こんにちは。書いている本人が飽きてきた「緑の党」に関する思い出話しの完結編です。定期のアップからはみ出してでも終わらせます。
ですがのっけから脱線。
先週、このマイナーブログを訪ねてくださった奇特な皆さまの数が、のべで四十万人に達しました。ブログを始めてからまる八年ちょっとですので、長〜い期間をかけてのコツコツなのですが、三十万人に達したのは去年の七月でした。
ですから、そこから一年ちょっとでのべ十万の方が覗いてくださったということで、これはまあ、ありがたいことです。このブログはまったく商業ベースからはずれていますし、「もっと多くのViewを!」が目的ではないのですが、それでもいつも読んでくださる方がいるということは励みになります。
心より感謝申し上げます。これからもよろしくお願いいたします。m(_ _)m
レイキャビク西街の拙宅のアドベント飾り
さて、緑の党です。
この冬から夏にかけて繰り返された、独立党法務大臣の「難民締め出し」の試みと、政権に着いていながら「なーんも言わない」緑の党に疲れた私は、「緑の党、もうやーめた」と決心するにいたりました。
単なる一般の支持者に過ぎない私ですが、移民であることや、ある程度知名度がある?こともあり、これまで選挙の度ごとに「私は緑の党を支持します」みたいなPRに招かれてきました。
ですから、私が「緑の党のヒト」と思っている人は結構いますし、やめるからには、たとえそれが個人の問題であるとはしても、Facebookくらいでアナウンスしてもいいだろう、と考えました。
それで十月の始めでしたが、上に書いたような理由で「抜けることにする」とFacebookにアナウンスしました。その直前には「離党届け」も緑の党の事務局宛にメイルで送っておきました。
面白いもので、こういう時には他の人たちは喜んで「いいね」をつけてくるのです。これは人間の習性でしょうね。
「そうだ、そうだ、緑の党はウソつき党だ」「カトリーンは社会の脆弱層を助けようとしない」とかのオンパレード。さらには「ピラター(アナーキズムな別の政党)へいらっしゃい」とか。別にオラ失業者じゃないから。
Facebookに書いて一時間もすると緑の党の事務局長から電話が入いりました。会ったことのない人なのですが、慰留されました。こちらとしてはもう決めたことなのだったのですが、きちんとなぜやめることにしたかを説明。
それからまた一時間もするとRUV(国営放送)のネット版に、なんと「トシキは緑の党をやめる」とニュース。別に国会議員じゃないし、そこまでのニュースバリューはないと思うんですけど...
党活動で知り合っていいた人たちからも、いろいろとメッセージをもらいました。「残念だ」とか「考え直して」とか。ここで一言。前にも書きましたが、緑の党の人は、実際に良い人が多いのです。
嫌な奴もいなくはないですが、総じて良識のある人が多いです。だから、こちらも向こうの話しを聞いて、こちらからもきちんと説明するのは嫌ではありません。個人的なケンカではありませんから。
ダウンタウンの真ん中 首相府
Myndin er ur Stjornarrad.is
その翌日、今度は首相府でカトリーン首相のアシスタントをしているラウラさんという女性から連絡がありました。この人も面識のない人。忙しかったので、そのまた翌日にこちらから連絡すると、またしても慰留。
いろいろと話題になった難民のケースの舞台裏の話しを聞かせてくれました。「マスコミに出ない緑の党の働きもあるのよ」
そうでしょう。私もそういう「陰の働き」のあることは承知しています。ですが陰の話は陰に留まっているべきだと考えています。都合に合わせて、陰から「秘話」を引っ張り出すのはルール違反ですよ。
すると意外な提案。「カトリーンも話したがっているから、来てくれない?」これにはちょっとビックリしました。面識はありますが、今や彼女は首相ですからね。コロナでチョー忙しい時期だし。こっちは単にヒラの党員。
しかも、こちらからではなくて、向こうから「会いたい」と言われて悪い気はしません。政治家とか会うことはあっても、普通はこちらから「会いたい」とアポを取って会いに行くものです。で、週明けの三日後に首相府を訪ねることとなりました。
首相府というのはダウンタウンの真ん中にある建物で、正式には「統治府」みたいなことを意味するのですが、ピッタリとした訳語が思いつきません。要するに首相のオフィスみたいなところです。
