晴れのち曇り、時々パリ

もう、これ以上、黙っていられない! 人が、社会が、日本全体が、壊れかかっている。

公的資金投入で『東電』を管理下に置く事は、<原子力政策>の継承をも意味するのでは無いか?

2011-03-31 20:29:18 | 政治と社会
菅直人政府は、『東電』に公的資金を投入して、国の管理下に置く事を決めたらしい。

表向きには、「巨額に上る回復工事」と「被災者補償」に単独民間企業では限界がある、と言う事らしい。


▶<東京電力>政府管理へ 公的資金を投入(毎日見出し)

>政府は31日、東日本大震災に伴い福島第1原発で深刻な放射性物質の漏えい事故を起こした東京電力について、公的資金による出資を通じて政府管理下に置く方針を固めた。

>長期化する福島原発事故の対応を徹底し、周辺住民らへの巨額の賠償訴訟に備えるとともに、日本経済や国民生活に不可欠な電力供給の安定を図るには、東電の政府管理が不可欠と判断した。

>炉心の冷却機能復旧にこぎ着けたとしても、同原発1~4号機の廃炉に向けた費用や、損害賠償などに巨額の負担を迫られるのは確実。特に避難を強いられた原発周辺の多数の住民や農漁業者らへの損害賠償は数兆円単位に上ると見込まれ、東電独力では負担しきれない可能性が高い。
【毎日新聞/4月1日(金)2時33分配信】



意外と早かった、と言うのが最初の感想である。


何しろ、事故原発でなくても、「廃炉」作業には2~3000億円は必要だと言われる。

それをケチったからこそ、多くの故障個所を指摘されていながらも、四十年前のポンコツ原発を、昨年再度10年間の使用許可更新にまで、こぎ着けた訳だった。

欧州では、通常25~30年で廃炉にする。

ましてや、100年前の大津波の経験等、「想定外」にしてしまった、東電体質。

その結果が、今回とんでもない結果をもたらしてしまったのだ。


農地など直接被害の補償だけに留まらず、間接的に何処まで補償すれば良いか線が引けないくらいの、多大な補償が待ち受けている。

長期にわたって、自宅に帰れない多くの人々の精神的苦痛。
結果的に耕作不能、住居不能のなった土地家屋への直接補償と慰謝料。
生活が破壊された人々の、回復への補償。
数年後、数十年後の健康被害への補償。




国の管理下に置かなければ、細かな補償等出来る筈も無い。
たとえ、国が関与したとしても、適当な所でかなり強引に、打ち切られてしまうに違いないが。

そう考えると、国の管理下に置く事は、必要不可欠である。

しかしながら、そこに掛かる費用が「公的資金」で賄われる、と言う事は、それは『税金』である事は、言わずもがなである。

その為に「増税」等になっては、堪らない。

勿論、同じ国民として、「悲惨な原子力災害」の被害者に、国民全員が同情と愛情とを持って、助け合う事には、一切の異論は無い。

しかしながら。

それは。
この『未曾有の災害』を機に、人間の関わりうる領域を越える如き分野のエネルギーに相当する、『原子力政策』を「根本から見直す」と言う前提が有っての事では無かろうか。

航空機が墜落する。
豪華客船が沈没する。
超高速列車が破壊される。
石油コンビナートが爆発する。
超高層ビルが崩壊する。

考えうる如何なる巨大災害に置いても、あまたの被害者が出る。
しかし、精神的後遺症の類いは別として、結果は「その時限り」で終わる。

ところが、『原子力』だけは、結果は、数世代先にならないと分からない、宇宙的視点を持たないと把握出来ない程の、「地球規模」での根元的被害を発生するのだ。

数十キロトンのヒロシマ型、ナガサキ型原爆ですら、癌に悩む被災者は未だに存在している。

ましてや、今の時代にあっては、原発は原爆とは違うとは言え、最終的にまき散らす事となる放射性物質の量は、ヒロシマやナガサキの比では無い。

研究室で、いくら完全に技術が完成したといえども、実際には、現実的応用の面になると、たかが人類如きには想定不能の事態は、避けられないのだ。

その時に、では我らが「地球」の将来に一体『誰が』『どのような』責任を負えるのか、と言う事である。

人間は、うぬぼれている。


ところが、「反原発」を言い出すと、必ず「幼児的」理屈をつけて反発する層が居る事も、残念ながら確かである。

ようは、個人の「想像力」と言うキャパの問題に帰するのであるが。


3月15日の拙ブログへ、30日に寄せられたコメントに、この場で答えてみたい。

君らは原発反対というならこのような電気を大量に使用するツールを今すぐ破棄すべきだ。 電気をこれまで無駄に使用してきた馬鹿どもが今更何をほざいているんだい?

