映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「コンサート・フォー・ジョージ」エリック・クラプトン&ポールマッカートニー 

2023-07-31 21:28:28 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「コンサートフォージョージ」を映画館で観てきました。


映画「コンサート・フォー・ジョージ」は2002年11月ジョージハリスンの追悼コンサートの映像を映画化したものである。21年の歳月を経て、日本で一般公開された。盟友エリッククラプトンが協賛するミュージシャンを集めてロンドンのロイヤルアルバートホールで開催された。ポールマッカートニーとリンゴスターのビートルズメンバーに加えて、後期の準メンバーといえるビリープレストンやジョージが傾倒したインド音楽のラヴィシャンカール父娘も参加している。

感動しました。
すごすぎる映像だらけである。
恥ずかしながら、こんなすごいコンサートが開かれていたことを知らなかった。1971年バングラディシュ救済のためのコンサートをジョージハリスンが主宰してマジソンスクエアガーデンで開催された時、輸入盤のLPをすり切れるくらい聴いたものだ。ジョージを除いたメンバーは似たようなメンバーだけど、今回はエリッククラプトンが仕切る。音はかなり洗練されている。

⒈ビートルズ中期のジョージ
まずはビートルズ時代の曲からスタート。
ラバーソウルの「恋をするなら If I Needed Someone」はビートルズが1966年に来日して東京公演した時のセットリストの一曲である。TV放映した時、長い長い前座があってからスタートしたわけだが、小学校低学年の自分はビートルズが登場する時には寝てしまった。父がオープンリールのテープレコーダーに録音して何度も何度も聴いていた。自分には良さがまったくわからなかった。

それから3年ほどたって本格的に聴くようになって、テープレコーダーをもう一度聴き直した時、「恋をするなら」が耳に焼きついた。今回はエリッククラプトンが歌う。


⒉タックスマン
自分が普通の人と違うビートルズへの目覚め方をした曲である。小学校の同級生でお兄さんがいるビートルズを聴いている奴がいた。彼が住む社宅に行ったら「タックスマン」を勧めてくれた。当時よくあった4曲入りのEPだ。リズミカルなテンポで、父が聴いているテープの曲よりもよく感じた。ウルトラシリーズがリアルに全盛な時で「バットマン」と同じような感覚で「タックスマン」ってキャラクターだと本気で思っていた。

家で親にねだったら、「タックスマンって税務署員だぞ。とんでもない。」と父に言われた。この衝撃は57年たった今でも忘れられない。自営業の経営者だった父にとっては税務署は敵だ。税務調査でいつも絞られていたのだ。でも、買った後一番聴いたのは父かもしれない。


⒊リンゴスター
バングラデシュ救済のコンサートにも参加している。全米ヒットチャートNo.1の「想い出のフォトグラフ」はまだ発売されていないので、「明日への願い」を歌っていた。ビルボードではトップにはならなかったが、キャッシュボックスでトップになった。もう一曲は「ハニードント」だ。だいたいLPに一曲くらいリンゴスターがリードボーカルの曲がある。

カールパーキンスの正統派ロックンロールである。ジョージハリスンのギターが印象的な曲だ。いかにもリンゴスターらしいスッとボケたボーカルだ。この後、リンゴスターは数々の名曲に合わせて後ろの席でドラムを叩きつづけるのが印象的だ。


⒋ヒア・カムズ・ザ・サン
「アビーロード」に入っているアコースティックギターの名曲だ。ジョーブラウンがギター片手にさわやかに歌う。実はジョーブラウンのことはあまり知らない。もともとビートルズより先のデビューでヒット曲を出していた。ジョージハリスンがジョーブラウンの歌をコピーしていたようだ。最後にウクレレ片手に「夢で逢えたら」を歌う。


⒌ラヴィ・シャンカール
映画が始まってすぐ凄いインド美人が出てくる。いったい誰なんだろうと思っていたら、ラヴィシャンカールとくっついてインタビューを受ける。こんな若い美人と一緒になるなんて凄いなと思ったけど、娘のアヌーシュカ・シャンカールだということがわかる。高齢になったラヴィ・シャンカールは今回は演奏せずに娘に任せる。いかにもインドの音楽にエリッククラプトンがギターの音色を合わせるのが素敵だ。


艶福家のラヴィシャンカールはこの美女の前に歌手ノラジョーンズをこの世に送り込んでいる。異母姉妹の共演をやっていること自体で凄いと感じる。

⒍ポールマッカートニー
コンサートの中では一番の格上だ。登場した時の拍手も大きい。得意の左ききスタイルでアコースティックギターを持って「フォーユーブルー」を歌うが、いかにもジャムセッション的な曲である。その後でウクレレを持ってジョージハリスンの代表曲「サムシング」を歌う。これはすばらしい!

ジョージハリスンウクレレが好きだったという。それを意識してか左利き持ちのウクレレでサムシングをじんわりと歌う。途中からエリッククラプトンにヴォーカルを交代するが、実に味がある。映画の大画面に映るポールとエリックを見て、こんなすばらしい組み合わせってあるかしら?と思う。これには感動して涙がでてきた。このコンサートのヤマであろう。

「サムシング」の原曲でポールマッカートニーが弾くベースのメロディラインは歴史的名演で、本当はウクレレからテンポが変わるときに左利きベースで弾いてほしかった。

「ホワイルマイギタージェントリーウイープス」ではホワイトアルバムと同様にピアノのイントロをポールマッカートニーが弾く。裏でリンゴスターはドラムスを叩くし、リードギターはエリッククラプトンだ。まったくの再現である。

⒎ビリープレストン
「レットイットビー」や「アビーロード」の頃は実質5人目のメンバー的活躍をしている。ゲットバックのエレクトリックピアノのソロがいちばん際立つ。ジョージハリスンがLP「オールシングスマストパス」から「マイスウィートロード」をシングルカットしたけど、最初にシングルを出したのはビリープレストンである。

いかにもアフリカ系の声で清々しく歌う。いい感じだ。個人的にはヒットしたインストメンタルの曲「アウタスペース」がすばらしいと感じる。ロックとソウルとジャズの混合に大きく貢献した曲だ。でも、コンサートの4年後若くして亡くなってしまう。残念である。


⒏エリッククラプトン
リーダーとしてコンサートを仕切る。20年以上前のコンサートとはいえ、改めてエリッククラプトンの凄さを再認識した。今回逆に感心したのはリードギターでオリジナルから逸脱したアドリブを演奏していないこと。エリッククラプトンも長髪のバングラディシュの頃はジョージハリスンのヴォーカルの後ろでギターに専心している。ジョージもギターを合わせるけどアドリブが若干ちぐはぐ。今回の方が泣きが入っているね熟練の味だ。すばらしい!!


