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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「バレリーナ」アナ・デ・アルマス

2025-08-24 09:47:15 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「バレリーナ」を映画館で観てきました。

映画「バレリーナ:The World of John Wick」ジョンウィックシリーズのスピンオフにあたる新作である。シリーズの世界観を派生させて女性の主人公を登場させる。監督はレン・ワイズマンだ。本音を言うと、最初は観ていたジョンウィックの新作も観る気持ちはなくなっていた。映画館にあるポスターを見るとカッコイイ女性がメインキアヌ・リーブスは控えめになっている。主演はアナ・デ・アルマスだ。なんか気になる作品で映画館に向かう。

暗殺教団によって父を殺された身寄りのない少女イヴは、同じような境遇の子どもたちがいる暗殺者養成組織「ルスカ・ロマ」で表向きはバレリーナの訓練、裏では格闘術を仕込まれる。やがて、成長したイヴ(アナ・デ・アルマス)は殺し屋として活動するようになった。ある殺しの仕事の途中で父親を殺した暗殺教団の手首にあった傷を倒した敵に見つけて驚く。そして復讐の道を歩みむことを決意して教団の拠点での危険な戦いに身を投じる。

手を変え品を変え繰り出されるアクションに圧倒される。

終わったと思ったらまだまだ続くアクションに末梢神経を刺激されっぱなしだ。若干疲れ気味だが十分楽しめた。ともかく主演のアナ・デ・アルマスの頑張りがすばらしい「ジョン・ウィック」マンネリを感じていた観客にも、新鮮さを提供して久々に楽しめるアクション映画となったのはうれしい。

⒈多彩なアクション

とにかく最初から最後までアクションだらけだ。目まぐるしく動くシーンを観ていてアクションの設計が緻密だと感じる。冷静になって観ると、すべての動きが「セリフのよう」にセッティングされているようだ。対決する相手との優勢劣勢が絶えず変わる格闘の動きが計算されている。どれも観客を飽きさせない工夫がある。

スタントコーディネートのジャクソン・スピデルの手腕だろう。主演のアナ・デ・アルマスは期待に見事に応えている。アクションのアイデアを本作でかなり出し尽くしたので、もし続編を作るなら舞台や設定を変えるしかないだろう。

⒉印象に残るシーン

女性中心のアクションだ。タイガーマスクの「虎の穴」のような暗殺者育成所では柔道着を着て大男に立ち向かう。正々堂々と戦うよりも「ズルでも生き残る」ことを叩き込まれるのだ。最初はやられっぱなしでも、男性へのチン蹴りなどズルをしてでも勝つコツを掴んでいく。冷徹な養成所のディレクター(アンジェリカ・ヒューストン)は黒柳徹子みたいな厚化粧で威圧感がすごい。格闘好きのジョンヒューストン監督の娘らしい。

復讐する拠点に向かい、雪景色の何気ないカフェで女性店員との女性同士の死闘は観ていて割れた食器の中で倒れてケガをしないのか逆に心配になってしまう。相手の火炎放射器攻撃にイヴがホースを持って放水で立ち向かう場面は思わず吹き出す。日本の戦争特集でアメリカ軍に火炎放射器攻撃でやられる日本兵を見るのはつらい。水圧の強いホースや消火用の噴射は、火炎放射の炎を押し返すだけでなく、視界を奪ったり敵のバランスを崩す効果があるんじゃないだろうか。「機転で逆境を覆すイヴの戦い方」を象徴する場面だ。

殺しのひと仕事を終えてスポーツカーで立ち去ろうとした時に、唐突にクルマをぶつけられて不意にコワモテの男に攻撃を受けるシーンには驚いた。「終わったと思ってもさらに続く」のだ。当然イヴは相手を退治するわけだが、緊張のリズムを落とさないように見事にアクションが設計されている。ここにはすごいと思った。

⒋アナ・デ・アルマス

最初から最後まで出ずっぱりでアクションを見せる。スタントも使っているだろうが、かなりの部分は本人だ。この撮影をこなすには生傷も絶えないしかなり体力がいるだろう。アナ・デ・アルマスの頑張りを讃えたい。最後に向けてジョンウィックが登場してイヴと対峙する。この話はネタバレなので置いておこう。

アナ・デ・アルマスはキューバ出身で現在37歳だ。もともと「ナイヴス・アウト」(2019)や「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2021)でアナ・デ・アルマスを観ている。自分のブログで振り返ると「ナイヴスアウト」では登場人物が多い群像劇の中でただの脇役でない看護師役として評価していた。「007」ではエロっぽいドレス姿が印象的だ。今後の幅広い活躍に期待したい。

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映画「IMMACULATE 聖なる胎動」シドニー・スウィーニー

2025-07-19 08:37:25 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「IMMACULATE 聖なる胎動」を映画館で観てきました。

映画「IMMACULATE 聖なる胎動」はアメリカからイタリアに渡った修道女をめぐるホラー映画。「鬼滅の刃」に映画館が占領されてたいした新作もなくお休みしようかと考えている矢先に、日経新聞の映画評で名著「批評の教室」北村紗衣が5つ星をつけている。通常であれば絶対スルーの映画なのになぜか気になる。

北村によれば、清純なはずのキリスト教の修道女が悪徳にふけったり、悪魔に取り憑かれたりする様子を描いたエクスプロイテーション映画(センセーショナルできわどい題材を扱う低予算映画)だそうだ。東映のエロ路線で1974年の「聖獣学園」という多岐川裕美が唯一脱いだ映画があったのを思い出す。なんとなくアナロジーを感じて、気がつくと映画館に足が向く。

イタリアの修道院へとアメリカから招待された敬虔な修道⼥・セシリア(シドニー・スウィーニー)が修道⽣活に慣れた頃、セシリアが処⼥であるにも関わらず妊娠していることが発覚する。ショックを受けるセシリアに対し、彼⼥を次の聖⺟マリアとして崇め、妊娠を祝福する同僚たち。

しかし、⾚いフードを被った謎の集団が現れるようになると、修道⼥の⾃殺や拷問を⽬撃するなどセシリアの周囲では奇妙なことが起こり始める。⾝の危険を感じたセシリアは、頑なに外出を許可しない神⽗たちの⽬を盗んで修道院を抜け出そうとするのだが…。(作品情報引用)

途中から自分にはついていけないホラーの展開になっていった。

多岐川裕美のデビュー作で美乳をさらけ出した「聖獣学園」とこの映画にアナロジーを感じる。修道院内の怪しげな雰囲気はいかにも禁断の女の園を匂わせる。厳格な掟や沈黙のルールは「性的抑圧」がメインだ。「聖獣学園」のように純潔や神への信仰が歪められて支配と暴力に転化する構造はおなじである。カトリック教会が聖母マリア崇拝を通じて女性へ母性や処女性の押しつけていることに対する反逆が主人公の狂気につながっている。怖い!

いきなりホラームードで飛ばしていくというより、ジワリジワリ修道院内の不穏な雰囲気を出していき、ホラー映画独特のドキッとさせるシーンも控えめながら出てくる。その後で「処女懐胎」の場面になっていく。信仰心が厚い修道女が妊娠するのだ。何それ?!と思いつつ映画を観終わっても父親のヒントはない。今まで一度も男性と接したことがない処女であるのにイエスを妊娠したマリアと同じように主人公が修道院でもてはやされるようになる。子どもは人工的に造られた存在なのであろうか?よくわからない。

その後で修道女の粛清が起きる。修道院が行っているのは、宗教という仮面をかぶった極秘の人体実験としか思えない。この実験の成否に関するリスク要因は即排除対象になるのか?まったく意味不明でこのあたりからついていけなくなる。最終局面のスプラッター的転調が異質で完全なホラー展開女性の身体を使って理想を実現しようとする冷酷な支配者たちを敵視する。お腹が大きい主人公は耐えられなくなっていく。

ネタバレなので言えないがクライマックスはすごい衝撃だ。ホラー好きな人にはいいだろうが自分には無理。シドニー・スウィーニーは狂気の熱演だった。これまでと違う路線で製作にも加わる。もともとホラー好きなのかな?

