映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

2020年読んだ本 

2020-12-31 08:53:02 | 
1.努力2.0 ときど◎
2.シンギュラリティは近い レイ・カーツワイル◎◎

3.人類の未来 NHK出版 
4.脳の右側でかけ ベティ・エドワーズ
5.トランジション ウィリアム・ブリッジズ
6.最強のFX 15分足デイトレード ぶせな◎
7.直観と論理をつなぐ思考法  佐宗国威◎

8.在野研究ビギナーズ 荒木優太
9.クリエイティブ・マインドセット トム・ケリー&デイヴィッド・ケリー◎◎
10.ビートルズの謎 中山康樹
11.デザイン思考が世界を変える  ティム・ブラウン
12.アーチストのためのハンドブック デイヴィッド・ベイルズ
13.一生モノの人脈力 キース・フェラッジ◎
14.描いて売り込め!超ビジュアルシンキング ダン・ローム◎
15.消費税10%以降の日本経済 安達誠司◎

16.4日で使える実践超ビジュアルシンキング ダン・ローム
17.脳は楽観的に考える ターリ・シャーロット
18.イノベーションの達人 トム・ケリー◎
19.週刊文春 シネマチャート全記録 
20.アベル式テクニカル売買のコツ ジェラルド・アベル
(1月20冊)
21.カベの超え方 スティーブン・プレスフィールド
22.ミルトン・フリードマンの日本経済論 柿埜 真吾◎◎
23.真トレーダーズバイブル 小次郎◎

24.日経225先物ストレスフリーデイトレ勝利の方程式 ついてる仙人
25.ミレニアム世代革新者たち 日本経済新聞社編
26.日本の右翼 猪野健治
27.文豪文士が愛した映画たち 根本隆一郎編
28.日銀日記 岩田規久男◎◎
29.モチベーション革命 尾原和啓
30.イノベーションファシリエーター 野村恭彦
31.プラットフォーム 尾原和啓
32.ポジティブ・チェンジ ダイアナ・ホイットニー
33.やりとげる力 スティーブン・プレスフィールド
(2月 13冊)
34.受験英語と日本人 江利川春雄◎
35.ザ・タートル マイケル・コベル◎

36.ツキの科学 マックス・ギュンター
37.ハリウッド白熱教室 ドリュー・キャスパー◎
38.免疫力を強くする 宮坂昌之
39.作家との遭遇 沢木耕太郎
40.伊藤和夫の英語学習法 伊藤和夫◎
(3月 7冊)
41.確実に利益を生み出す不動産投資の教科書 姫野秀樹
42.頭がよくなる本第4版 トニーブザン◎◎
43.「数字で考えるは武器になる」 中尾隆一郎
44.投資家のためのマネーマネジメント ラルフ・ヴィンス
45.矢口新の短期トレード教室 矢口新◎
46.新エクセレントカンパニー トム・ピーターズ◎◎
47.生き残りのディーリング 矢口新◎◎
48.現代経済学の直感的方法 長沼伸一郎◎

49.デジタル・デイ・トレーディング
50.WDギャン著作集 ◎◎
51.鉄壁FX  笹田喬志
52.サハラの歳月 三毛
(4月 12冊)
53.株の技術大全 相場師朗
54.世界一安全なカラ売り 相場師朗◎
55.バカを一撃で倒す日本の正解 高橋洋一◎
56.教育は何を評価してきたのか 本田由紀◎◎

57.ADHDでよかった 立入勝義
58.運は人柄 鍋島雅治◎
59.マニュアルをなめるな 中田亨◎

60.ファンベース 佐藤尚之
61.勝ち続ける意思力 梅原大吾
62.人はなぜ集団になると怠けるのか 釘原直樹
63.武器としての決断思考 瀧本哲史
64.偏差値10の差を逆転する 山崎元
65.物語の体操 大塚英志◎
66.キャラクター小説の作り方 大塚英志◎

67.朝日ぎらい 橘玲
68.セクシープロジェクトで差をつけろ トム・ピーターズ◎◎
69.知能販のプロになれ トム・ピーターズ◎
70.超一流になるには才能か努力か? アンダース・エリクソン◎◎

71.グリッド 
72.最高の結果を出すKPIマネジメント 中尾隆一郎
73.ソーシャル物理学 アレックス・ペントランド ◎
74.リベラルアーツの学び方 瀬木比呂志◎

75.株を極める! リスク管理・資金運用 プロのノウハウ 矢口新
76.究極の独学術 瀬木比呂志◎
77.大収縮1929-1933「米国金融史」第7章 ミルトン・フリードマン◎◎
78.エクセレントな仕事人になれ トム・ピーターズ◎
79.ブランド人になれ トム・ピーターズ◎◎
80.経済学の巨人危機と闘う 日経新聞社◎
81.ノンフィクションの技法 ジョン・マクフィー◎

82.東大キャリア教室で1年生に伝えていること 
83.日本の15歳はなぜ学力が高いのか? ルーシー・クレハン
84.正直シグナル アレックス・ペントラン
85.人は原子、世界は物理法則で動く マーク・ブギャナン◎
86.敗者の読書術 高橋弘樹◎

(5月 34冊)
87.リスク上 Pバーンスタイン◎
88.記憶の箱舟 鶴ヶ谷真一◎
89.職場の人間科学 ベン・ウェイバー◎

90.覚えられない人の3秒記憶術 竹下和男
91.東京さんぽ図鑑 スタジオワーク◎
92.デザインされたギャンブル依存症 ナターシャ・ダウ・シェール
93.市場は物理法則で動く マーク・ブギャナン◎
94.英語は頭から訳す 竹下和男
95.リスク下 Pバーンスタイン
96.複雑な世界、単純な法則 マーク・ブギャナン
97.誰も教えてくれなかった運とツキの法則 林野宏
98.精神分析と自閉症 竹中均
99.自閉症の時代 竹中均◎
100.新自由主義の妖怪 稲葉振一郎◎
101.リスクの心理学 アリ・キエフ◎
102.政府からの自由 ミルトン・フリードマン◎◎
103.日本人にとってエルサレムとは何か 臼杵陽◎
104.戦後日本史は嘘ばかり 高橋洋一◎
105.名著から学ぶ創作入門 ロイ・ピーター・クラーク◎◎

106.自閉症とラノベの社会学 竹中均
107.巨匠が解く日本経済の難問 日本経済新聞社◎◎
(6月 21冊)
108.室内生活 楠木建◎◎
109.書を読んで羊を失う 鶴ヶ谷真一
110.紙背に微光あり 鶴ヶ谷真一
111.経済物理学 高安秀樹◎
112.トレーダーの心理学 アリ・キエフ◎

