞金で高校生の成績が上がるか?という実験
シカゴ大学の先生たちが、高校生に成績が上がったら賞金を出す実験をしてみた。いったいどうなるのか?という話だ。

いずれも痛快だ。
高校生になって成績が伸び悩んでいる我が娘に実験をしているが、ちっとも成績があがらない。
第5のテーマがいちばん身近だったけど。。。。
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ファイアーフォックス  クリントイーストウッド

2011-12-14 20:49:54 | クリントイーストウッド
「ファイアーフォックス」はイーストウッドにはめずらしいタッチの作品だ。まだ東西冷戦が続いていた時代に、ソビエトで開発された新型戦闘機を盗もうとする退役軍人を演じる。前半はスパイ風タッチで、後半に入って徐々に戦闘機の場面が増える。

ソ連が最新鋭の戦闘機ミグ31を完成させた。イギリス秘密諜報局がテスト飛行をするという情報を入手、NATO側がこの情報を基にミグ31の奪取作戦を企てた。そのミグ31を操縦し奪い去る任務がベトナム戦で活躍した主人公ことクリント・イーストウッドに課せられた。ファイヤーフォックスと名付けられた戦闘機は、最高速度マッハ6、アンチ・レーダー・システムを持ち、思考誘導兵器装置を装備するといった驚異的な性能を持つ。輸出代理業者になりすましてモスクワ空港に降り立つ。その夜、尋問してきたKGB局員をイーストウッドは殺してしまう。翌朝、トラック運転手を装ったイーストウッドらは、偽造した通行証を手に目的地へ向かう。途中でトラックを飛び降りたイーストウッドは、ファイヤーフォックス設計の中心的科学者で今回の作戦の協力者に会う。KGBは、KGB局員殺害の犯人の正体がイーストウッドであることをつきとめる。。。。

普通かな?
東西冷戦が続いているころは、対ロシアを意識した映画がたくさん作られていた。007の初期の作品も露骨にKGBとの対決を映し出している。モスクワに行って、戦闘機を盗み出すという設定がちょっとありえないなあと思うせいなのか?のりきれない。
ファイアーフォックスの機体自体が出てくるのは凄味はある。最後に近づき、TVゲームを連想させる空中戦のシーンが出てくる。もともとこういうのはちょっと苦手
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食堂かたつむり  柴咲コウ

2011-12-07 07:31:02 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
映画「食堂かたつむり」を見た。予想以上によくできた映画だった。
恋人との別れにショックを受けて、声がでなくなった主人公が、小さなレストランを経営する話だ。全体的に流れるムードがやさしく、漫画的な画像もとり混ぜながら映し出していく。
毛嫌いしているようなふりしかできない母が、本当は娘にこの上ない愛情を持っていたことを示す場面が最終に向けてでてくる。自分のことに照らし合わせながらジーンとした。
柴咲コウ、余貴美子の母娘役はいずれも好演。「八日目の蝉」で新興宗教の主を演じたのと同様にちょっと変わったスナックのママを演じた余貴美子が特にいい。その昔の岸田今日子のような個性派女優としての地位を固めつつある。


コーエン兄弟の映画を思わせる簡潔でおもしろい主人公の紹介から映画はスタートする。
主人公こと柴咲コウは、10年前に東京の祖母の家に移り住んだ。シングルマザーでスナックを営む母こと余貴美子を嫌ったのだ。祖母は料理が好きだった。主人公はそれをレシピに綴った。自分の店を持とうと修業を積みながら貯金してきた。主人公には同棲中のインド人の恋人がいた。ところが、ある日仕事から帰ると、恋人と家財道具が消えていた。祖母も亡くなり、恋人にも裏切られた主人公は、ショックで声が出なくなる。仕方なく実家に帰る。
実家の母はペットの豚を溺愛しており、娘を助けようともしない。主人公は村の農夫・熊さんことブラザートムの手を借り、実家のスナックに隣接した物置を改造して、「食堂かたつむり」を始める。
お客は1日1組、決まったメニューはない。事前に筆談でイメージを膨らませてその人のために料理を作る。最初のお客である熊さんは感激で号泣する。
片思い中の高校生こと志田未来が、予約に来る。「誰とくるんですか?」という主人公の質問に高校生はうまく答えられない。話の筋で片思いの男の子とくるということがわかる。当日来た2人にスープを出す。おいしさに感激する二人。いつしか2人は手をつなぐようになる。彼女はそのスープを「ジュテームスープ」となずける。同じような可憐な女子学生から口コミで予約が殺到するようになる。料理を食べた客には次々と奇跡が起き、願いが叶う食堂との噂になる。
そんなある日、スーパーのレジに立つ中学時代の同級生こと満島ひかりと主人公はばったり会った。レストランの評判を聞き、同級生は友達を連れてランチに向かった。ところが、食事をしていると中に虫がいることに気がついたのであるが。。。。
このあと母こと余貴美子ががんに侵されていることがわかる。ここから別の展開がはじまる。そしてハートフルな色彩が強くなる。