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映画「ストレンジ・ダーリン」ウィラ・フィッツジェラルド

2025-07-16 21:35:00 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「ストレンジダーリン」を映画館で観てきました。

映画「ストレンジ・ダーリン」はアメリカの田舎町を舞台にしたクライムサスペンス映画で監督・脚本は JT モルナーである。物語は全6章+エピローグで構成され、時系列をシャッフルして進行する。予告編では男が女のクビを絞めるシーンが映り、連続殺人事件の犯人をめぐるクライム映画の雰囲気を感じさせた。出演者も無名だしスルーしそうだったのに評判は悪くない。他に優先的に観たい映画もなくピックアップする。

山道を車で逃げている1人の女(ウィラ・フィッツジェラルド)は恐怖の表情でケガを負っている。それをライフル銃を手にした1人の男(カイル・ガルナー)が追っている。森の中へと駆け込んだ女は老夫婦が暮らす家を発見すると必死にドアを叩いて「助けてください」と叫ぶ。

場面は夜のモーテルのシーンに戻る。2人の男女が一夜をともにするかどうか言葉を交わす。そこで女は問い「あなたは、シリアルキラーなの?」男は「まさか」と答える。

先がまったく読めないストーリーで逆転劇を楽しむスリラーだ。

これもネタバレ厳禁なので注意してコメントする。6つのチャプターと最後のエピローグで構成されて、チャプターの順番は「3→5→1→4→2→6」となる。時系列の前後のさせ方が無駄なく、緻密に計算つくされていて抜群の構成力である。

冒頭では女性が男性に追われているように見え、典型的な「女性被害者×男性加害者のシリアルキラーもの」と思い込ませる。ところが、各チャプターで状況が逆転して被害者と加害者の立場がどちらなのかわからなくなる展開は予想外で、途中から面白さが加速する。

⒈優勢・劣勢の入れ替わり

この映画は構造の緻密さと逆転劇を楽しむ作品である。それぞれのチャプターの中でも男女の優勢劣勢が逆転する場面の連続だ。具体的にはモーテルのシーンで「女が刃物で追い詰める →女性の完全勝利→ 男が拳銃で逆転」の構図などシーンごとに逃げ場のない立場の男女逆転が連続するのがスリリングだった。

最後まで観客に「どちらが本当の被害者か加害者か」を考える余裕を持たせず変化するのだ。考える映画というより、振り回される体験型サスペンスとしてスリルを楽しむしかない。立場が入れ替わることで緊張感を最後まで維持している。

⒉登場人物と脇役

男が首を絞めたりクルマで追ったりする「逃げる女」と「追う男」の男女2人の構図のはずなのに途中で立場がわからなくなる。元来の2人のプロフィール詳細は知らなくてもいい気がする。楽しむべきはこの逆転劇だからだ。

そのストーリーを楽しむ上で2人以外の脇役の使い方が絶妙である。女が逃げ込む家の老人夫婦やホテルの従業員など一見無関係の第三者が巻き込まれる。追う警官までも罠にはまって状況がさらに混乱する。脇役が単なる背景ではなく、逆転のきっかけとして重要に機能していた。

⒊舞台設定のリアリティ

日本では防犯意識や近所の目が厳しく、軽い暴力沙汰でも警察がもっと早く出動する。日本ではこの映画と同じシナリオは成立しにくい。このストーリーはアメリカの田舎で「人目がない」設定で無法地帯に見えてくる。だからこそ、これだけ殺人が連続しても実際に“あり得そう”に思わせる説得力があった。

大衆受けする大ヒット作にはならないけど、のちのち「スリラーの傑作」として語り継がれるカルト映画になる素養がある。あのスティーヴン・キングがこの作品を称賛したのも「観客を欺く構造」が強いから納得できる。

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映画「バッド・ジーニアス(リメイク)」カリーナリャン

2025-07-15 19:13:20 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「バッドジーニアス」を映画館で観てきました。

映画「バッド・ジーニアス」は同名のタイ映画のアメリカ版のリメイクだ。タイってこんなに近代化したのかと驚いた作品だ。優秀な高校生がカンニングで答えを教えるのが気がつくとビジネスにエスカレートするタイ映画だった。ストーリーはすんなりいかず、途中からのハラハラドキドキ感がよかった。その時のおもしろさを期待して、二匹目のドジョウを狙って映画館に向かう。アメリカ版ではアジア系のカナダ人のカリーナ・リャン主演である。

コインランドリーを営む父・モウ(ベネディクト・ウォン)と二人、裕福とはいえない家庭で暮らすリン(カリーナ・リャン)。全科目で毎年学年トップの成績を収め、常人離れした頭脳の持ち主だった。高校2年への進級時、リンは一流大学への最短コースとなる名門私立高校から破格の奨学金付きの特待生として迎え入れられる。

転入早々、彼女の案内係のグレース(テイラー・ヒックソン)と仲良くなるが、グレースは落第ギリギリの劣等生。そんな親友を助けるため、試験の最中にリンは消しゴムに答えを書いてこっそり渡してグレースに解答を教え、好成績を取らせてしまう。その才能に目を付けたのが、グレースの恋人のパット(サミュエル・ブラウン)。リンが進学を夢見るジュリアード音楽院の理事も務める富豪弁護士を父に持つパットは、リンの頭脳で学校の落ちこぼれ達を救済する“危険なビジネス”を持ちかけてくる。

期待したほどではなかった。

というより途中で訳がわからなくなりまったく理解ができなくなった。アメリカ版ではSATの試験システムでの集団カンニングが焦点になる。前作では試験の舞台が「タイの一教室」から「国際会場へ」と移る。今回も「カンニングの規模と難易度」がエスカレートする基本的な考え方は同じ。でも、消しゴムを使った古典的カンニングから大きく飛躍しすぎて頭がついていけない

この映画では高校生たちがガラケーを持っている。説明はないが、時代設定は今よりも前ということなのか?実際にSATカンニング事件があったらしい。 SAT特有の“時間差受験”が背景を理解しない日本人には分かりにくい。アメリカではタイムゾーンを跨ぐ国際受験が実際に問題になったことがあるそうだ。

「先に試験を受けて答えを外に送る → 後の時間帯に受ける人に伝える」というスキームは実話がもとになるようだ。突然他人のなりすましで外国人を装った受験の話となると、映画ではルールや仕組みの説明がほとんどないので理解しづらい。

ジョークやコメディーの要素は全くなく、残念ながら頭が混乱したままで映画は終わってしまった。

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映画「ラ・コシーナ/厨房」ルーニー・マーラ

2025-06-15 17:19:43 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「ラ・コシーナ/厨房」を映画館で観てきました。

映画「ラ・コシーナ/厨房」は、ニューヨークの大型レストランの厨房で働く様々なルーツを持つ移民たちのパフォーマンスを描いた映画だ。監督・脚本はメキシコ人のアロンソ・ルイスパラシオス。英国の劇作家アーノルド・ウェスカーの戯曲「調理場」を基にしている。戯曲の存在を知るのは初めて。大好きなルーニー・マーラが出ていることと料理を題材にしている映画は見るようにしているので、早速映画館に向かう。

ニューヨークの大型レストラン「ザ・グリル」の厨房は、いつも目の回るような忙しさ。ある朝、店のスタッフ全員に売上金盗難の疑いがかけられる。加えて次々に新しいトラブルが勃発し、料理人やウェイトレスたちのストレスはピークに。(作品情報引用)

極めて不愉快な映画であった。

ただ、厨房で働く人たちの風景を映し出したカメラワークは素晴らしく、これまで見たことない一筆書きのように連続して厨房内を映し出すショットには驚く。

現代のニューヨークが舞台とのコメントもあるが、ルーニー・マーラ公衆電話を使っていること、事務室の机の上のデスクトップパソコンの型式、厨房へのオーダーのシステムなどを見ると、90年代と想像できる。自分も90年代後半にニューヨークのレストランで食事したことがある。映画の客席はそのときと似ている感じだ。自分は割と大食いの方であるが、あまりに想像を絶する肉とデザートの大きさに圧倒された。当然、厨房の裏側を見たわけではない。

