映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「君は行く先を知らない」

2023-08-31 20:22:52 | 映画(アジア)
映画「君は行く先を知らない」を映画館で観てきました。


映画「君は行く先を知らない」はイラン映画のロードムービーである。父親が反体制の映画監督ジャファル・パナヒの長男であるパナー・パナヒが本作のメガホンをもつ。シーア派のイスラム国で常にアメリカと対立しているイランの映画も、別の中東の国で撮影してイランのことを描く作品に見るべきものがある作品もある。でも、昨年の「白い牛のバラッド」などを除いては相性は良い方ではない。それでも、映画ポスターに映る子どもの表情が無邪気な感じで好感を持ったのと、自分のロードムービー好きもあり映画館に向かう。


夫婦と成年に達したばかりの長男とまだ幼い次男の4人と一匹の犬を乗せた車で、イランの国土を縦断している。そのまま高原地帯に入っていき、不穏な人物と出会う映像が続く。


よくわからない映画だった。
宗教的な背景やイラン国に住む人たちに関する潜在的知識がないと、映画の内容を理解するのは難しいのではないか?自分はさっぱり意味不明だった。解説を読んでも、書いてある言葉に対応するシーンで、ハッキリと言葉で示されていないのでよくわからない。何かしら登場人物をバックストーリーの映像で示すと背景がわかったかもしれないが、それもない。

長男の目的が隣のトルコへ移り住むということなのに、それを幼い弟に示さないで最後の旅をするということなので、言葉にされないのでよりわかりづらい。ここまで観客の能力を要求されると自分にはきつい。

もともとイランというと、自分は乾いた国土というイメージを持っていた。実際に砂漠のようなエリアやまさに乾いた荒野のような場所も走る。その一方で、緑あふれる山を映し出し、涼しげに流れる川で水際にいるシーンや温泉のようなところに皆が浸かっているシーンなどを観ると、まず人生でイランに足を踏むことはないだろう自分にとっては興味深い。


反体制派の監督がメガホンを持つのに,イランイスラム共和国大使館イラン文化センターが後援となっているのは,国家批判の言葉が少なく見ようによっては観光映画のように描かれているせいかもしれない。

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映画「あしたの少女」 ペ・ドゥナ

2023-08-30 09:01:27 | 映画(韓国映画)
映画「あしたの少女」を映画館で観てきました。


映画「あしたの少女」は韓国映画、人気女優ペ・ドゥナが傑作「私の少女」でも組んだチョンジュリ監督の作品である。ペ・ドゥナは「私の少女」刑事役を演じた後で、直近では是枝裕和監督の「ベイビーブローカー」でもねちっこい刑事役が印象的だった。どうした訳か今回も刑事役である。実質的な主演は高校生役のキム・シウンで韓国独特の実業高校の実習生制度が映画のテーマになる。韓国の実業高校では、高校生が単位の一環として実習生として数ヶ月企業に勤める制度があるようだ。実話を題材にして脚本化したようだが、かなり深刻な話で驚いた。

日本でもブラック企業なんて言葉があるけど、さすがに一時代前ならともかく、ここまでこの映画に映る韓国の労働事情ほどひどい話はないんじゃないかなあ。搾取もはなはだしい。韓国の暗部が浮き彫りになる。


高校生のソヒ(キム・シウン)は、担任教師から大手通信会社の下請けのコールセンター運営会社を紹介され、実習生として働き始める。しかし、会社は顧客の解約を阻止するために従業員同士の競争をあおり、契約書で保証された成果給も支払おうとしなかった。
そんなある日、指導役の若い男性チーム長が自殺したことにショックを受けたソヒは、自らも孤立して神経をすり減らしていく。やがて、凍てつく真冬の貯水池でソヒの遺体が発見され、捜査を担当する刑事・ユジン(ペ・ドゥナ)は、彼女を自死へと追いやった会社の労働環境を調べ、いくつもの根深い問題をはらんだ真実に迫っていくのだった…(作品情報 引用)


よくできている映画だと思う。しかも、わかりやすい。
半端ないリアル感で高校生のソヒを追う。元来うつの傾向がある子ではなく、飲み屋で自分たちの陰口をたたく男に絡んでいくくらいの元気のいい子だ。そんな高校生が理不尽な対応に呆れ果てて自死を選ぶ構図を丹念に描いていく。説明口調ではなく、いくつかのエピソードを重ねて韓国の実業高校生の実習制度の理不尽さを訴えていくのは監督のうまさであろう。現状の労働事情に対するチョンジュリ監督の強い抗議と主張を感じる脚本だ。