113.勝つ人の考え方負ける人の考え方 林野宏
114.一年有半 中江兆民
115.アインシュタインの旅行日記 
116.知的ヒントの見つけ方 立花隆
117.血族の王 岩瀬達哉◎
118.ソーシャルメディアの経済物理学 高安美佐子
119.ビジネスフォーパンクス ジェームズ・ワット◎◎
120.あれか、これか 野口真人◎
121.受験必要論 林 修◎

122.とんでもなく役に立つ数学 西成活裕
123.科学的管理法の諸原理 フレデリック・テイラー◎
124.道端の経営学 マイケル・マッツェオ
125.お金はサルを進化させたか 野口真人
126.たった一つを変えること ダン・ロスステイン◎
127.秘密な事情 清水一行◎
128.アウトプットする力 「話す」「書く」「発信する」が劇的に成長する85の方法  斎藤孝◎

129.モーツァルト 小林秀雄
130.イノベーション5つの原則 カーティス・カールソン
131.断言-読むべき本・だめな本 山形浩生◎◎
132.緊急重役会 城山三郎
133.経済と人間の旅 宇沢弘文
134.ハーレム・チルドレンズ・ゾーンの挑戦 ポール・タフ◎◎
135.深作欣二ラストメッセージ 映像塾プロジェクト
136.ワインバーグの文章読本 GMワインバーグ◎
(7月 29冊)
137.歴史の思考法 東大歴史学部会
138.不倫の流儀 ホイチョイ・プロダクションズ
139.コンサルタントの道具箱 GMワインバーグ
140.新教養主義宣言 山形浩生
141.漂えど沈まず 白川道
142.浮かぶ瀬もあれ 白川道
143.ケインズ雇用と利子とお金の一般理論要約 山形浩生◎
144.雇用と利子とお金の一般理論 山形浩生訳 ジョンメイナードケインズ
145.私の財産告白 本多静六◎
146.好きになる数学入門 宇沢弘文◎
147.半歩遅れの読書術2 日経新聞社◎

148.蜂の寓話 バーナード・マンデヴィル
149.読書のとびら 岩波書店
150.功利主義者の読書術 佐藤優
151.二度読んだ本を三度読む 柳広司
152.書物の愉しみ 井波律子◎◎
153.消えゆく横丁 藤木TDC
154.日本の町並み集落1300 川村善之◎
155.だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ 都築響一
156.訳者解説 山形浩生
157.多元化する能力と日本社会 本田由紀◎◎
158.グレングールド発言集 グレングールド◎

159.東京の横丁 永井龍男 
160.永井荷風一人暮らしの贅沢 永井永光
161.大読書日記 鹿島茂◎
162.読書のとびら 岩波編
163.月光に書を読む 鶴ヶ谷真一
164.書いては書き直し ニールサイモン◎
165.六本木六丁目残影 伊藤照彦
166.ぼくの昭和ジャズ喫茶 高瀬進
167.赤坂檜町テキサスハウス 永六輔、大竹省二
168.虚人のすすめ 康芳夫◎◎
169.コンサルタントの秘密 GMワインバーグ
170.コンテンポラリーアートライティングの技術  ギルダ・ウィリアムズ◎◎
171.トレーダーの精神分析 ブレット・N・スティーンバーガー◎
172.フリーランス40歳の壁 竹熊健太郎◎

173.図解統計学入門 高橋洋一
174.篦棒な人々ー戦後サブカルチャー偉人伝 竹熊健太郎
(8月 38冊)
175.中国文章家列伝 井波律子◎
176.経済のしくみがわかる数学の話 高橋洋一
177.虚人魁人康芳夫 康芳夫◎◎
178.李陵弟子名人伝 中島敦◎◎

179.東京花街粋な町 上村敏彦
180.江戸→TOKYOなりたちの教科書2丸の内銀座神楽坂から東京を解剖 岡本哲志◎
181.名妓の夜咄 岩下尚史
182.60年代pop少年 亀和田武
183.昭和という時代を生きて 氏家齋一郎
184.田村敏雄伝 小林英夫◎
185.すごい記憶術 青木健
186.マインドマップ活用塾 トニーブザン◎
187.超格差社会アメリカの真実 小林由美◎◎

188.アラブ革命はなぜ起きたか エマニュエル・トッド
189.自閉症スペクトラムとは何か 千住淳
190.江戸→TOKYOなりたちの教科書1 岡本哲志◎
191.世界史の中の文化大革命 馬場公彦◎◎

192.神楽坂本 帰ってきた
193.ふだん使いの神楽坂
194.問題は英国ではない、EUなのだ エマニュエル・トッド◎
195.東京時間旅行 鹿島茂
196.80年代スキャンダラス報道の時代 須田慎太郎
197.家族システムの起源1ユーラシア エマニュエル・トッド◎
198.超一極集中社会アメリカの暴走 小林由美◎
199.酒池肉林 井波律子◎◎

200.東京一極集中が日本を救う 市川宏雄
201.半値になっても儲かる「つみたて投資」 星野泰平
202.超簡単お金の運用術 山崎元
203.親リッチ 宮本弘之
204.土井英司の超ビジネス書講義 土井英司
205.終わりで大きく儲かる「つみたて投資」 星野泰平
206.アガサクリスティの秘密ノート上下 アガサ・クリスティ
207.本当に偉いのか 小谷野敦
208.現代日本の中国像ー日本敗戦から文化大革命・日中復交まで 馬場公彦◎◎
209.日本人は知らない中国セレブ消費 袁静
210.統計データが語る日本人の大きな誤解 本川裕◎
211.俺の日本史 小谷野敦◎

212.東京のナゾ研究所 河尻定
213.情報だけ武器にしろ 堀江貴文
214.ハーバードビジネススクールー不幸な人間の製造工場 フィリップ・ブロートン
215.ゼロからわかる積立投資のすすめ方 星野泰平
216.悪人のつくった会社はなぜ伸びるのか 曽和利光◎
217.読書の腕前 岡崎武志
218.熱狂する現場の作り方 松山洋◎
(9月 44冊)
219.忘れられたベストセラー作家 小谷野敦
220.日本統治時代を肯定的に理解する 朴贊雄◎
221.溥儀 入江曜子◎

222.コンビニ店員は見た 和田静香
223.東京ロックバー物語 和田静香
224.あかいひと 須田慎太郎
225.勉強法が変わる本 市川伸一◎
226.教育の職業的意義 本田由紀◎◎

227.ベストセラーだけが本である 永江朗
228.スー女のみかた 和田静香
229.定本私の二十世紀書店 長田弘
230.奇人と異才の中国史 井波律子
231.現代日本の中国像ー日中国交正常化から天安門事件・天皇訪中まで 馬場公彦◎◎
232.不安な経済・漂流する個人 リチャード・セネット◎

