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映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ミッションインポッシブル ファイナル・レコニング」 トム・クルーズ

2025-05-20 20:06:46 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)

映画「ミッションインポッシブル ファイナルレコニング」を映画館で観てきました。

映画「ミッションインポッシブル  ファイナル・レコニング」はおなじみトムクルーズの十八番のシリーズ第8作目。監督は前作に引き続きクリストファー・マッカリーである。先行公開で土日からスタートだが、混雑を予想して月曜日に向かう。似たようなことを考える人もいて、まあまあ観客はいる。169分の長丁場なので身体をゆったりして観たかった。

予告編ではさんざん観てきたし、トムクルーズがプロモーションのため来日した時都庁に行ったTV放映も見ているので違和感なく入っていける。いきなりトムクルーズの日本人向けの挨拶でスタートする。「よー!千両役者」と声をかけたくなる気分にさせる。「これはシリーズの集大成」だそうだ。映画がスタートしていくつかのシーンの後、テーマ曲の音色が聴こえると興奮してしまう。トップガンデンジャラスゾーンと同じだ。少年の頃TV「スパイ大作戦」のテーマで興奮した。テープが消滅するのも同じだ。それからシリーズの名場面のいくつかが続いていくのも懐かしさを蘇らせる。

ただ、作品情報は書けない。ディテールは前回に引き続きよくわからない。

AIが各国のネットワークに入り込み世界の破壊を目論んでいるのに対して、大統領の指令が届いてイーサンハントが阻止するということがわかっても、それぞれのセリフが理解できない。というよりセリフを理解すること自体あきらめるトムクルーズのアクションを観に来ているわけで、ひたすら派手なアクションを堪能するだけだ。吹替版を見る人は日本語を聞くだけでわかるのかなあ?

62歳のトムクルーズは本当にすごい!

来日するたびにいつもにこやかに満面の笑みを浮かべる。選挙で議員立候補者も確かに同じだ。でもそんな議員連中より桁違いの金持ちになったトムクルーズが、普通じゃやらないアクションシーンに常に挑戦する。スタント不要なのも呆れる。今回は難易度が高い!潜水とグライダー上でのアクションがいちばんの見どころだ。これって危険を通り越している。後半にアクションの肝が連続して興奮を高める。

潜水艦の中を水中の魚雷を避けつつ彷徨い続けるのにはドキドキする。長時間水の中にいて最終的には潜水服を水中で脱ぐ。さすがに水中のシーンは北極付近での撮影でないと思うが、それでも海中の温度差に耐えられるのか。海上に上がるシーンには出来過ぎの部分があってもそんなことはどうでも良い。

グライダーが川の上を飛ぶシーンは予告編で観ていたが、大画面に映える。自分は映画館原理主義者ではないけど、これは映画館でゆったり観てほしい。グライダーにぶら下がるのは想像以上に危険な立ち回りだ。飛行機が落ちたらどうなるんだろう。以前、飛んでいく飛行機につかまるすごいシーンがあった。情報では、一発でなくいくつもテイクをとったらしい。まさかこのグライダーシーンも何度も撮ったのかな。強烈な風圧によく耐えられるな。

アラスカに近いベーリング海上とアフリカコンゴが主要な舞台で、南北両極端だ。いきなりロンドンの時計台のそばで得意のトムクルーズ走りを見せてくれる。黒人女性のアメリカ大統領が出てきても、主要シーンはアメリカで撮っていないのかもしれない。ラストもロンドンだ。

いつもおなじみの相棒サイモンペッグやウィングレイムスに加えて、前作からの女性ヘイリーアトウェルや日本の佐藤江梨子にそっくりのアジアの血が入ったフランス人ポム・クレメンティエフが加わる。かっこいい!いずれも引き立て役だが、いくらトムクルーズが不死身で万能でも1人では任務は履行できない。良いチームだと思う。

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映画「シンシン」 コールマン・ドミンゴ

2025-04-16 09:28:18 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)

映画「シンシン」を映画館で観てきました。

映画「シンシン」は刑務所の更生プログラムで演劇をする囚人たちの物語である。「シンシン」とはハドソン川に接するニューヨーク北部の収監施設の名前である。刑務所で生活する囚人たちの映画は日本も含めて数多く作られているが、入所する前哨戦の映像も含めてストーリーを組み立てることが多い。ここではあくまで演劇の題目に向けて刑務所内で稽古をするグループの姿のみを追う。

NY北部のシンシン刑務所に無実の罪で収監された男ディヴァインG(コールマン・ドミンゴ)は、RTAと呼ばれる刑務所内の収監者更生プログラムである舞台演劇グループに所属する。配役のオーディションから始めて、演じる題目の決定、稽古の段取りを行っている。

そのメンバーとして新しく所内で悪党とされるディヴァイン・アイ(クラレンス・マクリン)が加入する。次の演目は彼の提案でタイムトラベルを扱う喜劇になるが、なかなか周囲になじめない。なだめるディヴァインGの言うことも聞かなかったが、徐々に親密な関係を気づいていく。

意外にも威圧感なく、演劇に参加する囚人メンバーが徐々に良好な関係を築き上げていくのを観るのは悪くない。

エンディングのクレジットでは、as himself となっている配役が多い。演劇プログラムの卒業生及び関係者が本人役を演じるということだ。何と出演者の85%以上が元収監者なのも恐れ入る。色んなタイプの囚人がいるが、悪党とされるクラレンス・マクリンは往年のボクシング世界チャンピオンのマイクタイソンのような風貌だ。怒ったら半殺しの目にあわせるのはわけないだろう。まるでタイソンのようなクラレンス・マクリンもこの映画には切っても切れない存在だ。

そんな面倒くさい俳優たちをグレッグ・クウェダー監督は猛獣使いのようによく手懐けたものだ。すばらしい手腕だ。作品情報によると、再犯で刑務所に戻る人は国レベルで約60%だが、RTAの修了者は3%以下らしい。この映画はほとんど刑務所内での場面だが、映画の会話は割とまともなセリフが多い。この映画を撮るにもそれぞれ覚えなければならないセリフが多い。全員がプロの俳優といってもおかしくないレベルだ。これまでの経験で得た自分の思いをそれぞれに語るシーンがいい。

主演のコールマン・ドミンゴは今回アカデミー賞主演男優賞の候補になる。ブラックパワーが強い年だったら受賞していたかもしれない。良かった。演劇チームのリーダー的存在で周囲を引っ張る。

所内で最凶悪とされる男「ディヴァイン・アイ」ことクラレンス・マクリンも最初は斜に構えている。彼に対しても絶妙の距離感を持って接して、徐々に信頼を得る。台詞の覚え方を教えたり、刑務所から出るために知恵を授けたりする。でも、本人が無実だとする証拠をもってしても、なかなか塀の外に出られない。その辺りの苦悩も表現していた。

ラストに向けてのコールマン・ドミンゴとクラレンス・マクリン2人のシーンも情感があって良かった。「ショーシャンクの空」のモーガンフリーマンとティムロビンスの再会に似た響きを心に感じた。

 

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映画「アマチュア」 ラミ・マレック

2025-04-14 19:22:43 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)

