前回<季節柄>という事で、<キノコ>をご紹介しました。
今回は、引き続き<青果>なので、あまたの売られている商品の中から、あまり日本ではお目にかからないものを取り上げてみようと思います。
こんなの見た事有りますか?
これは<根セロリ>と言います。
葉っぱ付きだと、<セロリ>だと解りますよね。。。
これは、いわゆる茎を食べるのでは無く、あくまで<根っこ>を食べるのが前提、のセロリなのです。
この<鬼のゲンコツ>みたいなヤツを、茹でて、千切りにして、マスタードを利かせたマヨネーズ・ソースで和えて食べます。
ゴリゴリした食感ですが、味はまごうかた無き『セロリ』そのもの。
フランスの、一膳飯屋みたいなレストランの<定番>の前菜に、『クルディテ』というものが有ります。
生の<ニンジン>の千切り、スライスした<キュウリ>、角切りの<ビート(甜菜=砂糖ダイコン)>、同じく千切りの<紫キャベツ>等と共に、この<根セロリ>の千切りを合わせ盛りにして、ドレッシングを掛けただけ、という一品です。
学食や社食でも必ず<定番>のはず。
新鮮な野菜をモリモリ食べる時、欠かせない食材です。
これは<黄ブロッコリー>です。
一見ブッキー(古い?ブキミって言いたい)ですが、最近出回り始めた、ブロッコリーの一新種。
食べ方は、旧来の<ブロッコリー>と全く同じです。
色目がいいので、サラダに映えますネ。
所で、いわゆる『フランス料理』という<レストラン料理>には、実は<スープ>は有りません。
スープとはそもそも<家庭料理>である。
造るのに手間がかかる割に、値段は安いので、<客単価>があがらない。
先にスープを食べてしまうと(飲むとはいわない!)、お腹が張って、料理があまり食べられなくなってしまう。
安い一膳飯屋のイメージ。
等が主な理由なのですが、でも秋口から冬の間は、スープも復権します。
特に<カボチャのスープ>は定番カモ。
写真では<大きさ>がよくわかりませんが、直径50センチ以上は有りそうな<ドテカボチャ>。
フランスの八百屋で数少ない<切り売り>する野菜の一つです。
ただ、<カボチャ>は観賞用というのが有って。。。
何とも不思議な形、例えば<クラゲ型>だったりとか、<イボだらけ>やら、<水玉模様>や<シマウマ柄>なんてのが、時々家庭のデコレーションとして、サイドボードの上や、玄関の靴入れ戸棚の上等に飾られています。
カボチャと言えば、こんなのも。
『ヒョウタンカボチャ』
ウリとカボチャの中間種。
ところで、日本人が見て首を傾げ、なんだか聞いて頭を抱えるのがこの野菜。
これは<ダイコン>です!
この写真のは、洗ってあるのか色がやや薄いですが、もっと<真っ黒>なのも。。。
でも中は白いのが不思議。
近年、中国野菜がこちらでも栽培される様になり、『白菜>等と並んで、<白いダイコン>もそれほど入手艱難では亡くなりました。
しかし以前は、この『黒ダイコン』を剥いて<大根おろし>を作った物です。
中は白いけれど筋だらけ!!
それにしても、<所変われば>とは申しますが。
和食には欠かせない、ごく当たり前に存在していて、その有り難みも忘れがちな物の一つが『ネギ』でしょうか。
フランスは、和食を作る材料はかなり何でも手に入るのですが、絶対にないものが、日本風の<ネギ>なのです。
これは<ポワロー>
日本で俗に<ポロネギ>と呼ばれています。
どう違うか、といいますと。
先ず、<筒型>になっていないのです。
ですから、下手すると中に砂が入っていて、どうしようもない事も。
それより決定的なのは、<香り>が無いに等しい。
固いし、美味しい『ヌタ』が作れません!
ネギのみじん切り、も繊細さに欠ける。。。
フランス料理では、それこそ冬の家庭料理の<野菜のスープ>の、中心素材。
夏は、<ブイヨン>で茹でて、クタクタになった状態で、冷たくしてビネガーを掛けて食します。
それはそれで、夏の風物詩としては美味しいですよ。
面白いのは『ニンニク』の売り方。
<三つ編み>状態。
その<三つ編みのニンニク>を鴨居から吊るして、ダイニングルームの室内装飾にしてある事も良く見かけます。
所で、これな~んだ?
これは『ルーバルブ』と言います。
日本語では『大黄(だいおう)』と呼ばれて、漢方薬の薬草として知られています。
昔から田舎では、他の菜っ葉や前述のポワローなどと一緒に煮潰して、野菜スープ(ドロドロの)にしたりします。
それ自体はやや<酸味>があり、その酸味を生かして、砂糖で煮込んでジャムにもなります。
懐かしい、昔の味。
そろそろ<果物>もご紹介しなければ片手落ち、と言うものでしょう。
『フィッグ・ド・バルバリー(=北アフリカのイチジク)』
と呼ばれている、『団扇サボテン」の実です。
当然皮を剥いて食べるのですが、さっぱりした甘みで、<ドラゴン・フルーツ>に似た味。
モロッコ等では夏場から市場に山盛りに売られていて、皆<露天>で皮を剥いてもらってかぶりついています。
モロッコの田舎の国道沿いに、延々と何キロにも渡って<団扇サボテン>が並木のごとくに植えられていて、一斉に実を付けている様は、とってもエキゾチックです。
やや離れて見ると、『ミッキー』が群れを成しているようなシルエット!
それから、季節を問わず、ヨーロッパ人が大好きなフルーツが、いわゆる<ベリー>類。
定番の『フランボワーズ』
日本語は『木いちご』。
英語で<ラズベリー>と言いますね。
フランス人は、大人も子供も大好き。
大盛りにホイップクリームを乗っけてだ出せば、立派なデザートです。
フランボワーズのタルトも定番中の定番。
<ベリー各種>取り合わせ。
高級フルーツ店にそのまま出せるようなプレゼンテーションです。
そろそろ晩秋の日本で、伝統的果物と言えば、『柿』ですね。
日本の秋は、<柿>が無いと始まらない。
洋風のフルーツの氾濫に押されて、やや肩身が狭い思いをしているのでは、、、と遠くから心配しております。
その<日本の果物を代表する>柿が、何とフランスにも、ちゃんと有るのです。
その名も<KAKI>
なんと、カキがフランス語になっています。
しかも、<エキゾチック>な物ではなくて、秋の八百屋さんには普通に出回る、<普通の>フルーツなのです。
あなたが冬場のコート・ダジュールにいらっしゃらば、ニースの後背地の村々で、あちこちの家の庭先に、摘み残りの柿がたわわに残っている光景を目にする事でしょう。
『トンボ柿』のような、やや縦長の種類で、実は<渋柿>なのです。
柔らかく熟す迄待って、とろとろになって甘くなった所を食べます。
南仏の、気の利いたレストランでは、<柿のシャーベット>なんてのも、出してくるかも。
いかがですか。
フランスの市場は、面白いでしょう?
9棟もある大きな建屋の夫々の中は、中央の通路を挟んで両側に、こんな感じの<卸商>のブースが並んでいます。
その狭い中央の通路は、売り手、買い手、台車、フォークリフトに自転車までが右往左往して、でも少しも騒がしい事は無く、静かに活気に満ちています。
一棟しか無いのに、世界第二の売り上げ、『築地市場』の半分の売り上げ高を誇る<鮮魚>のセクションをご報告出来なかった心残りを秘めながら、3回にわたって続けました、『パリ中央市場ランジス』の訪問記は、これでおしまい。
またいつか。