映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ヘイトフル・エイト」 クエンティン・タランティーノ

2016-02-28 18:45:49 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「ヘイトフル・エイト」を映画館で見てきました。


タランティーノ監督の新作は閉鎖空間での8人のもがき映画だという。早速見に行く。正直3時間はちょっと長すぎの感じもしなくもない。途中得意のダラダラ会話に眠くなりそうになる時間もあった。でもある場面から一気に目が覚める。「ジャンゴ」同様に手綱をゆるめるが如くに一気に加速させるところからいかにもタランティーノ映画色が強くなる。「パルプフィクション」などと同様に時間軸を前後に揺さぶる脚本はいかにもタランティーノらしくていい。

白銀の世界を疾走する1台の駅馬車が、行く手を阻む一人の男の前で停まる。北部の元騎兵隊で今は賞金稼ぎのマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)、椅子代わりに座っているのは、レッドロックへ運ぶお尋ね者3人の凍った死体だ。この寒さで馬がやられ、誰かが通りかかって拾ってくれるのを待っていたのだ。馬車の客は、同じく賞金稼ぎのジョン・ルース(カート・ラッセル)。ゴツい腕にはめた手錠の先には、連行中のデイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)がつながれている。1万ドルもの賞金をかけられた重罪犯の女で、散々殴られた顔で不敵に笑っている。


迫り来る猛吹雪から避難するため、ルースはレッドロックまでの中継地で、うまいコーヒーにシチュー、装飾品から武器まで何でも揃っているミニーの紳士洋品店へ向かうが、途中でもう一人、クリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)を乗せる。マニックスは新任保安官としてレッドロックへ向かう途中だと主張するが、彼が黒人殺しの南部の略奪団の一員だと知っているルースは信じない。

ミニーの店へ着くと、ボブ(デミアン・ビチル)と名乗る見知らぬメキシコ人が現れ、母親に会いに行ったミニーの代わりに店番をしていると言う。凍えたルースはさっそくストーブの上のコーヒーを飲むが、ボブが作ったらしいそれは泥水のようにマズく、自分の手で淹れ直す。


店には、3人の先客が吹雪で閉じ込められていた。まずは絞首刑執行人のオズワルド・モブレー(ティム・ロス)、洗練されているが、どこか胡散臭い英国訛りの男だ。そしてカウボーイのジョー・ゲージ(マイケル・マドセン)、無口で何を考えているのかわからない。母親とクリスマスを過ごすために帰る途中だと言うが、とてもそんなタイプには見えない。そして最後に、サンディ・スミザーズ(ブルース・ダーン)、大勢の黒人を虐殺した南部の元将軍だ。(作品情報引用)

この8人が意味はあるんだろうけど何気ない会話を交わしているが、ある時点から急激にストーリーが急転する。サミュエルジャクソンが銃をぬいたあたりから一気にキタ―!!という感じだ。
それからは、誰が誰を騙しているのか?騙し合いの種明かしを読んでいくが如くだ。

1.クエンティン・タランティーノ
16歳で学校をドロップアウトしたタランティーノは演劇塾へ行ったあと、ビデオ屋に勤務する。ちょうどビデオレンタルが普及した頃だ。ここではビデオを見放題だし、勝手に借りて家でも見れるのだ。ありとあらゆる映画を見まくっている人は多い。自分もその端くれだが、美食家や大食漢から料理人になる人がめったにいないように、タランティーノのように映画づくりに自ら乗りこんでいく人は少ない。彼は圧倒的に見続けた映画のエッセンスを、自らの作品に生かしながら常に進化しているまれな人だ。


最初に「パルプフィクション」を見たときに、そのバイオレンス表現のすさまじさに驚くと同時に時間軸のずらし方の見事さに感心した。この映画は90年代のトップといってもいいくらいの出来である。ここでも時間軸がずれる。その微妙なずらし方に軽い解説を加えて、ストーリーを展開させる。しかも、常連のサミュエル・ジャクソンティムロスだけでなく、大ベテランのブルースダーンを巧みに使う。ヴァイオレンス表現も境地に達する。お見事だ。


2.ジェニファー・ジェイソン・リー
この映画全般を通じて、一番の存在感を持つのはジェニファー・ジェイソン・リーだろう。初期段階で、タランティーノ得意のダラダラ会話でしのいでいくときも、彼女がカートラッセルやサミュエルに逆らって、ぶっ飛ばされる場面が刺激的だ。2人が女を女と思わないで殴っていく、ここでの暴力表現はゾクゾクしてしまう。アカデミー賞助演女優賞へのノミネートはある意味納得する。最後に向けての流血が流れまくる修羅場での彼女の存在感はすごい。


この映画の特徴は、登場人物がすぐには死なないということ、不死身だ。死んだと思っても死んでいない。そうしていきながら最終場面に向かう。ゾンビみたいな奴らだ。ジョンカーペンターの名作「遊星からの物体X」から影響を受けているというのはそういう所でわかっている。ちなみにその映画もエンニオ・モリコーネの音楽だ。「夕陽のガンマン」から50年、頑張るね!!