233.腐敗と格差の中国史 岡本隆司
234.工学部ヒラノ教授と昭和のスーパーエンジニア 今野浩◎
235.歴史で読む中国の不可解 岡本隆司
236.昭和史が面白い 半藤一利◎◎
237.自分とは違った人たちとどう向かい合うか ジグムント・バウマン
238.クラウツマン リチャード・セネット◎
239.紫禁城ー清朝の歴史を行く 入江曜子◎

240.エマニュエル・トッドで読み解く世界史 鹿島茂
241.古本道入門 岡崎武志
242.人と会う力 岡崎武志
243.奇跡の論文図鑑 NHK
244.暴君:新左翼・松崎明に支配されたJR秘史 牧久◎
245.書評の仕事 印南敦史◎

246.風水という名の環境学 上田信
247.論文の技法 ハワード・ベッカー
248.プロになるための文章術 ノア・リュークマン
249.運を加速させる習慣 矢澤亜希子
250.稼ぐ人は思い込みを捨てる 坂口孝則
251.教養としての投資入門 ミアン・サミ
252.絵はすぐに上手くならない 成富ミヲリ
(10月 34冊)
253.開発主義の時代へ 高原明生&前田宏子
254.中国の歴史 海と帝国 上田◎
255.書くことについて 野口悠紀雄◎◎

256.努力不要論 中野信子
257.利益は率より額をとれ 坂口孝則◎
258.AI時代の超発想法 野口悠紀雄◎
259.超AI整理法 野口悠紀雄◎
260.話すだけで書ける究極の文章法 野口悠紀雄◎◎
261.ディープシンキング ガリル・カスパロフ◎◎
262.美徳のよろめき 三島由紀夫◎

263.清朝と近代世界 吉澤誠一郎
264.知の旅は終わらない 立花隆◎◎
265.奇跡のメモ術 池田義博
266.日本共産党の研究1 立花隆◎◎◎
267.肉体の学校 三島由紀夫◎
268.ビジネススクールでは学べない世界最先端経営学 入山章栄◎
269.左翼老人 森口朗◎◎
270.使える国語の考え方 橋本陽介◎

271.スパークする思考 内田和成
272.ヒトラー演説 高田
273.キリンビール高知支店の奇跡 田村潤◎◎
274.間違いだらけの学習論 西林克彦◎◎

275.幸福優位7つの法則 ショーンエイカー
276.数学に感動する頭をつくる 栗田哲也◎◎
277.おいしいから売れるのでない 正垣泰彦◎◎
278.日本共産党の研究2 立花隆◎◎

(11月26冊)
279.外遊日記 三島由紀夫
280.日本共産党の研究3 立花隆◎
281.リアルオプションの思考と技術 川口有一郎◎
282.臨死体験 立花隆◎

283.カジノ 黒野十一
284.極私的東京名物案内 坪内祐三
285.1972 坪内祐三◎
286.文庫本を狙え 坪内祐三◎

287.中核と革マル上 立花隆
288.天皇と東大上 立花隆◎
289.令和版 神速の麻雀 堀内システム55 堀内正人◎
290.米国製エリートは本当にすごいのか 佐々木紀彦◎
291.ベストセラー伝説 本橋信宏◎
292.禁断の説得術 村西とおる◎
293.酒中日記 正 坪内祐三◎

294.酒中日記 続 坪内祐三
295.証言 臨死体験 立花隆
296.田中真紀子研究 立花隆◎
297.四百字十一枚 坪内祐三
298.右であれ左であれ、思想はネットでは伝わらない 坪内祐三
299.昭和にサヨウナラ 坪内祐三
300.旅心はリュートにのって 星野博美◎◎
301.零の発見 吉田
302.天皇と東大下 立花隆◎◎◎
303.文庫本玉手箱 坪内祐三◎

304.破滅ー梅川昭美の30年 毎日新聞社会部
305.おたくの本懐 長山靖生
306.文庫本宝船 坪内祐三◎
307.決定版上方芸能列伝 澤田隆治◎◎

308.青春の東京地図 泉麻人
309.神楽坂純愛 深井美野子
310.懐かしい東京を歩く 森本哲郎
311.葉山日記 吉田仁
312.文庫本福袋 坪内祐三◎
313.昭和天皇・マッカーサー会見 豊下楢彦◎◎◎

314.自由の精神 萩原延壽
315.映画をたずねて 井上ひさし対談集
316.石川淳 評論選
317.2016年の週刊文春 柳澤健◎◎
(12月 38冊)

合計317冊

2016年225冊→2017年264冊→2018年201冊→2019年268冊→2020年317冊
楠木建、鹿島茂、山形浩生、坪内祐三といった読書家の薦める本を今年はずいぶんと読んだ。たとえば、幅広く本をピックアップする坪内祐三は自分と同世代の東京育ちで似たような体験をしているのに驚く。今年亡くなったけど、「酒中日記」を読むと夜の銀座、新宿をはしご酒をする酒好きだということがわかる。似たような飲み方をしている自分は彼を反面教師にしなければならない。でも、彼の文庫本紹介の連載がなくなるのはさみしい。ただ、坪内祐三の薦める本にはビジネス系の本はない。一橋大学の楠木建がチョイスした経済学、経営学の本をピックアップしてみて自分に合うかどうかを書店や図書館で判断して読むだけでも補足できる。翻訳家山形浩生もある意味同系統で、この2人の存在は大きい。山形浩生の頭脳は極めてするどく訳はピカイチだ。2020年の世の中株式で資産が増えているといわれるが、こっちの方は本を読んでもダメだな。

同世代の佐藤優も嫌いじゃないが、新自由主義を目の敵にする態度が気に入らない。知性はあるけど、牢獄時代を含めた外務省のキャリアを終わった時点で実体験人生が止まっている。そこが弱い。中国史の井波律子さんが今年亡くなった。残念である。とんでもない奇人が多い中国史に登場する人物を心やさしく紹介する。書評集「書物の愉しみ」をよむだけで、中国に関係する本で何をピックアップしていいのかわかる。2018年から2019年にかけてはイスラム史および中国回族との関係に強い関心を持ったが、今年は明と清の時代に引き寄せられた。星野博美さんの「旅心はリュートにのって」は一瞬リュート体験記かと思ったら、イベリア半島の歴史や十字軍の顛末に焦点があてられ快適な読後感を持てた。