まあ、この手のお行儀の悪さ、言葉使いへの無知は、この手の人種のIQに免じて、お許し頂く事にしよう。

原発擁護派は、あたかも「電気を無駄に」して来なかったかの様な、すり替え。
反原発と、電力を要する「ツール」を破棄する事に、何ら因果関係がない事も、理解していない。

また今ある原子力発電を全て破棄して新しく火力発電に切り替えたとしよう。その切り替えの費用を君らは負担してくれるのかな?

切り替えに何故費用が必要なのか?
現存する火力発電の施設の稼働率は、わずか30%そこそこで有ると言うでは無いか。

取り敢えず、既存の発電施設を有効活用すれば良いだけ、の話である。
その過程で、今回の経験を被いに行かして、ドンドン節電生活をやれば良いだけの話。

それに君らの行動が万が一報われて原子力発電が来年から全て運転停止したとしよう、それに伴う全国各の大停電の責任をとってくれるのかな

馬鹿もここに極まれり。
何も一斉に運転停止をしろとは言っていない。
徐々に停止し、廃止して行けば良いのだ。
そこが、「計画停電」と言う物の出番であろうじゃないか。

よしんば、原発を一斉に止めてくれるのであれば、それはそれで天国の様な話である。
人類の将来への、実に明るい第一歩となり、政府は当然ノーベル平和賞を授賞するであろう。

そのようなユートピア的出来事が実現するので有れば、電力不足など誰も文句はいうまい。

しかも、前提が間違っている。

日本の総発電量に占める「原発分」は、30%前後でしかない事だ。
既存の火力発電所の稼働率30%をフル稼働に持って行けば、電力不足等、たちどころに解消する筈である。

CO2の輩出云々の問題は、そこから改めて考えよう。
実際にウラン鉱石から、燃料ウランに生成する過程で、相当量の電力を要し、その時点で輩出するCO2の事は、話題に成らない事はこの際置いておいても良い。

分かったかね、Nくん。

そのような非が訪れた暁には、その後の「リサイクル可能エネルギー」の利用に、大きな弾みがつく事であろう。

風力、地熱、潮汐力、太陽熱、様々な可能性が存在するのだ。


ところで、東電の国の管理下に置く上で、恐ろしいのは、旧通産省は「原発推進」にズボズボである事だ。

そして、全国電力会社各社は、商社及びゼネコンと「技術パテント」並びに「代理権」でズブズブ、
かつそれら電力各社とその連合体『電力連』、及び大手商社ゼネコンは、テレビ新聞の最大のスポンサー様であることである。

その構図が、当然国会議員達を通じて、各県知事に深く癒着して、抜き差しならない「原発ファミリー」が形成されている事である。


利用するだけ利用し、しゃぶり尽くした後の日航を、いとも簡単に潰してしまった菅直人政権に取っては、原発制度を打破する事なんザ、実に簡単な事の筈ですがねえ。

仙谷達の暗躍ぶりを見せつけられてしまったからには、彼等の「超・自民」的体質はとっくの昔に化けの皮がはがれている事であるし。


勝俣会長の記者会見での質疑応答の一部を抜粋して転載する。

――(日本インターネット新聞)「事故当時、勝俣会長はマスコミ幹部を引き連れて中国旅行に出かけていた」と与党の国会議員が言っています。この旅行代金は東電持ちだったのでしょうか?

勝俣 私たちも「当然のことながら」といいますか、自分たちの分、それから一部の負担ということはしていますが、全額東電負担ということではないです。

――(日本インターネット新聞)マスコミ幹部への旅費は、一部を東電さんが持ったということですね。

勝俣 私も詳細はちょっとよく分からないのですが、たぶん多めには出していると思います。自分たちの分よりも少しは増えていると思います。

――(日本インターネット新聞)今、マスコミと東電との癒着が国民の間で不信がられていますが、これは癒着をお認めになるわけですね。

勝俣 マスコミ幹部ということは若干違いまして。

――(日本インターネット新聞)それは編集委員ですか?

