淳一の「キース・リチャーズになりたいっ!!」

俺好き、映画好き、音楽好き、ゲーム好き。止まったら死ぬ回遊魚・淳一が、酸欠の日々を語りつくす。

この日記には正直ちょっと耐えられない。「柳美里 不幸全記録」は五年半に及ぶ彼女の心の壮絶な軌跡。

2008年02月10日 | Weblog
 何年か前に、劇作家のH氏と飲んだ際、一緒に「不幸」に関する雑誌を作ろうかと盛り上がった事がある。結局、それは単なる飲み会での話で終わってしまったけれど・・・。

 幸せになりたい、あるいは幸せになるという言い方がある。
 幸せになりたいと希求するということは、言い換えたら「今は幸せじゃない」ということでもある。
 幸せになるのではない。今が幸せか、今このときが、穏やかで充実感に包まれているか、そこにしか幸せはない。

 幸せは外部にあるのではない。
 お金がたくさんあって、高級車を持っていて、広大な屋敷に住み、背が高くて男前であっても、幸せを感じない人もいる。
 何処か満たされず、空虚感を感じ、もっと大きな「満足感」を得たいと、絶えず苦しんでいる人もいる。
 勿論、そこにこそ幸せを求める人もいるかもしれない。別にそれはそれでいい。知った事ではない。

 幸せは自分が幸せだと思えば、それでもう終わっている。
 貧乏でも、アクシデントに見舞われていても、五体不満足でも、今を愛しく感じ、落ち着いた感情に包まれている人がいるのである。

 すべては自分の心が決めるのだ。

 柳 美里(ユウ ミリ)は、高校を中退後、劇団「東京キッドブラザース」を経て、「魚の祭」で岸田國士戯曲賞を受賞した。その後、1997年には「家族シネマ」で芥川賞を受賞した。’
 彼女は在日韓国人で、雑誌の「一番嫌いな作家」の第一位にも輝いているというくらい、様々なスキャンダルに塗れてもいる。

 その女流作家である柳美里の、約5年半にも及ぶ「日記」が「柳美里 不幸全記録」である。雑誌「新潮45」に長期連載された「交換日記」の赤裸々な記録を一冊に凝縮しているから、とても分厚い。何センチあるだろう? 読み応え十分だ。

 しかし、この本きつい。
 ちょっと読み通すのが切なかった。というか、暗くなり、かなり落ち込んだ。
 内容がまた凄いというか、悲惨というか、切な過ぎるというか・・・。

 彼女は書く。
 「いつも不幸だが、不幸であることを不服に思った事がない」。
 マスコミで話題ともなった出版差し止め裁判、それから、数十回を残しての新聞小説連載打ち切り事件、結婚を経ないで生んだ長男に対する育児、15歳年下の「彼」との出会い、そしてマラソンへの執着。

 それらの壮絶な顛末が、亡くなった最愛の恋人に問いかける形で綴られてゆく。
 読んでいて余りにも辛く、途中で何度読むのを止めようと思った事か・・・。息苦しくなった。

 最後に、それじゃあ、俺は今、幸せなのか不幸なのか?

 幸せなわけがない。
 不幸である。これだけは断言できる!
 どうしようもなく不幸である!



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