映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ベルリンファイル」

2013-07-31 18:07:33 | 映画(韓国映画)
映画「ベルリンファイル」を劇場で見た。

「チェイサー」「哀しき獣」と主演のハ・ジョンウが演じる映画はいずれも度肝を抜く映画であった。新作も評判がいい。
これは見に行かなくてはと、劇場に足を運ぶ。

見始めていきなりはテンポについていけず、内容がよく理解できなかったが、主演のハ・ジョンウが北朝鮮のスパイであることはなんとなくわかる。そしてシュリのハン・ソッキュが韓国の諜報部に在籍してスパイ合戦をしているなあと思っているうちに凄いアクションシーンが続く。これには圧倒される。
007やボーンシリーズを思わせる激しいアクションが続く。
このレベルのアクション映画って日本映画では無理だろうなあ。イヤー凄かった。

ドイツの首都ベルリン。
韓国情報院の敏腕エージェント、チョン・ジンス(ハン・ソッキュ)は、高級ホテルの一室で行われている武器取引の密談を隠しカメラで監視中、ロシア人ブローカーを介してアラブ系組織の幹部に新型ミサイルを売りつけようとしている北朝鮮の秘密工作員に目を留める。その男、ピョ・ジョンソン(ハ・ジョンウ)は、CIAやMI6のリストにも記録がない“ゴースト”と呼ぶべき謎の人物だった。ジンスは取引成立のタイミングを狙い部下たちに現場への強行突入の指令を下すが、イスラエルの情報機関モサドの横やりによって銃撃戦が勃発、ジンスはジョンソンを取り逃がしてしまう。

一方、北朝鮮で英雄と崇められるほど数多くの勲功を立ててきたジョンソンは、韓国側への情報漏洩に不安を抱き、内通者の存在を疑い始める。そんな中、在ベルリン北朝鮮大使館のリ・ハクス大使(イ・ギョンヨン)は、平壌から派遣されてきた保安観察員トン・ミョンス(リュ・スンボム)から、大使館に勤める通訳官でジョンソンの妻リョン・ジョンヒ(チョン・ジヒョン)が二重スパイだという情報を入手する。上司であるハクスから妻の調査を命じられたジョンソンは、ショックを受けながらも彼女への監視と尾行を開始。数年前に初めて授かった子供を亡くして以来、ジョンヒと感情がすれ違っているジョンソンは、彼女がアメリカに亡命するのではないかという疑念を強めていく。

その頃、旧知のCIA局員から連絡を受けたジンスも「北朝鮮の何者かが国連を通じて亡命を要請した」との情報をキャッチしていた。だがアメリカ大使館近くの広場に姿を現した北の亡命志願者は、意外にもハクスだった。韓国情報院の張り込みを察知して地下鉄構内に逃げ込んだハクスは、そこに駆けつけたジョンソンとミョンスによって拘束される。信頼を寄せていた同志のハクスが亡命を要請した理由が全くわからないジョンソンは、自宅で妻を激しい口調で問い詰める。すると重い口を開いてジョンヒが打ち明けたのは、二人目の子を身籠っているという事実だった。さらに自宅に盗聴器が設置されていることに気付いたジョンソンは、自分たち夫婦が恐るべき陰謀に巻き込まれ、裏切り者に仕立てられたことを確信する……。(kine note引用)

以下ネタばれもあり

ベルリンには行ったことがない。
この映像で見るベルリンの姿はプロイセンからの歴史を持った街という印象を受ける。
その中で監督は主演のハンを思いっきり走らせる。
想像以上にこの映画は韓国対北朝鮮という単純な対決になっていない。主人公が北朝鮮内部に自分の居場所がないことに気づくと、敵が次から次へと変わっていく。これでもか!と窮地に立たされる。一つの難関を乗り越えたら、また次の難関となる。そこに韓国側のスパイもからむ。敵なのにどっちが味方かわからないような場面も出てくる。見ている観客をドキドキさせる。

ここでよく見えたのはチョン・ジヒョンだ。「猟奇的な彼女」で、韓国映画の面白さを我々に教えてくれた。あの時は大酒飲みで男を圧倒して存在感が強かった。ここでは北朝鮮の淑女といった感じだ。年齢を経るごとに凄くきれいになったという印象を持った。いかにもベルリンらしいビルの外で、ヒッチコックの「めまい」のような屋根にぶら下がるシーンまで見せてくれる。このシーンはドキドキしたが、直後に見せるハンのアクション劇にもアッと驚いた。

もう一人印象に残るのは北朝鮮保安監察員ミョンスを演じたリュ・スンボムだ。この憎たらしい顔が嫌味ぽく、北朝鮮のずる賢い部分を象徴しているようなパフォーマンスをうまく演じた。
こいつの悪だくみに驚く。
ミョンスは北朝鮮人民軍中将の息子という世襲の世界北朝鮮らしいエリートだ。ストーリーが進行するにつれてすべての陰謀がベルリンの大使館の実権を乗っ取ろうと企むミョンスの策略だったことが明らかになる。主人公の敵は内部にありなのだ。表面上は主人公を「兄貴」と慕っているが、部屋の中に盗聴器を仕掛け、常にジョンヒの行動を監視する。主人公夫婦を罠にはめる。
朝鮮は戦後2つの国に分れた。朝鮮戦争以来裏の世界でお互いをつぶしにかかっている。この映画では北朝鮮国内の権力闘争の影も見え隠れする。当然韓国側でつくった映画であるから、北朝鮮側に不利なストーリー展開になるのは仕方ない。現実にスパイ同士の諜報合戦がなされているはずだから、妙なリアル感を感じた。

ラストに向けての終わり方は悪くはない。
ウラジオストークへ向かうというのが印象的、前作でハンが演じた朝鮮族の街が近くだ。
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娘との勉強再開4

2013-07-24 09:17:55 | 家族
娘の熱い夏休みになった。

今から3年前の高校受験の時は楽勝ムードだった。偏差値も70を超えて、日常の勉強もはかどっていた。
あの当時は埼玉の業者テスト「北辰テスト」の過去問3年間分をまわしていた。それだけで十分だった。
今はまったく違う。