これまで厨房内のパフォーマンスを映し出す映画では「ディナー・ラッシュ」「ボイリング・ポイント」が迫力ある描写をしていた。ここでも厨房内は怒号が飛び交う。せわしなく動き回る料理人たち、立ち込める湯気食材が飛び交う様子など流れるように厨房内を映し出すショットは前述2作をはるかに上回ると言える。ウェイトレスが運ぶお皿が落ちてしまう時には思わず大声が出てしまった。その点では評価して良いと感じる。ただ、働く従業員の一部があまりにハチャメチャなのでむかつくだけだ。

原作の戯曲の内容を知らないが,社会主義思想に基づいた戯曲であろう。このレストランで働いている従業員は、まさに人種のるつぼだ。白人がわずかで、メキシコ系を中心にしてモロッコやアフリカ系など様々な移民が、狭い厨房という空間で、時にはぶつかり合いながら働いているのだ。ストレスや感情をぶつけ合う移民たちの鬱屈した心を表現しようとする原作の意図をメキシコ出身の監督が大げさに表現しようとしている。しかも、従業員の誰かがカネを盗んだと疑われているわけだ。わざと観客を不快にしていることはよく理解できる。

それにしても、厨房内における実質主人公に近いペドロのパフォーマンスは最低だ。周囲にいる従業員をかき乱す行為だけでなく食材を大事にしないのは料理人としてあるまじき行為だ。これを見るだけでとても不愉快になる。料理人としての立場を全く心得ていない。観るのがツラい。映画はモノクロだ。これも食材を大切にせず、単にキレるだけで厨房や客席を汚物だらけにする映像は出せないからだろう。

不愉快になる事は覚悟の上で映画ファンとしては一部の素晴らしいショットを見るために、映画館に向かう手はあるかもしれない。ルーニーマーラは相変わらずかわいい。

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映画「MaXXXine マキシーン」タイ・ウェスト&ミア・ゴス

2025-06-11 21:29:40 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「MaXXXine マキシーン」を映画化で観てきました。

映画「MaXXXine マキシーン」タイ・ウェスト監督ミア・ゴスと三度タッグを組んだ「X エックス」、「Pearl パール」に続く3部作の完結編だ。A24製作で舞台は1985年のハリウッド。ポルノ女優マキシーンがスターになる夢を追い求め、ホラー映画の主役の座を掴むのに周囲では謎めいた殺人事件が続発するという物語だ。

1980年代のロサンゼルスって好きな街だ。その雰囲気が観れるだけで強烈な吸引力だ。正直言って前作「Pearl パール」は自分の好みではないが、ホラーの度合いが弱まるようなので映画館に向かう。

1985年のハリウッド、ロスアンゼルス市民は連続殺人鬼「ナイト・ストーカー」の恐怖に怯えていた。そんな緊迫した状況の中、ポルノ女優のマキシーン(ミア・ゴス)はホラー映画のオーディションに応募する。監督(エリザベス・デビッキ)に選ばれて念願かなって「ピューリタンⅡ」の主役を射止めるが、彼女の女優仲間や親しい人物が一連の殺人事件で次々に殺されていく。

マキシーンの過去のことで私立探偵(ケヴィン・ベーコン)が執拗に接触してくる。その上、殺人事件の犯人がみんなマキシーンの知り合いなので刑事(ミシェル・モナハン)と相棒の刑事からマークされる。マキシーンは監督に迷惑をかけないように自ら行動を起こす。

B級映画のムードがムンムンするサスペンススリラーだ。

ホラー色は強くはなく、続編というより単発のサスペンスとしても楽しめる。ハラハラドキドキの場面が最後まで散りばめられている。

1985年当時のファッションに身を包む面々をクローズアップする。今となっては鈍臭いネオンや良き時代のディスコやレンタルビデオ屋などを背景にしてロサンゼルスの雰囲気が再現されている。基調の音楽も魅力的である。80年代のB級映画へのオマージュも随所に感じられる。セリフも粋だ。ホラー映画でハリウッドスターになったのは誰だなんていい感じだ。

「ナイト・ストーカー」実在した犯罪者の異名で残虐な犯行にロスは震撼した。本物のヒッチコック「サイコ」の家が使用されているのにもビックリだ。

⒈強烈なミア・ゴス

ミアゴスの圧倒的な存在感が見もの。オーディションに現れたマキシーンはいかにもアバズレ女だ。ポルノ女優だったんですよねとの質問にうろたえない返答である。自信たっぷりにハリウッドの製作者や監督の前で堂々と振る舞う。そして胸を出してみてと面接官に言われて服を脱ぐ。

ここで惜しいのはバストを映像にさらさないこと。同年代で主演を張るフローレンスピューは新作でも乳首も見せてくれるのに出し惜しみだ。残念

それでも、ミアゴスは悪党と対峙するアクションシーンも多く危機一髪の状況に何度もなる。こっちもドキドキするようなシーンを堂々とこなしていくのはすごい。

⒉ハリウッドスターを目指す若者

ハリウッドスターを夢見る俳優の卵の話やハリウッドの光と闇を描いた映画は以前から数多く作られている。直近の「ラ・ラ・ランド」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に加えて、デイヴィッドリンチ監督「マルホランド・ドライブ」も当てはまる。ハリウッドではなくブロードウェイだが「イヴの総て」も同じ類だ。映画の途中で「マルホランドドライブ」を示す道路標識も出てくる。

ただ、今回のミア・ゴスは他の新進スターたちと若干雰囲気が違う。スターダムを夢見る人々の欲望は同じでも、エマ・ストーンやマーゴット・ロビー、ナオミ・ワッツ、古くはアン・バクスターイメージは正反対に近いアバズレぶりだ。ポルノ女優出身だと開き直っている。これはこれでいいのではないか。

⒊脇を固めるベテランスター

ケヴィン・ベーコン演じる私立探偵など脇役に曲者を揃えた。登場人物はくせ者ぞろい。まったく訳がわからない存在がいいのだ。

女性陣では、モデル出身の刑事役のミシェル・モナハン、監督役のエリザベス・デビッキはメジャー映画で主人公の恋人役などの準主役的存在だった。殺される女優役のフィルコリンズの娘リリーコリンズ「あと1センチの恋」で主役を張っている。この美女たちを脇に回させるミア・ゴスもすごいではないか。セリフにもあったが、A級のキャストなどの素材でB級映画をつくっている感じで仕上げる。

 

⒋抜群の選曲センス

基調となるタイラーベイツの音楽が良いのに加えて1985年のムードが充満する映像にバックで流れるミュージックのセンスが抜群だ。

 フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド (Frankie Goes to Hollywood) の曲も良いし ローラ・ブラニガン (Laura Branigan) の「Self Control」は映画のムードにあっている。いかにも1980年代後半で昭和の最後のディスコの雰囲気を持つ。

エンディングロールで流れる曲がキム・カーンズ (Kim Carnes) の「Bette Davis Eyes (ベティ・デイヴィスの瞳)」なのにはむちゃくちゃしびれた。この歌詞って意味深。ベティ・デイヴィス「男がやると尊敬される。女がやると嫌われる」という名言も、映画のテーマ性を深める映画の内容にあっている。ベティデイヴィスといえば「イヴの総て」にも出てくる最後はホラー女優で終えた大スターだ。ホラーの名手タイ・ウェスト監督もかなり意識しているな。

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映画「We Live in Time この時を生きて」フローレンス・ピュー&アンドリュー・ガーフィールド

2025-06-09 08:07:59 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「We Live in Time この時を生きて」を映画館で観てきました。

