映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

キネマ旬報ベスト10 2011年をみて

2012-01-27 20:25:10 | 映画 ベスト
【2011年外国映画ベスト・テン】
1位 ゴーストライター
2位 ソーシャル・ネットワーク
3位 英国王のスピーチ
4位 無言歌
5位 ブラック・スワン
6位 マネーボール
7位 トゥルー・グリット
8位 ヒア アフター
9位 灼熱の魂
10位 家族の庭

4位、9位、10位は見ていない。(そののち4位と9位は見る)
1位のゴーストライターは予測どおりだ。これはすごい傑作だと思う。
ちょうど日経新聞「私の履歴書」でブレア元首相が1月連載中なのが笑える。
2位、3位、5位、6位も順位はともかく順当だ。自分的には5位、6位、2位、3位の順かな

「ヒアアフター」は評価されすぎではないか?イーストウッドという名前の貫禄で選ばれたのかな?
でも今年の嗜好は自分にあっていたかも。「ムッソリーニを愛した女」が入っていないのだけが残念
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年明けてから

2012-01-25 21:34:10 | Weblog
年末はかなり忘年会が多かった。
最後は若干セーブしたが、きつかった。

年明けてからも同様だ。
であるからブログの更新も遅いし、映画を見る数が減っている。

1月A日 船橋大神宮参拝の後、恒例の「玉川旅館」での新年会
すぐ帰ればいいものを終わってから3軒はしご
翌日は死んだ。。。。

1月B日 同じ系列グループの部長、支店長さんたちと船橋の割烹へ
金融、保険、電気関係、飲料系など多種な業種の人たちと飲む。
終わってから1軒誘われ、やはり2軒いってしまう。
久しぶりにキャバクラも行ってしまう。たまにはいいがのらない。

1月C日大学のOB会が帝国ホテルであった。
卒業する後輩たちに毎年記念の杯を渡す。我々ももらった。
終わってから現役学生と飲みに行く。パワーをもらい、終わって同期3人と一年後輩と飲む。
我々同期5人は一人も転職していないが、後輩は大手都市銀から外資系証券を経た後ドロップアウト
でも奥さんの稼ぎがいいので普通にやっている。
記念の同期会を企画することにする。熊本、大阪の2人にも声をかけて同期会を6月に企画した。
これは楽しみだ。

1月D日会社の部門長会
あと懇親会だ。うちの部門の成績は順調だが、全体的には微妙だ。
パーティの後前任地の後任部門長と結局4軒飲む。
新宿から浦和へ移動。飲み過ぎだ。翌日死んだ。

1月E日同業7社と関連の企業と新年会
同業どうし腹の探り合いだ。
アダムスミスは同業が会を持つとカルテルなどろくなこと考えないといった。
でもそういう話もなく淡々としたもの。
船橋料亭からクラブに繰り出した後、深夜まで飲む。

1月F日大学のクラス同級生と六本木「比呂」集合
中国から旧正月で帰国している友人を囲んで6人集まる。
中国の友人はまた新たに彼女をつくったみたいだ。
六本木を見ると世の中不景気にはみえない。
六本木2軒~赤坂~荒木町
今日もしんどい。
のんだ翌日はくさいと家人に言われる。豚を飼っているみたいだと。。。

今日はマイケルルイスの新刊「ブーメラン」を読んだ。
昨年一番面白かった「世紀のカラ売り」も最高だったが、これもおもしろい!あとで別にまとめて書く。
品川の実家を大整理した時、絶版になったフリードマンの「選択の自由」をみつけて持ち帰って通勤時に読了した。500pがフセンだらけになった。すばらしい!
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哀しき獣 ナ・ホンジン

2012-01-20 21:06:43 | 映画(韓国映画)
「チェイサー」のナ・ホンジン監督がついに次作「哀しき獣」を発表してくれた。
前作には本当にドキッとさせられたし、スピード感も素晴らしい。こうもってくるかという展開の意外性も見事で、個人的には韓国映画最高の作品と思っている。
新作は劇場で見るしかない。行ってきました。いやー凄い!
正直このレベルの作品は日本映画の監督さんでは無理でしょう。韓国映画の凄さだと思う。



中国の東北部に朝鮮族が数多く住む延吉という街がある。地理的にも北朝鮮よりも北に位置し、むしろウラジオストックに近い。
今回の舞台はここからスタートする。そこに1人の朝鮮族タクシー運転手ことハ・ジョンウがいる。
もともと妻と娘と暮らしていた。妻が韓国に出稼ぎに行くといって出たきり最近は仕送りもない。彼は中国式賭け麻雀で負けが続いている。しかも借金も6万元たまっている。そんな彼に裏組織のヘッドことキム・ユンソクから仕事が持ち込まれる。ソウルに住むある男の殺害である。


