映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日間」

2013-01-31 20:03:22 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「ライフオブパイ トラと漂流した227日間」を劇場で見てきました。

200日以上も虎と一緒の船で漂流するという話自体がおもしろそうで行って来ました。
見てみると映像の美しさは天下一品、さすがアンリー監督とうなった作品でした。

カナダ人ジャーナリストが1人のインド人からネタを得るためにインタビューに行く。
その昔すごい体験をしたらしいという彼から昔話を聞きだした。

舞台はインドのポンディシェリだ。
帝国主義の時代、列強がアジアに進出した。その時代にはフランスがインドの拠点港としていた。
主人公パイの家はそこで動物園を経営していた。少年時代彼がいじめを受けていた話からスタートする。
もともと名前はピシンという。これはフランス語では「プール」の意味だけど、インド語で「立ちションベン」のことだ。何かというと同級生たちからバカにされる。それで彼は自分の名前のPiは「パイ」と呼ぶといいだす。数学のπだと。
そして円周率の値を小数点以下限りなく覚えだす。見直される主人公だ。
主人公は舞踊学校で打楽器を奏でる。そこで1人の少女と知り合う。
生活に張りが出てきて幸せな主人公であった。

ところが、両親はポンディシェリで動物園ができなくなる。土地が没収されてしまうのだ。
恋人と別れ、兄とともに家族でカナダに向かう日が来た。貨物船で出発した家族は動物園の動物たちと一緒に旅立った。動物たちを手離さないでよかったのだ。
太平洋を航海して、船がマリアナ海溝に差し掛かったときに強い嵐に見舞われる。
はじめは強風と大雨に見舞われた甲板ではしゃいでいた主人公であるが、船の客室が水浸しになっていることに気づく。
両親は客室にいるのだ。懸命に家族を探す主人公だが、船は沈みそうだ。脱出用の救命ボートが出される。
船員は乗り込めというが、主人公は家族が心配。それでも意を決してボートへ乗り込む。
同時に動物も乗り込んだ。ボートにシマウマが横たわる。オラウンターンがいた。
日が明けて嵐が静かになる。二匹のほかにボートの下からハイエナが出てきて大暴れする。
動物たちの暴れぶりに困惑する主人公だ。
だが、もっとすごい動物が隠れていた。虎だ。
動物園で飼っている凶暴なベンガル虎が隠れていた。下手すると食べられてしまう。
これから主人公の長い旅が始まるが。。。


世界史ではポンディシェリはインドでフランスが開港した港として学んだ。マラッカ、ボンベイなどど比べると単語の長さで覚えにくかった記憶がある。今回映像で見るのは初めてだ。コロニアル文化の匂いがするいい街のようだ。
イントロで動物園が映し出される。動物たちが動く姿は何てきれいな映像なんだろう!!
さすがアンリー監督と最初からうなってしまう。

アンリー監督といえば、台湾の出身だ。「恋人たちの食卓」をはじめとした父親三部作で名を売った。
「恋人たちの食卓」で映す中華料理はよだれが出そうなくらい食欲をそそった。
そのあと「グリーンデスティニー」を撮る。これはアクション映画史上に残る傑作だと思う。
色彩設計は美しく、チャンツィイー、ミシェル・ヨーの優雅に格闘する姿はこれまでの武侠映画と何か違うものを感じさせた。伝統的なワイアーアクションを使った立ち回りも空間を縦横無尽に使い切っている。
そして「ブローバックマウンテン」で故ヒースレジャーと男色映画を撮った。
そのあとは過激な表現で中国では珍しい男女の絡みを撮った「ラスト・コーション」だ。これも良かった。
世界に名だたる大監督といっていいアンリー監督が今回おもしろいテーマを選択した。
時間をかけてつくったようだ。

虎が出てきたが、あまりにリアルなので驚いた。
本物の虎が暴れているかのごとくだ。CGと聞いて本当?と思った。他の動物たちも同様だ。

海に浮かぶシーンでも、トビウオのシーン、蛍光のくらげのシーン、大きなクジラが飛び上がるシーンなどはあまりの美しさに感嘆した。


言葉でこの美しさを説明するのはなかなか難しい。
ファンタジックなストーリーと映像のハイセンスさに感動した作品でした。
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阪神エリアに出張

2013-01-31 05:47:23 | 散歩
阪神エリアに出張してきました。
空港から阪神甲子園駅に行くとこんな看板が

吉田や福本の顔を見るといかにも関西ぽくていい感じだ。

由緒ある場所へいく。








これは凄かった。
芦屋からバスに乗って六甲の山へ、有馬温泉に向かう。


夜の露天風呂はなかなかいいものだ。

二日酔いで迎えた有馬の朝

再度芦屋に向かう。
芦屋川のまわりは素敵なエリアだ。


こんな建物がいくつもある。
首都圏にはなかなかないエリアだ。

川沿いの高級イタリアンで昼食を
一戸建ての建物だ。リボンが建物に結んであるのは凄い

コースでカボチャのムースを食べた後
ショートパスタは鴨との取り合わせ

メインは魚を選択
タイを上手に料理してある。

デザートも重層構造だ。

トイレにマウスウォッシュがおいてあるレストランもめったにない。

FLライト設計の建物を見る。
大谷石が印象的だ。

中のディテイルがすごい。

小窓から日がはいる。

昭和初期に凄い腕の職人がいたものだ

ダイニングを出ると屋上だ。芦屋の街が一望

目の保養になった。
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映画「リンカーン弁護士」

2013-01-29 04:30:17 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「リンカーン弁護士」をdvdで見た。

予想以上にこれはなかなか面白い。
直近にdvdで見た映画では一番良かったかもしれない。

2012年公開の法廷モノである。主人公は異色な弁護士で基本はワルと言ってもいい。偉人のリンカーンとは一切関係ない。リンカーン・コンチネンタルが事務所代わりというわけだ。依頼者もワルが多い。司法取引で依頼人の罪を軽くするのが得意だ。金持ちの青年が女性に重傷を負わせた事件の依頼を受ける。冤罪の疑いもあったが、弁護を進めているうちに用意周到な罠にはめられている話だ。

主人公ミック・ハラー(マシュー・マコノヒー)は黒塗りのリンカーン・コンチネンタルの座席を事務所代わりに、敏腕弁護士として活躍している。少々強引な手も使いつつ軽い刑でおさまるよう司法取引を成立させ、麻薬売人や娼婦といったアウトサイダーたちを助けている。
ある日、保証金立替業者ヴァル(ジョン・レグイザモ)から、資産家の青年ルイス・ルーレ(ライアン・フィリップ)が女性への暴力事件を起こしたことを知る。金になると目論んだミックは拘留中のルイスと面会し、保釈手続きを取る。元妻で検事のマギー(マリサ・トメイ)は女性の被害がひどいと保釈に反対するが無事保釈となる。保釈後、案件調査を依頼する情報屋のフランク(ウィリアム・H・メイシー)とともにルイスと再び会い、事件について詳しく聞く。
ルイスによれば、当日夜、バーで知り合った26歳の女性レジーナに誘われるまま彼女の自宅を訪ねた。着いた途端に背後から頭部を殴られ失神し、近所に住むゲイのカップルに取り押さえられた。賠償金目当てとした計画に自分がはまったと主張する。

