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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「うぉっしゅ」研ナオコ

2025-05-28 18:17:30 | 映画(日本 2019年以降主演女性)

映画「うぉっしゅ」を映画館で観てきました。

映画『うぉっしゅ』研ナオコが認知症の老人を演じてソープ嬢の孫が介護するドラマ仕立ての映画だ。永六輔の孫である岡﨑育之介監督によるオリジナル脚本だ。我々が学生の頃、研ナオコは毎日のようにテレビに出ていた。桑田佳祐が作曲したヒット曲「夏をあきらめて」は今でもカラオケで歌うこともある。その他にも田原俊彦とのデュエットや中島みゆきの歌など全盛時の勢いは凄まじかった。どうやらまだ健在のようだ。新作が出るのを知った時、行く気になっていなかったが,認知症の寺尾聡の姿を見た後で思わず見たくなってしまう。

ソープ店で働く主人公・加那(中尾有伽)に母親から緊急手術で入院をしてしまうので、1週間祖母の面倒を見てほしいと突如連絡がある。認知症を患う祖母・紀江(研ナオコ)の家に向かい、昼間介護をして夜ソープランドで仕事する1週間を追いかける。

 祖母は 認知症が進み、毎朝会うたびに加那のことを「初対面」として接してくる。最初は手まどい,介護を放り投げようとしたが、やがて本心を打ち明けられるようになる。加那は祖母の知らなかった人生に触れ親しみをおぼえる。

映画としては普通、研ナオコの健在を確認する作品

研ナオコ以外は見たことはあるが名前は知らない無名の俳優ばかりである。いかにも低予算であったのは明白だ。クラウドファンディングで製作費を募ってようやく完成した自主映画らしい。

研ナオコはこの映画への出演オファーを受けた際、低予算であることを承知の上で快諾。さらに、自身のギャラの10倍もの金額をクラウドファンディングに寄付し、製作を支援したようだ。研ナオコ自ら「お金を払って出演した」と語っている。大したものだ。寺尾聰の映画同様認知症を扱っても暗くはない映像になっている。

⒈研ナオコと孫

最初は介護に疲れてヘルパーを雇うソープ嬢の加那は思い直して祖母の家に戻ってくる。すると研ナオココッテリと化粧をさせる。すっぴんから変貌すると研ナオコの顔だ。髪の毛もピンクに染める。思い切って車椅子で外にでて自由奔放に走り回るシーンがいい感じだ。昔の写真を見ると、ジャズクラブBirdlandでサックスを吹いている写真が残っている。もともとのサックスプレーヤーだった杵柄でサックスを吹く場面がある。研ナオコは映画出演を楽しんでノッテいる。

⒉ソープランドと現代のソープ嬢

恥ずかしながら、最近ソープには行っていない。ずいぶんと色合いがカラフルできれいな部屋になっている。もともとソープランドは建て替えがなかなかできない古い建物が多い。ここまで室内きれいなのかな?せっかくソープ嬢の設定なのに裸体がまったく拝めないのは残念。

主人公のソープ嬢は親には不動産屋に勤めていると言っている。なので宅建の勉強をしているようだ。金遣いは荒く、家事ができないので週3回家政婦を雇っている。「何をやっているの?」と祖母に言われて、孫は「夢を見せてあげるサービス業をしている。」と答えている。

同僚の2人のソープ嬢とつるむシーンが多い。1人はホストに入れあげて借金を作っている。きわどい借金で怪しい筋に追われる。もう1人は地道に貯金をしている。なんで京都から東京に出てきたんだろうと言っている。

加那は隣の幼なじみが結婚した姿を見てしょげた顔をする。これが現代のソープ嬢模様なんだろうか?

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映画「光る川」 華村あすか

2025-03-27 19:47:34 | 映画(日本 2019年以降主演女性)

映画「光る川」を映画館で観てきました。

映画「光る川」は大河の上流に面する山村での古くからの伝承を基調にした物語。長良川スタンドバイミーの会が製作し、監督は金子雅和岐阜県の山間部で撮影された。主演は華村あすかと葵揚で、脇役は安田顕や根岸季衣をはじめとして名優が揃う。物語は子役の目線で繰り広げられる。予告編で山間部を流れる川の清流や淵を映し出す映像がきれいだ。それだけで魅せられる。

1958年、山間の集落に暮らす幼い男の子ユウチャ(有山実俊)は、紙芝居で土地の言い伝えを見て関心を示す。

里の娘、お葉(華村あすか)と、漂泊の民、木地屋の青年、朔(葵揚)がお互いに惹かれあう。お葉の父親(安田顕)と木地屋の親分(渡辺哲)は2人が結びつくことに反対していたが、2人で村から離れようと約束していた。ところが、待合せに青年が来ないことに嘆いたお葉が身を淵に投げる。そのたたりで大きな洪水が起きるという伝承だ。

ユウチャは祖母(根岸季衣)に言い伝えの場所を地図で確認する。台風で降りしきる大雨の中、反対する父親(足立智充)に内緒で危険を顧みず川に沿ってさかのぼる。そしてお葉が身を投げたという「青い淵」に向かう。

緑あふれる山と美しい川の滝や淵に目を奪われる。

寺島しのぶ主演の「赤目四十八瀧心中未遂」という傑作がある。三重県にある赤目四十八瀧に映る瀧や淵の光景に似ているなとアナロジーを感じる。今回は岐阜県の山奥でロケをした。作品情報にロケマップがある。金子雅和監督はかなりロケハンをしたらしい。風景だけを見せる映画でないけど、水辺のショットや滝や淵の映像は抜群に良い。

 

悲哀物語で、里の者と木地屋が一緒になるのは御法度とのセリフがある。2人が何で付き合ってはいけないの?意味がよくわからない。木地屋とは山を徘徊する木工職人で流れ者だ。青年はまだまだ修行の身で親方から我々から離れても良いが、その前に手を切り落とすとまで言われている。青年は約束を破って娘と一緒に暮らすのを断念する。失意の娘は「青い淵」で身を投げる。そんな昔話と1958年に暮らす少年をつなげるのだ。

そんな伝承が気になって仕方ない少年ユウチャが、家の外で嵐の気配が出てきた後で1人大雨の中現地に向かうのだ。普通だったら、祖母も行かせないだろう。それがこの映画の見どころなので仕方ない。少年が鍾乳洞にも潜りこむ冒険物語がしばらくすると、娘と青年が現れてファンタジーの世界にも繋がってくる。

傑作とまではならない。山間部の神秘的な雰囲気に少しだけ浸る気持ちがもてれば良いのでは。

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映画「ゆきてかへらぬ」 広瀬すず&根岸吉太郎

2025-03-06 20:40:14 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「ゆきてかへらぬ」を映画館で観てきました。
映画「ゆきてかへらぬ」はベテラン根岸吉太郎監督広瀬すず主演で「ツィゴイネルワイゼン」などの名脚本家田中陽造と組んだ16年ぶりの新作である。詩人の中原中也と文芸評論家の小林秀雄、そして女優の長谷川泰子の三角関係を描いている。ムードが暗そうなので公開後行こうか迷った。根岸吉太郎監督はこのブログでもアクセスの多い「遠雷」などを手がけており、前作の太宰治の私小説のような「ヴィヨンの妻」は自分の好きな映画だ。なのでやっぱり映画館に突入しようと思い直す。結果的には良かった。
 
中原中也は知っていても詩に疎い自分は彼の作品を知らない。小林秀雄は自分が大学受験する頃、現代国語の問題で最も出題が多い作家と言われていた。当時そんなウワサで読んでみようと試みてもあえなく脱落。今から10年強前に、センター試験の現代国語に小林秀雄の随筆が出題されて受験生が撃沈したのが話題になったのは記憶に新しい。最初に小林秀雄の「モオツアルト」を読んだ時は意味不明で宇宙語かと思ったけど、大人になってからわりとスラスラ読めた。モーツァルトについての知識が増えたからであろう。われわれにとって畏怖の存在である小林秀雄がこんな恋愛三角関係のど真ん中にいた事は初めて知った。
 
1924年の京都、20歳の長谷川泰子(広瀬すず)と17歳の中原中也(木戸大聖)は1個の柿がご縁で知り合う。泰子はマキノ映画に属する女優で、中也は詩人になろうとする学生だった。2人は申し合わせたように同棲を始める。
 
その後、2人は東京へ引っ越しする。結核になった中也の友人の富永から紹介された小林秀雄(岡田将生)が自宅を訪ねてくる。文芸評論の道を歩もうとする小林は新進女優の泰子に好意を持ち、いつの間にか奪うがごとく同棲を始めると知り中也は驚く。それでも3人の関係は途切れることがなく続いていく。
 
観ていくうちに徐々に引き込まれていく作品だった。
大人になりつつある広瀬すずが後半にかけて美しく映し出される。
「ファーストキス」が松たか子を観に行く映画だったのと同様にこの映画は広瀬すずを観に行く映画だ。みんなバラバラになった後に3人が再会する場面でオカッパ頭にした広瀬すずがあまりに美しいのでドッキリした。
 
ただ、この女は本当に扱いが面倒くさい女だ。普通の男がついていくのはむずかしい。小林秀雄と同棲を始めた泰子のもとに中也が壁掛け時計をプレゼントするシーンがある。骨董に目利きが効く小林秀雄が大事にしている陶器を、泰子が時計に投げつけてぶち壊したり、中也が見合いするという女性の写真をビリビリに破いたり、自分が見ると面倒くさい女にしか見えない。女性から見ると、もしかして共感できるところあるのかな?
 
