映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「タイピスト!」 デボラ・フランソワ

2013-09-20 20:04:32 | 映画(フランス映画 )
映画「タイピスト!」を劇場で見た。

まさに今年一番の「元気が出る映画」だ。
映画に躍動感がある。ストーリーには意外性がなく、予想通りに進んでいるのであるが、おもしろい!

1950年代のフランスでは、社会進出しようとする女性たちの間で一番花形の職業は秘書だった。田舎から出てきたローズ(デボラ・フランソワ)もそんな一人で、保険会社を経営するルイ(ロマン・デュリス)の秘書となる。ドジで不器用すぎるため1週間でクビを宣告されるが、ローズにタイピングの才能を見出したルイは、彼女にある提案をする。当時秘書の中で、タイプライター早打ち大会で優勝することはステイタスとなっており、一大競技として人気を誇っていた。ルイはローズと組んで、タイプライター早打ちの世界大会で優勝を目論んでいた。

地方予選に出場したローズは、初めて触れる試合の空気に飲み込まれあえなく敗退。ルイは1本指ではなく10本の指を使ったタイピングをするよう矯正し、難解な文学書のタイプやジョギングなどのハードなメニューを課して、ローズを特訓する。

その甲斐あって地方予選を1位通過したローズだが、全仏大会には2連覇中の最強の女王が待ち構えていた……

田舎娘が都会に出て、徐々にアカぬけてくるストーリーは「マイフェアレディ」を思わせる。タイプを打つのは1本指だ。それでもかなり早いのであるが、大会を勝ち抜くのは無理だ。
そこで家庭教師でもあるルイは彼女にジョギングをさせて体力をつけさせるだけでなく、ピアノの練習を通じて10本指の鍛練をさせるのである。こういう上昇過程が楽しい。


最近のフランス映画ではこの映画のような鮮やかな色彩設計が目立つ。
「アメリ」のように色合いだけでウキウキさせる。

主人公だけでなく、その周りを取り巻くメンバーの衣装も鮮やかでインテリアが抜群にいい。
早打ち競争自体は地味な戦いだけど、50年代のリズミカルなポップスと色彩設計の巧みさで気分を高揚させる。


「ロッキー」のようなスポーツ根性物語の躍動感を持つ。実に個性的なライバルを登場させるのも肝心。
その存在を見て主人公を応援したくなるような気分にさせられる。
お見事!
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映画「彼女が水着に着がえたら」 織田裕二&原田知世

2013-09-17 18:23:57 | 映画(日本 1989年以降)
映画「彼女が水着に着がえたら」は89年バブル絶頂時につくられたホイチョイプロダクションの作品だ。
人気絶頂の原田知世のお相手となるのは、「東京ラブストーリー」でブレイクする前の織田裕二だ。

ホイチョイプロダクションによる前作「私をスキーに連れて行って」は今もって色あせない若者のバイブルだと思う。スキー人口が減りゲレンデが寂しくなっても、冬になればこのdvdを見て冬のリゾートを楽しもうとわくわくする人は多い。
「彼女が水着に着がえたら」は一転マリンスポーツが基調となる。スキューバ好きの人口は今も昔も変わらないのでは?今の若者が見ても十分楽しめるのではないだろうか?何しろこの作品での水上バイクなどの使い方は凄すぎる。

アクション映画を見ていると錯覚するほどだ。しかも、桑田圭祐の歌が全開、これほどまでサザンの曲が映像にマッチしている映画はないだろう。

朝鮮戦争時、戦争成金のチャーター機「ドラゴンレディ」が、宝石を積んだまま相模湾上空で墜落し海底に沈んだ。映画ではその財宝を自分のものにしようと狙う中国人の一味が映される。
22歳のアパレル会社OL・田中真理子(原田知世)と同僚の恭世(伊藤かずえ)は大のスキューバ・ダイビング好きだ。金持ちのプレイボーイ・山口(伊武雅刀)に誘われ、豪華クルーザーのアマゾン号に乗り込んだ。二人はクルーザーの仲間とともに深く潜る。皆とはぐれた際に海底で飛行機らしき残骸を見つけた。ところが35Mまで深く潜りすぎたことに気づき、慌てて水上に戻る。
そこでヨットのツバメ号を操る大塚(谷啓)と吉岡(織田裕二)に助けられた。その晩、アマゾン号のパーティに戻り、二人は突然襲ってきた大塚らに連れ去られる。アマゾン号の仲間も追う中、海辺の店に逃げ込む。しかし、これはアマゾン号とツバメ号の恒例の女の子争奪ゲームだった。
店内の写真パネルを見て、今日見た飛行機だと真理子が海底の残骸について話すと皆はびっくりする。山口と大塚はともに財宝探しをしていたのだ。そんな中真理子と吉岡はお互いに好意を持つが、なかなか素直に心を打ち明けることができない。そうしているうちに大塚が何者か怪しいボートに襲われて入院。その間に飛行機も引き上げられてしまった。真理子と吉岡は「山口の仕業に違いない」と腹を立てる。実は襲った犯人は恐るべき第三者だったが。。。