しかしフランクが入手した捜査資料によると、被害者は自宅を訪れてきたルイスに突如暴行され、首にナイフを当てられながらも瓶で彼を殴り命からがら逃げたと証言している。ミックはいつものように司法取引でまとめようと提案する。ルイスは無罪を主張し法廷に持ち込もうとする。
バーの監視カメラの映像から被害者がルイスを誘惑する姿が確認された。彼女が売春婦であることもわかる。この重要証拠を手に担当検事ミントン(ジョシュ・ルーカス)に起訴を取り下げるようもちかける。それでも現場にルイスの所有する血まみれのナイフが発見されており彼による仕業だと検事は確信していた。その時、顔の右半分に怪我を負ったレジーナの写真を見た主人公は、4年前の事件と被害が似ていることに気づく。それは、女性がレイプされ惨殺されるというもので、容疑者マルティネス(マイケル・ペーニャ)の弁護を担当したミックが無罪を主張する彼に無理やり罪を認めさせ、司法取引を行い終身刑となった。今回の件でマルティネスに面会しに行ったミックが意外な事実に気がつくのであるが。。。。

軽快なモータウン系のソウルミュージックのテーマが流れスタートする。運転手以外は黒人はあまり出てこない映画なのに、「黒いジャガー」や「スーパーフライ」のような70年代の黒人映画のようだ。粋な感じだ。

法廷物の傑作は多数あれど、この映画は今まで違うストーリー展開だ。
かなりヒネリを効かせている。
元々敗戦濃厚の法廷勝負を逆転するというパターンが正統派の法廷映画である。これはまったく違う。
この弁護士の人間像はジョントラボルタ演じる「シビルアクション」の弁護士が似ているかな?金の亡者で儲け話に目がなく、法廷で戦う前に和解で勝負を決するというのが得意だ。でもジョントラボルタは稼ぎが少ないのでやめようと思った事件をもしかして大儲けできるかもしれないと引き受ける。この主人公ではただ単に依頼主が金持ちということだけで、軽い気持ちで受けたのである。こんなもつれた話が裏にあるとは気がつかない。依頼主が冤罪だと主張する話を最初は信じるが、思わぬほかの事件とつながることに気づき唖然とする。
法廷物の傑作中の傑作「情婦」にもつながるかもしれない。自分がやったことを否定する被告というのが共通点。「情婦」は最後の最後に予想もしないような出来過ぎともいえる結末になる。ここでは途中で犯人を示してしまう。でも周知されてもその犯人が逮捕されるわけでない。。
謎が解けても、どうオチを作るのかがポイントになる。
話の展開は今までの法廷映画と違う面白さがある。

主役のワル弁護士はうまい。それ以上にいつもながらの絶妙の女っぷりを見せるマリサトメイがいい。若き日の「いとこのビニー」と違った一面を見せてくれた「その土曜日午前7時58分」の情婦役「レスラー」のストリッパー役では抜群の美乳を見せてくれた。今回はその面では期待はずれだが、年齢からしてもう限界なのであろう。社会の底辺でもがく役でなく今回検事役だ。でも彼女しか出来ないんだろうなあという役を見事にこなす。たいしたものだ。

あとは情報屋を演じるウィリアムメイシーがいつもながら特徴のある役柄だ。今回は元警官だという情報屋。ジョングッドマンあたりもそうだけどアメリカってこういう性格俳優多いんだよなあ。
実によくできた映画だ!
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映画「テッド」

2013-01-28 19:12:27 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「テッド」を娘と一緒に劇場で見てきました。
卑猥な表現の連発で若干下品だけど、途中笑いの渦に包まれ、楽しく見れました。

主人公の少年時代を映す。
8歳の少年は友人に恵まれずに1人で遊ぶことが多かった。彼はクリスマスにテディベアの縫いぐるみを買ってもらう。友達のいない彼はテッドと名づけたテディベアが話をしてくれたらいいなあと思っていた。
そういう願いをかけたら、なんとテッドは話を始めてきた。ビックリして両親に報告したら、2人とも卒倒する。マスコミも黙ってはいない。テッドはテレビショーにも出演して、そのパフォーマンスを全米に披露する。

27年の月日が流れ、主人公(マークウォールバーグ)も35歳になっていた。
ロリー(ミラクニス)という恋人ができた主人公はレンタカー屋の従業員になった。寝坊で遅刻したり仕事に身が入っていなかった。休日にはテッドと共にマリファナを回し子供の頃のように『フラッシュ・ゴードン』のビデオを見てダラダラと過ごしていた。ロリーとは交際4年になるのにいまだに結婚する決意もできない。ロリーは会社の上司から繰り返し誘われていた。
それでも交際4年目の記念日の晩、二人は高級レストランで食事をした。家に帰ると、何人もの売春婦を呼んで乱痴気騒ぎをしているテッドにロリーの怒りが爆発。

ロリーに促され、ジョンはテッドに家を出るよう提案する。テッドは素直に1人アパートに移る。こうして二人は初めて離れ離れの生活を始めるが。。。

この作品はセス・マクファーレン監督の趣味が前面に反映されている映画だ。映画の名前やテレビのヒーローの固有名詞が次から次へと出てくる。映画の題名もブルースリーの「死亡遊戯」や「ブリジットジョーンズ」の話などと、かなりオタク系の男と見た。
セス・マクファーレンはタランティーノのような奴なのであろうか?