 
良かったと思ったのはロケ撮影が意外に多いこと。大正時代だと普通はセットのみだけどうまくロケハンしている。関西系の寺や日光江戸村に加えて喫茶店のシーンはもしかして神保町のさぼうるじゃないかなあ?桜満開の中で撮影して臨場感が出た。遊園地やボートが浮かぶ湖や中也がローラースケートをしているシーンもいい。大正時代だからといってセットだけだとイマイチになると思う。
 
小林秀雄は長谷川泰子と同棲する。同棲当初に2人の夜の関係がなかったというのが意外だ。積極的に小林秀雄に関係を求める広瀬すずが大人に変貌を遂げるのもいい感じだ。でも、小林は結局奈良に逃げ出す泰子についていけない気持ちは男としてよくわかる。そのまま付き合っていたらあの名随筆は書けなかっただろう。3人の再会の場面も悪くない。映画では中原中也が脳に結核菌が来ておかしくなって死ぬまで映し出している。葬儀シーンのあと年季の入ったレンガ積みの火葬場でのシーンもよく見えた。
 
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映画「ファーストキス」松たか子&松村北斗

2025-02-11 08:06:27 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「ファーストキス」を映画館で観てきました。


映画「ファーストキス」「花束みたいな恋をした」などの人気脚本家坂元裕二「ラストマイル」塚原あゆ子監督がコンビを組んだ松たか子主演のラブストーリーだ。監督脚本のそれぞれの作品は自分の好みで、松たか子の作品は相性のいい作品が多い。いい歳してもこんなラブストーリーの映画が観たくなる。公開初日に早速観にいくが、頭の整理がうまくいかずなかなか感想が書けない。普通だったらありえないファンタジー的作品をどう捉えるのか考えていた。

カンナ(松たか子)と夫の駈(かける)(松村北斗)は、結婚して15年経つ夫婦。子どもはいない。もともと研究者だった夫は転職後会社の付き合いが多くなりすれ違うようになる。お互いに限界と感じて離婚届にサインして夫が提出しようと家を出た。ところが、その日、駈は駅で線路に転落した子どもを助けようとして轢かれて亡くなってしまう。結局、カンナが後始末をすることになる。


舞台美術の仕事に復帰してカンナが首都高をクルマで走らせていると、突如15年前の夏初めて2人が出会ったリゾート地にタイムトラベルしてしまう。現在のカンナが出会ったのは29歳のかけるだ。まだ恐竜好きの研究者であった。かけるの担当教授(リリーフランキー)とその娘(吉岡里帆)と会話するかけるはまだ純粋でカンナの恋心がよみがえる。カンナはかけるの人生を変えていけば、事故死することがなかったのではないかと同じようなルートをたどって過去と現在の往復をするようになる。

歳を重ねても変わらない松たか子を観に行く映画だ。
結婚して15年夫婦関係が冷え切っているカップルがいる。子供はいない。離婚届を出そうとしたその日に夫は人助けをしようとして駅で事故死する。そんな夫が死なないように15年前初めて会った時に戻って懸命にがんばる松たか子がいじらしい。

吉永小百合は今年80歳なのに相変わらずCMや映画でも頑張る。60歳後半といってもおかしくないほど吉永小百合の美しさは変わらない。年齢層を大きく下げて同じように吉永小百合になりきれる女優がいるとすると、もしかして松たか子なのかもしれない。育ちはよく若い時から良い役に恵まれてきた。松たか子が40半ばの役と29歳の時の役の両方を演じている。当然20代後半の場面は特殊メイクないしは画面操作しているかもしれないが人気急上昇中の松村北斗と並んでも不自然さは感じない。デビュー当時のピュアで清純なイメージを維持する。お見事である。


同じ坂元裕二脚本の「花束みたいな恋をした」は自分の好きな映画である。たまにこういった日本人が演じるラブストーリーを見てみたくなる時がある。カップルの関係性が壊れるという意味では両作品同じだ。

この作品はファンタジーである。こんなことがあるわけではない。首都高速を運転して何度もその場所を通ったことがある三宅坂ジャンクション先のトンネルに入っていると気がつくと、15年前にタイムスリップする。ギクシャクして離婚届を出そうとする位まで悪化しているのに。15年前の相手を見つめると助けてあげたくなってしまう。そんな気持ちは素敵だな。


異論はあるかもしれないが、坂元裕二の脚本はこの映画では脇役の使い方があまりうまくなかった感じがする。吉岡里帆やリリー・フランキー、森七菜といった主役級の俳優が脇役で出演しているのに、全く存在感がないのが残念だ。同じ塚原あゆ子がメガホンをとっている「ラストマイル」は配役を活かすのが上手だった野木亜紀子の脚本だった。塚原あゆ子の力量は「ラストマイル」の方が発揮できたと自分は感じる。
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映画「どうすればよかったか」

2024-12-26 18:56:09 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
ドキュメンタリー映画「どうすればよかったか」を映画館で観てきました。


映画「どうすればよかったか」藤野知明監督の統合失調症を患った姉と面倒を見る両親を長期間にわたって映し出すドキュメンタリーである。予告編で姉の異常な言動が気になる。公開後すぐ観ようとしたら、公開館も少なく満員御礼状態で放映時間も自分の都合と合わない。家族が統合失調症にかかっているとは言いづらい病気なので、ひっそりと悩んでいる家庭が多いと思う。そんな人たちが観に来て満員かなと思っていたら、ようやく公開映画館が増えてきた。映画館は平日なのに大勢の観客がいる。意外に若い人が多い気がする。

概要は作品情報を引用する。主人公の姉は自分と同世代だった。

面倒見がよく、絵がうまくて優秀な8歳ちがいの姉。両親の影響から医師を志し、医学部に進学した彼女がある日突然、事実とは思えないことを叫び出した統合失調症が疑われたが、医師で研究者でもある父と母はそれを認めず、精神科の受診から姉を遠ざけた。その判断に疑問を感じた弟の藤野知明(監督)は、両親に説得を試みるも解決には至らず、わだかまりを抱えながら実家を離れた。

このままでは何も残らない——姉が発症したと思われる日から18年後、映像制作を学んだ藤野は帰省ごとに家族の姿を記録しはじめる。一家そろっての外出や食卓の風景にカメラを向けながら両親の話に耳を傾け、姉に声をかけつづけるが、状況はますます悪化。両親は玄関に鎖と南京錠をかけて姉を閉じ込めるようになり……。(作品情報 引用)


後半のリアルな発狂に及ぶ症状をよくぞ撮った。
統合失調症の実像をここまで見せる映画を初めて観た。

世間がうらやむ上級家庭である。北国らしい陸屋根の美しい庭付き一戸建に住む。父親は臨床でなく学究の道に入った医学者で母親も女子医専(東京女子医大の前身)の卒業生だ。姉本人は子供の頃からスクールカースト上位で医学部に入学する。監督本人も北大農学部出身だ。ところが、1983年医師国家試験を前にして、姉の精神が不安定になる。統合失調症を発症する最も多い時期だ。

結局、精神科医や心理アドバイザーへの受診を両親が拒否。姉は家に引きこもるようになる。映画の序盤で数多い青春時代の思い出のポートレートと8mm映像が続いた後、中年の域に入った姉の変貌とおかしな言動をカメラが追いかける。「どうすればよかったか」は最後に監督(主人公の弟)が父親にこれまでの姉への扱いについて問いかける言葉だ。