映画「アマチュア」を映画館で観てきました。

映画「アマチュア」はアカデミー賞俳優ラミ・マレック主演のアクション作品。監督はジェームズ・ホーズ。CIA分析官がテロで亡くなった妻の敵討ちをするなんて話は、リーアムニーソンの主演作や日本の時代劇にもあり得そうな話だ。ただ、こういう時敵討ちに向かうのは元凄腕のエージェントだったり剣の達人だったりする。でも、ラミマレック演じるチャーリーはあくまで「アマチュア」で殺しのプロではない。まさにCIA職員でも常人と同じなのだ。銃を扱ったこともない。

予告編を観るとおもしろそうだ。末梢神経を刺激するアクション映画を最近回避しがちだけど、これは娯楽として楽しめそうだ。久々に20世紀foxのファンファーレを聞いたあと、舞台はCIAの本拠地アメリカのラングレーからロンドン、パリ、イスタンブール、マドリードと007シリーズやミッションインポッシブルのように世界を横断する。

愛する妻(レイチェル・ブロズナハン)と平穏な日々を過ごす、CIA分析官チャーリー・ヘラー(ラミ・マレック)。しかし、妻がロンドンで無差別テロによって命を奪われたことで、すべてが変わる。最愛の妻を殺したテロリストたちへの復讐を決意し、CIAの上官に特殊スパイとしてのトレーニングを志願し、さらに、CIAすらも予測できない“彼ならではの方法”で、テロリストたちを追い詰めていく。だが、その裏には驚くべき陰謀が隠されていた。(作品情報 引用)

発想はおもしろいが、展開についていくのがやっとだった。

映画のせいではなく、自分の理解度の問題かもしれない。スパイ映画はある意味騙し合いで、昨日の友が今日の敵に往々にしてなることが多い。妻がテロの犠牲になったあと、CIAとテロ組織の関係がゴチャゴチャして頭の整理がつかない。敵討ちに向かった後で、何で主人公が狙われるのか考えているうちに頭が炸裂する。娯楽としては楽しめたが、自分の反射神経の鈍さですばやい展開についていけない。

CIA分析官のチャーリーはIQが高い有能な分析官だ。CPU上の情報や路上カメラの画像の収集などを通じて、テロに巻き込まれて亡くなった妻を殺害したグループを即座に割り出す。すると復讐に燃えるのだ。でも、CIAといっても格闘や銃の訓練も受けていない。上官に志願して腕利きの教官(ローレンスフィッシュバーン)から指導を受けても、お前には相手を殺せないと言われてしまう。そんな調子でも、テロ組織に立ち向かう。気がつくと、機密情報を外部に持ち出して勝手に行動するのでCIA当局からも狙われる存在になる。

組織の指示で動かないとなると、孤独な一匹狼状態になってしまう。絶体絶命だ。路上カメラなどで位置情報はCIAにわかってしまう。チャーリーはテロ組織の犯人を追うだけでなく、自分を教えた腕利きのCIA教官にマークされる。そんな時、もともとCPU上で情報交換していた女性インクワライン(カトリーナ・バルフ) と繋がることができる。CIA内部と同じようにインクワラインはあらゆる情報をキャッチできるのだ。

ボンドガールといえば、毎回美女がミッションの鍵になる歴史がある。ここでも似たようなキーとなる女性をクローズアップさせる。トップモデル出身のカトリーナ・バルフがカッコいい。イスタンブール居住の謎の美女を味方に入れてピンチを乗り越えていく。こんな話はおもしろいし、ビルの階上にあるプールを破壊させたり、敵の女を閉じ込めて花粉責めにしたり、謎の美女と逃げ回ったりと金がかかっているなと思わせる鋭いシーンも多い。でも、絶賛というところまではいかないかな。

それよりも人間社会がすごい監視社会になっていることに恐ろしく感じる。

 

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映画「教皇選挙」レイフ・ファインズ

2025-03-24 09:43:00 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)

映画「教皇選挙」を映画館で観てきました。

映画「教皇選挙」ローマ教皇選出の選挙(コンクラーベ)を題材にしたロバート・ハリスの小説を脚色したエドワード・ベルガー監督の作品。脚本のピーター・ストローハンは今年のアカデミー賞脚色賞を受賞している。主演のレイフファインズは自分が傑作と思う名作「イングリッシュペイシェント」以来長らく出演作を観ている。ローマ教皇の誕生は世界中を駆け巡るニュースとなる。どうやって選ばれるのかは知らなかった。前任者の指名かと思っていた。しかも、自分はキリスト教やバチカン、ローマ教皇のこといずれにも疎い。大丈夫かなと感じながらも映画館に向かう。

キリスト教カトリック教会の最高指導者にしてバチカン市国の元首であるローマ教皇が亡くなった。後継者を決定するため、教皇の最高顧問の地位にある枢機卿が100人以上世界中から集められた。英国出身の枢機卿トマス・ローレンスレイフ・ファインズ)が中心となってローマ教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」を行う。外部から完全に遮断されたシスティーナ礼拝堂で極秘の投票が始まる。

1回目の投票を終えて、3分の2の必要獲得数を超えた候補者はいなかった。ところが有力だった枢機卿にスキャンダルが発覚し,ローレンスは右往左往するようになる。

ミステリー的要素が強く、中盤から異様な盛り上がりを示すヒューマンドラマだ。

カトリック教会の重鎮による選挙であるから、殺人などの暴力的な事件が起きるわけではない。ただ、政治のトップを選ぶときのように、スキャンダルが飛び交いエゴに満ちあふれた権力闘争が世間から隔離して繰り広げられる。

同じような赤い服を着ているので、登場人物の見分けもつきづらく前ローマ教皇が亡くなった後はリズムが沈滞化して眠気も誘う時間帯もある。1回目の投票結果を見てもピンとこない。思ったよりも退屈な映画なのかと感じた時に事件が起きる。1回目の投票で最上位であったナイジェリア出身アフリカ系のアデイェミにスキャンダルが発覚する。初めてのアフリカ系の教皇誕生かと思わせた時だった。ナイジェリアからバチカン市国に異動した修道女シャヌミとアデイェミとの間に不適切な関係があることがわかるのだ。そのあたりから、一気に緊張感が生まれる。

投票で上位の候補にはいずれも世間に露呈すると問題になるようなマイナス要素がある。弦楽器の渋い音色の音楽が流れる中で方向性が見えない。あいつだけには教皇にならせるなという策略も見られる。女性下位の世界でも修道尼の一団を率いるシスター・アグネス(イザベラ・ロッセリーニ)も客観的事実を発言する。母イングリッドバーグマン譲りの美貌を見せるというより熟年の貫禄を見せてくれる。

レイフファインズ演じるローレンスは自ら教皇になりたいとは思っていない。いくつかのウワサを直接ないしは間接的に確認していく中で悩んでいく。自分以外の候補に投票を続けていたが、ついには自分の名前を書いて投票した時に事件が起きる。予告編で屋上に近い窓から何かが降ってくる映像があって、何かの幻想シーンかと思っていたが違っていた。外部で自爆テロ事件が起こっていたのだ。いったん中断してしまう。

票が割れている上にスキャンダル含みでいったいどうやってこの教皇選挙の結末に持ち込むのかが見えない。そうしていくうちに意外な決着を迎える。しかも、その決着も一筋縄ではいかないよくできたミステリーは読む人がこの人だけは犯人でないと感じる人を犯人に仕立てることが多い。そう言った意味ですばらしいストーリー立てであった。アカデミー賞脚色賞は当然うなづける。