これはいいチャンス。きちんと説明をし、改善できるものは改善してもらうきっかけになれば良いと考えました。何を、どう言うか事前にポイントを考えたのですが、要するに「もう少し現場で働いている人たち –決まった役所官庁の役人だけでなく– を聞く必要があるのではないか?ということが中心点だと思いました。「事件は現場で起きてるんだー!」と青島刑事も叫んでいるではないか。
そして十月の十二日の月曜日に首相府にトコトコ出向きました。「コロナのせいで、Zoom会合が多い」とかで建物内は閑散。
静かな面談室で、久しぶりに直にカトリーンさんと、アシスタントのラウラさんとは初めてお目にかかりました。
カトリーン首相 この面談が後になぜかニュースに
Myndin er ur Visir.is/Vilhelm
おざなりの挨拶が終わると、カトリーン首相が「草の根の声が全然届いてこないのよ。今、難民問題で何が現場で話されているか教えて」
いきなり核心かよ。それについて進言したかったのだけど。でも、そちらから切り出してくれるのなら話しは早い。
それから、いくつか温めていた提案というか、サジェスチョンをしました。目的は簡単なもので、いかに「多くの人」が「定期的に」党や政府と「意見交換」をすることができるか、に関してです。
基本的には賛成してもらえたので、コロナが落ち着いたら、ラウラさんともっと話しを詰めることとなりました。
ついでですが、話しの中で「私のアパートにもアフリカからの難民の女性とその子どもが住んでいるんだけど、英語が得意じゃないらしく、顔を合わせてもうまく話しができないので困っちゃうわ」とぼやいていました。
前々回書きましたように、カトリーン首相はごく普通のアパート住まい。それにしても首相と難民の人が同じアパートに住んでいるというのは、いかにも北欧っぽい事象かも。
それはさておき、ついで、なぜ法務大臣があのような悪法案を出してくるのを黙って見ているのか、と訊いてみました。すると意外な答え。
「トシキ、あなたが不快に思うのはよく理解できるわ。でもアイスランド国会には独特のルールがあって、各大臣は政府の合意なくしても、ほぼ自由に法案を提出できるの。与党内で反対意見がある場合には、一般審議で反対に廻るの」
「はー?」これにはビックリ。そういう法案の出し方は聞いたことがない。日本でも自公連立政府が何か法案を出す場合、一応連立パートナーの了承を受けるはずです。
「他のスカンジナヴィアの国でも、アイスランドみたいなやり方はしていないと思う」だって。普通のアイスランド人だって知らないんじゃないかな?フーム...
ちなみに、前回お話ししました外国人法の改悪案。前国会では国会期限切れで審議打ち切りとなっています。法務大臣は「期限内には間に合わない」とコメントしていましたが、実際は反対派の多さにひるんで撤回したのかもしれません。政治家の常套手段です。今現在は審議予定には入っていないと思います。
ニュースの続き 悪い気はしませんです
Myndin er ur Visir.is/VILHELN
とにかく、カトリーンさんの発言で、大きな疑問のひとつは解けました。なるほど。他にもいくつか「そんなこと考えているのか!?」というビックリ(これはポジティブなやつ)もあったのですが、差し障りがあるかもしれないので、はっきりとは書けません。
まあ、小一時間の話し合いでしたが、私自身にとっては良い機会でした。少なくともカトリーンさん自身はまだ「声が聞けていない」という自覚があるし、それを是正するためのアドバイスを聞く姿勢もある。改善を求める場合には良い素地となるものです。
政治家一般では、当たり前のことではないですしね。もうちょっと党に留まって、次の展開に力を貸したほうがいいのかもしれない。
というわけで、その翌日、私はまたFacebookで「やめるのヤーメタ」というアナウンスを出しました。自分の中に、まだ緑の党に対する信頼が残っているのがわかったので、もう一回自分にもチャンスを与えてみる、と。なぜか、これもまたニュースにしてくれました。そして、こういう場合の人間の習性が現れました。
「根性のない奴だ」「カトリーンにまるめこまれた」「ニュース価値がないだろ」大衆はこういう「やめるのヤーメタ」的ニュースは気に入らないのです。私はぜ〜んぜん気にしませんけど。
要するにですね、政治に関わるならある程度の駆け引きはいつも必要だ、ということなのです。(*^^*)
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