今年改めてすごいと思ったのは立花隆である。田中角栄研究もあってか自分は彼を反体制左翼人と誤解していた。うっかりしていた。むしろ日本の学生運動と左翼運動をまったく信じていない。ここが佐藤優との違いだ。中立な立場で左右両面の立場にするどく切り込む立花隆の姿勢にもっと早く気づけばよかった。「日本共産党研究」、「天皇と東大」における徹底的な取材と重量級の内容には恐れ入る。そう思っていたら、自分の好きな柳澤健2016年の週刊文春という本を年末に出した。休みに入ってから読む。彼も自分と同世代、今までの柳澤の著作同様にむちゃくちゃ面白い。題名で損している気がする。文藝春秋のいい意味での池島信平時代からの歴史が刻み込まれている。快適に年を越せそうだ。
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東京カキフライ

2020-12-31 06:09:52 | 食べもの
年末に自分の好きな東京カキフライの備忘録

髪の毛キープするためには亜鉛が必要らしい。
それをいちばん含むのはカキだ。

水道橋 かつ吉
ともかく大きいカキフライ


四ッ谷 たけだ
カキフライ定食だけでなく、バター炒めもある


このカキのバター炒め食べるためにみんな大行列、自分は11時前に行く


池袋 ミトヤ
立教側にある大盛り定食屋は安くてうまい。


大井 ブルドック
子供の頃からある老舗の大食い洋食屋、オムライスとメンチカツが有名
カキフライもそれなりの大きさ


番外編
銀座の老舗よし田のカキそば
関西風味も選べる。


いいねえ
これで来年も髪の毛安泰か?
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2020年好きだった映画

2020-12-29 19:25:30 | 映画 ベスト
2020年観た映画作品は161本(旧作DVDと名画座含む)
その中で10作ピックアップする。優劣つけがたいがサブで10作をピックアップしてみる。
これは自分の好みが入る。映画の質がいい悪いは別である。

1.パラサイト 半地下の家族

2.フォードvsフェラーリ

3.盗まれたカラバッジョ 

4.ルディ・レイ・ムーア

5.ペイン・アンド・グローリー

6.ある画家の数奇な運命

7.燃ゆる女の肖像

8.はちどり

9.ラストレター

⒑.1917 命をかけた伝令

「パラサイト半地下の家族」はドキドキハラハラで最後まで走り抜く。何度ものけぞった。同時期にフェラーリvsフォードが公開された。今年の1位2位が最初に出尽くしたのかと思った。「盗まれたカラバッジョ」は歴史的名画の盗難事件をめぐる顛末を書いた名目上の著者とゴーストライターをめぐってのサスペンスで実に面白かった。さほど注目されていないが、好きだ。「1917 命をかけた伝令」は伝令を伝える兵士を追いかける抜群のカメラワークにうなった。久々の岩井俊二映画「ラストレター」中山美穂と豊川悦司が出てきたとき、背筋に電流が流れた。同じストーリーで中国で撮った「チイファの手紙」も良かった。

その後、コロナで映画を見に行けない時間が長かった。
Netflix映画のルディ・レイ・ムーアエディマーフィ健在がわかってうれしかった。70年代前半の黒人ソウルフル映画の系統は大好きだ。ペトロ・アルモドバル監督作品ペイン・アンド・グローリーも期待を裏切らない。独特の色彩感覚の映像と異常性愛の異種感覚にしびれる。現代ドイツ史の裏側を描くある画家の数奇な運命では歴史の事実の中に登場人物を効果的に放っていた。燃ゆる女の肖像では最後の場面でヴィヴァルディの四季を聴いたとき今年最高のゾクゾク感を感じた。はちどりでは瑞々しい若き14歳に同化してしまった。レベルの高い韓国クライムサスペンスの末梢神経を刺激する感覚とは違う素敵な映像を堪能する。

1.シチリアーノ 裏切り者

2.鵞鳥湖の夜

3.アイリッシュマン

⒋クイーンズ・ギャンビット

5.ヒルビリー・エレジー

6.ラストディール

7.朝が来る

8.リチャード・ジュエル

9.火口のふたり

10.赤い闇 スターリンの冷たい大地で

クイーンズ・ギャンビットをベスト10にいれるのか迷ったけど、一応ドラマシリーズだから外した。これは面白かった。ヒルビリー・エレジーの二人の女優は来年のアカデミー賞女優部門で受賞するのでは?河瀬直美監督の作品はこれまであまり好きじゃなかったけど、「朝は来る」はよかった。

「盗まれたカラバッジョ」もそうだけど、美術品が絡むミステリーって好きだな。フィンランド映画ラストディールも自分の好きなタイプの映画だ。現代中国の闇の世界を描いた映画っていい作品が多い。鵞鳥湖の夜もその一つで、これは良くできている。スターリンの粛清に絡んだ映画はいくつかある。「赤い闇 スターリンの冷たい大地」で飢えに苦しむソ連の貧民を深い雪の中で描いた映像がいい。

これとは別に「さようなら、コダクローム」も好きな映画だ。胸にしみる。
今年は昭和30年代から40年代にかけての邦画をずいぶんと見たなあ。今年の現代日本映画で好きになる映画がすくないのは極めて残念、題材に興味が持てない。
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映画「はちどり」パク・ジフ

2020-12-23 18:16:00 | 映画(自分好みベスト100)
はちどりは2018年の韓国映画、今年公開で映画館で観てきました。


すごく気に入った作品なのにうまく言葉に転換できない映画ってある。ブログアップできず気がつくと時間が経ってしまった。「はちどり」は14歳の女の子の微妙な思春期の心情を映像化したものである。主人公の14歳の女の子が映るスチール写真が可愛いので以前から注目をしていた。

1994年に時代はさかのぼる。家長に威厳をもたせる男性の強い韓国社会の矛盾がクローズアップされる。男が女を殴る場面がいやでも目立つ。それでも、いつもの韓国のクライムサスペンスで感じる末梢神経を刺激するどぎつさはない。14歳の女の子がそんなに激しい出来事に出くわす訳はない。物語設定に極端な紆余屈折があるわけでもない。でも好きだな、この映画

1994年のソウル、中学生のウニ(パク・ジフ)は餅屋を営む両親と姉、兄と集合団地に暮らす。両親は家業が忙しく、子供たちの面倒は見切れず別の学校に通う親友や恋人と遊んで気を紛らわしていた。かわいいウニには恋人がいるのに、下級生の女子からも付き合ってくれと慕われる存在であった。


ウニは親友と漢文塾に通っていた。ウダツの上がらない男性教師からある日突然ヨンジ(キム・セビョク)にかわった。事情があって長く学生生活を続けているというヨンジに徐々に気を許すようになる。そんな時、以前から耳の裏手にあったシコリが気になってくる。母親も忙しくて病院に付き合っていられない。医者からは手術しなければならないと言われるのであるが。。。