部活が毎日のように夕方7時まであって、それで帰宅で8時過ぎ食事して風呂に入って勉強せずにゲームやアニメ三昧の日々が2年近く続いた。6月で引退したが学力低下は甚だしい。定期テストの成績はいつも最悪だ。定期テスト前若干やったが、一部を除けばどん底の成績だ。世界史だけは中間期末とも80点は確保できたので学校の評価もよかった。でも世界史できる奴はいるものだ。自分が高校3年の時、こんなにできた奴いたっけ?とふと感じてしまう。

いずれにせよ何回かここのブログにも書いたが、一向に良くなっていない。

英語は読んでいても呪文を読んでいるみたいだと言いはじめた。高校入ってすぐは長文読解の方が点数取りやすいなんて言っていたけど、単語力の低下は著しい。学校では「ターゲット1900」の小テストを繰り返しやっていたり、桐原書店あたりの文法問題集をやって実力をつけようとしている。これをちゃんとやっていれば、実力がつくだろうと思うけどなあ。。。

自分なりに参考書、問題集のセットを見てどうすればいいのか作戦をたててみた。
我々のころは単語集と言えば「でる単」そして「でる熟」が基本で伊藤和夫の「英文700選」をおぼえたものだ。英文法は駿台「英文法頻出問題演習」なんて基本をマスターした後、原仙作「英文法標準問題精講」をやった。これは力がついた。模擬テストや入試英文法で失点することはなくなった。でも今英文法の問題集を見ていると、どれもこれも解説が丁寧だ。もっとわかりやすいものが出てきている。

「でる単」は今でもいい単語集だと思うけど、訳語が古臭く感じる。時代が違うしなあ。そうしているうちに今の娘のレベルにぴったりの単語集をみつけてきた。娘にやらせる前に自分で覚える練習を6月くらいから行き帰りの電車の中で始めた。1400繰り返しやって覚えた。やり方も何度か試行錯誤した。元々のやり方では音読を7日くらい続けるというけれど、そこまでやらなくてもいい気がする。
敬愛する有賀悠さんもこのように書いてある。
「小中学生が漢字を覚えるのに書き取りをさせることがある。。。。先生や親は覚えさせようとして同じ漢字を30回くらい書かせようとする。ところがそうやってもいっこうに書けるようにならない人がいる。これは単に真似ているからだ。3回ほど書いてみたら、書けるかどうか試して、そこで書ければとりあえずok、書けなければ、また3回ほど書いてみて覚えたどうか試してみればいいのだ。。。」

「よく英単語を覚えるからといって、スペルを紙に何回も殴りがきしている人がいる。しかし、受験英単語の多くはスペルから訳が言えればよく、スペルまで正確に書けなければならないものは多くない。必要なのはスペルと訳の架け橋を作ることである。。。。スペルを読んだら訳を読み、数十個読んだら初めからスペルを見て、訳を思い出そうとしてみる。」
この一節を思い出してやり方を決めた。
まずは50個1セットで音読を2回させる。発音記号が読める状態ではないから、カタカナ付きが望ましい。そうしているうちに今まで全然違う読み方をしていた単語があることに気づく。そのあと訳を隠しながら英単語から日本語が言えるようにする。この1セットは15分から20分程度だ。一日50~100個新規に覚える。同時に今まで覚えた英単語の復習をやる。5回別の日にやる。そうすると、弱点がわかってくる。覚えにくい英単語が必ずある。それをノートに大きく書く。そして覚える。有賀先生の記憶ノートの要領だ。

期末テストが終わってから、やり始めた。自分がいない時もやればいいのであるが、まだそんな向上心はない。自分の飲み会がない日を中心にやっている。すでに1000個以上覚えた。上等だ。
学校の夏期講習で英語長文の演習をやっているが、以前ほど呪文のように感じなくなってきたといっている。この感覚が大事なのだと思う。まだまだ先が長い。夏休みに付き合うと映画が見れないが、今の状態では7付き合うしかないだろう。

そんな折、友人から矢沢永吉武道館チケットゲットの連絡がきた。今年はコンサートの回数少ないので気になっていたが、恒例のコンサート今年も参加できてうれしい。良いおこないすればツキもまわる。



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映画「ヘルプ 心がつなぐストーリー」

2013-07-20 05:35:25 | 映画(洋画:2013年以降主演女性)
映画「ヘルプ 心がつなぐストーリー」は2011年のアメリカのドラマ

緑あふれる美しいミシシッピ州の街を舞台とした黒人差別の話だ。
「ローマの休日」のグレゴリーペックが初めてオスカー男優賞を受賞した「アラバマ物語」は1962年の作品だ。差別社会の中で一人の黒人が不利に裁かれる映画だ。グレゴリーペックの正義感あふれる弁護士姿は今もってアメリカに支持者が多い。この映画はちょうど同じころの舞台設定だ。映画「リンカーン」で黒人差別に懸命に闘う主人公の姿を見たが、その後100年間も状況は好転していなかった。南部の田舎街に至ってはほとんど変わっていなかったといっていい。それがこの映画でよくわかる。

1960年代前半の南部ミシシッピ州ジャクソンが舞台だ。
この街では、若い主婦は黒人のメイド(HELPといわれている)を雇って、子守や家事一般を任せていた。
ミシシッピ大学を卒業したスキーター(エマ・ストーン)はライターを志している勝気な独身女性だ。著名なライターに雇ってもらおうとしたが、修行が足りないのでどこかで勉強しろと言われ就職先を探していた。結局地元新聞社に採用された。そこでは、家事に関するコラムを担当することになる。読者からの家事に関する質問に答えるコラムだ。

未婚の彼女は家事の知恵を得るために、友人エリザベスのメイドであるエイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)から相談しようとしていた。昔からの友人は早くに結婚して、主婦になっていたが、いずれも黒人メイドに家事を任せて遊び呆けていた。自分たちも育ててもらったにもかかわらず、黒人を差別する雰囲気があった。スキーターも小さい頃から1人のHELPに育てられてきた。しかし、戻ってみると彼女はいなかった。その雰囲気がいやだった。

その時スキーターは黒人メイドの実態をインタビューすることを思いつき、ニューヨークのライターに相談した。そのアイディアはいいと受け入れられた。エイビリーンはしっぺ返しが怖くて、最初は取材を嫌がった。彼女は事件で息子を亡くしていた。しかし、少しづつ話しはじめる。同様にエイビリーンの仲良しのミリー(オクタヴィア・スペンサー)も同じように取材に答えるようになるが。。。。

