映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

Shall we Dance? リチャードギア

2012-11-25 21:52:46 | 映画(洋画:2000年以降主演男性)
リチャードギア主演の映画「shall we dance」は日本版のシャルウィーダンスのリメイクだ。

リチャードギア主演で、ストーリーの基本構造は日本版と同じだ。アメリカ事情にあった形で一部アレンジが変わっている。正直リメイクの方が若干洗練されている印象を受ける。想像以上によくできていると思う。

シカゴが舞台だ。
相続遺言を仕事にしている主人公ジョン(リチャードギア)はまじめな弁護士だ。一人娘とアパレル関係の仕事をしている妻(スーザンサラントン)とごく普通に暮らしていた。その彼はループ鉄道での帰宅途中でいつもダンススタジオが気になっていた。一人の美しい女性(ジェニファーロペス)がさみしげに窓から外を眺めているのをいつも見ていたのであった。ある時電車の中からいつものようにダンススタジオを見上げた時に、ふと途中下車をしてしまう。見学自由ということでスタジオに入っていくと、ダンス教室へ勧誘を受けた。同じように男性が2人いて、2人と一緒に入会する。ここではデブの黒人の若者とゲイの男性だ。毎週水曜日の夜7時半ということであった。
スタジオではいつも見ていた美しい女性でなく、経営者の初老の女性が教えてくれた。徐々にステップをおぼえて、職場でも陰で練習するようになる。長髪の男性ダンサーがラテンのリズムで踊るのを見て、顔に見覚えがあった。ふとしたことで長髪のかつらがとれてしまい、ハゲ頭が飛び出る。法律事務所の同僚だった。それぞれに研鑚を重ねて、シカゴのダンス大会を目指すようになる。
一方妻は帰りが遅くなった夫が気になる。洗濯しようとするシャツに香水がにおうのもおかしい。妻は探偵の元へ行き、夫の素行調査を依頼する。探偵は夫の後を追い、ダンス教室に通っていることを知るが。。。

オリジナルは何度も見ている。いつ見ても面白い。気高い雰囲気の草刈民代が美しく、役所広司もまじめな主人公のキャラをうまく演じる。それと対比してあらわれる竹中直人と渡辺えりこがうまい。ただ、元々の作品は低予算でつくられているせいか、映像が自主製作映画のように粗い印象だ。
アメリカ版はいかにもダンスシーンをとらえるカメラが実に巧みだ。プロの仕事だという印象だ。

シカゴが舞台だ。ラテン系の人はニューヨークに比較すると少ない。ジェニファーロペスをもってきたのはどうしてなんだろう。情熱的なムードを醸し出す。

ダンス大会前夜にジェニファーロペスと主人公が情熱的なダンスを踊る場面がある。この部分は原作にはないと思う。大会でワルツ系を踊る主人公であるが、彼女とかなり情熱的なラテンを踊る。この場面が自分にはよく見えた。いかにもキスシーンがあってもおかしくない設定なのに、それなしでそれ以上の激しい何かを感じさせるところがうまい気がした。

原作でキーポイントになるシーンがいくつかある。帰り際偶然一緒になった主人公がダンス教師を誘い出すシーン、ダンス大会でミスをしてしまうシーン、ラストダンスで主人公があわてて入ってくるシーンだ。
ほぼ原作に忠実にうまくまとめる。
その中でも割とさらっと流したかな?と思わせたのがラストダンスのシーンだろう。まさにそこに映画のヤマをもっていった原作と比較すると、割とアッサリだ。しかも主人公たちが踊るダンス音楽が早めにアップテンポに変わる。ここが意外だった。ダンスパーティがディスコパーティ風になるのもイメージが異なる。

逆にここでは妻の存在感が高い。原作以上に夫婦再生というテーマ性が強いのが特徴で、ちょっとした浮気映画に見せない工夫があるところが日本との違いだ。
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映画「お買いもの中毒な私」 アイラ・フィッシャー

2012-11-23 04:31:06 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
映画「お買いもの中毒な私」は2009年製作のラブコメディだ。

カード破綻にはまりつつあるアメリカ女性の物語、都合のいい脚本だけど気楽に見れる楽しい映画だ。
現代アメリカの世相を裏側から鮮明に表わしているようで凄い!
この映画は単なるラブコメディとして見ない方が良いと思う。

舞台はニューヨーク
主人公のレベッカ(アイラ・フィッシャー)はガーデニング雑誌の編集者だ。買い物が大好きで気にいったものがあるとすぐカードで買ってしまう。気がつくとカードの請求書の山だ。支払い催促の電話にいつも悩まされている。

そんな彼女は一流ファッション誌の記者になることを夢見ており、記者の求人を見て応募する。ところが、面接当日受付に向かうと、もう補充できたと聞く。でも同じ出版社の経済雑誌には求人があるらしい。早速面接に向かう。編集長との面接はよくわからない経済の話でしどろもどろだ。あきらめていたところ、編集長は他の応募者と違う独特の個性を見いだし彼女は編集者として採用される。
編集長は早速に原稿を依頼する。でも彼女には経済の知識はなく、出てきた原稿は入門書とグーグル検索の話がネタだ。当然編集長からはありふれた話だと却下、どうしようかと彼女は借金に悩む自分自身の心情を原稿にする。それが編集長にうける!しかも、編集長が彼女を社長クラスがいるハイソなパーティにつれていくと、自由奔放な発言が受けるという意外な展開で彼女はもてはやされるようになるのであるが。。。

主人公はいい加減だ。借金の取り立てに追いやられ、ついたウソもつじつまが合わない。それでも、妙な運に恵まれてしまう。でもずっとうまくはいかない。そんな話だ。
ギャンブル依存症、アルコール依存症と並んで買い物依存症はよくある話だ。どれもカード依存症につながる。借金取りから逃げ回る主人公だ。そんな彼女に対して映画製作側はやさしく見守る。