画面の色合いの基調はグリーン系である。緑色は野性や自然を示すと言われる。ここでは田舎の田園風景が繰り返して出てくる。半端じゃない田舎だ。山を見上げる場所で柴咲コウが無言のままたたずむ。孤独と思しき柴咲コウにはいろんな紆余屈折がある。
映画は小さな話をいくつも積み重ねる。中でも母ががんと分かった後の柴咲コウのふるまいに妙に魅かれた。亡くなった自分の母ががんであるとわかったあと死ぬまでの2年の光景にラップしてしんみりした。逆に母が娘を思う気持ちがあらわになる場面は、母の死後に読んだ自分を産むときの日記を思い出した。なんとも言えない気持ちになった。


食をテーマにした映画は見ていて楽しい。この映画でも食材を華麗に処理する場面が連続で出てくる。
ジュテームスープとはよく言ったものだ。口コミで伝わり、次から次へと女子学生から予約が殺到する場面は痛快な場面であった。パトロンと死に別れたお妾さんにつくるフルコースもいい。
登場人物が多彩だ。江波杏子のお妾さんやペットの豚も傑作だ。三浦友和の医者役は「地下鉄に乗って」でも見たが、堂に入っている。母が経営するスナックの常連たちがいかにも田舎のスナックの客らしい。食材が豊富で食べるのが楽しい料理のようだ。

よくできた映画だと思う。いくつか批評をみたが、ネットで酷評テレビで絶賛と書いてあった。ネットでの酷評をみて笑えた。困ったものだ。
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阪急電車  中谷美紀

2011-12-05 21:25:11 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「阪急電車」は西宮北口から宝塚を結ぶ阪急今津線の乗客たちを描く。車中に繰り広げられる人間模様を描いた作品だ。映画のポスターを見ながら奇妙な題名だなあと思っていた。ポスターに映る阪急電車ホームの中谷美紀のドレス姿が奇妙だった。でも割とおもしろい。傑作という大それたものではないが、楽しめた。転勤で行った大阪を離れて17年になる。そんな大阪を象徴する阪急電車が舞台の映画をみて郷愁のようなものを感じた。


阪急今津線は宝塚から西宮北口間を約15分で走る。阪急伝統のえんじ色の車体だ。
まずは中谷美紀が映る。婚約者と会社の後輩の2人に子供が出来てしまったという告白をうける。驚く中谷だ。許せない2人だが、結婚式に列席させてくれたら婚約不履行で訴えないという。そして式当日、中谷は花嫁と思しき真っ白なドレスに身を包んで式のテーブルに着く。あわてる新郎新婦に周辺の列席者だった。ホテル担当者が気を使ってはおるものを持ってくるが、静かに中谷は式場を去る。
白いドレスに身を包み宝塚駅から乗車した阪急電車にはさまざまな人たちがいた。
きれやすい彼氏のDVに悩む女子大生こと戸田恵梨香。息子夫婦との関係がぎくしゃくしている老婦人こと宮本信子。セレブの奥様たちとの付き合いに疲弊する主婦こと南果歩。沿線の関西学院に馴染めない地方出身の男と女谷村美月。年上の会社員と付き合う関西学院に憧れる女子高生などなど。。。
それぞれが全く独立している存在である。それが単なる乗客という関係の中で静かに接近していく。。。

阪急電車のえんじ色は、関西ではエリートカラーである。最初はなんてどんくさい色だと思ったけれど、慣れるとちがう。乗車する人たちも誇りを持ってこの電車に乗っている。知的レベルも高いし、プライドも異常なくらい高い。そんな電車に乗車する若い女性たちと一人の初老のご婦人を描く。
小さな話をたくさん積みあげるが、いずれもありそうな話である。不自然ではない。
特に息子の同級生の母親グループにいやいや誘われる南果歩の姿がいじらしかった。家では質素な食事で節約しているのに、無理やり高級レストランのランチを誘われ、息子の手前断れない。このエリアにありそうな話だ。


中谷美紀は関西弁を話さない。これはこれでいいのではないか。元々の関西人でないと関西弁が不自然になる。不自然な関西弁ほど嫌なものはない。自分も最初に大阪に転勤で行った時、大阪弁とやらをしゃべってみようかと思った。でもすぐやめた。大阪弁といっても一つの言葉でない。エリアエリアで違う言葉をしゃべる。これは難しい。妙な言葉を話すと、相手からはバカにしているように見られるかもしれない。そう思った。でも不思議なものでイントネーションはどうしてもつられてしまう。今でも当時くせのついたおかしなイントネーションで話すことがある。ちなみに自分の妻は関西人で毎日関西弁を聞いている。

宮本信子は初老の設定で関西弁を話す。芸達者の彼女ゆえ不自然ではない。伊丹映画で見せた名調子を久々見せる。往年の片りんを垣間見せるのは悪くない。
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