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僕の読書ノート「副鼻腔炎 耳鼻科の名医が教える最高の治し方大全(大久保公裕 など)」

2021-01-03 20:05:12 | 書評(生物医学、サイエンス)

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

 

15年ほど前に副鼻腔炎にかかったことがあり、その時はマクロライド系抗生物質の継続投与という薬物療法で治った。ところが昨年の夏、副鼻腔真菌症という名の副鼻腔炎と鼻中隔湾曲症の手術を受けた。手術を受けたほどだから尋常ではない。今後のためにもある程度は病気の知識を持っていたほうがいいだろうと思った。そして、本書の著者の一人が仕事でお世話になった方だったこともあり、読んでみることにした。

そもそも、副鼻腔は無用の器官のようにも思われるが、なんのために存在するのだろうか。副鼻腔は、吸い込んだ空気を加湿したり温めたりする機能と、脳を冷やすラジエーターのような機能を持っているという。そのため、副鼻腔炎になり、副鼻腔内の効率的な換気がなされないと、そのラジエーター機能が阻害され、脳内温度は高まり、頭がボーッとするようになる。とくに、おでこの部分が熱を持ちやすくなり、集中力や意欲といった脳のパフォーマンスを下げ、記憶の低下といいう事態を招くことになるということだ。

副鼻腔炎は急性と慢性に分けられる。急性は発症後1カ月以内に症状が消失するもの、慢性は症状が3カ月以上続くものをいう。慢性副鼻腔炎は、自然には治らないので、適切な治療が必要だということだ。慢性副鼻腔炎には、「ちくのう症」「好酸球性副鼻腔炎」「歯性上顎洞炎」「副鼻腔真菌症」などがあり、それぞれ治りやすさが違う。「ちくのう症」は、細菌・ウイルス感染によるもので、悪化して鼻タケ(鼻ポリープ)ができると手術が必要だが、たいていは局所療法や薬物療法で治せる。「好酸球性副鼻腔炎」は、難病に指定されていて、ステロイド薬の投与と内視鏡手術でかなり治るが、再発をくり返しやすい。「歯性上顎洞炎」は、原因となっている歯の治療が必要で、抜歯しない場合は手術が必要になることもある。「副鼻腔真菌症」は、薬が効きにくく、手術で真菌(カビ)を除去する必要がある。私はこのタイプであり、アスペルギルスというカビが原因だったようだ。

急性鼻炎(鼻カゼ)は放置しても治るが、鼻づまりや鼻水の症状が3週間以上続いたり、頭痛や顔面痛が現れたり、においや味がわからなくなったりした場合は、急性副鼻腔炎の疑いが濃厚なので、速やかに耳鼻咽喉科を受診することが勧められている。この場合、まず近所で開業しているクリニックを受診し、必要があれば紹介状をもらって大きな病院を受診することが推奨されている。私が手術を受けた中核病院の医師からも同様のことを言われた。これまでいろんな耳鼻科医を見てきたが、以前受診した近所の耳鼻科医は診療レベルが高いとは言えなかった。よい先生を見つけておく努力も必要そうだ。

副鼻腔炎のセルフケアがいくつか紹介されている。日々のケアで鼻づまり、鼻水、後鼻漏の症状がよくなるケースもあるらしい。推奨されているのは、鼻うがい(私も時々やっている)、鼻ワセリン、運動、鼻の通りをよくするツボ、ハッカ油などだ。運動は自律神経に作用するという。鼻の中にも自律神経があり、交感神経の働きが活発になると血流がよくなり、副交感神経の働きが過剰になると鼻水やくしゃみが出やすくなる。そのため、鼻水など鼻の症状を防ぐには、交感神経を刺激して活発にさせる有酸素運動ーウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などーが有効だという。

普段からのセルフケア、とくに運動は副鼻腔炎だけでなく、あらゆる健康の増進にいいはずだから、できるだけ継続していきたいものだ。



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