原田知世もそうだが、ベリーショートヘアの伊藤かずえ のメイクがまさに昭和の終りのメイクだ。

眉毛が濃い。そんな彼女たちがスキューバで泳ぐのは、湘南ベイエリアだ。いきなり海の中のシーンになり、水中スクーターが出てきて、集団でダイビングを楽しむ。ここで流れるのはサザンの「ミスブランニューデイ」だ。カラオケでさんざん歌ったなあ!この曲は。いかにもホイチョイ映画らしい盛り上げ方だ。
そのあとも海上を走るはずのホーバークラフトが陸上を走って、車と競争するシーンなんて凄いなあと思う。これってもしかしてコンプライアンス上ヤバいんじゃないと心配してしまうが、89年当時だとまだまだ引っかからなかったのかもしれない。

映画のストーリーはたいしたものではない。
それよりも、今から24年前の遊び人の偶像を見て楽しむといった感じだ。
ホイチョイプロダクションは本当にすごい。このあと91年に湘南を舞台に映画「波の数だけ抱きしめて」を製作し、94年に「東京いい店やれる店」を出版する。そういえば、今人気絶頂の「今でしょ」の現代国語の林修先生が若手芸能人恋愛講座を最近テレビでやった時、引用したのがこの本だ。この本の凄味は別に語りたい。


テーマ曲が「さよならベイビー」、調べて初めて知ったがサザンにとって初めてのオリコン№1だったそうだ。てっきり「いとしのエリー」だと思っていた。89年生まれて初めて東京から大阪に異動した時だった。車の中でFM802をよく聴いた気がする。ビーチボーイズの「ココモ」も同じくらいだったかな?よく流れていたなあ。未知の場所で彷徨った思い出がよみがえった。

参考作品

彼女が水着にきがえたら
原田知世&織田裕二で昭和の終わりを楽しむ


波の数だけ抱きしめて
中山美穂&織田裕二


私をスキーに連れてって
これを見たらスキーに行きたくなる

矢沢永吉の誕生日に

2013-09-15 04:27:22 | 矢沢永吉
コメントをいただいて気がついた。
そうだ昨日はエーチャンの誕生日だったんだ。しかも64歳

先日矢沢永吉がビートルズの「ヘイジュード」を心地良くプレミアムモルツのCMで歌っていたけど
今度来日するポールマッカートニーが歌う名曲がある。
「When I'm sixty-four」(64歳になる時に)




矢沢も当然知っているだろうから、一人でうたっているんじゃないかな

なんと素敵な歌詞なんだろう。
「僕が年をとって、髪の毛が薄くなるころ、それはずっと先のことだけど
君はその時でもバレンタインのプレゼントや誕生日にワインを贈ってくれるかい?」

本来はずっと先の64歳になっても自分のこと好いてくれるかい?というラブソングだけど
それを64歳の時に歌うのがいいのかもしれない。

When I get older losing my hair,
Many years from now,
Will you still be sending me a valentine
Birthday greetings bottle of wine?

If I'd been out till quarter to three
Would you lock the door,
Will you still need me, will you still feed me,
When I'm sixty-four?

oo oo oo oo oo oo oo oooo
You'll be older too, (ah ah ah ah ah)
And if you say the word,
I could stay with you.

I could be handy mending a fuse
When your lights have gone.
You can knit a sweater by the fireside
Sunday mornings go for a ride.

Doing the garden, digging the weeds,
Who could ask for more?
Will you still need me, will you still feed me,
When I'm sixty-four?

Every summer we can rent a cottage
In the Isle of Wight, if it's not too dear
We shall scrimp and save
Grandchildren on your knee
Vera, Chuck, and Dave

Send me a postcard, drop me a line,
Stating point of view.
Indicate precisely what you mean to say
Yours sincerely, Wasting Away.