韓国に行き連絡のない妻に会える望みもかなうかもしれない。そんな思いで主人公は引き受け、中国内を移動し大連から裏の移送船に乗り込み韓国に密入国する。

街をさぐり目当ての男は誰かというのはわかった。目当ての男が住むビルの前で毎日帰る時間を調べ、ビルの中の電燈の点灯方法まで調べて備えていた。ビビる気持ちはあった。しかし、依頼者からは殺さなかったら、子供と養育する母親の命はないぞと驚かされている。帰りの密移送船の出発時間も迫っている。主人公は今日こそ突入と外でチャンスを待っていた。そうしていたら、2人の男が標的の男がいるビルに入っていくではないか。。。。緊張する主人公、そうしたところいきなり2人の男が標的の男を襲っているようだ。どうしたんだ。驚く主人公はそのビルの中に入っていく。血の海になった階段で主人公は。。。。

「哀しき獣」の原題は「黄海」である。
地図を見た。中国の大連や青島、北朝鮮、韓国の仁川、ソウルが向かい合っている湾だ。戦前の日本からの中国進出のルートに位置する。黄海は今でも北朝鮮と韓国の海上での争いに絡んでいる。主人公は延吉(イエンチー)からはるばる大連に向かう。これもすごい距離だ。大連に行き漁船で黄海の荒波を越える。正規に、あるいは密入国者として韓国にやってくる朝鮮族は多い。どうやら韓国での彼らの扱いはとても冷たい。浮浪者のような扱いを受けている印象だ。
たまに夜の中国パブへ行くと吉林省からきている女の子は多い。朝鮮族の子も出会ったことある。同じ大陸でつながっているわけだから、長い歴史の中で朝鮮の子が中国に住むのも不思議ではないなあと思っていた。でもこうやって朝鮮族が取り上げられる映像は初めてみた。
そういった意味ではかなり根の深い設定である。小説「韃靼の馬」を読んでいる時と同じときめきを感じた。千年以上の歴史が生んだ民族の分離と現代社会のひずみの中で泳いでいく連中の姿をうまく描いている。見事だ。


映画で映る延吉の街はいかにも中国の地方都市らしくきたない。共産圏らしい古い建物が立ち並ぶ。そんな中現代の匂いも少しは感じられる。タクシーの運転手がいるくらいだから、内陸奥深くのようなド田舎ではない。ときおり映る夜のネオンも輝きを見せている印象だ。

書きたいことはたくさんあるが、今回いちばん強く感じたのは前作の成功でこの映画ずいぶん予算もらったなあということだ。いかにも韓国映画らしい破滅的なシーンが続くが、今回はカーアクションが加わっている。前作「チェイサー」はおそらくは低予算だったろう。坂の多い街で主人公と凶悪犯人は走りまくった。とことん走る。
実は今回も主人公は走りまくる。でもそこにカーアクションが加わる。見たところかなりの車をつぶしている。この荒っぽさは現在の日本映画の水準では到底無理な水準だ。ちょっとやそこいらの予算じゃ無理だろう。そう感じた。見た後に解説をみたらアメリカ資本の協力もあったと聞いた。そりゃそうだろうと思った。ただこれが吉と出たかどうかはわからない。
個人的には前回の原始的な韓国映画らしさにより凄味を感じる。

主人公2人は前回に続いてお見事だ。前回と今回と善悪が逆転する。この2人の体力には前回以上に恐れ入る。監督はよくぞ2人を引っ張ったと思う。カット数は5000にも及ぶという。信じられない編集能力だ。この次の作品も黒澤明と三船敏郎、仲代達矢などのコンビのように組んでもらいたい。

今回2人のうち特に凄味を感じたのが、朝鮮族裏社会のドンを演じたキムユンソクだ。

劇中の彼は不死身、最強。。。いろんな形容詞がつけられる。強い!これこそ朝鮮、まさに力道山の匂いだ。
木村政彦との有名な対決の時に途中でここぞとばかり空手チョップを撃った力道山のふるまいと顔つきをキムユンソクのふるまいに見た。でもこの風貌、金正日の長男によくにているなあと感じた。

まだ書き足りない。どうしよう。
「ミッションインポッシブル」同様、映画館の座席でハラハラしていた。身体を何度左に右に動かしたか。目を失せたのはこの映画の方が多かったかもれない。
最後の結末はうまい。エンドロールで思わず帰りかけた時突然また始まるんだから。。。危なかった
数人そのまま終わったと思って帰っちゃったなあ。
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ミッションインポッシブル/ゴーストプロコトル トムクルーズ

2012-01-19 20:15:15 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
ミッションインポッシブル・ゴーストプロコトルを劇場で見てきました。

すさまじいアクション場面の連続に目がくぎ付けされたまま2時間20分圧倒されました。
トム・クルーズ主演の人気スパイアクションシリーズ第4作。ブタペスト、モスクワ、ドバイ、インドのムンバイと舞台を転々と移る。特にドバイにある世界最大の建物でのトムクルーズのパフォーマンスにはあっと驚いた。スタントなしでやるとは凄い。「Mr.インクレディブル」「レミーのおいしいレストラン」を手がけてきたブラッド・バード監督が初めてとは思えない実写映画をとる。娯楽の境地だ。


