ある医療系大学長のつぼやき

鈴鹿医療科学大学学長、元国立大学財務・経営センター理事長、元三重大学学長の「つぶやき」と「ぼやき」のblog

鈴木寛副大臣のお話によると、来年度の大学関連の予算は非常に厳しくなりそう

2010年06月30日 | 日記
昨日(6月29日)「国立大学法人学長・大学共同利用機関法人機構長会議」が如水会館であり、私も陪席しました。

冒頭、鈴木寛副大臣のご挨拶がありました。そのメモの一部を以下にご紹介します。(正確でない部分もあるかもしれませんが、ご容赦ください。)

・日本は知識基社会に本格的に踏み込みつつあり、文明史的転換の時期に当たっている。このことを踏まえて新政権では新たな国作り・政策作りに取り組んでいる。その際、新たなソーシャルモデルを示していくことが必要で、新しい社会の改革は大学から生まれること、経済的な意義にとどまらず人類・国民の幸せに直結する多様な意義と任務を持っているのが大学であることを明確に示す必要がある。

・新成長戦略においても、強い経済を引っ張る強い人材の育成が中心に位置づけられており、大学の役割は極めて大きいが、23、24年度の予算は極めて厳しい。

・新しい政権は良くも悪くも世論に敏感な政権であるが、大学、国立大学は一般国民から縁遠いものとなっている。進学率も50%に達していないので、大学にいっていない国民の方が多い。地方の中小企業に行っても、国立大学の出身者が必ずいるという状況ではない。大学が国民からなじみが薄く、そこに税金を投入する意義が十分に理解されないという悪循環に陥っている。

・コンクリートから人へという政策転換の中で、教育予算の増額には成功したが、大学への予算増額への支持は沸き起こらない。一方で、大学病院の診療報酬の増額は実現したが、これは大学病院が地域住民にとって身近であり、それによって増額へのコンセンサスが得られたものである。

・すべての若者に学ぶチャンスを保証することが民主党政権の大命題である。しかし、高等教育への進学状況は都会と地方、所得などにより大きな格差があるのが現状。

・大学進学率はすでにOECDの平均を下回り、東欧、南欧、タイなどにも抜かれており、大きな危機感をもっているが、有識者や経済界も含め高等教育へのチャンスを与えることの意義について懸念が呈せられている(大学に行っても役に立たない、遊んでいるだけ)現状は、深刻であるということを共有したい。

・大学はもっと多くのステークホルダーとのコミュニケーション、コラボレーションを深めてもらいたい。

・国立大学法人については、いろいろ意見もあると思うが、運用レベルの改善はするが、法律レベルを今いじる考えはない。

・23年度概算要求は極めて厳しい。管総理は未来に向けての投資のために必要な負担について議論が必要というところまでは踏み込んだが、23年度は税収が40兆円に満たない(22年度は37兆円)、国債発行は増やさないという前提の中で財政フレームは極めて厳しい。

・政策形成のベースは世論。投資を増やした場合どのようなアウトカムがあるか、経済的なものだけではなくて文化的なものも含めて説明していく必要がある。

・国立大学は巨大なシンクタンクであり、こうしたことに向けてしかり知恵を絞ってもらいたい。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 大学病院と財務経営センター... | トップ | 国立大予算の大幅削減が地域... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事