Give me your answer, fill in a form
Mine for evermore
Will you still need me, will you still feed me,
When I'm sixty-four?

ポールが来日して仮に歌っても、この歌ではもるジョンレノンの声は聴こえない。
このアンサンブルがいいんだ。

自分も64歳の誕生日に歌いたいなあ
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半沢直樹と矢沢永吉

2013-09-14 05:33:49 | 矢沢永吉
矢沢永吉のファン仲間からメールが来た。
次のテレビドラマ「半沢直樹」で矢沢エーチャンが特別CMヴァージョンをやるって!
これは見るしかない。

このドラマ30%を超える大ヒットだが、何かと忙しくて全部は見ていない。
いい場面でそのCMとなる。YOU TUBE画像にもアップしている。



意外なロングヴァージョンである。
曲の一番で終わらず、2番も歌う。おっと!
やるね矢沢!年末武道館が楽しみだ。

このCMが終わって、その回のクライマックスへと進む。
香川照之演じる常務の前で、半沢直樹が窮地に立たされる。今携わっている旅館の後継者についてである。コテンパンにやられそうになった後、逆襲である。その流れ自体はある意味「水戸黄門」のように決まりきった逆転劇である。
堺君なかなかやるじゃない。彼の出ている作品ずいぶん取り上げたけど、意外にもこれが代表作となるとは?

半沢君は剣道部の設定だ。
自分の大学の同じクラスにも同じ剣道部はいた。今は関西方面の超有名企業のお偉いさんだ。
同期の息子は今現役で剣道部にいる。この間、同期の会で飲んだ時うちの娘をよろしくと言ってきた。
そう思ってしまうのも、ここで描かれる上戸綾の嫁さんぶりが素敵だからである。
会社の男性たちにムチャクチャ評判がいい。そんな風にうちの娘なれるかな??
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映画「夏の終り」 満島ひかり

2013-09-13 21:56:34 | 映画(日本 2013年以降)
映画「夏の終り」を劇場で見た。

自分が少年のころ、実家に日本文学全集があった。分厚い全集本の一部に瀬戸内晴美さんの小説があり、この作品が含まれていた。最初は女流作家の本には目もくれなかったのであるが、高校生になり一度読んでみた。激しい恋の物語で理解するには若すぎた。
その後大人になりもう一度読んでみた。そのころにはもう彼女は得度していた。
2度目に読むきっかけは、日本経済新聞連載の「私の履歴書」に彼女が自分の過去を描いた文を読み、恋愛描写の激しさに圧倒されたからである。正直驚いた。激しい恋を重ねた結果に生まれた結果にできた私小説が「夏の終り」かと思うとドッキリした。
その後も彼女自身のことでなくモデルがいる作品である「いよよ華やぐ」が描く性の世界に呆然とさせられた。

ものすごくいい映画とは思わない。瀬戸内晴美作品がもつ強い性の匂いが薄く感じるからだ。でも、満島ひかりは好演、小林薫も彼にしか出せない味のある演技を見せている。時代考証には少し難ありと思えるがそれなりに楽しめた。

昭和30年代?が舞台だ。
染色家の相澤知子(満島ひかり)は、作家の小杉慎吾(小林薫)と暮している。慎吾には妻がいて、週の半分ずつ、知子の家と自宅を行ったり来たりしていた。その年の暮れ、知子が出先から帰ると、慎吾が「木下君が訪ねてきたよ」と言う。

木下涼太(綾野剛)は、知子が結婚していた12年前に出会って、駆け落ちした相手だった。その恋はうまく行かずに別れたのだが。大晦日、風邪をひいて寝込んでいる知子を置いて、6日に来ると言い、慎吾は自宅に帰る。寂しさに引かれて、涼太から電話がかかってきたとき、知子は「会いに来て」と言う。こうして、知子は、慎吾と暮らしながら、涼太とも関係を続けるのであるが。。。