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ですから、そこから一年ちょっとでのべ十万の方が覗いてくださったということで、これはまあ、ありがたいことです。このブログはまったく商業ベースからはずれていますし、「もっと多くのViewを!」が目的ではないのですが、それでもいつも読んでくださる方がいるということは励みになります。
心より感謝申し上げます。これからもよろしくお願いいたします。m(_ _)m
レイキャビク西街の拙宅のアドベント飾り
さて、緑の党です。
この冬から夏にかけて繰り返された、独立党法務大臣の「難民締め出し」の試みと、政権に着いていながら「なーんも言わない」緑の党に疲れた私は、「緑の党、もうやーめた」と決心するにいたりました。
単なる一般の支持者に過ぎない私ですが、移民であることや、ある程度知名度がある?こともあり、これまで選挙の度ごとに「私は緑の党を支持します」みたいなPRに招かれてきました。
ですから、私が「緑の党のヒト」と思っている人は結構いますし、やめるからには、たとえそれが個人の問題であるとはしても、Facebookくらいでアナウンスしてもいいだろう、と考えました。
それで十月の始めでしたが、上に書いたような理由で「抜けることにする」とFacebookにアナウンスしました。その直前には「離党届け」も緑の党の事務局宛にメイルで送っておきました。
面白いもので、こういう時には他の人たちは喜んで「いいね」をつけてくるのです。これは人間の習性でしょうね。
「そうだ、そうだ、緑の党はウソつき党だ」「カトリーンは社会の脆弱層を助けようとしない」とかのオンパレード。さらには「ピラター(アナーキズムな別の政党)へいらっしゃい」とか。別にオラ失業者じゃないから。
Facebookに書いて一時間もすると緑の党の事務局長から電話が入いりました。会ったことのない人なのですが、慰留されました。こちらとしてはもう決めたことなのだったのですが、きちんとなぜやめることにしたかを説明。
それからまた一時間もするとRUV(国営放送)のネット版に、なんと「トシキは緑の党をやめる」とニュース。別に国会議員じゃないし、そこまでのニュースバリューはないと思うんですけど...
党活動で知り合っていいた人たちからも、いろいろとメッセージをもらいました。「残念だ」とか「考え直して」とか。ここで一言。前にも書きましたが、緑の党の人は、実際に良い人が多いのです。
嫌な奴もいなくはないですが、総じて良識のある人が多いです。だから、こちらも向こうの話しを聞いて、こちらからもきちんと説明するのは嫌ではありません。個人的なケンカではありませんから。
ダウンタウンの真ん中 首相府
Myndin er ur Stjornarrad.is
その翌日、今度は首相府でカトリーン首相のアシスタントをしているラウラさんという女性から連絡がありました。この人も面識のない人。忙しかったので、そのまた翌日にこちらから連絡すると、またしても慰留。
いろいろと話題になった難民のケースの舞台裏の話しを聞かせてくれました。「マスコミに出ない緑の党の働きもあるのよ」
そうでしょう。私もそういう「陰の働き」のあることは承知しています。ですが陰の話は陰に留まっているべきだと考えています。都合に合わせて、陰から「秘話」を引っ張り出すのはルール違反ですよ。
すると意外な提案。「カトリーンも話したがっているから、来てくれない?」これにはちょっとビックリしました。面識はありますが、今や彼女は首相ですからね。コロナでチョー忙しい時期だし。こっちは単にヒラの党員。
しかも、こちらからではなくて、向こうから「会いたい」と言われて悪い気はしません。政治家とか会うことはあっても、普通はこちらから「会いたい」とアポを取って会いに行くものです。で、週明けの三日後に首相府を訪ねることとなりました。
首相府というのはダウンタウンの真ん中にある建物で、正式には「統治府」みたいなことを意味するのですが、ピッタリとした訳語が思いつきません。要するに首相のオフィスみたいなところです。
これはいいチャンス。きちんと説明をし、改善できるものは改善してもらうきっかけになれば良いと考えました。何を、どう言うか事前にポイントを考えたのですが、要するに「もう少し現場で働いている人たち –決まった役所官庁の役人だけでなく– を聞く必要があるのではないか?ということが中心点だと思いました。「事件は現場で起きてるんだー!」と青島刑事も叫んでいるではないか。