ハンガリーのブタペストの街が映し出される。いきなり逃げ回るスパイのアクションに目を奪われる。ところが、任務を終え秘密コードを取得したスパイが謎の女殺し屋にやられコードを奪われる。
その後ロシアの刑務所に舞台を映す。IMFから派遣された2人が監獄の収容室を操作する。そこには主人公イーサンハントことトムクルーズが収容されていた。トムは一人の情報屋を連れて刑務所を脱出する。その後秘密ファイルの謎が隠されているというロシアのクレムリン宮殿に向かう。ところが、同じように秘密を暴きだそうとするライバルがいた。トムはクレムリン宮殿でロシア軍の将校に変装して仲間一人と忍び込む。ところが、宮殿内で爆破事件が発生する。トムの仕業ではない。
爆破後意識を失ったトムをロシア当局は事件の容疑者にしてしまう。米国政府はロシア政府との関係もあり「ゴースト・プロトコル」を発令して秘密諜報組織IMFを解散。長官の乗る車は攻撃を受ける。長官は射殺、トムはぎりぎり脱出したが、国家の後ろ盾はない。そのままチームの仲間だけを頼りにクレムリン爆破の犯人をつきとめ、さらには爆破事件の黒幕が目論むテロを防ぐためロシアからドバイへと渡るが。。。。

各撮影地それぞれにヤマ場がある。何より凄いのはドバイにある世界一の800mにも及ぶビルでのトムクルーズのよじ登りシーンだ。一瞬スタントか?CGか?と思ってしまうが違う。
本当に演じているのだ。見ているこっちが映画館でハラハラしてしまう。
これを見るだけでも価値があるといえよう。

あとは末梢神経を連続的に刺激するシーンが続く。
トムクルーズも頑張るが、脇にいる美女ポーラパットンのアクションシーンもなかなかかっこいい。

セクシーなドレス姿も見せながら男性の目をくぎ付けにする。フランス人女殺し屋レア・セドゥーのふるまいもいい。最初のクールな殺しぶりがなんとも言えないカッコ良さだ。往年のイタリア女優モニカ・ヴィッティを思わせるけだるい表情がいい。

女対決には見応えがある。ポーラハットンの格闘技的腰の使い方は凄味を感じる。強そう!

ただ難を言えば、当局のミッションの内容が今一つ理解しにくい。セリフの日本語訳が悪いのかな?いやーどちらかというと自分がテンポについていけないのかもしれない。
このシリーズはどれも好きだけど、今回のトムクルーズの決死の頑張りには最敬礼だ。

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男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく 木の実ナナ

2012-01-13 05:51:20 | 映画(日本 昭和49~63年)
「男はつらいよ 寅次郎わが道をゆく」は78年の第21作目の寅さん映画だ。
マドンナは木の実ナナ、妹さくらの幼馴染でSKDでダンサーをやっているという設定である。今は亡き浅草国際劇場が画像に出てきて、SKDのレビューをしっかり見せてくれる。躍動的な印象だ。



世は不景気、タコ社長の工場も例にもれない。とらやのおいちゃんも元気がない。そんな中いつものようにタコ社長とケンカした寅さんはまた柴又を後にする。熊本の田舎町の温泉にやってきた
そこで、寅は想いを寄せる彼女にふられてガックリする青年こと武田鉄矢に出会う。失意の心を慰められた武田はすっかり寅を気に入ってしまう。温泉の経営者こと犬塚弘やみんなから先生扱いされた寅も温泉に長居してしまい、宿代もたまってしまう。いつも通りさくらこと倍賞千恵子にSOSの手紙を書き熊本まで来てもらうのである。

戻った寅は若干まじめになる。しかし、いつも通りになりそうだったところ、SKDのダンサーであるさくらの友人紅奈々子こと木の実ナナがとらやを訪ねてきた。木の実はさくらの同級生、寅も昔はかわいがった。寅は理由をつけては浅草国際劇場に通いはじめた。そうした時に武田鉄矢が上京してきた。国際劇場に案内された武田は、踊り子に一目惚れしてしまい浅草に残り、トンカツ屋に就職して、国際劇場専門の出前持になってしまったが。。。。

メインゲスト木の実ナナ、サブが武田鉄矢といったところだ。
SKDすなわち松竹歌劇団は一世を風靡していた。さくらこと倍賞千恵子も妹倍賞美津子ともどもSKDに所属していた。まさに下町の太陽のようなものである。そのSKDの中に入って、木の実ナナ躍動的だ。ミュージカルに進出して自分の地位をつくっているところだ。ちょうど30過ぎで一番脂の乗ったころなのできれいだ。寅さん映画のいいところはその女優のピークの映像が見れることである。木の実ナナが想いを寄せる男は「ごりさん」こと竜雷太だ。でも太陽にほえろのようなワイルドさはまったくない。

武田鉄矢にとっては名作「幸福の黄色いハンカチ」に続く作品である。金八先生はこの翌年からスタート。前作で見せた三枚目スタイルのままこの映画でもとんまな役を演じている。海援隊のリーダーとしての存在からコメディアンとしての下地をつくっているころだ。まだ青臭い印象だ。まさに松竹に育てられた存在といえよう。