2つの時代を交差している。
駅の映画看板で時代を示唆している。高峰秀子主演「カルメン故郷に帰る」は昭和26年3月公開だ。ジョンフォード監督の名作「わが谷は緑なりき」は本来太平洋戦争が始まる1941年の映画であるが、日本公開は昭和25年12月である。そう考えると昭和26年春が描かれていると想像できる。これは回想場面だ。8年ほどつきあっているというセリフからすると、この映画の主ストーリーは昭和34年前後と考えていい。
この映画のロケハンティングはうまい。セットもあるとは思うけど、まさにその時代の家を探しだして撮ったシーンがあり、よく見つけたと感心した。でも、昭和26年に描かれるオート三輪はちょっと時代が違うような気がするし、涼太のアパートの窓がサッシになっているのはありえない設定だ。昭和34年にバニーのお姉さんがナイトクラブにいたのかな?という疑問もある。和装の女性も多すぎるのではないか?若い監督がメガホン取るとよくある誤りだ。
まあ、そこまでムキになることもないだろうが。

夫や子供までも捨ててまで、一人の男に走る心理やどっちつかずに彷徨う女性心理はどうも個人的には苦手だ。そういう彷徨う女性を満島ひかりは頑張って演じていると思う。でももっと乱れさせても良かったのではないだろうか?
「さよなら渓谷」では真木よう子が一皮むけた演技をしていい出来だった。彼女の演じた愛欲あふれる女性と通じるものをこの映画の主人公は持っている気がする。他の俳優でなく満島を起用するなら若さにまかせてもっとむちゃくちゃにした方がいい。そうしたら彼女は一皮むけたのではないだろうか。



それでも、主人公が「愛より習慣の方が強い」と言っていた言葉が胸に残る。恋のはじめに思いっきり接触してそれが習慣のようになってしまえば、その恋はドロドロに離れられないものになっていく。言葉の表現がよくないかもしれないが、ヤクザが「いやがる素人の女性」を毎日のように狂ったように性の餌食にし、それを習慣のようにして、離れられなくさせてしまうようなものだ。キムギドクの「悪い男」のように。。
満島ひかりの言葉が頭から離れない。

映画「天使の涙」 ウォン・カーウァイ

2013-09-08 09:09:52 | 映画(アジア)
映画「天使の涙」は香港の巨匠ウォン・カーウァイ監督の1995年の作品だ。

監督の作品の系譜では、「欲望の翼」「恋する惑星」のあとで「ブエノスアイレス」「花様年華」の前の作品だ。
ここで監督は若き香港人の若者たちをその猥雑な夜に放つ。虚構に満ちあふれたハチャメチャな生活の中でたくましく生きる彼らをドキュメンタリーのように映し出している。いい感じだ。

95年の香港を映す。
殺し屋(レオン・ライ)とそのパートナーである美貌のエージェント(ミシェル・リー)。仕事に私情を持ち込まないのが彼らの流儀で、二人は滅多に会うことはない。しかし、その関係が揺らぎつつあるのを2人は知っている。
エージェントが根城とする重慶マンションの管理人の息子モウ(金城武)は5歳の時、期限切れのパイン缶を食べすぎて以来、口がきけなくなった。定職に就けない彼は、夜な夜な閉店後の他人の店に潜り込んで勝手に“営業”する。時に強制的にモノやサービスを売りつけるあくどい商売をしている。ある日、彼は失恋したての女の子(チャーリー・ヤン)に出会って初めての恋をする。しかし、彼女は失った恋人のことで頭がいっぱいで、彼のことなんか上の空だった。

一方、殺し屋はちょっとキレてる金髪の女(カレン・モク)と出会い、互いの温もりを求める。彼と別れた金髪の女とエージェントは街ですれ違いざま、互いの関係を嗅ぎ当てる。エージェントは殺し屋に最後の仕事を依頼した。
殺し屋は最後の仕事で最初の失敗をし、数発の銃弾が彼の途切れる意識に響く。

重慶マンションの猥雑さが95年の香港を象徴している。
街並みもあの当時のものだ。沢木耕太郎の「深夜特急」の匂いがする。

もともと「大陸」と比較すると香港は20年以上先に進んでいた。しかも洗練していた。その洗練さの中に独特の猥雑さが混じるのが魅力的だった。香港の街は帝国主義時代の英国に強制されたコロニアル文化が生んだものであった。もしかしたら、返還間際の香港の方が今よりも魅力的だったのではないだろうか?というよりも自分がその当時の香港を好きだったといった方がいいかもしれない。おいしい店も多かった。そのころの街と比較して、建て替えも進みここ10年で現代化している。でもこの映像の中の猥雑さが好きだ。