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映画「ジェリーの災難」

2025-03-22 19:21:39 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)

映画「ジェリーの災難」を映画館で観てきました。

映画「ジェリーの災難」は台湾からアメリカに移住した男が定年退職の後に特殊詐欺に遭い、全財産を騙し取られる実話当事者が主演を務めて再現した映画である。日経新聞の映画評でこの話に興味深く感じてスキマ時間に見た。特殊詐欺映画は日本,韓国でも多数作られているが実話そのものを再現した訳ではない。この映画はいわゆる日本で言うオレオレ詐欺に引っかかって財産を失う男を追っていく。

ジェリーは台湾からアメリカに移住し、3人の息子もできたが、妻とは離婚して定年後1人暮らしだ。ジェリーに中国警察を名乗る男から電話がかかってくる。国際的なマネーロンダリング事件の捜査でジェリーが第一容疑者になっていると知らされる。当然覚えがない話だ。自身の潔白を示すために、電話の相手である「警察」の当事者の言いなりになる。指示通りに次々と送金していく。息子の1人は、家を購入することになっていて、資金援助をするつもりであったが,そのお金まで送金する。結果的に約100万ドル近く失うことになった。

期待したほどではなかった。

実話の再現と聞いて興味を持つが,あまりに主人公が不用心なので、途中から呆れてしまう。人を疑うということができなかったのであろうか?先方のやり口は、国際ロンダリングの操作であなたに疑いがあるので、疑いを晴らすために金を出せとの要求だ。しかもこの話を家族に秘密にしろと先方は主人公に言う。確かに,中国警察の存在は怖い。強制送還と言われれば、心臓はパクパクだろう。でもなぁ。

自分の家の固定電話は妻が出ない。留守番電話にメッセージが残してあり,明らかに相手が特定できる時だけ返信の電話を入れる。数ヶ月前アメリカから電話が何度もかかってきたことがあった。知人がいるわけでもないし、ありえないので当然出ない。留守番電話も入れない。そのままスルーである。その時期、何故か自分の携帯にもアメリカからの着信があった。もちろん出ない。

最近は高齢者のいる家に電話をすると,迷惑電話への対応で録音機能が付いていることが多い。しかも,日本の銀行は不正送金に敏感で,銀行の窓口担当者が奇妙な動きをする老人がいると、警察に電話することもある。防御体制はできている。けれども,アメリカはその点疎いんだろう。

この主人公はその後認知症ということがわかったらしい。そうだよね。いくらなんでも、こんな単純な詐欺に引っかかる人は、日本では滅多にいないだろう。巧妙な詐欺話が展開する映画と比較すると、残念ながら陳腐な作品であった。

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映画「名もなき者A COMPLETE UNKNOWN」 ティモシーシャラメ&ジェームズマンゴールド

2025-03-02 17:54:24 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「名もなき者A COMPLETE UNKNOWN」を映画館で観てきました。
映画「名もなき者」は1960年代前半のボブ・ディランティモシー・シャラメが演じたジェームズ・マンゴールド監督の作品である。「フォードvsフェラーリ」や直近の「インディジョーンズ」などアクション映画が得意な印象を持つが今回は静的である。ジョニーキャッシュの半生記である「ウォーク・ザ・ライン」のような音楽映画の色彩だ。
 
自分が初めてボブディランを知ったのはジョージ・ハリスンが仕切った1971年夏の「バングラデシュ」コンサートの時である。その年から12歳なのに洋楽の全米ヒットチャートをノートに記録するようになり、雑誌「ミュージックライフ」を読むようになった。ジョージ、リンゴの元ビートルズのメンバーを中心に、東パキスタンのバングラデシュを救済するコンサートが開催されたことを知った。このコンサートがレコードになったのは1971年末だった。日本ではレコード会社の駆け引きで発売が遅れている。親にねだって茶色ジャケットの輸入盤を買ってもらい、レコードを聴いて感動した。それにしてもものすごいメンバーである。
 
解散してまだ間もないビートルズメンバーがいるのに、そこで観客の拍手が異様な位鳴り響いたのがボブ・ディランであった。意外だった。少年だった自分はその時初めてボブ・ディランを知った。映画でのボブディランへの大きな拍手初めてレコードを聴いた時の感動が蘇る。
1961年、ニューヨークに来たばかりのボブディランティモシー・シャラメ)は伝説のフォークシンガーであるウディガスリーの病棟を訪れる。そこには人気歌手ピートシーガーエドワード・ノートン)もいて、2人の前でウディに捧げる歌を披露する。ピートに認められたボブはライブハウスで演奏するチャンスを与えられる。そこでは女性フォーク歌手ジョーンバエズ(モニカ・バルバロ)も演奏していた。ギター片手にハーモニカを吹きながら歌うボブディランはその場で絶賛されて、聴いていたコロンビアレコードの社員にも注目される。
 
ボブディランはニューヨークで知り合ったシルヴィ(エル・ファニング)と付き合いながら陽のあたる道を歩くようになる。当初コロンビアレコードのプロデューサーはボブディランに旧来のフォークソングをレコーディングさせていた。一方で仲間のジョーンバエズからはオリジナル曲の良さを認められてあなたの歌を歌わせてくれと頼まれる。同時に二股をかけて付き合う。やがて世相の矛盾を歌詞に取り入れたボブディランの歌が若者に支持され世間の注目を浴びるようになる。
 
すばらしい作品だ。
ボブディランになりきって自ら歌うティモシー・シャラメが凄すぎる。
正直言ってここまでのレベルに歌を仕上げているとは思っていなかった。ジョーンバエズのストーリーへの絡め方も絶妙で、勝手気ままなボブディランとの恋愛に戸惑い気味のモニカ・バルバロの演技も歌も良かった。この2人はアカデミー賞の個人部門で受賞してもおかしくない。エドワードノートン「ファイトクラブ」の武闘派イメージも消えて違った一面が観れてよかった。トシという日本人妻に存在感があった。
⒈ボブディランの歌
映画で流れるボブディランの歌は80%程度知っているけど、全部ではない。若い人はほとんど知らないんじゃないだろうか?それでも楽しめるだろう。ボブディランを知ったきっかけを上記に書いた。バングラデシュコンサートではここでも流れる「Blowin' in the Wind」「A Hard Rain's a-Gonna Fall」を演奏している。でも、字余りのようなボブの歌がすぐ好きになった訳ではない。当時「追憶のハイウェイ61」は名作とされていたけど、最初聴いて自分には合わなかった。
 
こうやって映画の字幕を観ながら歌を聴いていると、いかにボブディランがおもしろい歌を歌っていたんだなと感じる。自らの肌で感じた発想が歌詞に表れていることがよくわかる。1970年代に自分が理解するのは無理だったよなあ。当時のアメリカ史におけるキューバ危機やケネディ暗殺、黒人公民権問題などを劇中に流れるニュースとして取り入れている。このニュースの組入度合いが多すぎず適切だった。キューバ危機の時ここまでニューヨークがパニックに陥ったとは知らなかった。現代アメリカ史を知っていれば、映画のボブディランに関する出来事がいつの時代なのかがわかる。
 