何せ楽しいのがアメコミ映画「フラッシュゴードン」の主演のサム・ジョーンズが出現する場面だ。残念ながら自分は知らないヒーローだけど一般アメリカ人にとっては「ウルトラマン」や「仮面ライダー」に匹敵するヒーローなのかもしれない。主人公が本物のジョーンズに会ってウキウキして飲みすぎてしまうシーンは笑いも誘うが、気分をハイにさせてくれる。
他にも「グリーンランタン」がカメオ出演したり、サラ・ジョーンズが出てきたりするのがいい。

先入観で「テッド」はぬいぐるみらしく子供の声かと思っていたら、おっさんの声
監督セス・マクファーレンの声だ。
これがいい。まあよくココまで言うと思うほどの卑猥さである。
マークウォーバーグは「ファイター」では身体もムキムキにしてボクサーを演じていた。今回は最初に名を売った「ブギーナイツ」で見せたようなキャラクターで親しみが持てる。ブギーナイツと映画の系統が似ていて、サタデイナイトフィーバーのダンス踊るときなんか楽しそう。「ディパーテッド」などのシリアスな役柄よりこの映画のキャラの方が本当の彼なのかもしれない。音痴な歌もご愛嬌だ。

「ブラックスワン」でナタリーポートマンのライバルのバレリーナを演じたミラクニスは適役だ。相変わらず色っぽい。見ようによってはちょっとアバズレ系にも映る彼女がここでは生き生きと演技をしていた。
恋人が腐れ縁のテッドとなかなか離れられないのにやきもちをやくところが可愛い。

それにしても笑いっぱなしだった。
卑猥な会話の連発で横に座っている娘を気にしたが、ひたすら笑っていた。
映画館でチケットを購入する際に係員がじっと娘の学生証を見ていた。そうだ15禁!なんだ。
子供の頃、テレビの「プレイガール」や「時間ですよ」の卑猥なシーンが始まると親子ともども黙ってしまったものだった。でも、濡れ場があるわけでもないのでこんな程度だったら大丈夫かもしれない。

楽しかった。

コメント (2)
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映画「ヘンリー・アンド・ザファミリー」

2013-01-24 21:30:09 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ヘンリー・アンド・ザファミリー」はDVDスルーになった2012年の作品だ。
ジュリアロバーツのプロデュースという情報と天才少年とそれを取り巻く、実父、実母そして異母姉との関わりの物語というのでなんか面白そうだ。
トニ・コレット「リトルミスサンシャイン」キャメロンディアスの姉役を演じた「インハーシューズ」の演技が印象的、マイケルシーンも何度も映像で出くわしている。「フロスト×ニクソン」がいいかな
ただ、この2人の主演ではさすがにDVDスルーになってしまうのは仕方ない。

映像はまず母(トニ・コレット)の子供の頃を映す。
彼女は保安官の娘、4人の兄が大きくなったときに生まれた子だ。末っ子で自由奔放に育った。
彼女が子供を生むシーンになる。女の子が生まれると聞いていたのに、生まれてきたのは男の子だった。
ヘンリーと名づけられた赤ちゃんは9ヶ月にして突如言葉を発する。驚く母親と祖父だ。
祖父は自慢の孫のことをまわりに言いふらす。たちまち新聞にも取り上げられる怪童になる。
幼稚園でも、キリスト教系小学校でも周りの生徒とはレベルが違いすぎる。「神はいない」といいきり抜群の成績なのに神学系の学校を首になる。
そして大学へいきたいという息子の希望を聞き、飛び級で大学を受験する。制限時間をはるかに下回る時間で完答する。そんなヘンリーには一つの疑問があった。自分の父親が誰か?というのだ。祖父がその秘密をぽつりと言う。ヘンリーは試験管ベイビーだったのだ。


一方大学教授のオハラ(マイケルシーン)を映す。彼は同性愛に関する本を書く。そのことで娘が学校で「レズビアン」とみんなからいじめを受けていた。それは困ったということでオハラは自分の書いた本をつぎから次へと焼却処分にするのだ。それをたまたま見ていたのがヘンリーだ。
ヘンリーはその本をあっという間に読んでいた。一度見たらその内容を忘れないというヘンリーは教授に読んだよという。本当かなと教授は内容をヘンリーに質問するとすらすら答えるし、「何ページの何行に書いてある」ことまで答える。
驚く教授だ。
教授には以前睾丸がんといわれたことがあった。その際に自分の精子を精子バンクに登録していたのだ。いろいろ調べてみると自分の息子がこの天才児とわかるのであるが。。。

天才少年の話って割と面白い。
「グッドウィルハンティング」もそうだけど、ある意味「レインマン」もそんな様なものだ。
見ていて不思議な気分になる。今回もそれらしき匂いを持つがそれだけの映画ではない。
試験管ベイビーというのは、父親が誰かわからないことも多い。いったいどういう親なのか?
気になってしまうものだ。その結果異母兄弟というのもどこかにいるのかもしれない。
そんな人たちと出会ったらどうなるのか?個々で語られる話だ。

トニ・コレットを見ると、いつもユマサーマンに見えてしまう。そう思うのは自分だけかもしれないがよく似ている。カーティスハンソン監督の「インハーシューズ」では変人の祖母シャーリーマクレーンとぐうたらな妹であるキャメロンディアスとの対比がむちゃくちゃ楽しかった。
「リトルミスサンシャイン」は楽しいロードムービーで、彼女が演じた母親も映画ではいい味出していた。
ちょっとおっちょこちょいのアメリカ女性をやらせると実にうまい。ここでもそうだ。
この映画で、息子が超飛び級で大学に進学する際、学長とそのあとの奨学金を交渉する場面が出てくる。
この2人の掛け合いが実に楽しい。

この少年は基本的に見たものを写真のように記憶してしまう。
以前「なぜかれらは天才的能力を示すのか」という本を読んだことがある。その中に書いてあるサヴァン症候群の子たちと同じようなものだ。少年が本をあっという間に一字一句覚えてしまうシーンがある。そこまでの天才児にはなかなか会わないなあ。映画でいえば「レインマン」のダスティンホフマンを連想する。

娘がなかなか勉強しないので、最近世界史を付き合うようになった。どうやったら用語を頭に刻み込んで覚えられるのか?自分でも実験しながらやっている。でも何度も繰り返しても、なかなか覚えづらい用語がでてくる。写真のように一回見て頭に焼き付けるなんて、そうなりたいと思うけど無理なんだろうなあ。。。。

町のゲームセンターへ行って、ヘンリー少年が姉と一緒にシューティングゲームをするシーンがある。
少年は撃ちまくってものすごい点数をたたき出す。
そうすると、彼が「このプログラムはある漸化式に基づいて出現するパターンだ。」という。
すごい能力を見せ付けておいて商品でもらった縫いぐるみをバスで同乗した人にあげてしまうのはいかにも子供らしくていい。

この父親は天才ではない。付箋に気になることを書きつめていき、それを部屋の中に貼っていく。
ちょっとした思いつきはすぐ忘れてしまうから、忘れないように書き留める。それを積み重ねて1冊の本を書こうとする。そこら辺のビジネス本にありそうな感じだが、昔でいえば、ショーペンハウエルの本にある話だ。
この父親の心の動きも映画の重要なテーマになっていた。どちらかというと親しみが持てる男だ。

アンバランスな感じがおもしろい小品でした。
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映画「トータルリコール」 コリンファレル

2013-01-23 18:53:34 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「トータルリコール」はコリンファレル主演でシュワルツネッカーの映画をリメイクしたSFアクション映画だ。激しいアクションシーンが見モノだ。