この映画は現代アメリカの世相をよく表わしているかもしれない。リーマンショックの後、クレジットリボや住宅ローンにはまっていた人たちが多数破綻した。今でも復活できない人が多いかもしれない。どんなふうに買い物地獄にはまって行くのかがずいぶんと語られる。そして未回収金取り立ての男までが巻き込まれ笑えるコメディになる。女性にはもっと守銭奴な正反対の女性も多い。どちらかというと、この主人公は躁鬱病の躁の方だろう。うつは語られるが、躁病が言われることは少ない。すべてを自分の都合のいいように解釈する人だ。ある意味ギャンブル狂いに多い。カジノで破たんした大●製紙社長も躁病だろう。

主人公がカード依存症から脱却するために、同じ仲間たちとの懇談会に参加する。「これは必要か?」と買い物の前に自問自答の癖付けしているのに、目の前にバーゲンセールのチラシがすっとんできてバーゲンセールに行くときのシーンがおもしろい。

バーゲンセール会場でブランド品のブーツを見て、主人公は欲しいと思う。しかし、「これは必要か?」という自問自答にいったんはそのブーツを取り上げた元の場所に戻す。そのブーツを手に取る他の女の子がいて、主人公は興奮する。「これは私が最初にピックアップしたのよ!」女の子は言う。「だって今置いたじゃない。だから私のよ!」それに対して興奮する主人公!
結局それは主人公が手に入れる。カード残高が膨らみ後悔する主人公だ。
これは女の子の意地の悪さと、失うものへの執着心のようなものを感じた。

そんなシーンがいくつかある。ちょっとしたことで自分の思ったことの反対にはまる女性心理を教えてくれる意味でこの映画は意義がある気がする。
嫌味もある部分もあるが最高に面白い。
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5年目の雑感4(選挙はどうなる?)

2012-11-19 05:36:24 | 政治 経済 相場
ついに衆議院解散した。
野田さんもさすがにこれ以上もたもたすると、自分自身の選挙にも影響が出るかもしれない。
そんな推測も含めて解散に持ち込んだのかもしれない。
野田さんはTPPを選挙の争点にしようとしたとも言われる。自民の弱点だからだ。自民からするとうまくかわしたいところだ。佐藤優の言うとおり、「TPPをやらないという選択は日米同盟を放棄して中国に軍門に下るということ」と同じだ。それをわかっていないとケガをする。

野田さんのことは何回か話したが、前の2人の民主党首相よりかなりマシだった。消費税法案を通すし、原発は再稼働させるし、TPPも党内反対を押し切って推し進める。日本人全体に民主党アレルギーが蔓延している中で野田さんは集中砲火を浴びたが、歴史上まともだと評価される首相だと思う。少なくとも小泉さんの後の安倍さんや福田さんよりはマシだ。でも彼の命もあとわずかだ。

新聞で各党の候補者の一覧を見た。こうやって見ると、自民も民主もスター選挙区には強い対抗馬がいない印象だ。比例はともかく選挙区は意外に堅実に決まって行くのかもしれない。選挙巧者の小沢一郎が民主党のメンバーでないこともあるし、極端な偏りがない気がする。でも激戦区は最後までわからないだろう。
維新やみんなの党から出馬している議員の知名度は高くないのではないか。見ている限りでは自民、民主の現職または前回落選した自民ベテランが勝つパターンが多いような印象を受ける。そうすると、自民党から総裁が出ても過去2回の衆議院選挙のように偏らないで決まるだろう。

いずれにせよ、我々の生活は大きくは変わらない。

安倍さんは一度失敗しているから次は大丈夫なのかもしれないけど、わからないなあ。
ただ極度の金融緩和をやるって言っている。であるから衆議院選の勝利を織り込んで株は上昇している。自民が勝つと公共事業も復活してという期待からゼネコン株も上がっている。労賃が高くなっている今、そんなにうまくいくかなあ。そりゃそうさ、戦後まもなくじゃなく、大学に半分いく時代になり手がいないよ。ゼネコンのある営業部長は労務費でとられて利益がないとかなり厳しいこと言っていた。だから建設国債を日銀が買い取るなんて凄いこと安倍さん言っているけどこれは意味ないね。下手すると本当にハイパーインフレになる。

ただ、マネーサプライをもっと増やすということ自体は賛成だ。アメリカはリーマンショックの後日本の3倍程度マネーサプライを増やしている。世間ではアメリカが景気回復していないという人もいるが、現実ダウ平均株価は元に一度はほぼ戻している。これはバーナンキ議長の凄さである。

安倍さんが首相になって、強引に物事を進めて本当に過剰流動性となった時には、少しは土地の価格も上がるかもしれない。昔からインフレヘッジは土地と相場は決まっている。所得が上がらないから住宅地はほどほどだろうけど、投機の動きも出るかもしれない。そうして土地が極度に上がったら、今度こそ売っちゃった方がいいだろうなあ。
給料が上がっていて、デフレならばこんなに生活しやすいことはない。今はそんな人も多いのでは?ところが、消費税が上がって所得税もあげられて、重税がかけられる。しかもインフレとなるといいことない。インフレだから景気がいいとは必ずしもそうはならない。
うーんわからない。地道に働くしかないんだろう。中国がこんな状態の時、内需拡大となると面白いんだけど、ありえねえなあ。

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幸せへのキセキ マットデイモン

2012-11-19 05:10:01 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「幸せのキセキ」はキャメロン・クロウ監督によるマットデイモン主演の作品だ。