まあ白人たちの憎たらしいこと。
意識して演じていると思うが、憎たらしい。わざとムカつかせる。保守層の白人がみると、逆の意味でムカつくであろう。
テレビ「細うで繁盛記」の富士真奈美はトコトンいやな女で主人公新珠美千代をイジメ抜いた。もともとは美人の富士真奈美があえてどのきついメガネをして意地悪な女を演じた。ここでの白人仲間のリーダーを演じるのはロンハワード監督の娘ブライス・ダラス・ハワードである。彼女は美しい。同時に映し出される友人たちも同じように美しい。でもいやな女だ。

いかにも50年代から60年代にかけての平和な時代のアメリカを象徴する女性たちである。ヘアースプレイたっぷりの髪型で、彼女たちが着るワンピースの柄はいかにもアメリカらしく素敵だ。まさにゴールデンエイジで住む家も外観から内装インテリアに至るまで完ぺきと思わせる素晴らしい家だ。
黒人メイドたちの受けるひどい仕打ちもテーマだが、この映画ではゴールデンエイジに暮らした人たちの素晴らしい生活が映し出される。正直南部のこの田舎町で何でこんなに豪華に住めるだけの財産を築き上げたのであろうか?この映画では地味な存在である男たちがどうやって生計を成り立たせているのかが気になった。謎である。

主人公であるヴィオラ・デイヴィスの安定した演技には当然感心したが、何よりもその友人ミリーを演じたオクタヴィア・スペンサーが素晴らしい。少しデブな体型で、顔の輪郭と目は相撲の「小錦」にそっくりだ。ぎょろりとした目に愛僑がある。
州で一番の料理自慢と言われるその腕をしぼって、元の雇い主の家においしいパイを持参する。お詫びのつもりが復讐だ。このシーンが最高に笑える。
この彼女が結局仕える奥様を演じるのが「ゼロダークサーティ」のジェシカ・チャステインだ。目が慣れないうちは同一人物には見えない。ちょっとおバカで、料理も家事もダメな女を演じる。彼女は白人若奥様のコミュニティに入りたいのだけど、無視されている。何か可哀そう。女のえげつなさを露骨に見せるシーンだけど、女のそういう醜さは万国共通のようだ。
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映画「バーニー みんなが愛した殺人者」 ジャックブラック

2013-07-17 19:13:41 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「バーニー みんなが愛した殺人者」を劇場で見た。

自分の好きな映画の一つに「スクールオブロック」がある。ジャックブラックがニセ教師になって、エリート小学校の生徒たちにロックを教える楽しいコメディだ。この映画「バーニー」は「スクールオブロック」の名コンビであるジャックブラックとリチャード・リンクレイター監督が再度コンビを組んで撮った作品だ。

テキサス州の田舎町カーセージが舞台だ。
葬儀社の助手として働くバーニー・ティーディ(ジャックブラック)は、繊細で配慮のある仕事ぶりと献身的な市民活動で町の誰からも愛されていた。彼はある日、町一番の大金持ち、ドゥエイン・ニュージェントの葬儀を執り行い、夫の莫大な遺産を相続した未亡人マージョリー(シャーリーマクレーン)に出会う。

マージョリーは、その高慢で頑固な性格で町中から嫌われ、友達は一人もおらず、息子家族とも裁判沙汰となっている孤独な老女だった。そんな彼女を気遣い、相談相手となって慰めるうち、バーニーはマージョリーに完全に気に入られ、彼女の世話役となる。数年後、銀行預金の管理までも任されるほどに信頼されるようになったバーニーだったが、マージョリーの支配欲はしだいにエスカレートし、ついには彼が他の住民たちと交流することさえ許さなくなっていった。

理不尽な要望の数々に日夜振り回され続けたバーニーは、ある日、彼を奴隷のように扱うマージョリーのわがままに、ついカッとなり、思わずアルマジロ退治用の銃で彼女を撃ってしまう。やがて彼は逮捕され、第一級殺人の罪で裁判にかけられる。バーニーはすべてを認めて罪を償うつもりだったが、証人となる住民も陪審員も彼の罪を責める者はほとんどいなかった。

ただ一人、野心家の地方検事ダニー以外は…。

若干ネタばれありです。

予想していたタッチとは異なっていた。
この話は96年に実際に起きた実話で、バーニー本人は刑務所に現在も入っている。殺人を犯したバーニーの善人ぶりを田舎町カーセージの人たちのインタビューを通じて語っていく。一方殺された未亡人マージョリーは徹頭徹尾悪口だらけだ。最初に2人の人柄を説明するために紹介するのはいいけど、ここまでインタビューだらけというのはどうかな?と思ってしまう。

バーニーは裁判で殺人罪となるが、日本の無期懲役と違い、仮出所できたとしても89歳以降だという。この罪もずいぶんと重い。どちらかというと、弁護士の力が足りなかったんじゃないかと思ってしまう。ここでの法廷場面はちょっと中途半端だし、見どころではない。むしろ腹立たしくなる。

ジャックブラックの葬儀屋ぶりがいきなり描写される。目が開かないようにするとか、口はほのかに微笑んでいるように整えておくとか。。。死んだ人をどのように扱うかを示す。このジャックブラックの振る舞いが実にうまくて、この映画にずいぶんと期待感をもったが、もう一歩だった。葬儀屋といえば「おくりびと」だが、アメリカ版葬儀屋物語より日本の「おくりびと」の方がおもしろく見れた。

シャーリーマクレーンの健在ぶりには驚く。こんなに皆に嫌われる役って長い俳優人生でやったことないんじゃないかな?誕生日を確認したら亡くなった自分の母親が生まれた年なので驚いた。しかも、ジャックブラックの誕生日は母の誕生日と同じ日、これにはもっと驚いた。
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映画「ふがいない僕は空を見た」永山絢斗&田畑智子

2013-07-10 21:39:54 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「ふがいない僕は空を見た」は2012年公開のヒューマンドラマだ。