(参考作品)
ジャンゴ 繋がれざる者
黒人奴隷ジャンゴの生き残り物語
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2月食べたもの

2016-02-21 20:25:30 | 食べもの
2月はずいぶんと飲んだなあ

30年以上行っている新宿のロシア料理
某女性左翼系歌手がやっている店だけど、ちょっと最近高い。でもうまい
サーモンを包んだクレープがうますぎる。


ボルシチがピンボケ
メインの肉、ポーランドのズブロッカをぐいぐい飲んだせいか、写真もさえないけど


横浜中華街で広東料理を食べる


まずは前菜、鶏肉のうまさは天下一品


モツ系


広東料理風車エビ
チリソース系がメニューにあるけど、メニューにないこの味付けがいいのだ。


正統派広東料理の蒸し魚が汁も含めてうますぎる
本当はパサパサの米と一緒に食べるともっといいんだけど、もっと食べたいのでそのまま食べる。


中国野菜の炒め物


汁なしネギそばで締める


夜は関内のライブハウスへ
60年代から70年代くらいの曲で踊りまくるケントスみたいな店があったんだ。


結局伊勢佐木町に宿泊して目覚める。


翌朝は久々、港の見える丘公園へ
柳ジョージの歌どおりに坂を上って歩いていくけど、むかしは石畳じゃなかったけ


外人墓地横をとことこ歩くといったい何人の女と一緒に行っただろう丘公園だ。


学生の頃はベイブリッジはなかったんで、いつ行ってもいい眺めじゃなかったけど、今はいい感じだ。


これはスペイン料理屋で食べたオイスターだ、スパニッシュ風煮込みでピリ辛うまい。
何気なく入った店だけど実によかった。


ある四川料理屋で食べた中華風サラダは別クチ

マーボーは至る所で食べて味比べ

和風懐石いま1つだったけど、高層ビルで
前菜

かぶとかにのお椀

お造り、まぐろと平目薄造り

白子焼と明太子だ

煮物だ。海老芋が効いている

焼き物、エビとホタテだ

他にも懐石を今月何回も食べたけど、どうも疲れる。
このあとは中国人の女性のいる店へ突入だ。

イタ飯屋さん、ミシュラン1つ星付に突入
1万円のワインを勧められ、つい飲んでしまう。ひどいよ、1万円以上のワインしか見せないから


この肉のパスタが絶品!


ロースト肉もうまい

この赤身の色が美しかった。

ここでは散財、2次会でもっと散財してしまう。

いずれも酒を飲みすぎてちゃんと撮れていない
今月のベストはイタリアンのロースト肉だな
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映画「あの日のように抱きしめて」 ニーナ・ホス

2016-02-17 17:40:55 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
映画「あの日のように抱きしめて」は2015年日本公開のドイツ映画だ。


予想以上に重い映画である。
九死に一生を得て生き延びてきた女が、元夫に再会する。しかし、夫は妻は死んでいてと思いこんでいるので、よく似ている彼女を利用して資産家だった元妻の家族の財産を山分けしようとたくらんでいたのである。
原題は「フェニックス」まさに不死鳥のようによみがえった女の弱さとそれと相反する強さを見せつける。クリスティアン・ペッツォルト監督『東ベルリンから来た女』もなかなか渋い映画だったが、こちらの方がサスペンスタッチなだけスリリングな部分がある。

1945年6月ベルリン。元歌手のネリー(ニーナ・ホス)は顔に大怪我を負いながらも強制収容所から奇跡的に生還し、顔の再建手術を受ける。


彼女の願いはピアニストだった夫ジョニー(ロナルト・ツェアフェルト)を見つけ出し、幸せだった戦前の日々を取り戻すこと。顔の傷が癒える頃、ついにネリーはジョニーと再会するが、容貌の変わったネリーに夫は気づかない。そして、収容所で亡くなった妻になりすまし、遺産を山分けしようと持ちかける。
「夫は本当に自分を愛していたのか、それとも裏切ったのか――」。その想いに突き動かされ、提案を受け入れ、自分自身の偽物になるネリーだったが・・・。(作品情報 引用)