実習生だからといって、就業契約書どおり給与を支払わない。勤務するコールセンターにかかってきた顧客からの解約申出を説得して継続させるとポイントがついて、報奨金を支払う約束だ。しかし、主人公の給与明細には金額が反映されない。上司は何ヶ月かしたら支払うと言って支払わない。高校の先生のところへ行っても、そのまま仕事を続けろと言われる。ひょっとしたら企業と高校がグルなのかもしれない。次第に八方塞がりになっていく。


通常自殺だと判明すると、警察の捜査は中断する。しかし、警察の上司がもう解決している事件だから捜査を止めろと言っても、ペ・ドゥナ演じる刑事は労働管理に問題ありと徹底的に追及する。ここでのペ・ドゥナのパフォーマンスはカッコいい。胸がスッとする。高校に乗り込んで教頭がウダウダ言っていると、刑事のペ・ドゥナが殴ってしまう。さすがに日本映画だとこんなシーンはないだろうなあ。


この映画では、主人公の高校生が飲酒する場面が何度もでてくる。これにも驚いた。映画を見終わった後思わず調べてしまう。どうやら、韓国では19歳から飲酒可能だそうだ。しかも、それは数え年で、19歳になるときの1月1日から飲めるようだ。ただ、それにしてもちょっとフライング気味の飲酒ではと感じる。もっとも日本は最近未成年飲酒にきびしすぎる気がするけど。
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映画「春に散る」 佐藤浩市&横浜流星

2023-08-27 15:13:04 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「春に散る」を映画館で観てきました。


映画「春に散る」は沢木耕太郎の原作を瀬々敬久監督が映画化したボクシングモノである。主役のボクサーに横浜流星で、トレーナー役が佐藤浩市だ。沢木耕太郎の本は割と好きな方で、ノンフィクションだけでなくある意味ギャンブル小説といえる「波の音が消えるまで」がおもしろかった。瀬々敬久監督が演出するとなると一定以上のレベルは期待できるので早速映画館に向かう。男臭い映画なのになぜか中年以降のおばさんが妙に多いのには驚いた。

元プロボクサーだった広岡(佐藤浩市)がアメリカから久しぶりに帰国して居酒屋で飲んでいる時に酔客に絡まれる。その時にたまたまいたボクサーの黒木(横浜流星)と出会う。そして、黒木のパンチをかわした広岡に弟子入りを志願する。そして、広岡と同じボクシングジムにいた佐瀬(片岡鶴太郎)とともに黒木を鍛えていく。


これはおもしろかった。迫力のあるボクシング映画である。
映画とボクシングの相性はいい。昨年キネマ旬報ベストテンで1位となった「ケイコ目を澄ませて」三浦友和の好演はあれど、自分にはよく見えなかった。あの貧弱なパンチでは相手を倒せないだろうというのがその理由だけど、「百円の恋」安藤さくらのようにボクシングファイトがリアルに迫らないと物足りない。そういった点では、横浜流星はもとよりライバルとなる窪田正孝もボクサーの役づくりに没頭して実に良かった。

沢木耕太郎の原作は未読だけど、典型的なボクシング映画のストーリーだ。落ちぶれた主人公に過去のあるトレーナーが付いて成長させていく。そこにライバルが登場して競い合うというのは、演歌の節回しのようにどれもこれも似たようなものだ。でも、大事なのはボクシングのファイト場面である。横浜流星はプロボクシングのC級ライセンスを取得したという。そこまでやらないと迫力がでない。礼儀知らずでクールなボクサーを演じた窪田正孝も今回はうまかった。


今回それに加えて良かったのが加藤航平のカメラワークだ。映画の大画面を意識した映像コンテがよくできている。これは当然瀬々敬久監督のセンスの良さもあるわけだが、何気なく映し出されるバックの風景もいい選択だった。ただ、最近の日本映画に多い傾向だけど、シングルマザーや食べ物にありつけない子どもを登場させたりする妙に格差社会を意識させる場面をつくってしまうのは余計な感じがした。

クリントイーストウッドの「ミリオンダラーベイビー」でいえば、トレーナーのイーストウッドに対応する佐藤浩市に加えて、モーガンフリーマンのようなサブのトレイナーとして片岡鶴太郎を登場させるのもそれぞれにバックストーリーを用意してストーリーに幅を持たせる。ボクサーへの短いアドバイスのセリフもいい。あしたのジョーの白木葉子のように山口智子をボクシングジムの会長として登場させるのも悪くない。あしたのジョーのようなクロスカウンターも含めて色んなボクシングモノの引用が感じられる気がするけど、いいんじゃないかな。


エンディングは説明少なく最小限にまとめる。これもうまいと感じた。
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映画「高野豆腐店の春」藤竜也&麻生久美子

2023-08-20 18:06:39 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「高野豆腐店の春」を映画館で観てきました。


