joy - a day of my life -

日々の体験や思ったことを綴ります(by 涼風)。

映画 『ポロック 2人だけのアトリエ』

2007年06月02日 | 映画・ドラマ
映画『ポロック 2人だけのアトリエ』を見ました。主演・監督がエド・ハリス。共演は、『ミスティック・リバー』や『モナリザ・スマイル』にも出ていたマーシャ・ゲイ・ハーデン。最後にジェニファー・コネリーも。

これは、アメリカの20世紀絵画を代表する画家ジャクソン・ポロックの伝記映画ということです。わたしはこの人を全く知らないのですが、筆で描くdrawのではなく、絵具やペンキを直接的にキャンパスの上に叩きつけていく画法で、当時の美術界の寵児となった人のようです。

映画は、そのポロックと妻のリー・クラズナーとの出会いから結婚生活を織り交ぜながら、ポロックの創作活動の過程を伝記風に再現しています。

観ている間は画面に引き込まれます。役者の演技はとても説得力があり、場面展開にもまったく無駄がありません。

お話は、芸術家の生涯を描いたものとしては、典型的なストーリーを描きます。売れない時代の苦労。才能あるゆえの自閉的な(要するに子供っぽい)性格。同じ芸術家である妻との恋愛と葛藤。創作の行き詰まり。人間関係の破綻。結婚生活の危機。アルコールと愛人に溺れていく日々…

どれもどこかで見聞きした話で、新鮮味はありません。ただ、役者たちの演技は、そのありふれた話を、観る者にもう一度、それがどれだけありふれた話であっても、当事者たちにとっては痛切なものだったことを思い出させます。

また、それ以上にこの映画の見せ場を作っているのは、主演のエド・ハリスによる、ジャクソン・ポロックの画法「アクション・ペインティング」の再現です。

実際のポロックの描き方を知らないから、どれだけそれが事実を再現しているかは分からないけれど、それでも絵の具を直接的にぶつけていくことで芸術を創造して行くその過程には鬼気迫るものがあります。

話自体は新しいものではないですが、制作者たちの丁寧な映画作りと役者たちの演技によって、“何か”を観たという気にさせてくれる映画です。