joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

ヘルツで感じる独文法 1

2007年06月20日 | 語学
おこがましいタイトルをつけましたが、批判・補足・訂正大歓迎。

bestehen

・辞書の一番初めに載っているbestehenの訳は「存在する」です。

Das Geschaeft besteht schon fuenfzig Jahre.(その店はもう50年も続いている)

単に「存在する」というよりは、「持続する」というイメージですね。私には、この言葉には、何かこう、ドリルがぐりぐりと土の中を掘って進んでいるというイメージがあるんです。つまり、何もしなくても存在するのではなく、何かの力が働くことで存在している、というか。

このぐりぐりというイメージが生かされているのが、次の使い方。

・Japan muss staendig einen harten Exportwettkampf bestehen.(日本は絶えず厳しい輸出競争に打ち勝っていかねばならない)

bestehenが4格(~を)の目的語をとると、このように勝ち抜く・生き残るという意味合いが出てきます。やはり、bestehenは単に「存在する」のではなく、意志なり力が働いて存続しているのです。

このbestehenが前置詞と共に使われると、意味が広がります。しかしそこには、同じようにこのぐりぐりのイメージが生きています。

・auf et3 bestehenで「…に固執する」。

Er bestehet auf seinem Recht.(彼は自分の権利を主張して譲らない)

上記の文章でも「彼の権利」にぐりぐりとしがみついている様が見て取れるでしょう?

・in et3 bestehenで「…に(本質が)ある」。

Meine Arbeit besteht im Uebersetzen der deutschen Texte ins Japanische.(私の仕事はドイツ語のテキストを日本語に翻訳することです)

これも、単に「ある」「存在する」のではなく、in「~の中に」足場をつかんで存在しているというイメージです。

・aus et3 bestehenで「…から成り立つ、…で構成されている」

Wasser besteht aus Saerstoff und Wasserstoff.(水は酸素と水素から成り立っている)

「存在する」という言葉が、なぜこのように 「…から成り立つ、…で構成されている」という意味にもなるかと言うと、aus以下の構成物の力を借りる、あるいはaus以下の要素によって初めてぐりぐりと存続しているというイメージをこのbestehenが持っているからではないでしょうか。


では最後にもう一度。bestehenという単語を見かけたときは、これまで見てきたようなぐりぐりという感覚をその文章から読み取ってください。


(参照 『表現と作文 ドイツ重要動詞50』 白水社)