映画「高野豆腐店の春」は尾道を舞台にした豆腐店のがんこ親父と娘の物語である。三原光尋監督脚本で藤竜也が主演を演じる。気がつくと、藤竜也も80を超える。ついつい年上の愛妻芦川いずみが気になってしまう。大林宣彦監督作品などで映画の聖地のようになった尾道が舞台になっているので親しみがある。4年ほど前に尾道の街の中を家族で歩いてまわった。「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」エグい映像を見た後に、やさしそうな日本映画で心を静めたいという気持ちで選択する。

尾道高野(たかの)豆腐店を営む高野辰雄(藤竜也)は、娘の春(麻生久美子)とともに早朝から豆腐づくりに励む。辰雄は身体に異変を感じて病院に行くと、血管に異常がありカテーテル手術を勧められる。すると、独身の娘の行く末が気になり、商店仲間たちにお見合いの段取りを依頼して、まずは見合い相手と辰雄が面談する。そんな辰雄もひょんなことで病院で知り合った中野ふみえ(中村久美)と親しくなるが、ふみえは重病をかかえていた。


流れるムードはやさしい。
納入先のスーパーから東京進出を勧められても、強硬に断る藤竜也のがんこ親父ぶりが映画の基調である。そこに娘の縁談と父親の老いらくの恋を重ねてストーリーを展開する。加えて、山田洋次監督の作品のように、主人公の仲間である近所の商店主たちを登場させて下町の人情劇のような肌合いを持たせる。対岸の島を見渡す美しい尾道の海が至るところに映し出されるのはいい。レトロな商店街の肌合いもよく、それをバックに藤竜也と麻生久美子と中村久美を映す映像はいい感じだ。

豆腐づくりの映像が随所にあらわれるのもいい。早朝から豆腐づくりに励む藤竜也と麻生久美子が豆乳を一緒に飲むシーンに父娘のふれあいを感じる。とは言うものの、地方都市の下町でものすごく大きな事件は起きない。ありふれた人情劇の域を飛び出すことはない。むりやり長めにしているなと思わせるエピソードも多い。時間的にはもう少し短くできた感じもある。それでも、穏やかな作品を見れた実感はあった。


自分は1981年にパリのシャンゼリゼ通りの映画館で「愛のコリーダ」の無修正版を観ている。当然、藤竜也のアソコも観ている。すごく衝撃的だった。今から8年前北野武監督の「龍三と七人の子分たち」で主役張ったときはむちゃくちゃおもしろかった。今回は、妙にがんこすぎる職人肌の役柄だけど、生き方に不器用な部分がキャラにあっている。旧日活の残党は吉永小百合などの女性軍が健在だけど、頑張ってほしい。芦川いずみはどうしているんだろう?


麻生久美子がいい。父親を支える振る舞いで感じさせる全体的ムードがやさしい。個人的には「俳優亀岡拓次」で演じた場末の小料理屋の女将役が良かった。藤竜也の前妻の連れ子で出戻りという設定だ。その血がつながっていない父を豆腐づくりでバックアップする。結局お見合いした父親やその仲間が薦めるイタリアンの経営者とは付き合わず、父親が嫌がる町のスーパーの店長とつきあう。この組み合わせの意外性と父親の反発がこの映画のミソだ。


藤竜也が病院の診察を受けている時に、落とし物を拾ったのがきっかけで知り合ったのが中村久美だ。やさしいムードをもった老人女性を演じる。お互いに独身だし、不倫というわけでない。いかにも尾道らしい島が見える風景の中で藤竜也と並んで歩きながら撮るドリーショットはいい感じだ。それにしても、最近はずいぶんと年寄役ばかりになった。考えてみるとまだ60になったばかりで藤竜也とは20も違う。若き日は形のいい美乳を我々に見せてくれたが、そのギャップに驚く。
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映画「クライムズ オブ ザ フューチャー」 デイヴィッドクローネンバーグ& ヴィゴモーンテンセン

2023-08-19 08:39:23 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「クライムズ オブ ザ フューチャー」を映画館で観てきました。


映画「クライムズ オブ ザ フューチャー」は奇才デイヴィッドクローネンバーグ監督が2022年のカンヌ映画祭に出品した近未来を描いた作品である。近未来モノは正直苦手なジャンルだけど、自分のベストラインナップにも入る「ヒストリーオブバイオレンス」ヴィゴモーンテンセンとデイヴィッドクローネンバーグ監督とコンビを組むとなると話は違う。しかも、ヴィゴの相手役が現代フランス映画の人気女優レアセドゥである。他にも「トワイライト」クリステンステュワートも出演してキャストはかなり豪華だ。予告編にはちょっとエグいイメージを持つが映画館に早速向かう。

映画がはじまり、いきなり母親が息子を殺すシーンがでてくる。父親も号泣するが、普通に遺体を処理する。これっていったいどういう意味だろうと思いながら映像を追う。すると、主役のヴィゴモーンテンセンとレアセドゥがでてきて、手術と思しきシーンで体内の臓器を持ち出す。ロボットのような機械装置が無機質に身体にナイフを入れて行う。内臓を見るとグロテスクだと思うけど、あまりにも飛んでいる世界なので意味がよくわからない。

