レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

レイキャビク市政の行方と無責任なワタシ

2018-06-03 03:00:00 | 日記
先々週の土曜日に行われたアイスランドの地方選挙ですが、結果が出ています。レイキャビクではかなり選挙前の予想とは異なる結果になったようです。

投票は土曜日の夜10時に終了し、即刻開票が始まります。実際は一部は投票の終了前から始まっているようです。小さな国ですし、レイキャビクなどでも夜中の三時頃には大勢があきらかになります。

私は日曜日は仕事がありますし、市政には今のところそれほど関心を持てなかったので、結果を待たずにさっさと寝てしまいました。で、日曜の朝起きて、ネットでニュースを見て多少驚いたわけです。

予想では第二党の支持率だった独立党が30%の得票を得て第一党になりました。選挙前の支持率ではずーっとトップを走っていいた社民連合は26%弱の得票で第二党に転落。

地方選初進出のヴィスレイセン(再生)党はが8%強の得票で第三党に入り、リベラルなピラター(海賊)党が8%弱。新党社会主義者党が健闘して6%強、これも地方選挙初参戦の「中道党」「人々の党」もそれぞれ6%と4%を得て議席を得ました。

我が緑の党は4,3%と、選挙前支持率の7,2%を大幅に下回り、議席数も2から1に「半減」。やはりワタシなんぞがリストの31番に座っていたから、悪運を呼んだのかも...

議席数は独立党が8、社民連合が7、ピラターとヴィスレイセンがそれぞれ2、残りがそれぞれ1ずつという分配になります。国政では与党の進歩党(という名前の保守党)は惨敗して議席0。




保守・革新がきれいに二分した今回のレイキャビク市議会選挙
Myndin er ur Visir.is


保守・革新という二分法は今ではそれほど賢いアプローチとは思わないのですが、日本の皆さんに大雑把なイメージを持ってもらうためには役にたつかも。

保守陣営が独立党、ヴィスレイセン、中道党、人々の党です。革新陣営は社民連合、緑の党、社会主義者党とピラター。

もうちょっと付け加えると、新党の社会主義者党というのは2017年にグンナル・スマウリさんという人を中心にして結成されましたが、昨年秋の国政選挙には参加していません。

レイキャビク市政戦況では、最低賃金制度の見直し(実際に給与で生活できない市民が大勢いる)、住宅の適正な配分、市当局内での派遣職員の廃止(皆、正規な職員にする)等々で、今の市民の現実に即した公約を並べています。

中道党は、元首相(進歩党)のグンロイグル・ダヴィさんがパナマ文書事件をきっかけにしたゴタゴタの後、立ち上げた党で、非常に個人の影響が強い党です。国政選挙でも議席を得ています。

人々の党も、社会主義者等と同じように、今の社会の中で四苦八苦している人の層の要求を土台にして立ち上げられました。2016年の初国政選挙では議席を得られませんでしたが、昨年秋の選挙では一議席を得ています。

この党の困ったところは、「お年寄りや障害を持った人たちの生活が改善されないのは、移民や難民の方にお金を使っているからだ」という移民排斥思想の「気」があることです。

この点は社会主義者等は異なっており、移民もきちんとした市民とする認識を持っているようです。実際に社会主義者党のリストナンバー1で、今回の議席獲得者の中では最年少の26歳のサンナ・マグダレーナさんはお母さんがアイスランド人でお父さんはタンザニアの人だそうです。

市政選挙初陣の中での最後、ヴィスレイセンについては後で触れます。




社会主義者党から当選したサンナ・マグダレーナさん 26歳は最年少市議会議員となります
Myndin er ur Visir.is


これらの党についてもうひとつ言えるのは、中道党とヴィスレイセンが、有力政治家を中心にして結成された、いわゆる「既存体制」の分派であるのに対して、社会主義者党と人々の党の方は、「虐げられた」市民の声を土台にして(少なくともそのように主張して)できた党であることです。市政の中で、この生い立ちがどのように反映されてくるのかは、多少興味があります。

ところで、これまでのレイキャビク市政の与党は、社民連合、緑の党、ピラター、それに昨年秋の国会選挙で惨敗した「明るい未来党」でした。明るい未来党は今回は選挙に参加していません。

で、単純に獲得議席数をこの保守・革新二分法で比較しますと、保守系12、革新系11となります。「ダーグル現市長、さようなら」となります。

ですが、例えば現在の国政の政権は、独立党、進歩党(という名前の保守党),ヴィスレイセン、そして緑の党の連立で、保守革新混合です。首相はこのうち唯一革新系の緑の党のカトリーンさんです。

政治ですから、それほど大義だけで動くこともなく、それぞれの分野で利害が競合したり、あるいは人々には知られたくないようなところでの利害問題もあることでしょう。

今回の選挙結果で一番ウハウハ喜んだのはヴィスレイセンでしょう。ヴィスレイセンというのはもともと独立党の不平分子が、党を抜けて立ち上げたものです。イデオロギーよりは各個の問題に対しての賛否で集まっているように見えます。

で、結果として今回議席を得た党の一覧の中では、一番真ん中くらいに位置するのです。中道党よりも中道と言っていいでしょう。

ですから、選挙結果が今回のように「ちょうど保守・革新で半分ずつ」みたいなバランスになると、自分たちの価値が増すわけです。左右どちらでも自分たちを取り入れた方が多数派になるからです。

私自身はこういうことが年中行事的になっていることには首をかしげざるを得ません。付加価値が大きすぎるのです。今回も結果が出た後で、メディアはヴィスレイセンの当選者を追っかけ回していましたが、彼らは実際は8%を得ただけなのです。(緑の党の二倍近いことはスルーしますが... (^-^; )

さらにヴィスレイセンの喜びがアップしました。社会主義者党が「どこの党とも連立工作に参加することはない」と宣言したからです。これによってますますヴィスレイセンの「付加価値」は上昇。

革新陣営にとってはヴィスレイセンがなければ、市長を失うことになりました。ヴィスレイセンの党首ソルゲルズル・カトリーンさんは「私たちは自分を高く売るわよ」と開票後のインタビューで語っていました。

昔は美人でそれなりに魅力のある女性でしたが、年々ドク... いや、やめとこ。やっぱり牧師がそういうことを書くのはよくないですね、正直だとしても。(^-^;

これを書いている金曜日の夕方現在、ヴィスレイセンは革新陣営にすり寄って連立協議をしています。どうなることやら。

私としては、どうかなあ?保守市政、革新市政のどちらにもプラスマイナスがありますから、どちらを望む、と決めるのが難しいです。

原理原則的には私は緑の党路線を支持しますので革新が望ましいのですけどねえ... 実際の政策ポリシーでは、賛同できないものが相当あったりして。

というわけで、今回はワタシは非常に無責任かついい加減な立場でこの選挙の結果を眺めていたのでした...批評ばっかで意見がない、というのはまったく好きではないんですけどね、そういうツボにはまってしまうこともあるようです。

とにかく改めて、あるいは新たに市議会に座るみなさんには、真摯に責務に向き合っていただいきたいものです。神の支えがありますように。(一応そう言うのが礼儀です)


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com


Home Page: www.toma.is
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