⒉ジョーンバエズ
ジョーンバエズの使い方が絶妙だった。最初にニューヨークのライブハウスでモニカ・バルバロ「朝日のあたる家」を歌うシーンに思わずグイッと引き寄せられる。伸びのある声が美しい。いい加減なボブディランに呆れ気味で自分のところに来るなと言っているのに、ボブの恋人だったシルヴィ(エル・ファニング)がコンサート会場に来た時に親しげに意味深な歌詞の歌をボブとデュエットする。やきもちやかせる複雑な女性心理のシーンもこの映画の見せ場の一つだ。「北国の少女」「悲しきベイブ」はよかった。
 
自分がヒットチャートをつけ始めた1971年にジョーンバエズがザ・バンドの曲「オールドデキシーダウン」をスマッシュヒットさせて初めて彼女を知る。同じ年に映画「死刑台のメロディ」の主題歌も歌っていてラジオで流れていた。反体制のイメージが強い女性だけど、この映画では女性らしさが前面に出てよかった。恋人シルヴィとジョーンバエズとの恋愛と別れを巧みに描いている。
⒊エレキ化への反発
それにしてもスタートのウディガスリーとの出会いから始まって見せ場の多い映画だ。1965年7月ニューポート・フォークフェスティバルでピートシーガーの説得にも関わらず、あえてディランがエレクトリック・ギターを持ち演奏する場面が最終のヤマだろう。この逸話は知っていても、ここまで観客や身内の反感をかっているとは思っていなかった。まさに決行だ。
 
 
そんなシーンにジェームズマンゴールド監督が自ら手がけた「ウォークザライン」の主人公ジョニー・キャッシュを登場させる。使い方がうまい。コロンビアレコードのプロデューサーがピーターポール&マリーの悪口を言っていたり、「ライク・ア・ローリング・ストーン」の録音で当時無名のアル・クーパーオルガンで有名なイントロを弾くシーンなど細かい逸話を散りばめている。ボブディランがバイクに乗るシーンが多く、いつ事故るかとヒヤヒヤしていたが、どうもこの後らしい。
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映画「セプテンバー5」

2025-02-16 19:20:25 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「セプテンバー5」を映画館で観てきました。


映画「セプテンバー5」1972年のミュンヘンオリンピックでのイスラエル選手団へのテロ事件を生中継しようとしたアメリカABC TVの現地スタッフの動きを描く映画である。当時中学生だった自分は日本選手の活躍ばかりに目がいって、テロ事件があったと知っていてもあまり気にしていなかった。遠くドイツでの出来事は日本人と関係ないことだと思っていたのかもしれない。もっと大人になってからユダヤ人とアラブの関係を知りこの出来事自体が重いことだと分かった。この事件のその後をたどった名作「ミュンヘン」はあるが、その時のABCの話は当然初めて聞く。

ミュンヘンオリンピックと言えば男子バレーボールである。オリンピックが始まる前から各選手と松平康隆監督のパフォーマンスをドラマ化した番組を当時の中学生はみんな見ていた。運良く金メダルとなったが、準決勝の試合でハラハラドキドキしていた。あとは、水泳では金メダルは無理だと日本人誰もが思っている時に田口、青木両選手が金メダルをとった瞬間だ。中学の仲間たちとみんな興奮した。その瞬間友人の家に集まって夏休みの課題を一緒にやっていた記憶がある。

1972年9月5日ミュンヘンオリンピックの現地クルーとして派遣されていたアメリカABC TVの拠点銃声が聞こえる。ABCの拠点は選手村のすぐ隣にあった。何かあったのか?とスタッフたちは最初は思っていたら、至る所から情報が入り事件と察知する。パレスチナ武装組織「黒い九月」による、イスラエル選手団を人質にするテロが発生したのだ。
制作担当者(ジョン・マガロ)はカメラを屋外に運び出して宿舎の部屋を映し出す。選手村内にも選手に変装したクルーの一人が検問を突破しフィルムを運ぶ。フィルムには覆面姿の犯人がくっきりと映る。現地にいるスポーツ局の責任者(ピーター・サースガード)は、事件が分かり「報道局に任せろ」という指示を拒否してCBSと交渉し通信衛星の時間枠を交換して生中継を続けるのだ。


緊迫感あふれる90分であった。
スピード感あふれて目が離せない場面が次から次へと続く。


ユダヤ対アラブの思想的な背景には触れずに、ひたすら超特ダネを追うTV局員たちを追う。局内のクルーを選手に化けさせて厳戒態勢の選手村に忍び込ませて映像を撮ったり、やれることはなんでもやる。果たして生中継として放送して良いのか?というTV局内のスタッフ同士の葛藤もある。銃をもった警察部隊が屋根にあがって侵入する場面を撮っていると警察が撮影を止めろとTV局の拠点に銃を持って踏み込んでくる。

誰も彼もが必死だ。その真剣度合いがこちらにも伝わってくる。
人質が解放されたという情報が流れる。それが真実という裏がとれていないうちに発表するかどうかの社内の葛藤も見どころのひとつ。歓喜にあふれた局内が一転悲報でどん底に落ちる。アップダウンが90分間続いていた。


クレジットトップはTV局の現地責任者を演じるピーター・サースガードで、メジャー俳優が出演しているわけでない。それでも個性あふれるTV局員をそれぞれに巧みに演じていた。俳優たちの動きに緊迫感を持たせたティム・フェールバウム監督の手腕が光る。昨年自分が傑作と評したドイツ映画「ありふれた教室」の主演レオニー・ベネシュが現地のドイツ語通訳役で出演していた。途中で気がついた。戦後ドイツの立ち位置を示す重要なセリフもあって今回も存在感がある役柄だった。
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映画「リアルペイン」 ジェシーアイゼンバーグ&キーランカルキン

2025-02-04 21:22:52 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「リアルペイン」を映画館で観てきました。


映画「リアルペイン」ジェシーアイゼンバーグ自ら主演監督脚本を務める新作だ。ポーランドでナチス迫害の痕跡を辿るツアーに従兄弟と参加する数日間の体験を追っていく。ジェシーアイゼンバーグと言えば「ソーシャルネットワーク」でFacebookのマークザッカーバーグを演じた時の早口言葉が頭に刻み込まれている。正統派俳優とは違うキャリアを歩んでいる。ポーランドが舞台となると、第二次世界大戦中あるいは戦後を扱う作品が多い。なので現代ポーランドのことはよくわかっていない。多分一生行くことのないこの地をよく見てみたい気になる。

ニューヨークに妻子と暮らすデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)といとこのベンジー(キーラン・カルキン)は、亡くなった祖母の祖国ポーランド第2次世界大戦の史跡ツアーに参加する。ツアーには英国人のガイド。定年間もないアメリカ人夫婦に、離婚したばかりの女性。ルワンダで虐殺を経験してユダヤ教徒に改宗した男性が参加している。


変わり者のベンジーは自由奔放な発言と自分勝手な行動で周囲を惑わす。ワルシャワからナチスドイツに迫害された人々の旅路を体験するというツアーを巡りユダヤ人の収容所で絶句して祖母の住んでいた家まで訪れる。

短編小説のような味わいの映画で飛び抜けて何かあるわけではない。
欧州らしい街並みを観ているのは気分がいい。名所を闊歩する俳優たちも楽しそうだ。移動する列車から見た車窓の景色もよく日本では無くなった食堂車もある。バックで流れるのはショパンのピアノ曲だ。おなじみのピアノソナタが流れ続ける。ワルシャワの空港はショパン空港というらしい。初めて知る。