⒈家長の権威と男性
父親は餅屋を経営している。夕食は家族全員でとり、父親がテーブル上で訓示のような話を家族にしている。餅屋が忙しい時は家族総出で手伝いだ。その父親が外出するときに、中学生の娘も含めて必ず「いってらっしゃい」と玄関先まで見送って挨拶する場面にまず驚く。礼儀正しいなと思うより、家長として威張っているな!という感をもつ。

ウニの兄貴も威張っている。ソウル大学を目指しているが、ストレスもありちょっとしたことで気に喰わないと妹を殴る。そういう話がこの主人公ウニだけでない。親友も兄貴に殴られている傷を示す。いったいどうなっているんだろう。これは今から26年前の韓国社会だ。
友人の口に傷↓


⒉瑞々しい主人公
末っ子である。甘やかされているわけではない。兄貴の乱暴に耐えている。この主人公ウニがかわいい。美少女である。一応は同じ中学生の彼氏がいる。初々しく優しいキスをする。演じるパク・ジフが瑞々しい。


ウニの首にできたおできが手術を必要とするシコリで、父親と一緒に病院へ行く。その時、何故か?父親が泣き出す。それまでの威張り散らした父親が急変する。きっと自分以外の見ている人も驚いただろう。この時のコントラストに何か不思議なものを感じる。

⒊漢文塾の先生
韓国に漢文塾なんてものがあるとは思わなかった。自分が子供の頃は漢字とハングル文字が日本語のように入り混じっていた気がする。いつのまにかハングル表記オンリーになってきた。それでもこんな塾があるんだ。

そこではウニは親友とともに通っている。生活に窮乏した家の子でもないのに、文房具屋で万引きをしてしまう。見つかって2人は店主にこっぴどく怒られてしまうが、親友はそこでウニが商店街にある餅屋の娘だと思わず言ってしまうのだ。文房具屋の店主から解放された後、ウニは怒る。何でそんなことばらすのかと。当然だ。2人は絶交状態になってしまう。素敵な女教師がいる漢文塾にも親友は来なくなる。

ところが、しばらくして親友が塾の座席に着く。2人に起きた事情を知っている先生がどう出るのか?注目した。どうなったか言わないが、ここで見せた余韻のあるシーンが好きだ。
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映画「豚と軍艦」今村昌平&長門裕之&吉村実子

2020-12-15 18:56:50 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「豚と軍艦」は1961年(昭和36年)の監督に昇格して3年目の今村昌平監督作品である。助監督は翌年「キューポラのある街」を撮る浦山桐郎がつとめる。日米安保条約の改定が終了した翌年の横須賀で地元のヤクザがシノギのため養豚を始めてあたふたするドタバタ話である。


昭和40年代前半自分がまだ小学校低学年だった頃、東京品川で育った自分は父に連れられてよく久里浜沖の火力発電所が見えるところで釣りをしたものだ。行く道中車が横須賀を通るとき英語文字の大きな看板が続く横須賀の街並みに異様な光景だと思ったものであった。

ここではもう少し時代が遡る。まさに戦後を引きずっている横須賀の街を山の上から鳥瞰する映像を織り交ぜ、まだ貧しく米国軍人に食い扶持を頼りっぱなしの横須賀住民が、貧乏長屋でギリギリで生活している姿も映し出している。安保闘争翌年の終わりには政治色は少ない。むしろ裏社会で悪いことをして生き抜こうとするヤクザに焦点を当てる。

港に軍艦が停泊する米海軍基地がある横須賀では、中心地のドブ板通りに米軍兵相手のキャバレーが立ちならんでいる。裏売春の元締め日森(三島雅夫)率いる一家は当局の取締りで根こそぎやられてしまった。そこでハワイからきた崎山(山内明)が基地の残飯を提供する話もあって大量の豚を飼育するしてしのぐことを考えついた。

チンピラの欣太(長門裕之)は兄貴分の鉄次(丹波哲郎)や軍治(小沢昭一)大八(加藤武)、そして星野(大坂志郎)とともにゆすったり、押し売りしたり、労働者のスト潰しまでやって金をつくり「日米畜産協会」なんてもっともらしい名前をつけて事業をスタートしようとした。


そんな時、やくざの春駒が勝手なことをするなとばかりに横須賀に戻ってきた。鉄次たちは面倒なやつを始末すると、春駒の死体を沖合まで捨てに船を出した。そして、兄貴分たちは欣太には万一のことがあったら代わりにムショに行け、そうすれば出所したら幹部になれるとおだてる。

使い走りの欣太は豚の飼育係をやらされる。春子(吉村実子)という彼女がいて、ハラまして中絶もさせている。春子は母(菅井きん)とオンリーの姉の弘美(中原早苗)と暮らしている。ハチャメチャな暮らしに嫌気がさして早くこの境遇から脱して欣太と横須賀から逃げたいと思っていた。

ある夜、鉄次が吐血して病院に担ぎこまれる。胃癌で余命短いとされ診断結果を受けた鉄次はがっかり、失意のあまり線路に飛び込んで自殺までしようとした。でも結局誤診で、鉄次は単なる胃潰瘍だったのだ。鉄次は、あとが短いから殺してくれよと頼んだ殺し屋に殺されるのではとまた血を吐いてしまう。

鉄次がよたっているうちに日森一家は組長の日森と、軍治・大八とに分裂してしまう。その上、崎山はハワイに逃げ帰ってしまうのだ。分裂したどちらも豚を売りとばそうと企み、トラックに乗せた豚を巡って取り合いの争いが起きて板挟みの欣太は右往左往するばかりであるが。。。

⒈昭和40年代のTVドラマで活躍する人たち
自分が小中学生時代にTVドラマでみる常連たちが演じているので、昭和36年の映画という感じがしない。後年は偉そうだった長門裕之もここではヤクザの下っ端というよりチンピラじみているし、長門よりももっと偉そうだったその兄貴分の丹波哲郎もまったくヤクザらしくなくオドオドする。胃がんになって失意のあまり京浜急行に飛び込もうとするシーンがご愛嬌だ。線路脇にある生命保険の宣伝看板の横であたふたするところが面白い。

長門裕之の奥さん南田洋子はここでは丹波哲郎の姐さん役、昭和40年代のドラマではむしろ善人のおじさん役であった三島雅夫や大坂志郎がヤクザ役で、今村作品の常連小沢昭一と加藤武の麻布中学同級生コンビも悪さをしまくる。


ここでは吉村実子のはち切れんばかりの若さが際立つ。当時17歳としてはかなり大胆、深作欣二夫人で意地悪おばさん的役柄が多かった姉役中原早苗もまだ若くてキレイだ。50年以上個性的脇役で欠かせない存在だった菅井きんもお母さん役で出ている。