理解不能なシーンが続くので、作品情報をそのまま引用する。

そう遠くない未来。人工的な環境に適応するため進化し続けた人類は、その結果として生物学的構造が変容し、痛みの感覚が消え去った。

体内で新たな臓器が生み出される加速進化症候群という病気を抱えたアーティストのソール(ヴィゴモーンテンセン)は、パートナーのカプリース(レアセドゥ)とともに、臓器にタトゥーを施して摘出するというショーを披露し、大きな注目と人気を集めていた。しかし、人類の誤った進化と暴走を監視する政府は、臓器登録所を設立し、ソールは政府から強い関心を持たれる存在となっていた。そんな彼のもとに、生前プラスチックを食べていたという遺体が持ち込まれる。(作品情報 引用)



エグい映像も多いけど近未来はこうなのか?という想像をかき立てる作品だ。映像のレベルが高い。
いきなり子どもを殺す場面はあるけれど、近未来に戦争が起きたり殺しあったりするストーリーではない。その方がいい。ロボットのような手術装置がたやすく解剖をしてしまう。自動車が自動運転する世界が間近となってきたのと同様に、手術装置が実現するのもそんなに遠い世界ではないだろう。医者がチェックリストをもとに手術してもミスがあるのに、AIの頭脳で精巧な機械が手術した方が確実な印象をうける。

臓器にタトゥなんてありえるけど、すごい発想だ。ショーでは手際よい手術装置とともに視覚的にエグい臓器も何度も映る。内臓の美的コンテストをやろうとする話がある。現代では考えられない。デイヴィッドクローネンバーグが想像する近未来は割とどぎつい。あらゆる内臓を人工的にしてしまうと人間が人間でなくなるなんてセリフも映画にある。人間の知能をAIが凌駕するシンギュラリティが実現する頃に人間の血流の中にカプセル(ナノロボット)を入れ込むことがレイカーツワイルの本には書いてある。レイカーツワイルの予言はこれまで次々と実現している。今、着々と科学の世界で進められているプロジェクトがこの映画の題材に組み込まれている気もする。


デイヴィッドクローネンバーグには近未来の出来事を予測する超能力者を描いた「デッドゾーン」という名作がある。薄気味悪いけど好きな作品である。クリストファーウォーケンの怪演が光る。ヴィゴモーンテンセンと組んだ「ヒストリーオブバイオレンス」は、日本で言えば高倉健が何度も演じているような話だ。もともとマフィアだった男が堅気になってひっそり生活していたが、暴漢を退治したことが記事になり旧知のマフィアがお礼参りに来るなんてストーリーは高倉健の十八番そのものだけど、おもしろい。そんな映画もあるけど、いつも大胆な発想で驚かせる。


それにしても、デイヴィッドクローネンバーグは80にして想像力豊かな監督である。これを1980年代に作れと言われても、そこまでのVFXなどの映像技術はない。ずいぶんと前からこの映画の構想を持っていたというが、こんな感じで自分が頭に描いたことを実際に映像にしてしまうところがすごい。ただ、異様な雰囲気は漂う。カンヌ映画祭では途中退出者も多かったらしい。映画を見る人は覚悟して映像を見た方が良い。


今回、ヴィゴモーンテンセンの存在自体は未来人だけど、人格的にはそんなに個性豊かな役柄ではなかった。ここでレアセドゥとクリステンステュワートの2人の美人女優をキーパーソンに持ってくるところが、配役の妙だ。レアセドゥもしっかり脱いで美しい裸体を見せてくれるし、クリステンステュワートの情感こもったキスシーンもさすがという感もある。エゲツないシーンだけで構成されているわけではなかった。
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映画「アウシュヴィッツの生還者」 ベンフォスター& バリーレヴィンソン

2023-08-14 17:54:26 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「アウシュヴィッツからの生還者」を映画館で観てきました。


映画「アウシュヴィッツの生還者」は第二次世界大戦の最中、ナチスのアウシュヴィッツ収容所にいたユダヤ人男性が収容所でのむごい話を振り返り、戦後アメリカでボクサーとなった後の人生までをたどる物語である。最近多いナチス統治時代を描いた映画はめったに観ないけど、先日「ナチスに仕掛けたチェスゲームは観た。イマイチだった。今回はスルーの気分だったけど、監督がアカデミー賞作品「レインマン」バリーレヴィンソンだと気づくと同時にボクシング界では伝説的存在である無敗のチャンピオンロッキーマルシアノと対戦する場面があると確認して考えを変え映画館に向かう。