高校生と年上の主婦の禁断の恋をベースにして、社会の底辺に生きる人たちの姿をつづる。

高校生の斉藤卓巳(永山絢斗)は、助産院を営む母(原田美枝子)に育てられた。友人に誘われて行ったアニメイベントで、あんずと名乗るアニメ好きの年上の女岡本里美(田畑智子)にナンパされる。里美は卓巳を自宅に招き、大好きなアニメキャラクターのコスプレをさせて誘惑する。以降、里美が用意した台本通りにセリフを言いながらコスプレセックスをするようになった。

だがある日、卓巳は同級生の松永七菜(田中美晴)に告白され、里美との関係を断つことを決心する。里美はマザコン夫・慶一郎(山中崇)と二人暮らしだ。姑・マチコ(銀粉蝶)からは会うごとにあんたのせいで孫の顔が見れないと皮肉を言われる。夫にも問題があるのに、不妊治療や体外受精を強要される。ストレスがたまっている里美は卓巳との関係を深める。しかし二人の関係を夫と姑に知られてしまう。泣きじゃくる夫の横で里美は土下座して離婚を懇願する。2人は受け入れない。

卓巳の親友・福田良太(窪田正孝)は、団地での極貧の生活に耐えながらコンビニでバイト中。共に暮らしている痴呆症の父方の祖母は周辺に迷惑をかけている。新しい男と暮らしている母親にはサラ金の督促が後を絶たない。金は全くない状態で日常の食事にも困る状態だ。

バイト先の先輩である田岡良文(三浦貴大)は三流の生活から這い上がれない福田に同情する。父親が医者という家計に生まれた田岡が勉強を教えてくれる。お金はどうにでもなると、田岡は痴呆が進んだ福田の祖母を父親の病院に入院させる。福田と同じ団地に住むあくつ純子(小篠恵奈)は福田の幼馴染で、一緒にコンビニで働く。彼女がいうには田岡のような男がコンビニで働くのは男アサリのためだと。。。
アニメ好きの姉が見つけたという写真のプリントアウトを七菜に見せる。それはコスプレした卓巳の写真だった。卓巳と里美がセックスしている写真と動画がネットでばらまかれていたのだ。

dvdの表紙の写真を見たら、この愛欲に狂う2人の物語だと思ったが、奥は深かった。

ここに出演するメンバーにまともな生活が出来ている人はお産婆の母親を除いてほとんどいない。
社会の底辺を彷徨う人たちを描いていく。

主人公が通う高校は荒れている。「愛と誠」の学校風景よりはまともだが、授業を聞いている生徒はほとんどいない。上位高を目指しているような奴もいない。通っている生徒の家庭環境は平均以下だ。
生徒たちもみんなバイトをして、家計を助けている。しかし、その家庭の生活レベルは最悪だ。
団地で生活する人のレベルの低さを示している。
最悪にもかかわらず、認知症の老人を養わねばならない。そんな福田には同情する。

そこに田岡と言う存在が現れるが、まともそうに見えてまともじゃないようだ。
性的な変態と言ううわさが漂っている。とんでもない話だ。

アニメイベントで知り合ったあんずも出来の悪い夫と強烈な姑にいじめられている。
この姑も強烈だ。映画だから誇張している部分もあるけど、こんないやな女が世間にはいるのかもしれない。

あんずはもっと開き直ってもいいんじゃないかと思うが、そこまでしない。何か弱みでもあるのであろうか?
主人公との愛欲に狂うのは仕方ないと気持ちは察する。逆に主人公も高校生でやりたくて仕方ない時期である。こんな年上の女が出てきたら普通の男だったら狂うだろう。

自分の娘が高校に入って勉強をしなくなり、アニメに狂ってきた。
幕張でやっているアニメイベントに2人で一緒に行ったことがある。
確かにそこにはあんずのようなコスプレガールがたくさんいた。うちの娘のようなアニメ好きもいるが、どちらかというとオタク男のほうが多い。オタク男はコスプレガールを懸命に写真をとっている。もしかして、この映画のようにくっつく場面もあるだろうか?そればかりはわからない。

ここでわからなかったのは、動画に流失した映像の写真を福田と幼馴染の順子がばら撒くシーンだ。
この心情はどうしても理解できない。ヤケクソなこのシーンの気持ちを理解できる人はいるのであろうか?

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今年前半見た映画 自分の好きな5つ(2013年)

2013-07-09 06:08:05 | 映画 ベスト
今年6月30日まで110本映画を見た。
ピッチとしては悪くない。250本は無理そうだが、年間200本は達成できるだろう。

旧作は別として、いわゆる2012年から2013年に公開された作品で自分の好きなものを選ぶ
(洋画)
1.ゼロダークサーティ

2.嘆きのピエタ

この上位2つはタイプが違うが、甲乙つけがたい。
すばらしい!!
3.ホリーモーターズ
レオン・カラックスが奇妙な世界に連れていってくれる。映像美に脱帽です。
4.奪命金

5.レ・ミゼラブル

(日本)
1.さよなら渓谷

2.みなさんさようなら

3.脳男
二階堂ふみの演技には脱帽です。
4.かぞくのくに

5.舟を編む

予想よりもつまらなかった映画

1.草原の椅子
こんな映画をつくるためにパキスタンまでいって大変だなあ。
2.ジャッキーコーガン
こんな退屈な映画は珍しい。
3.つなぐ
つまらない映画だ。
4.無言歌
5.ニーチェの馬
これら2つのように沈黙で作り上げていく映画は苦手だ。
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映画「砂漠でサーモンフィッシング」ユアン・マクレガー

2013-07-07 20:10:32 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「砂漠でサーモンフィッシング」は2012年末公開のヒューマンコメディ

冴えない水産学者が、砂漠の国イエメンで鮭釣りがしたいという大富豪の夢物語に巻き込まれるという話だ。終始のんびりしたムードで進んでいく。監督のラッセ・ハルストレムがつくる「ギルバート・グレイプ」や「サイダーハウス・ルール」はいずれもすがすがしい物語だ。
ちょっと覗いてみようという好奇心で見た。