21世紀末の時代設定だ。
大きな化学戦争を経て世界では住める場所が少なくなっていた。人々はわずかな土地を、裕福なブリテン連邦と貧しいコロニーという2つの地域に分けて暮らしている。両地域は地球のコアを貫く巨大なエレベーターで繋がれ、毎日これに乗ってコロニーの労働者はブリテン連邦に通勤する。
コロニーで暮らす工場労働者のダグラス・クエイド(コリン・ファレル)も日常の日々にふと嫌気がさし、リコール社を訪れる。退屈な日常に飽き、刺激を欲した人々は、人工記憶センターであるリコール社の人工記憶を買って不満を解消していた。彼は諜報部員になろうと記憶を植えつけようとしたとき、突然、ブリテン連邦のロボット警官隊が襲撃してくる。クエイドは自分でも知らなかった戦闘能力を発揮して逃げ切るが、帰宅すると今度は彼の妻ローリー(ケイト・ベッキンセール)が襲ってくる。ローリーはクエイドに、記憶を消されて新しい記憶を植え付けられただけで、この世にダグラス・クエイドという人物は存在しない、と告げる。

ローリーを振り切ったクエイドは、行く先で数々の謎のメッセージを受け取り、メリーナ(ジェシカ・ビール)と出会う。メリーナは夢に出てきた女性だったが。。。

自分の理解力が弱いのか、ストーリーの内容がよくわからないまま終盤までいってしまった。夢と現実を交錯するのでわけがわからなくなるのである。内容はともかくアクションシーンは激しいものだし、近未来を映す映像も見応えがある。ここで映すコロニーの映像は近未来映画「ブレードランナー」を意識した感じに見えた。猥雑なアジアンテイストで「漢字」の看板が目立つし、東洋人がたくさん出てくる。

ここで凄いと思ったのは妻役を演じたケイト・ベッキンセールだ。

美人だが最後の最後まで男勝りの武闘アクションシーンを見せる。武侠映画を見ているみたいだ。目つきはオリンピックで活躍した柔道の松本薫を連想させる。最初妻が突如夫に襲ってきたのにはビックリしたが、そのあともずっとアクションが続いた。調べたら監督の奥様みたいだ。ジェシカ・ビールとの女性同士の格闘シーンにはわくわくさせられた。

アクション的には凄いけど、内容がよくわかりづらかったかな?
少し幻惑させられたのかもしれない。
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映画「東京家族」 山田洋次

2013-01-20 21:17:26 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「東京家族」を劇場で見てきました。

小津安二郎監督の昭和28年の名作のリメイクを松竹の後輩山田洋次監督が撮る。どういう手綱さばきをするかが見モノだった。正直小津得意のローアングルショットにとらわれすぎていると同時に、ペースを無理にスローにしている感じが前半部分では強く感じた。
戦争未亡人であった原節子という存在が、平成の世では考えづらい状況にある。そこでつくられた新たなキャラの妻夫木聡と蒼井優が思いのほかよく見えた。前半の超スローペースも2人の存在で適切な速度になる。徐々にハートに響いてくるようになる。
ストーリー展開の意外性はないが、なぜか泣けてくる部分もあった。

ストーリーは言うまでもないであろうが。。。実にシンプルだ。
瀬戸内海の小島(前回は尾道)から老夫婦(橋爪功、吉行和子)が子供たちに会おうかと東京に上京してきた。二人は品川駅につくが、迎えに来た次男(妻夫木聡)は勘違いで東京駅に行ってしまう。夫婦はそのまま東京近郊の長男宅へタクシーで向かう。長男(西村)は開業医を営んでおり、妻(夏川結衣)と2人の息子と暮らしていた。東京に居住の長女(中島朋子)も長男宅に来ていた。次男も夕方には到着して久々の家族団らんとなる。しばらくいることとなるが、子供三人とも忙しい。長男は両親をゆっくり案内しようとしたら急な往診が入ってしまう。長女も商売が忙しいので面倒見れない。次男は舞台の美術の仕事をしていて、夜が遅い。

そのため兄弟話しあって知人の横浜のベイサイドのホテルにいったらどうかということで夫婦で出かける。しかし、都会のホテルにはなれず、落ち着かない。二泊の予定が一泊で長女の家に帰ってしまった。長女は美容院を営んでおり、近所の寄り合いがその日あるので二人はその日泊れない。夫は昔の同級生のところへ行き、亡くなった旧友のところにお線香をあげに行き、妻は次男の家に泊りに行くことになったが。。。

「東京物語」は小津安二郎の最高傑作に推す人が多い。個人的には小津安二郎作品では「浮草」が一番好きだ。情念あふれる京マチ子と中村鴈治郎の芝居が素晴らしい映画だと思う。しかし、一連の小津作品の常連笠智衆と原節子がいちばん素敵なのは「東京物語」だと思う。それだけに原節子のいない部分をどう補うのかが気になっていた。

前回原節子は早めに登場した。そして忙しい長男、長女の代わりに東京のデパートへ連れて行くシーンがある。昭和20年代の映像自体も貴重だが、情感のあるシーンだった。しかも、戦争未亡人で血の繋がっていない相手の親を非常に大事にする。原節子からは今の日本の若い女性からは感じられない気品が感じられる。ここでしゃべる丁寧語のニュアンスは果たして東京物語を評価する外人に通じるのかと思ってしまう。この役は今ではありえない設定だ。どうするのかと思っていた。

ここでは戦死したと前回設定した次男を美術関係の仕事に従事して、あまり金にならない男に設定した。テンポは現代劇そのままにしている。今回蒼井優が出演することは知っていたので、早めにあらわれてくるのかと思わせて、なかなか姿を現さない。見ている自分を少しだけヤキモキさせる。もしかして、前回のストーリーどうりになると見せかけての迷彩なのかもしれない。蒼井が現れた後の展開は予想通りだが、意外にもジーンとする展開に持っていきやすくした。

あともう一つ、夫が昔の旧友に会いに行った時、それまでずっと飲まないでいたのに急に飲みだすシーンがある。風吹ジュンが小料理屋のママという素敵な店だが、ついつい酔っぱらってしまう。あれこの後どうなるんだろうと思わせて、しばらくその結果を教えない。この焦らしもいい感じに思えた。

でも普通で考えるとおかしいという部分は多々あった。
明らかに東急田園都市沿線と思しき長男の家なのに新幹線を新横浜でなく品川で降りるだろうか?という疑問や品川から神奈川に向かってそんなにすぐタクシーに乗ろうとするだろうか?とか年齢設定が妻が68歳となっているが、もう少し上にしないと不自然ではなかろうか?など。。。
震災で公開を遅らせたというが、そんな必要はなかったのではないか。中に震災に絡んだセリフを組み込むが不自然な感じがする。最初のころは、小津得意のローアングルショットとの比較もふまえてちょっとどうかと思っていた。でも途中からそういうことはどうでもよくなった。