1949年、ナチスの強制収容所から生還したハリーハフト(ベンフォスター)は、アメリカに渡りボクサーになる一方で、生き別れになった恋人レアを探していた。自分の生存を伝える意味もあって、アウシュヴィッツ収容所帰りのハフトを記事にしようとしていたアンダーソン記者(ピーター・サースガード)の取材に応じた。


ナチスの軍人が仕切る賭けボクシングで、ユダヤ人捕虜と生き残りの試合をしていた過去があった事実を記者に告白する。記事となり世間の話題になっても期待していたレアからの反応はなかった。ハリーはレアを探すことで知り合った公務員のミリアム(ヴィッキークリーブス)と結婚する。しかし、トラウマで悪夢に襲われることが多くなる。

重い作品だけど完成度は高い。見応えがある。
ダスティンホフマンの「レインマン」、ロバートレッドフォードの「ナチュラル」など歴史的傑作を生んできただけあって、80歳を超えてもバリーレヴィンソン監督の伝記物での手腕を感じさせる。正直忘れていた存在だったけど、題材に恵まれ力量を発揮した。戦時中のモノクロ映像と戦後のカラー映像とを巧みに使い分け、時代背景も的確で構成力にも優れる作品だ。

収容所生活を描くモノクロ映像は悲惨である。
28キロ減量したというベンフォスターガリガリの身体だ。悲惨なアウシュヴィッツの収容所生活を表現するために体当たりで取り組む。これまでボクシング映画で思いっきり減量した俳優はいたけど、ベンフォスターのいかにも中年太り姿とのギャップに凄さがわかる。ベンフォスターの役づくりには感動する。しかも、多難な事象に接した時の心の揺れを表情で示す演技も味がある。


たまたま、ドイツ兵に反抗したユダヤ人捕虜ハフトが、あるドイツ軍将校に別室に連れて行かれる。そこで、ユダヤ人捕虜同士が立てなくなるまで闘う賭けボクシングの話を聞く。結局命令されてリングに上がることになる。負けた方は銃殺だ。まさにサバイバルゲームである。ハフトも最初はユダヤ人同胞を倒すことに躊躇する。でも、そんなことは言ってられない。必死に生き延びようとするエピソードをいくつも映し出す。卑劣である。

クエンティンタランチーノ「ジャンゴ」レオナルドデカプリオ演じる領主が奴隷同士を殺し合いと思しき真剣勝負で闘わせるシーンがあった。それを思い出した。その時も凄えむごいシーンだと思ったけど、視線は奴隷からではない。ここではやっている張本人から見てどう感じるかを捉える。欧米では権力者がずっとこんなことさせて遊んできたのかと思うとつらい。


1949年と1963年のハウトをカラーで映し出す
この映画の根底に流れるのは、収容所に入る前に生き別れになった恋人レアとの純愛だ。サバイバルゲームに耐え、ようやく一般社会に戻れてアメリカに移住しても連絡がつかない。最後に収容所にいたのは確認できている。でも、その後はわからない。彼女探しでお世話になったミリアムに接近する。


ボクサーになっていたハフトが自分が生きていることをレアに示すために、当時チャンピオンになる道を歩んでいる連戦連勝のロッキーマルシアノへの挑戦をジムで宣言する。でも、直近で負け続きのハフトとはやるはずがない。そこで、以前からアウシュヴィッツ収容所での様子を取材したいという記者の取材を受けて、生き残るための賭けボクシングについて語る。そうすれば、記事を見てレアから反応があると思ったのだ。でも連絡がなかった。ただ、世間の話題になった後でロッキーマルシアノとの対戦が成立することになった。

ボクシングの歴史を知っている人からすれば、無敗の世界チャンピオンだったロッキーマルシアノはあまりにも飛び抜けた存在だ。もちろん勝てるわけもない。話題になればきっとレアに会えるという思いだけなのだ。何気にロッキーマルシアノの戦歴を見ると、確かにハリーハフトと戦っている記録がある。その後、マルシアノは世界チャンピオンとなり、無敗のまま引退するのだ。


この映画の題材は盛りだくさんだ。エピソードが多い。
アウシュヴィッツ収容所での残虐なエピソードに加えて、ロッキーマルシアノとの対決に備えてのトレーニングに励む姿や試合の模様、もともとの純愛の行方など波乱の人生をハリーハフトがいかに送ったかを映像で追う。久々登場の怪優ダニーデヴィートの存在も効果的で、妻になったヴィッキークリーブスの優しさあふれる姿にも心ひかれる。


話のネタに欠くことがなく実に見応えがある映画になっている。
直近でいちばんのおすすめだ。
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映画「リボルバーリリー」 綾瀬はるか

2023-08-13 16:34:48 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「リボルバーリリー」を映画館で観てきました。