なぜか寅次郎こと渥美清がいつもよりケンカ早い。テキヤ口上も切れがよくワイルドな部類に入る寅さんだ。割といい方だと思う。
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わたしを離さないで  キャリーマリガン

2012-01-12 18:44:39 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「わたしを離さないで」は若手人気俳優3人による2010年のイギリス映画だ。原作は日本生まれのカズオ・イシグロによる。ジャンルは恋愛映画の気もするが、SF映画という設定である。
「17歳の肖像」のキャリー・マリガン、「ソーシャル・ネットワーク」のアンドリュー・ガーフィールド、「ドミノ」のキーラ・ナイトレイの3人とも主演級。彼女たちが普通のラブストーリーを演じるのでSFらしさを感じさせない。まずは彼らの青春の偶像を語られる。そして徐々に彼らのせつない運命がわかっていく。ここに語られている臓器移植の話は本当にせつない。臓器移植をせざるを得ない運命に支配されているような人間が本当にいる。なんてつらい運命なのであろうか。3人の若者の運命に思わずジーンとしてしまう。


舞台は60年代のイギリス郊外だ。人類の平均年齢が100歳になっているというクレジットに何か間違いじゃないかと感じるがそのまま普通のストーリーがはじまる。自然に囲まれた中にレンガ貼りテューダー様式の寄宿学校が建つ。ここで主人公である3人は幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた。その思春期の姿を映す。初々しい恋の表現も青春ものらしい色彩だ。しかし、この学校にはいくつもの謎があり、先生には絶対服従の教育を受けていた。子供たちには、帰るべき家がなかった。そして少しづつ先生たちが彼らの将来について語り始める。

キャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)の3人は、18歳になり寄宿学校を出る。農場のコテージにうつる。そこには他の学校からきていた若者たちもいた。ルースとトミーは恋を育んでいく。キャシーは幼いころから一緒だった2人のそばにいる。恋人をつくらず一人だ。しかし、この3人の関係は微妙に変わっていく。やがて、彼らはコテージを出て離れ離れになる。それぞれが逃れようのない運命をたどらざるを得ないが。。。。


解説をよく読まないで映画を見始めたので、人類の平均年齢は100歳というコメントにまず驚く。通常SFというと近未来のことを語ることが多い。ここでは60年代から70年代という時代設定になる。であるから普通の青春ストーリーの肌あいだ。不自然さはない。

そんな時ある教師が突如として彼らの運命を語り始め、学校を辞めてしまう。そんな状況で生徒たちはみんなうすうす知っているのであろう。「3つ臓器を抜かれて持つ人もいるが。。。」なんて話は本当にどぎつい。中盤から終盤への展開は切なさを助長した。本当にジーンとした。東アジアを舞台にした日本映画「闇の子供たち」を連想した。あの映画もどぎついが、これもどぎつい。

ここであえてSF映画のようにしたのは何か意味があるのかもしれない。現実の話だったら大変だなあと思いながら、世界のどこかでこういう話がありうる気がした。

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ブンミおじさんの森

2012-01-11 06:24:42 | 映画(アジア)
「ブンミおじさんの森」は2010年カンヌ映画祭でパルミドールを受賞した作品だ。
タイ映画とは驚いた。
今回は審査委員長のティムバートン監督の絶賛を浴びている。絶賛の意味は映画をじっくり見ていくとわかる。確かに今まで見たことのない独特の映像を見せている。
腎臓の病に侵され余命いくばくもないことを悟ったブンミは、自分の後を託すため妻の妹ジェニに久々に会う。その夜亡くなった妻が現れ、さらに十年以上年前に行方不明になった息子も姿を変えて現れた。愛する者たちと再会したブンミの物語だ。


タイ東北部ラオスに近いある村が舞台だ。水牛が逃げ出していくシーンからスタートする。それを追う主人公ブンミ、その影で目を光らせた何かがいる。目の色は赤い。妖怪映画のようなスタートだ。
腎臓の病を患う主人公ブンミ、19年前に死んだブンミの妻の妹ジェンとトンがやってくる。ブンミは家で透析をしている。ブンミとジェン、トンが家の外で夜半に夕食を囲んでいると、ブンミの妻フエイが亡霊のように現われる。19年前に死んだとき42歳だった。その姿のまま現れた。
さらに、目を光らせている動物がいる。毛むくじゃらで赤い目の動物だ。人間の声がする。聞き覚えのある声だ。いかにも数年前に行方不明になったブンミの息子ブンソンの声だ。ブンソンは森で撮影した写真に不思議な生物が写っているのを見つけ、正体をつきとめるため森に入っていった。生きものは猿の精霊だった。いつのまにか彼も猿の精霊となって姿を変えたのだ。


ブンミは妻と息子に、フエイの願いで養蜂場を作った農場や、フエイの葬式の写真を見せる。翌日、ブンミはジェンを養蜂場に連れていく。ジェンは足を引きずっている。2人は小屋で休み、ブンミは透析をする。ブンミは自分の病気を、共産兵や農場の虫を殺したカルマだと言う。

