夕方散歩をしていて、セーヌの河岸に出ると道路が封鎖(車に)してあった。
こんな時間から今日はなんだったか、と考えてたら『トウール・ド・フランス』の最終日だった事を思い出した。
早速スマホで検索してみると、パリ郊外の街を16時50分にスタートしてパリに向かっている事がわかった。
あと一時間も待ってたら来る!
長らくパリに暮らしているが、トウール・ド・フランスを間近で見た経験は一度もなかった。
当然、待ちましたよ。
待つこと小一時間。
時折プレスの車がやってくるのだが、本体のくる気配は依然としてない。
そして、やっと「白バイ」が近づいてきたのでカメラを向けたら、オートバイ警官の前を自転車が2台通り過ぎた。
先頭集団にしては静かだし、どうやらペースメーカーだったのか。。
その後、いきなり頭の上に轟音が聞こえ、周囲から歓声が。
見上げてみると、フランス空軍アクロバット部隊の、トリコロール飛行編隊が上方を通過中。
その後も、数分おきにオートバイ警官やプレスのバイク、車が通るが事態は変わらず。
で。
やっと。
これまでとは雰囲気の違う(感じるのですねこれが)オートバイ警官。
これで、そろそろ本当にやってきそうな機体が膨らむ。
しかし、前方では観客がルートの中に佇んで待ちわびていたり。
平気でルートを横断して両側を移動したり。
車のラリーでもそうですが、そのようなことは公道ラリーにおいて警備当局の規制対象ではないらしい。
実際にトウール・ド・フランスで応援中の観客と選手が接触して選手が転倒し、後続選手が巻き込まれて多重事故が起こることもあるのです。。
これまでに通らなかったタイプの警備車がやってきた。
いよいよ。
来たあー!
ここからは、実は「あっという間」なのですが。
ちなみに黄色いジャージー(マイヨー・ジョーヌ)の選手が、全行程の通算トップタイムの選手で『マイヨー・ジョーヌ』と呼ばれます。
今日は最終日なので、総合優勝する可能性が大きい選手です。
毎日、ニュースで区間表彰式の報道がなされ、ヒーローなのです。
後で写真を見て分かったのですが、この「マイヨー・ジョーヌ」の奴め、並走中の選手とおしゃべりしてる!!
160名ほどの選手が通り過ぎるのはあっという間だと急に思い出して、あわててカメラの向きを変える。
ああ、行っちゃった。
また向きをかえて、追走する応援車両を撮ろうとおもったら。
最後尾の選手らしき姿が。
しかも、並走するプレスのオートバイの後部座席にしがみついたカメラマンが、片手でウエッブカメラかなんか突き出して、撮影してた。
あとは、追走車両の集団。
全国を走り回っている間は、パンクしたり転倒してフレームがひん曲がったりした時に取り替える「代替え自転車」を屋根の上にたくさん積んで走っていたはずだが。
さすが最終日。
もう代替え車両を積んだ車は少なかった。
と、いうわけで。
先頭集団が見えてから、通り過ぎるまで、わずか2分くらいか。
ちなみに、このトウール・ド・フランスは、毎年コースが変わります。
フランス国内が原則ですが、近年スタート地点は周辺の国であることが多い。
今年はドイツのデュッセルドルフを7月1日にスタートした。
ここからの画像は『トウール・ド・フランス大会本部』のHPより、お借りしました。
photo : La Tour de France Official Site
全行程18区間を、休息日と移動日をいれて22日間で駆け抜ける。
毎年必ず「アルプス」と「ピレネー」の山岳コースが含まれ、その際は高低差1000メートルなんてのもザラ。
途中何箇所か、都市部で街路を何周かする「スプリント区間」が含まれ、空路の移動日もある。
最終区間は、必ず近郊の町からパリに入って、シャンゼリゼを周回する。
photo by Tour de France Official Site
今年の最後は、今日22日。
パリ南東部のモンジュロンを16時50分にスタートしてパリの環状道路に南から入り、時計回りに5kmほど走って、パリの南西の角のセーヌがパリを出るところから市内に入り、川岸を通って「グラン・パレ」と「プティ・パレ」の間を通ってシャンゼリゼにはいり、凱旋門とコンコルド広場を7周。
走行距離104kmで争われた。
photo by Tour de France Official Site
photo by Tour de France Official Site
photo by Tour de France Official Site
photo by Tour de France Official site
photo by Tour de France Official Site
photo by Tour de France Official Site
そして、今年の総合優勝はイギリスのクリス・フルーメ。
なんと彼にとって、トウール・ド・フランス4回目の制覇となった。
photo by Le Monde
チームの同僚選手と「肩を組んで」のゴール。
そして、今日の区間優勝は、オランダ選手グローネンヴェルゲンが獲得。
photo by Le Monde
チームで参加し、そのチームのエースを勝たせるためにチームメイトが交代で前走して風を受けたり、他のチームの選手をけん制したり、かなり高度な作戦がとられるらしい。
栄誉としては、まず『総合優勝』
そして『区間賞』と『ポイント賞』と『最優秀若手選手賞』などがある。
前日までの通算最高タイムの選手が『マイヨー・ジョーヌ(イエロー・ジャージ)』を着用し、もし通算記録の選手が変わることがあれば、その日の区間優勝者の表彰時にマイヨー・ジョーヌを引き渡す儀式がある。
特定区間で行われるスプリント(いわば短距離計測走)での勝者『スプリント賞』は、白地に赤の水玉のマイヨーを受け取り、次のスプリント区間まで着用する。
さらに、各区間でポイントも決められており、通算ポイント最多選手はグリーンのジャージ『マイヨー・ヴェール』を着用。
若手優秀選手はホワイト・ジャージ『マイヨー・ブラン』を着用。
今年の総合優勝のフルーメは、総合タイム86時間20分55秒で、2位と「54秒」差であった。
普仏戦争後、1870年の新体制となったフランス『第三共和制』の末期、第二次大戦前夜の混乱期には、政権が頻繁に変わり短命の大統領が続いた。
その頃フランスでは、その年のトウール・ド・フランスの優勝者の方が、大統領よりはるかに知名度が高い、とさえ言われたくらいで、フランス人にとってかけがえの無い大きなスポーツ・イヴェントなのです。
これで、7月14日『革命記念日』の花火大会と並んで、恒例の夏の風物詩が終わった。。。