国境を車で越えようと運転する女と顔に包帯を巻いた1人の女がいる。
整形して元々の顔を取り戻そうとするが、まだキズが残っている状態だ。


それでも女は元夫を懸命に探し求める。
女が一人で歩くには危なすぎる戦争の痕跡が残っているベルリンの夜道を歩く。いろんな人に話しかけられる中、ピアニストだった夫がどんな所にいるんだろうかと考え、ナイトクラブに忍び込む。当然追い出されるが、そこにはもっと夫がいるではないか!!

でも夫は気付かない。でも元妻に似ているとは思うので、死亡届の出ていない元妻になりきるように頼むのだ。
元妻は自分はあなたの妻だとは言わず、別の名前を名乗る。そして、元夫のいいなりになり行動するのだ。
元夫に出会ったことは友人に告げる。そしてあった時の一部始終を報告する。
妻はいまだに夫に惚れている。


ネリ―がこぎれいに化粧をする。元の顔に近い。あれ!と夫が思うが、生きているはずがないと思うからそれでも元妻だと気付かない。元妻の筆跡に似せてと紙に字を書かせる。そっくりだ。それでも気付かない。こういうことを繰り返す。いつ彼に告げるのであろうか?

そう思いながらにラストに向かう。(ネタバレ)
親族の前で夫がピアノを弾きながら、彼女が歌を歌う。「スピークロウ」だ。
歌っている途中でようやく気付くのだ。


「スピークロウ」の歌詞が実に彼女の心境を物語っている。
それなので情感のこもった歌で真意を気づくのだ。この場面はすばらしい。

(参考作品)
あの日のように抱きしめて
戦争で死んだと思われた女の復活


東ベルリンから来た女
東西冷戦時の東ベルリンにいた美女(参考記事)
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映画「キャロル」ケイト・ブランシェット&ルーニー・マーラ

2016-02-14 19:30:41 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「キャロル」を映画館で見てきました。


最後の場面、カメラはルーニー・マーラに見つめられたケイト・ブランシェットをじっと映す。
無表情であるが、ケイト・ブランシェットは軽く微笑んでいるようにも見える。
たぶんこういう終わり方をするんだろうなあと思っていたら、その通りエンディングとなり、背筋がぞくっとする。血液が逆流して全身がしびれてしまった。日本映画でいえば成瀬巳喜男監督「乱れる」高峰秀子が見せたラストシーンの時に感じたのと同じ衝撃だった。

今日の東京はかなりの強風が吹いていたが、アカデミー賞の有力候補とあってか、座席は最前列まで超満員だ。「ブルージャスミン」の身勝手な女ぶりでアカデミー賞主演を受賞したケイト・ブランシェット「ドラゴンタトゥの女」でヌードになり狂気に満ちあふれた女を好演したルーニー・マーラとのレズビアン映画らしい。レズビアン映画というと我々世代はにっかつポルノのような展開を予想してしまうけど、その当時よりも同性愛は社会的に承認されつつある。

何気なく知り合った女性2人の恋の進展話は、バックに映るゴールデンエイジと言われた50年代の美しいアメリカの描写とあわせて非常にきれいに見えてくる。ポストプロダクションの技が抜群で、美術、撮影、音楽いずれもすばらしく2時間映像を堪能できた。これは実にすばらしい映画だ。

1952年ニューヨーク、クリスマスを間近に控えて街は活気づいている。マンハッタンにある高級百貨店のおもちゃ売り場で働く若きテレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)。フォトグラファーに憧れてカメラを持ち歩き、恋人のリチャード(ジェイク・レイシー)から結婚を迫られてはいるが、何となく毎日を過ごしていた。

そんなある日、おもちゃ売り場にキャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)が娘リンディへのクリスマスプレゼントを探しに訪れた。テレーズは美しく魅力的なキャロルの存在に気づき、キャロルもその視線に気づいた。テレーズはプレゼントを一緒に選んだ。その際キャロルが手袋を忘れていってしまう。テレーズはすぐに手袋を自宅へと郵送した。するとキャロルから百貨店に電話がかかってくる。