実は身内で似たような時期に同じ病気を発症した女性がいるので人ごとではない。映画では姉が夜間に自室で発作を起こすのを映し出しているが、似たような症状になっている本人を見たこともある。まるで「エクソシスト」の映画のように何かゴーストに乗り移られるようで本当に怖い。暴力もふるう。この映画でも、姉が何かに取り憑かれているかのように深夜に自室で訳の分からない言葉を発したり、親戚の人を罵倒する場面が出てくる。実にリアルだ。こんな真実の映像がよくぞ公開された。

この映画の感想コメントをいくつか見て、「もっと早く専門医に相談すればよかったのに」という言葉が目立つ。その通りである。でも、実際には同じような疾患にかかって、周囲には病気のことは隠してこの家の両親と同じように自分たちでなんとか解決しようとするのだ。もちろんうまくいくはずがない。

弟(監督)と会話する母親を映す。まったく理にかなっていない会話をする母親を見て誰しもがおかしいと感じるだろう。実際には統合失調症にかかった子を持つ母親はみんな似たようになる。今でこそ統合失調症と言うが、姉が発症した1983年直後は「精神分裂病」の呼び名である。自分の子を分裂病になったと言われたくないのであろう。家の中に監禁したのはよくなかった。人と話していないとまともな会話ができなくなる

精神病院に見舞いに行ったことがある。両親と思しき親は社会的地位も高そうに思える人たちが多かった。ただ、みんな悩みがありそうな顔をしている。

色々と思うことが多いが、発作が激しくなった後にようやく入院となる。その後3ヶ月たって退院した時の状況が改善していることに驚く。薬があったとのコメントがあったけど、発狂状態からの脱出である。割と早い方ではなかろうか。統合失調症ではともかく緩和させるための薬を要する。もう監禁されて家にいることはなくなった。それはそれでよかったが当然の後も部屋に誰かが刃物を持っていると警察を呼んだりいかにも統合失調症らしい行動があったようだ。完治することがない。結果オーライではないが、真っ暗闇ではなかった。必見の映画である。
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映画「はたらく細胞」 永野芽郁&佐藤健&芦田愛菜&阿部サダヲ

2024-12-16 21:38:04 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「はたらく細胞」を映画館で観てきました。


映画「はたらく細胞」清水茜による人気コミックをの武内英樹監督が実写映画化した作品である。いつもの自分の好きなタイプと違うけど、予告編を観るとスケール感があっておもしろそう。武内英樹監督は娯楽の極地「翔んで埼玉」でむちゃくちゃ楽しませてくれた。白血球を演じる佐藤健の動きは「るろうに剣心」みたいなワイアーアクションじゃないか。これは行くしかないとシアターに入るとたくさんの親子連れだ。これも久しぶりだ。

人間の体内の細胞、その数なんと37兆個。
酸素を運ぶ赤血球(永野芽郁)、細菌と戦う白血球(佐藤健)、そのほか無数の細胞たちが、あなたの健康と命を守るために日夜全力ではたらいているのだ。
高校生・漆崎日胡(芦田愛菜)は、父親の茂(阿部サダヲ)と二人暮らし。
まじめな性格で健康的な生活習慣の日胡の体内の細胞たちは、いつも楽しくはたらいている。一方、不規則不摂生に日々を過ごす茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果てた細胞たちがいつも文句を言っている。

親子でも体の中はえらい違いだった。仲良し親子のにぎやかな日常。
しかし、その体内への侵入を狙う病原体たちが動き始める…。
漆崎親子の未来をかけた、細胞たちの「体内史上最大の戦い」が幕を開ける!?
(作品情報 引用)


おもしろかった。さすが武内英樹!
「翔んで埼玉」のテイストを残しつつ、佐藤健が壁走りでの登場で「るろうに剣心」のようなアクション映画にも仕立てる。「地面師たち」の騙される役が記憶に新しい山本耕史「不適切にもほどがある」阿部サダヲといいコンビだった仲里依紗まで「NK細胞」の役柄でアクションを見せまくるのもいい。「るろうに剣心」のアクション監督大内貴仁が起用されていることで妙にその切れ味に納得。

予告編で芦田愛菜と阿部サダヲの親子のシーンが出てくる。この2人何?と思っていたら、芦田愛菜と阿部サダヲの身体の中にいる血液や細胞を映しているのだ。この2人が外傷や病気で苦しむ身体の内部を映していくのだ。後輩の芦田愛菜ちゃんはいかにも慶応女子高の清楚なイメージをもつ高校生の雰囲気を残していてかわいい。映画のテンポがスピーディで気がつくと白血病に侵されるというのもびっくりだ。


阿部サダヲ演じるオヤジは逆に不摂生で酒にタバコで人間ドックの数値は最悪。娘に説教を受けている。トラックの運転手役で高速道路を走っている時に突如大便の気がでて、漏らしてしまいそうになった時、体内で便を防ぐ側と漏れそうになる大便との格闘を戦国武将の争いのように映す。この体内決戦が「翔んで埼玉」の千葉対埼玉の戦いのようでいちばん笑えた。


それにしても、血液や細胞がバイ菌たちと闘う姿はすごいスケール感だ。スパニッシュムードあふれるテーマパークにいる人の振る舞いが体内だ。ビジュアル感あふれて実にたのしい体内の描写だ。半端じゃない。赤血球になってモノ(酸素)を運んでいるのはリアルな人間だ。どれだけ人がいるんだと思ってしまう。加えて「翔んで埼玉」でもおなじみの片岡愛之助、小沢真珠がバイ菌役で出てくる。


映画を見終わって主なシーンは和歌山のポルトヨーロッパで撮ったことがわかった。600人のエキストラというのもいつもの日本映画とは違うし、カネもかかっている。大阪から何十台もバスをチャーターしたらしい。やるね!リゾート博が和歌山で開催された時、ちょうど自分が和歌山をでてすぐの時に行ったのを思い出す。ポルトヨーロッパよく残ったね。
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映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」 天海祐希& 上白石萌音

2024-12-14 20:47:28 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」を映画館で観てきました。


映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」廣嶋玲子の児童小説を中田秀夫監督で実写映画化した新作だ。天海祐希が主役だけど特殊メイクでいつもの感じと違う。実はこの小説やアニメ化のことはまったく知らなかった。中田秀夫監督作品はホラーというだけでいつもスルーしてしまう。逆にこれは子供向け人気小説の実写化で予告編を観ると、直近気分が沈んだ後なので寄ってみたい誘惑にかられる。

新米教師の等々力小太郎は、赴任した小学校の子どもたちから不思議な駄菓子屋「銭天堂」の噂を聞く。怪しげな店主・紅子(天海祐希)が選んでくれる駄菓子を食べれば願いがかなうが、食べ方や使い方を間違えると大変なことになるのだという。

やがて、銭天堂の駄菓子を買ったと思われる人たちの様子がおかしくなり、小太郎が密かに思いを寄せる雑誌編集者・相田陽子も暴走してしまう。そんな中、小太郎はもう一軒の駄菓子屋「たたりめ堂」の存在に気づく。その店では店主のよどみ(上白石萌音)が人々の悪意を集めて作った駄菓子を売っていた。小太郎は大切な人たちを守るべく、紅子とともによどみを追うが……。(作品情報 引用)


童心に戻ったようで観るとおもしろい
何より天海祐希のパフォーマンスが最高だ。悩みをもった子どもが駄菓子屋銭天堂にたどり着き、恐る恐る店主紅子に問いかける。すると、紅子はベストチョイスのお菓子を提案するのだ。そのあたりのテンポの良さがいい感じで楽しい。


いきなり勉強のできない小学校高学年になったイガグリ頭の男の子を映す。テストの成績は最悪なのに中学受験するという。母親に怒られている。行きたくない塾にも通わされそうだ。少年がトボトボ歩いていると路地上にいる黒猫に誘導されるように向かうと「銭天堂」の看板がある駄菓子屋がある。そこにはふっくらとして大きな身体の女性店主がいる。

やさしく応対してくれて出てきたお菓子は「ヤマ缶詰」だ。笑える。これを食べると、テストに出てくる答えがテキストから浮き上がって見えるのだ。少年は一気に高得点をとるようになる。

こんな感じで、いじめられっ子が勧められるのが「堂々ドーナツ」など、ともかく駄菓子の名称のシャレっ気に脱帽だ。しかも、パッケージのデザインがいい。駄菓子屋の品揃えが最高だ。店内の風景を観ているだけでひたすら楽しい。(これは作品HPの駄菓子一覧を見てほしい)小学校時代にもどって「悪魔くん」や「忍者ハットリくん」を見ているような錯覚を覚える。