エリッククラプトンはほとんど登場しているけど、地味な曲でもバングラデシュでもやった3枚組ファーストアルバムに入っている何故か自分が好きな「ビウェア・オブ・ダークネス」が良かった。


それにしてもジョージハリスンのセガレは父親に容姿も声もそっくりだよね。コンサートでやったのに何で「ギブミーラブ」入っていないんだろう。それだけ不思議??
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映画「658km 陽子の旅」 菊地凛子

2023-07-30 22:38:37 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「658km 陽子の旅」を映画館で観てきました。


映画「658km 陽子の旅」菊地凛子上海国際映画祭で主演女優賞を受賞した作品である。監督は熊切和嘉「夏の終り」「私の男」など連続していい作品を作ってきたが、今回久々に彼の作品を観る。疎遠だった父親が亡くなり東京から青森までヒッチハイクで向かうロードムービーだということは事前情報でわかる。ストーリーは何となく想像できるが、菊地凛子の演技が気になり映画館に向かう。この映画の菊地凛子は疲れている役柄だけど、近況の姿はすごくきれいになった感がある。

東京の古いアパートで引きこもり気味に1人住む42歳のフリーター陽子(菊地凛子)の元を従兄弟の茂(竹原ピストル)が、青森にいる陽子の父親が亡くなったと伝えにくる。陽子は呆然とするが、一緒に車で青森に向かおうと茂にいやいや引っ張られ同乗する。

ところが、高速のサービスエリアでの休憩中に、茂の子どもがトラブルに巻き込まれてその場を一時離れる。トラブルが起きた時に別の場所にいた陽子のスマホは使えない状態になっていた。茂の車が自分を置いて先に行ってしまったと思い、駐車中の車に北の方面に行ってくれと頼む。

主人公は最初からヒッチハイクで青森へ行こうとするわけではない。高速のサービスエリアで置いて行かれてしまうのだ。しかも、スマホもないし、所持金は2000円足らずだ。やむなく、誰かの車に同乗せざるを得なくなるのだ。


典型的なロードムービーで、青森に向かう菊地凛子をひたすら追う映画である。出ずっぱりの菊地凛子は東京のアパートに引きこもりに近い状況である。人との関わりがなくなって他人とのコミュニケーションがうまくとれない。ヒッチハイクで同乗した人ともうまく話せない。そんな状況をうまく演じている。そこにファンタジー的にあの世に行ったオヤジ役のオダギリジョーがからむ。これも趣きがある。


ただ、脚本は欠点だらけだ。青森に送っていく従兄弟とハグれないとストーリーが成立しないのはわかるけど別れ方の設定が強引すぎるし、菊地凛子が携帯持っていないのがわかっていての従兄弟の行動ではない。当初人との会話ができない菊地凛子の表情に途中から変化がみれるのはわかるけど、何か不自然にみえる。ロードムービー特有の色んな人との出会いも強引な流れが目立つ。時間が2日くらいあるならともかく、一晩の設定ではこれだけの出会いと移動はキツすぎる。

自分は福島から東北青森方面に運転したことあるからわかるけど、高速だけでなく下道も走るのにこんな早く明るいうちに着くわけない。しかも、福島の海側からだ。


それでも、「私の男」で雪景色を美しく映した熊切和嘉監督北国を撮るのはうまい。ラストで撮った菊地凛子とそれを取り巻く雪が積もるショットはよく見えた。余韻をもった素敵なラストだと思う。
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映画「セフレの品格 初恋」 行平あい佳&城定秀夫

2023-07-26 20:20:47 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「セフレの品格 初恋」を映画館で観てきました。


映画「セフレの品格 初恋」は次々と作品を発表する城定秀夫監督の新作である。湊よりこ原作の人気レディースコミック「セフレの品格」の実写版らしい。そもそもレディースコミックなんて読んだこともないし、湊よりこも知らない。ただ、宣伝文句では430万部も売れたようだ。これはすごい。

城定秀夫ピンク映画出身で自分が追いかけている監督の1人だ。公開館が少ないので低予算は仕方ないかもしれないけど、作品の出来には当たりはずれがあって物足りない気分で帰ることもある。でも、城定秀夫はピンク映画出身だけにお客様を満足させようとするサービス精神旺盛なところがある。そこが好きだ。今回の製作は日活だ。ニューロマンポルノで「手」を観たが、その流れであろうか?早速映画館に向かう。映画好きの男性観客の中に女性がいるのが昭和の日活ポルノ映画館とは違う。作品情報で振り返る。

森村抄子(行平あい佳)は36歳のバツ2で、派遣社員として働きながら娘を育てているシングルマザー。高校の同窓会で初恋の相手で産婦人科医の北田一樹(青柳翔)と再会し、ホテルに誘われる。

数年ぶりのSEXの快感に、二人の関係を深めていきたくなる抄子だったが、一樹にその気はなく、セフレになることを提案される。唐突な提案に驚く抄子は、セフレという関係を受け入れられずにいた。そんな折、抄子は同級生の新堂華江(片山萌美)が一樹とセフレであることを知り、さらに会社の上司である栗山(新納信也)にも言い寄られ る。(作品情報 引用)


サービス精神旺盛の城定秀夫監督作品らしく十分堪能できる仕上げだ。
同窓会で再会した男女が間違いを犯して不倫に陥るのはよくあるパターンだ。でも、少し路線をはずす。ここではお互い本気にならない、食事とかのデートはしない。恋心も追わない。ひたすらsexだけの関係を継続するというのがミソだ。

それでも、お互いに亭主や妻がいれば、バレてぐちゃぐちゃになる。それが不倫物語のパターンだけど、この2人は男にも女性にも離婚歴があって現状相手がいない。ならば恋へと進むと思うけど、付き合うという方向性がない。それがポイントだ。

単純に2人の交わりを追う展開だけにはしない。変化を持たせるために2人の間に媒介する美女を含めたり、それぞれのバックストーリーを追い、話に膨らみをもたせる。城定秀夫の脚本も冴える。

⒈行平あい佳
初めて見る女性だ。出演作「ダイナマイトスキャンダル」や「タイトル拒絶」での記憶がない。実年齢は31歳と設定年齢の36歳よりも若い。美人ではないけど、周囲にいそうな女性である。当然のごとく脱ぐけど、AV女優的なナイスバディではない。行平と同じ早稲田出身の往年の女優高瀬春奈の爆乳に比較すると、小粒な乳首で乳輪も小さいし、肉感的ではない。それなのに魅力的だ。親近感もある。


自分には浴衣姿の行平あい佳がよく見えたし、メイクラブシーンもいいけど不倫ムード満載の貸切風呂でイチャイチャするシーンに惹かれた。これこそ城定秀夫の真骨頂だ。事前情報で往年の日活ポルノで聖子ちゃんカットで人気だった寺島まゆみの実娘だとわかる。懐かしいと思って、映画を観ているとなんと母親と思しき中年女性が出てきてハッとする。おでん屋の屋台で久々に見る伊藤克信と飲んでいる女性だ。こういう屋台って最近東京近郊で見なくなったなあ。