ウォンカーウァイの独特な映像作りが光る。映像のスピードに緩急がある。「花様年華」同様に登場人物の動きを自由自在に操る。スローモーションの使い方がうまい。ロケ地の選択も巧みで、夜の香港の魅力が映像からあふれ出る。日本ではありえないわけがわからない登場人物が多い。特に金城武の役柄が奇妙だ。香港島と九龍をつなぐトンネルを何度も二人乗りのバイクで走らせる。転倒してしまうんじゃないかとヒヤヒヤする。

レオンライの殺し屋ぶりがカッコイイ。彼とクールな関係を維持するミシェル・リーが美しい。
この映画までで監督は現代香港の若者事情を描ききったのであろうか?「ブエノスアイレス」ではアルゼンチンに飛び、「花様年華」では30年以上昔の香港にタイムスリップする。路線を変える。そういった意味でこの映画はウォン・カーウァイ監督のターニングポイントであったかもしれない。

映画「拝啓天皇陛下様」 渥美清

2013-09-07 05:51:22 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「拝啓天皇陛下様」は昭和38年の松竹の喜劇映画だ。

渥美清と藤山寛美の歴史的共演である。それだけで価値がある。この映画が放映されるとき、映画テレビの両方で第一次「渥美清ブーム」があった。この作品は名作と言われるが、そこまでの評価に値するとは思わない。腹を抱えるほど笑えるわけではないし、強烈なギャクがあるわけでもない。藤山寛美とのコメデイ演技合戦をするわけではない。その点では期待はずれだ。むしろ、人情ものでそののちの「男はつらいよ」の原型と考えた方がいい。

昭和6年岡山の歩兵連隊に入隊した棟本博(長門裕之)は同じ中隊に配属され、山田正助(渥美清)と出会う。新兵は二年兵から厳しいシゴキを受けるが、山田は不況下でも三度の飯が食え風呂にまで入れる軍隊はまるで天国だと棟本にもらす。秋になり外出で花街の中島に出かけた2人は、そこで新兵いじめ常習の原二年兵(西村晃)を、それとは知らずに襖越しにからかいビンタを食らう。 これをキッカケに山田は原が満期除隊の時に復讐するつもりであった。しかし原の除隊前夜仲間に焚きつけられ仕方なく相撲を挑むが本気で取り組まぬ原に業を煮やした山田は投げ飛ばしてしまう。痛がる(振りをする)原を寝台へ運んだ山田は懸命に謝りながら腰を揉む。

昭和7年、二年兵となった棟本と山田たちは、今度は逆に新兵をシゴキはじめるのである。ある休日外出の際、山田が泥酔し門限を破ってしまい、5日間営倉へ入る懲罰を受ける事になってしまった。中隊長の堀江(加藤)は情に熱い人物であり、山田が居る営倉に入り共に正座するのである。晴れて山田の懲罰が解けたある日、堀江は山田に読み書きを勉強させようと、入隊前に代用教員をしていた初年兵の柿内二等兵(藤山寛美)を専属の教師に付ける。乗り気ではなかった山田も次第に読み書きが出来るようになり、のらくろも読めるようになっていく。

同年11月、天覧の秋季大演習。写真ですら天顔を拝した事が無かった山田は、実際の天皇の優しい顔立ちに感激して親しみを抱く。2年間の現役兵期間が終わり近くなった12月、堀江中隊長は無一文で入隊した山田に対し、満期除隊の際に着て欲しいと紋付の羽織と袴をプレゼントするほか、果樹園で働けるように手配するなど最後まで山田に親切に接し朝鮮竜山の連隊へ転属していく。

昭和12年、支那事変に伴う招集により再び兵役についていた棟本と山田は、南京が陥落したことを知る。仲間の兵隊たちは「これで戦争が終わる」と喜ぶが、帰るところがなく軍隊が天国だと思っている山田は自分だけは軍隊に残してもらおうと「ハイケイ天ノウヘイカサマ…」と手紙を書き始める。しかし、天皇に直訴することは不敬罪に当たるとして書きかけの手紙を棟本に取り上げ破り捨てられてしまう。結局、日中戦争は終結せず棟本や山田も戦地へ赴いた。
昭和13年、中国では昔の中隊長であった堀江はすでに戦死し、棟本も台児荘の戦闘で重傷を負う。負傷除隊後、自らの経験を出版し人気作家となった棟本は昭和16年、九州で講演した際に、炭鉱夫として働く山田と再会する。その後、戦局の拡大のため棟本は従軍作家に、山田はまたも招集され兵士として、堀江が戦死した中国で終戦を迎える。