銭天堂の女店主・紅子である天海祐希はいつもながらの貫禄である。ここで驚いたのがライバルのたたりめ堂の女主人である。誰なんだろうとエンディングロールを見ても上白石萌音とは結び付かず、正直なところビックリした。まさかの悪役で意外な配役にはまっている。中田秀夫監督なのかどうかわからないが、絶妙の起用である。途中緩慢と思しきペースになっても、子ども向けらしく気分良く締めるのはうれしい。
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映画「ルート29」 綾瀬はるか&大沢一菜

2024-11-09 21:09:56 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「ルート29」を映画館で観てきました。


映画「ルート29」「こちらあみ子」森井勇佑監督の新作ロードムービーだ。綾瀬はるか「こちらあみ子」で強い印象を残した大沢一菜の共演である。「ルート29」とは姫路から鳥取までの国道29号線のことを指す。残念ながら自分はクルマで通ったことがない。大沢一菜は前回はあどけない小学生だった。中学生になった時のブカブカの制服が印象的。あの時より大人になったけれども、今回も小学6年生の役柄で風変わりな子だ。オーソドックスなロードムービーだけれどもどこか違う肌合いを持っている。


鳥取の町で清掃員として働くのり子(綾瀬はるか)は、仕事で派遣された精神病棟の患者の理映子(市川実日子)から姫路在住の娘のハル(大沢一菜)を連れてきてくれと頼まれ姫路に向かう。写真を頼りに現地で見つけたハルは、秘密基地を作って遊ぶちょっと変わった女の子だった。のり子は乗りつけてきたワゴン車にハルを乗せて国道29線を運転して鳥取に向かう。「トンボ」というあだ名をハルはのり子につける。


道中では色んな出来事が起こる。古びたドライブインで2匹の犬を連れた赤い服の女(伊佐山ひろ子)に出会ったあと車を盗まれる。事故でひっくり返った車の中に座っていたおじいさんと行動をともにしたり、小学校教員であるのり子の姉(河井青葉)にあったりしながら母親がいる鳥取の病院を目指す。

好きな映画だ。計算された構図をもつ映像コンテに魅力を感じる。
映画の最初に沈黙が続き、主人公2人が会話を交わすまでセリフがない。表情にも乏しく、フィンランドのアキカウリスマキ監督作品に出てくる朴訥な登場人物を観ているようだ。不思議な肌合いをもつ。音楽が的確で、ルート29で出会うのどかな風景と人物にピッタリあっている。エンディングロールの曲も抜群にいい。

大沢一菜「こちらあみ子」と同様の変わった子を演じる。林の一角にある自らつくった秘密基地のようなところで日常過ごしている。普通じゃない子だ。ムカついてもおかしくないような出来事が起きても、2人は無表情に淡々とルート29を通って目的地に向かっていく。地図で見ると、姫路と鳥取は遠い。途中でクルマを盗まれて歩いていけるような場所ではない。

2人が出会う夢のような出来事を包む映像コンテが絵画を見るようで自分にはよく見える。
いく場所ごとに都度ベストのショットを撮っている。


奇妙な感じがするシーンの1つが、途中で出会った老人と2人の主人公が別々に湖でカヌーを漕ぐ時に、正面から結婚式と思しき服装を着た男女がカヌーを漕いで現れるシーンだ。老人と男女が同じ方向を向かうことで何かを意味しているのだろう。幻想なのか?よくわからない。あとは、古びた商店街で、町の住民がみんな視線を一方向に向けて大きな満月を見ているシーンも奇妙だ。寓話のようなシーンがいくつかあり、印象に残る。


脇役は充実していて、ドライブインで出会う赤い服を着た犬を連れた女(伊佐山ひろ子)や古時計ばかりを売っている時計屋の老婆(渡辺美佐子)などのベテラン女優を起用している。エンディングロールを見るまで往年の主演級2人の女優が誰かはわからなかった。

河井青葉河合優実の母親役だった「あんのこと」で演じた子に売春させる社会の底辺にいる女と比較すると、小学校の教員としてまともな役だ。でも、心に闇をもつ女性だ。姉の家に泊まらせてもらい朝食を食べているとTVニュースにハルが行方不明になっているとニュースが出てきて姉があわてる。精神病院の患者である市川実日子は娘にどうしても会いたいと言って主人公のり子に迎えに行かせた割に、「私はもう死んでいます」とよくわからない反応をする。


評論家の評価は高い一方で映画comの2点台はじめとした一般の評価は低め。でも、ロードムービーの定石も踏みながらロケハンにも成功して、綾瀬はるかと大沢一菜いずれもよく自分は好きな作品だ。綾瀬はるかの走りが脳裏に残る。
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映画「アイミタガイ」 黒木華&草笛光子

2024-11-05 20:33:19 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「アイミタガイ」を映画館で観てきました。


映画「アイミタガイ」は三重県在住の作家中條けいの短編の原作を黒木華主演で映画化した作品だ。もともと「半落ち」佐々部清監督が企画したが2020年に亡くなり若手の草野翔吾がメガホンを持つ。脇役には草笛光子、風吹ジュンをはじめとして豪華配役陣が揃えている。アイミタガイ「相身互い」のことで「誰かを想ってしたことは、巡り巡って見知らぬ誰かをも救う。」ということだ。映画で言えば「ペイフォワード」的な要素を持つ。

三重県桑名、ウェディングプランナーの梓(黒木華)は親友でカメラマンの叶海(藤間爽子)と中学時代からの悩みを打ち明けあう仲だった。ところが、叶海が突如交通事故で亡くなり途方に暮れる。交際相手の澄人(中村蒼)との結婚に踏み出せず、亡くなった叶海のスマホにメッセージを送り続ける。叶海の両親の朋子(西田尚美)と優作(田口トモロヲ)は、遺品のスマホに溜まっていた梓のメッセージに気づく。


一方、梓はヘルパーである叔母(安藤光恵)が派遣された先の90を過ぎている老婦人こみち(草笛光子)が以前ピアノをしていたことを知り、金婚式での演奏を頼みに行く。中学時代、その家から流れるピアノの音色を叶海と二人で聴いていたのだ。

最後に向けての人のつながりの収束がお見事である。
最後に関係が1つに収束する「ラブアクチュアリー」のようなオムニバス映画のように、途中経過から最後に向けての転換が上手かった。まったく関係のない人同士が次々とつながるのは観ていて気分がいい。原作は短編集なので脚本の市井昌秀が巧みに映画脚本にまとめたと言える。とはいえ、途中までは女性目線のセリフが多い。好きな俳優だけど、亡くなった親友の母親役である西田尚美が嫌な女だなあと思っていた。地方都市を舞台にして末梢神経を刺激するようなむごい場面もなく平穏な心で観れる。

主人公の恋人、写真家だった友人、恋人が結婚指輪を購入しようと行く宝石屋、恋人が毎日通勤電車で出くわすおじさん、93歳のピアニスト、ヘルパーの主人公の叔母、児童福祉設備のある町のタクシー運転手、いずれもアイミタガイで繋がっていく。


⒈桑名と滋賀
三重でのロケ地MAPが作品情報にもupされている。力が入っている。いきなり上空から近鉄電車が川を渡るシーンを見てワクワクする。自分の母が若き日に三重で仕事をしていたことがあり、その同窓会もあって四日市から津のエリアに小学生の頃はよく行った。今より公害がひどく、四日市の工業地帯を通ると途端に気分悪くなった記憶がある。化学コンビナートの美しい夜景が映画でも出てくるが、あの気持ち悪い匂いが身体中を駆け巡る。でも三重の人はみんな良い人たちばかりだった。

桑名しぐれ蛤茶漬で有名だ。柿安という肉の料理屋があり、名古屋居住の大学の同級生一家に学生時代連れられて行った。その時食べた牛肉の網焼きのおいしさは人生で食べた食べ物のベスト3に入る。

梓(黒木華)が祖母(風吹ジュン)を訪ねて滋賀に向かうシーンがある。趣ある滋賀の日本家屋が連なる。近江八幡のようだ。祖母お手製のお寿司をおいしそうに食べる。地域開発の一方でこういった古い日本家屋を残すのも大事だと思う。


⒉黒木華の主題歌
桑名上空から三重を俯瞰する夜の映像とともに黒木華の歌声が流れる。これが良い感じだ。正直言って、今回の黒木華の演技に特筆すべきところはない。無難にウェディングプランナーの役をこなしたという感じだ。エンディングロールで荒木一郎「夜明けのマイウェイ」だということがわかる。思いのほか胸に沁みる

この主人公梓が中学の時の回想シーンがある。その時の親友叶海(白鳥玉季)の振る舞いが実にカッコいい。大人になってからの藤間爽子も出番は少ないがさすが藤間紫と思わせる。


⒊草笛光子に敬意
91歳の草笛光子が登場する。まだまだ頑張るなあ。安藤光恵がヘルパーとして派遣される家の93歳のご婦人役で家にはクラッシックなピアノが置いてある。上流と思しき振る舞いを見せて、若き日からフランス人にピアノを習っていた役柄だ。草笛光子はまさに貫禄十分である。


「90歳何がめでたい」は迷ったけど観ていない。不義理で良いのかと思いながら上映期間が過ぎた。いずれ確認したい。1960年前後の映画が好きで東宝社長シリーズあたりで新珠三千代や白川由美などとスクリーンに映る姿もいいけど現在も品を失わない。伝説の「光子の窓」は見たことがない。

会社に入って間もない頃、上品なご婦人がアシスタントでいてお世話になっていた。自分の父と同じ歳で草笛光子の一つ上だ。息子がお世話になっているということで、母が三越劇場の草笛光子のミュージカルのチケットを年末にそのご婦人にプレゼントした。すると、草笛光子のファンだと大喜びされた。若かった自分は一瞬なんでと思った。草笛は自分には単なるオバサンにしか思っていなかった。

そのご婦人から達筆で丁重なお手紙をいただき旧蠟のミュージカルが良かったと御礼され母も恐縮していた。旧蠟なんて言葉は初めて見た。草笛光子がミュージカルスターだということがわかった。日本経済新聞私の履歴書草笛光子が書いた時にミュージカルへの思い入れを知り、改めてそのご婦人を思い出した。
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映画「傲慢と善良」 奈緒&藤ヶ谷大輔

2024-10-04 10:08:30 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「傲慢と善良」を映画館で観てきました。


映画「傲慢と善良」辻村深月の原作を「ブルーピリオド」萩原健太郎が監督で映画化した作品である。原作がベストセラーだけど未読。本屋でこの表紙よく見かけたなあ。辻村深月原作の映画化では「朝が来る」「ハケンアニメ!」いずれも自分の好きな作品だ。直近のアニメ作品は観ていない。漫画原作の多い昨今の日本映画事情を考えると文学系では公開作品は多い方だ。

ビール会社を経営する青年実業家の架(藤ヶ谷大輔)マッチングアプリで婚活をはじめ、数多くの女性と会ってきた。いずれもピンとこなかった時に出会った真実(奈緒)に好感をもち付き合いをはじめる。1年経ち結婚に踏み切れなかった架に真実がストーカーの存在を告白する。保護するために架の家に移り住み婚約の流れとなったその時に、真実が突如失踪する。


手がかりを得るために群馬の実家に行くと、母親(宮崎美子)から東京に行ったのでこうなったと小言を言われる。お見合い相手がストーカーだったのではとお見合いをセットした県会議員夫人(前田美波里)に会い、2人のお見合い相手にも会った。でも疑うような気配はなかった。一方で架の女友達が以前紹介した真実と会った時の話を聞き、架は真実の真意を確認して呆然とする。

主演2人に好感がもてる現代版ラブストーリーである。ただ不自然さが残る。
会社の若手に結婚式のスピーチを頼まれ、なれそめを聞くと婚活系で結びついたケースが増えてきた。照れながら話す新郎によると、休日のホテルのラウンジで2人で待ち合わせをすると、周囲には同じような男女が大勢いるそうだ。娘の友人にもマッチングアプリで男女とも美男美女の幸せな結婚をしているカップルもいる。マッチングアプリの出会いは怖そうな感じもするが、決してレアケースではない。

この映画での奈緒が演じる真実は自分も引き寄せられる女の子だ。藤ヶ谷大輔が演じる架が数多くの女性に会ってきてピンと来なかったけど、彼女を選ぶ気持ちはよくわかる。小説の設定が未読なのでわからないが、映画を観るとそう思える。ところが、彼氏の方がなかなか結婚しようと言わないので、女性が口には出せずに心配しているのだ。そこでトラブルにつながることが発生する。よくあるような話に見えるけどどうなんだろう。女性が気を引くためにウソをつくことはよくあることだ。

ただ、映画を観ていて、強引な設定が多すぎる印象をもつ

1,男性側の昔の女友達との奇妙な偶然
映画の中ではキーポイントとなる部分だけど、偶然にしては出来過ぎの設定に感じる。架の友人にホームパーティに誘われて2人で参加した時にいた架の女性の友人がいる。その2人に奈緒が送別会が終わる時に偶然会うのだ。そこで誘われて3人で飲みに行き、架が2人に語った奈緒の評価に加えて、もしかしてあなたの行動が狂言ではないかと言われるのだ。

映画ではむちゃくちゃ女のいやらしさが露呈する場面に見えるけど、そもそも自分の送別会で職場の人に囲まれている中で、一度あったきりの女性たちと一緒に飲みに行くかしら?という設定が強引な気もする。しかも、いくらいじわるな女性でも平気でこんなこと言うのか?との疑問は残る。

2.宮崎美子にはめずらしい役
真実が失踪して、あわてて架は行方を探す。群馬前橋の実家で母親に会うとイヤミを言われる。この母親は宮崎美子には珍しい嫌な女の役だ。父親は県庁勤務で仕事を終え、周囲も県内で勤める人が多く母親は地元の女子大に行かせてお見合いで結婚させるつもりだった。姉は違った道を歩んで自立して生活しているので、なおのこと次女に期待する。東京に行ったのがそもそも間違いで、自営業の人と一緒になるのもどうかと架を前にして言う。自分の価値観に凝り固まっている。そんな感じの話し方をする宮崎美子をはじめて見た。こういう役もするんだ。

自分の大学の時の友人で県庁の上級職に合格して郷里に戻ったのが2人いた。片方の場所は北関東で自分が転勤でそこに住み付き合いがあり、片方は九州でよく遊びに行った。家族にこんなイメージの人はいない。2人とも局長クラスで県の職務を終えたが、周囲にこんな価値観をもつ家族のいる家があるのだろうか?県職員って良い人が多くその家族も違う気がするけどなあ。


⒊前田美波里
ストーカーに追われているのを真実が告白して、架は以前お見合いをした人と何かがあるのでは?と母親が信頼している県議会議員夫人に会うことになる。お見合いの斡旋をしている。演じているのは前田美波里だ。静かに話すのだが、ドスが効いていてものすごい迫力だ。誰もが驚かされるだろう。でも、若き日のボリューム感あふれる肢体を知っている若者は少ないだろう。

昭和40年代前半、前田美波里は当時としては異色の存在で加山雄三の若大将シリーズなどでそのエキゾティックな姿を観ることができる。自分は大学生の時に30代になったくらいの前田美波里のショーを六本木の今はなきクレイジーホースで見た。目の前で見る前田美波里の躍動感あるダンスにただただ圧倒された記憶が鮮明だ。


群馬でのシーンのいくつが印象深い。お見合い相手2人のキャラは対照的だけど、地方都市の人にありがちの雰囲気がよくでていた。佐賀でのシーンもロケ地の設定も含めて自分にはよく見えた。西田尚美がよかった。

4.奈緒は嫌われているのか?
自分のブログで奈緒主演の「先生の白い嘘」のアクセスが妙に多い。8月も9月も7番以内に入って、近作ではもっとも多いアクセスだ。なぜなんだろうといつも思っている。前作同様、奈緒は好演なのに映画.comの評価が悪い奈緒女に嫌われるタイプの女性なのだろうか?
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Netflix「極悪女王」ゆりやんレトリィバァ&唐田えりか&剛力彩芽

2024-09-23 19:06:48 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
Netflixドラマ「極悪女王」は女子プロレスラーダンプ松本とクラッシュギャルズの長与千種、ライオネル飛鳥の3人を中心に繰り広げられる1980年代の物語である。


監督は白石和彌だ。文藝春秋出身のノンフィクションライター柳澤健「1974年のメリークリスマス」「2016年の文藝春秋」といった名作を書いている。その柳澤に「1985年のクラッシュギャルズ」という1980年代の女子プロレスについてそれぞれの私生活まで踏み込んだノンフィクションがある。これがムチャクチャおもしろい。自分は就職してまもない頃、当時は女子プロレスにまったく無縁だったのに引き込まれる

