Don't Let Me Down

日々の雑感、引用。
言葉とイメージと音から喚起されるもの。

かぶかぶさんへの手紙 10/03/08

2010-03-08 03:06:27 | 日記


☆ かぶかぶさんからのコメント(<“文学全集”が読みたい>に対して)

ツバメ号! (かぷかぷ)  2010-03-07 22:45:52

教養、そして知性の土台となる文学全集、何度も読もうとしては挫折しましたが、児童文学は小学生、中学生の頃に随分読みました。
最近、いろいろ機会もあって、子供時代に読んだ本を手に取るのですが、特に海外の児童文学には、児童文学のレッテルを貼ってはいけないくらい、大人でも、いえ、大人こそが読むべきものが多いことに、驚きます。
ル=グウィンのゲド戦記や、エンデの果てしない物語、モモなどを読むと、ハリーポッターを全巻読んでしまった自分がなんだか情けなくなります。
ファンタジーブームでどんどん現れては消えるマンガのような児童文学に、こうした名作が埋もれて、子供やその親の目に触れなくはならないかと心配でなりません(と、マンガのような本を読む私がいうのもなんですが)。
ツバメ号も小学生の頃に読みましたが、このブログで再会するとは思いませんでした。今、もうすでに読みたくって、うずうずしています。お金をためてヨットを買おうと意気込んでいたのを思い出しました。
児童文学から卒業しきれなかったものの、子供時代に時間を忘れて本を読んだ思い出は、なにものにも変えがたい財産だと、本をろくに読まなくなった現在、しみじみと思います。



☆warmgun返信

かぶかぶ さま

昨日は日曜なのに半日仕事があり、疲れて早く寝たら、今2時過ぎに起きちゃいました。

“ツバメ号シリーズ”に反応があって、とても嬉しいです。
実は、ぼくは『ツバメ号とアマゾン号』しか読んでないんです。
あと『ツバメの谷』と英語の『海に出るつもりじゃなかった』を持っているが、読んでいません(精神的にピンチになった時のために取ってある;笑)
あと厚い『アーサー・ランサムの生涯』も持っているが、読んでない(理由は同上;笑)

『ツバメ号とアマゾン号』は岩波少年文庫版を中学校の図書館で借りたんです。
その時から、“ツバメ号”は、ぼくの唯一の児童文学になりました。
それまで、ぼくは“児童文学”というのが、あまり好きじゃなかったですね。
むしろ幼年~小中学の頃は、マンガや“子供の科学”でした。
まさに手塚治虫ですよ(笑)
だから“現在でも”手塚治虫とか言ってる人は、ぼくからみると“アナクロ”ですね。
矢作俊彦の『ららら科学の子』みたいなのは、“わかる”けど。
『火の鳥』は好きじゃないし、『ブラック・ジャック』はあまり知りません。

こういうのが、どうもぼくが“マンガ”に冷たいことの理由みたい。
世の中で、少女漫画とかが、“大人も”読むようになったころ、ぼくはマンガに関心をなくしてた。
『日出処の天子』だけは、なぜか読んで好きでした。
あと宮崎駿のアニメもだいぶおくれて見て、「ナウシカ」や「宅急便」は好きだが、近年のは好きじゃない(「ポニョ」は見てない)
だから、映画の「スカイクロラ」はショックでした。
あの“マンガの絵”というものが表現できる魔力を、また見出した。

だから、マンガがだめとか、“児童文学”という“くくり”はナンセンスだね。
『アリス』はすごいし、『ハック・フィン』は読んでないのでずっと気になっています。
サリンジャーやフィッツジェラルドよりいいんじゃないか(笑)

前にブログに書いたことがあるんだが、ぼくは中学の頃から、SFにシフトした。
近年、『ゲド戦記』は最初の巻を読んだんだが、いまいちでした。
“ハリポタ”と“指輪”は映画はダメだね。
『指輪物語』原作は読むべきかと思う。

でもSF好きが言うのはヘンだが、ぼくはどうも“ファンタジー”は苦手だ。
ブラッドベリはちがう、むしろキングと共通点がある(つまり“リアル”なのね)
SFで現在も残るのは、ブラッドベリ、『砂の惑星(デューン)』、『ソラリス』だね。
バラードやウイリアム・ギブソンも好きだ(ディックはあまり好きじゃない;笑)
最近のSFは読んでない。

つまりぼくは“文学全集”的なオーソドックスな読み手じゃなかった。
だからここにきて、“読みたい”。
むかしは、“これだけは読まなきゃならない”みたいなのが負担だったね。
漱石の『こころ』とか、大嫌いだった(笑)ドストエフスキーには苦しんだしね。

ところがブログに書いた『アンナ・カレーニナ』とか『パルムの僧院』を今読むと、面白いね。
やっぱ人生のキャリアを積んで、<寛容>になったのかね?(爆)

でも自分では、“はずれたものが好き”とは、思ってない。
まさに大江、中上、デュラス、ル・クレジオが、現在の<王道>だと。

やっぱり“クラシック”の良さはあるが、<現在>のピリピリした手触りがほしい。
そして、“観念”や“幻想”がどんなに飛躍してもいいが、“ツバメ号”のようなある種の<平凡さ>こそリアルだよね。

ぼくは“子供時代の友情”に弱い(だからキングの『IT』が好きなんだ);笑