ただ、映画を見ているうちに、いとこのベンジーが勝手な発言をしたり、団体行動なのに突飛な行動でムカついてくる。なんだコイツと思うと、映画を観ていて腹立たしくなる。ベンジーは一等車の移動なのに、辛い思いをした先人の気持ちを味わえないと座席の移動をしたり、到着駅に着いたのにわざと寝ているいとこを起こさない。ツアーガイドにも、観光名所を回るのはいいが、現地のポーランド人との触れ合いがないとやたらクレームをつける。

なんだ空気の読めないやつだと思った。でも、なんといとこのベンジーを演じたキーラン・カルキンが今年のゴールデングローブ賞で助演男優賞を受賞した。アカデミー賞でも候補だ。映画見終わって知り驚く。観客の自分をむかつかせるほどのパフォーマンスが受けたのではなかろうか?直近に睡眠薬事件も起こして心に痛みのある現代人の憂うつも表現したとも感じる。最後の空港でいとこと別れた後の場面に哀愁を感じた。


このベンジーの発言は脚本のジェシーアイゼンバーグが感じたことを代弁している気もした。ポーランドにルーツを持つジェシーはたびたびポーランドに行っているようで、同じような体験をして感じたことを映像にしているんだろう。ポーランドのユダヤ人収容所の場面は観ていて心が痛む。ポーランドはソ連とドイツの挟み撃ちで両国にいいようにされた。ジェシーアイゼンバーグ「ソーシャルネットワーク」で初めて彼を知った時と同様の早口言葉が健在だった。
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映画「ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた」 ケイシー・アフレック

2025-02-01 10:38:41 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ドリーミン・ワイルド 名もなき家族のうた」を映画館で観てきました。


映画「ドリーミンワイルド」は実在のミュージシャンの実話をもとにしたアカデミー賞俳優ケイシーアフレック主演の音楽を題材にしたドラマだ。監督脚本は「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」ビル・ポーラッドである。ビーチボーイズのブライアンウィルソンの紆余曲折を描いた「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」は自分の大好きな作品で、ケイシーアフレック蓮實重彦先生お気に入りのデイヴィッドロウリー監督作品をはじめとして自分には相性がいい。これは早速行くしかない。モデルとなったドニー&ジョー・エマーソンのことは初めて知る。

1979年、ワシントン州の農場に生まれ育った10代半ばすぎのドニー(ノア・ジュプ)と兄ジョーの音楽デュオが父(ボー・ブリッジス)が広大な敷地内に建てたスタジオで1枚のアルバムを完成させるも世間からは見向きもされなかった。兄は実家に残り、弟はミュージシャンとして故郷を離れた。


2011年、妻のナンシー(ズーニーデシャネル)と音楽活動を続けるドニー(ケイシー・アフレック)のもとに兄ジョー(ウォルトン・ゴギンズ)から実家に来るよう連絡がある。アルバム「ドリーミンワイルド」が、コレクターの間で人気となり、再発盤リリースのためにレコード会社が来訪するというのだ。昔の不人気を思いドニーは疑心暗鬼だったが、両親は大喜びだ。その後ラジオ番組に出演したり、NYタイムズの取材も受け、シアトルの有名会場でのライブ開催も決まる。全米ツアーの話も舞い込む。しかし、ドニーは封印していた過去と向き合い葛藤する。

アメリカの郊外を舞台にした胸に沁みるいい映画だった。よかった。
30年前にだしたアルバムが突如脚光を浴びるシンデレラストーリーなのに、主人公ドニーはどうもスッキリしない。しかも、今は売れないミュージシャンだ。長い間苦労して音楽活動をしてきたのに、評価されるのは昔の曲だけ。一緒に組む兄は長年演奏とは無縁だった。プロから見ると相棒として物足りない。色んな葛藤が脳裏をよぎる。

⒈ケイシーアフレック
ケイシーアフレックは孤独で風変わりな男を演じると実にうまい。落ちぶれたミュージシャンで、脚光を浴びるのはうれしいがジレンマが残るドニーを巧みに演じる。アカデミー賞主演男優賞を受賞した「マンチェスター・バイ・ザ・シー」での元妻役のミッシェルウィリアムズとの掛け合いが強く印象に残っている。変人を演じる時のうまさがここでも引き立つ。


⒉お人好しの父と兄
きわどいビジネスを扱うアメリカ映画も好きだが、広大な草原が映像に映る田舎が舞台もたまにはいい。ここでは役柄としての主人公の父親と兄に感動する。2人とも日本でもよくいる田舎のお人好しだ。映画の途中まで普通のシンデラストーリーかと思っていたら、主人公とお人好しの家族との葛藤があった。葛藤といってもカリカリしているのは弟だけである。

⒊資産売却で支えた父親
父はワシントン州の郊外で広大な敷地の農場を経営してきたのに、音楽の才能がある息子たちのために敷地を切り売りして1700エーカーの敷地が今では65エーカーだ。ちなみに。1エーカーは1200坪でとんでもない敷地を持っていた。映画の最初で売地の看板が映像に映し出されてなんだと思ったらそういうことだった。

そんな父を演じるのは大ベテランであるボーブリッジスだ。自分が大好きなジェフブリッジスの兄貴だ。名作「恋のゆくえ」で弟ジェフブリッジスと兄弟デュオを演じていた。その時もミッシェルファイファーの女性ヴォーカルが加わり3人トリオになる。こんな名作が今回のボーブリッジスの起用に影響しているのかもしれない。


⒋寛容な兄貴
10代の頃、兄弟で売り出してきたけど、才能のあるのは弟だ。それは十分わかっているので兄貴が出しゃばらない。性格も温厚だ。弟のソロデビューの話があっても嫌な顔をせずに兄は快く受ける。兄貴と再結成して再デビューをしようと練習を始めても弟から厳しいことを言われ続ける。この映画のキーポイントになるライブのあとの弟の撹乱も同様だ。この兄貴はいい奴なんだなと映画の間思っていた。


ネタバレになるけど
色んな葛藤があった後で最後にライブハウスでの演奏シーンでラストを迎える。メンバーは兄弟と弟の長年の相棒の妻ナンシーだ。いい感じだと思っていたら、実在のエマーソン兄弟の演と代わっていく。エマーソン本人の通った声がいい。観ているうちに、家族内の葛藤シーンが脳裏を遮り涙がこぼれ落ちる。
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映画「アプレンティス ドナルドトランプの創り方」セバスチャン・スタン

2025-01-23 08:22:28 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「アプレンティス ドナルドトランプの創り方」を映画館で観てきました。


映画「アプレンティス ドナルドトランプの創り方」は2度目の大統領職に就任するドナルドトランプの若き日を描いた作品。レーガン大統領時代の1980年代初頭までさかのぼる。いよいよ大統領就任で今までと真逆な政策も打ち出しているドナルドトランプが敏腕弁護士ロイコーンと出会い、トランプタワーを建設する頃が題材だ。

監督は映画「聖地には蜘蛛が巣を張る」のイラン人監督アリ・アッバシである。イランでの凶悪殺人事件を追う女性ジャーナリストを題材にした作品で自分にはおもしろかった。日本ではマスコミのトランプ嫌いが極端すぎると考える自分だが、とりあえず観てみる。