映画「リボルバーリリー」は大正末期の1924年(大正13年)を舞台にした秘密諜報機関の元女性工作員にスポットを当てる映画である。綾瀬はるかが工作員を演じて、行定勲がメガホンをとる長浦京の原作の映画化である。予告編で見ると綾瀬はるかの動きがアクション俳優としてサマになっている。

元工作員リリーこと百合(綾瀬はるか)は50人以上の殺しを請け負っていたスナイパーだったが、今は足を洗って玉ノ井のサロンで静かにしていた。ところが、旧知の男性が秩父で亡くなった新聞記事を見て現地に向かった。帰りの列車で陸軍兵士に追われている少年慎太(羽村仁成)を匿う。少年は身内を殺されて逃げる途中で、玉ノ井の百合に渡すように父親から書類を預かっていた。そこには陸軍が知りたかった隠密資金の情報が書いてあった。東京に戻ろうとするが、陸軍の部隊は執拗にリリーと少年を追う。


出演者は豪華で、常に窮地に追われる綾瀬はるかのアクションはカッコいい。
映画が始まって1時間以上経って初めてある事実がわかる。ストーリーに深みがでてくる。気の利いた推理小説のようだ。ただ、状況設定に無理がある部分が多いのが欠点だ。

陸軍中野学校をはじめとして、秘密諜報員を国家で育成していたのは間違いない。ここでは幣原機関という名前を使って女性工作員を登場させる。それ自体は悪くない。格闘能力にも優れて、銃を操り爆破装置の知識もある。ひと時代前だと志穂美悦子なんかを登場させた感じだ。最近の日本映画では少ない設定なので新鮮だ。

日本映画では比較的予算はある方なのであろう。東映製作なのでセットも利用できる。大正12年の関東大震災を経て一年たった東京の浅草六区と思しき芝居小屋や都電が走る上野広小路や娼婦が呼び込みをする猥雑な玉ノ井などを再現する。震災で壊滅状態の東京が1年でここまで復興されたかは疑問だけど、まあいいだろう。この時代にはすでに開通していた秩父鉄道の荒川橋梁陸海軍の本部や執務室などもきっちり映し出す。海軍の本部を映すVFXを使った映像もよく、背景の映像はよくできている方だ。


同時に配役も豪華だ。味方も敵も好配役だ。
百合に好意を寄せる海軍兵学校出の弁護士が長谷川勝己だ。玉ノ井のサロンにいる女性にシシドカフカと古川琴音を起用する。銃も扱う謎の女は鼻筋がきれいな美形だ。一体何者なのか?最初は永井荷風の濹東綺譚を映画化した時の墨田ゆきに見えてしまった。シシドカフカという名は初めて知った。


「街の上で」や「偶然と想像」で重要な役割を演じたので古川琴音はすぐわかった。実年齢より10歳若い役柄だけど、個性派俳優らしく巧みに10代の娼婦を演じる。


海軍大佐の山本五十六阿部サダヲを起用して、文書の謎を握る男が豊川悦司で、リリーが依頼するドレスの仕立て屋の店主に野村萬斎とぜいたくな使い方をする。山本五十六は実際小柄だったらしい。

リリーをおとしめようとする陸軍の男たちの使い方も上手い。不穏な雰囲気をだしてうまかったのが、「さがす」凶悪犯人を演じた清水尋也で、リリーと何度も格闘対決する。主人公が葛藤する相手は強くないといけない。他にも同じく「さがす」佐藤二朗や、内務官僚の吹越満など登場人物がうまく配置されている。


ただ、設定にはかなり無理がある。(ここからネタバレなので注意)
海軍と比較して、陸軍の軍人を悪くいうのは戦後の日本映画ではよくあることだ。ただ、ちょっとやりすぎかもしれない。陸軍がかなり無能な存在になっているのが気になる。軍人たちがリリーたちに銃を向ける場面が何度も出てくる。しかも、大勢の射撃手がいるのに、撃ち崩せない。おいおいここまで日本陸軍をバカにすることはないだろう。

長谷川博己演じる弁護士が内務省に逮捕されて匿われている時にスキを見て逃げ出すシーンもあり得るかと感じてしまう。戦前の内務省は現在の自治省や総務省などいくつもの官庁と警察組織も含んだ強い権限を持つ組織で、いわゆる特高の組織まで含まれる。そんなに易々と逃げていけるわけがない。しかも、あなただけと言って内務省の役人が内密の話をするのもおかしい。もっとも原作の問題だろうけど、戦前の日本をバカにしすぎだ。


あとはリリーが不死身すぎるということ。主人公が頑強であらゆる困難を克服するというのは物語の定石だろうけど、圧倒的に強い相手に胸を繰り返し刺されているのにそのまま生き延びられるのであろうか?その場で死んでもおかしくない。事実、ミッションインポッシブルの最新作では同じように胸を刺されて重要人物が亡くなっている。刺された後で格闘なんてできるわけない。これでは人智を超えた世界だ。オーバーな表現は必要でもちょっとやりすぎ?と感じてしまう。
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映画「バービー」 マーゴットロビー&ライアンゴズリング

