レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

ユーロビジョン デンマーク優勝

2013-05-20 05:00:00 | 日記
一昨日の土曜日18日、ユーロビジョン・コンテストがスウェーデンのマルメで開かれ、エメリイ(デンマーク)が優勝しました。アイスランドはエイソール・インギが参加し17位でした。ワタシ的には勝つために計算し尽くしたようなエメリイより、素朴にアイスランド語で歌い切ったエイソールの歌の方がずっと良かったです。というようなのも身内びいきか?

このユーロビジョン、毎年五月の中頃に行われるのですが、今の日本の音楽好きの皆さんにはどのくらい馴染みのあるものでしょうか?欧州放送連合が主催する音楽コンテストで、各国の代表が出場して競うものです。 

私のような古い世代のものにはユーロビジョンはそれなりの魅力のあるものでした。私が小学生の頃にはもちろんテレビの生中継などそれほど頻繁にありませんでしたし、ユーチューブのような世界と時を越えて皆を結ぶ魔術もありませんでした。

そんな中でユーロビジョンの優勝曲あるいは入賞曲といえばかなり拍の付いた宣伝文句になっていたと思います。古いところでは1965年のシルヴィー・バルタン(フランス)の「あなたのとりこ」や1968年にヴィッキー(ルクセンブルク)が歌った「恋は水色」。言わずと知れたポール・モーリアの名曲ですよね。

私が好きだったオーストリアのウド・ユルゲンスも何曲かユーロビジョンがらみのヒット曲があったはずです。

スウェーデンのアバもユーロビジョン優勝組ですね。1974年の「ウォ-タールー」。アバ人気の始まりでした。個人的にはその3年後77年の優勝曲マリー・ミリアム(フランス)の「小鳥と子供」はシングル(レコードです)を買ってよく聴きました。

さてアイスランドのユーロビジョン初参加は1986年ということですが、1999年にセルマが「All out of luck」で、2009年にはヨハンナが「Is it true?」で準優勝になりました。セルマの時は私もテレビで見ていましたがあれは優勝したと思いましたね。スウェーデンに持っていかれましたが、あれはインチキだと今でも思っています。

ユーロビジョンの歌はいわゆる歌謡曲というかポップ音楽なので、どちらかというと子供や普通のおじさん、おばさんなどに人気があります。私も子供たちが小さかった頃はフォローしていましたが、今では縁遠くなってしまいました。

ですが、アイスランドの人たちの間ではまだまだ相当な人気を保っていて、当日は通りから人影が消えます。自宅でユーロビジョン・パーティーを開く人も大勢います。テレビを見ながら飲んだり騒いだりするわけです。(だいたい中継は7時くらいから11時くらいまでです)

今年のアイスランドのエントリー曲はアイスランド語で歌われました。ということは、それを審判する立場の一般の人たちには歌の意味が分からないということです。(視聴者は自分の国以外のエントリー曲に得点を電話で送信します) これはいつも戦略的に問題になる点です。母国語で歌うか、英語のように広範に通じる言葉で歌うか。

それとは別に、1990年頃以降のヨーロッパ諸国の再編成(というか分裂というか)によって、加盟国の数が倍増がコンテストに相当な影響を与えました。例えば従来ユーゴスラビアでひとくくりになっていたものが、セルビア、クロアシア、ボスニア・ヘルチェゴビナ、マケドニア等のように分散してきているわけです。旧ソビエト圏についても同様。

ところが音楽のセンスというのはかなり地域の文化に根付いていますから、この国数の増大によってずいぶんと東ヨーロッパ系の音楽への得点が増えてきた気がします。私たち日本人もかなり慣れている西欧系の音楽は、以前のようには支持を得ることができなくなってきています。

ちょっと極端な言い方になりますが、例えば日本の47都道府県がそれぞれ独立国化してユーロビジョンに参加したとして、それ故に演歌調の曲が優勝したら他の文化圏の人は戸惑いますよね。それに似たことがここ十年くらい起きてきていると思います。

これはこれで現実であって、西欧風音楽が東欧風のものより質が高いというようなことではありません。東欧風の音楽は良くないから西欧風に変えろ、などというのはそれこそ文化的帝国主義になってしまいますからね。(と、理想論をいいながらも私自身は東欧風音楽は全くしっくり来ませんが)

ユーロビジョンが続く限りその現実の中でコンテストも続いていくのでしょう。ある意味そこに意味があるのかも、ですね。耳が慣れてくれば好みも変わるかもしれませんし、それこそ多文化交流か?


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