英国の水産所轄省庁に勤務している水産学者のアルフレッド・ジョーンズ博士(ユアン・マクレガー)にメールが届く。「イエメンの川にサーモンを放流させ、サーモンフィッシングを紹介したい。ついては、プロジェクトの展開について相談をしたい」と書いてある。差出人は、投資コンサルタント会社に勤めるハリエット・チェトウォド=タルボット(エミリー・ブラント)からであった。彼女に依頼したのはイエメンの大富豪シャイフ(アマール・ワケド)である。

ジョーンズはハリエットへ実現は難しいとの返答をした。「回遊性の鮭は、産卵のため、酸素の多い冷たい水が必要。幼魚が生きていくためには、ヨーロッパ北部にいるハエがエサとして必要。紅海はヨーロッパから遠すぎる。このプロジェクトは実行不可能」であると断る。

そんな時中東情勢が悪化する。外交上英国の立場はよくない。やり手の女性首相広報官のパトリシア・マクスウェル(クリスティン・スコット・トーマス)は、政府への批判をかわすために、中東関係のいいニュースを探せ、と部下たちに命じる。ネットから選んだニュースが、イエメンに鮭釣りを紹介するプロジェクトだった。英国政府がこの話に飛びつきゴーサインが出る。パトリシアは、すぐに取りかかるように水産所轄省庁のサグデン(コンリース・ヒル)に電話で命令する。ジョーンズは、上司のサグデンから、鮭プロジェクトの窓口になるハリエットに会うよう命令される。ジョーンズは、渋々ながらもハリエットと協力してプロジェクトを進めていくことになるのだが。。。

発想が奇抜だ。
「砂漠でサーモンフィッシング?」いったい何なんだろう?
無理そうな話であるが、ちゃんと理屈も語られている。
魚には水が必要と言えば、雨期の雨量は月200ミリ。乾期は石油の調査で帯水層が発見されているのでダムで水を補給できる。ダムは完成している。山岳地帯の夜は20℃以下だし、不可能ではなさそうだ。美人コンサルタントがきっちり調べている。それでもジョーンズはのらない。

無理を承知で中国の三峡ダムをつくった技術者チームや英国酸素会社のチームにも会いたいなんてジョーンズがいうと、すぐに面談を手配する。しかも、富豪に必要経費5000万ポンド要求したら振り込まれてくるのだ。ジョーンズは逃げようにも逃げられなくなった。そんな経緯を見ているのは楽しい。
省に戻ったジョーンズは上司にも脅かされ、本気になっていくのだ。

この映画はそういうプロジェクトが成就するのを楽しむ要素も大きいのだが、基本に流れるのはラブストーリーだ。主人公のジョーンズとコンサルタント会社のハリエットの関係が少しづつ恋愛関係に代わってくる。もともとは単なるビジネスパートナーにすぎないのに身近な存在に代わってくる。
ジョーンズには奥さんがいる。仕事についてはやり手で、ジュネーブに長期滞在することになる。「妻の栄転を喜べないの?」なんて言われながら彼女を送り出す。ハリエットにも付き合いは短い軍人の恋人がいる。でも彼は出征してしばらくたった後に行方不明になってしまう。
2人とも身近に相手がいない状態だ。余計な外野もいない2人はイエメンで懸命にサーモンフィッシングができるように頑張っている。2人があっている時間は一日の大部分を占める。

これで情が移らないはずはないだろう。こんな話、世間一般にいくらでも転がっているかもしれない。
そんなときにハリエットの恋人が戻ってくる。そこからの展開がおもしろい。
エミリー・ブラントのインテリ女性ぶりも悪くない。途中で見せたドレス姿が絶品の美しさだ。

あとはクリスティン・スコット・トーマスのキャリアレディぶりがコメディ的でいい感じだ。
イエメンでサーモンのプロジェクト着手を首相に説得する際に、英国には200万人の釣りマニアがいるからうまくいくと票につながるなんてばかげた話をもちかける。釣りマニアがみんな票を入れるわけがないのにと笑わせる。

イングリッシュペイシェントのころに比べると、最近はきつめの女性役が板についてきた。首相直属の外交関係の官僚といった役だ。現代英国キャリアレディの実像を示しているのかもしれない。家庭や男の部下への対処法が面白おかしく語られる。自分はこんな上司が来るのはごめんだなあ。

映画としてはまあまあという感じかな?

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映画「レッドライト」 ロバート・デ・ニーロ

2013-07-07 07:34:28 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「レッドライト」は今年公開のミステリーサスペンス映画だ。

超能力を扱っていて、面白そうだっけどdvdスルーにしてしまった作品
「リミット」のロドリゴ・コルテス監督が、ロバート・デ・ニーロ扮する伝説の超能力者と超常現象を疑う科学者の息詰まる攻防を描くサスペンス。ロバートデニーロの超能力者ぶりがどんな感じか気になっていたが、意外なオチになるほど。。。

大学で物理学を教えるマーガレット・マシスン博士(シガニー・ウィバー)と助手のトム・バックリー(キリアン・マーフィ)は、超能力の存在を疑問視する立場からその科学的な解明を行なってきた。インチキ霊能力者を看破するなどして、騙されていた人々を救ってきた。
そんなある日、1960年代から70年代にかけて超能力者として一世を風靡した後、約40年にわたり表舞台から姿を消していたサイモン・シルバー(ロバート・デ・ニーロ)が超能力ショーを再開し、話題を集める。
トムはマーガレットにサイモンの調査を進言するが、彼女はかつてサイモンと対決して敗れた苦い過去から、トムに自制を求める。しかし、トムは忠告を振り切って、単独でサイモンの調査を始める。すると、それを境にトムやマーガレットの周囲で不可解な現象が次々と起こり始める。

最初は騙しのトリックを追う2人の姿を映す。なるほどという場面だ。
ところが、盲目のデニーロがでてくると、彼の実力を示す振る舞いを次から次へと映す。主人公であるマーガレット博士はテレビ討論でも超能力の存在を示す人たちに真向対抗する。それなのに、彼女はあまりシルバーに関わりをもちたがらない。やっぱり凄い超能力者なのかと思わせる。

しかも、マーガレット博士に悲惨な出来事が起きてしまうのでどうなってしまうのか?
残りはトムしか対応できない。ピンチだ。
そこが迷彩なのであろう。

ロバートデ・ニーロがさすがにうまい。超能力者シルバーの卓越した話術、計算ずくの振る舞いや舞台仕掛けをみると本物の超能力をもっているのかと錯覚させる。でも彼って主演じゃないんだよね。シガニー・ウィバーが演じる役柄は好きじゃないけど、彼女自体はうまい。