英題は「we bought a zoo」
動物園付きの建物を買ってしまった元ジャーナリストの奮闘記だ。

ジャーナリストのベンジャミン(マットデイモン)は人がやらない突撃取材を得意とする名ジャーナリストだ。最近妻を亡くして、14歳の息子と7歳の娘と暮らしていた。仕事上で会社とイザコザがあったことや妻の思い出が住んでいる街に染みついていることで、気分転換をしようと家さがしをする。ところがなかなかいい物件がない。そんな時7万平米を超える大きな土地付き住宅を見ることにした。

現地と住居を見てすぐに気にいる主人公だ。しかし、仲介の不動産屋がここには動物園が付属しているという。亡くなった動物園の持ち主の遺産で動物たちを管理しているらしい。それじゃ止めようとしたら、娘が動物になついているのを見て、移転を決意する。思いを胸に動物園の再オープンを目指す決意をする。

そこでは飼育係のケリー(スカーレットヨハンソン)をはじめとした大勢のスタッフがいた。

素人の彼の前には動物の維持費でかかるたくさんの請求書の山である。それに加えて所轄官庁の厳しい検査がある。本来7月からの繁忙期の前に検査に来るはずなのが、新しいオーナーの存在を知り、検査官が来る。早速検査官は動物園の中を巡回する。いくつかの指摘事項が出てきたが、それを直そうとすると15万ドルかかるという。そんな金は持ち合わせていないどころか、懐はかなりさみしくなっている。一体どうしたら良いのか。。。

映画のテンポは悪くない。短いカットを多用して、主人公およびその家族の状況を簡潔に紹介する。大体の筋がわかりやすく頭に入ってくる。動物園のシーンになっても同様だ。出演者は動物になじんでいる。適度な起伏もあるが、胸にしみる何かはない。暇つぶしにはいいけれど程度かな?マットデイモンもスカーレットヨハンソンも割と普通だ。

ここでもエルファニングが登場、年齢を経るにつれ頻繁に顔を出す。大ブレイク寸前だ。「スーパーエイト」「somewhere」に続きここでもいい感じだ。大女優の道を歩んでいる印象だ。
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映画「愛と誠」 妻夫木聡&武井咲

2012-11-18 17:25:15 | 映画(日本 2011年以降)
映画「愛と誠」は梶原一騎原作のコミックの映画化である。
三池監督が自分流でミュージカル調というより歌謡ショウというべきか独特の映画にまとめる。あまりのお遊びにひたすら笑うしかない。

自分はリアルでこの漫画を読んだくちだ。スポーツ根性一筋だった梶原一騎の恋愛モノ「愛と誠」は、不良からインテリまで誰もが読んでいた。失踪した高原由紀が突如現れるくらいあたりが人気のピークだったかもしれない。そのあとは若干だれる。
映画化が決まり、当時人気絶頂だった西城秀樹が主演するという話には誰もが驚いた。早乙女愛役がオーディションで決まり、まさにその役の名前でデビューした。自分と同世代だったため、彼女の写真を見て凄くときめいた記憶がある。その制服の下に凄まじいナイスバディが隠されていたことをその時は知らなかった。知った後お世話?になった同世代男子は少なくないだろう。

今年映画ポスターの横を通り「愛と誠」のポスターを見てビックリした。何で今さらという感じである。武井咲ちゃんはかわいいけど、映画館まで入ってみるほどでもない。そんな気分だった。
dvdになって初めてみて、はじけそうな能天気ぶりにちょっと仰天しています。

昭和47年の設定である。
名門青葉台学園に通う早乙女愛(武井咲)は名門早乙女財閥の御令嬢で、容姿端麗学力優秀の高校3年生だった。彼女には小さいときに助けてもらった恩人がいた。それをアニメで映す。
別荘のあるスキー場で、一人スキーを楽しんでいた愛が急傾斜を滑っていて止まらなくなる。そこを助けたのが一人の少年である。地元の少年は身体を張って彼女を助けたが、彼女のスキーでおでこに大きな傷を負うのだ。しかし、少年は自分の名前を名乗らず「このことは誰にも言うな」とくぎを刺す。

愛が街を徘徊していると、一人の青年が不良グループとケンカしている場面に会う。よく見ていると彼はおでこに傷を負っている。助けてくれた青年ではないか。その青年は大賀誠(妻夫木聡)という。少年院入りになるところを、愛の父親(市村正親)が裏から手をまわす。愛は父に懇願して青葉台学園に編入させる。

何でと思いながらも誠は青葉台学園に入学する。際立って不良のいで立ちに誰もが驚く。しかもケンカ腕自慢の教員にパンチを見舞い負傷させる。学校側は驚くが、愛は懸命にかばう。その愛を愛している青年がいた。岩清水弘である。「君のためなら死ねる」と愛に告白する岩清水だ。
しかし、誠の暴れぶりは止まらない。ヤクザといざこざを起こし、結局悪の巣と言われる花園実業に転校することになる。学園内は荒れ果てている。授業を聞こうとする奴なんて誰もいない。誠はいきなり不良グループに目をつけられ、つばぜり合いがはじまる。また学園内には裏番がいるという。ガム子(安藤サクラ)という不良番長が誠にヤキを入れようとするが、返り討ちにあう。それを聞き一気に不良たちがざわめく。誠は校内で一人の女性高原由紀(大野いと)と出会う。不良グループの面々と若干イメージの違う高原由紀は誠に近づく。

一方愛は転校した誠が心配で仕方がない。授業を受けても胸騒ぎがする。それまでも、誠の生活費を援助するためいかがわしい喫茶店でバイトを始めていた愛は花園実業へ転校するのであるが。。。


クレージー映画も若大将映画もかなりの歌を映画に織り込む。タイガースをはじめとしたGS映画や舟木一夫の映画も同様だ。タッチはその筋だ。でもここでは登場人物が一曲づつ歌っている。誰もが知っている歌だ。いきなり主人公誠を演じる妻夫木聡が西城秀樹を歌う。その昔の映画化で第一作目の誠役だった。不良グループとの動きがミュージカルの動きを感じさせる。なんじゃこりゃといきなり観客を驚かす。