御礼にとランチに誘われたテレーズは、翌日、キャロルに指定されたレストランで初めて話をして向きあう。キャロルは愛のない打算的な結婚生活を送っていた。その週末、キャロルの屋敷に招待され楽しい時間を過ごしていると、突然別居中の夫ハージ(カイル・チャンドラー)がクリスマスイブにリンディを迎えに来る日程を早めて帰宅して、リンディを連れ去ってしまう。


翌日、弁護士に呼び出されたキャロル。離婚を拒むハージは、リンディの共同親権から単独親権へと変更し申し立てをしてきた。キャロルと親友のアビー(サラ・ポールソン)との親友以上の親密さを理由にして、ハージの元に戻らなければ二度とリンディには会わせないと脅してきているのだ。審問までは娘とは会うことを禁止されてしまうキャロル。その夜、クリスマスプレゼントの高価なカメラを手にテレーズのアパートを訪れた失意のキャロルはテレーズを誘い、西に向かって車であてのない旅に出る。


1.ケイト・ブランシェット
実に優雅である。小さい子供がいて、結婚10年という映画内の設定では年齢は30代中盤といったところか、現在の年齢の10歳年下の役を演じる。赤い口紅とマニキュアが似合う大人の女性で常にタバコをすっている。「ブルージャスミン」では落ちぶれたむかしの栄光に生きる女を演じたが、ここではいかにも現役富裕層というゴージャスさをにじませる。自分としてはアカデミー賞を受賞した前作よりもよく見える。


エリザベス1世を演じた「エリザベス」、キャサリーン・ヘップバーンを演じた「アビエイター」ももちろん悪くはないが、個人的には「あるスキャンダルの覚書」と「ハンナ」でのケイトが好きだ。「あるスキャンダルの覚書」では若き学生と関係を持ってしまう女教師なんて日活ポルノまがいの役だが、実は年上のジュディ・デンチ演じる女教師にほれられている役で、ある意味今回と同じような展開だ。「ハンナ」で演じた主人公と敵対するCIAエージジェント役も自分には最高にカッコよく感じた。

2.ルーニー・マーラ
タータンチェックの帽子とマフラーが実にかわいい


「ドラゴンタトゥの女」
では狂気に迫る主人公を演じ、007のダニエルクレイグを手玉にとり、大胆にヌードになった。いったいどうしちゃったんだろうと思ってしまう。その前作「ソーシャルネットワーク」での女学生役と全くイメージが違ったからだ。「her 世界でひとつの彼女」「サイドエフェクト」もそれなりの存在感を見せたが、今回はよりいっそう素敵に映る。


今回も「ソーシャルネットワーク」と同じ透明感のある透き通ったかわいい顔で映るし、「ドラゴンタトゥの女」ほど大胆ではないが、ヌードになって映画の中での最重要場面でなくてはならない美しい姿をさらけ出す。さすがのプロ意識に脱帽である。

3.パトリシア・ハイスミス
ヒッチコックの「見知らぬ乗客」、アランドロンの「太陽がいっぱい」という映画史上では名作といわれる2つの作品の原作者である。謎解きというより犯罪を起こした男が逃げ切れるかという映画だ。最近ではキルスティンダンストが出演した「ギリシャに消えた嘘」なんて作品もパトリシア・ハイスミス作品だ。でも、「キャロル(The Price of Salt) 」は別のペンネームで発行されたらしい。しかも、ベストセラーだそうだ。この当時の感覚でいうと、女性同士の禁断の恋というのが世に承認されてなかったのであろう。それにしてもトッド・ヘインズ監督もゲイだそうだ。そういう関係はそうなっている人の方がよくわかるというわけか。

4.おもちゃ売り場
ルーニーマーラ演じるテレーズが勤めるおもちゃ売り場で、キャロルは「4歳のときどんな人形で遊んでいたの?」と店員のテレーズに話しかける。


時刻表少年だった自分には鉄道模型もいい感じけど、テレーズのまわりに映るバービー人形のような着せ替え人形が懐かしい。恥ずかしながら、小学校低学年の時、勉強もせずに悶々としていた少年だった自分はあまりの出来の悪さに同級生の少女たちに同情され、よく一緒に遊んでくれた。お医者様ごっこといってもむしろ自分が診察されるだけで、相手側には何もしていない。そして妹のためにといいながら親に買ってもらった人形を女の子の家に持っていって一緒になって着せ替えを楽しんでいた過去がある。
自分の誕生日には予告もせずに次から次へと女の子が誕生日プレゼントを買って持ってきてくれて、あわてた母が不二家のケーキを買いに行って体裁を整えてくれた。着せ替え人形遊びをしたのは言うまでもない。キャロルのセリフをきいてむかしの自分をつい思い出した。