20代のドナルド・トランプ(セバスチャン・スタン)は危機に瀕していた。不動産業を営む父の会社が政府に訴えられ、破産寸前まで追い込まれていたのだ。そんな中、トランプは政財界の実力者が集まる高級クラブで、悪名高き辣腕弁護士ロイ・コーン(ジェレミーストロング)と出会う。大統領を含む大物顧客を抱え、勝つためには人の道に外れた手段を平気で選ぶ冷酷な男だ。

そんなコーンが“ナイーブなお坊ちゃん”だったトランプを気に入り、〈勝つための3つのルール〉を伝授し洗練された人物へと仕立てあげる。やがてトランプは数々の大事業を成功させていく。(作品情報 引用)


映画としては普通、若き日にこんなことあったのねとして観るだけ。
この映画は現在のドナルドトランプの原型を映し出す。トランプが上映差し止めに動いたとの宣伝ほどには過激ではなかった。まだ青二才のトランプが管理している賃貸の入居者の部屋に行って督促をするシーンまである。

その後ハイソサエティの人たちの会員制クラブに入会して敏腕弁護士ロイコーンに出会う。ドナルドトランプは卑劣な手段も辞さないロイの教えに従う。きわどい弁護のおかげで訴訟に逆転勝利をして会社の危機を乗り越える。その後、自力でアトランティック・シティーのカジノ買収やトランプ・タワーの建設を成し遂げていく。最初の妻との関係や落ちぶれていくパイロットの兄の死などを取り上げる。ドナルドトランプの兄についての情報は初めて知った。


⒈日本マスコミのトランプ嫌い
ドナルドトランプは接戦の下馬評を覆して圧倒的な強さで当選した。日本人的感覚では信じられないと思う人が多いようだ。朝日などの左翼系新聞やリベラルという名で金儲けしている評論家が出るサンデープロジェクトなどのTVが悪口を言うのは仕方ない。直近では日経新聞の論調にもトランプ嫌いがにじみ出る。映画の宣伝文句も似たようなネガティヴ系の話が目立つ。実際にはイメージが先行している気もする。

⒉大統領就任式のメンバーにビックリ
大統領歴任者夫妻が列席するのはカーター大統領国葬と同じで別に驚かない。Facebook、Amazon、Googleのおなじみ3人のTOPにイーロンマスクが前の方で並んでいる映像には驚く。AppleのCEOもいたようだ。テック企業のオールスターメンバーが勢ぞろいすることってないでしょう。大統領就任にあたり多額の献金があったニュースは知っていたが、今回の揃い踏みにはビックリだ。日本からはソフトバンクの孫正義も出席していて、トランプ承認のもと兆単位のAI系の投資を米国ですることで今日のソフトバンクの株は10%以上の急騰だ。

この映像を見て、ホッとしたのは日本人投資家たちだろう。NISAで今年投資する一般投資家からは、オールカントリーを含む外国投信へのウェイトが90%を超えるらしい。オールカントリーであっても米国株のウェイトは60%程度と高い。今回大統領就任式に出席した企業の株式は当然その中に入る。AmazonにしてもGoogleにしても当局から制約を受けるニュースが続く。トランプ大統領によってそれが覆されれば万事安泰で株価もこれまで通りじり高が続くだろう。

トランプがUSスチールなどの伝統企業を応援するだけでなくテック企業も応援する意思表示が全世界にされた意義は大きいと感じる。すばらしい!

企業献金で大騒ぎする日本の野党のみなさんと左翼胆っ玉小さいねえ。
日本人が外国に投資するのは日本の資本主義を信頼していないからだ


⒊NHKスペシャルと民主至上主義
1月2日に何気なくNHKでトランプ就任にあたっての特集番組「新トランプ時代」を見た。これがものすごく良かった。NHKだけにトランプ嫌いの面々のコメントが続くと思ったら賛否両論を取り上げていた。番組を見てアメリカでトランプ支持者が多い理由を理解できた。内容的には批判的な立場のコメントと同時に、イーロンマスクが政府の規制を減らす小さい政府を主張している話で展開した。その後で登場したトランプを支持する女性政治学者エミリーフィンリー(フィンレイ)博士のコメントがわかりやすかった。感銘を受けた。「民主至上主義」という著書はすぐさま購入した。

イメージ的に好戦的に思われているドナルドトランプが実は真逆で、民主主義を守るという理由で他国の余計な争いに介入するなというのだ。米国民は誰もが戦争に関わりたくないからトランプを支持する。これまで世界の警察のように介入してきたアメリカと違う立場だというのだ。驚いた。共和党のブッシュ政権のイラク戦も本では批判する。

ウクライナについても、当事者同士の問題なので介入せずが正しいとの立場だ。最初にトランプが当選した後で、いわゆる知識人が当選を批判したこと自体、民主主義の選挙で選ばれた大統領を否定するのがおかしいとの立場だ。異端な意見を排除するインテリへの目がきびしい。久々に腑に落ちた発言だった。

どうも民主党がインテリ党のようになってしまったのが大統領選挙敗因との説もある。フランスのピケティが新著で知識人を「バラモン左翼」と偉そうと指摘する。知識人のうぬぼれは微妙な状況だ。
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映画「I like movies アイライクムービーズ」

2025-01-04 08:49:52 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「アイライクムービーズ」映画好きのカナダの高校生を主人公にした青春ストーリー。監督は本作で長編デビューしたチャンドラー・レヴァック。先月のポパイの映画特集で表紙になっていた。この正月見たい映画がない。その中で目を引いたのがこの映画で選択する。うーんまいった。という感じだ。


カナダの田舎町で暮らすローレンス(アイザイア・レティネン)は映画が生きがいの高校生。社交性がなく周囲の人々とうまく付き合えない彼の願いは、ニューヨーク大学でトッド・ソロンズから映画を学ぶこと。唯一の友達マットと毎日つるみながらも、大学で生活を一新することを夢見ている。

ローレンスは高額な学費を貯めるため、地元のビデオ店「Sequels」でアルバイトを始め、そこで、かつて女優を目指していた店長アラナなどさまざまな人と出会い、不思議な友情を育む。しかし、ローレンスは自分の将来に対する不安から、大事な人を決定的に傷つけてしまい……。(作品情報引用)


期待はずれのイマイチな映画だった。
映画好きでビデオショップでバイトをするとプロフィールはクエンティンタランティーノを想像した。いわゆる映画オタクで映画作品が固有名詞でドンドン出るかと思ったら違う。レンタルビデオショップで別のお客さんがソフトを探しているのに割り込んでオススメはとでしゃばる予告編を見て期待していたのに、結果的にはそんなオタクイメージがなかった。ビデオショップの女店長が好きな映画がジュリアロバーツ主演の「マグノリアの花」なのに見ていないと主人公が言った時点で、思わず「え!マジかい」てな感じだった。主人公のプロフィールも全く共感が持てない。なんだこいつと思いながら退屈な時間を過ごした。

結局のところ,第一志望のニューヨーク大学には入れずに奨学金がもらえる大学に行くことになった。父親が自殺して母子家庭、なので、それはそれでよかったけれども,本人は失望していた。


そんな主人公が大学に入る前に偶然ホットドックを食べに入ったカフェで店長に出会う。その時大学に入ったときこうしたほうがいいよとのアドバイスで「人の話をよく聞け」と言われる。これまでできていなかったのだ。その後大学の寮に入ったシーンで、仲間に質問を連発して実行しているところを見たときには、少しは嫌気が軽減された。