一番よかったのが、武井咲ちゃんの歌う「あの素晴らしい愛をもう一度」
一回見た後、もう一度見直してみたけどやっぱり背筋がぞくぞくする。抜群にいい!
初期のアグネスチャンを彷彿させるしぐさで歌い始める。うまくはないがやさしさに満ちあふれた感じだ。映画「パッチギ」の時もこの歌いいなあと思ったけど、今回の方がはるかにいい。咲ちゃんは昭和美少女という早乙女愛というキャラにぴったりだ。40代以上オジサン達がときめくんじゃないかな?
子供のころフォーククルセイダース「帰ってきたヨッパライ」が大流行した。そのあとの2作目が注目されたが、朝鮮の歌「イムジン河」はあっさり発売禁止。映画「パッチギ」ではその「イムジン河」とともに「あの素晴らしい愛をもう一度」が流れる。これは北山修と加藤和彦名義で出された曲、フォークギターに合わせたやさしい歌声に魅了された。今さらながら故加藤和彦の才能を惜しむ。


岩清水弘のイメージが若干原作と違う。端正な秀才と言うイメージを当時われわれは思っていた。岩清水に似ていると自慢するようなメガネ野郎が割といた気がする。この映画ではドンくさい。元々の劇画の方がスマートだったんじゃないかな。でもそれはあえて三池監督がそうしたんじゃないかと思う。「空に太陽がある限り」は芸能人運動会の帝王にしきのあきらのヒットソング、かなりバタ臭いのが笑える。


岩清水よりももっとイメージが違うのが高原由紀だ。お嬢さんの早乙女愛と対をなす美女で、もっと精悍なイメージがあった。前の映画で多岐川由美がやったが、原作からするとイメージにぴったりだった。ここでは同じ裏番長であるが、イメージを変えている。そして藤圭子流「夢は夜ひらく」を歌う悲しい女としている。アニメで彼女の生い立ちを描くのはタランチーノの「キルビル」の手法。これはなかなか面白い。


よくやったと思うのが伊原剛志だ。彼は40過ぎて高校生を演じている。これもすごいなあ。
ジョントラボルタ主演の「グリース」という青春映画があった。あの映画でも30歳のオリビアニュートンジョンや34歳のストッカードチャ二ングが高校生を演じていた。それもすごいが、伊原はもう50近いんじゃないかな?この強引なやり方がハマっている感じだ。「狼少年ケン」は子供のころ10チャンネルでやっていた。ストーリーはすっかり忘れたが、あの歌は耳についてはなれない。抜群の選曲だ。


早乙女愛の両親に市村正親と一青窈をもってきた。これも笑える。
2人のコミカルな動きは予測不能な滑稽な動きだ。

ほとんどが素人の歌である。全然うまくない。カラオケ自慢の腕にも達していない。
でも何かしっくりくるのはどうしてなんだろう。
久々の歌謡ショー映画は十分楽しめた。
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映画「ナインハーフ」  ミッキーローク&キムベイシンガー

2012-11-15 18:54:58 | 映画(洋画 89年以前)
映画「ナインハーフ」は1985年のアメリカ映画だ。

ミッキーロークキムベイシンガーの絡みが凄いことであまりにも有名だ。
これもDVD化されておらず、レンタルで見れなかった。自分は20年以上前にビデオレンタルで見たことあり、2人の大胆な性行為に度肝を抜かれた記憶があるが、細かいプロットはすっかり忘れていた。ツタヤが今回DVD化してくれたのは本当にうれしい。早速見た。

思ったほどキムベイシンガーの露出度が高いわけではないが、多少マニアックな感じがする2人の絡みは凄い描写だ。エイドリアン・ライン監督が「フラッシュダンス」「危険な情事」の間につくった作品だけあって、ニューヨークマンハッタンを知り尽くしたその映像は80年代半ばに戻ったようで見ていて楽しい。


舞台はニューヨークマンハッタンだ。
キムベイシンガーマンハッタンで画廊に勤めている。チャイナタウンの食料品店で鳥を買っている時に目があったいい男がいた。しばらくして、街の中のバザールで買い物をしていたら、後ろから声をかけられた。ちょうど卵を産むおもちゃの鳥を買っているところで「また鳥を買っていますね」と彼は言った。
お互いひかれた2人はそれをきっかけに会うようになる。男はウォール街の金融会社に勤めているエリート金融マンだ。頻繁に会うようになり、彼のアパートにも行くようになる。彼女は自分が参加するパーティに彼も呼ぼうとするが、彼は「2人がいい」と断る。2人だけでくっついて!いるようになるのであるが。。。

言葉で言い尽くせないような激しくマニアックな性行為が続く。だからと言ってAVのように実際の行為を激しく見せるわけでない。はじめにキムの身体を氷でなでまわすシーンが出てくる。この映画と同じころ日本で公開された伊丹十三作品「タンポポ」で役所広司黒田福美の身体の上で中華料理の生きている「酔っぱらいエビ」を振る舞うシーンがある。それと同じような濃厚なシーンだ。
水道が激しく漏れている地下で2人がまじありあうシーンは前回も一番印象的だった。キムがストリップダンスをミッキーロークの前で踊るシーンやハチミツをキムの身体にかけて彼女を愛撫するシーンも印象的だ。

ミッキーロークが若い。比較的最近の「レスラー」で演じたミッキーとは同一人物に思われない腹が割れたセクシーな男の身体をみせる。対するキムベイシンガーも素敵だ。彼女はここで脱ぎまくって吹っ切れたのか40代過ぎてからもその美しい身体を映画で露出していた。極め付きは「ゲッタウェイ」かな?さすがミスコン出身だけあって美しい。今でも50代後半にして現役で恋する女性が演じられるのはハリウッドではそうは見当たらない。