戦後、作家としての仕事を失い土浦で困窮生活をしている棟本夫妻のもとに浮浪者のような姿の山田がひょっこり現れる。買い出しに行った山田は土産と称しニワトリを持ち帰るが、出所を聞かれ棟本は日本人同士で盗みを働くことに烈火の如く怒り山田を追い出してしまう。その後、児童文学作家として再出発した棟本は、取材中の日光で喧嘩別れした山田と出会い再び交際が始まる。奥日光開拓のため入植していた山田はたびたび棟本夫妻を訪ね、同じ長屋の戦争未亡人手島国枝(高千穂ひづる)に片思いで惚れ込んでしまう。高給を得るため華厳滝から自殺者を収容する職につき、子持ちの手島と暮らす日を夢見る山田だ。でもあえなく振られてしまうが。。。。

日本軍版「フルメタルジャケット」と考えればいいだろう。(フルメタルジャケットの方がずっと後であるが)最初いじめられた後、手のひらを返したように自分たちがいじめる。初年兵を二年目以降の人間がいじめる姿がいやらしい。
小林信彦に言わせると、森繁久弥と違い、渥美清に大卒の人間を演じさせるのは無理だという。自分の大学を出るような役をやらせると、抜群なんだけど。一人称で映画をリードする棟田を演じる長門博之はもともと喜劇役者でないし、キャラ的にインテリ崩れが出来る。
映画では藤山が文盲の男渥美に国語を教える設定、これには無理があると思う。2人は同類同士なのに
それによって、藤山らしさがまったく見えないのが残念だ。
世紀の天才藤山寛美については別のコラムでじっくり語りたい。

脇役が懐かしい。「男はつらいよ」のマドンナに通じる高千穂ひづるが美しい。没落未亡人役が適役だ。棟田の妻役である左幸子がよたっていない。山下清が突如出てくる。一言はなすだけなのにこれは滑稽
桂小金治が懐かしい。自分が子供の頃には寄席番組というと彼のイメージが強い。日活にもずいぶん出ていた。

渥美清のパフォーマンスはいずれにせよ楽しめた。

映画「黄金の七人」 

2013-09-06 06:02:57 | 映画(欧州映画仏以外 )
映画「黄金の七人」は1965年のイタリア映画だ。

ルパン三世の原型とも言われる.
「オーシャンズ」シリーズなどこの映画をベースにつくられたものは多い。

スイスのジュネーブにある「スイス銀行」の大金庫は万全の備えをもつ最新式のものだ。扉は電子装置で開閉、地下には坑道をめぐらし電気写真装置、侵水装置などその防御設備には近代化学の粋がもりこまれている。そして中に眠っているのは時価数百億円の金ののべ棒。ある冬の日、真黄色に塗った道路工事の車と、オレンジ色の服を着た六人の男が、道路に穴をあけ地下にもぐっていった。しかし彼らはヨーロッパよりすぐりの泥棒だ。しかも向いのホテルの一室では、リーダーの“教授”とよばれる男アルべール(フィリップ・ルロワ)が、情婦のジョルジア(ロッサナ・ポデスタ)を傍わらに無線通話機、レーダーで総指揮をとっている。特製ドリルで大金庫の底に穴をあげた男たちは午後一時、計画通りに仕事を完了。

時価五億円の金ののべ樺は“銅”という名目でイタリアへ発送されてしまった。「教授」とジョルジアは夜行列車で、あとの六人は車で出発。落合うところはローマ。ところがジョルジアはスイス銀行の支配人としめし合せて、「教授」を眠らせて横取りを計った。しかし役者は「教授」の方が一枚上で計画は見事に失敗。彼は金を独占と思ったが、愛する女は憎めないし、六人も黙ってはいないが。。。

子供のころ、至る所に「黄金の七人」のポスターが街に張ってあった。
小学生の自分が見ても、実に刺激的なポスターであった。ヒロインがかけているメガネが妙に刺激的でドキドキさせられた。

何はともあれ、ヒロインであるロッサナ・ポデスタの美しさに目を奪われる。この当時の日本映画の美人は確かに美人だが、今と比べるとちょっと古臭さを感じさせる。でもロッサナ・ポデスタからはまったく感じさせない。イタリア美人の奥深さだ。