不思議な映画である。主人公はいかにも田舎に住むタイ人、単なる農民という人相だ。派手さはまったくない。こういう人里はなれたエリアに死んだ人たちが現れるというのが本当にありそうだ。死んだ妻があらわれてもみんな冷静だ。非現実的なシーンなのに、いかにも現実のようにみんな自然に受け止めている。幻想が現実に見えてくる瞬間だ。
カット割りは比較的長めに設定、田舎の主人公の家の周辺の森や農場や水場での映像が続く。まったりとした時間が流れる。その時間の長さは悪くない。


ティムバートンはこんなファンタジー見たことがないといった。精霊を伝える映像の中で、西洋人からすると東洋の神秘を感じるのであろう。森に入っていくといつの間にか猿の精霊になるという話は、虎に姿を変えた中島敦の「山月記」のようだ。個人的にはデイヴィッドリンチを思わせるスクリーンづくりをするなあと思った。彼の映画も動物の顔を持った人間が出てくる。森の中を映すバックの音は最初は虫や鳥の声をバックにする。次第にデイヴィッドリンチの映画のような音が鳴り響く。幻想的なシーンにしていく。


印象に残ったシーンがある。その意味自体はいろんな解釈されているが凄いシーンである。
ディズニーシーのショーで「ミスティックリズム」というミュージカルがある。このショーの設定を連想した。ジャングルの滝のそばで水の精霊と動物たちが戯れるショーだ。ここでも小さな滝とそのそばの滝つぼで展開される。王女が出てくる。そして若いタイ人の男と戯れるが、コンプレックスのある王女がすねて別れた後ナマズが出てくる。ナマズは滝つぼの中にいる。声を発する。その声を発するナマズの元に王女が近づいていく。滝つぼの中に入っていくのだ。そして滝つぼの中でナマズが王女の体に触れていく。戯れる。
見ているときめきが言葉でうまく表せられないのが残念。凄い!どっきりした。
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メアリー&マックス

2012-01-10 19:01:05 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
メアリー&マックスはオーストラリアのアニメ作品だ。
メルボルンで暮らす孤独な少女メアリーを一人称にして、ニューヨークに住む自閉症の中年男性マックスとのかかわりを描く。彼らが20年間にわたる文通を通して強い絆を育んでいくのが主題である。比較的評判がいいので見たが、実写じゃない分、気持ちが伝わらない感じがした。イマイチ自分には合わなかった。


オーストラリアのメルボルンに住む8歳の少女メアリーは、万引きに夢中でシェリー酒中毒の母ベアラと、死んだ鳥を使った剥製の製作が趣味の父ノエルと暮らしていた。おでこにあざがあるのが悩み、友達がいない空想好きの主人公だ。本物の友達がほしいと願っていたメアリーはある日、アメリカに住む誰かに手紙を送ろうと思い立つ。分厚い電話帳から選び出した一際風変わりな名前は「マックス・ホロウィッツ」
さっそく鉛筆を走らせるメアリーであった。
一方、ニューヨークで暮らす44歳のマックスは、過食症で肥満体の中年男だ。極端に人づきあいを苦手とする自閉症の彼は一人孤独な日々を送っていた。そんな彼のもとに、オーストラリアから1通の手紙が届く。メアリーとマックスの20年以上に渡る深い交流の始まりだった。



2人の友情に紆余屈折がある。その紆余屈折と孤独な主人公の女の子らしい心が映画の見せ所だが、あまりジーンとはこなかった。どうしてだろう。涙なくして見れない人も多いというのに。。。。。
自閉症というとまず連想されるのが「レインマン」これは凄い傑作だ。ダスティンホフマンは本当にうまかった。年末に「モーツァルトとクジラ」の映画を見た。自閉症にかかっている若者たちの恋を描いている。この映画で、2人はいかにも自閉症の症状というのを前面に出していく。2人の表情にうまさを感じる。今回のマックスは単なるデブというだけで自閉症らしさが感じられなかった。

当然アニメにはハンデがある。欠点だらけの人物描写それ自体はいいのであるが、なんか合わない。
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わたし出すわ  小雪

2012-01-10 17:53:11 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「わたし出すわ」は2009年の森田芳光監督の完全オリジナル作品だ。監督は惜しくも最近亡くなった。突然、故郷に戻ってきて、旧友たちに大金を差し出す女性を描写して、お金と人間の関係を描く。主演は小雪で脇を固めるのは井坂俊哉、小池栄子、小澤征悦といった近年の映画で活躍するメンバーだ。妙な映画だが、小さい話をうまく組み合わせて最後まで飽きずに見れた。


東京から故郷函館に戻ってきた主人公こと小雪は、引越し業者にお礼を渡す。その中身は10万円の現金。慌てる業者に、主人公は「そのお金を使って、いい思い出を作ってください」と告げる。街で市電に乗った主人公は、運転手こと井坂俊哉と再会した。井坂は高校の同級生だった。世界中の路面電車めぐりが夢だという彼に、主人公はと言う。「そのお金、私が出してあげようか」後日、自宅に主人公から大金が届く。驚く井坂の妻であった。