⒉城定秀夫監督
驚異的な量産体制である。「愛なのに」を観て、自分に波長があっているので城定秀夫作品を観るようになった。「アルプススタンドのはしの方」という高校野球の応援席のはしの方で野球オンチの女の子のチグハグな会話を楽しむような青春映画を作る人かと思っていたら違う。ピンク映画を山ほどつくっていた人だった。


佐藤泰志原作の「夜鳥たちが啼く」の巧みな展開や「恋のいばら」のコミカルタッチに比べると、直近の「放課後アングラーライフ」は青春モノで、その前の「銀平町シネマブルース」のような映画好きの人間模様のような普通の作品を続けてつくったので路線が変わったのかと心配していた。ある意味、「愛なのに」の路線に回帰してくれて安心した。

きっと原作のおもしろさもあると思うけど、「セフレの品格」の展開には練ったバックストーリーもあるので意外に単純ではない。例えば、からみの多い「火口のふたり」に比べると、話の道筋に変化がある。そのために主演も張る川瀬陽太や田中美奈子まで引っ張ってきて、いかにも日活ポルノ系のヤバい話まで用意して楽しませてくれた。主人公に言いよる上司役の新納慎也が往年のピンク男優久保新二に妙にダブって笑えた。
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映画「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」

2023-07-25 06:45:53 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」を映画館で観てきました。


映画「ナチスに仕掛けたチェスゲーム」はドイツナチスのゲシュタポに幽閉されたオーストリア人の法律家を描いている小説家ステファンツヴァイク「チェスの本」の映画化である。チェスが絡んだ映画で面白い作品が多い。フランス映画に比較すると,ドイツ映画を見ることの方が少ない。大学の第二外国語がフランス語だったせいもあるかもしれない。最近ナチスを題材にした映画は多い。ほとんど回避しているがチェスが絡むとなると見てみたくなる。

第二次世界大戦の前、オーストリアにナチスドイツが大きく政治に関わるようになった頃,ウィーンで法律事務所を営むユダヤ系のヨーゼフにもナチスの蝕手が伸びてきた。ヨーゼフ(オリバー・マスッチ)は高級ホテルの一室に監禁されて、管理している貴族の銀行口座の暗証番号を教えるまで閉じ込めるとゲシュタポ(秘密警察)のベーム(アルブレヒト・シュッヘ)により尋問される。長期にわたったためヨーゼフの精神は錯乱した。一方で、ヨーゼフは見つけた一冊のチェスの本を読み暗記するのに膨大な時間を費やし、お手製の駒を動かしてシミュレーションしていた。

監禁が解けたあとで、妻とともにアメリカ行きの船に乗る。船内のチェス大会で1人のチェスチャンピオンが大勢の乗船客を相手にしているときに、客船のオーナー(ロルフ・ラスゴード)の打ち手に横から口出しをして引き分けに持ち込んでしまい信頼を得る。ヨーゼフはチャンピオンと試合することになる。

映画の質はそれなりだけどイメージが若干違う展開であった。
別にナチスの代表者とチェスしているわけではない。ナチスに仕掛けたというのはちょっと大げさだ。チェスのチャンピオンと試合している時にたしかに映像にゲシュタポの男が幻のように現れるが現実ではない


主人公のヨーゼフはナチスによる長年の監禁で幻惑に悩まされて精神が錯乱されて統合失調症になってしまう。映画の基調は絶えず、幻惑として現れるナチスのゲシュタポ(秘密警察)の面々を映していく。妻とアメリカ行きの船に乗ったつもりだったけど、実際には1人だったのだ。妻の姿もまぼろしだった。

もともとヨーゼフはウィーンでハイソな世界にいた法律事務所を営む弁護士だ。お抱えのクルマに乗りながら、豪邸に住む。ウィンナーワルツが華麗に流れる舞踏会でも妻と踊る。(解説では公証人となっているが、違和感を感じる。映画のセリフでは法律事務所を主宰する弁護士だ。)


自分が感じるのに、ロンハワード監督ラッセルクロウ主演の「ビューティフルマインド」に流れるムードと一緒だ。ゲームの理論のナッシュ均衡でノーベル賞を受賞したジョンナッシュ暗号解読にかかりっきりになり幻惑を見るようになる。監禁で心の安定を失うヨーゼフとの類似点を見出す。統合失調症にとらわれる男の心の暗雲を映す映像としては、色彩設計や画面構造も含めてこの映画も悪くはない。


ただ、チェスゲームが基調のNetflix「クイーンズギャンビット」や映画「ボビーフィッシャーを探して」のようにチェスゲームの駆け引きや勝ち負けでの興奮を期待すると肩透かしにあうかもしれない。それに、いくらチェスの本を繰り返し読んでも、チェスのチャンピオンと対等に戦うなんて話はありえない気がする。将棋の定石本や棋譜を監禁されて集中してディテイルまで読み込んでも藤井聡太と対決レベルになるはずはない。
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映画「ミッションインポッシブル デッドレコニング part1」トム・クルーズ

2023-07-22 19:06:57 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「ミッションインポッシブル デッドレコニング」を映画館で観てきました。


映画「ミッションインポッシブル デッドレコニング part one」は言わずとしれたトムクルーズの新作である。監督はシリーズ3作目のクリストファー・マッカリーだ。映画館で予告編を何度も観ていたので、アクションシーンの予想はできていた。映画の醍醐味を味わいに早速映画館に向かう。最初に潜水艦がAI操作で自爆してしまうシーンからスタートした後に、我々にはTV「スパイ大作戦」時代からおなじみのテーマソングが流れる。正直なところ「トップガン」のスタートでケニーロギンスの声を聞いた時の方が衝撃が強かったが、ここでも背筋がゾクっとしてしまう。

頭の整理がつかず、いつものようにストーリーの要旨が書けない。単純ではない。重要な鍵2本を見つけるのに、諜報部員やCIA、アメリカとか色んな利害関係が絡むというのはうっすらわかるけど、よくわからない。「トップガン」の方がはるかに理解しやすい。つい先ごろのインディジョーンズの時も世界中をかけめくって海外旅行がなかなかできない自分の視覚を楽しませてくれた。ここでも砂漠のアブダビ、ローマ、ベニス、アルプスの山間部で凄いアクションを連発する。

話のディテイルがわからなくても十分堪能できた。
3時間近い長時間の作品だけどあきない日本の長時間映画だと、不必要な長回しで妙に時間稼ぎしている感じがするのに対して、適切なカット割で数多くのアクションを見せる。しかも、盛りだくさんだ。いくつかの映画のオマージュを感じさせるが、これだけ予算がないと日本映画では無理だ。イーサンハントことトムクルーズのやることが何もかもうまくいくわけでない。ドジを踏むこともある。「トップガン」同様完璧なキャラクターでないのもいい。おなじみ手を大きく振る「トムクルーズ走り」も3回ほど見せてくれてうれしい。