その秘書役の美女はジョエリー・リチャードソンで、中年だけど気になる存在だ。英国の名女優ヴァネッサレッドグレイヴの娘であれば、きれいなのは当然かな。いまやおばあちゃん役者だけど、60年代半ばにミケランジェロアントニオーニ監督「欲望」でみせたヴァネッサレッドグレイヴの殺人的美貌を思い出す。

でも途中から少しだれるかなあ?
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映画「真夏の方程式」 福山雅治

2013-07-04 18:54:49 | 映画(日本 2013年以降主演男性)
映画「真夏の方程式」を劇場で見た。
東野圭吾原作、福山雅治が天才物理学者・湯川学を演じる人気シリーズ『探偵ガリレオ』の映画化だ。原作は未読

前作『容疑者Xの献身』は大ヒットだった。最近放映されたTVドラマ「ガリレオ」も20%前後の視聴率を獲得しているという。人気が継続しており、気になる作品だ。今一番輝いている福山雅治を見たい願望に駆られていった。物理学者の推理というだけでは、ドライな仕上げになるはずだが違う。日本人好みの人情物語に作り上げている。
最後にかけて、少し凡長と思える部分もあるし、ありえないと思われることもいくつかあったが楽しめた。

主人公湯川博士(福山雅治)は海底資源開発の説明会にアドバイザーとして出席するために玻璃ヶ浦へ来ていた。その集会では反対派が環境保全のために強く抵抗していた。
湯川は旅館「緑岩荘」に宿泊する。集会でかなり激しく反対派の論陣をきっていた地元の娘・川畑成実(杏)は父親・川畑重治(前田吟)、母親・川畑節子(風吹ジュン)が経営する旅館「緑岩荘」を手伝っていた。

玻璃ヶ浦へ向かう電車の中で湯川に出会った小学生の少年恭平(山光)もいた。両親の都合で一人、叔父が経営する旅館で過ごすことになっていたのだ。翌朝旅館がざわざわしている。同じ旅館に泊まっていた客の塚原がその夜中に姿を消し、海辺で変死体となって発見されたのだ。県警は堤防から誤って転落した事故死の線が濃厚であるとしていた。

所持品から被害者の塚原は元警視庁捜査一課所属の刑事であることがわかった。警視庁内では、彼に限って堤防から誤って転落なんてありえないという疑問が起きる。被害者と同じ旅館に湯川が泊まっていることを知り、なじみの捜査官岸谷美砂 (吉高由里子)が現地に派遣された。司法解剖の結果、塚原は一酸化炭素中毒で死んだ後、海に遺棄されたようだ。

すると塚原元刑事が16年前のある殺人事件を担当していたことがわかる。犯人仙波英俊 (白竜)は玻璃ヶ浦の出身だったという。何か絡んでいるのか?

映画を見始めてすぐ、いきなり鉄道上の歩道橋で1人の女性が刺し殺されるシーンが出てくる。
翌日の新聞記事にもなり、その女性と親しかった男の元から血染めの刃物が発見されて逮捕される。
すると、風吹ジュンが女性に向って何かを語っているシーンが映される。何なんだろう?
湯川が泊まっている旅館に、1人の初老の男性が泊まっている。
彼は元刑事だったといい、「16年前の事件について話が聞きたい」と風吹ジュンに言っている。
うろたえる風吹ジュンの姿が映し出される。16年前の事件の犯人が彼女なのか?とすぐさま思う。

そうしているうちにその刑事が殺されるではないか。この手の殺人事件の犯人は大女優が演じることが多い。いかにも彼女が怪しいと思わせるところから映画を展開させる。

執念の刑事といえば、松本清張「天城越え」で退職後の刑事が真犯人だった印刷屋の主人に昔の捜査資料の印刷を依頼するシーンが思い出される。
でもここではその刑事が殺されてしまうのだ。

転落の前に一酸化炭素中毒で既に死亡していたことが判明する。ならば、どこで死亡したのか?緑岩荘に泊まっている時に一酸化炭素中毒死したのか?それとも昔の犯人が自分の実家で殺してしまったのか?
謎が生まれる。それでも、謎解きだけで言えば、刑事殺しの全貌は割と早くわかる。開始して1時間たつかどうか?あと1時間以上ある。
その後どう話を進めるんだろうと思っているうちに、推理小説らしい過去の追跡による推理だけでなく、親子間の交情などウェットな話を織り交ぜる。
単なる推理を楽しむというだけの映画に仕上げていない。

いずれにせよ、主人公が物理学者としての一面を見せるところが最大の見せ所だ。食事のときに火に炙られた紙のお鍋が燃えないことを証明するくだりとか、ペットボトルロケットで少年と200メートル沖の海を見るシーンは実に楽しい。

特にロケットを飛ばして、海の底を見てみようとする実験の場面が印象深い。殺人事件で家の中が大騒ぎになっている中で、湯川がペットボトルや釣竿など材料を集め始める。少年が海を見たいこともあるけど、前日旅館の娘から海中が実に美しいということを聞いていたので見たくなったのであろう。何回も釣竿をつかってロケットを投げながら試行錯誤する。この角度では200メートルに届かないから角度を変えてもう一度とばかりに物理の実験ばりにトライする。これは見ていてワクワクする。
何が出来るのか?やっている最中は少年に教えない。どうなるのか推論してみろと言う。「自分で考え抜いた時のほうが、うまくいったときの喜びも大きい」と自分の頭で考える大切さを教える。なかなか教育的だ。

自分も湯川先生のように実験によって物事の道理を推測しようという気持ちは常に持っている。どちらかというとビジネスとしての実験かもしれない。
小学生の頃から理科に苦手意識がある。理科実験の時間は憂鬱だった。不器用で実験道具がうまく扱えない。数学は得意だが、理科はダメ。高校2年1学期期末試験にまじめにやろうと思った化学で0点とってからやる気がなくなった。したがって学校の選択肢も狭められた。今の会社の部門では、半分以上理系が占めるが、上司の自分は理科嫌い。
仕事的には物理学が多少関係あるし、技術屋に必要な資格も力学が必須だ。でもその知識がなくても仕事は出来る。もちろん仕事に関わる専門分野はディテイルまで理解するが、なぜそうなるのかまで探求しない。そんな自分でも、繰り返し実験する楽しみをこの映画でよみがえらせてくれた。

