晴れのち曇り、時々パリ

もう、これ以上、黙っていられない! 人が、社会が、日本全体が、壊れかかっている。

東日本大地震という自然災害が、「原発問題」と言う途方も無い『人災』をあぶり出した。

2011-03-15 22:46:05 | 社会問題
『福島第一原発』は、2号機から口火を切って、1号、3号、4号と、悪魔の連鎖で牙をむき出している。


「想像を絶した大地震」
「想定外の災害」
「ここまでの状況は考えられなかった」

お待ち下さい。

そのような「逃げ口上」は、聞きたくない!
と言うより、そのようなセリフを吐く権利は、彼等には無い。


そもそも、<原子力>という『人類全体』に災難が及ぶ可能性の有る、人知の及ばない「おもちゃ」をいじくる以上、問題が発生する様な「想定外」は有ってはならない筈ではないのか。

たとえ、人間がこれまで体験した地震の最大値が、マグニチュード10, 8だったとしても、「それ以上の地震は存在しない」と決めつける権利が、人間にあるのか。

ましてや、それ以下の地震で、もろくも崩れさる様な「安全対策」など、少しも安全<対策>などではあり得ない。

そして、四方を海に囲まれた地震国である日本が、「津波に対して」備えが無かった、など一体何処に言い訳の余地があるか。



100%の対策ではダメなのだ。
200%、否500%の対策を講じて、始めて『安全対策』と言えるのでは無いか。

「これだけの対策を講じてあるから<安全>である」

こんな事を言う事は、<驕り>であり<手抜き>である。

「ここまでの地震は想像出来なかった」

こんな事は、言い訳にもならない。

ひとたび「事故が起これば」、何万人、何十万人、いや日本全体、近隣諸国にまで被害を及ぼす可能性の有る「原子力」なるものを「利用したい」のならば、人間の想像を超えた次元までを想像して、安全策を講じておくのが、最低の義務である。

「原発が溶解する事」とは、『原子爆弾を投下する事』と同じ事である、と言う自覚が欠けていたのでは無いのか。

否。

彼等は「分かっていた」のだ。

分かっていて、「自分が生きている間にそんな災害が起こる筈は無い」と決め込んでいただけだ。
そして、1000年に一度のレベルの災害に対する予防措置など、経済効率から言って「やりたくない」だけだったのだ。

そして、このレベルの災害が起こらないとは言い切れない事は、周辺住民には「敢えて発表しなかった」だけなのだ。

『電力会社』が存続する為に、そして「利益を上げ続ける」ために、原発を作りたかったのだ。

その為には、分かっている「最悪の災害」には、一切口をつぐんでいたのだ。

その結果。
「非常冷却装置」が全機、「非常時に役に立たない」結果を招いた、と言う事事自体が、既に引き返し様のない「人災」である。

『地震』も『津波』も自然災害である。
人間は、悲しいかな「立ち向かう」力は無い。

しかし。
敢えて言う。

『原発事故』は、<人災>である。



しかし、悲しい事ながら、起こってしまった事は、元には戻らない。


しからば、次善の策は何か。


事故が与える結果を、可能な限り「最小限」に押さえる事である。

その為には。

あらゆる手段を、早め早めに打って行く事。

と同時に。
可能な限り正確に具体的に、「起こっている事」と「それが与え得る可能性」とを市民に伝えて、物心両面で各人の準備と対策をとる余地を与える事。

その「両面作戦」が出来て始めて、現場の事故の収拾と、周辺住民への被害を食い止める、両方の目的に対し、望まれる結果を得られるのだ。


しかし、現在、実際にやっている事は、そのどちらも「明らかに」満たしていない様に見える。

『東電』と『政府』ともに、情報を「伝えまい、伝えまい」としている態度が、あからさまである。


一体全体、本気で事態を収拾したいと言う「意志」が有るのだろうか?

「悲観的な情報」を隠して、一時的に「パニックを抑える」事が出来たとして、その後の人的被害を、いったいどのように責任を取れるつもりなのだろう。

みている限り、政府も東電経営陣も、責任を取る発想は無いとしか思えない。

「これだけの安全対策をとったから十分」
という発想は、
「この程度の放射線量は、人体に影響を与えない」
と言うのと同じ発想である。

神をも恐れぬ、傲慢にして冷酷無比な、驕りである。


住民が心配している。

当たり前だ。
放射線が検知されているのだから。

素人がみても、建屋が爆発するくらいの「異常事態」で、放射能が漏れない筈は無い。

しかし、漏れたのなら、どの位危ないのか。
何処までの対策をとれば、何処まで逃げれば、安全なのか。

「必要にして充分な」情報を公開して、その上で住民対策をとるのが、当たり前の感覚である。
東電にとっても。
政府にとっても。

「平常値の2倍に過ぎない」
「レントゲン検査で浴びる放射線量と比べてわずか数倍」

馬鹿野郎。

レントゲン撮影の5倍?
レントゲン撮影は1000分の一秒。
その5倍の放射線量が漏れていれば、1秒で5千倍では無いか。

その量の放射線に、24時間曝され続けていたら、43億2千万倍だ。

「その場で直ぐ症状が分かる」ようなら、それは最早「原爆投下」の犠牲者と同じである。
その時は、何事も無い様でも、数年後にあらゆる「身体的異常」が徐々に現れて、体を蝕んで行く。

それが、放射線被害と言う物である。
知らないとは言わせない。

その時、東電の社長を始め、記者会見で事実をぼかし続けている東電の技術者、及び枝野に代表される「菅直人政権」が、責任を取れるのか。

いい加減にして欲しい。

『私自身が<対策本部長>として、国民の安全を最大限に守るべく・・・』
等と叫ぶばかりの菅直人は、事態の重大性が理解出来ているのか。

記者会見を行っているのは、現場では無い。
最大限15分間しか、曝せない放射線漏れの現場で、証明とて無く、動きにくい防護服を着用して、津波や余震に怯えながら、懸命な作業をしている「現場の職員」に、「人体には全く問題ない」と言えるか?