「極悪女王」は80年代の女子プロレスを描いたドラマで楽しみにしていた。ましてや大ファンの唐田えりかが出演するとなると見逃せない。配信開始後早々に観たが、大興奮しながらほぼ一気に観てしまう。よかった。「地面師たち」に引き続きNetflixはさすがだ。

ジャッキー佐藤とマキ上田ビューティーペアの黄金時代、高校生の松本香(ゆりやんレトリィバァ)は女子プロレスの魅力に取りつかれていた。1980年高校を卒業してパン屋への就職が決まると同時に女子プロレスの新人オーディションがあり挑戦する。そこにはのちにライオネル飛鳥となる北村智子(剛力彩芽)と長与千種(唐田えりか)も参加していた。何とかクリアして3人とも全日本女子プロレスに入門する。

運動神経のいい智子はすんなりプロデビューできるようになるが、長与と松本はプロデビューに至らない劣等生扱いだった。しかも、先輩のイジメも受けて長与は何度も挫けそうになる。やがて、試合に出られるようになっても立場は変わらない。これで辞めようかと思った時、長与千種は智子と観客も熱狂させる迫力ある試合をして認められる。2人はクラッシュギャルズとしてコンビを組む。


一方で松本香悪役として売り出そうとするが、悪役になりきれない試合しかできない。しかも、母親に迷惑をかけっぱなしの父親も放蕩が続き家庭内に面倒をかかえる。もともと、劣等生同士だった2人は仲が良かったのに、雑誌の取材で長与がダンプのことに何も触れないのに発奮して、突如極悪な悪役レスラーに変身してリングに現れる。先輩レスラーの反感もかいながらダンプ松本として悪役に徹するようになる。

すばらしいドラマだった。女優陣の鍛錬を身に沁みて感じる。
猛犬のようなダンプ松本を演じたゆりやんレトリィバァの迫力もすごいけど、ひいき目も若干あるが、唐田えりかにはビックリした。何とバリカンでアタマを刈って丸坊主になってしまうその心意気に敬意を表する。久々に見る剛力彩芽もプロレスファイトに没頭して見直してしまう。

女子プロレスを真剣に見ていなくても、今の50代半ばから上はビューティーペアの歌は知っているだろうし、クラッシュギャルズのファンも多いだろう。ダンプ松本がプロレスだけでなくコメディ番組などでも大暴れをしたのも知っているはずだ。オマケにジャガー横田は医者との間に高齢出産で産んだセガレの進学話で別の意味で有名だ。それぞれの固有名詞には誰もがなじみがあって、初めて出くわす人も少ないのではないか。

それだけにある意味フィクションであってもノンフィクションに近い「極悪女王」のストーリーにはすんなり入っていける。

⒈ダンプ松本(ゆりやんレトリィバァ)
もともとジャッキー佐藤の熱狂的ファンで試合の応援に行っていた。家庭環境は良くない。父親は外に女をつくり金欠の時だけ家に帰ってくる。母親は父親を甘やかして金を渡す。外でできた子にも香とつけてしまい呆れられる。他のプロレスラーも同じように家庭環境は悪い。プロレス界に入門してもなかなか芽が出ない。シーズン5のうち3まではさっぱりだ。それがシーズン4で変貌する。

顔に極悪ムードの化粧をして、竹刀を振り回す。観客席もグチャグチャにする。反則はやり放題。場外乱闘で椅子で相手の頭を叩くのは序の口でハサミで相手の頭を刺す。すさまじい流血だ。普段の生活でも同僚との関係を断つ。まさに猛犬のように荒々しくなる。長与千種との決戦は大流血だけど見ものの一つだ。


⒉唐田えりか(長与千種)
長崎の出身。両親とも家を飛び出して、親戚をたらい回し。小さい頃から空手をやっていた。ダンプ松本同様なかなかプロデビューをさせてもらえなかった。窃盗をしたのかと疑われイジメを受ける。もう辞めてやれと思って、ライオネル飛鳥との試合に気合を入れて臨むと観客から大ウケ。上層部からも見直されてクラッシュギャルズを組むことになり人気はピークになる。

ゆりやんレトリィバァ(ダンプ松本)が主演というクレジットだが、実質的には唐田えりかとダブル主演と言っていいだろう。今やメジャー監督に出世した濱口竜介監督の「寝ても覚めても」東出昌大の相手役になった時からずっとファンだ。不倫話でパッシングを受けたのは悲劇だったけど、よく耐えた。でも、がいても唐田えりかに惹かれる男の哀しい性はよくわかる。

その後映画に出てもカワイイ系ばかりだったけど、このドラマではプロレス技も次から次に繰り出し、かなり鍛錬したのがよくわかる。闘う相手への目つきも鋭いバリカンで丸坊主になったのには心から拍手を送りたい。ちょうどいい具合に東出も結婚することだし、世の女性陣の嫉妬もおさまるだろうからドンドンいい役を回してあげてほしい


⒊剛力彩芽(ライオネル飛鳥)
クラッシュギャルズでも人気があったのは長与千種の方だった。ただ、運動神経が良く、レスリングそれ自体ではライオネル飛鳥の方が一歩上の評価である。クラッシュギャルズとして歌を歌うことに徐々に疑問を感じてくる。もっとレスリングの練習をするべきだと長与千種と考えを異にする。

剛力彩芽がこのドラマに出演してプロレスラーを演じると知った時は意外に思った。そう言えば以前より見ないなあと思ったら、オスカープロモーションを飛び出していたことをすっかり忘れていた。さすがに出番は減るよね。流血シーンは唐田えりかの方が多いけど、剛力彩芽も頑張っていると思う。これをきっかけに飛躍できるといいね。


⒋ジャッキー佐藤とジャガー横田
ドラマがスタートする1980年はジャッキー佐藤がいちばんのスターだ。入門するダンプ松本も憧れていた。ところが、ジャガー横田がジャッキー佐藤との闘いに掟を破って勝ち、ジャッキー佐藤が引退することになる。そんな構図でスターの入れ替えが図られる。

プロレスは全部シナリオができているはずだが、シナリオをはずした真剣勝負に変わることもある。「ブック」という言葉が至る所に出てくる。わかっていて「ブック」を外すこともある。全日本女子プロレスの幹部松永兄弟の中でも意見が分かれて勝負が予定通りにならないこともある。そういった裏話も盛りだくさんなのも見どころだ。

ここで意外に思ったのは、ビューティーペアのジャッキー佐藤とマキ上田とが実はあまり仲が良くなかったシーンがあること。ジャッキー佐藤を演じる長身で美形の鴨志田媛夢という俳優は初めて観る。本物よりきれいだ。マキ上田は直近の出演作も多くおなじみになった芋生悠だ。

ジャガー横田水野絵梨奈が演じてずいぶんとベビーフェイスで現在TVで見せるドスの効いた貫禄ある姿と違うなあと感じる。ところが、昔の写真を見ると意外にもカワイイ系だった。思わず驚いてしまう。


ダンプ松本が主人公だけれども、ドラマを観終わったあとで改めて柳澤健の「1985年のクラッシュギャルズ」を読み直すと、色んな逸話がこの本から引用したような展開だと感じてしまう。本で言えば参考文献で引用元を記載するけど、何も書いていないのはどうかと感じてしまう。
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映画「ナミビアの砂漠」 河合優実

2024-09-06 17:18:42 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「ナミビアの砂漠」を映画館で観てきました。


映画「ナミビアの砂漠」は若手女性監督の山中瑶子河合優実主演で21歳の女の子の偶像を描いた作品だ。2019年ラグビーワールドカップでニュージーランド対ナミビアの試合を特等席で観た。結果は言うまでもないが隣がナミビアの応援団がいて点が入るたびに大騒ぎしていた。ナミビアの砂漠と言っても映画のストーリーには関係ない。河合優実が動画で見ているだけだ。

以前から好きだったので河合優実の活躍が際立ってきたのはうれしい。前作「あんのこと」でも主役を張って、世の中にこんな不幸な女性がいるのかと思わせる貧困女性を演じた。その次作なので気になる。相手役の金子大地とは「サマーフィルムにのって」で共演している。TV番組「不適切にもほどがある」で一般の認知度も急激に高まった時期の公開となる。