映像としては、映画公開時期を意識した夏らしいものとなっている。舞台となる海辺の町は美しいし、ヒロインである杏が海にもぐるシーンは涼しげだ。湯川博士が作るロケットで水中をのぞくなんて設定を、子供たちが映画で見たとすると一気に引き寄せられるであろう。

そのためか、本来あってもよさそうなエロティックな映像はない。事件についても、加害者に同情心を持たせる構成になっている。見ている自分も目がウルウルしそうなシーンもある。
それなので観客動員も幅広く図れるだろう。湯川博士はかなり突っ込んだところまで解明するのに、最後はウヤムヤに終わらせるところが日本人には受けるかもしれない。

福山雅治の存在感は凄い。
反対集会で大きく叫ばれる開発絶対反対に対して、湯川が「海中の調査を行うことは海を汚すことではない。調査の上で開発か環境保全かを決めるべきだ」
冷静沈着にいうセリフは重みがある。

歌も出来るし、俳優としても天下一品で実にすばらしい。まさに当代きっての千両役者だ。

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映画「インファナルアフェア 無間序曲」

2013-07-03 07:31:07 | 映画(アジア)
映画「インファナルアフェア 無間序曲」は2003年の香港映画だ。

名作「インファナルアフェア」のヒットを受け、一作目のストーリーに至る前のいきさつが語られる。トニーレオンやアンディ・ラウが出ていない。それだけ聞くと普通のような印象を与えるが、この作品香港映画史上に残るとてつもない傑作である。自分の尺度でいえば、一作目の出来を上回っていると思う。香港の暗部を映し出すスタイリッシュな映像、映像に的確にマッチする音楽、迫力ある相手への追い込みが逆転に次ぐ逆転を生む。この映画から噴き出る蒸気は極めて強いものがある。

1991年尖沙咀(チムサアチョイ)に君臨する香港マフィア(黒社会)の大ボス、クワンが暗殺された。
1人の青年の仕業であった。クワンの子分たちがどよめいている。
訃報を聞いて、その夜クワンの身内はすぐさま組織をまとめ上げようとした。次男ハウ(フランシス・ン)がクワンの跡を継くことになる。

混乱に乗じて離反をもくろむ配下のボス5人が鍋を囲む。その中に新参のボスであるサム(エリック・ツァン)がいた。後継者ハウは普通の黒社会とは違う外見をもつ紳士風だ。手下のボスそれぞれの弱みや裏情報を握っているので、冷静沈着にボスたちと話をして、弱みをつつきながら離反を防ぐ。彼は、一夜にして新たな大ボスとしての地位を固めてしまうのだ。ウォン警部(アンソニー・ウォン)と相棒のルク警部(フー・ジュン)は、抗争勃発に備えて厳戒体制を敷いた。

サムはラウ(エディソン・チャン)を警察に潜入させようと考えていた。サムの妻マリー(カリーナ・ラウ)に依頼されたラウは、危険を覚悟で引き受ける。彼は年上の素敵な女性であるマリーに想いを寄せていた。ラウは地下にいったん潜伏した後、警察学校に入校するのだ。

その警察学校に1人の退学処分になる男ヤン(ショーン・ユー)がいた。殺されたクワンの私生児であることが発覚して、成績優秀にもかかわらず辞めさせられたのだ。その時上官にウォン警部を尋ねろといわれた。ウォン警部は退学処分になったヤンの存在を知り、その血筋を利用してヤンをハウの組織に潜入させることを思いついていた。ヤンは正しい道を歩みたいという願望があり、警官になれる唯一のチャンスに従った。

1995年ヤンは潜入捜査のために刑務所に入り込む。そこで大喧嘩をして黒社会の子分と親しくなり、異母兄弟ハウのもとに近づく。ハウは肉親のヤンを側近の1人として重宝するようになる。一方、組織犯罪課の警官となって2年目のラウは、サムからの情報によって手柄を重ねていた。ハウは事業を拡大して一家の安泰をはかるとともに、4年前に父を殺した犯人探しに執念を燃やしていた。クワンが殺された4月11日の命日、大きくストーリーが転換する。

基本的な流れは上記の流れだ。
登場人物のキャラクターが少しづつわかり始めた後で、激しい衝撃がくる。
ここからのドンパチが凄い。ハウが手下の5人のボスを殺そうと刺客を送り込むのだ。

映画の主役は潜入する2人であるが、実質的には送り込む立場の2人がメインになる。2人は警察と黒社会で正反対の世界にいながらも、何気なくつながっている。

アンソニーウォンの面構えがいい。ヤクザと警察は紙一重というが、この男はどちらの役を演じても絵になる。エディソン・チャンは名作「ラブソング」でマギーチャンの結婚相手になる黒社会の男を演じていた。

そしてここで2人と同等に活躍するのが、跡継ぎのハウだ。インテリヤクザを地で行く身のこなしがかっこいい。少し違うが「アウトレイジ」椎名桔平が演じていたヤクザのイメージを持つ。この男頭がいい。自分をつぶそうとする配下のボスたちの弱みを握って、反逆を巧みにかわす。しかも、警察のおとり調査も読んでいる。警察側が一気に窮地にさらされる。そして一気に勢力を伸ばすのだ。

ところが、ずっとうまくいくわけではない。お互いに潜入した両方の手下を通じて、情報が入り乱れる。味方と敵が入り乱れているうちに、サムが潜伏するタイのマフィアの人間まで絡んでいく。さまざま手を使って相手をつぶしに行く。将棋の上級者が次から次へと逆転の手をうっていくような激しい動きに幻惑させられる。
1人の凄い俳優の活躍というよりも、雑多な交わりが絶妙だ。面構えにも注目だ。ハウの下にいる殺し屋やラウが味方に引き入れるタイのマフィアの男なんて実に味のある顔をしている。