恋の初期ってまるで2人の身体が一つでないかと思われるくらい激しく毎日のように交わりあうことってあるかもしれない。もう一生離れられないと思うくらいである。でもそれって3ヶ月くらいがピークになる。今回の題名「ナインハーフ」は9週間半ということである。自分自身で振り返ってみても、そのくらいの期間狂い続けたってことはある。
今回は時間を経るうちに男の方が通常の行為で満足できなくなる。異常な行為を求めるようになる。ウォール街のディレクタークラスになればとんでもない収入があるはずで、こういう異常性は珍しいことではないのかもしれない。同じエイドリアン・ライン監督「危険な情事」でもマイケルダグラスグレンクローズの不倫カップルはかなりワイルドに普通じゃ交わらないところで交わっていたことを思い出す。

ニューヨークマンハッタンは古い建物が多いので、この映像が現在と比べて極端に変わっているわけではない。俯瞰的な上から見たニューヨーク、川の反対側ニュージャージーから見たところ、チャイナタウンウェストサイドストーリーで恋を語りあった階段の映像など様々なニューヨークを映し出す。そしてこんなところでイタすのかという場所での2人の激しい性行為を映す。エイドリアン・ライン監督はさすがマンハッタンの端まで知り尽くしている。


ナインハーフ
マンハッタンでのアブノーマルな交わり


危険な情事
マンハッタンでの情事が悲劇に変わる(エイドリアン・ライン監督作品
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ラムダイアリー ジョニーデップ

2012-11-14 08:06:08 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「ラムダイアリー」はジョニーデップ主演のカリブの島プエルトリコを舞台にした作品だ。
男性がウキウキするような映画だと思う。楽しい!

アメリカ人著名ジャーナリストであったハンター・S・トンプソンが自らの青春時代を描いた原作がベースだ。ジョニーデップはすでに98年に『ラスベガスをやっつけろ』で主人公のトンプソン自身を演じた。その縁で友人関係にあったデップが企画・製作し主人公のジャーナリストを演じている。

カリブ海の強い日差しを浴びた海岸ロケが主体で、映像がイケる。笑いを誘うユーモアがピリッと利いている。ストーリー自体に魅力があるわけではないが、見ていて快適だった。自分には相性のいい映画だ。素顔のデップが趣味で作った映画という感じもする。そのためか評判が今一の印象だったが、殺人的美貌を見せる共演女優アンバーハードとの呼吸もよく、デップが好き勝手やっているのが伝わりこちらも映画を楽しんでやろうとする気がする。女性ファンの多いデップだが、この映画は男性向けだ。

舞台は1960年だ。ジャーナリストである主人公ケンプ(ジョニーデップ)は喧噪のニューヨークを離れ、カリブ海に浮かぶアメリカ直轄の島プエルトリコにやってきた。いきなり二日酔いで目が充血しているデップを映し出す。地元の新聞社に就職しようと社主(リチャードジェンキンス)との試験に臨む。その新聞社自体経営も不安定で、中にいる面々も酒を飲みながらぐうたら仕事をしている次第だ。勤め始めた後もラム酒を片手に毎日ぐうたらな遊びを続けていた。あるパーティに潜り込んでいったときに、海辺でものすごい美女(アンバーハード)と出会う。

主人公は現地でアメリカ人実業家サンダーソン(アーロン・エッカート)と知り合う。彼にはプエルトリコを総合レジャーランドとして不動産開発しようとする野望があった。自分の都合がいいように記事を書いてもらおうと主人公に好意的に近づく。当時プエルトリコは無税でビジネスができるメリットがあり、実業家にはたまらないエリアであった。サンダーソンには恋人がいた。紹介されて驚いた。何と海辺で出会った美女であった。

その後実業家サンダーソンが近づく軍OBその他と関係を会合をもっていた。一方で相変わらず仲間の記者とプエルトリコを徘徊していた。ある時、地元の不良連中にからまれ、止めに入った警察に火を浴びせてしまった。危うく長期の留置になるところを助けてくれたのがサンダーソンだった。その後タッグを組んでいくように見せるが、自由奔放な恋人が妙に主人公になれなれしくする中で気持ちが彷徨うようになるが。。。

カリブ海を舞台にする映画ってどの映画もハイな気分にさせてくれる。「カリブの熱い夜」その他一連のキューバ危機前を描いた映画はどれもカリブ海ミュージックの独特のリズムと強い日差しの映像でウキウキさせる。この映画も同じだ。当時のアメ車を走らせたりするが、基本的に現状の街の姿をロケすれば済む。プエルトリコでは時の流れが止まっているからであろう。

ジョニーデップは二枚目と三枚目の中間点に立つ。オンボロ車で街中を走る場面や、100マイル以上のスピードでシボレーを走らせているうちに危うく海に落ちそうになる場面や、地元のチンピラにからまれる場面などは笑える。コメディ的な色彩を織り交ぜるところが粋だ。その彼が共演の美人女優と楽しむためにつくったんじゃないかと思わせる部分がずいぶんとある。

アンバーハードはそれにしても美しい。1960年前半を彷彿させるメイクや服装も見せるが、グレースケリーの優雅さにマリリンの自由奔放さを組み合わせたようなブロンド美女の姿には見ているこちらも目を奪われる。実際に目の前で演技しているデップは完全にいかれてしまっただろう。真っ赤なシボレーでデップとドライブをする場面、ダンスフロアーで踊りまくる場面、デップとの出会いの場面いずれもわくわくさせられる。

そんな映像を楽しむ映画だと思う。
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映画「依頼人」 ハ・ジョンウ&パク・ヒスン