カナ(河合優実)は脱毛サロンのスタッフとして働く21歳の女の子。ホンダ(寛一郎)と同棲しているが自由気ままに夜遊びしながら生きている。友人と会うと言ってハヤシ(金子大地)と浮気をしている。ハヤシからいったん別れを告げられるが、ホンダが出張で風俗遊びをしたのがバレたのもいい口実に気がつくとホンダの元を飛び出してハヤシと同棲することになる。
ホンダの親にも会い順調だったが、部屋の整理をしていてハヤシの秘密に気づいてしまう。その時からカナの精神が安定しなくなっていく。

河合優実を終始舐めまわすように追う映画だ。
ストーリーはどうってことがない。軽い起伏があってもビックリするほどではない。まだ若い女性監督が脚本を書いているので、人生経験も浅いからそんなに変化があるストーリーは書けないだろう。さすがに単調さにあきてしまいそうになると、河合優実に変化が生まれる。その繰り返しだ。もう少し短くまとめてもいい気もする。女性目線が強すぎてバランスは悪い。ただ、河合優実の頑張りには圧倒される。


⒈21歳の女の子
河合優実演じるカナの家庭環境は良くない。父親に反発して家を出て同棲している。喫煙者だ。鼻に穴をあけてピアスをしている。脱毛サロンで働いている時は丁寧な言葉遣いだが、普段は普通の21歳の女の子の話し方だ。ちゃっかり同棲相手に女友達と会うと言って浮気相手と会う。ホストクラブにもいく。河合優実が女性便器に座っている時に、男がまたがっておしっこするシーンが珍しい。「映画なんて観て何になるんだ」というセリフを思わず吐いてしまう。

⒉女性目線が強い。
河合優実暴言を吐くだけでなく、男性に暴力を振るうシーンがものすごく多い。急に理不尽な話をして男に突っかかる。困ったものだ。最初の同棲相手はカナに向かって土下座する。しかも、相手に中絶したとウソも言っているのにだ。男性のDVは否定しても女性の暴力は肯定する態度にしか見えない。若い山中瑶子監督が脚本書いているからそうなっちゃうのかな?そう言った意味で女性には受ける映画かもしれない。


⒊河合優実の頑張り
「あんのこと」ではシングルマザーに売春を強要されて勉強もろくにさせてくれなかった女の子で、ひたすら悲惨だった。ここでは家庭環境は良くないようでもそんな貧困さはない。大学には行かずに普通に働いている21歳の女の子を演じている印象だ。脱毛サロンでは実技も行う。ともかく終始出ずっぱりで大量のショットをこなしている。

同棲相手と取っ組み合うシーンはプロレスみたいだ。同棲相手の秘密がわかって精神も不安定になる。パワーがあるなあ。それはそれで敬意を表する。加えて、男性ファンへのプレゼントでやさしい乳首を拝めるとは予想していなかった。裸で寝て起きた時のシーンでサラッと見える。身を乗り出してしまう。


⒋唐田えりか登場
河合優実が同棲する部屋の隣室にいる女性である。幻想的なキャンプシーンで河合優実と火を囲む。この映画の中で存在感が強いわけではない。唐田えりかが出てくると思わず微笑みたい気分になる。いつもながらかわいい。次作に女子プロレスの物語を控えているという。楽しみだ。
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映画「愛に乱暴」江口のりこ

2024-08-30 21:27:14 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「愛に乱暴」を映画館で観てきました。


映画「愛に乱暴」吉田修一の同名原作を江口のりこ主演で映画化したヒューマンドラマである。原作は未読。江口のりこのファンで最近では「あまろっく」「ブルーピリオド」「お母さんが一緒」と毎回出演作は欠かさず観ている。予告編から江口のりこが不穏な何かに巻き込まれている様子が伺える。とりあえず、映画館に向かう。

夫の母親(風吹ジュン)が住む母屋の離れに夫(小泉孝太郎)と住む桃子(江口のりこ)は前向きな専業主婦で子どもはいない。石鹸教室の講師もしている。ただ、近所で不審火が続いたり、かわいがっている猫がいなくなったりといやなことが続く。夫に対して懸命に愛を注いでいるのに、あまり相手にしてくれない。どうも夫は浮気をしているようだ。浮気相手のXを探り出していた。夫から彼女と一緒に会ってもらえないかと告白されて動揺する。


大好きな江口のりこの演技は上々でも、映画としては期待ハズレだ。
子どものいない夫婦の夫が浮気して、彼女に赤ちゃんができて別れてくれと言われ妻が奇怪な行動をとるという話だ。吉田修一の小説なので、何かしら凝ったストーリーなのかと予測したけれども、最終的には「もう終わっちゃうの?」という感じであっけなく終わってしまう。残念ながら物足りなかった。


主人公桃子(江口のりこ)は時おりイヤミっぽい言い方をする夫の母親(風吹ジュン)がいても、何とか今の家庭を大事にしようと懸命に頑張る女性だ。リフォームをしようと言ったり、凝った食事を出そうとしたり、寝ている時に夜の営みに誘おうとしても夫はそっけない。そして今度は香港に出張だという。夫が浮気しているのはつかんでいた。相手の女性がXをやっていて、ご丁寧に毎日のように浮気の進行状況をつぶやいていて桃子は見ていた。それでもなんとかできると頑張っていた。でもいよいよご対面だ。

子どもができたことを謝りたいと3人で会うなんてことあるかしらと思うけど、対面のシーンがある。絶対別れませんと言っても、相手は妊娠5ヶ月で母子手帳もある。それから精神的におかしくなり、奇怪な行動をとるようになるのだ。


部屋の畳の下にある構造用合板を電気ノコギリで切っていく。床下の土が露わになるのだ。しかも、そこで寝そべる。声をかけようとすると、私を変人扱いしないでくれと怒る。ただ、江口のりこの奇怪な行動は一つの見どころで、シャワーシーンでは鏡越しに江口のりこの乳輪が見えてしまう。やる気満々なのは実感するけど、これだけのストーリーでは残念としかいいようにない。
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映画「ラストマイル」 満島ひかり&岡田将生

2024-08-25 16:18:54 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「ラストマイル」を映画館で観てきました。


映画「ラストマイル」は通販サイトの物流倉庫から出荷された荷物の爆発事件を描く満島ひかりと岡田将生主演の作品。TV中心で活躍する演出家の塚原あゆ子が監督を務める。人気脚本家の野木亜紀子とのコンビでTBSでTVドラマを製作している。コンビのTV番組は見ていない。全面的にTBSが製作に関わっているのが強調されている。「ラストマイル」とは「顧客に荷物を届ける最後の区間」を示す。

11月米国資本の大手通販サイト「デイリーファースト」の西武蔵野にある物流倉庫のセンター長に就いたばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と一緒に仕事をすることになった。サイト最大のイベント「ブラックフライデー」の準備をしている。ところが、この物流倉庫から配送された段ボール箱に入ったデイリーフォンが爆発して受取人が死亡する事件が発生する。

すぐさま警察から連絡が来て、倉庫内を調べようとするが、エレナは売り上げに影響するのでラインは止められない。厳重なセキュリティで倉庫に入室していると拒否して、配送会社の羊急便に責任を押し付ける。羊急便の売上には「デイリーファースト」のウェイトが高かった。配送センター責任者(阿部サダヲ)は慌てると同時に下請けの零細配送業者も当惑する。
その後も爆発事件が続き、犯人を探るために倉庫の探索が避けられない状況になる。


想像以上におもしろかった。
単なるパニック映画なのかと一瞬思い、観るのを迷ったが観て正解通販サイトや物流問題とまさに我々の生活に直結するアップデートな問題を取り扱っている。経済小説を読むような肌合いだ。

セリフを聞いて「うーんなるほど」と相槌を打つ場面が多い。爆弾を仕掛けた犯人も最初から絞らせないミステリー的要素もあり名脚本家野木亜紀子女史の腕前に思わずうなる。満島ひかりと岡田将生のコンビのセリフはいかにも現代若手社員らしさがにじみ出ている。2人ともうまい。通販サイトの幹部ディーンフジオカも服装も含めて最近の若手エリートの雰囲気をにじみ出す。

加えて、脇役にまわった俳優陣に主演級が揃いあまりに豪華なので驚く。綾野剛、星野源、石原さとみ、井浦新、松重豊、麻生久美子そして薬師丸ひろ子と続くといったいどうしたの?と思う。自分は見ていないが、『アンナチュラル』(2018)と『MIU404』(2020)の出演者たちだと映画を見終わった後わかる。通販サイト、物流に関係ない2つのドラマを映画ストーリーに組み合わせた巧みさもお見事だ。


⒈登場人物のキャラクター
登場人物が多いのにそんなに混乱しない。TVドラマ出演組の主演級俳優たちも最低限のセリフにとどめている。一方でメインキャストのキャラクターには深入りする。

満島ひかり演じる舟渡エリカは米国に本社がある大手通販サイトの物流倉庫のセンター長だ。異動で着任してきたばかりなのに、早速仕切っている。自分をエリカと呼べという。現代風女性上司ってこんな感じなのかという発言が多い。カスタマーセントリックと言いながら自社利益確保のため配送業者など下請けへの締め付けも強い。

米国本社の株価への影響をまず第一に考えて、ここで物流ラインが止まったらまずいと警察の捜査を妨げる。なかなか家に帰らない。昭和の男性企業戦士と変わらない。いやなやつだと思わせるが、映画の最後までそうだったわけではない。「川の底からこんにちは」から満島ひかりを追いかけるが、今回は良かった。

岡田将生は満島ひかりが来る前からこの物流センターに勤務するマネジャーだ。満島ひかりから仕事のディテールの教えを請う。中途採用組で満島ひかりほどドライではない。もともとハッカーだった過去を持ち、IT系の知識を持つ。この物流センターには正社員は9名しかおらず、数百人の派遣社員に作業させている。正社員は特権階級と言えよう。外資系だけでなく、社労費負担の軽減のために利益を大きく出している会社には多いパターンである。


⒉外資系通販サイトとロケ地
この映画はロケハンに成功している。米国本社の大手通販サイトといえば誰もがアマゾンを想像するし、意識しているのは間違いない。本体からの圧力が強いのは実際はどうなんだろう?ブランド名が違うけど、黒とオレンジのブランドカラーが似ている。

まさかアマゾンに倉庫ではないでしょうと思いつつ、この映画ロケ地はどこだろう?と思っていたら検索して機械工具商社「トラスコ中山」のサイトにロケ地として協力したニュースリリースがあった。埼玉の幸手と群馬の伊勢崎にあるという。ネットを見たらまさに映画に出てくる倉庫だ。いいとこ見つかったね!と言ってあげたい。

⒊物流問題
今やまともな会社であれば、業種問わず物流問題で頭を悩ませるはずだ。運転手が確保できるのか?物流倉庫をどの場所に置くか?受けてくれる配送業者がいるのか?品目あたり単価いくらで合意するか?政府のお達しもあり、労働時間問題とも直結する。この映画ではまさにアップデートな問題にも関わりを持つ。

火野正平と宇野祥平が2人でやっている零細の業務委託系の運送屋もクローズアップする。通販サイトで注文すると、必ずしも大手の配送者が配達に来るだけではないのは自分も承知している。映画のセリフでは一個あたり150円の単価で引き受けているのだ。爆弾が入っているから受け取れないとなると金にならない。ガソリン代その他を加味して利益出るのかなと思ってしまう。

ところが、こういう配送業者がいないとネット通販全盛の現代の生活は成り立たない。困ったものだ。なつかしいアメリカの「ヴェンチュラハイウェイ」をバックで流す。2人が運転する軽自動車に妙にお似合いだ。



⒋野木亜紀子
TVドラマに縁がなくなった自分でも「逃げるは恥だが役に立つ」は好きだ。他のTV番組は見ていない。映画では「罪の声」「カラオケ行こ」は観ている。両方とも好感をもっている。でもその2作と比較してこの映画は格段にいい脚本だ。通販会社や物流会社の関係者にそれなりの取材をしないと書けないと思う。セリフに不自然さがない。

爆弾仕掛けた犯人探しというこの映画の主題に関しても、ここでは言えないが数人にあやしいと思わせる行動をさせたり、セリフをいわせたりして我々の予測を迷わせようとする。うまい!若手エリート社員と言われる面々のセリフがいかにもそれらしく生意気なのが現実的に聞こえる。


意識的だと思うが、映画内の配役でそれぞれの幹部に女性を揃えた。主演の物流倉庫センター長だけでなく、米国本社も女性幹部で、麻生久美子演じる警察の署長も女性である。もちろん監督、脚本に加えてプロデューサーも女性である。女性比率が高い作品だけど、配送関係者の男性の苦労にも言及を怠らずフェミニスト的な匂いは感じられない。いずれにしても次回作も楽しみだ。
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映画「お母さんが一緒」 江口のりこ&古川琴音&橋口亮輔

2024-07-20 08:33:02 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「お母さんが一緒」を映画館で観てきました。


映画「お母さんが一緒」橋口亮輔監督がキネマ旬報ベストテン1位の「恋人たち」以来9年ぶりに放つ新作である。ずいぶんと長い間が空いたものだ。親孝行で連れてきた面倒くさい母親の傍らで罵り合う三姉妹の姿を描く。大好きな江口のりこ「あまろっく」に続く主演というだけで気になり、最近でも「言えない秘密」でキャリアを広げている古川琴音の共演というのも惹かれる。

もともとペヤンヌマキによる舞台劇だった作品を橋口亮輔監督が脚色した。個人的に室内劇のような映画は苦手で、それだけが気になっていた。でも、観終わるとその懸念は遠ざかる。旅館という空間を使い切り閉鎖感はない母親は出てこない。めんどくさい人というだけだ。三姉妹のトーク炸裂を要旨にまとめずらいので作品情報を引用する。

親孝行のつもりで母親を温泉旅行に連れてきた三姉妹。長女・弥生(江口のりこ)は美人姉妹といわれる妹たちにコンプレックスを持ち、次女・愛美(内田慈)は優等生の長女と比べられてきたせいで自分の能力を発揮できなかったと心の底で恨んでいる。そんな二人を冷めた目で観察する三女・清美(古川琴音)。三姉妹に共通しているのは、「母親みたいな人生を送りたくない」ということ。

母親の誕生日をお祝いしようと、三姉妹は夕食の席で花やケーキを準備していた。母親へのプレゼントとして長女の弥生は高価なストールを、次女の愛美は得意の歌を用意し、三女・清美は姉たちにも内緒にしていた彼氏・タカヒロ(青山フォール勝ち)との結婚をサプライズで発表すべくタカヒロ本人を紹介するつもりだったが。(作品情報 引用)


女のイヤな面が炸裂する演技巧者による短編のような小品だ。男性が観てもおもしろい。
もともとの舞台劇は知らない。ただ、原作と配役を見比べて、配役に合わせたキャラクター設定になるように橋口亮輔監督が脚色している印象をうける。このあたりがうまく、コメディ的要素が強くなる。笑える場面は多い。サプライズも少しづつ織り交ぜる。

母の誕生祝いで、温泉旅館に来た三姉妹。江口のりこは40歳、内田慈は35歳、古川琴音は29歳の設定だ。いずれも独身だ。旅館に着くやいなや、何でこの旅館を選んだのかと長女と次女で面倒な罵り合いが始まる。


長女の江口の性格はひねくれていて、次女を非難する。会社でいちばん嫌われるタイプのいかにもハイミス的女だ。母親はもっと面倒くさい女らしい。ところが、三女の突然の結婚宣言を機に場が一変する。おおらかで普通の若い女性で、結婚に希望を持っている。チャンスは何度かあっても、結婚に至らなかった上の2人は素直に喜べない。上の2人は男運が悪かったようだ。

普通に家庭を持っている夫なら、この手の悪口は聞き慣れているかもしれないが、結婚したがらないと言われる若い男性は映画を観て女性に失望してしまうかもしれない。長女と次女の言動も常に矛盾している。


三女の結婚相手が妙にさっぱりとして好男子なのも対照的だ。夜にはこの付き合いが終わってしまうのではないかという言い合いがあって、三女が落胆してしまう。それなのに翌日酒も飲んでいないのに結婚相手が前夜のことは覚えていないというアッケラカンとした場面には能天気で笑える。


40代にさしかかる独身という役をやらせると、江口のりこは天下一品だ。うまいなあとうなってしまう。江口のりこは中卒でこの道に入った女性なのに、「あまろっく」では京大出で会社にリストラされた女性で、この映画でもいい大学へ入って就職してという設定だ。何でもできてしまうところに自分のキャラを確立した強みを感じる。

旅館の送迎車が佐賀ナンバーで、三女の結婚相手のクルマが長崎ナンバーだ。しらべると原作のペヤンヌマキ長崎県出身のようだ。言葉は自分には博多弁にきこえるけど長崎弁なんだろう。でも、ロケ地の温泉を調べるとなんと山梨だ。貸切の温泉旅館でおもしろい映画をつくったものだ。
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