ローマの街を走るカーチェイスってすごすぎる。
インディジョーンズのモロッコのカーチェイスも十分楽しめたけど、ローマって世界中から観光で集まるところだよね。しかも、セットには見えない。コロシアムもスペイン広場もでてくる。むちゃくちゃな運転をするヘイリー・アトウェルフィアットを走らせる。ローマの休日のアクション版だ。いったいどうやって撮ったの?それがベネチアの路地にまで続いてしまう。


そして、4人の美女が勢ぞろい。前回同様に謎の女としてヴァネッサカービーが登場する。味方なのか敵なのかわからない。ここのところ連続ででているレベッカファーガソンも中東で死んだふりして生き残る元Mi6の女ででてくる。最初に観た時に格闘能力のすごさで度肝を抜かれたけど今回は残念なことにもなる。

主力は女スリで各国でお尋ね者になっているヘイリー・アトウェルでなかなかいい女だ。最後までトムクルーズのアクションに付き合う。映画「戦場にかける橋」のように橋が爆破される。その後続車両に乗っている2人の脱出劇で息を呑む。


アジア系の冷徹な殺人鬼としてポム・クレメンティエフを登場させる。サトエリこと佐藤 江梨子そっくりで途中までまさかの登場かと疑った。カナダ生まれのフランス人のようだが、母親はコリアン系だそうだ。それで納得。

そして、予告編で誰もがすごいと思う断崖からバイクですっ飛ぶシーンだ。これって本当にリアルでやっちゃうの?と思っていたら、準備にも相当時間をかけて決行したようだ。何でこんなことするのかと思っていたら、暴走するオリエント急行に乗り込むためだという。パラシュートで地上に飛び降りるシーンの映像もある。こんなとことやっちゃうの?トムクルーズはさすが千両役者だ
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映画「サントメール ある被告」 アリス・ディオップ

2023-07-19 20:03:59 | 映画(フランス映画 )
映画「サントメール ある被告」を映画館で観てきました。


映画「サントメール ある被告」ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)と新人監督賞を受賞したフランス映画である。監督はセネガル系フランス人のアリス・ディオップである。名門ソルボンヌ大学を卒業した才媛でドキュメンタリー畑だという。評論家筋の評判もよく、好きな法廷劇ということもあり映画館に向かう。

パリの大学で講師をしているラマ(カイジ・カガメ)が、フランス北部海辺の町サントメールでの裁判を傍聴に出かける。セネガル出身の女性ロランス・コリー(ガスラジー・マランダ)が生後15ヶ月になる自分の娘を浜辺に置き去りにして命をおとしたことで捕まり法廷で裁かれるのだ。
裁判長の女性(ヴァレリー・ドレヴィル)が無表情のロランスになぜわが子を殺したのかと言っても「わかりません。裁判で知りたいです。」という。裁判長からこれまでの人生についての尋問がはじまる。


男性の自分には正直なところこの映画はそんなによく見えなかった。女性向きなのかもしれない。出産を経験する女性だからロランスの振る舞いに何かを感じられるのではないか。

映画を観終わってから知ったのであるが、実際の裁判記録をもとに脚本を書いたという。謎解き要素が強い法廷室内劇というより、アリス・ディオップ監督は実際の裁判の展開を意識したドキュメンタリー仕立てにしたかったのかもしれない。アフリカ系のガスラジー・マランダ裁判長の質問に淡々と答えるその表情が演技を通り越した世界に見える。この無表情な顔立ちが、黒澤明「天国と地獄」で横浜の猥雑な飲み屋で山崎努とダンスしながら麻薬を受け渡す女性を連想してしまう。どちらも仏頂面で自分の脳裏にこびりつく顔だ。

裁判が始まる前に、大学で講義するラマを追いかける映像が映る。先入観なしにこの映画を観たので、誰なんだろうか?事件に関係あるのか?と思ってしまう。単に被告と裁判長や検察官とのやりとりを追いかけるだけでなく傍観者たる1人の女性ラマを媒介させる。もちろんラマは証言するわけではない。でも、ロランスの母親に声をかけられる。そして、懐妊しているのを母親に読みとられる。ラマの表情がロランスの裁判証言とともに変化する中で、懐妊している女性の心の動きを映像でみせる。実際の裁判を傍聴したという監督の生き写しかもしれない。


ロランスをハラませたのが初老の白人系フランス人だというのと同様に、ラマにも白人系フランス人の彼氏?がいる。アフリカ系と白人のカップルというのは最近の欧米映画ではよく見られる。ひと時代前では考えられない。日本にいるわれわれが気づかない間に人種が入り混じるようになっているのであろうか?

ロランスはアフリカ系といっても難民ではなく、生活に困ってそだったわけでない。大学にも行っている。ただ、父親は外で女をつくって母親に育てられる。精神的には屈折している。誰かに頼るということができないタイプだ。自分の懐妊も外には漏らさずに、出産も自らひっそりと行う。そんなロランスの裁判での陳述にはウソが多い。話の前後で矛盾がいくつも生まれる。自分からみると、どうしようもない女に見えてくる。

ただ、この映画はそういうロランスをかばう。このまま極刑にしてもいいことないと弁護士が法廷で発言する。

昨年「あのこと」というフランス映画の傑作があった。まだ中絶がフランスで認められていない時に自らお腹の子を処置しようとする女性の話だ。改めて調べてみると、フランスでは中絶は解禁され、ピルの流通も日本より進んでいる。そんな女性解放が進んだフランスでも、孤独になってこういう悲劇を起こす女性がいるのをアリス・ディオップ監督は訴えたいのだろう。

Je ne sais pas(わかりません)というフランス語を何度かロランスが話す。自分でも使ったことがあるフランス語の言葉だ。何度か話すロランスの言葉の抑揚に若干変化があるのに気づく。
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番外16 2023前半で食べたおいしいランチ

2023-07-17 20:23:06 | 散歩
2023年前半おいしかったランチを振り返ります。

東京の東寄りで食べた牛タン


肉すし


渋谷の坂上がったところで食べたスパイスカレー
むちゃくちゃうまい


新宿で食べたポトフ風カレー
ランチのみ提供、野菜とパクチーたっぷり。


東京の真ん中の肉のお店で食べた牛塊鍋 柔らかくてうまい


相撲の本場で食べた極上厚切りロース




生牡蠣


東京湾の近くで食べた水炊き


浦和で食べた鰻重 凄えボリューム
お腹いっぱい


和田秀樹の本によると、60過ぎたら肉を食べろとのこと。男性ホルモンも減退する
低カロリー、低栄養、低脂肪の貧相な食事だと老けるという。血糖値が低くなると,脳にブドウ糖が届きにくくなり,意識の混濁や言葉が出なくなるといった認知症のような症状が出る。貧相な食事の女性がシミもできるし老けるのはそういうことか。

今年の後半も食うぞ!
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番外15 2023年前半で食べたおいしい中華