2012-11-11 08:53:21 | 映画(韓国映画)
映画「依頼人」は韓国映画としては珍しい法廷物である。

無実の罪を負わされた被告、その無実を証明しようとする弁護人、確実な証拠はないが間違いなく罪を犯したと断定する検事。この3人の関係が最後までもつれこむ。脚本が緻密でうまく、予想外の展開へと進んでいく。自分は騙された。お見事だ。

結婚記念日に花束を持って妻のところへ帰宅する夫ハン(チャン・ヒヨク)は、自分のマンションに入ると警察と鑑識がいることに気づく。寝室は血染めになっていた。遺体のない殺人である。家の主人とわかりその場で手錠をかけられる。本人は無実だと主張する。決定的な証拠はなかった。しかし、この部屋に入れたのは夫しかいないはずだということ。以前ある女性殺人事件の被疑者になったことのある夫の犯行は間違いないと検事アン(パク・ヒスン)は強く主張する。この事件を引き受けた弁護人カン(ハ・ジョンウ)はその無実を証明しようと、聞き取り調査を進める。
弁護人は時間稼ぎをするべく、裁判は陪審員裁判を選択する。そして法廷がはじまった。弁護人と検事は司法修習生の同期だ。お互いに負けられない。

こんな面白い話、ネタばれになったら元も子もない。書きたい気持ちも強いがかけない。
ラスト30分の追い込みは凄い。ビリーワイルダー監督「情婦」を連想させる匂いもあるが、ほぼ室内劇だった「情婦」と違い、ロケもふんだんに使い殺人の真実に迫る。
殺人罪で起訴し有罪とするためには死体や凶器の存在、そして凶器や現場での被告人の指紋や遺留品など物証が必要になる。刑法には詳しくはないが、日本も韓国も基本的には刑法の解釈は同じだということがわかる。検事は状況的に他の犯人はありえないということで論理をすすめる。以前被告が被疑者になった殺人事件を追う元刑事や妻の母親を証人として呼ぶ。妻の母親は単なるヒステリーばばあと解釈されるし、それで徹底的に有利になるわけではない。しかも、被告には指紋がない。毎日仕事で薬品を扱うためにそうなっているのだ。検事が完全に有利にはなれないときに、少しづつ弁護人は無罪を勝ち取るために証人を探して招致していく。。。

いずれにせよ、この映画は3人の韓国を代表する俳優たちの演技がうまいということに尽きる。これは単なる法廷物ではない。韓国映画らしいそれぞれの俳優が個々の感情をむき出しにしているところが人間臭い。いくら同期とはいえ、検事と弁護人が胸ぐらをつかみあうなんてことはないだろう。いかにも韓国ということだし、裏金をつかませながら証言を導き出そうとする姿にも歴代の大統領がみんな汚職で捕まるわいろ社会韓国の匂いもある。今回で2作目というヨンソン監督が韓国らしいダーティーな部分も見せつつ、切れ味のいいサスペンス映画に作り上げたことに敬意を表したい。

自分が大好きな「チェイサー」「哀しき獣」で正反対の強い個性を見せたハ・ジョンウは期待通りの働きだった。2作ともまともじゃない男だったが、今度は弁護士で堅気だ。どっちでもできることを証明した。

今回良かったのは検事役のパク・ヒスンだ。短髪で精悍な感じを醸し出し、一見悪役と思しき検事役を見事にこなした。男性から見てもかっこいいと思う。

あとは弁護士事務所の女性キム・ソンリョンは自分の好みのタイプなので見とれたという感じかな?
こういう感じに弱いんだなあもう。
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カリフォルニア・ドールズ  ピーターフォーク

2012-11-07 19:53:52 | 映画(自分好みベスト100)
映画「カリフォルニアドールズ」は1981年のアメリカ映画だ。
ドサまわりの女子プロレスラー2人とそのマネジャーの物語である。

名匠ロバート・アルドリッチ監督の遺作で評判がいいのに、DVDになっていない。何でかな?とずっと思っていた。どうやら音楽著作権の問題があってDVD化されていないらしい。今回ニュープリントで渋谷で放映されることを知り、何が何でも見に行かないと渋谷の劇場に足を向けた。

実際に見てみて、今年一番の感動と興奮を与えてくれた。むちゃくちゃ笑えるし、最後はジーンとくる。
最高の感動だ!!爽快な気持ちにさせてくれる素晴らしい映画だ。

女子プロレスの試合のシーンが映し出される。
戦うのはアイリス(ヴィッキ・フレデリック)とモリー(ローレンランドン)の美女レスラーのコンビからなるカリフォルニアドールズだ。2人を取り仕切るのはマネジャーのハリー(ピーターフォーク)だ。一試合200$強のギャラで町から町へとオンボロ車で走り回る。時にはプロモーターに値切られたりして、マネジャー業も大変だ。2人が嫌がる泥レスをやらせたり、八百長まがいの戦いをさせたりする。うらぶれたモーテルに宿泊しながら、中西部の街を走り戦っていく。

そんな彼女たちにもギャラの高い仕事の話が来る可能性がでた。ギャンブルの殿堂リノでチャンピオンベルトをかけた戦いをするというのだ。しかし、それを仕切っているのはギャラを値切られて、愛車のベンツをハリーがむちゃくちゃにつぶした相手の男だ。果たしてその試合に出られるのか。。。

ロードムービーの一種と考えても悪くない。煙突の立ち並ぶ工業地帯やミシガン湖のそばのシカゴをドライブしながら安モーテルに泊まる珍道中が続く。3人の間では常にケンカが日常茶飯事で、2人からはこんな仕事はしたくないという言葉が連発する。初めのけだるいムードは同じようなスポーツ映画である「ロッキー」などと同じテイストがする。途中までは上昇気流に乗れるとは思えない2人だが、勝ち続けているうちにチャンスをつかむ。そのチャンスに臨んでからこの映画が放つアドレナリンは凄い!