2023-08-12 17:07:24 | 映画(洋画 2022年以降主演女性)
映画「バービー」を映画館で観てきました。


映画「バービー」は長年にわたって親しまれているバービー人形を主体として実写化したコメディ映画である。マーゴットロビーとライアン・ゴズリングの当代きっての人気スターを主演にして色合い鮮やかに展開するのは予告編から気になっていた。監督は「レディバード」や「ストーリーオブマイライフ」で女性映画を撮ってきた女性監督グレタ・ガーウィングである。

小学校低学年の頃出来の悪かった自分は、積極的な女の子の家に引っ張られて人形遊びで遊んでもらった。妹用ということもあったけど、家にも人形がたくさんあった。当時、日本ではリカちゃんとタミーちゃんの両方の人形に人気があった。バービーで遊んだ記憶がないと思ったら、当時バービー人形をあまり日本に積極的に売り込んでいなかったようだ。典型的な8頭身は受けなかったのか。ストーリーはまったく想像できなかったが、好奇心で映画館に向かう。

オーソドックスなバービー(マーゴットロビー)とケン(ライアンゴズリング)を中心として、ドールハウスを中心にしたバービーワールドで楽しく生きてきた2人がちょっとしたきっかけで現実の人間世界を垣間見ようと入り込む。でも、奇異な目で見られてあまり相手にされない。

バービーを製作しているマテル社に行き着いたら歓迎を受けるが、そこは男性中心で成り立っている会社だった。刺激を受けたケンはドールハウスを占拠して男性中心の世界に人形の世界も変貌させてしまう。バービーたちはそれを良しとせずに変えようとする。


色鮮やかなカネのかかった映像を楽しむといった映画だろう。
美術と色彩設計は完璧である。ハリウッドの映画スタッフのレベルの高さを示す。ピンクが基調だけど、色の使い方のセンスは一歩抜けている。ストーリーを楽しむというよりも感覚的にハリウッド映画を2時間楽しむと思えばいいのではなかろうか。みんな仲良くディスコでダンスするシーンはウキウキする。マーゴットロビーは前年の「アムステルダム」「バビロン」に引き続き存在感を示す。現代ハリウッド人気女優の頂点にいると言ってもいいのではないか。


ストーリーとしては、フェミニズムの強い映画である。バービーが実在するマテル社にいってもCEOをはじめとした役員が全員男性だし、現実の世界が男性に牛耳られていることが気に食わない。女性蔑視をやたらに途中から訴えるけど、男性の自分は冷静に見てしまう。内田樹によれば、アメリカ映画は女性嫌悪が強いという。アメリカでの興行成績はとてつもなくいいけど。フェミニズム的要素による人気があるのであろうか?


小学校の頃女の子と人形遊びをした話をしたけど、日本のおもちゃ業界でも昭和40年代前半から中盤が人形遊びがピークだったのではなかろうか?TVのCMの量がすごかった。日本女性の今の年齢で 言えば50代後半から60代か。バービーってみんな知っているけど、日本ではメジャーではなかった気もする。アメリカほどには人気作品にはならない気もする。
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Netflix映画「警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件」

2023-08-06 08:23:09 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
Netflixドキュメンタリー映画「警視庁捜査一課 ルーシー・ブラックマン事件」は2000年に起こった英国人ルーシーブラックマンさん行方不明の全容を当時のニュース映像で振り返りながら、元警視庁捜査一課の腕利き刑事たちが犯人に迫る捜査活動をインタビュー形式で追っていく映像である。TVのワイドショーでは連日六本木の高級クラブで働いていた元客室乗務員のホステスが行方不明になったことを連日伝えていたのは記憶に新しい。


この事件の犯人とされるOは、他の事件で無期懲役となっているが結果的にこのルーシーブラックマン事件では無罪となっている。この映画では多数の警察OBおよびOGがインタビューに答えている。裁判の結果に不満を持ち、稀代の性犯罪者だったOが卑劣な行為をしたことを改めて訴えるために出演に応じている印象を持った。この警察関係者の捜査活動については改めて敬意を表したい。今でも遺体の見つかった場所にお参りに行っているらしい。


よくできたドキュメンタリーでNetflix会員は必見であろう。
金持ちには自己顕示欲の強い自慢話が好きな連中がいる一方で、ネットへの露出がないように周到に自分の存在を目立たなくする人もいる。どんな検索ワードを使ってもほとんど出てこない。でもリッチ。こういう人って意外に多い気がする。Oはその手の類だ。三浦半島にある自分の別宅で繰り広げた行為は凄まじかったのではないかということが、捜査員の証言でよくわかる。

