映画「ヘイトフル・エイト」を映画館で見てきました。
タランティーノ監督の新作は閉鎖空間での8人のもがき映画だという。早速見に行く。正直3時間はちょっと長すぎの感じもしなくもない。途中得意のダラダラ会話に眠くなりそうになる時間もあった。でもある場面から一気に目が覚める。「ジャンゴ」同様に手綱をゆるめるが如くに一気に加速させるところからいかにもタランティーノ映画色が強くなる。「パルプフィクション」などと同様に時間軸を前後に揺さぶる脚本はいかにもタランティーノらしくていい。
白銀の世界を疾走する1台の駅馬車が、行く手を阻む一人の男の前で停まる。北部の元騎兵隊で今は賞金稼ぎのマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)、椅子代わりに座っているのは、レッドロックへ運ぶお尋ね者3人の凍った死体だ。この寒さで馬がやられ、誰かが通りかかって拾ってくれるのを待っていたのだ。馬車の客は、同じく賞金稼ぎのジョン・ルース(カート・ラッセル)。ゴツい腕にはめた手錠の先には、連行中のデイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)がつながれている。1万ドルもの賞金をかけられた重罪犯の女で、散々殴られた顔で不敵に笑っている。
迫り来る猛吹雪から避難するため、ルースはレッドロックまでの中継地で、うまいコーヒーにシチュー、装飾品から武器まで何でも揃っているミニーの紳士洋品店へ向かうが、途中でもう一人、クリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)を乗せる。マニックスは新任保安官としてレッドロックへ向かう途中だと主張するが、彼が黒人殺しの南部の略奪団の一員だと知っているルースは信じない。
ミニーの店へ着くと、ボブ(デミアン・ビチル)と名乗る見知らぬメキシコ人が現れ、母親に会いに行ったミニーの代わりに店番をしていると言う。凍えたルースはさっそくストーブの上のコーヒーを飲むが、ボブが作ったらしいそれは泥水のようにマズく、自分の手で淹れ直す。
店には、3人の先客が吹雪で閉じ込められていた。まずは絞首刑執行人のオズワルド・モブレー(ティム・ロス)、洗練されているが、どこか胡散臭い英国訛りの男だ。そしてカウボーイのジョー・ゲージ(マイケル・マドセン)、無口で何を考えているのかわからない。母親とクリスマスを過ごすために帰る途中だと言うが、とてもそんなタイプには見えない。そして最後に、サンディ・スミザーズ(ブルース・ダーン)、大勢の黒人を虐殺した南部の元将軍だ。(作品情報引用)
この8人が意味はあるんだろうけど何気ない会話を交わしているが、ある時点から急激にストーリーが急転する。サミュエルジャクソンが銃をぬいたあたりから一気にキタ―!!という感じだ。
それからは、誰が誰を騙しているのか?騙し合いの種明かしを読んでいくが如くだ。
1.クエンティン・タランティーノ
16歳で学校をドロップアウトしたタランティーノは演劇塾へ行ったあと、ビデオ屋に勤務する。ちょうどビデオレンタルが普及した頃だ。ここではビデオを見放題だし、勝手に借りて家でも見れるのだ。ありとあらゆる映画を見まくっている人は多い。自分もその端くれだが、美食家や大食漢から料理人になる人がめったにいないように、タランティーノのように映画づくりに自ら乗りこんでいく人は少ない。彼は圧倒的に見続けた映画のエッセンスを、自らの作品に生かしながら常に進化しているまれな人だ。
最初に「パルプフィクション」を見たときに、そのバイオレンス表現のすさまじさに驚くと同時に時間軸のずらし方の見事さに感心した。この映画は90年代のトップといってもいいくらいの出来である。ここでも時間軸がずれる。その微妙なずらし方に軽い解説を加えて、ストーリーを展開させる。しかも、常連のサミュエル・ジャクソンやティムロスだけでなく、大ベテランのブルースダーンを巧みに使う。ヴァイオレンス表現も境地に達する。お見事だ。
2.ジェニファー・ジェイソン・リー
この映画全般を通じて、一番の存在感を持つのはジェニファー・ジェイソン・リーだろう。初期段階で、タランティーノ得意のダラダラ会話でしのいでいくときも、彼女がカートラッセルやサミュエルに逆らって、ぶっ飛ばされる場面が刺激的だ。2人が女を女と思わないで殴っていく、ここでの暴力表現はゾクゾクしてしまう。アカデミー賞助演女優賞へのノミネートはある意味納得する。最後に向けての流血が流れまくる修羅場での彼女の存在感はすごい。
この映画の特徴は、登場人物がすぐには死なないということ、不死身だ。死んだと思っても死んでいない。そうしていきながら最終場面に向かう。ゾンビみたいな奴らだ。ジョンカーペンターの名作「遊星からの物体X」から影響を受けているというのはそういう所でわかっている。ちなみにその映画もエンニオ・モリコーネの音楽だ。「夕陽のガンマン」から50年、頑張るね!!