同じく高校の同級生こと黒谷友香は主人公と校内の美人コンテストで争った中。今は羽振りのいいレストラン経営者の妻になっていた。ところが、その夫が急死、その通夜でみな顔を合わせる。帰り道、故障で将来を絶たれたマラソンランナーの川上に、海外での治療費を提供する。さらに同級生こと小池栄子と出会った摩耶。さくらの希望に応じて冷蔵庫と、夫が箱庭協会会長に就任するための資金を提供する。次に、主人公は養魚試験場で働く男こと小澤征悦などにも提供したりするのであるが。。。。


最初は何も問題を起こさないが、次第に金がいろんな災いの元を導き出す。転落していく人間も出てくる。
何でこんなにお金を出すの?原資は?という謎は徐々に解明される。

出演者の振る舞いには特筆すべきことはない。
しかし、意外に途中で見るのをやめようとは思わなかった。森田監督は次の作品「武士の家計簿」にしても、なんで急にお金のことを取り上げようとしたんだろう。その意味がよくわからないうちに鬼籍に入ってしまった。。。。

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マイバックページ1  妻夫木&松山

2012-01-06 06:12:46 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
「マイバックページ」は70年代に突入するころの若者たちを描いた作品。文筆家川本三郎氏が遭遇した自衛官殺人事件のいきさつに迫る。
学生運動、朝日新聞、左翼思想が三つ巴で嫌いな小生としては、単にイメージの問題でこの作品を回避していた。しかし、川本三郎氏の映画や街を描いたエッセイは大好きである。そっちの思いが強く、怖いもの見たさの気分で新春早々に見てみた。
結果としてはナイーブな一人の青年を描いた作品として見てよかった。悪人でもその演技が光った妻夫木がここでも好演だ。思想的な一面よりも学園紛争時代に生きた一人の若者の偶像を見せてくれた。


1969年安田講堂は陥落した時に、主人公こと妻夫木は東都新聞社(朝日新聞をモデル)に入社した。当時東都ジャーナル(朝日ジャーナルがモデル)は露骨に全共闘を支持する記事を書いていた。そこを希望したが結局週刊誌編集記者(週刊朝日がモデル)として働くことになる。主人公は、取材対象である活動家たちに接近する中で心の葛藤が生まれていた。ある時隠密取材をするべくアジトから全共闘議長(山本義隆がモデル)を日比谷へ移送したが、結局別れの演説を経て議長は逮捕される。
その一方、ある大学の学内思想研究会のリーダーこと松山ケンイチを映す。彼は同じ組織のメンバーと激しく論争している。その中で暴力的な行動に移ろうとしていた。
主人公妻夫木は先輩とともに松山の接触を受ける。そこには京大の闘争家がからんできた。松山から「武器を揃え、行動を起こす」と言われる。しかし、重要闘争家として注目されるような存在ではない。妻夫木は本当に彼が動くか疑問にもつが。。。。



学生運動の闘士というのは自分でも何言っているのかわかってはいないであろう。戦後日本の碩学ともいえる加藤周一もこういう左翼思想家の知的能力に問題があると認識していた。加藤は言う。
「社会科学のもっともらしい言葉が無数にくり出されてきて、それぞれの言葉の定義があきらかでなく、整理もつかず、つじつまも合わず、何を言っているのか誰にもわからないというのは、頭の混乱を表わしている」
屁理屈に走る彼らのことは大嫌いだ。そんな連中をたたえる映画なのかと思っていた。
その推測は大いなる勘違いであった。



かの有名な全共闘議長山本義隆をモデルにした人物が出てきたりしたが、その思想の根本に迫るわけではない。あくまでこの映画で追いかけるのはナイーブな主人公の心の動きだけである。
主人公は弱い男だ。しかも、取材する人間として特ダネをゲットしようとする欲もある。誰よりも先に自分だけでゲットしようとする。若者ならではの野心がある。でもどこかが抜けている。
「悪人」で演じた男と本作品のインテリ男のキャリアは対照的だ。でも元来妻夫木自身が根本的にもつ性格はこの映画の主人公にあっているのかもしれない。この映画の方がハマっている気がする。途中図らずもジーンとくるシーンがいくつかあった。予想外の自分に驚く。

川本三郎のエッセイはかなり読んでいると思う。大好きだ。永井荷風を追いかけるエッセイや50年代の映画や寅さん映画を追いかける評論にいやな左翼思想は全くない。まともである。映画の最初の方に川島監督の名作「洲崎パラダイス」の銀幕を見つめている主人公の姿が映し出される。飲み屋で先輩記者連中と語りあうシーンも出てくる。そして彼の内面を追いかける余韻のある長まわしシーンが映る。特ダネを決めてやろうと欲張るシーンも出てくる。若い彼がいろんなことを経験する中でさまよいながら生きていく姿を見てなぜかジーンとした。
思想を超えた奇妙な共感であった。。。。。