アルドリッチは男の世界を描くのが得意技。「特攻大作戦」「北国の帝王」はわくわくさせる活劇的展開だ。それと同時に「何がジェーンに起こったのか」で女の陰湿な部分も描いた。ベティ・デイヴィスの歴史的怪演が凄すぎた。ここでは女子プロレスだ。2人とも気持ちいいほどさっぱりした女だ。男同志の戦いでは感じられない爽快感が今回感じられる。



ピーターフォークと言えば、40代以上の日本人なら誰でも知っているだろう。NHK「刑事コロンボ」では、ヨレヨレのコートに身を包んだ独特の雰囲気で犯人をジワリジワリ追いかける姿にしびれた。ピーターフォークに日本人の誰もが親しみを持った。今回ピーターフォークの声を聞いて、一瞬だけど戸惑いを感じた。我々が耳にするピーターフォークの声は名優小池朝雄の声なのである。その声が脳裏に焼きついているので「おっと!?」と思いながら、10分くらいしてから慣れてきた。


プロレスラー役の2人は美人だ。身体がかなり大きい。モデル上がりといった感じで、アイリス役を演じるヴィッキ・フレデリックは叶姉妹のお姉さんのようだ。泥レスをやる際には戦いながら、シャツを破って裸で戦ったりして大変だったと思う。しかも、かなりマジでレスリングをやっている。さぞかしケガが絶えなかったんだろう。設定では高校を出ていないし、頭もよくないので身体を使って生き抜いていくしかないんだという。無理な注文ばかり来るのに2人は耐える。「絶対に私はやらないわ」と強く言ったシーンが流れた直後に、実際にやらないといったことをやるシーンが続くのにも笑えた。

ドサまわりの最中で2人が対決するレスラーの中にミミ萩原がいた。「芸者ガールズ」というコンビの名前である。これには笑えた。元々普通のタレントだった彼女が女子プロレスに転向するときはビックリしたけど、割と様になっていた。美形なので映画にも取り上げやすいと思うけど、ちょっとビックリだ。
カリフォルニアガールズの2人は「芸者ガールズ」から吉村道明ばりの回転エビ固めをおぼえた。

映画の中の「芸者ガールズ」の胡散臭い日本人マネジャーがピーターフォーク演じるマネジャーに日本に来た時は自分を頼りにしてくれと、手書きの日本語の名刺を渡した場面は場内から笑い声が聞えた。

音楽著作権の問題って何だろう?この映画では、彼らが地方から地方へと車で走らせていく際にオペラが流れていた。これも珍しい。このオペラのことなのかと思ったが、一体どういうことなんだろう。この映画絶対にDVDにしてもらいたいんだけど、無理なのかなあ?


映画館の中は何度も笑いの渦に巻き込まれ、自分もゲラゲラ笑えた。泥レスの主催者の役人が戦いの中に巻き込まれ泥だらけになるシーンや、最終の追い込みでレフリーがコテンパンに痛めつけられるシーンなんて腹が痛くなるくらい笑える。劇中の観客の強い歓声と彼女たちのパワーから強いアドレナリンが炸裂していた。笑いだけでなく、彼女の頑張りに涙まで出る。本当に素晴らしい映画だ。
ニュープリントしてくれて本当にうれしい。
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「K」 三木卓

2012-11-04 20:16:13 | 
通勤は二日酔いの日は別として、仕事の準備をするか、読書する。帰りも同様だ。
であるからかなり本を読んでいるんだけど、小説を読むのは減ってきた。あるきっかけでこれを読んだ。
久々に書評を書く気になった。

「K」三木卓氏の本である。
Kとは詩人でもあった妻のニックネームである。自伝的作品で妻の話をしてくれる。彼女は夫より先にあの世に行ってしまった。

三木卓氏は中国からの引き揚げ者だ。自分の故郷を失い喪失感を持って戦後を迎えた。そして早大に進み就職しようとするが、うまくいかずやむなく書評新聞の記者となる。そのあとに出会ったのがKである。詩雑誌の同志として知り合った。小さい身体の彼女を最初は普通の労働者の娘だと思っていた。お互い相性が合い、2人で会うようになる。実は東京女子大学出の出版社の編集者だった。1959年当時であれば、大卒の女性は限られた。しかも、彼女の実家は青森県八戸で手広く商売を営む商家で、お嬢さんであった。

2人はひっそり入籍をする。主人公の稼ぎは少ない。それでも2人は貧しいながら幸せを築こうとしてきた。金銭感覚が引き揚げ者でギリギリで生きてきた主人公と全く違う。青果関係の仕事をしてきた実家では現金が右から左へ常に流れていた。しかも、子供のころは外に出されて育てられる。乳母がいた。そういう特殊な生い立ちをしていた。家事はあまり得意でない。というより風呂を沸かしたことすらなかった。

そんな中2人は子供に恵まれ、3人で暮らしていく。編集者として踏ん張りながら、詩を書き始めた主人公は徐々に認められていく。そして小説も書くようになる。しかし、徐々に2人の気持ちは離れていく。主人公は自分勝手に生きる妻に対して音をあげていくのである。妻も一緒に暮さない方がいいように思うのだ。仕事場と称する場所で主人公は著述活動をしていく。家には一年に数回しか帰らない。そういう時代がずっと続いた。
ところが初老の域に達した時、妻がガンに侵されていくのである。。。。

やさしいタッチで進んでいく。
妻は特殊な育ち方をしたせいか、独特の世界観を持っている。それがやさしく描かれている。ある動物をじっくり観察しているかのごとく語って行く。彼女はある時夫にこう言う。
「あなたに家に帰ってほしくないの」驚く夫だ。
娘が言うことを聞かないので、夫は小さい頃から強く叱責したようだ。素直じゃないということで、その意味は分からなくもない。でも妻はもし家に戻ってきたら同じように娘に強く叱責することがありそうな気がすると言って戻らないでといったのだ。
そりゃないよ。といった感じだが、夫はそれに従う。
何か不思議な感じの話だ。

