ボイストレーニングは不思議なものだ。
ツボさえ押さえれば一発で声の変化が大きくあがる。
例えば声楽で額の後ろに声を当てろなどと、先生から命令される。
額にしわを寄せたり、背伸びをするようにして声を頭に集める。
しかし先生は「ダメ。もっと上にあてて」と注文をつける。でもあたらない。
一方、私はそんな言葉は一言も吐かない。
ある結果で声は鼻の空間にいやでも集まる。諸先生方が百万言お垂れなさるものを、一つの動作で実現する。このポイントを掴むのに40年ぐらい費やした。
今日、2人の男性が教室に現われた。最近マンネリ系で停滞気味である。Wフェッターなので、思い切って2回目を私の秘伝に切り替えた。
「抜けた、声が通った」と大騒ぎした。声がいやが上にも鼻の空間に当たりまくっているのだ。声楽の先生が百万言使う指導を、私は、ただ1回の動作で実現したのだ。こんなことは私の教室では珍しいことではない。
寒いので、体育館の分厚いガラス窓を占める。その外を2人の男が走る。まるで室内で私の傍にいるように声が響く。こんな声は久しぶりだ。
2人は「先生はノーベル賞ものだ」と驚嘆して帰った。
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