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かぞくはじめました  キャサリンハイグル

2012-01-03 06:40:58 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「かぞくはじめました」はラブコメ常連のキャサリン・ハイグル主演の作品だ。
ジャケットに魅せられ見ようと思ってもいつもレンタル中でようやく見れた。

30すぎ恋人募集中というキャラが得意のキャサリンハイグルらしい作品、今回は独身なのに死んだ親友の赤ちゃんを予期せぬ形で養育するようになるという設定だ。しかも、相手はその親友に紹介されたけど、性格が合わず没にした男だ。
「赤ちゃんはファーストレディがお好き」というダイアンキートン主演の映画を一瞬想像した。予期せぬ赤ちゃんを預かることでは同じだ。今回は一人でなく二人である。日本では考えられない意外性がおもしろい。東日本大震災後のドタバタで日本で公開されなかった作品であるが、割とおもしろいラブコメだ。


主人公ことキャサリン・ハイグルが親友が紹介してくれた相手と自宅で会う場面からスタートする。
現れた男はエリックことジョシュ・デュアメルだ。親友の彼氏の友達だ。彼は1時間遅れて現れた。キャサリンにバイクの後ろに乗れと指示するが、ドレスアップしていて無理だ。レストランの予約はもちろん何の計画も立てていない。彼女の車に乗ったとたん他の女からの電話がくる。怒った彼女は即刻中止、彼らのデートはすぐさま終了した。
しかし、親友の結婚式を皮切りに夫妻のイベントには必ず二人は招待されるのだった。
その後、主人公キャサリンのベーカリー経営は順調だ。ベーカリーの客にいい男が現れ狙いを定めようとする。ところが、突然に親友夫婦が事故で亡くなり、一人娘のソフィーが遺された。夫妻は遺言でソフィーを一緒に育てる共同後見人として主人公とデートに失敗した男を指名していた。親族に引き取り手もなく、いやいやながらも亡き夫妻の家に引っ越す。キャサリンはレストランの開店準備、ジョシュはスポーツ番組のディレクターを目指しているところだ。二人は分担しながら育児をしようと努めるが、赤ちゃんは思うようにきかないが。。。。


日本では当然のように親族に預けられ、そこでゲームセットだ。ところが、アメリカは事情が違うようだ。結婚したばかりなのにと思うが、遺言を残していたらしい。弁護士も多い法廷社会のアメリカではこういう習慣もあるのであろう。それにしてもこんな状況は日本ではありえない。逆に興味がわく。

個人的には「赤ちゃん」が入った映画は好きだ。無邪気な姿を見ているだけで楽しい。どの映画でも思い通りにならない。「リッキー」みたいに羽が生えて飛んでいくなんてことはそうあるわけでないが、どの映画でも病気になったりして育児する人間をとまどわさせる。そこあたりでコメディになりやすい。
主人公は一生懸命自分のつくったベビーフードを食べさせようとするが、ちっとも食べない。下の処理もしたことないのでウンコの扱いに四苦八苦だ。挙句の果てには来客を迎えるときに顔にウンコをつけたままで登場してしまったりする。笑いを呼ぶ場面が絶えない。


日本ではまだ注目を浴びていないようだが、キャサリン・ハイグルの映画はアメリカではコンスタントに100万$を超える配給収入を得ている。若干ぬけたところのある女性を演じるとうまい。笑いを呼ぶシーンが多い。コメディがほとんどDVDスルーになる日本と違い、アメリカでは配給収入上位を明るい映画が占める。国民性の違いだろうか?
キャサリン・ハイグルは実生活でも韓国人の養女を引き取っているという。まるで映画「冬の小鳥」のようではないか。そういうところが芸の域を広げているような気がした。
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シビルアクション  ジョントラボルタ

2012-01-02 06:21:01 | 映画(洋画 99年以前)
「シビルアクション」は99年の法廷物映画だ。ジョントラボルタが主演
土壌汚染による公害裁判を通じて大企業相手に奮闘する弁護士を描く同名ベストセラーの映画化。
ドライで金もうけしか考えていない弁護士が泥沼におちていく構図を描く。このブロブでも再三演技を絶賛したロバートデュバルのいぶし銀の演技が光る。もちろんトラボルタもいい。
こうなってはいけないよという教訓が中にいっぱい語られる映画だ。

ボストンが舞台、主人公ことジョントラボルタは敏腕弁護士だ。傷害を扱うのが専門だ。
いきなり出てくる場面は裁判に入った瞬間に相手弁護士への和議の価格をつりあげる場面だ。トラボルタは金にならない訴訟はやらないし、和解で済ませるための駆け引きが得意だ。
トラボルタはラジオ出演の時にある自分への投書がそのまま放置されている話を聞く。それはある町の子供たちが水の汚染が原因か?次々と白血病にかかっていく話である。子供に関する訴訟は金にならないから受け付けない。トラボルタは先方に向かい断る。