橋爪功や吉行和子が途中からずっと良くなってくる。現代的リアリティが見えてくるのである。そうしていくうちに若い2人がいい芝居を見せてくれるのでいい映画だと思えてくるようになった。蒼井優と橋爪功の最後に向けての芝居は自分にはよく見えた。小津得意の切り返しショットで見せる蒼井優がきれいだ。原節子と笠智衆の歴史的な名演を思い出した。山田洋次監督は寅さん映画などを含め、いろんな映画で瀬戸内海を映し出してきた。今回も海の匂いを感じさせる素敵な映像だった。
中島朋子は前回の杉村春子が見せるせっかちな動きと似ていてこの作品の長女役のキャラをうまく演じていた。西村と林家はちょっとどうかな?といった感じだ。なぜか前回それなりに存在感を示した地元で教職員をつとめる娘役の香川京子の存在が見当たらなかった。でも出演者多すぎない方がいいかもしれないのでそれは仕方ないかも。。。

山田洋次監督はまだまだやってくれると思う。
先輩だけにずっと応援したい。
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映画「赤目四十八瀧心中未遂」 寺島しのぶ

2013-01-16 23:12:23 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「赤目四十八瀧心中未遂」を久々にみた。
車谷長吉の直木賞作品の映画化である。

年末、関西にいった時尼崎や天王寺に久々に寄った。そういえばこの映画で両方の町が映っていたなあと思い。ふと見てみたくなった。
寺島しのぶ はこの映画と「ヴァイブレータ」の両方で大胆なヌードを披露して映画界の主演女優賞を独占した。彼女が女優として一皮むけるきっかけになった映画である。見直してみると確かに30少し過ぎの寺島が美しい。


兵庫県の尼崎が舞台だ。一人の男生島(大西滝次郎)が尼崎の商店街の一角にやってきた。彼はそれまでは別の労務者街にいた。主人公は焼き鳥屋の店主勢子ねえさん(大楠道代)と会う。元々は育ちも悪くなく、大学も出た主人公だったが、挫折した。さっそくに勢子ねえさんに住処へ連れていかれる。古臭い風呂なしの共同住宅であった。その一室で焼き鳥屋で使うモツ肉や鳥肉の串刺しをする仕事を始める。その共同住宅には社会の底辺を泳ぐいろんな人たちが住んでいた。娼婦やヤクザ、そして刺青の仕事師彫眉(内田裕也)がいた。
無口な主人公はただひたすらに串を刺してゆく。

住んでいるとその共同住宅では異常な出来事が次々起きていた。
勢子ねえさんの知り合いに綾(寺島しのぶ)がいた。姉さんによれば彼女は朝鮮人。自ら「ドブ川の泥の粥すすって育った女」と言う。兄貴はヤクザだ。刺青師と暮らし、女の背中には一面に刺青が翼を広げていた。無口な主人公もいくつかの事件がきっかけで綾と話をするようになる。綾は生島に自分を連れて逃げるよう懇願するが。。。。

長まわし気味の映像だ。2時間半以上の長丁場になるが、だれない。最初見たときに、尼崎の共同住宅のドツボにはまったような連中に驚いたものである。実際に阪神尼崎駅に降りてみると、その雰囲気がつかめてくる。ストーリーの大枠は上記のとおりだが、一緒に住む社会の底辺にいる連中が絡む小さい話を積み重ねている。その中でも強いオーラを出しているのは内田裕也であろう。長髪の刺青師は演じているというより地でいっているような迫力がある。その内田裕也演じる刺青師が我々に一つの謎を与える。紙で包まれた1つの箱を主人公に「数日間という約束」で預ける。ところが、そのままになっている。どうしたら良いのか?戸惑う主人公だ。

大楠道代はここでも貫禄がある。この2人から出てくる何かは違う。

天王寺駅を映し出した後、動物園や四天王寺、新世界あたりを映す。ついこの間四天王寺は見たばかりだ。ホテル街へも2人でいく。「ヴァイブレータ」の時も感じたが寺島しのぶは場末のラブホがよく似合う。梨園の名門で育った割にそう思わせるのは、東映ヤクザ映画の血筋も流れているからかもしれない。母親からはヌードはダメと大反対されたようだけど、ここで決断しなかったら今の彼女はなかったろう。

主題になる赤目四十八瀧は実に美しい。主人公たちは近鉄電車に乗って三重の赤目口に向かう。それまでにドツボな町を映し続けた後にでてくるので、コントラストが強い。栃木に赴任しているころ、滝をよく見て歩いたものだ。日光の代表的な滝ばかりでなく、那須や隣接県の方もよく出かけた。さすがに冬は寒々しいが、夏は滝が発散するイオンの流れがいい。それにしても赤目四十八瀧には多種多様な滝があるものだ。三重の名張は大阪にいた時は仕事で何度か行ったが、この滝は見ていない。生きている間には一度は寄りたい。

傑作というものは何度見てもいいものだ。

(参考作品)

赤目四十八瀧心中未遂
下流社会で泳ぐ人たち


ヴァイブレータ
ゆきずりの関越路
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6年目の雑感1

2013-01-15 04:55:01 | Weblog
大雪が降った。
映画を見終わって、外を見たら一面の銀世界なのには驚いた。

昨日の朝電車に乗ろうとしたら、大勢の成人式に向かう男性たちがいた。雨が降っていたせいもあるが、女性は目立たなかった。雨で大変だと思っていたら、もっと大変なことになった。
成人式に行くお嬢さんたちが、雪に遭遇して車で迎えにいこうにも無理だろう。かわいそうだ。

よくテレビで成人式で大騒ぎする男たちの映像が出てきた。
袴を着て、お偉いさんの話なんか聞かないで大暴れする構図が目立った。酒も入っているのであろう。
今年いるかどうかはわからないが、人に迷惑をかけるのはよくないとは思う。

でも最近の若者もかわいそうな気もしている。
自分の場合、高校生の時から部活のOB会にでて、酒を飲ませられてきていた。
運動会その他の行事が終わった後も飲んだりしていた。今は高校生に対して本当にうるさい。
コンビニあたりでも未成年かどうかの確認を自分までさせられる。これはこれでどうなのか。
コンプライアンス社会も行き過ぎるとギスギスしてくる。

この間大学の部活のOB会に出た時には、現役学生も来ていて飲んでいた。
4年下の後輩が大学に残って教授になり、いまや顧問の先生になっている。いつも彼は来てスピーチするが、昨年は母校でも不祥事があり、学内で飲酒問題が大きく問われるようになったようだ。
顧問の教授からは具体的に自分の名前と同期の名前が出て、くれぐれも今日は気を付けてくださいと言われた。笑いの世界であろうが、その昔は後輩たちにかなり飲ませていた。アルコール中毒で病院に運ばれるなんて話もあった。でもおおらかだった気がする。自分の一年先輩で死にそこなった人がいたが、その際には顧問の先生が「本物の酒飲みにする」なんて先生が亡くなるまで東京の歓楽街を連れて歩いていかれたものだ。すばらしい先生だった。