⒉どぶ板通りに放たれる豚の群
街に豚が放たれることで有名な作品である。やけっぱちになった欣太(長門裕之)が機関銃を撃ちまくりながら、トラックにいる豚を道路に放り出す。そのシーンが有名なわりには豚が疾走はしない。ゆっくりと走っているだけである。


このどぶ板通り半分はセットだとは思うけど、イスラム教徒が大嫌いなこんな臭い豚が街に放たれたらたいへんだろうなあ。
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映画「ばるぼら」 稲垣吾郎&二階堂ふみ&手塚治虫

2020-12-13 18:02:55 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「ばるぼら」を映画館で観てきました。

映画「ばるぼら」手塚治虫原作の漫画を映画化したもの、メガホンをとるのは息子手塚眞である。稲垣吾郎、二階堂ふみの両主演に加えて、撮影はウォンカーウァイ監督作品でお馴染みのクリストファー・ドリルの豪華メンバーが揃う。売れっ子小説家がガード下で飲んだくれて倒れている女の子と知り合ってから起こる一連の奇怪な出来事の顛末がストーリーの基調である。


時代設定が漫画の原作当時に遡るわけではない。そこに売れっ子小説家とファンだけど得体のしれない女の子を放ち、劇画から飛び出たような構図の映像がつづく。二階堂ふみや渡辺えりは別として、配役の演技がお遊戯並みに稚拙で期待したほどのものではなかった。それでも、二階堂ふみだけはここでも健在

今ひとつ乗りきれない売れっ子小説家美倉(稲垣吾郎)がガード下で飲んだくれているホームレスのような女の子ばるぼら(二階堂ふみ)を見つける。介抱しようとしたら、雑誌で美原の顔を見たことあるよと抱きつき、気がつくと美倉のマンションへ向かう。体中が臭いばるぼら は家の高級ウィスキーをラッパ飲みして悪態をつき、美倉は追い出す。


その後、女好きの美倉はブティックで豊満なボディの美女を見つける。更衣室に連れ込み、メイクラブしようとすると相手が急に凶暴に急変する。そこを助けたのがばるぼらだった。ばるぼらが叩き倒すとなんと美女はマネキンの化け物だった。そんなことがあり、再度美倉のマンションへ向かい居候するようになる。次第に美倉は前よりも創作活動にノリが出てきた気がするのであるが。。。


⒈手塚治虫
70年代初頭手塚治虫は極度のスランプに見舞われていた。アニメ事業が失敗し1973年虫プロが倒産した。連載漫画も軒並み失速し大手出版社の雑誌から手塚作品が消えていった。70年台前半「ハレンチ学園」が出てきた後は漫画のエロチック化が進む。ばるぼらは1973年7月連載スタートの手塚治虫の作品である。女性の裸を出して世間一般の手塚ファンも驚かせた作品が続く。せっぱ詰まったので金儲け主義に陥ったのであろうか。


実際には失意のどん底の手塚治虫を本当の意味で助けたのは1973年11月から「少年チャンピオン」で連載がスタートしたブラックジャックである。元々医師だった手塚治虫が超腕利きの無免許医師を描いたブラックジャックで復活できた。ばるぼらがビックコミックに連載をされていたのに記憶はない。元々は手塚治虫は映画好きである。年間365本は映画を見たという手塚治虫の影響もあってか息子手塚眞も映画界に進んだ。でもパッとしてはいない。

⒉二階堂ふみ
手塚治虫作品でいえば、ばるぼらブラックジャックにおけるピノコのような存在感か。女性にも嫌われないようにアトムにはウランの存在を残すが如く、売れっ子小説家に対応してばるぼらというハチャメチャなキャラを放つ。色んな役柄を演じるようになった二階堂ふみであるが、元来演じていたキャラには近い。


自分はヒミズでの女子高校生役以来の二階堂ふみファンである。園子温の強烈な演技指導でグッと伸びた。あの衝撃からずっといい女優に育っている。この映画でも周囲の演技力が稚拙な中でより際立つ。今回小ぶりな乳輪のバストトップをさらすヌードタイムが長い。あれ?大学卒業できたんだっけ?後輩だけに気になる。

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キムギドク死す

2020-12-13 07:58:02 | 映画(韓国映画)
韓国映画の奇才キムギドクが亡くなったと報道されている。

今年の映画界の訃報ではいちばんのショックである。朝目を覚めておったまげた。キムギドクラトビアで亡くなったと言うことであるが,詳しい事情はよくわからない。一部報道によると新型コロナウィルス感染とのことだ。なんでラトビアと思ってしまうが,現地に家を買ったとされている。


キムギドクを追いかけて10年以上になる。初めて観たのは「春夏秋冬そして春」である。その映像美に魅了された。それから遡って「悪い男」を観て、その異常な世界に唖然とした。そして追いかけた。

普通のお嬢様を売春窟の世界に落とし込める「悪い男」、留守宅に忍び込み自由に振る舞う「うつせみ」、美容整形をして自分をふった男の前に現れる「絶対の愛」、死刑囚に同情して慰問に訪れる女の異常愛「プレス」、援助交際をした少女とその親をクローズアップした「サマリア」、船の中で少女を育てるロリコン偏愛もの「」などはそのテーマの選択からしてすごい発想である。必ずしもハッピーエンドに至らず抜群の奇抜な発想に魅せられた。

そして「嘆きのピエタ」は数あるキムギドクの作品でも最高傑作といえる。高利貸しの借金取りの前に母親と名乗る女が現れての顛末の話だ。自身がかなりの貧困家庭で育ったという履歴もあるのか、韓国の下層社会を描くストーリーにリアル感を感じる。


比較的近年の「網に囚われた男」や製作脚本に関わった「レッドファミリー」は南北朝鮮の問題に切り込んできた。ただ、以前ほど新作が出ていなかったのは残念だった。女優に手を出したという問題もあり、国際舞台での高い評価と比較すると韓国国内では決して周囲の評価がいいわけでもなかった。これまで楽しまされてくれたことに心から冥福を祈りたい。
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Netflix映画「日曜日の憂鬱」バルバラ・レニー&スシ・サンチェス&ラモン・サラサール

2020-12-06 10:52:19 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
Netflix映画「日曜日の憂鬱」は2018年のスペイン映画


Netflixの中をふらついているときに「日曜日の憂鬱」に出くわす。富豪の婦人の前に8歳の時にあなたと別れたという女性が現れる。10日だけ付き合ってくれという娘の頼みを聞いて過ごす日々の物語である。スペイン映画はペドロアルモドバル監督の一連の作品をはじめとしてその独特の色彩感覚に魅せられることが多い。出演者に見覚えのある女優がいる。映画マジカルガールでみた女性バルバラ・レニーだと気づく。この映画も変わった映画だった。スシ・サンチェスはペドロアルモドバルの「私の生きる肌」での印象が強い。