どうも幸先が良くない。年末Netflixで「イカゲーム2」を見た。面白かった。そっちの感想を書いたほうがいいと思うが、人気作品なのでネタバレになってしまうからしばらく経ってからにする。

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映画「型破りな教室」 エウヘニオ・デルベス

2024-12-21 17:17:27 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「型破りな教室」を映画館で観てきました。


映画「型破りな生活」メキシコ映画、荒れ果てた小学校に着任した熱血教師と生徒たちの物語である。原題はRadical(過激な?)で2011年に起きた実話に基づくクリストファー・ザラ監督の作品だ。アカデミー賞作品「コーダ あいのうた」で主人公の才能を見いだす音楽教師役だったエウヘニオ・デルベスが出演というのが気になる。ものすごく印象に残る演技だった。

アメリカとの国境に接するメキシコの町マタモロスの小学校は貧困地区の生徒が多く、学力テストでは全国最下位のレベルだった。パソコン室からPC本体が盗まれて閉鎖、図書室も機能していない。その6年生のクラスにフアレス先生(エウヘニオ・デルベス)が着任する。

机と椅子が積み上げられ、新しい先生が授業をはじめる。「なぜ船は浮くのか?」生徒たちに問う。「太った校長とフアレスはどっちが浮きやすいか?」フアレスは密度の概念を教え、校庭の貯水槽で校長の密度を測る。そんな授業を続けて生徒たちの信頼を集めるが、学力はあっても貧困で上の学校にも上がれない生徒もいる。


実話に基づく熱血教師による正統派教育物語だ。
1960年代までの日本では似たような題材の映画が数多くある。メキシコ国境というと数々の映画で麻薬取引や犯罪の渦というのが取り上げられてきた。舞台になるマタモロスの名前は初めて知った。地図で見ると大統領選挙でも話題になるまさしくアメリカとの国境に位置する。兄貴が愚連隊(ギャング)に所属して、自分も小学校卒業したら来いといわれているギャングの使い走りの少年もいる。育ちは誰も彼も最悪だ。全国最下位レベルの学校ではやる気のない教師が家庭事情のよくない生徒を教えて何も改善できなかった。


でもこのクラスの生徒には才能がある。初歩的物理の応用ともいえる問いかけにも呼応できる。自分が同じ小学校6年の時同じようにできたかはわからない。日本では中学3年生で習う平方根(ルート)もすでに習っているルート256といったらあっさり16と答えている。歴史の質問も中高生並みでレベルは高いんじゃないかと感じる。資質は全国最下位レベルではない。

廃品回収業の父を持つ美少女パロマが生徒の中ではメインだ。父親が業者に持ち込んだ廃品金属の価格算出をちょろまかされそうになっても、計算間違いと指摘する。1から100までの数字の合計をあっさり算出した数学史で有名なガウスの逸話と同じような流れで5050を導き出す。夢は宇宙工学の学者だ。望遠鏡まで作ってしまう。でもNASAの体験教室への参加という先生の助けも親はいい顔をしない。このままだと貧困で埋もれてしまう。


哲学に興味を持った少女もいる。ファレスが薦めるJ・S・ミルの本を探しに行っても小学校の図書館にはない。大人向けの図書館で大量に借りて熱心に読む。でも、面倒を見なければならない弟や妹も3人いて、母親のおなかに赤ちゃんもいる。貧乏人の子だくさんだ。自分が働くのであなたが赤ちゃんの面倒を見るから上の学校へはいけないと言われている。悲劇だ。中絶せざるを得ない状況についても、大人並みの考えを持っている。いちばんせつない女の子だ。


日本では貧困で進学を断念というのは1970年代に入るとあまりないのではないか?映画「キューポラのある街」で成績の良い中学生吉永小百合が名門女子高の校庭を見ながら行きたいと願望しつつ定時制の道を選ぶのが1962年だ。メキシコは50年遅れていると言ってもいいのだろうか。ゆとり教育の日本と違い小学校でルートを習うレベルなのに残念だ。

エウヘニオ・デルベス「コーダあいのうた」に引き続き好演である。
ただ、新任教師のフアレスによる型破りな授業でクラス全体の成績は飛躍的に上昇。そのうち10人は全国上位0.1%のトップクラスに食い込んだ!という宣伝文句は実際にそうだったとしても、この授業だけで全員の学力が上がったのか?は疑問である。ファレスは途中でメキシコの共通テストと思われる試験の対策勉強をさせないと拒否している。ちょっとええかっこしいだよね。気に入らないのはそこだけ。

思春期の子供たちを実に生き生きと撮っていることだけは間違いない。
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映画「ザ・バイクライダーズ」 オースティンバトラー&トムハーディ

2024-11-30 17:23:43 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「ザ・バイクライダーズ」を映画館で観てきました。


映画「バイクライダーズ」は1965年から1973年にかけてシカゴを中心にしたバイク集団の物語。主役は「エルヴィス」で興奮させてくれたオースティンバトラーである。その妻役が「最後の決闘裁判」ジョディカマーで、バイク集団のリーダーがトムハーディだ。豪華メンバーだけど、映画はアメリカ土着の匂いが強くかなり泥くさい。監督は「MUD」ジェフニコルズ。バイク集団の写真を撮っていた写真家に妻キャシーが回想を語る形で展開する。

1965年、シカゴのバーでキャシー(ジョディ・カマー)は、イケメンのライダーベニー(オースティン・バトラー)と出会う。キャシーの男がいる自宅に行った後5週間で結婚を決める。ベニーはケンカ早くて無口でジョニー(トム・ハーディ)率いるライダーグループ「ヴァンダルズ」に所属する。グループのメンバーは地元の荒くれ者たちでルールなんて守れない。やがてジョニーの一味は各地に支部ができるほど急速に拡大する。一方でクラブ内の治安は悪化していく。


いかにもアメリカらしい映画
ベニーの妻・キャシーによる回想として語られる。いかにもゴールデンエイジの奥様らしい。音楽は60年代の曲を効果的に挿入して気分はウキウキする。大きな緩急があるわけではないがテンポはいい。何かにつけて取っ組みあいする感覚が現在の日本人感覚とは離れている感じがする。戦争をやる国だからなのかなと思ってしまう。他のライダーチームと大げんかした後で、一緒に酒を酌み交わすシーンもあって不思議な感じを覚える。男の世界の映画であるのは間違いない。

「ヴァンダルズ」のメンバーは、共通の紋章をつけたジャケットを身にまとい、バイクを乗り回す。日本の暴走族とは少し違う。颯爽と走る姿を見てメンバー入りを希望する男たちは多い。メンバー入りを許可するのはジョニーで入れないこともある。それでも組織が拡大するにつれて面倒な奴も入ってくる。ベトナム戦争経験者はドラッグに溺れている。後半はぐちゃぐちゃになった映像が続く。


オースティン・バトラーがかっこいい。無口で余計なことは話さない。クチより手の方が早くケンカ早い。免許がなくなっても平気で走る。絡まれてやられる場面もあるけど、リーダーのジョニー(トムハーディ)が中心となってしっかり仕返しする。仲間を思う気持ちも強く、親分たる貫禄は十分だ。ずっとタバコを吸いまくる。最終局面が近づき、それまでと違うドラマも生まれて、白バイ隊に入ろうとする男への処置などジョニーの行いに疑問に思う場面がでてくる。栄枯盛衰の流れだなと感じる。
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映画「グラディエーターⅡ」 リドリースコット&ポール・メスカル