ビジネスでいえば個人プレーというより組織戦という言葉が当てはまるような傑作だ。
一度見ただけでは、関係のすべてを理解するのは困難であると思う。自分もそうだった。でも起承転結の承の部分で激しくテンションをあげる。これを最初に見た時の衝撃は忘れられない。これは見たもの誰もが感じるであろう。
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映画「レミゼラブル」 ヒュー・ジャックマン&アン・ハサウェイ

2013-07-02 19:25:48 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
映画「レミゼラブル」遅まきながらdvdで見た。

「うーん」もっと早く見ておけばよかった。今さらながら感動です!!
セリフ代わりに歌続きの映画と聞いていたので、個人的に苦手意識があった。原作は前に読了して、内容の大筋はつかんでいる。見始めていきなり、囚人たちがロープを引きづる場面の壮大さにビックリ
どちらかというと本当のプロ歌手ではない俳優たちがすばらしい歌声をきかせてくれ徐々に感動は強まる。劇場で見るチャンスあれば、もう一度行ってきます。

おなじみのストーリーだが振り返ってみる。
1815年となり、フランス革命の後、ナポレオンがその勢力を欧州全域に広げた時期も終りとなっていた。ウィーン会議で復古主義がとなえられる頃、民衆は貧困にあえいでいた。
主人公ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、パンを盗んだ罪で19年間投獄されていた。途中で脱走の罪もあり長期間にわたったのだ。まずは囚人たちの苦役のシーンを映す。そこには監視するジャベール(ラッセルクロウ)もいた。
仮釈放されたが、前歴もあり仕事にもつけない。空腹をいやすために教会にお願いに行く。そこで司教がやさしくもてなしてくれた。それなのにバルジャンは金になりそうな銀のお皿を盗んで抜け出すのだ。バルジャンは捕まってしまう。警察がバルジャンを引き連れて銀の皿を持って司教の所へ向かう。
しかし、司教は「これは差し上げた物だ」とかばってくれた。
罪を赦してくれた司教の慈悲に触れバルジャンは生まれ変わる。

1823年時がたち、バルジャンはマドレーヌと名前を変え、工場主として成功を収め、市長の地位に上り詰めていた。

市長の元を警官のジャベールが表敬訪問した。ジャベールは市長の声に聞き覚えがあった。まさか行方不明となったあの囚人とは違うだろうと思うが、疑惑の念を持った。
一方、ジャベールの工場でファンテーヌ(アン・ハサウェイ)が働いていた。彼女には幼い娘がいて、貧困にあえいでいた。工場の上司が彼女にちょっかいを出すが、彼女は拒絶する。そして工場を追い出されるのだ。人に預けている娘への仕送りをするために懸命に働いていたが、お金を次々に要求され、彼女は身売りするしかない状態になっていた。

別の町で「バルジャン」が逮捕されたという情報が主人公の元に入る。ジャベールからだ。しかし、罪のない人がつかまることに心を痛めたバルジャンは、法廷で自分の正体を明かしてしまう。
そして再び警官のジャベールに執拗に追われることになったのだ。


そのころ、バルジャンは生活に困り路頭に迷うファンテーヌと知り合う。ファンテーヌは疲れきり身体も病んでいた。主人公は彼女から幼い娘コゼットの未来を託される。
バルジャンはコゼットを養っている宿屋の亭主テナルディエ(サシャ・バロン・コーエン)とその妻マダム・テナルディエ(ヘレナ・ボナム=カーター)のもとへ行き手切れ金を支払い引き取る。

ジャベールの追跡をかわしてパリへ逃亡する。コゼットに愛情をそそぎ父親として美しい娘に育てあげる。

1832年に時代は変わる。王政復古を迎え、ルイ18世が即位する後、シャルル10世の時代を経て、ルイフィリップという英雄を迎える。ルイフィリップはアメリカ独立戦争でも活躍したラファイエットを将軍とした7月革命を1830年に起こしたあと帝位につく。それでもパリは落ち着いていない。
民衆の生活は窮乏しているからだ。そんな時パリの下町で革命を志す学生たちが蜂起する事件が勃発、バルジャンやコゼットもその騒動にからまっていくが。。。

バルジャンが皿を盗む話から、工場経営者兼市長になるあたりの展開が意外に早い。
バルジャンの経営する工場が出てくるまで20分かかっていない。しかも、心の葛藤を映し出すことなく
すぐさま裁判所で告白する。ファンテーヌの悲劇の話が終わるまで40分強だ。この長丁場では短い。
この作品で一番のテーマはバルジャンとそれを追うジャベールの絡みだが、預かった娘であるコゼットの恋にウェイトが予想以上におかれる。

有名な歌が続く。どれもこれも心に響くいい曲だ。
主演のヒュージャックマンは好演で、歌声もすばらしい。難役を見事にこなした印象だ。
アンハサウェイは汚れ役をしてオスカー助演女優賞をもらえてよかったと思うけど、彼女にはもっとゴージャスな役をやってもらいたいというのが自分の本心だ。
敵役のラッセルクロウの歌は「素人のど自慢」みたいで吹き出しそうになったが、情感こもっていてよかった。意外な面を見ると引き寄せられる。



この映画で一番よく見えたのはエポニーヌ(サマンサ・バークス)だ。彼女が歌う「オン・マイ・オウン」を聴いたときが一番背筋がぞくっとした。

テナルディエ夫妻というハチャメチャなといっていい両親を持つエポニーヌが年頃になった。彼女はマリウスを好きになっている。マリウスは60年代の大学生が学生運動に走ったがごとく人民運動に身を投じている。よくあるパターンだ。そういう左翼系の男にほれる女は多い。昔の女優によくいるなあ。
ところが、彼はよりによってコゼットに一目ぼれをしてしまった。
大好きな男が昔からの幼馴染に魅かれるときの複雑な心境、何かかわいそう。そこで心情を歌に披露する。このバラードが抜群にいい。

昔は自分の家に預けられていた子だった。それがなぜか立場が逆転する。つらいなあ。

他にもつらい気分にさせられるシーンは数多くあるが、このかなわない恋が一番切ない。
しかも、最後には二人の恋に手を貸す。なんて素敵な女性なんだろう。そう思わせていた。


最後に向けて感動に酔いしれるような「民衆の歌」すばらしい
最高だ!
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