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田中宇:イランの勝ちで終わるイラク戦争について

2011-01-12 01:00:00 | 政治外交
あのイラク戦争。
アメリカの連合国だけで1万人の兵士、イラク側が2万人。
その上多くの民間人が犠牲になった。
日本の自衛隊は公式には死者無しらしいが、任務中に35人が亡くなっていて
(事故、病気、自殺)イラク反政府側は戦果として発表しているものもある。
日本のメディアは伝えないが。

あの戦争は何だったのだろうか。
反サダムのアフマド・チャラビの「がせ」情報だったイラクの大量破壊兵器。
それに乗ったのがネオコンだ。

戦争こそが瀕死の経済を救うという病んだ思想の持ち主か。
はたまた単に軍需産業の利益代表か。
或いは「やり過ぎ」による英米覇権主義の自滅を画策しているのか
(田中さんの「宇」がった見方)。
実質米国大統領ディック・チェイニーとラムズフェルドらの国防省ネオコンが
傀儡のブッシュの尻を蹴飛ばし又々大義のない戦争に突入したのが2003年。

小泉対米従属首相と川口外相はアメリカのペットとして同盟国を煽る役割を果たした。
ネオコンの直参子分だね。
その流れを汲む前原氏がアメリカの選んだ次期首相らしい。
俺は嫌だが、皆んながそれでいいなら仕方ない。

しかし、いくら人が死のうと経済が潤えばいい、或いは武器が売れればいいという
利己的な考えはどうしたら出てくるのだろうか。
大方の人は違和感を覚えると思うがなかなか止められない。
メディアを巻き込んだプロパガンダの威力だ。

多くの犠牲者を出し、アメリカの経済崩壊を短期的には先延ばしし、
しかしドル崩壊を確実なものにする役割を担ったこの戦争。
後世から見れば英米覇権の終わりとされる事件かもしれない。

イラクのマリキは今年11月までの米軍撤退を明言した。
米軍撤退後のイラクは?

親米、反米、親イラン派と反イラン派が入り乱れたイラク。
しかし今回初めてシーア、スンニ、クルドの 主要3勢力がすべてマリキ政権のもとに
結集した。
そしてそのまとめ役がイランだった、と喝破したのが田中宇。
つまりイラク政権はアメリカの傀儡からイランの傀儡に変わることになる。
多くの戦費と犠牲を払ったアメリカが最大の敗者となるのか。

スンニ派のサダム独裁のおかげでイランとイラクを対立させ中東での存在感を
誇っていた英米。
以前にはサダムをそそのかしてクウェイトに侵攻させておいて叩くという
経済活動もしたね。
大事な手駒だったサダム・フセイン。
それがネオコン戦術に乗ってサダムを排除した。
結局はイランとイラクが結びつきアメリカの影響力が大きく排除される。

すんなりは行かないのだろうな。
イスラエル、イランを巻き込んだ不安定要因が続きそうだ。

ネオコンの真の狙いは?
深く考え思い切りよく行動するアングロ・ユダヤ。
世界はまだまだこの人たちに振り回されるのか。

それにつけても日本のメディア。
この体たらくはどうなっているのか。
権力のディスインフォメーション、つまり都合のいい情報をリークして
メディアを通じて世論に影響を与えることだ。
これは日本だけのことではない。
どこの国の権力もやることだ。

そしてアメリカ・メディアはザクっと言ってロックフェラー、イギリスの高級誌
エコノミストやFTはロスチャイルド、イタリアではメディアの70%が
ベルルスコーニの支配下にあると言われている。
しかし何を書くかは個々のメディアや個々の記者の力量だ。

そこへ行くと日本はひどいね。
記者クラブという談合で皆が権力のリークを均一に垂れ流す。

当のアメリカではイラク戦争について多くの政治家やその他の当事者が回顧録や
論文を発表し政策決定の過程を検証、多くの誤りが生々しく指摘されている。
たった6-7年で多くの情報が自主的に開示されているわけだ。
説明責任が民主主義の要だ。

真っ先に自衛隊という軍隊を派遣し、ネオコンのお先棒を担いだ小泉政権の
誤りを、湾岸戦争の屈辱をくりかえすなと煽ったメディアの誤りと共に
閉じ込められている。
政官報の談合が日本病の正体だ。



「イランの勝ち」で終わるイラク戦争
2011年1月6日  田中 宇