映画「親友かよ」を映画館で観てきました。
映画「親友かよ」はタイ映画。カンニングが題材の「バッド・ジーニアス」のバズ・プーンピリヤ監督がプロデュースした青春映画だ。「バッドジーニアス」は初めて見たタイ映画だったが,むちゃくちゃ面白かった。映像を観ながらひと時代前に比べてタイが近代化されていることに驚いた。そのチームが製作するなら面白いだろうと思っていた。また日経新聞の映画評で時代劇研究家の春日太一が五つ星で絶賛していたのも気になる。プロデューサーがMVやCM作品を見て、その才能を高く評価し推薦した映画初監督のアッター・ヘムワディーが脚本監督をつとめる。
高校3年生のペー(アンソニー・ブイサレート)は転校先で隣席になった(ジョーピシットポン・エークポンピシット)と知り合う。初対面で「友達になりたい」と言う人懐っこいジョーに対し、「もうすぐ卒業だから」と会話に乗り気になれないペー。そんな矢先、ジョーは不慮の事故で亡くなってしまう。ぺーはジョーが書いたエッセイを見つけ、それが実はコンテストで受賞していたことを知る。
ある日、短編映画のコンテストに入賞すると試験免除で大学の映画学科に入学できると知ったペー。父親から大学受験に失敗したら家業の製粉工場で働くように言われていたペーは、その呪縛から逃れるためにジョーの“親友”だと嘘をつき、彼のエッセイを利用した短編映画を撮ることを画策。
そこに、唯一ペーの嘘を知るジョーの本当の親友・ボーケー(ティティヤー・ジラポーンシン)や、撮影のために準備されたiMacに目が眩んだ映画オタクたちが現れ、学校全体を巻き込んでの映画撮影が始まる。新しくできた仲間との創意工夫に満ちた楽しい撮影が進むにつれ、ジョーの思いもよらない秘密を知ることになる 。(作品情報引用)
おもしろかった。ここまで予測のつかない展開の青春映画はめずらしい。タイ映画のレベルの高さを実感した。
単純に進んでいくストーリーではないので、ネタバレ厳禁だけどなあ。ギリギリの線でたどる。物語は一度は美談的なハッピーエンドを迎えそうになるもそうならない。手が込んでいる。
登場人物はそれなりにいても、主要人物は主役のペーと映画スタッフで撮影を担当するボーケーと亡くなったジョーの3人だ。そこに加えて重要人物である第三の男を映画に放つ。この使い方がうまかった。そのおかげで二転三転のストーリーが生まれる。
自分の年代だとタイはどうしても発展途上国に思えてしまう。でも今は違う。教育も含めて何もかも近代化されているようだ。そんな現代タイの高校生事情もわかる。出演者のルックスのレベルも高い。女の子は日本や韓国の美人女優にも見えてくる。バックを包む音楽もストーリーに合っている。横で女性が涙を流していた。自分とは感涙する場面が違っていたけど、人それぞれだろう。
⒈何で映画を撮るの?
そもそも高校3年生の卒業間際に転校は普通だとありえない。要は主人公ペーは不祥事で前の高校を退学させられたのである。運良く拾ってもらった高校に行き、席に着くと、隣の席のジョーから話しかけられる。愛想がないペーだったのに、なんとジョーは交通事故で亡くなってしまうのだ。
主人公はまともに行けば大学には行けない。大学に入れなかったら実家で仕事しろと言われている。それだけは避けたいと思っていたときに,短編映画が認められたら試験免除で大学に入れることがわかる。これしかないと思う。
⒉見破られる嘘と元同級生
主人公は映画を撮ったことがない。題材もどうしていいかわからない。その時ジョーの追悼映画を作ると良いのではと直感で思う。転校してきたばかりなのに、周囲には親友と言い張るわけである。
ペーが映画製作に取り組むことがわかり、ペーのもとにクラスの違う同期の女の子ボーケーが、母親が撮影のプロで撮影器具をもっているので協力させてくれと来る。何でジョーと親友になったのとボーケーが聞くと、中学の時同級生だったからと言った途端、「中学の時、席の隣は私よ。」と嘘を見破り怒る。父親が警察官だというボーケーは潔癖症だ。
ところが、学校の集会でペーが映画製作の発表をするのは決まっていた。ジョーの映画はやめてとボーケーに言われていたが、思わず「ジョーが書いて賞の受賞も決まっていた短編を映画化します。」と言ってしまうのだ。会場は大喝采。協力者もでてきて、結局ボーケーも加わる。
この後の映画製作に向けての過程はよくある青春モノのパターンだ。主人公は映画化しようと完成に向けて奮闘する。「テネット」の逆走を真似るところなんて最高だ。遊園地のシーンも感動的。これで無事映画ができるだけで普通は完結する。1時間枠のTVドラマならそうだろう。でもそうならない。
⒊第三の男の存在(半分ネタバレ)
いわゆる卒業記念の集合写真を撮ろうとした時、突如見知らぬ男子学生がペーの隣にくる。不治の病で休学していたので久々の登校だ。ペーと同じようにジョーの隣の席にいたようだ。その後、自宅に快気祝いでペーが招待される。クラスの他のメンバーもいたし、ボーケーも同席した。そこでとんでもない事実がわかるのだ。
この第三の男がいなければ、ここまで複雑で予想外の展開にはならなかった。人間ドラマとして深みを与えている。
以下少しだけネタバレ(未見の方は読まないでください)
実は休学していた男子学生も短編小説を書いていた。たまたま朗読した内容はジョーが発表してコンテストに選ばれた小説と同じではないか。ジョーが休学中の同級生の短編小説を自分のものとして発表したことがわかりボーケーとともにあぜんとする。果たしてこの短編に基づいてつくった映画を発表して良いのか?潔癖症のボーケーはペーを責める。
そんな感じで進み、はたまた二転三転するのだ。これからの展開は言わない。
当然プロデューサーも関わったと思うけど、いい感じでまとめている。その節目に予想外の進み方をして読みをはずすのは上手い!十分に堪能できた。