CuniCoの徒然・・・岩下邦子の独り言

日々の暮らしの中で、立ち止まったり、すれ違ったり。私の中のアレコレを思いつくまま、気の向くまま。

音を借りて『コトバ』を伝えるということ・・・その二

2014-08-01 04:22:45 | 表現にからむ様々なこと
午前4時・・・まだ暗い。
朝の訪れが、確実に遅くなっている。
鳥たちは、もう少ししたら、お目覚めかな・・・
今年は、寝苦しい夜が少ない。
ありがたいことだ・・・

さて・・・私は、高校を卒業して、
松下通信工業株式会社に採用され、
人事部教養訓練グループなるところに配属され、
社内報の担当者として、毎日発行する社内報と
月一回発行のタブロイド版(夕刊フジの大きさ)の
社内報の最後の面・・・を担当していた。
まぁ・・・当時の話を書き始めると話がそれるので・・・

その中で、社会ってある制約の中にあるんだな・・・
大雑把に言うと、『大人』って大変だな・・・と学んだ。

『大人』になりきれなかった私は、劇団の入団テストを受ける。
合格し・・・一年で松下、つまりナショナル、今でいうパナソニックを辞める。

その劇団でのできごと・・・
『不思議の国のありす』の中で私は『気ちがい三月うさぎ』の役をいただいた。
帽子屋のお茶会のシーンで・・・
帽子屋とねむりねずみと私は、歌を歌う。
原曲はマザーグース。『十人の子供』というその歌は一人一人いなくなる。
最後に誰もいなくなるのだが・・・
三人の役者か一人ずつ順番に歌い、最後に三人一緒に歌う。
本番の前の日・・・私が唄っていると演出家が、パン!と手を叩いて稽古を止める。
「邦子・・・邦子は台詞でいこう」と。

へ・・・?   台詞・・・歌うな・・・ってことだよな・・・そうだよな・・・

頭の中はパニックになったが、少しすると、落ち着いた・・・さもありなん。

私は歌が苦手だ・・・音楽が好きではない・・・そうだ、そうだった・・・

劇団の基礎訓練の時、発声練習をしていると、二期会の先生は、止める。
一人どうしてもぶら下がるなぁ・・・音が・・・・・
そう、それは、間違いなく・・・私です・・・

同じ劇団の武ちゃんとは、同じバイト先。
毎日稽古が終ると、六本木の店へ向かう。
当時、カラオケが大流行で・・・
私もたまに歌う・・・デュエットもすることになる。
「ほんとに邦ちゃんは歌、上手くないなぁ~」
それは。。。帽子屋武ちゃんの実感(笑)

そんな私が、舞台を離れ・・・
シャンソンを聴いた時、あら、素敵と思ったけれど・・・
歌う気になるはずがない・・・
それに、人の前で表現することは、
私にとって、すっごく大切な行為だから片手間では無理だし
それより何より・・・歌、苦手で好きじゃないんだから(笑)

そんな私が歌っている。

「変な日本語だな・・・変なガイジンって感じだ」
「ん?今、なんて言った?聞こえない」
「普段、そんな風にしゃべらないでしょ、イントネーション変だよ」

そんな指摘を繰り返す木村先生と出会ったことが・・・

私の苦手な、到底好きにはなれないと思っていた『音楽・歌』
その苦手なツールで表現をすることになり、
今では、それがとても楽しく、興味深いことになった。

私の大好きな、この上なく大切な『表現する』という行為。
ずっと、続けられそうな気がする。


表現できるこの幸せを、大切にしたい。
『表現すること』は生きるってこと。

メロディー通りキチンと歌うことは、私には難しい。
歌の世界を生きること・・・そのことだけ、考えている。
それを許してくださる音楽家と出逢えたことが・・・奇跡だ。

歌は、音に支配されるのでなく、音と一緒に踊ること。
音と一緒に、揺れること、感じることなんだ・・・と思う。
それができるようになるかどうか・・・私の思考錯誤は続いています。

今日は、この辺で・・・週が明けたら、ステージに立ちます、私。