(参考作品)
ブルージャスミン
シャネルを着飾った身勝手な女(参考記事


ドラゴン・タトゥーの女
狂気に満ちあふれた女(参考記事
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フードドキュメンタリー映画「99分,世界美味めぐり」

2016-02-11 22:50:25 | 映画(欧州映画含むアフリカ除くフランス )
フードドキュメンタリー映画「99分,世界美味めぐり」を映画館で見てきました。


世界中の美食の名店ばかりをまわって歩く5人のブロガー達を追う企画である。食べ歩きの境地を極めている人たちってどんな連中なんだろうというのが気になったのと、美しい欧州の女性が京都の割烹に食べに行く映像が気になり、見てしまう。非常に個性的な人たちが多く、世界各地のミシュラン星つきレストランや個性的なレストランをまわり、ずうずうしく評価している。
若い人たちは割と謙虚だけど、オヤジ2人の態度のでかさにいやらしさを感じた。

ミシュランの定義でいえば
1つ星=そのカテゴリーで特においしい料理、2つ星=遠回りしてでも訪れたい料理、3つ星=そのために旅行する価値のある卓越した料理だという。


この5人はまさに世界中を駆け回っているところが凄い。
自分は毎日記事を量産するようなきっちりしたブロガーでないけど、端くれとして刺激を受けた。
予約がとりにくいお店でも優先的にとれちゃうほどの影響力をもつ。ときには、酷評で店といくらなんでもそれはないんじゃないとケンカすることもある。無料で食べると、ついつい店の側に立ちがちなので自腹で食べる。
おいそんな金どこから持ってくるの?

どちらかというと予告編や公式HPを見てもらった方がいいかもしれない。



特に女性2人にエネルギーを感じる。
日本好きの女性が京都の「菊乃井」寿司の名店「さいとう」で映す映像は必見
アイステ・ミセヴィチューテ(Aiste Miseviciute)


彼女のHP
http://www.luxeat.com/#

香港人の女性ブロガーケイティはものすごく行動的だ。
ニューヨークに向かって、昼と夜に予定をみっちり入れていく姿が印象的
ケイティ・ケイコ・タム(Katie Keiko Tam)


彼女のHP
http://k-luxedining.com/

あとオジサンブロガーがすべての料理を20点満点で評価する。
その評価を決めるのは、今まで食べた料理を思い出してその料理が2つ星だったとすると、それよりはおいしかったか、そうでなかったかで点数をつけていくと言っていたのが印象的だ。
アンディ・ヘイラー(Andy Hayler)


おじさんのHP
http://www.andyhayler.com/blog
それぞれの料理を20点満点で点数付けちゃうところが凄い。
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映画「ドリーム ホーム 99%を操る男たち 」アンドリュー・ガーフィールド

2016-02-11 17:16:17 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「ドリーム ホーム 99%を操る男たち 」を映画館で見てきました。


スパイダーマン2代目のアンドリュー・ガーフィールドが主演で、高利の住宅ローンで破綻した人たちを描くという。おもしろそうなので映画館に向かう。リーマンショック以前からサブプライムローンによる破綻が目立っていた。地価上昇に支えられていた、アメリカの住宅流通の仕組みが崩れたからだ。ここでは債務滞納で銀行から立ち退きを命じられている居住者たちと立ち退きしたあとの住宅を転売するために疾走する不動産ブローカーの話が中心だ。


闇金に追いつめられた連中の話はときおりみるが、保安官と一緒になって立ち退き命令を出す時のパフォーマンスをここまで詳細に記した映画は少ない。日本とは違う退去命令方式なので興味深く見れた。
ヤクザに追い込まれていったん破綻したが、そのヤクザの手下に転換して活躍するなんてストーリーって東映やくざ映画にはありそうなパターンだよね。

デニス(アンドリュー・ガーフィールド)は小学生の一人息子コナー(ノア・ロマックス)と母親(ローラ・ダーン)と一緒にフロリダ州の住宅地に暮らしている。リーマン・ショック後の大不況により住宅ローンを滞納し、ある日突然、たった2分間の猶予しか与えられず長年暮らしてきた家から強制退去させられる。自宅と土地を追われた一家はモーテルに移り住む。デニスは家を取り戻すためにやむなく、自分たちを強制的に家から追い出した不動産ブローカーのリックカーバー(マイケル・シャノン)の右腕として働き始める。債務を滞納している庶民の家を次々と差し押さえて売りさばくのだ。