体罰の問題も大騒ぎだ。おそらくは加えた顧問の教師には罪の意識がなかったろう。ここまで来たらさすがに社会から強い仕打ちを受けるしかない。自分はこの教師に問題ありと考える。なんでもやりすぎはよくない。

最近中庸という言葉の意味を深く考えるようになった。
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映画「LOOPER/ルーパー」 ブルースウィルス

2013-01-14 18:28:44 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
新作映画「LOOPER/ルーパー」を劇場で見た。
なかなか面白い。

正直SF系は苦手な部類だ。タイムマシンの設定はコメディに使われると楽しいが、殺人がからむと怖くなる。30年後の自分に会うという設定自体が奇妙な感じだが、話自体はよく練られている。単純にもう一人の自分との対決になっていない話の二重性がいい。
若手の人気者ジョセフ・ゴードン=レビットにベテランのブルース・ウィリスを組み合わせる以上に、伏線の親(エミリーブラント)と子供を組み合わせるところが重層構造だ。奇妙な覚醒に浸れるいい映画だ。

2044年のカンザス州が舞台となる。
主人公ジョー(ジョセフ・ゴードン=レビット)がサトウキビ畑の前で一人銃をもってたたずむところに突然、男が飛び出す。縛られて、顔に袋をかぶせられた男だ。瞬時に射殺される。殺された男は、2074年の未来社会から送り込まれてきたのだ。30年後にはタイムトラベルが発明されている。悪用が禁止されているが、犯罪組織はひそかにこの技術を用いて厄介者を30年前に送り返し殺し屋に始末させる。30年後にはそう簡単に人が殺せなくなっている。主人公は30年後から送られる厄介者についている銀の延べ棒をため込んできた。

ある日主人公の前に仲間(ポール・ダノ)が助けを求めに来た。自分の目の前に現れた男がまさに自分の30年後だったのだ。情を移してしまい、男を逃がしてしまう。これ自体は禁じ手である。所属する組織に仲間は追われていて、一瞬かくまうが消される。ミスは許されない。
そして、主人公が懸念していたことが起こる。30年後のジョー(ブルース・ウィリス)が眼前に出現する。プロのジョーが一瞬躊躇する。百戦錬磨のオールドジョーはとっさに逃亡する。仲間と同じように主人公はミスをしたことで追われるようになるのである。オールド・ジョーは特別の意図を持って2044年にあえて乗り込んできたのだ。主人公はサトウキビ農園を営む母(エミリーブラント)と子がいる家に逃げ込むが。。。

普通近未来だと、空を車が走ったりもっと空想的な感じにするけれど、2044年のカンザスは今の延長の猥雑な感じに表現する。車もポンコツだ。そこがいいところだ。タイムマシンというSF的な要素だけだと、実現不能な印象があるが、この映画を見ていると実際にありえそうに思えてくる。
子供のころ「タイムトンネル」なんてNHKのテレビドラマがあった。タイムトラベラーは「昔に戻った時には自分自身には会ってはいけないというルール」を少年雑誌で読んだことがある。昔の自分を変えるというのはいけないことであるはずだ。そういった意味では珍しい設定だ。

ブルースウィルスは適役だと思う。長年アクション映画をやっていて、「ダイハード」などでの不死身のイメージを植え付けてきた。今回は殺し屋なのに30年前の同一人物ジョセフ・ゴードン=レビットは若干未熟な設定だ。刑事物でよくあるが、熟練者と未熟者との対比というのがよくある定石だ。その定石に沿っているだけに、ブルースウィルスの存在感の出し方が優れる。


映画で言えば「ターミネーター」の設定に近い展開も途中から出てくる。シュワちゃん同様、未来から現世に来たブルースウィルスにも標的があるのだ。ここで登場するのが、凄い少年だ。この少年の存在がグイッと映画を面白くして、展開を読みづらくする。SFというより「エスター」のようなスリラー系の要素も加える。
映画を見ている途中で謎解きをしている楽しさが、映画の醍醐味だ。ここではいくつかの迷彩をちらちらさせながら一気に終盤に持っていく。なかなかやるなという印象だ。
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2012年キネマ旬報ベスト10を見て

2013-01-11 20:29:33 | 映画 ベスト
【2012年外国映画ベスト・テン】

(1)ニーチェの馬

(2)別離

(3)ヒューゴの不思議な発明

(4)ル・アーヴルの靴みがき

(5)ミッドナイト・イン・パリ

(6)アルゴ

(7)戦火の馬

(8)ドライヴ

(9)J・エドガー

(10)裏切りのサーカス

1位だけ見ていない。片手落ちで少し反省(後記:その後ニーチェの馬を見た。実につまらない。こういうのを評価する評論家の気持ちがよくわからない。)
2,3位はあまり好きでない。記事をアップしない2012年に見たつまらない映画とした。
10位は悪い映画だと思わないが、少しわかりづらい気がした。それなので記事をアップしていない。

「ミッドナイトインパリ」は自分のトップ作品だ。
「アルゴ」、「ドライヴ」は自分のベスト10に入れなかったけど、スリリングで好きだ。
「ドライヴ」の基盤になった「ザ・ドライバー」を最近見たけど元ネタの方が断然いい。
イーストウッドの「Jエドガー」は少し意外。「インビクタス」や「ヒアアフター」よりいい映画だと思うけど、出演作の「人生の特等席」の方がいいなあ。
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映画「ザ・ドライバー」 ライアンオニール

2013-01-07 06:03:31 | 映画(洋画 89年以前)
映画「ザ・ドライバー」は1978年のライアン・オニール主演のアクション映画だ。
古い映画だけど、この映画は凄い!久々の衝撃である。

昨年、ライアンゴズリング主演の「ドライブ」という映画があった。カーアクションが鋭く、よくできた映画だった。「ザ・ドライバー」はツタヤの復刻盤に新しく出ていた作品だ。どうやら新しい「ドライブ」はリメイクではないが、この映画にベースを置いているようだ。こういう作品があることは知らなかった。

主演のライアンオニールには名前がない。「ドライバー」というだけだ。これは新しい作品も同じだ。「ドライブ」同様、いきなり主演のドライバーのドライブテクニックを見せるための10分強のカーアクションを映す。30年以上前のカーアクションだけれど、凄まじい迫力だ。追いかけるパトカーに追いつかれそうで追いつかれない。このアクションで度肝を抜かれたが、その後の展開もすばらしい!
よくできた映画を見たという感激に浸る。