映像が美しい。室内インテリアも外部の風景もきれいだ。緻密な映像で作られている。おそらくは丹念にカメラアングルを練ったと思われる最高の映像コンテである。セリフが極端に少ない構造だ。観客に頭を使わせる。説明が少ないのでこちらの方で推測をしなければいけない部分が多々ある。娘の行動は奇怪な感じで途中までこの映画の締めをどうするのかがよくわからない。謎をラスト前までのこすというのはラモン・サラサール監督の脚本のうまさであろう。不思議な余韻を残す良作である。

富豪が主催する崇高なお屋敷での豪華なディナーの席で、作法が稚拙な女性がいた。ディナーが終わって主催の夫人アナベル(スシ・サンチェス)の前にその女性キアラ(バーバラ・レニー)が現れる。それは女性が8歳の時に夫人と別れた子供であった。別れてから30年以上たっていた。

改めて面会して何で自分の前に現れたか聞くと、金銭的な要求は何もいらないので10日間自分と付き合ってくれという頼みを受けた。アナベルは夫に相談して、弁護士とともにキアラにあう。他の要求は一切しないという書面を弁護士がだすと、内容も読まずにキアラはあっさりとサインした。


約束通りキアラの家に向かった。それは山奥の小屋であった。一緒に暮らすというもののお互い干渉せずに生活していた。母と娘の関係はギクシャクしている。お祭りの日には2人で向かったが、キアラは勝手に自由奔放に男とダンスして酒に酔い潰れていた。そのあとでキアラが体調を崩す。病院に向かい病状を聞くのであるが、様子が徐々におかしくなっていることに気づいていくのであるが。。。

1.何で10日間一緒に生活するの?
キアラの住まいは山奥で携帯も使えない。そんなキアラが母アナベルの前で感傷に浸るわけでもないし、ベタベタするわけでもなくお互い自由に生活している。「何で10日間一緒に生活するの?」と思ってしまう。キアラの行動は奇怪でかつ不審である。まずは湖のそばで弱っている鳥に危害を与えるシーンに驚く。動物愛護協会からどなりこまれそうなむごいシーンだ。知人の家にいる犬を自宅に連れてきて、井戸で困っている犬(本当は違う)を連れてきたといい泥だらけになので水をかけて洗ってくれとアナベルにいう。そしてそのホースの水を高そうな服を着ているアナベルにかけるのだ。なんか変??というストーリーが続く。


意味不明なシーンが多く戸惑うが、いくつかのシーンの美的センスが抜群だ。アナベルが自身の娘にこれから実の娘に会うと告げる場所のインテリア設計のすごさ、アナベルがキアラの家のステレオの曲にあわせてダンスをするシーンの優雅さ、メリーゴーランドでアナベルとキアラが遊ぶシーンなどスペイン映画らしい奇想天外なイメージで生まれたとおぼしきシーンが数多い。

この後はネタバレあり映画を観ていない人は読まないでください。

2.原題「La enfermedad del domingo」
英題は「Sunday's Illness」である。「日曜日の病気」?英語版だけ訳が違うのかと思ったら、スペイン語「La enfermedad del domingo」の訳も同じである。もっともこれを知ったのは映画を観た後、ただ映画を見終わっていればわかる。でもこの訳ってわかっていれば映画の途中は別の見方をしたかもしれない。ある意味日本のNetflix映画の担当者はうまいと感じる。

2人が雪の中ジェットコースターらしき乗り物に乗るシーンでキアラが目を閉じてくる。途中キアラが倒れて病院にいくシーンがある。そのときも何も説明がない。セリフもない。キアラが注射をしている。痛み止めのようだ。若いときにヘロインを摂取したことがあったというセリフがあったが、今はやめているという。


何それ?そんなことを考えながら最後のシーンに近づく。そうか、この映画が終活の映画だとわかるのは最後に近づいてである。コソコソ母親の耳で娘がささやくのがこういうことだったのか!自分も鈍いのか気づかなかった。

最後のシーンでは、渡辺淳一原作「白い影」を思い出した。ここでの主人公であるエリート医師はがんに犯されていることに気づき、民間の病院に移る。そこでがんに犯されている患者に処方されているモルヒネを大量に自ら摂取しているのである。しかし、もうこれ以上無理と感じたときに自ら死を選ぶ。北海道の湖の底に沈むのだ。自ら望んで湖の底に向かうその姿とキアラの姿がだぶった。でも何で裸になるんだろう?これは真意がわからなかった。
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映画「燃ゆる女の肖像」アデル・エネル&ノエミ・メルラン&セリーヌ・シアマ

2020-12-05 20:10:00 | 映画(フランス映画 )
映画「燃ゆる女の肖像」を映画館で観てきました。

これは傑作だ!
エンディングに向けてのつくり込みはすばらしく心にジーンと残った。


「燃ゆる女の肖像」は18世紀のフランスを舞台にお見合いするための肖像画を依頼された女流画家が孤島に暮らす貴族の令嬢の館で過ごす10日間を描く。女性監督セリーヌ・シアマの映画作りの巧みさに感心した。その他大勢の出演者を除く主要な出演者はすべて女性である。

上野千鶴子先生の推薦文があるので女性映画との触れ込みを感じて一瞬行くのか迷ったけれども思い切って行ってみたら観客の8割が男性だった。フェミニストやLGBT映画的ないやらしさはまったくない。やさしいフランス語で語るので内容は自分にもしっくりくる。

物語は複雑でなく、むしろオーソドックスだ。でも、海や古い館を映し出すカメラアングルと照明設計が見事である。女同士のむずばれない愛を美しく絵画のように描いていてすばらしい。むしろ女性よりも男性が好む映画じゃないかな?


18世紀フランスのブルターニュ地方、ある伯爵夫人(ヴァレリア・ゴリノ)から、若い女性画家マリアンヌ(ノエミ・メルラン)は伯爵令嬢エロイーズ(アデル・エネル)がお見合いするための肖像画を描くことを依頼された。大西洋に浮かぶ孤島に、エロイーズが住む館があった。マリアンヌが小舟でやって来る。

肖像画を描くということは内緒で、散歩のお相手で短期に滞在という口実であった。5日間という約束で夫人は島を離れ、メイドのソフィ(ルアナ・バイラミ)と3人で広いお屋敷に住み、婦人が帰ってくるまでに肖像画を完成させることとなる。


エロイーズは気難しい女性だった。笑顔をみせない状況がつづいたが、時間を経るうちに親しみを感じてくれるようになる。エロイーズの動きを観察しながらこっそり隠れてマリアンヌが肖像画を完成させる。