映画「WeLive in Time この時を生きて」は英国映画。卵巣がんで余命短い奥さんがいる若い夫婦の歩みを描くジョン・クローリー監督の作品だ。直近で老人映画ばかりを観ていて、たまには若手人気俳優によるドラマを観てみたくなる。主演は、直近でアメコミ映画で主演もやったフローレンスピューとスパイダーマンのアンドリューガーフィールドだ。余命短いモード映画はどちらかと言うと避けている。いくつかのコメントだと別のテイストを持った展開のようだ。興味半分に映画館に向かう。

時間軸を前後にずらす映画であるので,ストーリーの解説は慎重に。。

アルムート(フローレンス・ピュー)は英国にあるフレンチレストランのシェフ。データ管理の仕事をする会社員トビアス(アンドリュー・ガーフィールド)と交通事故がきっかけで2人は恋に落ち結ばれる。アルムートが懐妊して喜ぶ一方で子宮に腫瘍があることがわかり戸惑う。

映画が始まると、夫婦2人が医師から診断の報告を受けているシーンだ。妻は懐妊してお腹が大きい。卵巣に腫瘍ができているけど、お腹の赤ちゃんが大きいので外科的に子どもを取り出すことができない。シェフの仕事はもう辞めた方がいいと医師からアドバイスを受けている。

その後、夫が送られてきた離婚の書面に署名をしようとしているシーンに移る。「え!あの2人どうなるの?」と思ったらペンが使えなくて書けない。外出してペンを買って戻ろうとしたら交通事故に遭って車にひかれる

痛々しい姿で病院にいると、目の前にいるのは妻だ。ところが、交通事故の加害者だという。「何それ?」しかも2人は初対面のようだ。離婚の署名って別の人との離婚なんだとようやくわかる。

その3つのシーンで時間軸を前後にずらしていることに気づく。いきなりの迷彩に惑わされる。

難病余命ものにしてはお涙頂戴の場面は少なく普通のラブコメのように明るい。

見どころも多い。特に中間点あたりから妻の向上心が強く、ポジティブで希望に満ちた物語に仕上げていく。

主役2人を映す喜怒哀楽に富んだ多種多様なショットが続く場面が室内外色んな場所で撮られているので閉塞感がない。色合いもカラフル。さまざまな変化を見れていい感じだ。シーンの時間軸は前後に大きく移るので当初は混乱してしまう。2人のメイクラブ、結婚、出産、闘病と次々とシーンが増えていくにつれて頭の整理がついていく。

⒈フローレンスピュー

若手のホープで有力作品に次から次へと出演している。いつも体当たりで異色の役柄に挑戦して好感が持てる女優だ。ものすごくパワフルで、直近はアメコミに出演したし、プロレスが題材の「ファイティングファミリー」では女子プロレスラーを演じている。大ヒットしたアカデミー賞作品「オッペンハイマー」では、共産主義者時代のオッペンハイマーの恋人役で、ボリュームたっぷりのバストを見せている。今回も気前よく脱いで乳首丸出しで絡みもかなり大胆で何度もメイクラブする。自信があるのだろう。

これまでの作品に増して凄いと思ったのは,頭をバリカン刈りして丸坊主になる事だ。夫役のアンドリュー・ガーフィールドがバリカンを持って、娘と一緒になって庭でフローレンスピューの頭を丸坊主にしていく。おいおい本気かよと見ながら思わず思ってしまう。丸坊主になると、日本のひと時代前の男子中学生のようだ。丸坊主にした数人の女優たちは、これまで見てきたが、30手前のこの若さで、体当たり演技は評価できる。

⒉赤ちゃん出産シーン

コミカルな見どころの一つだ。妊娠後にクルマで移動しようとして何度も渋滞にハマる。段取り悪いなあと思うけど、設定だから仕方ない。いよいよ出産とクルマで移動する時も、ガソリンスタンドで産気づき、付設のドラッグストアで妻がトイレに駆け込む。もうすぐ生まれそうと病院に行こうと思ったら鍵が開かない。店員も含めてあわててようやくドアを壊して入ろうとすると、赤ちゃんの頭が出そうになっているところで、結局トイレの中で出産してしまう。そんなシーンをコミカルに演じているところが笑いを呼ぶ

⒊ボキューズ・ドール

フレンチの料理の鉄人たちの国際コンクールだ。世界各国から選ばれた料理人が2年に一回集結する。これって以前に映画で見た記憶があるけど、どの作品か思い出せない。メインのシェフとアシスタントシェフの2人で参加する仕組みだ。

アルムートの余命がわずかだとわかり、レストランの若手をアシスタントに指名して挑戦する。競技の調理時間に制限があるので、時間内に終わらせる特訓をしたり、調理の練習中にがんの発作に襲われるシーンもある。もともとフィギュアスケートの選手だったアルムートは根性がすわっている。しかも、余命の間に娘に自分の晴れ姿を見せつけておきたい願いがある。

勝てるとは思っていなかった国内予選を勝ち抜きいよいよ世界戦だ。コンペ前にはアシスタントも頭を坊主刈にして乗り込んでいくのだ。単なるお涙頂戴映画にさせない強い意志を感じる。

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映画「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」 ジューン・スキッブ

2025-06-06 22:03:48 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」を映画館で観てきました。

映画「テルマがゆく! 93歳のやさしいリベンジ」特殊詐欺に引っかかった93歳のおばあさんが犯人に復讐する異色のコメディである。同年齢のベテラン女優ジューン・スキッブが初主演で、復讐の手助けをする老友を往年のブラックムービー「黒いジャガー」リチャード・ラウンドトゥリーが演じる。予告編で観ておもしろそうだなと感じていて、日経新聞の映画評では名著「批評の教室」の著者北村紗衣が5つ星をつけている高評価だ。不作だった先週の公開作から豊作の今週と一転したが真っ先に突入する。

93歳のおばあさんテルマ(ジューン・スキッブ)はひとり暮らしで高齢にしてパソコンを操る。無職の孫ダニエル(フレッド・ヘッキンジャー)が時おり様子を見にきていた。ある日、テルマが携帯電話に出るとダニエルが犯罪を犯して刑務所に入ったとの連絡がある。あわてて娘や孫に電話してもすぐ出ない。続けざまに弁護士から保釈に1万$かかると言われてテルマは郵便局に向かい手続きをして送金する。

特殊詐欺に引っかかったと気がつくのが遅かった。怒ったテルマは老人施設で暮らす友人ベン(リチャード・ラウンドトゥリー)のところへ飛び込み一緒にスクーターで犯人探しをする。

出来過ぎのストーリーでも監督の祖母の実話に基づくので驚く。

「ミッションインポッシブル」トムクルーズのパフォーマンスを真似て、老人ホームから無理やりスクーターで犯人探しに向かう。設定が強引すぎて、なんだこのババアは自分勝手なおばあさんだなあと思うけど、まあ仕方ない。出来のわるい孫や娘夫婦が懸命におばあちゃんの行く先を追いかけるのも笑いを誘う。アップテンポの展開でムダがない。上映時間も適切だ

テルマは老友のほとんどが鬼籍に入ったと嘆く。それでも何人かは生き残っている。旧友のおばあさん宅に行くと犯人を脅すためのピストルをゲットする。そのままスクーターで老友と同乗して探しに向かってもクルマにスクーターをぶち壊されてしまう。途方に暮れてもまだ子どもや孫に頼らずに懸命に探す。「果たしてどうなるのか?」てなところで、別の旧友に助けられるのだ。都合の良い設定だけどまあいいか。

⒈非通知電話の詐欺

テルマが引っかかった電話は非通知だった。出たら息子だと言って、刑務所に入ったので弁護士に代わるというよくあるオレオレ詐欺の手口だ。今の日本でこの手口は古典的すぎて引っかからないだろう。中国や韓国では組織ぐるみの特殊詐欺を扱う映画が目立つ。観るとかなり高度な手口だ。この映画の犯罪はむしろ稚拙なぐらいだ。

