主張

島田紳助氏引退
癒着と“甘え”の根を絶て

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　数々のテレビ番組の司会などを務めてきたタレントの島田紳助氏が、暴力団関係者との親密な交際を認め、芸能界を引退することになりました。出演が打ち切られるテレビ局だけでなく、社会的に大きな反響を呼んでいます。

　多くのファンや視聴者に支えられてきた芸能人が、反社会的勢力である暴力団関係者と長年にわたって交際を続けるなど、絶対に許されないことです。島田氏の癒着の全容を明らかにするとともに、この際芸能界と暴力団関係者の癒着を一掃し、多少の付き合いには目をつむるといった“甘え”の根を絶つことが求められます。

癒着の全容説明を
　２３日深夜の突然の記者会見で暴力団関係者との交際を認め、引退を表明した島田氏の発言内容は、ファンや視聴者をとうてい納得させるものではありません。

　島田氏は十数年前、引退を考えさせられるようなトラブルをかかえた際、知人を通じて暴力団関係者に解決を頼み、それ以来の付き合いだったことを明らかにしました。しかし、どんなトラブルだったのか、仲介した知人や暴力団関係者が誰だったかも明らかにせず、「直接会ったのは４、５回程度」と深い付き合いではなかったかのような説明に終始しました。

　報道では知人とは元プロボクシング世界王者で、暴力団関係者とは指定暴力団山口組の元幹部、「トラブル」とは島田氏のテレビの発言を右翼から脅されたことだといいます。自ら引退を考えなければならないようなトラブルで暴力団の世話になりながら、交際が深いものではなかったなどという説明に納得する人はいません。

　島田氏と暴力団とのかかわりは、これまでもたびたび報道されたことがあります。島田氏は記者会見で、それらの報道を否定するとともに、今回明らかになった交際については「僕の中ではセーフだと思っていた」と弁解しました。そのことばこそが重大です。

　暴力団は社会に寄生し、一般市民を脅かし、常態的に犯罪を繰り返す反社会的な存在です。その関係者と長年にわたって交際しながら、この程度は「セーフ」だなどと甘えた対応を繰り返してきたことが問題です。

　今回、暴力団関係者との交際を知った島田氏所属の吉本興業は、島田氏から事情を聞き、責任を明確にするよう求めたようです。しかしこれまでも興行を通じて暴力団関係者とのつながりが指摘されてきた芸能界では、交際の事実があっても「この程度なら」と大目に見たり、視聴率が取れる大物芸能人ならと見て見ぬふりをしたりすることがあったといわれています。そうした態度がおごりをうみ、癒着をはびこらせてきたことを、芸能界とテレビ局など関係者は真剣に受け止めるべきです。

反社会的関係の一掃を
　同じように興行が背景となった暴力団関係者との癒着という点では近年、大相撲をめぐる問題が大きな社会問題になりました。建設業界などの大企業でもトラブルの解決と称して暴力団の助けを借りる例が根絶されていません。

　それで迷惑をこうむるのは国民です。芸能界はもちろん企業も、暴力団関係者には一切甘い顔をせず、反社会的活動を繰り返す暴力団を社会から根絶する合意を広げるべきです。