母親と息子に真実を言えないまま仕事に没頭して派手に遊ぶようにもなる。そんなデニスにカーバーはあることを命じるが。。。

1.立ち退き命令と退去

妹の幼稚園から小学校の同級生に美しい少女がいた。その妹も可愛く、自分の家のすぐ近所に住んでいた。小さい頃から雑誌のモデルになるくらいの美貌で賢い。その後、東京ではセーラー服が可愛いと言われている夏目雅子の通った有名校に行き、近隣の男子校の少年たちにもてまくったようだ。自分は子供だったので、知り合いのお母さんを美人と思う余裕はなかったが、母上も半端じゃなく美しい。自分が大学に入った時に母上がものすごく喜んでくれたのが懐かしい。

そんな家族で、父上は工場を経営していた。自分が大学生の時、たまたま家にいたら、先方のお母さんから自分の母に助けを求める電話がかかってきた。その家の前には強制退去命令をしている人たちがいた。細かい事情はわからない。さかんに抵抗していたが、相手は容赦なかった。結局、家族が荷物を泣きながら運ぶのにうちの母と近所のおばさん2人でつきあって、この家族は自分の家の近くから去って行った。母は銀行というのは容赦ないんだとさかんに言っていた。今思うと高利の金融会社からも借りていたのかもしれない。瀟洒でかわいいご自宅だったが、抵当権を駆使された。大人になってからこれはこれで仕方なかったのかと思ったが、凄い情景だった。


この映画をみて30年以上前のその事実が突如思いだされる。


この映画では、いきなり主人公が追い込みをかけられるシーンが映し出される。日本ではこういうことはないと思うけど、強制退去に保安官がたちあう。横には不動産ブローカーのカーバーがいる。今日が退去期限だ。2分以内にすぐ貴重品をまとめて出て行けという。妹の友人の家族と同じようにさかんに抵抗するが、無理である。保安官までいるのだ。いやいやながら、荷物をトラックに運び、家族はモーテルへと向かう。
主人公は建設工事のフレーマーをやっているが、工事が中止になったからと言って失職してしまう。一生懸命探そうとしてもうまくいかない。そんなとき、ブローカーのカーバーから糞まみれになっている退去した家の掃除をやらないかと言われ、金のない主人公デニスがげろを吐きながら依頼を受けるのだ。

2.不動産ブローカー
不動産ブローカーのカーバーは支払い破綻になっている人たちの情報を得ている。裁判所で退去命令された人たちの情報を得て、ここでは映っていないが、銀行などの債権者と通じてこの不動産を自分の手に入るようにしているのであろう。日本でもその手の話はよくあることだ。抵当権を駆使させる前にいい値段で不動産ブローカーに買ってもらうなんてこともあるだろう。銀行だってこういう人たちがいることで助かっているのだ。
しかも、これ自体は法的に何もおかしなことではない。むしろ、サブプライムローンのような高利のローンを組んでしまう入居者の方が常軌を逸した行動をしているということなのだ。


(ネタバレあり)
ここでの最終決着については、この不動産ブローカーちょっとお粗末としか言いようにない。それまでのことはあくまで普通のビジネスと解せることだが、ここから重大なコンプライアンス違反を強いるのである。これはもったいない。それまで巨満の富を得ているのだから、たった一軒くらいのことで無理しなくてもいいのにと思ってしまう。でも、この映画では脚本家はこの不動産ブローカーを悪に仕立てたいのがミエミエだからね。

リーマンショックからすでに7年たち、ここ数年は米国経済はかなり良好である。しかも、住宅着工は好調が伝えられる。であるから、最近はこんなこと少ないと思うけど、アメリカ人の住宅への固執が意外にもあるんだなあと思わせるシーンは多かった。




ただ、※本作の下敷きとなっているのが、ノーベル賞を受賞したアメリカの経済学者ジョセフ・E・スティグリッツが『世界の99%を貧困にする経済』の中で唱えた「世界中の富の4分の1をたった1%の最富裕層が所有しており、残り99%は貧困である」という説。現在、世界中でその格差が広がり、問題視されている。(作品情報より)

