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日曜日の朝、起きて窓を開けたら秋の青空に明るい太陽が燦々と輝いていた。
もうすぐスタートの号砲が高らかに鳴って、45.195キロの長い旅が始まる時間だ。でもこうして眠い目を擦りながら蒲団から這い上がり、「マラソン大会」出場を諦めて、ぼんやり休日の秋空を見上げている不甲斐無い自分がいる。
それでも少しでもかったるい気分に打ち勝とうと、午前中「ジム」に行って久しぶりに「シェイプ・ザ・ボクシング」をやって汗を掻いた。
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お昼には「ジム」を出る。
いきなり土砂降りの雨が降って来た。
ああ、今頃雨の中を必死で走ってるんだろうな、フルマラソンにエントリーしているランナーたちは・・・。
もう「西目屋村」をUターンして、折り返し地点からゴールの「弘前城」付近を目指し、歯を食い縛りながら走っている時間帯だろう。
それなのにこの俺ときたら・・・。
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家に着いて車庫に車を入れ、お昼を食べる気力もなく、部屋でただゴロンとして過ごした。
家の窓から、朝の青天とは一変した憂鬱な雲に塗り込められた空を眺める。
何にも生み出さなかった10月1日日曜日。その中に、怠惰なままで静かに浮かんでいる己がいる。
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世の中には、勝って何かを奪い取った人間と、負け続けて何も得られないままこの世界から消えてゆく人間の、2種類が存在する。
もちろん勝つとか負けるとか、そういう価値基準に一切乗らず、人生のドロップアウトを決め込み、ただ人生の一瞬一瞬を楽しむことだけに生きている人間だって当然にして存在する。
それはそれでまったく何の問題もない。
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ふと、部屋の窓から見える灰色の雲の流れを追いながら、矢沢永吉が言っていた言葉を思い出した。
「お前がどんだけ良い大学入って、どんだけ良い会社に就職しても、お前が一生かかって稼ぐ額は矢沢の2秒」という、あの名言中の名言である。
こんな大それた言葉を吐かれてしまったら、凡人たちは返す言葉なんて見つからない。恐れ入りましたと笑うしかない。
ある意味「それを言っちゃあ、お終い」だろう。
身も蓋もない。
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「お前がどんだけ良い大学入って、どんだけ良い会社に就職しても、お前が一生かかって稼ぐ額は矢沢の2秒」か・・・。
じゃあ俺たち「成り上がる」ことも出来なかった市井の人間たちは、これから続く人生って奴にどう向き合ったらいいんだろう?
まあ、金持ちになるか貧乏のままで終わるかっていう、その価値判断もまた、どうでもいいっちゃあどうでもいいことなんだけどね・・・。