主人公ドライバー(ライアン・オニール)は銀行ギャングや強盗の逃走を請負うプロの逃げ屋なのだ。
その「ドライバー」はカジノの前で盗難車に乗り待っていた。カジノから出てきたのは売り上げ金を強奪して逃げてきた覆面の男2人で、「ドライバー」は無表情に彼らを乗せ逃走する。パトカーの必死の追跡からうまく逃げきり、仕事の依頼主から礼金をうけとり無表情に消え去った。
「刑事」(ブルース・ダーン)はいつも捜査線上に浮かんでも現場と証拠をつかめない「ドライバー」の逮捕にやっきになっていた。カジノで遊ぶ人から目撃情報を得るように、鏡の面通しをした。よく見ているはずの女性「プレイヤー」(イザべル・アジャーニ)は実際には見たことはないと言った。
そこで「刑事」はスーパーマーケットを襲撃した3人組の1人と「ドライバー」に罠をかけるべく取り引きをする。「ドライバー」に仕事を頼み誘い出すことに成功したら逃がしてやるとする。「刑事」はそのためにナンバーを控えた札をおとりに使う銀行に用意させ、それを強奪させようとするが。。。。


初めの10分強のカーチェイスで度肝を抜かれた後、主人公が駐車場の中でそのドライブテクニックを見せつける場面でその正確さにビックリさせられる。これはメルセデスに乗る。そして終盤にもう一度カーチェイスを見せる。映画は90分を切る映画だが、上の3つを合わせて約30分、これを見ているだけでもすごい。昨年のドライブは純愛的なムードがあり、中途半端になった気がした。この映画では徹底したハードボイルドで、共演する女性もクールだ。その方がいい。

70年代のライアンオニールは絶頂期だった。71年の「ある愛の詩」の大ヒットをはじめとして、「ペーパームーン」「バリーリンドン」と次から次へとヒット作品に出ていた。この作品でも実にかっこいい。しかもクールで、ベラベラしゃべらない。昨年の「ドライブ」では自動車整備工場に勤めている設定だったが、この主人公はもっと孤独だ。定職をもたないし、友達もつくらない。ハードボイルドな匂いが強い。プロのドライブテクニックを見せるシーンでも冷静沈着な雰囲気を醸し出す。

そのお相手で、フランスの美人女優イザべル・アジャーニが出てくる。冷たい感じの美人だ。のちに「王妃マルゴ」をはじめとした名作に出演するフランスを代表する女優になる。英語も堪能だ。この作品では23歳、一番きれいな時だ。


新春早々レベルの高いレベルの映画が見れてよかった。これを発掘したツタヤに感謝したい。

(参考作品)
ザ・ドライバー
ライアンオニールの脅威のドライブテクニック


ドライヴ
リメイクに近いライアンゴズリング演じる近年の快作
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映画「無言歌」

2013-01-06 19:36:38 | 映画(アジア)
映画「無言歌」は2011年の中国映画だ。
国家当局ではまだタブーとなっている出来事ゆえ、中国国内では上映禁止処分になった作品だ。

キネマ旬報2011年のベスト4に入っている。なかなか見るチャンスがなかった。ようやくdvd化された。毛沢東主席主導の「大躍進政策」後の飢饉の時期に右派の思想家が政治犯の収容所に入れられた。その面々の日常を描く。一般市民でさえも飢えをしのぐのが精いっぱいだったと言われる。そんな時期収容所環境がいいわけがない。飢えに苦しむ囚人たちの話だ。
長まわし中心でその収容生活を描くが、変化に乏しく、あまり楽しい映画ではなかった。

1960年の時代設定だ。共産主義の思想対立が続いている中、革命思想に反発する右派の思想家たちがいた。チベットにかかるゴビ砂漠のあたりで、視界に入る場所は一面の荒野という場所に、政治犯の収容所がある。その中では満足な食料も与えれず、苦役に励んでいた。
目的となる農園作りは一向に進まない。収容所の看守たちも、健康状態が皆悪くなることに困っていた。その中に2人の囚人がいた。一人は非常に健康状態が悪く、もう先がないと悟っていた。しかし、もうすぐたつと自分の妻が訪ねてくる可能性がある。亡くなっても自分の死体はそのままにしないで早めに埋葬するよう頼んでいた。そして彼は死にいたる。そんな時上海から一人の女性が訪ねてくるのであるが。。。。

戦後しばらくは戦前の否定として、左翼思想が日本を覆った時期がある。日本は台湾に移った蒋介石総統への恩義もあり、中華民国を承認していた。テレビ放送も中国本土を「中共」と表示していた覚えがある。中国本土の情報は香港経由でわずかに入るだけで、今とは想像もつかないくらい何も情報がなかった。日本の知識人と言われる人たちは共産党およびマルクス経済学、計画経済を崇拝し、資本主義より素晴らしいシステムがあると信じ切っていた。計画経済によって、共産諸国は大きく発展していると想像していたわけである。
ところが、実態はまったくそうではなかった。ソビエトの計画にならい、毛沢東主導で「大躍進」計画が実施された。ところが、技術的な基盤がないために、全くうまくいかなかった。農村は飢饉の状態で数千万人の死者が出たと言われる。1959年あたりにはその実態を政府当局も把握して、若干の軌道修正が図られていたわけであるが、右寄りと言われる政治犯はチベットのゴビ砂漠の近くの収容所にいたわけである。

時代背景はそんなところであろう。
収容所の中は最悪の食糧事情である。一般の人たちに行きわたらないのに食糧が来るわけがない。次から次へと人が死んでいく。別に拷問で死ぬわけではない。つらい話だ。そこへ一人の妻がやってくる。そして自らの夫の死を知り、このへき地で嘆き悲しむという設定だ。
映画自体は凡長な感じで、囚人たちは大変だとは思うが、別に胸にジーンとくるわけでない。

この映画では改めて、共産主義を選択した国の破滅への道をうまく象徴している気がする。
逆の立場で考える。アメリカは戦後マッカーシズムで共産主義者が粛清された時期があった。映画界からも著名な監督や脚本家が追放された。しかし、彼らはこのような収容所に入ったわけではない。
共産主義者として告発を受けた人々を実質的に救ったのは市場経済である。政府から放り出されても、市場で職を見つけることができた。もしも雇用主が政府しかなかったら、告発された人々は路頭に迷うしかなかった。あるいはこの映画のような監禁を受けたであろう。彼らは中小企業、小売業、農業などで職を得た。しかも匿名ながら映画界で生き延びた人物もいる。市場の中で恩赦を受けている。
市場原理主義とののしり、市場経済に疑問を投げかける人にはこういう悲しい事実があることを、このあとの文化大革命に関する映画とあわせて見せつける必要がある。
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映画「最高の人生の選び方」