(参考作品)
タランティーノ監督の新作は閉鎖空間での8人のもがき映画だという。早速見に行く。正直3時間はちょっと長すぎの感じもしなくもない。途中得意のダラダラ会話に眠くなりそうになる時間もあった。でもある場面から一気に目が覚める。「ジャンゴ」同様に手綱をゆるめるが如くに一気に加速させるところからいかにもタランティーノ映画色が強くなる。「パルプフィクション」などと同様に時間軸を前後に揺さぶる脚本はいかにもタランティーノらしくていい。
白銀の世界を疾走する1台の駅馬車が、行く手を阻む一人の男の前で停まる。北部の元騎兵隊で今は賞金稼ぎのマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)、椅子代わりに座っているのは、レッドロックへ運ぶお尋ね者3人の凍った死体だ。この寒さで馬がやられ、誰かが通りかかって拾ってくれるのを待っていたのだ。馬車の客は、同じく賞金稼ぎのジョン・ルース(カート・ラッセル)。ゴツい腕にはめた手錠の先には、連行中のデイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)がつながれている。1万ドルもの賞金をかけられた重罪犯の女で、散々殴られた顔で不敵に笑っている。
迫り来る猛吹雪から避難するため、ルースはレッドロックまでの中継地で、うまいコーヒーにシチュー、装飾品から武器まで何でも揃っているミニーの紳士洋品店へ向かうが、途中でもう一人、クリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)を乗せる。マニックスは新任保安官としてレッドロックへ向かう途中だと主張するが、彼が黒人殺しの南部の略奪団の一員だと知っているルースは信じない。
ミニーの店へ着くと、ボブ(デミアン・ビチル)と名乗る見知らぬメキシコ人が現れ、母親に会いに行ったミニーの代わりに店番をしていると言う。凍えたルースはさっそくストーブの上のコーヒーを飲むが、ボブが作ったらしいそれは泥水のようにマズく、自分の手で淹れ直す。
店には、3人の先客が吹雪で閉じ込められていた。まずは絞首刑執行人のオズワルド・モブレー(ティム・ロス)、洗練されているが、どこか胡散臭い英国訛りの男だ。そしてカウボーイのジョー・ゲージ(マイケル・マドセン)、無口で何を考えているのかわからない。母親とクリスマスを過ごすために帰る途中だと言うが、とてもそんなタイプには見えない。そして最後に、サンディ・スミザーズ(ブルース・ダーン)、大勢の黒人を虐殺した南部の元将軍だ。(作品情報引用)
この8人が意味はあるんだろうけど何気ない会話を交わしているが、ある時点から急激にストーリーが急転する。サミュエルジャクソンが銃をぬいたあたりから一気にキタ―!!という感じだ。
それからは、誰が誰を騙しているのか?騙し合いの種明かしを読んでいくが如くだ。
1.クエンティン・タランティーノ
16歳で学校をドロップアウトしたタランティーノは演劇塾へ行ったあと、ビデオ屋に勤務する。ちょうどビデオレンタルが普及した頃だ。ここではビデオを見放題だし、勝手に借りて家でも見れるのだ。ありとあらゆる映画を見まくっている人は多い。自分もその端くれだが、美食家や大食漢から料理人になる人がめったにいないように、タランティーノのように映画づくりに自ら乗りこんでいく人は少ない。彼は圧倒的に見続けた映画のエッセンスを、自らの作品に生かしながら常に進化しているまれな人だ。
最初に「パルプフィクション」を見たときに、そのバイオレンス表現のすさまじさに驚くと同時に時間軸のずらし方の見事さに感心した。この映画は90年代のトップといってもいいくらいの出来である。ここでも時間軸がずれる。その微妙なずらし方に軽い解説を加えて、ストーリーを展開させる。しかも、常連のサミュエル・ジャクソンやティムロスだけでなく、大ベテランのブルースダーンを巧みに使う。ヴァイオレンス表現も境地に達する。お見事だ。
2.ジェニファー・ジェイソン・リー
この映画全般を通じて、一番の存在感を持つのはジェニファー・ジェイソン・リーだろう。初期段階で、タランティーノ得意のダラダラ会話でしのいでいくときも、彼女がカートラッセルやサミュエルに逆らって、ぶっ飛ばされる場面が刺激的だ。2人が女を女と思わないで殴っていく、ここでの暴力表現はゾクゾクしてしまう。アカデミー賞助演女優賞へのノミネートはある意味納得する。最後に向けての流血が流れまくる修羅場での彼女の存在感はすごい。
この映画の特徴は、登場人物がすぐには死なないということ、不死身だ。死んだと思っても死んでいない。そうしていきながら最終場面に向かう。ゾンビみたいな奴らだ。ジョンカーペンターの名作「遊星からの物体X」から影響を受けているというのはそういう所でわかっている。ちなみにその映画もエンニオ・モリコーネの音楽だ。「夕陽のガンマン」から50年、頑張るね!!
(参考作品)
ジャンゴ 繋がれざる者 | |
黒人奴隷ジャンゴの生き残り物語 | |