ところがその帰り道に付近の工場で汚染水が捨てられている場面に遭遇する。直感的に企業に莫大な慰謝料が請求できると踏んで調査を始める。訴訟を起こし相手企業の従業員から事情徴収を始めようとする。しかし、親の代からその企業に勤めている社員は多く口を割らない。トラボルタは汚染処理を地質から解明しようとして調査をする。これはとてつもなく費用がかかることであった。トラボルタ及びそのパートナーは裁判前にその費用を負担しなければならない。次第に小さい法律事務所の会計は厳しくなる。相手の代理人ことロバートデュバルは老練で持久戦に持ち込もうとするが。。。。


弁護士トラボルタはおしゃれでポルシェを乗り回す粋な男。彼は勝てる訴訟と金勘定にしか関心がないと当初は描かれる。この裁判でも金が問題じゃないとのたまいながら庶民の味方を演じようとする。裏では「金になる!」と思っているのだ。大企業から莫大な賠償金をむしり取ることができる。裁判となっても病気で子供を亡くした父母たちの告白で陪審員全員を味方にすると考える。でもそうはうまくいかない。相手代理人はじらし戦法に入る。裁判準備の調査に大金を使い、事務所の経営が厳しくなる。主人公は必要以上に熱くなり、和解に向けての被告側からの申し立ても受けようとはしない。
トラボルタはギャンブルにのめり込むかのようにはまっていく。

事実に基づく映画だが、いろんなことを感じさせてくれる。
映画の途中で、地質調査をせざるをえないとなった時に一瞬「この金どこから出るのだろう?」と感じた。地質調査の費用は決して安くない。訴訟の性質上広い範囲をする必要がある。しかも原告には金がないはずだ。立て替えるのかな?なんて思っているうちに、事務所の経理が渋い顔をする場面が出てくる。
金にうるさい男がなんでこんなにのめり込んだのかな?と思った。勝てばその分が取り返せるといってもやりすぎだよなあと。まるでギャンブルで勝つまで投入し続ける某製紙会社の元役員のようだ。
普通訴訟にかかる費用は原告に請求できる。でもあとで清算となれば普通はやらないだろう。しかも立て替える金額が半端じゃないわけだから。自分にはありえないなあと思った。

ライバル弁護士を演じたロバートデュバルのじらし戦法もすごい。ハーバードと思しきロースクールで教鞭をとる彼が、相手をかく乱させるために「異議あり」を常に言い続けるという動きがすごい。しかも演じる彼もうまい。法廷では常にのらりくらりしている。であるからなおのことトラボルタが熱くなる。思うつぼである。

法廷サスペンス映画はどれもこれもおもしろい。古くは「情婦」のチャールズノートン弁護士をはじめ、「評決」のポールニューマン、「フィラデルフィア」のデンゼルワシントンなど好きな弁護士はたくさんいる。でもこの弁護士ほどそうなってみたいと思わない弁護士はいない。そういう特異性もこの映画にはある気がした。

最後は正義は勝つという構図とはほど遠い映画だ。この女依頼者見ていてむかついた。
でもおもしろかった。


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2011年映画を振り返って 

2012-01-01 16:46:47 | 映画 ベスト
結局2011年は210本映画を見た。
DVDが中心であるが、これは見なきゃとというのは劇場へ
劇場に行ったものがいいとは限らないが、選んでいっているので大きくは外れていない。

2010年は222本、2009年は254本、2008年は327本
残念だが着実に減っている。2008年は父と母が亡くなったこともあり、やけくそになってみたのかもしれない。同じように本も200冊以上読むわけなのだから、目標は300から225くらいに下方修正かな?200本としておくと200本下回ってしまう気もするし。

順位はつけないで気にいった10本列挙
洋画では
1.冷たい雨に撃て約束の銃弾を
2.エスター
3.闇の列車光の旅
4.愛の勝利ムッソリーニを愛した女
5.ベストキッド
6.ブラックスワン
7.マネーボール
8.インドシナ
9.ゴーストライター
10.オーケストラ!
+α ザ・ファイター息もできない

2回以上みているのは省略(コラテラル、スクールオブロックなど)
上位は甲乙つけがたい
「エスター」は普通の人に「何かお勧めは?」といわれると必ず答える作品
この作品と「チェイサー」を勧めて落胆されたことが一度もない。

+αについては
「息もできない」も韓国映画らしい暴力描写がすごかったが、強烈すぎた。
「ザファイター」もよかったが、このあと「あしたのジョー」をみて役作りは
あしたのジョーの2人の方が凄い気がしたのでランクを落とした。


邦画では5本列挙:同じく順位はなし
1.悪人
2.八日目の蝉
3.ハナミズキ
4.川の底からこんにちは
5.必死剣鳥刺し
+α 阪急電車、食堂かたつむり、あしたのジョー
かな。同じく2回以上みているのは省略(タンポポ、県警対組織暴力など)
震災後最初に見たのが「川の底からこんにちは」これにはパワーをもらった。
残念ながら同じ石井監督の「君と歩こう」はいくらなんでもひどすぎる
八日目の蝉の井上真央chan紅白歌合戦で紅組勝って良かったね。

今年は映画鑑賞本数低下傾向に歯止めがかけられるか>
コメント (2)
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