こういうことが作品情報に書いてあったが、この映画に関してはあまり関係ない気がした。支払えない借金をする方がわるいでしょう。住宅ローンというのはわずかな頭金で実力以上の借金をするある意味株の信用取引と同じである。そのことがわかっていないとダメ。ここで借りる側はかばえない。

(参考作品)
ドリーム ホーム 99%を操る男たち
抵当権を行使された家主と悪徳不動産業者
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映画「オデッセイ」 マット・デイモン&リドリー・スコット

2016-02-10 20:19:02 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「オデッセイ」を映画館で見てきました。


マットデイモンが演じる火星に一人取り残される男のサバイバル映画だというのは予告編を何度も見てわかっていた。なんとなく関心を持って映画館に向かったが、「ゼログラビティ」などとは違うスペースファンタジー映画で、一人取り残されたマットデイモンが前向きに生き抜いていこうとする姿を描く。マットデイモンのサバイバルパフォーマンスのバックで70年代のディスコミュージックをがんがん流すのが予想外、自分が大好きなアップテンポのディスコの名曲をきいていくとご機嫌になってくる。

火星での有人探査の最中、宇宙飛行士のワトニー(マットデイモン)は嵐に巻き込まれてしまった。ルイス船長(ジェシカ・チャンスティン)をはじめとした仲間の宇宙飛行士たちは緊急事態を脱するため、死亡したと推測されるワトニーを置いて探査船を発進させ、火星を去ってしまう。NASAはワトニ―の死亡を発表する。しかし、ワトニーは奇跡的に死を免れていた。


酸素は少なく、水も通信手段もなく、食料もあとわずかという絶望的環境で、懸命に生き延びようと、あらゆる手段を尽くしていく。一方で火星を映しだす映像をみて、NASAはワトニ―の生存を確認するのであるが。。。

1.マットデイモン
ワトニ―は植物学者という設定である。ジャガイモを栽培しようと、仲間たちが排泄したものを肥料にしようと引っぱり出し、土を耕す。水が必要なので、火を起こして水素と酸素を化合して水をつくろうとするが爆発させてしまったりしてうまくいかない。それでもなんとか水をつくりだし、土から芽が出てくる。そういう場面を見ていくのは気分的に悪くない。しかも、船長のルイスが音楽コレクションにしていた70年代のディスコを聞きながらハイテンションで頑張る。


普通サバイバル映画というと、この間の「白鯨との闘い」もそうだったが、いかにも暗い。そう見えないところが、この映画のいいところ。何度も何度も難関が訪れるが、めげずに頑張る姿がいい。筋肉もりもりとやせ細った姿の両方を見せつけたマットデイモンは好演といえる。

2.映画「オデッセイ」のディスコミュージック曲
火星でのサバイバルをはじめたころから、ディスコミュージックが流れ始める。最初はTurn The Beat Around だ。これって自分が高校のころによく流れたアップテンポのディスコミュージックの曲だけど、いかにも70年代中盤の匂いが強い名曲だ。今でもテレビのバックミュージックでよくかけられている。



マットデイモン曰く、船長の持っているディスコ曲の中で一番ディスコぽくない曲がこれだということで流れるのがドナ・サマーの「ホットスタッフ」だ。おいおい何?思わず吹き出してしまう。だって78年から79年にかけての日本のディスコ全盛時代にどこでも流れていたオーソドックスなディスコミュージックだもんね。



宇宙遊泳の場面で流れるのが故デヴィッドボウイの「スターマン」これ自体はディスコミュージックとちがうが、一番映像にしっくりあっていたと思う。自分の記憶ではデヴィッド・ボウイの曲の中で最初に日本で大ヒットした曲だと思う。



エンディングでオージェイズの「ラブトレイン」とグロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」が流れる。いずれも全米ヒットチャートナンバー1の名曲だ。「ラブトレイン」は73年3月のナンバー1、この当時はまだディスコ時代の前だ。



「ラブトレイン」の前後のヒットチャートナンバー1の顔触れを見ると、エルトンジョン「クロコダイルロック」、ロバータフラック「やさしく歌って」、ドーン「幸せの黄色いリボン」なんてポップスの歴史上重要な曲が並んでいる。

ぞれにしてもいったい誰がディスコミュージック好きなんだろう?やっぱりリドリースコット監督の権限なのかなあ。映画の中ではジャシカ・チャンスティン演じる船長の趣味ということだったけどね。