2023-07-17 10:06:46 | 散歩
この半年で自分の好みだった食べ物を振り返ります。

まずは中華
前菜のエビ、紹興酒つけてある


スープ薬膳


貝の炒め物



香港流ダック


ちょっと辛めの四川


麻婆のおいしい2つ
横浜中華街で


新宿で


蒸魚 東京のど真ん中で


まだまだあるけどとりあえず
これは番外、タコ



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映画「君たちはどう生きるか」宮崎駿

2023-07-15 20:09:56 | 映画(日本 2019年以降)
映画「君たちはどう生きるか」を映画館で観てきました。


映画「君たちはどう生きるか」は一度は引退を表明していた宮崎駿監督の復帰作品だ。予告編もなく、事前に情報が何もない。徹底した秘密主義である。吉野源三郎「君たちはどう生きるか」との関係がどうなっているのか?すでに80を越えた宮崎駿の創作意欲を確認するために映画館に向かう。さすがに広い映画館内も満席である。声優たちのメンバーリストを見て、超豪華なので驚く。

第二次世界大戦の東京への空襲で母親が入院している病院が爆撃されて牧眞人(山時 聡真)は母を失う。その後、眞人の父親(木村拓哉)が経営する航空機部品工場のある田舎に疎開する。同時に父親は母の妹夏子(木村佳乃)と再婚して、大勢いる使用人のばあやたち(大竹しのぶ、竹下景子、風吹ジュン、阿川佐和子)と大きなお屋敷に住むことになる。そこには鳥のアオサギ(菅田将暉)が何度も眞人にちょっかいをだしてくる。しかし、地方の生活に慣れない眞人が自傷的行為を起こして、イジメではないかと父親がヤキモキする中で夏子が姿を消す。眞人は夏子を探しに、ばあや1人を連れて森に入っていく。アオサギの誘導で入った古い屋敷で奇想天外な世界に巻き込まれる。

ここからは宮崎駿のファンタジーワールドの世界に導かれる。

上質なファンタジー映画である。
吉野源三郎の本に影響されている内容かと想像したが、さほどでもない。亡くなった母のおすすめの本というだけだ。個人的には村上春樹の小説を読んでいる時と似たような感覚を味わった。村上春樹の小説では誰かが突然いなくなることが多い。ここでも同様な展開になる。このファンタジーな世界では生と死の境目を彷徨う。こういうことかと解釈は一通りにはならない。観客それぞれに何かを感じればいいのではないか。眠りに誘われることなく時間を忘れてあきずに観れる。

ここで凄みを感じたのが色彩設計だ。色合いの豊かさに魅了される。生と死をさまよう内容でも明るい色が基調だ。アオサギだけでなく、インコなどいろんな鳥が美しい色でみられる。あとは映像にぴったり合う久石譲の音楽だ。これが近来の映画にないすばらしい音色だ。ここぞという場面にやさしいピアノが基調の音楽が流れる。沈黙の場面も効果的に浮き彫りにする。映画音楽としてこれほどマッチングして、観ている我々の感覚を揺さぶる音楽はないだろう。


改めて、宮崎駿の履歴を見ていると、父親が航空機部品の製造会社の役員だったのだ。宇都宮に疎開したことや若き日に母親を亡くしたことなどこの映画に共通する履歴がある。疎開した先の学校でイジメを受けたことなども実体験としてあったのかもしれないし、大勢のばあやもいたのかもしれない。キムタク演じる父親の気が強い性格もそのまま受け継いでいるのだろう。宮崎駿監督にとっての自叙伝的要素をストーリーの根底においた感じがした。必見だと思う。
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映画「1秒先の彼」岡田将生&清原果耶

2023-07-09 18:43:35 | 映画(日本 2019年以降)
映画「1秒先の彼」を映画館で観てきました。


映画「1秒先の彼」は2021年の台湾映画「1秒先の彼女(記事)」のリメイクである。オリジナルの「1秒先の彼女」ファンタジー的要素が含まれていて、コメディ的要素もありよくできたラブコメディだった。宮藤官九郎脚本で山下敦弘監督の起用と期待できるスタッフを使って、男女の立場を逆転させるという発想のもとに岡田将生と清原果耶のW主演で日本版をつくった。これは楽しみだ。この作品は途中からファンタジーの世界にはいるネタバレが厳禁の映画だ。必要最小限だけストーリーを紹介する。

京都洛中の郵便局に勤務するハジメ(岡田将生)は何をするにも1秒早い。写真はいつも目をつぶったまま。容姿はいいのでファンもいるが、彼女には恵まれていない。鴨川沿いでストリートライブをしている桜子にアプローチをしたら好感触で実家のある宇治の花火大会に一緒に行こうと意気込んでいた。

ところが、気がつくと1日飛んでいて日曜日のつもりが月曜日だ。街を歩くと、写真館に日焼けした自分の写真がある。アルバイトに来ていたレイカ(清原果耶)が写したとわかる。毎日のように郵便局に切手を買いにくる女の子だ。一体どうなっているのか?



よくできたリメイクだ。
リメイクしようと考えたのは監督の山下敦弘のようだけど、脚本に宮藤官九郎を起用したのが大正解だ。原作のもつコミカルなムードを増長させる。京都を舞台にしたのも正解だ。原作には空白の1日に海辺に向かうシーンがある。天橋立という格好の場所を選んで京都とセットにしたのも成功している。ネタバレ気味の話であるが、この映画では一斉に時間が止まってしまう。そのシーンを観光客が戻ってきた京都で撮ったというのもすごい。よく撮れたなあと感心する。


岡田将生の身動きがいつもよりコミカルだ。台湾版「1秒先の彼女」では慶應義塾の中室牧子教授にそっくりなリー・ペイユーのコミカルな女性主人公が笑いを誘った。ここでも、男前の岡田将生がモテそうでモテない三枚目的動きをするのがいい。ラジオの人生相談にハマっていて、DJの笑福亭笑瓶と掛け合うシーンにコテコテ関西といった感じの母親役羽野晶紀をからませるのはおもしろみがある。


清原果耶は次から次へと主演級で登場するけど、自分には成田凌と組んだ『まともじゃないのは君も一緒』積極的な女子高生を演じたのが印象に残る。今回は真逆で何をやるにもワンテンポ遅い設定で、自分の考えをはっきり言い出せないタイプだ。途中までは存在自体が地味なのに、ある場面を転機に清原果耶がクローズアップされる。ここではバスの運転手荒川良々を清原に絡める。山下敦弘と宮藤官九郎作品の常連だ。


清原果耶はいろんな性格の人物を演じることで演技の幅がひろがっているなという印象を受ける。


以前阿部サダヲ「舞妓Haaan」の映画を撮っているので、宮藤官九郎京都はよく知っている場所だろう。洛中でないと京都ではないなんて語って京都そのものを脚本にうまく活用しているし、「なぜにあなたは京都に行くの」なんて久々に聞いた京都っぽい歌も奏でられる。大学でロケをしたり、学生の協力も得ているようだ。

それなのに京都の街に学生が多いのを皮肉ったり、郵便局でせこい大学教授が悪態をつくシーンがあるのは宮藤官九郎に京都の大学にいいイメージがないからなのかな?