それでも彼女は大みそかだけは帰ってほしいというのだ。それ自体は子供のころから主人が家にいて、年の終わりを祝うという八戸の大晦日を再現するようだ。ごちそうが振る舞われるのに最初は戸惑う夫だ。

彼女が亡くなった今たんたんとその性格を語る。

残りは闘病記だ。
必ずしも賢妻とは言えない妻が病気になる。手術を何度も繰り返す。自分の母がガンで死んだ時は抗がん剤治療であった。手遅れなので手術は無理なのである。真逆だ。

そしてこの小説の肝という場面が出てくる。
主人公が娘と食事をしながら、あふれ出る涙が止まらず号泣する場面だ。これには本当にジーンとした。

自分自身のことを思い出した。
母が診察を受けてガンだということがわかった。そして入院することになる。その入院の日、自分ひとりだけ呼ばれた。父は心筋梗塞を病んでいて、とても母に付き添える状態じゃない。主治医は自分にあと半年の命だという。本当に驚いた。病室に戻った時、ジーンとして母の顔がまともに見れなかった。
そのあと妹と昼食に行った。ラーメンを食べている最中に涙が止まらなくなった。もちろん妹には何も言っていない。鼻をすすっているふりをしながら、涙が抑えられなくなった。食べながら、次から次へと涙が流れるのである。一生忘れられない場面だ。


この小説を読んでそのことを思い出した。ジーンときた。
小谷野敦「母子寮前」でも同じような話があり、その時もジーンとした。

ガン闘病記というのはどうも涙腺をいじめて困る。
もうすぐ母の4回目の命日を迎える。
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映画「黄金を抱いて翔べ」 妻夫木聡&チャンミン

2012-11-03 17:19:39 | 映画(日本 2011年以降)
映画「黄金を抱いて翔べ」を劇場で見た。
井筒和幸監督の新作はアクションのキレがいいという評判だ。思わず劇場に足を運ぶ。
高村薫の小説を井筒監督が映画化した。銀行泥棒の話だが、日本の暗部を的確に映像化していて面白い。


大阪が舞台だ。
いきなり朝鮮人の2人が会話する場面がでてくる。兄と思しき男を弟が撃つシーンだ。
久しぶりに故郷の地を訪れた幸田弘之(妻夫木聡)は、学生時代からの友人で運送会社のトラック運転手をする北川浩二(浅野忠信)に、しばらく住むための部屋と、仕事先の倉庫会社を用意された。北川は、過激派や犯罪者相手の調達屋などをしてきた幸田に、大手銀行本店地下にある240億円の金塊強奪計画を持ちかけたのだ。


幸田は、妻子と共に住む北川のマンションで、銀行担当システムエンジニアの野田(桐谷健太)を紹介される。野田には3000万を超える借金があった。3人で密かに計画を練るうち、野田の知り合いで、"ジイちゃん"と呼ばれる斉藤順三(西田敏行)に声をかける。西区の公園掃除係だが、元エレベーター技師で、目的の銀行内部にも通じている。かつては労働運動に関わっていた過去もあるという。


そして、爆弾のエキスパートが欲しいという北川の要望に応え、幸田が目をつけたのは、以前、東京で遭遇したこともある青年チョウ・リョファン(チャンミン)豆腐屋でアルバイトをしている自称・大学院留学生の彼は、元・北朝鮮のスパイという裏の顔を持っていた。

今は北朝鮮秘密組織に裏切り者として追われている。しかも祖国の命令で自分を狙ってきた実の兄を殺したばかりだった。それが冒頭のシーンだ。幸田は、チョウのことを"モモ"という名で呼んだ。さらに、北川の弟・春樹(溝端淳平)が計画を知ってしまう。北川はギャンブル依存症で未熟な弟に不安を抱えつつも、仕方なく彼をメンバーに加える。こうして6人の男たちによる大胆不敵な計画が幕を開けたが。。。

猥雑な町大阪と銀行泥棒の話は相性がいい。近代的な部分といかにも大阪らしい裏筋の部分の両方をバックにロケする。大阪って東京と比較するとワルが潜んで暮らしやすい気がする。朝鮮系の人たちが多く住む大阪ならではのストーリーで、チャンミンの使い方がうまい。それぞれの面々が裏街道まっしぐらのプロフィルだ。労働運動の闘士で体制に転向した男や過激派に常に接していた男、北朝鮮のスパイなど常に裏筋に接した男ばかりだ。妻夫木聡もチャンミンもケンカが強い。裏の男たち相手の立ち回りが一筋縄でない。そこがおもしろい。浅野忠信のワルのリーダーぶりもなかなかだ。

井筒監督特有の暴力描写も加減良く表現されている。裏ギャンブルにかかわるヤクザや北朝鮮のインテリジェンス組織の男たちの描き方はうまいし、顔立ちがそれにあった俳優を選んでいる。一般の大阪の住民の描き方もいかにも大阪住民の匂いが出ていてさすが大阪を知り尽くしている井筒という感じもする。パッチギ2みたいに思想が強いと嫌味が出るがここでは抑えられている。
桐谷健太演じるサラリーマンはいかにも大阪のいい加減な男。大阪の遊び人らしくてうまい。「麒麟の翼」に続けてでてきた鶴見辰吾が北朝鮮の秘密組織の男を演じる。性格俳優の道をうまく歩んでいるのがよくわかる。いい感じだ。


ただ、細かい所をピックアップすると、違うんじゃないかな?という部分は多々あった。特に核心の銀行泥棒部分はドキドキさせられたが、捕まってもおかしくないんじゃないかなあという場面がいくつか散見できた。緩慢な感じがする部分もあった。
でも日本のアクションサスペンス映画としては最上級のレベルではないかな?
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