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映画「偶然と想像」 濱口竜介

2021-12-26 20:14:33 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「偶然と想像」を映画館で観てきました。


映画「偶然と想像」は、外国映画祭で受賞の常連となり、今や一流監督の道を歩んでいる濱口竜介監督の新作短編集である。オムニバス映画とも言えるが、それぞれの話がどこかでつながっているわけではない。前作ドライブマイカーでは村上春樹の短編3作を巧みにアレンジして、途中演劇の部分がちょっと長すぎたが良かった。

今回も期待感をもって映画館に向かう。しかし、都内でなんとBunkamuraしかやっていない。もっとも期待されている映画作家なのにそれはないでしょうとも思ってしまう。観に行くと、男性が大部分なのに驚く。観客の笑いを誘いだす喜劇的場面もいくつかあり、どこかなごやかな館内の雰囲気であった。

いずれも、濱田竜介監督の作品「寝ても覚めても」や「ドライブマイカー」のように観客を驚かす部分を備えた脚本なので、作品情報を引用する。

(第一話)
 撮影帰りのタクシーの中、モデルの芽衣子(古川琴音)は、仲の良いヘアメイクのつぐみ(玄理)から、彼女が最近会った気になる男性(中島歩)との惚気話を聞かされる。つぐみが先に下車したあと、ひとり車内に残った芽衣子が運転手に告げた行き先は──。(作品情報より)



結局、芽衣子は夜会社で残業している元彼氏のところに乗り込んでいくのである。それにしても、この女主人公のセリフの数々にはひたすらムカつく。なんだこの女と思って腹が立つけど、男もなんかぐずぐずしている。元カレが別の彼女といい感じで結婚とかに進もうとしているときに、邪魔したり強引にもう一度よりを戻そうとする話って割とあるような気がする。これもそのパターンかも?最後の展開が見ものだ。

(第二話)
 作家で教授の瀬川(渋川清彦)は、出席日数の足りないゼミ生・佐々木(甲斐翔真)の単位取得を認めず、佐々木の就職内定は取り消しに。逆恨みをした彼は、同級生の奈緒(森郁月)に色仕掛けの共謀をもちかけ、瀬川にスキャンダルを起こさせようとする。



単位をくれなかったおかげで恨むということだけど、恋人にハニートラップをさせぐちゃぐちゃにしてしまおうというのも普通そこまでは考えない。しかも、この同級生の女性すでに結婚していて子供までいるのだ。それなのに不倫している。しかし、教授を誘惑しようとして乗り込んだ研究室は、さすがの教授も扉を開けたままにしている。用心深い。それでも、教授が書いた小説のエロい部分を読み上げたりしてあえて扉を閉めて誘惑する。さてどうなるか?


これはなかなか面白い。教授は用心深くガードが硬いのであるが、思わぬ罠があった。タダではすまない。一部笑いの部分も作りながら現代風に展開する。オレだったら、こんないい女が目の前に現れたら引っかかるんだろうなあと思いながら観ていた。

(第三話)
 高校の同窓会に参加するため仙台へやってきた夏子(占部房子)は、仙台駅のエスカレーターであや(河井青葉)とすれ違う。お互いを見返し、あわてて駆け寄る夏子とあや。20年ぶりの再会に興奮を隠しきれず話し込むふたりの関係性に、やがて想像し得なかった変化が訪れる。(作品情報より)



仙台にある女子高の同窓会に参加した夏子は目当ての友人がいなくてつまらないと思ったまま東京に帰ろうとしていた。その時、仙台駅のエスカレーターですれ違うお目当ての旧友にばったり出会う。お互いに再会を喜び、旧友の自宅に歩いて向かう。地元なのに夏子には同窓会の通知が来ていなかったのだ。

(注意:ここからネタバレあり)
自宅で会話していた夏子が高校時代かなりきわどい関係だった旧友が緊迫な会話に誘導しないのにイライラしていたときに、ようやくわかる。なんと、お互いがそれぞれ思っていた旧友とはまったくの他人だったのだ。館内は一気に笑いの渦となった。でも、ここでは終わらなかった。ここからも2人の好演に支えられていい感じで進んでいった。

オリジナル脚本のようだ。予想外の展開で観客が驚くのを濱口竜介が楽しんでいるような面白さはある。俳優は主演級ではない。ただ、いずれもどこかで観たことのある俳優である。演技の優劣はあるなあ。みんなうまいわけではない。ドッシリとしたフルボディのワインを飲むような感覚があるわけではないが、B級グルメの小品を楽しめた感触を残した。

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