直近でも自宅の固定電話に非通知電話がかかってくることがある。家人は固定電話の着信は絶対に出ない。もちろん留守電にしていて、本当に用があればそちらに要件が入っている。一時は海外発信の電話が妙に多かったけど、今は着信拒否。0120も出ない。本当に困ったものだ。それに加えての証券口座の乗っ取りだ。複数認証は必須である。もともとのメールアドレスは詐欺メールだらけになったので引き上げた。

⒉リチャード・ラウンドトゥリー

1971年のブラックムービー流行のきっかけ「黒いジャガー」は続編まで3作製作された。その後リチャード・ラウンドトゥリーはパッとしない時代が続いたが、サミュエルLジャクソンによる「黒いジャガー」のリメイクで主人公のおじさん役を演じた。今回は遺作になるそうだ。存在感ある役で人生締めくれて幸せではなかろうか

「黒いジャガー」の主題歌は当時全米ヒットチャート1位になった。ちょうど、自分が全米ヒットチャートをノートに記録するようになった時期で、当時黒人と白人の曲が交互にヒットチャート1位を奪い合う時期でなつかしい。

⒊ジューン・スキッブとひとり倒れるシーン

オレオレ詐欺には引っかかるけどそれ以外はしっかりしたおばあさんだ。93歳にしては足腰はしっかりしている。ネットもokだ。おばあちゃん子の孫とはいいコンビだ。孫役のフレッド・ヘッキンジャー「グラディエーターⅡ」で愚帝カラカラ帝を演じた奴だと終わってから知った。あの時のバカ殿ぶりは怪演だったな。

予告編でこのおばあさんの顔を見て、この人の映画観たっけかな?と思っていた。改めて履歴を見ると、観た作品が多いのに気づく。「アバウトシュミット」ではジャック・ニコルソンの妻役だし、ブルース・ダーン主演のロードムービー「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」ではアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。改めて11年前の自分のブログ記事を見るとコミカルで抜群の演技とジューンスキッブを絶賛している。すっかり忘れていた。

スクーターを壊された後、相棒のビルとケンカして一人歩きしてグッタリと倒れて動けなくなるシーンがある。自分も似たような状態になった覚えがあり、思わず感情移入してしまった。

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映画「サブスタンス」デミ・ムーア&マーガレット・クアリー

2025-05-18 20:24:04 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「サブスタンス」を映画館で観てきました。

映画「サブスタンス」は、ゴールデングローブ賞で主演女優賞を受賞したデミ・ムーア主演の新作である。残念ながらアカデミー賞の主演女優賞は取れなかったが, 90年代に大活躍をしたデミムーアが復活の狼煙を上げた作品ということで気になっていた映画である。フランスの女性監督、コラリーファルジャの長編2作目である。各種作品賞にノミネートされている作品でもあり、それなりのレベルと考え事前情報は極力入れず観に行く。説明しづらい内容なので、作品情報を引用する。

元トップ人気女優エリザベス(デミムーア)は、50歳を超え、容姿の衰えと、それによる仕事の減少から、ある新しい再生医療<サブスタンス>に手を出した。

接種するや、エリザベスの背を破り脱皮するかの如く現れたのは若く美しい、“エリザベス”の上位互換“スー”(マーガレット・クアリー)。抜群のルックスと、エリザベスの経験を持つ新たなスターの登場に色めき立つテレビ業界。スーは一足飛びに、スターダムへと駆け上がる。

一つの精神をシェアする存在であるエリザベスとスーは、それぞれの生命とコンディションを維持するために、一週毎に入れ替わらなければならないのだが、スーがタイムシェアリングのルールを破りはじめ―。(作品情報 引用)

ホラー映画を超越してスプラッターになってしまったのには驚くしかない。

1996年「素顔のままで」ストリッパー役を演じて、ヌードになった。全裸を披露したデミ・ムーアを見て、美しい裸体だと感じてからもう30年近く経つ。62歳になった。この映画でもヌードを披露しているが,まだまだ現役継続といった感じである。映画の最初でエアロビクスダンスを踊っている場面があるが、躍動感のあるダンスはとても60を超えているとは思えない

とは言っても,ここでは50歳を超えて、プロデューサーにもうそろそろ限界だよと言われている設定だ。徐々に出番が少なくなっていく。自分で自分が嫌になり,危うい再生医療に手を出してしまうのだ。

映画の途中までセンスのある映像だなと思っていた。それぞれの俳優のアップの使い方がうまく大画面で見ると美しくはえる映像である。セリフは決して多くはない。簡潔で内容がよくつかみやすいデミ・ムーアはもとよりマーガレット・クアリーの抜群のプロポーションには圧倒される。いかにもアメリカ映画らしいゴージャスな映像だと思っていた。

ところが,エリザベスの分身であるスーが売れっ子になり,本来1週間ごとに変わらなければならないルールを破り始めてから、もともとのエリザベスの体が極度に老化していくのである。この辺からまさにホラーの色彩になっていく。

エリザベスの特殊メイクは徐々にエスカレートしていき、とんでもない半漁人のようになっていく。これは気持ち悪い。しかも最後に向かっては完全なスプラッター系である。ここまで血が飛びかうとは想像もしていなかった。自分の映像経験で言うと、ジョンカーペンター監督の「遊星からの物体X」に通じるものがある。ともかくまいった。

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映画「JOIKA 美と狂気のバレリーナ」 タリア・ライダー&ダイアン・クルーガー

2025-04-27 07:14:01 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「JOIKA 美と狂気のバレリーナ」を映画館で観てきました。

映画「JOIKA 美と狂気のバレリーナ」は実話に基づく米国からロシアに渡ったバレリーナの物語だ。主役のジョイは米国で実績を積んだ後でロシアに渡り、名門ボリショイ・バレエ団の舞台に立つのが夢のバレリーナだ。バレエが題材でポスターの雰囲気からすると、ナタリーポートマンがアカデミー賞主演女優賞を受賞した「ブラックスワン」を連想する。同じようなサイコスリラーを思わせる予告編を観るとおもしろそうだ。アメリカ人女性で初めてボリショイ・バレエ団とソリスト契約を結んだジョイ・ウーマックの実話が題材だ。

主役のタリア・ライダーは望まぬ妊娠の物語「17歳の瞳に映る世界」で観て以来だ。きびしい指導のコーチ役をダイアンクルーガーが演じる。このブログができた頃は好みの女優で何度も取り上げた。英国ロイヤル・バレエ団でダンサーを目指していたそうだ。レイフファインズ監督のバレエ物語「ホワイト・クロウ」オレグ・イヴェンコは亡命するダンサーを演じた。今回はジョイカの恋人役だ。ストーリーのアップダウンが激しく、次々に展開が変わる映画だった。

15歳のアメリカ人バレリーナ、ジョイ・ウーマック(タリア・ライダー)の夢はボリショイ・バレエ団のプリマ・バレリーナになること。単身ロシアに渡りアカデミーの練習生となったジョイを待ち構えていたのは、常人には理解できない完璧さを求める伝説的な教師ヴォルコワ(ダイアン・クルーガー)の脅迫的なレッスンだった。

過激な減量やトレーニング、日々浴びせられる罵詈雑言、ライバル同士の蹴落とし合い。ボリショイが求める完璧なプリマを目指すため、ジョイの行動はエスカレートしていく…!(作品情報 引用)

とても実話に基づくとは思えないほど紆余屈折が激しい物語。逆転に次ぐ逆転で期待を大きく上回るおもしろさだった。必見だ。

ともかくボリショイバレエ団のプリマバレリーナになるための上昇志向が強い。自信満々で米国からロシアに渡ったのに一筋縄では行かない。アカデミーでのコーチの指導は常に罵声できびしい。ライバルも多い。周囲のバレエダンサーから嫌がらせも受ける。選ばれるために足の引っ張りあいだ。追い詰められて気持ちが空回りしてしまうこともある。何度も理不尽な目に遭う。まともな精神力ではもたないだろう。スポーツ根性モノにも共通する流れだ。

「ブラックスワン」は頂点にいるプリマがライバルの存在に精神の安定を失う映画だったのに対して、この映画は頂点に這いあがろうとするのに次から次へと障害となる出来事が起きる展開だ。副題に「狂気」とあるが、完全に精神の安定を失ったわけでない。むしろ、不屈の精神で立ち上がる。レジリエンスが強いのかもしれない。

⒈ロシア人でないと認められない

同じバレエアカデミーには男性のバレエダンサーも練習している。その中のニコライと仲良くなり時折会うようになる。ジョイは腕をあげて世界最高峰のバレエ団ボリショイバレエ団員になろうと日夜練習を重ねてチャンスをつかんだ。心配で仕方ない故郷アメリカの家族にもいい結果になりそうと連絡する。

ところが、いよいよ選ばれたかと思ったのに選ばれない。何故なの?と嘆くジョイにロシア人でないからだとの無情な声。そこで落胆のジョイは決断する。ニコライと結婚すればロシア人になれると。これもすごい話だ。ニコライの母親立ち会いのもと結婚して証明書を鬼コーチに渡すのだ。あらゆる手段を使って入団しようとする。ここまでやるか!