でも彼女の無重力状態での遊泳は優雅でいい感じだったよね。NASAが映画づくりに全面的に協力しているというのが映画を見るとよくわかる。彼女の出演する映画みんな相性がいい。でも最後に向けて、どうやって助けようかという説明は残念ながら自分の科学への理解度からするとよくわからなかった。
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映画「ザ・ウォーク」 ジョゼフ・ゴードン=レヴィット

2016-02-03 15:46:30 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「ザ・ウォーク」を映画館で見てきました。


この映画の予告編を見るだけで背筋がぞくっとしてしまう。怖いもの見たさでつい映画館に向かう。
38階の高い所に自分のオフィスがあるけど、きっちりガラスがあるので下を見下ろしてもちっとも怖くはない。でもガラスがなかったらどうなんだろう。しかも、フィリップが体験しているのは110階で400mほどの高さで、オープンエアで命綱もない。本当にこんな凄いことやった人がいるのかと思うが実際にいるのだ。でも実際の映像は残されてはいない。ここでは再現フィルムのように綱渡りを見せる。

もちろんマンハッタンのワールドトレードセンターの両方の棟での綱渡りシーンがヤマだけど、この映画はそれを実行するために、いろんな人たちを巻き込み周到な準備を重ねて本番に挑むところが見どころだ。


8歳の頃にサーカス団の綱渡りを観て以来、フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、細いワイヤーの上を歩くことに魅了されていた。そして綱渡り師パパ・ルディ(ベン・キングズレー)に弟子入りして技を磨き、パリのノートルダム寺院での綱渡りに成功していた。
1973年、ニューヨークにワールドトレードセンターが建設中だと知った瞬間から、世界最高層のツインタワービルの屋上の間を歩くことが彼の夢となる。街の大道芸人をやっている時に知り合ったストリート歌手の恋人アニー(シャルロット・ルボン)やカメラマン志望の青年ジャンルイと入念な準備を経たフィリップは、翌年の8月6日ワールドトレードセンターに忍び込み、高さ411メートルのタワーの屋上に直径2.2センチのワイヤーを渡し、命綱なしで歩き始めるのであるが。。。


「アルカトラズからの脱出」という1979年のクリントイーストウッド主演の映画がある。脱出不可能といわれていた有名な刑務所の島アルカトラズから周到に準備をして脱出する実話に基づく映画がある。そこでは味方を誰にするのか、時期はいつにするのか、監視の目をどう欺くのか、そして脱出に向けてのプロセスを丹念に描く映画がある。私はその映画をすぐさま連想した。やることは違うけど、周到な準備をかさねて決行するということでは同じようなものだ。

すでにお膳立てされて両方のビルの屋上がワイアーで連結されているわけではないのだ。どういうワイアーを使うのか、フランスから器具を持ち込んだあともワ―ルドトレードセンターの日常を丹念に観察し、現地でビルで働いているビジネスマンやワイアーの知識のある人を味方に入れる。そんな味方を経て、ようやくビルに入り込むが、夜中に40m以上離れたビルの間を連結する作業自体は容易ではない。まず設定の状況にすること自体がたいへんなのである。こんなこと本当によくできたと思う。

フィリップ個人に焦点が当てられているように見えるが、同時に人間社会で成功するには他人の助力が必要不可欠ということも語っているような気がする。

1.フィリップ・プティ
本職は大道芸人ということなのであろうか、ワールドトレードセンターの綱渡りのあともずっと続けているそうだ。

度胸の座り方は年季が入っている。実際に一回渡った後で、すぐさま元のビルに戻ったり、慌てて駆け付けた警官から逃げるようにワイアーの上を行ったり来たり、ワイアーの上で寝そべったりするのを実際にしたのかと思うとこれはすげえと思ってしまう。


2.ジョセフ・ゴードン=レヴィット
今回はかなりきっちり役作りをしている。アメリカ生まれのジョセフがやけに上手なフランス語を話している。やけにうまいなあと感心したら、履歴をみるとコロンビア大学でフランス文学を学んでいたそうだ。それはうまいはずだ。それでもフランス人がしゃべるフランスなまりの英語も勉強したそうだ。これは立派だ。あとは綱渡りだ。ほとんどがスタントかと思ったら、実際に低い高さのところを綱渡りを本人がしているシーンが次々にでてくる。どうやらフィリップ・プティ本人から特訓を受けたようだ。


ワールドトレードセンターを綱渡りするシーンは12フィート(約3.6m)の高さでやったとのこと。映画の撮影だから何度も何度も往復したんだろう。けっこうたいへんな撮影だ。ある意味熱演だと思う。
コメント
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