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映画「絶唱浪曲ストーリー」港家小そめ

2023-07-08 04:53:58 | 映画(自分好みベスト100)
映画「絶唱浪曲ストーリー」を映画館で観てきました。


映画「絶唱浪曲ストーリー」浪曲師になろうと奮闘する女性の成長をドキュメンタリーにした映画である。これまで浪曲は自分には無縁の世界であった。何気なく観た予告編に心を揺さぶられて映画館に向う。


ちんどん屋稼業で渡り歩いていた港家こそめが、浪曲界の大ベテラン港家小柳の舞台に魅せられて弟子入りを志願する。しかし、港家小柳は持病が悪化し舞台に立てなくなる。こそめが名古屋にある小柳の自宅に見舞いに行く姿も映しながら、100歳直近の三味線弾きの曲師玉川祐子の元で修行する場面を追い、襲名披露の舞台に立つまでを描く。

感動しました。
本当に観てよかった。予想よりも胸に響くものがあった。

浪曲といえば、歌謡曲に転向した三波春夫や村田英雄を思い浮かべる。あとはドスの効いた声の玉川良一かな。いずれも昭和だ。全国で昔3000人いた浪曲師は今全国で100人に満たないという。実際に浪曲をまともに聞いたことがないし、行こうと思ったこともない。そんな自分でも予告編で浪曲師のお姐さんがうなる浪曲が心に響く

最初は、何人か登場人物が現れるけど、何が何だかわからない。浅草にある木馬亭で三味線をバックに先ほどまでヨタヨタしていた80すぎのおばあさんが浪曲を口演するのだ。これが素晴らしかった。港家小柳である。この凄さはぜひ映画館で体感して欲しい。文章に書けない圧倒的な迫力だ。(浪曲に字幕があったのは助かった)

女性が次々登場するわけだが、美女はいない。ごく普通の人たちである。主要登場人物は3人だ。80代と90代のおばあさんが2人いる。普段の姿は街でヨタヨタ歩く年寄りとかわらない。でも、舞台に上がった時はシャキッとするのだ。こんな長いセリフ、よく覚えているなと。それを年季の入った声で唱える。これは哲学者西田幾多郎が言う「純粋経験」の境地なのだ。

港家こそめ
女子美短大を出たあと20代からちんどん屋稼業をやっていたのに、40過ぎて港家小柳の浪曲に感動して弟子入りを志願する。


港家小柳
1928年佐賀生まれ、80歳を超えて現役の老浪曲師。大阪で修行時代を過ごし、自ら一座を率いて地方のどさ回りをしてきた。映画の前半で、舞台の上で年季の入った浪曲を口演する姿を映す。「水戸黄門尼崎の春」だ。しかし、身体にはガタが来ている。弟子のこそめも小柳が住む名古屋に見舞いに行くが、もう戻れない。


玉川祐子
1922年茨城笠間生まれ、映画の中ではもうすぐ100歳になる老曲師(三味線弾き)。故郷の奉公先の横のレコード屋から流れる浪曲に魅せられて18でこの世界に入る。もともと浪曲師を目指していたが、声質から曲師を勧められる。結婚離婚再婚と浪曲のような人生だ。名古屋に住む小柳が上京するときには玉川の家に泊まる。小柳の身体が限界に達して舞台を降りたときから、こそめの面倒をみる。(現在でも100歳超えて存命)


この作品はかなり長期にわたるドキュメンタリーだ。監督の川上アチカ港家小柳の芸に感動しなかったら、この作品は生まれていない。しかも、カメラで捉えている映像には歴代の浪曲師が信頼してきた名曲師沢村豊子 と港家小柳が組んだ圧巻の舞台だけでなく、衰えて舞台を降りるときの姿も映る。自分の行く末をさとり、病床からこそめにアドバイスを贈る。


また、港家こそめ玉川祐子の元で稽古に励む姿も映す。「たまには汚い声も出すのだ。いい声だけではダメだ。」と教える。味のある言葉だ。師弟関係を超越した心のふれあいに感動する。同時に川上アチカ監督粘り強さと、的確な編集を経て一般公開に持ち込んだ執念に感動する。拍手をおくりたい。もう一度観たい映画に久々に出あった。
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映画「小説家の映画」 ホンサンス&キムミニ

2023-07-06 19:27:19 | 映画(韓国映画)
映画「小説家の映画」を映画館で観てきました。


映画「小説家の映画」は独特の作風をもつ韓国の映画監督ホン・サンスベルリン映画祭で銀熊賞を受賞した作品だ。韓国映画ってサービス精神旺盛で、ストーリーの逆転を楽しめる娯楽映画が多いのに、ホン・サンスの作品って真逆な気がする。軽い起伏はあっても意外性はない

言葉に頼らずに映像で見せるのが本筋とばかりに観客の理解能力を試すような映画が多くなってきたのと反対にセリフは多い。しかも、超長回しカットで構成される。日本で一般公開される他の韓国映画と比較すると、ホン・サンスって本国で受け入れられているのかな?と正直思ってしまう。

それでも日本の評論家筋の評判はいつも通りよい。不倫状態が続くプライベートでのパートナーであるキムミニと前作「あなたの顔の前に」超絶長回しショットを巧みに演じて自分を驚かせたイ・ヘヨンが出るとなると見逃せない。

長らく執筆から遠ざかっている著名作家のジュニ(イ・ヘヨン)が、音信不通になっていた後輩を訪ね、ソウルから離れた旅先で偶然出会ったのは、第一線を退いた人気女優のギルス(キム・ミニ)。初対面ながらギルスに興味を持ったジュニは、彼女を主役に短編映画を撮りたい、と予想外の提案を持ち掛ける。(作品情報 引用)

実際には街を見渡す展望台で映画監督夫妻に会う。以前ジュニが書いた作品を映画にしようとして別の作品を選んだ監督だった。3人で公園を散歩しているときに人気俳優を見つけて話をする。ここで映画監督と小説家の会話が噛みあわず、初対面なのに小説家と女優が2人で食事に向かう。そして、映画を一緒につくろうと意気投合するのだ。


ホン・サンスのスタイルはかわらない。
長回し中心の映像で、確かな演技力を要求する。朴正煕元大統領を連想する元来の韓国人ルックスのイヘヨンがこの映画でもメインに動く。ただ、モノクロ画面なので顔の輪郭はわかりづらい。よくもまあこんな長いセリフを覚えられるなと思ってしまう。さすがである。

いかにもスランプに陥っている小説家であるかのように時折ヒステリックになる。偶然あった映画監督の話をへし折る。イヤな女のムードも出すけど、後輩の本屋の店主や女優ギルスとの会話はスムーズだ。前作のように死が迫っている役柄のもつ悲愴感はない。ヘビースモーカーで時折喫煙するその雰囲気で何かの意味を持たせる。屋上でのタバコの一服が印象的だ。


キムミニを最初に観たのは宮部みゆき原作「火車」だ。その後、日本統治時代の朝鮮を描いたエロティックサスペンス「お嬢さん」での大胆な演技が印象に残った。いずれも日本に縁がある映画だ。一連のホン・サンス作品では常連である。人気俳優と共演するメジャー作品に以前のようには出演していない。不倫問題のせいだろうか?