2024-11-17 16:57:49 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「グラディエーターⅡ」を映画館で観てきました。


映画「グラディエーターⅡ」はアカデミー賞作品「グラディエーター」から24年経ちリドリースコット監督がつくった続編だ。ローマ帝国の全盛時代で今も残るコロセウムを舞台にした闘いをメインにする。予告編での迫力ある映像を観ると随分とお金がかかってそうだ。日本の低予算映画もいいのもあるけど、大画面で堪能できる作品で映画の醍醐味を味わいたい。主演のポールメスカル「アフターサン」「異人たち」で観ている。正反対に近い役柄だ。ローマ帝国時代なのに、アフリカ系のデンゼルワシントンが出演しているのも気になる。早速映画館に向かう。よかった。

いきなり海岸で戦争のシーンでスタートする。すごい迫力だ。解説はなくどっちが味方か敵か全然わからない。途中から海から攻めている軍が優位だとわかっていく。ローマ帝国の軍隊北アフリカを攻めているようだ。主人公とその妻は戦いでやられて妻は死ぬ。運良く生き延びた主人公のハンノ(ルシアス)は捕虜となる。そこからグラディエーターとしての生き様を見せる。


ハンノことルシアス(ポール・メスカル)は、将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)率いるローマ帝国軍の北アフリカへの侵攻により愛する妻を殺され、自らも負傷するが捕虜として拘束される。ハンノは捕虜同士が格闘で殺し合うサバイバルゲームに巻き込まれる。

ハンノ(ルシアス)はいくつもの厳しい闘いで生き残り、謎の奴隷商人・マクリヌス(デンゼル・ワシントン)にその強さを見込まれる。そしてローマへ連れられて行かれて、剣闘士「グラディエーター」となる。コロセウムで難敵と次々闘っていく。


見応えのある作品だ。2時間半飽きずに堪能できた。
昨年観たリドリースコット監督の映画「ナポレオン」の戦争シーンでは圧倒された。時代がさかのぼっても、火薬や弓が飛び交ういきなりの海での戦闘に目を奪われる。前作同様お金がかかっているなあと感じる。VFXも多用しているのもわかるが、大画面ではえる。加えて、主人公が次々と難敵と対決するシーンもドキドキするばかりだ。

2時間半にも及ぶ長丁場であっても、最近の日本映画に多い妙な長回しで時間稼ぎする感じではない。簡潔に5分程度でそれぞれのシーンを手際よく集約して、スピード感をもって進めていく。リドリースコット監督さすがの手腕である。

⒈ローマ帝国の皇帝
ローマ時代を語るのが好きな人っている。うんちくを聞いていると疲れるので、ウンウンうなずいて話をそらす。自分は世界史が好きでもローマ時代への関心は薄い。でも、五賢帝の1人マルクス・アウレリウス・アントニヌスなんて皇帝の名前は今でもそらで言える。この賢帝が亡くなって16年経ったという時代設定だ。その賢い皇帝の娘が今はアカシウス将軍の妻(コニーニールセン)で前作の主人公(ラッセルクロウ)と恋仲になっていたことで、今回の設定を創作する。

現存したバカな兄弟カラカラとゲタ2人で共同統治している時代だ。この映画ではこの2人の悪趣味ぶりが強調される。暴言を吐いて周囲を振り回す。この兄弟は仲が悪かったと伝えられるがこの映画ではそうでもない。宮殿でもコロセウムでも命をかけた真剣勝負の闘いを見てヘラヘラ楽しんでいる。志村けんのバカ殿みたいだ。途中までバカ帝ぶりにあきれる場面が続いたあとで、イザコザも起きていく。


⒉コロセウムの水面での闘い
予告編でコロセウムを上空から俯瞰すると、グラウンドがプールのようになっているシーンがある。なんじゃこれと思っていた。水面に船を浮かべて闘わせる。水の中にはサメが泳いでいて、飛び込むと一気に食べられてしまう。

そもそも自動車もない時代に大きなサメを生きたまま運ぶなんてことはありえない。でもそんなことマジで考えずに見応えある映像を楽しむしかない。「ナポレオン」でも凍った湖での戦いで水中カメラを使うシーンがあったが、「グラディエーターⅡ」でも同様に水中で落ちた人が暴れるシーンが目立つ。


⒊15禁の理由とサバイバルゲーム
一瞬エロチックな場面があるのかと思っていたら違う。残虐なシーンがあるからということだろう。奴隷商人のマクリヌス(デンゼルワシントン)が捕虜たち同士で殺し合いと思しき取っ組み合いをさせる。残虐だ。この世の動物と思えない猛犬のような猿(映画ではモンキー)にハンノを闘わせる。ローマに行くとコロセウムでは巨大なサイが襲ってくる。まさにサバイバルゲームである。最終ピンチを脱却するとわかっていてもドッキリだ。

主人公ルシアス(ハンノ)は架空の人物だ。単なる捕虜がアカシウス将軍の妻とつながり常人でないことが徐々にわかっていく。改めてローマ史を確認するとカラカラ帝、ゲタ帝、そしてデンゼルワシントン演じるマクリヌスも事実と異なってはいる。でも、そんなことはどうでもいい。架空のローマ史のストーリーだてを楽しむしかない。
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映画「トラップ」 ジョジョハートネット

2024-10-26 17:40:08 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「トラップ」を映画館で観てきました。


映画「トランプ」「シックスセンス」から独特の作風のM.ナイト・シャマラン監督の新作で、ジョシュ ハートネットが主演だ。ハートネットの主演作を観るのは久々な気がする。人気アーティスト役でシャマラン監督の長女サレカ・ナイト・シャマランが主演している。サレカのパフォーマンスはよかった。

溺愛する娘ライリーのために、消防士のクーパー(ジョシュ ハートネット)は世界的アーティスト、レディ・レイブン(サレカ・ナイト・シャマラン)が出演するアリーナライブのプラチナチケットを手に入れた。クーパーは会場についた後で異変に気づく。大勢の警察や警備やFBIもいる。3 万人の観客が熱狂に包まれる中、ライブが幕を開ける。クーパーは口の軽いスタッフから「指名手配中の猟奇殺人犯についてタレコミがあり、警察がライブというトラップ(罠)を仕組んだ」ことを聞き出す。という。クーパーは会場で不審な行動を見せるようになる。クーパーは秘密を隠していた。


期待外れの映画だった。
事前情報なしでの鑑賞だった。巨大ライブ会場の熱気が伝わる中で、ジョシュ ハートネットの動きがおかしい。女性を階段から突き落としたり、内部で働く人のセキュリティカードを盗んだりしていく。女性を突き落とすあたりから何か変だな?と思うようになったけど、状況を理解するのに時間がかかる。途中で凶悪犯をコンサート会場で追いつめるというのがわかるけど、なんかしっくりこない流れだ。


実は意味不明な設定が多すぎるので戸惑ってしまった。普通ようやく手に入れたコンサートチケットなのに休憩時間でもなく会場の廊下にこんなにたくさん人がたむろっているかしら?色んなグッズってコンサートの前後に買うもんだけど、ここではコンサートの途中で行列になっている。しかも、やたらにトイレ行ったり、座席を外したりするものかしら?人気歌手のセキュリティもいい加減だ。普通はありえないよなあ。

話もわかりづらい。ちょっとガッカリだ。
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