でも、この映画ってNetflixだからできたのであって、日本では作れなかったのではないだろうか?例えば、ある意味天皇を冒涜した部分も感じられる「太陽」などもそうだろう。「ラストサムライ」でも明治天皇を気の弱い若者として描いている。水俣病患者を描いたジョニーデップ主演「ミナマタ」でも、チッソ社との軋轢が描かれる。チッソの当時の社長は雅子皇后の実の祖父である。

こういったことと同じような雰囲気を感じる。外国製作ということでか警察OBも思いっきり本当のことを話している感じだ。日本でつくっていたら色んな方面から映画製作者に圧力がかかって潰されたかもしれない。ただ、この犯人の信じられないような残虐さをともかく訴えたい一心だったかもしれない。


(余計な話だけど)
Oは自分の学校の先輩にあたる。それなので、この事件に関する週刊誌を読んだし、本も読んだ。すごいことする奴だなあと思っていた。ところが、ある時今も飲み付き合いのある先輩Tからすごい話を聞いた。その先輩Tは最近話題の猿之助と同じ学校ルートを歩んだ人だ。たまたま同じクラスにTと同じ高校の奴がいて麻雀をきっかけにTと親しくなった。酒も飲むようになった。九段にあるTの高校の側に名門女子校があり、Tの学校とは親しい間柄でそのお嬢さん学校出身の美女たちとも知り合う機会ができた。

もともと家柄もよく清楚なかわいい子が多い学校だが、一緒に飲みに行く中に2歳年上で長身の凄え美人の先輩がいた。雰囲気は萬田久子をもっときれいにした感じだ。話をするとざっくばらんでいい人なんだけど、どう見ても自分にはムリ目で遠い存在な方だった。その人にはポルシェに乗る田園調布に住む彼氏がいるといううわさだった。Tも田園調布居住だったけど、どうもレベルが違うらしい。

ある時、六本木のジャズバーに行った時にその美女が彼と一緒にいるのを偶然見つけた。値の高いボトルで飲んでいた。その後出ていくので、好奇心でお見送りに外へ出たら、ポルシェが来て去っていった。自分とは異次元の世界だと思っていた。


事件が判明してしばらくたってTはその件を思い出すが如く、あの時の男ってOだよという話がでて驚いた。確かに田園調布に住むポルシェに乗る男とプロフィールは一致する。ルーシーブラックマンさんは175cmの長身だったという。そういう長身系美女をはべらせて、自分の住処に連れだし、いいように扱ったのだろうか?自分の先輩はあの時どうだったんだろうか?警察関係者の証言にあるようなことはなかったのか?そんなことを考えていた。
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映画「セフレの品格 決意」

2023-08-05 07:47:20 | 映画(日本 2019年以降主演女性)
映画「セフレの品格 決意」を映画館で観てきました。


映画「セフレの品格 決意」は湊よりこ原作の人気レディースコミック「セフレの品格」の実写化で前回の続編である。引き続き城定秀夫監督、主演行平あい佳のコンビは変わらない。原作はいまだ観ていないが、1作目はデートもしない、恋に落ちないでただただ交わる。そんな設定が新鮮に見えた。城定秀夫監督の演出もよく十分堪能できた。2作目はどうなるのか楽しみだった。


バツ2のシングルマザー抄子(行平あい佳)は高校の同級生産婦人科医一樹(青柳翔)とのセフレ関係は相変わらず続いていた。そんな時、17歳にして望まぬ妊娠をした咲(高石あかり)が一樹の診療所に堕しにくるが、相手の合意書や親の同意がないとできないと断る。ある時、町で咲が自虐的行為に陥っているのを偶然見て、いったん一樹が家に引きとる。抄子は咲の存在に驚くが、娘のような咲をかわいがる。しかし、咲は好意をもった一樹に近い抄子が気に入らず大胆な行為にでてしまう。


そこで抄子はいったん身を引く。そんな時、会社の用務員的存在だった猛(石橋侑大)と近づく。猛は抄子よりずっと年下の23歳でボクサーだった。抄子は若い猛に一樹と同じような関係を提案する。

一作目のようにはのれなかった。
ストーリーが昼メロみたいだ。無理やり不自然なストーリーをつくっているように見える。新たな登場人物を2人加えるけど、ボクサーの猛はいいけど、17歳の咲が中途半端である。猛はボクサーとしての荒々しさで抄子と交わる。未成年の17歳の設定にしてしまったせいか、咲を脱がすわけにはいかない


結局、脱がすのは主人公の抄子だけになってしまうのはロマンポルノとしては物足りなさを呼ぶ。主演の行平あい佳自体は悪くないし、本格的ボクシングスタイルの石橋侑大もいい。ただただ、純粋なにっかつポルノに寄りきれていない展開がのれなかった。
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