そして十月の十二日の月曜日に首相府にトコトコ出向きました。「コロナのせいで、Zoom会合が多い」とかで建物内は閑散。
静かな面談室で、久しぶりに直にカトリーンさんと、アシスタントのラウラさんとは初めてお目にかかりました。
カトリーン首相 この面談が後になぜかニュースに
Myndin er ur Visir.is/Vilhelm
おざなりの挨拶が終わると、カトリーン首相が「草の根の声が全然届いてこないのよ。今、難民問題で何が現場で話されているか教えて」
いきなり核心かよ。それについて進言したかったのだけど。でも、そちらから切り出してくれるのなら話しは早い。
それから、いくつか温めていた提案というか、サジェスチョンをしました。目的は簡単なもので、いかに「多くの人」が「定期的に」党や政府と「意見交換」をすることができるか、に関してです。
基本的には賛成してもらえたので、コロナが落ち着いたら、ラウラさんともっと話しを詰めることとなりました。
ついでですが、話しの中で「私のアパートにもアフリカからの難民の女性とその子どもが住んでいるんだけど、英語が得意じゃないらしく、顔を合わせてもうまく話しができないので困っちゃうわ」とぼやいていました。
前々回書きましたように、カトリーン首相はごく普通のアパート住まい。それにしても首相と難民の人が同じアパートに住んでいるというのは、いかにも北欧っぽい事象かも。
それはさておき、ついで、なぜ法務大臣があのような悪法案を出してくるのを黙って見ているのか、と訊いてみました。すると意外な答え。
「トシキ、あなたが不快に思うのはよく理解できるわ。でもアイスランド国会には独特のルールがあって、各大臣は政府の合意なくしても、ほぼ自由に法案を提出できるの。与党内で反対意見がある場合には、一般審議で反対に廻るの」
「はー?」これにはビックリ。そういう法案の出し方は聞いたことがない。日本でも自公連立政府が何か法案を出す場合、一応連立パートナーの了承を受けるはずです。
「他のスカンジナヴィアの国でも、アイスランドみたいなやり方はしていないと思う」だって。普通のアイスランド人だって知らないんじゃないかな?フーム...
ちなみに、前回お話ししました外国人法の改悪案。前国会では国会期限切れで審議打ち切りとなっています。法務大臣は「期限内には間に合わない」とコメントしていましたが、実際は反対派の多さにひるんで撤回したのかもしれません。政治家の常套手段です。今現在は審議予定には入っていないと思います。
ニュースの続き 悪い気はしませんです
Myndin er ur Visir.is/VILHELN
とにかく、カトリーンさんの発言で、大きな疑問のひとつは解けました。なるほど。他にもいくつか「そんなこと考えているのか!?」というビックリ(これはポジティブなやつ)もあったのですが、差し障りがあるかもしれないので、はっきりとは書けません。
まあ、小一時間の話し合いでしたが、私自身にとっては良い機会でした。少なくともカトリーンさん自身はまだ「声が聞けていない」という自覚があるし、それを是正するためのアドバイスを聞く姿勢もある。改善を求める場合には良い素地となるものです。
政治家一般では、当たり前のことではないですしね。もうちょっと党に留まって、次の展開に力を貸したほうがいいのかもしれない。
というわけで、その翌日、私はまたFacebookで「やめるのヤーメタ」というアナウンスを出しました。自分の中に、まだ緑の党に対する信頼が残っているのがわかったので、もう一回自分にもチャンスを与えてみる、と。なぜか、これもまたニュースにしてくれました。そして、こういう場合の人間の習性が現れました。
「根性のない奴だ」「カトリーンにまるめこまれた」「ニュース価値がないだろ」大衆はこういう「やめるのヤーメタ」的ニュースは気に入らないのです。私はぜ〜んぜん気にしませんけど。
要するにですね、政治に関わるならある程度の駆け引きはいつも必要だ、ということなのです。(*^^*)
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
コメントありがとうございます。
いいですね、山口さんの握るお寿司を、ここで
いただくことができるようになることをいただくことができるようになることを願います。