それこそが『人災』である。


フランスのテレビの「ニュースチャンネル」も、一日中『日本の地震災害』のニュースを流し続けている。

勿論、街での市民達の表情を拾う映像も有る。

しかし、一番の焦点は「福島原発の爆発」と、それがもたらしつつ有る『放射性物質の拡散』の点に集中している。

フランス政府は、在日フランス人に対して、取り敢えずの処置として「東京から離れる」事を勧告した。

「なるべく東京を離れて、少しでも南に、少しでも遠くに、退避する事が望ましい。」
「勿論、日本をはなれる事もお勧めする。」
「仕事やその他の事情で、どうしても東京を離れられない人は、十分に注意して、常に情報不足にならない様に務める事。」
「(日本)政府が、必要な情報を流す筈だから、よく注意して、情報収集に励んで欲しい。」

と、通達した。

ちょうど「フランス救助隊」を運んで来た飛行機が、本来は<空で>引き返す筈であったのに、せっかく「288席の移動手段が有る」以上無駄にする事は無い、と言う訳で「帰仏希望者」を、無料で乗せてフランスに連れ帰った。

更に、フランス大使館は『ヨード剤』を集めて、可能な限りのフランズ人に配る手はずを整えて居り、「雨には濡れない様に」との注意を広めている。

可能な限りの手を打っている事が、見て取れる。
海外駐在日本公館の、在外邦人への対応とは雲泥の差の、「きめの細かさ」を感じる。


「日本政府が<必要な情報を流す>はず・・・」
これを聞いて。
恥ずかしく、申し訳ない気持ちで一杯である。

『日本政府は、庶民に有用な情報は与えない』とは、言えない。。。


そして、この大災害が与える、経済的影響と損失とにも、当然焦点を当てて報じている。

15日の日経指標は、前日比10%以上の値下がりを見せた。
この下げ幅は、最近に例の無い大幅な下げ幅である、と言う。

そして、この流れは「日本国内に留まらない」影響を与えると、警鐘を鳴らしている。

この日の「パリ市場」は4,35%、「ロンドン」が2,4%、「フランクフルト」でも同じく2%前後の値下がりを引き起こしている。

『世界第三の経済が崩壊する事は、ヨーロッパにも深刻な影響を与える』
『ジャパン・マネーは、ヨーロッパ各国の株式市場に深く関わっている。もし日本の投資家が、復興資金の必要から、ヨーロッパ市場で、所有株の売却を行ったら、ヨーロッパ経済は崩壊する』


フランス下院で、今日15日『日本の災害被害者の為に』黙祷を捧げた後、<原発の賛否』を問う『国民投票』をやるべきと言う<緑の党>提出の法案に対して、けんけん諤々の討論が為された。

結論は、まだ出ていない。


ヨーロッパ議会でも、状況は同じ。

ドイツが、25年以上を経た原発は、即時に停止し『安全確認』の為「3ヶ月間停止する措置」を取る事を表明した事を受けて、ヨーロッパ中に分散する153基の原発の、安全再確認を議論した。

『日本に比べて「地震被害」の恐れは少ない物の、「あらゆる事態」を想定しての、安全度の検証を再度行って居り、今の所は「原発を廃止する」議論までは行かないでもいいのでは無いか』との流れのようだった。


明日16日の朝刊も、「全国紙」はほとんどが『日本の地震災害の状況』になるもよう。

『フィガロ』16日一面のタイトル。
『日本の最悪の悲劇のスパイラル』

静岡県地震の速報も正確で、<福島原発>の状況と、その考えられる影響、それに対処するべき対策の可能性など、日本のマスメディアより、余程役に立つ。


160有余年続いた『官僚政治』の結果、日本の社会構造は、総てが<官僚的>に成り下がってしまっている。

政財官、総ての分野に於いて、「偉くなれば成る程」<官僚的発言>に終始する様になり、責任の所在をぼかし、結論を先送りにして、逃げ切ろうとする。

その「お上」に対する、国民の側の安全装置である筈の『報道機関』が、やはり「偉くなれば偉くなる程」、言い換えれば「有名マスコミに成る程」官僚的な発想に終始する。

その結果、自ら「お上の守護役」を買って出る。
そして、マスコミ自ら「お上」の仲間のつもりになってしまっている。

いくら、有形無形に「余録にありついている」とは言え、アフリカの新興国と同じレベルでしかない体たらく。

正確な情報が、今こそ求められている。
それなのに。


そんな<メディア>しか持たない日本が、このような『千年に一度』の様な<大災害>に見舞われてしまった事の悲劇。

そんな、驚天動地の大災害に見舞われてしまった、「その時」のリーダーが『菅直人』であったと言う悲劇。


10年後、20年後、30年後に現れる「放射線障害」に見舞われてしまった国民達の『怨念』を、「地獄」で一身に浴びるがいい。


日本の庶民は、政府と企業と報道機関との協力と庇護無しに、庶民の細腕一本で、この大混乱かを切り抜けて、不死鳥の様に甦らなければならない。


政府にグチを言っているヒマなど無い。
世界が、固唾をのんで見守っている。。。

コメント (16)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする