映画とライフデザイン

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韓国映画「新しき世界」 イ・ジョンジェ&チェ・ミンシク

2014-08-27 05:21:27 | 映画(韓国映画)
映画「新しき世界」は2014年日本公開の韓国サスペンスアクション映画だ。
いつもながら韓国のアクション映画のレベルは高い。
この映画の出来も出演者の顔ぶれから十分推測できたが、凄まじかった。傑作である!


結末ばかりでなく、途中結果も観客の予想を裏切る方向にストーリーを進める。
何度も「うーん」とうなった。
そして結末に持ち込むが、予測を何度も裏切られたので最後まで息がつけない。
実にお見事である。

韓国最大の犯罪組織ゴールドムーンの理事であるイ・ジャソン(イ・ジョンジェ)はゴールドムーンの幹部である華僑の兄貴分、チョン・チョン(ファン・ジョンミン)の右腕として働いている。しかし、ジャソンの正体は、カン課長(チェ・ミンシク)に潜入捜査を命じられた警察官だった。彼の正体を知るのは、カン課長、連絡役のシヌ、コ局長の三人だけだ。


ジャソンの心は次第に、警官の職務遂行と同じ中国系韓国人である兄弟分チョン・チョンとの絆の間で揺れ動き、苦悩するようになっていた。そんなある日、ゴールドムーンの会長であるソクが交通事故で急死し、後継者争いが勃発する。争いはソクの右腕だったジェボム組出身のイ・ジュング(パク・ソンウン)と、元北大門組組長のチョン・チョンとの一騎打ちと目される。カン課長はジャソンの情報を元に、組織解体作戦に動き出すが。。。。

ともかく残虐だ。
韓国アクション映画の基本を離れない。いきなりリンチを受けている男が出てくる。結局殺され、ドラム缶に入れ込まれ、海の中に捨てられるわけだが、こういう人間が何人も出てくる。
しかも、一瞬でピストルで殺されれば死人も楽なのに、徹底的なリンチで自白させられての仕業である。
いやー韓国の奴らはどぎつい。

1.ライバルの争い
先代のボスが亡くなったあと、跡目争いが繰り広げられる。日本でも田岡三代目山○組組長が亡き後、派手な争いがあったのは記憶に新しい。
№2はいるが、最近は勢いがない。№3のチョンチョンと№4のイ・ジュングの争いだ。


チョンチョンに近い筋に潜入警官ジャソンがいる。2人の争いに絡んでくるのがカン課長率いる警察部隊だ。
ここに登場する人物は多すぎず、少なすぎない。それぞれに独自の役割を演じ競るので、ストーリーが変幻自在に顧客の予想を裏切っていく。

2.潜入警官
香港映画「インファナルアフェア」があまりにも有名だ。麻薬捜査で潜入する話はいくつも転がっている。この作品ではジャソンが10年潜入していることになっている。№3のチョンチョンと兄弟分という設定だ。それでも、密かに警察のカン課長と人影のない釣堀で会ったりしている。情報は美人情報員から伝わる。長い間ヤクザな世界に入り込んで、もうどっぷりはまっている。


その彼の苦悩が映画全体に流れるテーマだ。
「ハウスメイド」で主人公を手篭めにするご主人様を演じたイ・ジョンジェだ。

3.中国系韓国人チョンチョン
見た感じはチンピラ上がりのヤクザだ。ヤクザのトップともなると、礼儀正しい人間が多いが、真逆だ。東映のやくざ映画で言うと「仁義なき戦い」第2作にでてきた千葉真一演じる狂犬のように激しいテキヤ大友を連想させる。中国語を自由に操る。中国にいる乞食のような連中を連れてきて、殺しの仕事をさせる。
そのチョンチョンが側近にしか教えていない自分の居場所情報を警察そして指揮するカン課長が知っていたことに気づく。何で知っているのか?そこでカン課長を徹底的に調べろと顧問弁護士に指示する。そこで初めてある事実が判明する。腕利きの中国人ハッカーに警察のネットに侵入させるなんて調べ方が本当にありえそう。

4.警察のカン課長
「悪魔を見た」の凶悪犯人「悪いやつら」の元悪徳税関職員のワルでのチェ・ミンシクの活躍は記憶に新しい。今や韓国アクション映画には欠かせない存在となっている。


ここでは、ベテラン刑事を演じている。警察トップとつるんで、潜入警官の存在を知っているごく少ない存在だ。ヤクザ組織を撹乱させ、崩壊に持ち込むのが目的である。はっきりと言われていないが、たたき上げ刑事で臭い仕事に手を染める存在ということだろう。ここでも次期ボスの候補である№2、3,4それぞれに絡んでいく。懲らしめたり、味方にしたりで縦横無尽に捜査をあやつる。

5.話の展開(少しネタばれ)
この映画の面白さは脚本と展開の絶妙なうまさだろう。
潜入捜査がこの映画のテーマなので、ヤクザ組織にどっぷり入り込む潜入警官ジャソンを中心に展開する。そして、ジャソンには何度もあやうい場面が出てくる。それこそ、「もはやこれまで」というような場面が何度も。。。そのたびごとにひやひやする。予想する結果にならないので、緊張感が高まる。未知のものに対する不安な気分が自分を興奮させる。


そして最終形に向う。
「物語の定石」でいえば、途中幾度となく苦難の道を歩んでいても、元の世界に戻って幸せな人生を歩むというのが基本だ。ところが、そうならない。韓国映画で出来のいい映画はみんなここで一歩踏みはずす。途中予測できないわけではないが、一筋ではいかないので、そうならないと勝手に思ってしまう。
うまいなあ

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