1,(はじめに)
以前(2年前か)もコラムで投稿した問題ですが、現在の大きな問題として、コメ不足と米価の高騰があり、物価高に追い打ちをかける事態になっています。
東京には、各地から集まった農家の人たち約3000人が「令和の百姓一揆」デモを仕掛け、話題になっています。
どうやら、米価の高騰でもコメの生産は大赤字だと叫んでいるようです。
何故、再び、日本のコメの不足など、食料事情は悪化しているのでしょう。
これをもう一度検証してみたいというのがライトモチーフです。
参考文献は、以前と同じで、鈴木宜弘教授の「世界で最初に飢えるのは日本」という本(講談社新書)です。
2,鈴木教授はフェイスブックなどでも、日本の食料事情の悪化を具体的に検証して、投稿しています。上記の本は、「真相」を知りたい方にとっては、必読文献と言ってよいと思います。この本を頼りにコラム投稿を進めていきます。
①まず、一番の(日本の)問題点は、食料自給率37パーセントという「低さ」です。
しかも、鈴木教授によれば、この37パーセントも、実際には、もっと低い。10パーセントぐらいでしかないと言います。何故か。鈴木氏(以下教授は省く)曰く、「実際、37パーセントという自給率に種と肥料の海外依存度を考慮したら・・・、今でも10パーセントに届かないくらいなのである。」と。
なぜ、日本の食料事情はここまで、悪化したのでしょうか。
鈴木氏の著作を参考に、以下論述していきます。
この本では、その見出し自体がかなりショッキングです。以下、引用します。
「1日3食『イモ』の時代がやってくる」
「2022年4月19日に放送された、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」は衝撃的な内容だった。
有事に食料輸入がストップした場合、日本の食卓がどうなるかを農水省が示しいるが、それに基づいて、3食がイモ中心という食事を再現して放送したのである。先進国最低の37パーセントという、日本の食料自給率を改めて問うことになった。」
さらに、次の「見出し」も凄いです。
「食料を自給できない人たちは奴隷である」
(かつてのキューバの著述家で革命家のホセ・マルティは、こう語ったという。)
それに加えて、次の「見出し」が絶望的です。
「日本には『食料安全保障』がない」
この「見出し」の文章などは、
以前の投稿で掲載しているので、以下問題点だけを紹介します。
3,鈴木氏の論稿の「第2章」に進みます。
第2章 「最初に飢えるのは日本」
①日本の食料自給率は何故下がったのか。
要約して述べると、日本が戦後に敗戦で、食料を他国(ほとんどがアメリカ)に依存するほど、「食料難」が襲いました。(歴史学はこの問題を統計で示していません。餓死者が多数だったからだと疑っています。)
とりあえず、他国からの食料の援助に頼った時代でした。配給米だけでは、都市の市民は餓死に直面しています。山口判事の餓死事件もありました。(詳細は省きます。)
その関係からか、日本では米食を減らして、アメリカから輸入した小麦粉の食事、パン食などが普及していきました。学校給食もパンでした(団塊世代の私たちの時代は。)
こうしtて、アメリカの食料の「輸入」が激増したのです。
鈴木教授もそれを強調しています。
次の「見出し」がすごいです。
「食料は武器であり、標的は日本」となっています。
日本の「戦後史」を紐解いても、こういうアメリカの「戦略」は書いてありません。もっぱら、アメリカの米軍基地の問題が中心であり、憲法9条の「戦争の放棄」と、日本の非武装問題が俎上に上がっているだけです。
これが、今回のコラムの論点であり、アメリカ政府は、日本の非武装という軍事的な問題だけで、戦略をプランニングしていたわけでは毛頭ありません。もう一つの戦略である「食の安全保障」も、アメリカにとって重要な日本の支配の「武器」だったということです。
この盲点であり、死角となっていた「問題」を発見するなら、何故、日本政府(特に官僚集団である、財務省と農水省など)が、食料自給率37パーセントで事足りるとしてきたのかも、その「謎」が氷解します。
彼らにとって、日本の国民が飢餓に直面するだろうという危機感よりも、アメリカの「意向」である、米国産の食料の輸入への忖度が「優先」したのです。
鈴木氏の論稿にも書いてありますが、「何故、食料自給率37パーセントで大丈夫なのか」と問うと、官僚曰く「それは、海外からの輸入が十分あり、心配ない」と。
鈴木論文でも、冒頭に書いていますが、現在の世界の食料事情はかなり危機的であって、国連のレポートでも、世界の食料危機は深刻な結果であるとなっています。
特に、ロシアのウクライナ侵攻が一番の問題点であり、両国は小麦の生産地で、世界の産出量では3割を占めている穀倉地帯であると。
4、結論
かくして、日本の食料危機は間近に迫ってきています。米価の高騰は「偶然」ではありません。日本の「農業」は深刻な情勢を迎えています。
それでは、私たち市民はこの危機にどうしたらよいのでしょうか。
次回のコラムでは、その「処方」(一般論としての食の安全保障の取り組みに向けて)と「個人の生活防衛」(具体的な実践活動)を模索していきたいと思います。
「護憲+コラム」より
名無しの探偵