⒉スポンサーが必要

ボリショイバレエでもプリマになりたい。それにはスポンサーも必要だ。共産圏社会でなくなった後も、旧ソ連、中国は裏の何かが動く社会だ。ビジネスにはコネクションがつきものなのは旧共産圏だけではないだろう。有力者からの接近がありジョイはセットされた夜の逢引きに臨む。這い上がるために女の武器をあえて使う女性ダンサーもいるだろう。裏ではありがちな話だ。ところがそうしなかった。結局は退団を余儀なくされる。

あるマスコミに一部始終をバラすと、逆にマスコミを通じて「裏切り者」とのバッシングを受けて新聞にも記事が掲載されてしまうのだ。あえて結婚したニコライからも白い目を向けられる。悲しい。ジョイは行き場を失い転落する。

⒊何度も窮地に陥る。

ここまで主役を何度も落胆した気持ちに陥らせる映画も少ないだろう。これは最後の最後まで続く。アカデミーでの鬼コーチの指導だけでなく、アカデミーでボリショイバレエ団員を目指して競い合うダンサーの陰湿なイジメでチャンスを逃しそうになる。ボリショイバレエに入ってからも、よくありがちなセクハラに逆らって裏切り者の烙印を受けるし、気がつくとトイレ掃除で生計を立てる始末。

それらのどん底に堕ちる場面を切り抜けていく。運がいいのかもしれない。実はいろんな人に支えられている。最後に向けて思わぬ人から救いの手を差し伸べてもらう。その後でもピンチが訪れる。そんなジョイを捉えるカメラワークも良くハラハラドキドキの展開であった。

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映画「ブリジットジョーンズの日記 サイテー最高な私の今」 レネー・ゼルウィガー

2025-04-17 17:16:09 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「ブリジットジョーンズの日記 サイテー最高な私の今」を映画館で観てきました。

映画「ブリジットジョーンズの日記 サイテー最高な私の今」レネー・ゼルウィガー主演の「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズ第4作である。今回はマイケル・モリス監督がメガホンをとる。公開中の映画ラインナップはアクション映画でも敵討ち物語のような精神を尖らせる題材が多く、つい「ブリジットジョーンズ」に目がいく。これまでの「ブリジットジョーンズ」シリーズは3作とも見ている。ただ、面白かった印象が残っていても、内容を全く覚えていない。

映画「ジュディ」では、ジュディガーランドぽいショートカットでレネー・ゼルウィガーは念願のアカデミー賞主演女優賞を受賞してキャリアに一区切りをつけた。今回はライフワークとも言える役柄に戻って熟年女性になったブリジットジョーンズを見せてくれる。

最愛の夫マーク(コリン・ファース)が4年前にスーダンでの人道支援活動中に亡くなり、ブリジットジョーンズ(レネー・ゼルウィガー)は2人の子育てに追われるシングルマザーとなった。元カレだったダニエル(ヒューグラント)も家族の面倒を見てくれる。昔からの友人たちにマッチングアプリを勧められ、そろそろ新しいボーイフレンド探しでハネを伸ばそうとしていた。

遊びに行った公園で子どものピンチを助けてくれた29歳のロクスター(レオ・ウッドール)と意気投合して付き合い始める。そして職場に復帰する。その一方で、息子の担任の理科教師ウォーラカー(キウェテル・イジョフォー)は融通がきかない教師で母親たちと打ち解けない関係だった。それなのに徐々に距離が縮まっていく。

居心地の良いラブコメで、場面に合わせる音楽の選曲が抜群に良いし視覚的にも楽しめて快適な時間が過ごせた。観て良かった。

欧米のラブコメの色彩設計はどの作品もレベルが高い。ここでも配置する家具やベットカバーやカーテン含めたインテリア設計が素晴らしい。身体にやさしく馴染むストレスを感じさせない色合いだ。キッチンなどの小物のセレクトもプロの仕事だ。昔からの仲間たちが再登場しても、服装のセンスを含めてシャレた中年の匂いがする。ともかく抜群の音楽選曲には驚いた。80年代前後の曲が多くウキウキする。RAYEやJESS GLYNNEの現代歌手の曲の織り交ぜ方が絶妙だ。ここしばらくで観た映画では最もセンスの良さを感じた快適な室内外の色彩や音に注意を向けるだけで、リラックスできた。

レネーゼルウィガーもさすがに歳をとった。シリーズ1作目や「シカゴ」の頃と比較すると衰えは目立つけど、持ち前の明るさで乗り切る。昔ながらの友人も登場してSNSなども織り交ぜたストーリーは現代のネット社会を反映する。女性がかなり年下の男と恋に落ちるパターンは直近の日本でも松たか子の作品でもあった。逆にこれまでは中年男性と若い女性のパターンがいくらでもあった。今後年下男パターンが増えてくるのではないか。

映画界における多様性重視は欧米の映画では当たり前でも,今回は途中からあれよあれよと相性が悪かった黒人教師と近づいていくのが正直意外な展開だ。当初は笛を吹いて生徒に注意ばかりしているめんどくさい教師だった男がいつの間にかブリジットジョーンズと接近していく姿にあぜんとする。

ヒューグラントとコリンファースはいずれも健在だ。やっぱり英国映画だとこの2人がいるだけで引き締まる。ヒューグラントはもともとのプレイボーイがちょっとドジないいおじさんという役柄が上手い。エマトンプソンを加えると、ラブコメ映画「ラブアクチュアリー」の主要メンバー3人となる。エマトンプソンはおばあちゃんになったなと思ったら、自分とあまり歳が変わらなかった医師の役はいかにもインテリのエマにお似合いだ。数多い出演者それぞれに役割を持たせた脚本もまとまっている。

雪の降る年末シーズンの映像が素敵だ。降る雪が恋愛の情感を高める。gooブログの終了通知がショックで今も呆然としたままだが、ラブコメディーは、そのストレスを和らげる効果がある気もした。

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映画「ベイビーガール」 ニコール・キッドマン

2025-04-04 08:57:00 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「ベイビーガール」を映画館で観てきました。

映画「ベイビーガール」ニコールキッドマン主演のA24映画。ニューヨークの女性CEOが若い青年との性に狂う展開は予告編で読める。気がつくともう60近くなのにまだまだ女性として現役であるのを示してくれる。ベネチア国際映画祭最優秀女優賞まで受賞している。

ペドロアルモドバル作品でおなじみのアントニオバンデラスが夫役であっても影が薄く、メインはインターンで働きに来ている青年ハリス・ディキンソンがCEOのアバンチュールのお相手だ。インテリアや美術関係はいかにもアメリカ映画らしくレベルが高い。監督・脚本はオランダ人女性のハリナ・ラインで、女性たちがどういう風にこの映画を観るのかが関心がある。

ロミー(ニコール・キッドマン)はニューヨークのロボティック企業のCEOで舞台演出家の夫(アントニオ・バンデラス)と10代の2人の娘と暮らしている。その会社にインターンとしてサミュエル(ハリス・ディキンソン)が入ってくる。サミュエルが街で狂犬を手なずけているのをたまたま見て気になる存在だった。

たまたまインターンのメンターを指名が可能な制度にかわって、サミュエルがCEOのロミーを選ぶ。多忙なロミーのわずかな時間でのワンオンワンミーティングで、2人は急速に接近する。サミュエルはロミーの満たされない性的欲求を満たして禁断の世界から離れられなくなる。

ニコールキッドマンがひたすらエロい。

女性監督ハリナ・ラインの視線が自分の目線を大きく上をいく。理解を超越する。いきなりニコールキッドマンアントニオバンデラスと夫婦の営みを見せるシーンが出てくる。あえぐニコールが情事が終わるとパソコンを持って別の部屋に行き、ポルノ動画を見ながらオナニーにふけるのだ。え!終わったばかりなのに。そこで好きモノなんだな!?と観客に示してから映画がスタートするのだ。

日本映画「ラストマイル」でも登場したAmazon ぽい配送センターでの自動仕分け機械をような映像が映る。ニコールキッドマン演じるロミーはいわゆる自動化のロボティック産業のCEOということなんだろう。イェール大学出で投資会社に勤めてからキャリアを積んだとするロミーは服装から振る舞いから家庭生活まで完璧だ。

そんな完璧な女性の前に現れた青年サミュエルに狂うようになるのだ。それこそこんな女社長と若い青年なんて題材は往年の日活ポルノやAVにもいくらでもある。でも陳腐にならないのは天下のオスカー女優ニコールキッドマンが登場するからであろう。バックもニューヨークのオフィスと街角と自宅の最高のインテリアだ。ニューヨークのクラブのシーンはゴージャスだ。長身のニコールキッドマンよりも背が高くいい男のハリス・ディキンソンに狂って変態プレイまでやってしまう。サミュエルに関心を持ったロミーの秘書に嫉妬して排除しようとする。

いつもは完璧な二枚目のアントニオバンデラスが妻のニコールキッドマンに夜迫っていくのに、サミュエルと交わるようになると、夜の営みを拒否される。あなたとしてもオーガズムを感じないと言われるシーンが印象的だ。胸毛ふさふさの男っぽいアントニオバンデラスが情けなく見えてしまう。男性監督が描くのではなく、女性目線で描くのに意義がある気がした。ニコールキッドマンのスタイルは今でも完璧で、バストトップや小さ目の乳首も絶妙のショットで見せてくれる。その自由奔放さは世の女性の羨望の眼差しを浴びるだろう。

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映画「エミリアペレス」 ゾーイ・サルダナ& カルラ・ソフィア・ガスコン

2025-04-01 22:17:06 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「エミリアペレス」を映画館で観てきました。

映画「エミリア・ペレス」は本年のアカデミー賞の各賞で有力候補となりゾーイ・サルダナ助演女優賞を受賞したジャック・オーディアール監督・脚本作品。メキシコの麻薬王が女性への性転換手術(性別適合手術)で性別をかえる話が主題で、その手術の手配をするのがゾーイサルダナ演じる弁護士だ。

フランスのジャック・オディアール監督は以前から注目していて、「真夜中のピアニスト」「リードマイリップス」にはいずれも衝撃を受けた。前作「パリ13区」はパリの住む若者の性の乱れを示す性描写がどぎつかった。今回は母国を離れてスペイン語が基調の映画である。ストーリーに先入観を持たずに映画館へ向かう。映画が始まる前にサンローランが 製作に入ることがわかり思わずうなる。

不遇な日々を送る弁護士リタ(ゾーイ・サルダナ)のもとに、ある日、メキシコの麻薬王マニタス(カルラ・ソフィア・ガスコン)から、莫大な報酬と引き換えに「女性としての新たな人生を極秘に用意してほしい」という依頼が来る。そこでリタは、誰にも知られずに性別適合手術を受けたいとの願いを実現させる。マニタスは妻ジェシー(セレーナ・ゴメス)や子供たちからその存在をも隠した。

4年後、エミリアペレスという名の女性として生きるマニタスからリタが呼ばれる。エミリアが亡きマニタスのいとことして、妻と二人の子供を呼び寄せるのだ。

奇異なストーリーに戸惑いを感じた。ミュージカルテイストを持ち見どころは多い。

メキシコというと貧しく、トランプ規制の前は不法移民が次々とアメリカに移り住む印象がある。米国との国境を取り巻く麻薬シンジゲートの話は「トラフィック」などいくつかの作品で映画化された。パリでのセット撮影も多かったようだが、あくまでスペイン語基調で展開されて猥雑なメキシコが舞台だ。

もうすぐ40歳の弁護士リタは自分の力で有罪になるべき事件を無罪に持ち込んでも評価されないでくすぶる。ミュージカルタッチで不満な気持ちを歌って踊って見せてくれる。そんなリタに仕事の依頼が来る。待ち合わせ場所に行くと、怪しい奴らに強引に引っ張られて謎の場所へ車で連行される。そして、ある男と対面する。悪名高い麻薬王マニタスだ。マニタスから女性への転換手術の手助けをして欲しいと言われるのだ。報酬が半端じゃない。バンコクへ行き手術の手配をした後でテルアビブに向かう。

映画の雰囲気になれず頭がついていけない。主役のエミリアペレスであるカルラ・ソフィア・ガスコンはなかなか出てこない。何となく流れがわかっても、ディテールは映画を観終わってそういうことだったとわかることが多い。日本とは別世界で自分の理解度では苦しい映画だった。ラストに向けての展開はいったいどう決着するのか予想がたたなかった

⒈ゾーイサルダナ

ミュージカルテイストなのでゾーイ・サルダナが前半から歌って踊る。性転換後のエミリアペレスが出るまでは完全な主役だ。助演女優賞というより主演女優賞ノミネートでもおかしくない。ゾーイの名をあげたのはもちろん「アバター」だが、リュックベッソン製作らしいアクション映画で殺し屋を演じた「コロンビアーナ」が好きだ。身のこなしに凄みを感じた。ドミニカ育ちスペイン語は母国語だ。あれから12年経っても宴会のテーブルの上でも踊りまくるゾーイサルダナがかっこいい

⒉カルラ・ソフィア・ガスコン

悪さしていた大金持ちがマネーロンダリングのように身を洗浄して異性になるなんて話はあり得そうな気もする。もともと麻薬王は真の存在が世間に露わになっていないし、自らの肖像写真は撮らせないだろう。女性に変身して行方不明者の家族の世話をする慈善事業をやる話も良心の呵責があるからあり得そう。実際には行方不明者にさせたのは自分なのにね。

つい先日ベトナム映画「その花は夜に咲く」トランスジェンダーの主役の映画を観たばかりだ。ここでも主演のカルラ・ソフィア・ガスコンは実際にトランスジェンダーだ。長身のゾーイサルダナが小さく見えるほど身体は大きい。

⒊ジャック・オーディアール監督

ジャック・オーディアール監督は地元フランスを飛び出しスペイン語主体のメキシコで撮る。2000年代に入って「リードマイリップス」を撮った。読唇術の女が主人公で、自分は初めて読唇の世界があると知る。この映画以来読唇に関心を持つ。先日NHKスペシャルでヒトラーの映像からAIにより話し言葉を読唇で読み取りどんな会話をしているか分析する番組があった。おもしろかった。

「真夜中のピアニスト」立退きのためにネズミを放ったりして強引に地上げをする不動産屋がアジア系美人のもとでピアノを習う話だ。そんなユニークな題材の2作でジャック・オディアールが気になる。前作「パリ13区」は18禁映画で多国籍の自由奔放な登場人物の大胆な性の話だ。「エマニュエル」ノエミメルランなどみんな脱ぎっぱなしで「エミリアペレス」も同じように裸を見せるかと想像したが、きわどいシーンはなかった。