2013-01-04 22:44:24 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画は「最高の人生の選び方」DVDスルーの人間ドラマだ。
昔から大好きなジェフブリッジスが出演するので見た。いつもながらの飲んだくれキャラで、元メジャーリーガーを演じる。息子のプロ野球選手が病弱の母のために、別れた父を母の元へ連れて帰ろうとする旅路を描いたロードムービーだ。

マイナーリーグのプロ野球選手のカールトン(ジャスティン・ティンバーレイク)は、スランプから脱せず監督から次の試合次第では降格だと告げられる。そこへ母親キャサリンの心臓が悪化し、すぐにでも手術が必要だと連絡が入った。病院へいくと、母キャサリンが手術前に別れた元夫のカイル(ジェフブリッジス)にもう一度会いたいと告げる。カールトンはガールフレンドのルーシーを伴って何年も会っていない父親カイルのいるオハイオへ向かう。
カイルは元・大リーガーの人気スター選手だった。家族との付き合いが苦手だった。サイン会の行列に並んで、父親に事情を話す。しばらくぶりに会う2人の間にはわだかまりがあった。それでも父はヒューストンに行くという。カイルを飛行機に搭乗させようとすると、財布を忘れセキュリティ検査を通れない。ともかく行かねばならないと、仕方なく3人は車でメンフィスへ向かう事にするモーテルに泊まりながらの珍道中が始まる。車を走らせてしばらくして、ガールフレンドがいう。「実は今プロポーズされているの」彼女は昔の彼女だったが今は違う。唖然とするカールトン。しかも1日でも早くヒューストンに帰りたいというが。。。

ごく普通のロードムービーである。いくつか波をつくるが途中に大きな起伏はない。わがままな父親にスポットを当てるがさほど楽しい話でもない。ジェフ以外の出演者は小物だ。しかも上映時間も短い。これではDVDスルーもやむをえないだろう。元妻が自分が手術する前に別れた男に会いたいと思う設定自体が奇妙な感じがする。こんなことあるのって?でもそれよりも離れていた父子が一緒に車の旅をするのが主題だろう。親子関係を取り上げる映画に出会うことが多い。父と娘とか息子の離れかけた関係だ。

ジェフブリッジスは相変わらず絶妙のうまさだ。本当に酔っているんじゃないだろうかと思わせる何かがある。息子に対して「俺なら可愛い娘を待たせて、オヤジと飲んだりしないな」など大人のセリフが冴える。でも他が何もないのがさびしい。ジェフは元メジャーリーガーたる貫禄があるけど、息子の体格は細すぎて野球できる?といった印象だ。
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映画「汚れた心」 伊原剛史

2013-01-03 16:23:30 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「汚れた心」は二次大戦終戦時のブラジル移民を描いた昨年の作品、日本語中心のブラジル映画だ。

正直この映画の存在を知らないまま、洋画のケースでこの作品をみつけた。伊原剛史、常盤貴子、奥田詠二のメジャーな俳優が出演している。どうして洋画なんだろうと思いながらケースから手に取った。見てみると自分が知らなかった歴史の事実が隠されていて、怖くなった。
日本が負けたにもかかわらず、当時国交のないブラジル日本人移民の間では、敗戦というのがでっち上げということになっていた。どっちを信じるかで、日本人同士の争いが起き、多くの日本人が亡くなっていた事実があったのだ。凄い話である。樺太など旧日本領の一部で戦闘が続いていたなどの話は聞いたことがあるが、遠く海を越えたブラジルでこんなむごい話があったということに驚いた。

第2次世界大戦終戦時サンパウロにある日本人街が舞台だ。
そこで写真館を営む高橋(伊原剛史)が主人公だ。妻(常盤貴子)は地元の子供たちに日本語を教えていた。ある時ブラジル人の公安が来て、日本の国旗を破り、日本人を侮辱する事件が起きた。そこで元大日本帝国陸軍大佐という渡辺(奥田詠二)は、同志を募り公安に抗議に向かう。ブラジルに住む日系移民たちは日本に対する正確な情報が得られず、戦争は日本の勝利で終わったと信じきっていた。

しかし、一部の日本人は短波放送で日本が降伏したことを知った。その事実を受け入れる者たちが現れると、それを認めない元帝国陸軍の渡辺らが負けを認めた男たちの粛清を始める。写真館の店主高橋は渡辺により日本刀で刺客に仕立てられた。日本人の仲間同士を消す血生臭い粛清に巻き込まれるのだが。。。

ざっとこういう話だ。
現代のような情報社会でなければ、こんな話があってもおかしくない。日本では戦時中ラジオが普及していたが、ブラジルはまだまだ遅れていたのであろう。日本だって村の名主が言うことに全部従わなければ、村八分になってしまっていたのだ。同じようなことだ。最後はブラジルに渡った小野田少尉も救出されるまでずっとジャングルの中で戦っていた。終戦の知らせは敵の謀略だと信じ切っていた。
戦前の「お国のために」の発想はある意味オウム真理教のような宗教と一緒である。最近は戦後の日教組教育を批判する人も多いが、戦前の教育の方が危険であろう。戦前共産主義者が取り締まられていたが、実際のところハイエクがいう全体主義イコール共産主義的な国家だったというしかない。現代の北朝鮮と同じである。極端から極端になりすぎるのはどこの世界も同じだが、どっちもどっちだ。

もし北朝鮮の国家が滅亡したら、同じような人が出てくるかもしれない。北朝鮮に昔からいる人は、戦前は日本の天皇崇拝、戦後は金日成の崇拝と個人崇拝に慣れている。これが民主主義になったら、内部で抗争が起きるかもしれない。

この話は日本ではタブーなのであろうか?だからブラジルで制作されたのであろうか?右翼が怖くて作れないのであろうか?「ラストサムライ」で明治天皇が臆病な人物に表現されたり、映画「太陽」での昭和天皇の描写などいずれも外国での製作である。メインとなる登場人物は日本人だ。それも一流の俳優だ。

映画「愛と誠」で50近くにして高校生を演じていた伊原剛史はあのおバカキャラから一転精悍な役を演じている。本来はこういう役の方が合うのであろう。意に反して同志を殺さなくてはならない運命のつらい役だ。悪役である元軍人を演じた奥田詠二も左右両方できる器用な役者である。陸軍の大佐が何でブラジルにいるのかが、いささか疑問?だが、こういうキャラの人物が当時ブラジルにいたからこそ日本人同士の抗争が起きたという事実があったのは間違いないだろう。そういった意味では架空の人物であっても実在に近いものを感じた。常盤貴子もこういうシリアスな役がうまくなってきた。40になり良い女優になった。


一見の価値はある気がする。ただこの話のむごさには閉口した。平和な時代に生まれてよかった。
飽きずに最後まで一気に見れた。
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