この映画の中で、キムミニ演じる女優ジュニが最近出演していないことをもったいないと出会った映画監督が言う。すると、小説家のギルスが妙にケンカ腰に絡むシーンがある。小学生でもあるまいし、余計なお世話だと言い切る。これって最近の実際のキムミニにからめているセリフのような気がする。


なぜか最後だけキムミニのカラー映像だ。演技も脚本もレベルが高い作品だとは思う。
好きかと言われるとどうかなあ?
でも、ついつい観てしまう。
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映画「無情の世界」 唐田えりか

2023-07-05 18:01:00 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「無情の世界」を映画館で観てきました。


映画「無情の世界」は気鋭の映画人による3つの短編映画を集めた作品だ。でも正直、唐田えりかを観に行ったようなものである。例の事件以来復活した作品がいくつか公開されたが、残念ながら都合の合う時に上映していない上にすぐ上映終了で観れていない。しかも、唐田えりかが主演する「真夜中のキッス」の監督脚本は佐向大である。昨年観た佐向大監督「夜を走る」は自分の2022ベストに入る実におもしろい映画だった。気になり映画館に向う。

「真夜中のキッス」は、ある男女が殺人事件に絡んでしまい、男は自首を提案するが、女は拒否して夜を彷徨い元カレを含めた男たちを巻き込む話
「イミテーションヤクザ」は、無名の俳優がヤクザ映画のオーディション会場の雑居ビルに行くが、手違いでホンモノのヤクザの事務所に入って課題のセリフを披露してクロウトと立ち回る話

「あなたと私の2人だけの世界」は、奥手の男性向けの恋愛講座と女性向けの護身術講座がひょんなことで絡む話

正直言ってつまらなかった。
低予算フィルムということもあるだろうけど、学生の自主製作映画レベルとたいしてかわらない印象を受ける。あえていえば、「イミテーションヤクザ」の話が若干おもしろいくらいだなあ。たしかに、ある首都圏の町で自分が食べに行った町中華のビルに超有名なヤクザの事務所が入っていたことを偶然知ったことがあった。そう言われればその筋と思しき人が食べているのをみたことがあったが、周囲に威圧感を与えていなかったので気づかなかったことがある。ただ、ここまでの話はちょっと出来過ぎ。いい発想だと思うけど。


「夜を走る」の着想があまりに良かったので、「真夜中のキッス」には期待したが残念。イマイチだ。でも、期待していた唐田えりかはここでも実にかわいい。この作品には「アルプススタンドのはしの方」で名を売って、最近は「少女は卒業しない」にも出た小野莉奈も出演している。映画界きっての期待の若手だ。唐田えりかが恋人の元を飛び出してしまった後で、小野莉奈はその男の恋人になった未成年の女という設定だ。その男は戻ってきた唐田えりかに未練たらたらで女同士のイザコザが生じている。

映画の中で、小野莉奈唐田えりか「かわいいからって何でも許されるの」みたいなセリフを発する。小野莉奈も平均点を大きく超えて可愛いけど、今回は引き立て役みたいになって気の毒だ。それくらい唐田えりかはかわいい。


一気にメジャーになった濱口竜介監督「寝ても覚めても」での瑞々しい唐田えりかにはグイッと引き寄せられた。でも、東出昌大との不倫で世間一般特に女性陣から窮地に落とされたのは残念だ。という素敵な奥様がいても、唐田えりかに惹かれる東出の気持ちは男としてよくわかる。毎日フレンチばかり食べたら別のおいしい軽食が食べたくなるといった感じか。映画評論の御大である元東大総長の蓮實重彦唐田えりかを絶賛した。下世話な話にはお偉いさんは無関心だ。


唐田えりかはあまりのかわいさに周囲の女性陣から警戒されるタイプなんだろう。自分の会社にもいた。やさしくてかわいい女の子だ。風貌の雰囲気まで似ている。上位下位を問わず男性ファンが多い女の子が、別の女子社員からあの子は仕事ができないなどと、悪口を陰で言われている。自分も直に聞いた。男同士で飲んでそのかわいい子の話題になると、本当に女っていじわるで嫌だねという話になる。むずかしいねえ。この映画での唐田えりかを観て改めてそんなことを思う。
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映画「インディジョーンズ 運命のダイヤル」 ハリソンフォード

2023-07-03 06:00:39 | 映画(洋画:2019年以降主演男性)
映画「インディジョーンズ 運命のダイヤル」を映画館で観てきました。


映画「インディジョーンズ 運命のダイヤル」ハリソンフォードの人気シリーズの新作だ。前作から15年ぶりになる。「ブレードランナー」の続編を2017年に公開した時と同様に今や80歳になるハリソンフォードが,現役最後を意識してかの登場である。これは見逃せない。

インディジョーンズシリーズはこれまでスティーヴン・スピルバーグがメガホンを持っていたが,今回は「フォード&フェラーリ」「ナイト&デイ」等でスリリングなアクション映画を作っているジェームズ・マンゴールド監督に交代してスピルバーグはプロデュースに回る。ジョンウィリアムズのおなじみのテーマソングが鳴るだけでリアルタイムで観てきた自分はワクワクしてしまう。ディズニーシーのアトラクションに行った時にしか聞けない曲だったのに、映画館の大画面を見ながら体感するのは快感だ。

1945年の映像からスタートする。ナチスドイツが世界大戦に敗れてヒトラーが自ら命を絶った後、ナチスの残党たちがアルプスを走る列車に乗って戦果品として奪った骨董品を持って逃走している。そこにはドイツの物理学者フォラー博士(マッツミケルセン)が乗り合わせていた。考古学者のバジル(トビージョーンズ)とインディジョーンズ(ハリソンフォード)はナチス残党にいいように奪われまいとする。そこで運命のダイアルの一部を持ち去る。

冒頭いきなりのアクションシーンである。例によっての活劇的躍動感を感じる。ナチス残党を相手にインディジョーンズはこれでもかとピンチに見舞われる。おそらくはCG処理されたと思われる昔の顔でハリソン・フォードが登場する。ジョン・ウィリアムスの音楽がうるさすぎる位に高らかに流れ、ハラハラドキドキの興奮を増長させる。


時代はアポロ計画で月面着陸に成功した1969年に移る。インディジョーンズは大学の考古学の教授になっていた。学生たちのやる気のなさに嫌気がさしてそろそろ辞職しようとしていた時、講義でジョーンズの質問に答える女子学生がいた。旧友ですでに亡くなっていたバジルの娘ヘレナ(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)だった。倉庫にあった運命のダイアルを旧友の娘とついつい気を許してしまいカネに強欲なヘレナに持ち逃げされる。