勝俣 みんなOBの方々の、どちらかというと研究会、勉強会の方々ということです。

――(日本インターネット新聞)じゃあ具体的に名前を明かしていただけますか。●●テレビの●●さんとか。

勝俣 これは私のプライベートに関わる問題なので、私から出すわけにはいきません。

――(日本インターネット新聞)これはプライベートではありません。マスコミは役所や公共施設で、広いところを記者室としてタダで入っているんです。税金も払わずにタダで入っているんです。これ、プライベートじゃないです。何人ぐらいでどのあたりですか。答えてくださいよ。

勝俣 それは私からは申し上げるわけにはいきません。

――(日本インターネット新聞)公共的責任を放棄しているんですか。

勝俣 その責任者の方によく確認して、どうするかという対応を考えさせていただきます。

――(日本インターネット新聞)じゃあいつ明らかにしていただけるんですか?

勝俣 2~3日中に「ちょっとどういうことになっているのか。こういうお話があったけどどうか」ということで照会して……。

――(日本インターネット新聞)2~3日中に隠蔽工作やるんじゃないですよね。

勝俣 いやあ、ちょっと私も全然よく分かっていないのですが、そこはちょっとよく調べて……。

――(日本インターネット新聞)そういう旅行があったから、「原発はクリーンでエコなエネルギー」という風にテレビがずっと国民にすりこんできたんですよ。それもお考えですか。

勝俣 いや、そういう風には全然思っていません。



この新聞社は、なかなかしっかり仕事をしている。


――(日経新聞)今回の事故によって国内のプルサーマル計画は頓挫する恐れがあります。また同時に六カ所村(青森県)の再処理工場もトラブル続きで運転できていませんが、核燃料サイクル路線はこれからどうなるとお考えですか。

勝俣 私から申しあげるというより、国全体の政策の話だと思います。ただ言えることは、恐らくプルサーマル計画、六カ所村の再処理工場の処理が開始されることも、恐らく今回のことも踏まえて遅れていく。その中で種々議論されるのであろうかと思います。

――(ロイター通信)今回影響を受けられた方への補償を最大限にということですが、範囲についてはどうお考えですか。住むところが変わった、漁業ができなくなった、農業が被害を受けたという明らかな方は別として、東京で普段買わない水を買っている人たち、春休みは東京にいるはずだったのに海外に出てしまったという人もいらっしゃいます。どういったところまで補償していくのでしょうか。

勝俣 先ほどから申しているように、原子力損害賠償法がどういう風に適用されるかを、よく政府と協議しながら、どういう格好になるのか決まってくると考えています。

――(日経新聞)今日、菅総理が「エネルギー政策の見直しも必要だろう」という認識を示したという報道がありました。今までの原発中心の戦略見直しはやむを得ないでしょうか。

勝俣 原発をどう位置付けるかは大変難しい。今の時点で申し上げるのは大変難しい。「環境の問題、安定供給性の問題、効率性の問題をどう理解して、自然エネルギーに変換することができるのか」「火力に頼っているとどういうことになるのか」などを含めて、さりとて今回のようなことは大変問題なので、そこをどうしていくかはしっかり議論される必要があろうかと思います

【Business Media 誠/2011年03月31日11時43分 】より抜粋。


ことあるごとに、<原子力損害賠償法>に言及した勝俣会長の、心の中には、『免責』を十分に期待している姿勢が見て取れた。

「火力にこだわっていると、どういう事になるのか」も含めて議論したい。。。
原発を、失いたくない気持ちがアリアリである。

当事者である以上、当然では有ろうが。


とにかく。
当面の被害者を放置する訳には行かない。

いきなり不自由をかけている東電としては、可能な限り、誠意を込めてお見舞いし、補償する義務が有る。
そして、当事者だからと言って、それを(いくら国策会社だとはいえ)一私企業に全てを押し付けると、絶対に傷つけられた物心両面の補償の何百分の一にも満たない、酷い物になってしまうであろう事も、容易に想像が付く。

なにしろ、放射能漏れが日夜酷くなっている、『黙示録』級の大事故なのだ。

国が、有る程度はしっかりと目を光らせて、被災者の一人一人に至るまで、ないがしろにしない様、配慮する必要がある。

その為に、取り敢えず「公的資金投入」も、やむを得ない措置である事は、理解する。

ただ、それがそのまま「原子力利用推進路線」を、安易に継承する事になってはならない。
成し崩しに、「原発」を含めての、日本のこれからの「エネルギー政策」見直しを欠かしてはならない。


政府の動向を、深く注目し監視する必要がある。


コメント (12)
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