伯爵夫人が戻ってきて見せる前に、まずはエロイーズ本人に確認してもらおうとする。しかし、自分の身分を明かし、絵を見せるとこれは気に入らないと拒絶される。落胆したマリアンヌはその時点で島を離れようとしたが、エロイーズからもう一度描いてくれといわれ、母親の貴婦人の承諾を経て島に残ることとなる。

今度は肖像画のモデルらしく、エロイーズは協力してくれる。エロイーズは笑顔を見せてくれるようになり、2人はこれまで以上に心が通じ合うようになる。やがて関係が徐々に一線を越えていくようになるのであるが。。。

1.2人の接近
肖像画を描くために島にきたのはマリアンヌがはじめてではなかった。以前は男性画家が来たことがあった。そのとき描いた肖像画には顔がなかった。肖像画を依頼されたマリアンヌには酷な依頼に思われた。修道院にいたエロイーズはこれまで心を許せる人物がいなかったのであろう。2人は徐々に接近を重ねていく。いったんは関係が終わってしまいそうだったが、改めて接近する。


途中まではきわどいシーンを連想させなかった。しかし、2人に性的欲求が生まれる。ノエミ・メルランとアデル・エネルがともにヌードをみせる熱演で2人の衝動を映像にみせてくれる。この映画の照明設計はすばらしく、美しく芸術的に表現する。ここでは令嬢エロイーズが豊潤に生えるワキ毛をみせるシーンがある。このエロさに思わずドキッとしてしまう。アデル・エネルの大胆さに目を奪われる。

2.18世紀の中絶事情
伯爵夫人が島を留守にした後でエロイーズとマリアンヌのお世話をするメイドのソフィが残って3人になる。あるとき、マリアンヌにソフィがいう。「生理が3ヶ月こないの」どうも妊娠してしまったようだ。当然望まぬ妊娠なので、中絶したい。海辺で走ったり、宙づりになったりしたあとで、お産婆さんらしき女性の元に行き中絶の処置をする。まさに18世紀の中絶手術だ。そのときのシーンで中絶するときにソフィの横に赤ちゃんが横たわって一緒に映るショットがある。不思議な気分になる。


3.音楽の使い方の巧みさ
音楽のない映画だ。島に荒々しく打ち寄せる波や風の音以外にあまり多くはないセリフがあるのみだ。これはこれでいい。そう思ったときにマリアンヌがハープシコードの元に行き、音楽を奏でる。音色を聴いていると、無造作に弾いている曲が徐々にヴィヴァルディの「四季」だということがわかる。これでエロイーズがはじめて笑みを浮かべマリアンヌと2人の関係が急激に接近する。


焚き火の粉が舞うなか、祭りに集う地元の女が清らかな歌声が響く。これが2つめの音楽だ。幻想的にマリアンヌとエロイーズを映す美しいシーンである。
結局この2曲と思ったときに最後にあっと驚くシーンをみせる。
さすがにそのときは自分の背筋に電流が走った今年いちばんのエンディングかもしれない。
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映画「薬の神じゃない!」シュー・ジェン

2020-12-03 22:45:37 | 映画(アジア)
映画「薬の神じゃない!」を映画館で見てきました。


「薬の神じゃない!」は中国で大ヒットしたという触れ込みで評判もいい。実話に基づいているという。密輸の話となると黒社会の怖いお兄さんたちが立ち回る印象を受けるが実際にはドンパチのきわどい話ではない。むしろ掟破りの話が健全な話に転換する。インド産の男性機能増強剤を売っている店主が白血病病のジェネリック薬品をインドから仕入れて売る。派手に売りまくるが当局の手入れを受けて右往左往してしまうという話だ。

上海で、男性向けのインドの強壮剤を販売する店主 チョン・ヨン(シュー・ジェン)は、店の家賃さえ払えず、妻にも見放されていた。ある日、 慢性骨髄性白血病を患うリュ・ショウイー(ワン・チュエンジュン) が店に訪れる。国内で認可されている白血病治療薬は非常に高価であるため、安価で成分が同じインドのジェネリック薬を購入して欲しいという依頼だった。

金に目がくらんだ程勇は、ジェネリック薬の密輸・販売に手を染め、より多くの薬を仕入れるため白血病患者たちとグループを結成。依頼人の呂を始め、白血病患者が集まるネットコミュニティ管理人のリウ・スーフェイ(タン・ジュオ)、中国語なまりの英語を操る劉牧師、不良少年のボン・ハオが加わり、事業は大きく拡大していく。


しかし、警察に密輸として目をつけられ始め、一度はグループを解散した程勇だった。薬を絶たれた患者たちの悲痛な叫びに決意を固める。(作品情報引用)

⒈高価な正規販売の薬
ジェネリック商品と正規販売の薬との値段の差が大きすぎるわけで。低所得者は正規販売する薬が高すぎて買えない。当然、中国の健康保険状況はよくないだろうなあ。いったん安い白血病治療薬が手に入って希望が見えたのに、大勢いる患者が八方塞がりだ。この場合、中国であれば役人への薬品会社の賄賂があったのかもしれない。高利益をむさぼるため、値下げを禁じるような指示がされたりしてね。最後のテロップでは今は改善されたとなっているけど。

泣きついてこられて金の亡者も急に良心に芽生える。中国人は一般に個人主義的で空気を読まないと言われる。この主人公は気がつくと個人主義を消して善人になろうとしていくのだ。


少し前に家人が病院にかかったとき、健康保険の当局からこの薬にはジェネリック薬品があるからそれを使ってくれとお達しが来た。あれと思ったけど、健康保険組合の財政状況を考えるとここまで踏み込んでくるのはよくわかる気がする。

以下ネタバレあり、映画を観ていない人はご注意。

⒉警察当局との睨みあい
映画のポスターに映る主人公たちの面構えはいかにも悪そうだ。 途中まではコンプライアンス違反の売り方で警察との間にらみ合いの状態が続く。悪知恵と公安当局の対決だけじゃ大ヒットにはほど遠いだろう。それが結果的には良い人になるのである。

当局の監視で白血病特効薬のジェネリック薬が流通できなくなったが、すでに販売ルートに流したものがある。それを一気に買い戻すのである。患者の負担を軽くするため買い戻し値以下の価格で薬を売り始める。つまり顧客に500元で売るのに2000元で買い戻す。儲けなしどころか大損だ。個人主義の中国人が人々を救う気持ちになるのはめずらしい。途中からは捜査している警察側も同情していくのだ。


おみおくりの作法という映画がある。身寄りがないに等しい孤独死した人たちを送る公務員が亡くなってしまったときに今まで世話になった死人が見送るという映画だ。最後感謝されてみんなに送られるという映画に通じるものがあった。

ここでどうなったかは映画を観てのお楽しみ。映画を観ている人からはすすり泣く声が聞こえた。
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