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蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

ヘーゲル精神現象学  II章知覚モノと幻影 4

2025年04月12日 | 小説
La Phénoménologie de l’Espritヘーゲル精神現象学 知覚モノと幻影 
II LA PERCEPTIONOU LA CHOSE ET L'ILLUSIONそのI部 4回目の投稿

これまでのあらまし:ヘーゲル精神現象学本文、そのII(知覚)の前半を3月31日から4月4日にかけて3回投稿しました。その内容は知覚とは(モノ内部での同時性の、対象と特性の拮抗。それを覚知できる精神作用)、特性には共通性のAussi(それもまた)が付帯し、対象は個別性Un、「個」括弧付きの個と訳します、の性状を持つ。それらがモノ内部を形成している。これを « Choséité » モノそのものと訳す、の説明をした。II章のI部の途中からの再開となります。

なお1~3投稿はYoutube動画となっています、アドレスを下に貼っている。


ここから4回目です(2025年4月12日)もし特性が互いに無関心であって、それ自身がモノと対峙しているだけなら(今までの説明、これがAussiです)、それら特性は確認されない。
« si les multiples propriétés étaient entièrement indifférentes les unes aux autres et se rapportaient ainsi seulement chacune à soi-même, elles ne seraient aucunement propriétés déterminées » 累層する特性が、それぞれ他者に完璧に無関心であり、ただそれ(モノ対象)との関わりを維持するのみであれば、それら特性は特定されている(弁証法に参画できる)とは言えない(96頁)。(なぜなら特性とは他者と対立することで自身を区別しているのだからーが続く)

« Celui-ci n'est donc pas seulement un Aussi, unité indifférente, mais encore un Un, unité exclusive. L’Un est le moment de la négation en tant qu'il se rapporte à soi-même d'une manière simple et exclut autre chose ; de cette façon la choséité est déterminée comme chose » (96頁)
それ (この場=前文のmilieu) はAussi(それもまた)複数の無関心特性ではない。Un(大文字のUn, 「個」と訳す)の排他性、も息をしている。Unは別の特性を排除するという単純作用で他者と交流する。

Hyppolite:Passage de l'unité positive à l'unité négative, de la choséité à la chose. 肯定的組から否定する組、モノである事からモノ自体、への移り替わり。
部族民:Aussiのままでは弁証法に向かわない。何やらの仕組み(Unに他者を否定する作用の追加=後述)を持ち込む。その過程は探るに、他者に無関心で肯定のみの場milieuが原初にあった(弁証法での肯定)。それは「モノであること」、しかし無関心だけでの存立は特性には不能で、各自が己を特定する運動に入る(塩の白特性が、明確に白と自己定義する)。すると排他となる。


日本タンポポ(撮影25年4月10日、東京日野市七生丘陵)

(理解できていない部族民が)この辺りを尋ぬるとヘーゲルは優しく箇条書きで教えてくれる;
Ce sont ; a) l'universalité indifférente et passive, le Aussi des multiples propriétés, ou plutôt des matières. まず無関心で受け身の普遍性が(場を支配していた)。累層する特性「それもまた」の構えであるが、それ以上に(弁証法の)素材と言えよう。
b) la négation non moins simple, ou le Un ; l'exclusion des propriétés opposées. Un「個」の性状は否定でその性状は対立特性を排除する。

c) les multiples propriétés elles-mêmes, le rapport des deux premiers moments, la négation se rapportant aussi à l'élément indifférent et s'y répandant sous la forme d 'une multitude de différences, le point focal de la singularité s'irradiant en multiplicité dans le milieu de la subsistance. 累層する特性がうごめく、2の要素の原初の出会いは、無関心を装う対抗者にも、関与を重ね否定を仕向ける。かくして個別性(互いが否定し合う)の核が幾重もの光条をこの実体内部に放たれる。否定を起点とする弁証法が始動する(96頁)。
Iの部最終文は: « quand cette universalité sensible les rassemble l’un avec l'autre ; ce rapport de l'universalité sensible aux purs moments essentiels accomplit seulement la chose » (97頁)

この感じ取れる普遍性(前文、肯定の組み合わせunitéと否定するそれが両立する、モノ宇宙milieu)がそれらを抱え込み、その普遍(弁証法)が、実質特性の交流する狭間において、モノが成就する(アウフーヘーベン、dépassé超えられたモノとなる) 。

I部のまとめ。「モノchose」と「モノであるchoséité」ことを述べる。モノは特性を持つ、塩は白い。モノであるとは、それら特性は互いに無関心であり、弁証法の野に放たれて他者を排他する。この否定される状況は知覚perceptionのみが、それを認める。肯定から否定へ、弁証法の発動と近くによる現認である。

La Phénoménologie de l’Esprit精神現象学ヘーゲル 知覚モノと幻影 II LA PERCEPTIONOU LA CHOSE ET L'ILLUSIONそのI部 4回目 了 (4月12日)


(II章 1~3のYoutubeアドレスは  https://youtu.be/i3y-9wSf1tw)

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