 

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映画「ウィキッド ふたりの魔女」シンシア・エリヴォ&アリアナ・グランデ

2025-03-12 20:41:48 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「ウィキッド ふたりの魔女」を映画館で観てきました。

映画「ウィキッド」は同名の人気ミュージカルの映画化である。正直普段はスルーのパターンの作品で公開してすぐは観に行かなかった。ところが、アカデミー賞の授賞式をNHKTVで見た時に主演女優の2人シンシア・エリヴォとアリアナ・グランデ絶妙のデュエットがあまりにすばらしいので驚いてしまう。共演のミシェル・ヨーが授賞式の観客席で感動して涙を流すほどの美声だ。

しかも監督はジョン・M・チュウ「グランドイリュージョン」やラテン系のミュージカル「イン・ザ・ハイツ」は自分の好きな映画だ。躍動感があって良かった。お金もかかっているアメリカらしいエンターテイメント映画を大画面で楽しみたい気持ちになる。観客が少なめの平日に向かう。ものすごく良かった。おじさんでも楽しめる。

主人公は「オズの魔法使い」で西の悪い魔女と呼ばれるエルファバ(シンシア・エリヴォ)だ。おなじみの少女ドロシーがオズの国に迷い込むずっと前に遡って2人の魔女の出会いがこの映画の主題だ。

魔法の国オズの少女エルファバ(シンシア・エリヴォ)は母親が緑の飲み物を飲んで浮気相手と交わった後で肌が緑色に産まれてしまう。高い地位の総督である父親は妹のネッサローズばかりかわいがる。

それでも聡明なエルファバはオズの国のシズ大学に進学する。そこで魔法学部長であるモリブル夫人(ミシェルヨー)は、エルファバの魔法の才能を認める。そして人気者のグリンダ(アリアナ・グランデ)と同室になる。最初は自己顕示欲が強くわがままなグリンダと合わなかったが、次第に仲良くなっていく。

そのエルファバにオズの魔法使いから特別な招待状が届き、御大のいるエメラルドシティに列車で向かうことになる。見送りに来たグリンダを強引に列車に乗せて2人で華やかで陽気なエメラルドシティに行きオズの魔法使いのお城に向かう。

これはビックリ、すばらしいミュージカルだ。映像美の極致である。ビジュアル、ミュージックすべてにおいて抜きんでたエンターテイメント作品だ。

映画を観ておとぎの国にいる夢のような気分にさせてくれる。最終に向けて魔法使いの杖に乗って空を飛ぶエルファバを見ていると、ここしばらくは空を飛ぶ夢でも見るのではないだろうか。

これだけすばらしいと言葉にするのが愚直に感じてしまう。

VFXを駆使した映像は想像できたが、こんな手の込んだセットや凝った小道具はなかなか作れない。あらゆるハリウッド屈指の美術専門家が携わっているだろう。ともかくあらゆるデザインに凝っている。例えば、オズの魔法使いの有力者がいるエメラルドシティに向かう流星形の列車のデザインもすばらしいし、ディズニーランドのようなエメラルドシティに着いた後も、みんなが陽気にダンスをしながら迎えにくるシーンに胸がドキドキする。

⒈シンシア・エリヴォ

実はアリアナ・グランデは知っていてもシンシア・エリヴォは知らなかった。アフリカ系でアカデミー賞の授賞式でもスキンヘッドだ。アカデミー賞の授賞式にスキンヘッドで現れた女性がこれまでいたのであろうか?とにかく歌がうまい。映画が始まりシンシアの歌を聴いて何度も背筋に電流が流れた。これまでトニー賞、エミー賞、グラミー賞など数々の賞を受賞しているんだよね。

そんな活躍でも主人公2人はオーディションで選ばれたと聞いた。アメリカは奥が深い。2人が主人公だけど、少なくともこの前半ではグリンダの方が性格に難があって、エルファバの方が聡明でまともだ。そんなところもシンシア・エリヴォが巧みに演じる。

⒉「ディファイング・グラヴィティ」

アカデミー賞授賞式でもシンシア・エリヴォとアリアナ・グランデがデュエットしていた曲だ。最終局面で主人公2人がハメられた状況になり危機一髪だ。映画が大詰めになった時に2人が歌い出す。訳詞でグラヴィティを重力としている。重力に逆らう、すなわち空中を飛ぶのだ。どうも舞台でも同じ歌が流れているらしい。エルファバは舞台でも空を飛ぶのであろうか?どうなるかと思ったとき続くででた。次回がたのしみだ。

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映画「アノーラ」 マイキー・マディソン&ショーン・ベイカー

2025-03-01 10:17:53 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)

映画「アノーラ」を映画館で観てきました。


映画「アノーラ」カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞作でアカデミー賞でも他部門で候補に挙がっている新作だ。監督のショーン・ベイカーの前作「レッドロケット」では破天荒な元ポルノ男優の破茶滅茶さが印象的だった。いい評価を与える人も多いけど、訳がわからん映画だった。今回はストリップダンサーが主人公で18禁映画だ。よくわからないけど、ともかく観てみようと言う感覚で映画館に向かう。

アニーことアノーラ(マイキー・マディソン)はニューヨークのストリップダンサーだ。ロシア語の話せるダンサーということでロシアの富豪の息子イヴァン(マーク・エイデルシュテイン)に付くとすぐさま意気投合する。勢いでロシアに帰るまで7日間1万5千ドルで彼女になる約束をする。イヴァンの大邸宅でイチャイチャしながら贅沢三昧した後でラスベガスに飛んで結婚した。


イヴァンを見張る司祭トロスからイヴァンの両親は息子が娼婦と結婚したと聞き猛反対して用心棒のイゴール(ユーリー・ボリソフ)を豪邸に送り込んで部屋で大暴れ。バツの悪いイヴァンは家から飛び出していく。

このドタバタ劇は自分には合わなかった。
いきなりストリップクラブでプライベートダンスを踊るアノーラを映す。最近行っていないが、日本もニューヨークも変わらずでだいたい雰囲気はわかる。とりあえず、ストリップ嬢がついて股の上で踊り個室で別料金のパターンだ。

日本でもロシアや東欧系の女の子が多いけど、ニューヨークも似たようなものだろうか?主演のマイキー・マディソンアジア系だと思っていたがユダヤ系とのこと。意外に思った。ここのところ、日本映画では気前が悪すぎて以前のように裸満載の映画が少なくなったので、この辺りはマシかな。


ストーリー自体はどうでもいい感じ。ストリッパーと結婚したと聞いた両親がマフィアのような男を派遣して息子を取り戻して、結婚を無効にさせようとするだけの話だ。イヴァンはアノーラを置いて逃げだして行方知れず、自宅に来た3人とアノーラが懸命にニューヨークのダウンタウンを懸命に探すのだ。その道中は波乱だらけだ。


ここではアノーラが元来のアパズレ気質で豪邸や外で大暴れだ。それが見どころの一つなんだろうが、どうものれない。無理やり別れさせようとするロシア人の親とアノーラとのいがみ合いはもういい加減にしてという感じだ。ロシア人用心棒がアノーラのことを気の毒に思って別の感情が生まれるシーンも見どころなんだろうが個人的には肌には合わなかった。

でも、高架鉄道が走るニューヨークの裏ぶれた街の中を4人が彷徨うバックの映像は悪くない。ストリップクラブの楽屋や人種のるつぼのようなダイナーや寂れた遊園地など、しばらくニューヨークに行けない自分から見ると、視覚的には楽しめた。


(後記 3月3日)
なんとアカデミー賞独占、すげ〜!ショーンベイカーおめでとう
これって日本人感覚とアメリカ感覚の違いなんだろうなあ。
直近の日本映画ではヌードを見せない。日米真逆だよね。前年の主演女優賞のエマストーンも脱ぎっぱなしだった。日本の女優も見習ってほしいなあ。
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