世界の各地にロケ地を移してくれて視覚的に楽しく観れた。
ディズニーとパラマウント映画が組んで、いかにもカネがかかっている作品ですべてに余裕を感じられる。モロッコ、ギリシャエーゲ海、シチリアと場所を移す。いきなり映る列車の上での逃走劇は、同じようなアクション映画で観てきたようなものと文法的に同じで既視感がある。それでも楽しい。

それよりも映画の中でもっとも興奮したのは、宇宙飛行士の歓迎パレードで馬に乗るハリソンフォードのシーンとモロッコの街角でのカーチェイスだ。これには度肝を抜かれる。

⒈度肝を抜かれるシーン
ナチスのロケット開発に携わっていたことで、戦後アメリカの宇宙計画のために引っ張られたフォラー博士(マッツミケルセン)は月面着陸の功績で大統領に招かれていたにもかかわらず、「運命のダイアル」を奪いとるのを優先する。月面着陸に成功した宇宙飛行士を歓迎するパレードのど真ん中で、インディジョーンズは馬を走らせて逃げまくる。地下鉄の線路の中で馬を走らせるシーンはスタントを使ったり、VFXで調整したりしていてもすごい。

あとはモロッコのタンジェの細い道を追いかけっこするシーンは実に痛快で、撮影の難易度は高い。モロッコのカーチェイスも「007シリーズ」や「ボーンシリーズ」での既視感はあってもすごい。ドキドキするというより思わず吹き出してしまう。モロッコは映画界に開放的な国で、別の中東の国を舞台にした設定でも多くのアクション映画がモロッコで撮られている。懐の深さを感じる。


⒉豪華な脇役
デンマークの名優マッツミケルセンは007のカジノロワイヤルで名を売ってから、メジャー映画から声が掛かるようになった。でも、昔ほど得体のしれない怖さが半減しているので、この映画でも悪役的凄みが弱いのが残念。スペインのアントニオバンテラスをエーゲ海の海底の秘宝を探るダイバーとして登場させた。「え!これだけ」という登場の仕方にしたのはぜいたくな金の使い方としかいいようにない。ミケルセンもバンテラスはいずれも母国映画では主演しかない存在だ。

⒊元ナチスでアポロ計画を仕切った科学者
今回アポロ計画でフォラー教授が協力していたというストーリーになっている。これって大丈夫なの?と思ってしまう。アポロが月面着陸した翌年1970年の大阪万博では月の石をみるために小学生だった自分も大行列に並んだ。むろん月面着陸のTV放送は家族そろってどこの家でも見ていたし当時の日本では大騒ぎだった。


当時の少年向けの雑誌では、戦前ナチスドイツでV2ロケットを開発したブラウン博士が、その能力をかわれてアメリカに行きアポロ計画に大きく関与した記事が取り上げられていた。ドイツ人のブラウン博士のおかげで月面着陸できたのは当時の日本人で知っている人は少なくないはずだ。明らかなモデルがいるのに、悪者にしてしまって大丈夫かと思うのである。

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映画「トゥ レスリー」アンドレア・ライズボロー

2023-07-01 17:13:20 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「トゥ レスリー」を映画館で観てきました。


映画「トゥ レスリー」宝くじで19万ドルを当てたシングルマザーが,賞金を使い果たしてしまいおけらに転落してしまった後の姿を描く映画である。主演のアンドレアライズボローケイトブランシェットやグウィネス・パルトロウなどの映画界を代表する大女優から,演技を絶賛される。単館ものにもかかわらずアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。

アンドレア・ライズボローと聞いてもピンとこないが、自分のブログで名前を検索しただけでもトムクルーズ主演「オブリビオン」など3作出てきたし、履歴を見ると登場作品を10作も観ていて我ながら驚いた。メジャー作品の脇役で出演してきた英国の女優だ。それぞれの作品の顔とドランカーのレスリーの顔とはまったく結びつかない。興味があったので映画館に向かう。

6年前にレスリー(アンドレア・ライズボロー)が19万ドルの宝くじを当てた時の映像が映し出される。ハイになって今日は私のおごりよと意気揚々としている。ところが、今やレスリーはピンクのスーツケースを持って無一文状態だ。部屋代を払えずに追い出されて息子のジェームズ(オーウェン・ティーグ)がルームシェアしている部屋に潜り込む。気がつくと同室のルームメイトのカネをあさって飲んでしまう始末だ。


昔なじみの友人ナンシー(アリソン・ジャネイ)とダッチ(スティーヴン・ルート)を訪ねて泊めてもらっても、ついつい飲んでしまって追い出される。それでも、近場のモーテルで部屋掃除で雇ってもらうが、酒がやめられない日が続く。

女性の転落モノであるが、若干の日差しがさす。
宝くじが当たって日本円で2000万を優に超すお金を得た後の転落ぶりは察せよとばかりに何も語られない。想像はできる。日本ではパチンコなどのギャンブルによる転落は多いけど、ひたすら酒で使ったのであろう。飲んで気前が良すぎたのかもしれない。

現状でも良くなる気配がない。やさしい身内の息子にも呆れられる。正直、この辺りのダメ女ぶりが続くと観ていて退屈になってしまう。思わず時計をみてあまり時間がたっていないのでどうするんだろうなあと思っていた。


そんな時、モーテルの横で野宿してしまった時に、従業員のスウィーニー(マーク・マロン)に助けられる。しかも、このモーテルで働かないかといってくれる。いきなり、無一文なので前借りをする。でも、酒はやめられないので使ってしまう。翌日起きれない日も多い。あきれて追い出されそうになるのだ。


レスリーにも運があった。スウィーニーが優しく見守るおかげで少しずつ行動に変化がでてくる。復活の物語という色彩が徐々にでてくる。でも、周囲の目はキツい。それでも最後に向けては、思わず感涙にむせぶ場面もでてきた。ハートフルな感触で今後のレスリーの人生に期待を持つ。

自分のブログ記事を見直しても、シングルマザーの貧困生活というジャンルは多くても、ここまでの女性のアル中を描いた作品はない。アル中になると、手も震えるし、少し顔が老化する。レスリー役のアンドレア・ライズボローは役づくりが完璧でもちろん好演だが、『アイ,トーニャ 』の母親役など数々の作品で名脇役を演じたアリソン・ジャネイが味のある演技を見せて引き立てる。


気がつくと、この映画を自分自身に照らし合わせている。自分だったら、宝くじで当選して入金したお金の一部を散財しても、少なくとも80%以上は残しておくだろうなあ。ただ、イベントごと以外は家では飲まないけど、外で一杯飲んでしまうと止まらない性癖はあまり変わっていない。会社の交際費やタクシーチケットのおかげもあるけど、今でもはしご酒をついついしてしまう。この主人公レスリーの酒の飲み方をまんざらバカにできない部分もある。


お世話になった人たちと杯を交わしたりして、ここのところ飲む機会が多かった。来週以降の約束の電話をしようと思っていたけど、映画を観た後やめた。不思議なもので、この映画って酒を遠ざける効果がある気もした。
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