今日は先の十六日のモルグンブラウジズ紙からふたつのトピックです。まずは恒例の観光関連。
観光局のハルドール・アリンビャルトナソンさんの話しによると、2014年にアイスランドを訪れた外国人は2013年に比べて31%も増加しました。ところがホテルの宿泊数の伸びは24%にとどまっています。
「調べたのですがふたつの理由があります。ひとつはホテルではない個人宅などに宿泊する人が増えていること。ふたつ目は特に冬場の旅行期間が以前より短くなっていることです」とハルドールさん。
ウェッブサイトにはairbnb.comという個人の住居への宿泊を斡旋するものがあり、アイスランドでは千人(千件)が登録されているそうです。また料金を取らない仕組みのcouchsurfing.orgにも八千弱の登録があるとか(これは「世界で」かもしれません。アイスランド国内では多すぎる気がします)。
観光局のリサーチによると、これらの「個人宅宿泊者」が全体の9%にも上るのだそうです。ほぼ一割ですよね。百万人が来たとしたら十万人です。これはバカにできない。
で、このシステムを利用するのは主に34歳以下の比較的若くまた収入が低い世代で、学生に限っていうと一番利用されている宿泊形態だそうです。これは筋が通っていますよね。
さらに南・中央ヨーロッパからの利用者がアジアからの利用者の二倍以上なのだそうです。これも割りとナットク。
旅行の長さに関しては、二年前には夏季のハイシーズンで平均6,6泊だったものが昨年は6,1泊に短くなっています。さらに冬場のローシーズンでは3〜4日の週末に合わせた旅行が増えてきたとのこと。
今、観光客を当て込んでホテル建築をあっちでもこっちでもやってますからねえ。レイキャビク郊外を運転していたらほんの短い区間で大型クレーンが八台も立っていました。これらのホテルを満杯にするには、パイ全体を大きくしないといけないのでしょうが、そうなるかどうか。シンパイです。ホテルではなく、パイが大きくなりすぎることの方ですが。
ところで昨年の外国人観光客数は「初めて百万人台に乗った」と報じられていたのですが、年を超えて正確な数が出たらこれが997.556人で、僅かに百万人に欠けていたことが分かりました。
「みんなショックだったんですけどね」とハルドールさん。「でも豪華観光客船できた人たちが104.516人いましたので、これを加えると百万人を越します」えっ?船できた人たちは観光客じゃないの?「ツーリストとは最低一泊をその国で過ごす人のこととして考えられています」船に宿泊している皆さんは勘定されないようで。
もうひとつのトピックは服飾業界についてです。というか服飾の販売業についてです。
ビフロスト大学の商店リサーチ所(変な名称ですが、要するに「販売するところ」のリサーチです)のエミル・カルスソンさんの話しでは「毎年クリスマス時期は服飾の売り上げが伸びるものなのですが、昨年は対前年比が実数で3,6%、インフレとかを考慮すると1,5%の減少となっています」とのこと。
服飾販売の低迷を示すチャート Morgunnbladid(16.1.2015)より
付随していたチャートを見ても、確かに服飾(Fot:緑線)はここ三年間横ばいのままです。電化機器(Raftaeki:水色線)、家具インテリア(Husgogn:紫線)に比べると違いは明らかです。ちなみに赤線(Afengi)はアルコール類、青線(Dagvara)は日用品のことです。
この状況の背景にはふたつの理由があります。もっともこのふたつは互いに関係しています。ひとつ目は税金です。服飾や靴には一率で24%も消費税がかかります。昨年までは25,5%だったのが年明けから1,5%下がりました。しかしそれでも高いのです。
大きなスーパーとかへ行っても一般に服は「ものすごく」高いです。ものの質も考慮すると、例えばユニクロなどとは「月とスッポン」と言ってもいいでしょう。ちなみに私もユニクロで買いだめします。日によっては着ているものがユニクロ尽くしのこともあります。(*^^*)
というわけで「大して品もよくないのにやたらに高い服をアイスランドで買うよりは...」とクリスマス前などにはアイスランドの人たちは大挙してボストン、ロンドン、グラスゴーなどへ「お買い物ツアー」に出ていってしまうのです。これは一時期盛んだったのですが、また拍車をかけて盛り上がってきているそうです。これが二つ目の理由です。
ついでにこれに付属して、ふたつ目半の理由。ネットで海外から服を購入する人も増えていることです。ネットで購入されるものの支払いの20%が服飾品だそうです。買主は主に若い世代の女性だとか。
要するに値段が高いということが問題なのです。
この状況に危機感を募らせているのはSVTH(商店及びサービス業協会)という商工会議所のような団体です。責任者のアンドリェス・マグヌスソンさんの話しでは「衣服や靴を販売する商店はまだ恐慌後の低迷から立ち直っていないのです」
「政府にはこれまでもずっと主張してきているのですが、衣服や靴に対しての24%の課税がお客さんを遠ざけているのです。税の軽減は絶対に必要です。服飾販売業界は世界的に見てしのぎ合いが厳しい業界なのです」
財務大臣のビャルトゥニ・ベネディクトスソン氏もその点は認めているような発言をしています。「国際間での適正な競争を可能にする環境を作らないといけない」とどこかで述べたようです。イギリスでは服飾品は課税が20%ですが、子供用の衣服にはまったくの非課税になっているそうです。そうですよねえ、少なくともパンツや靴はどう考えても生活必需品ですから、11%課税の品目に入れてもらわないと...
アイスランド国内に16店舗の販売網を持つNTCという会社の経営者スヴァヴァ・ヨハンセンさんは関税の引き下げの重要さも指摘します。「アジアで生産される基本的に生産費の低い衣料品は、一度ヨーロッパに入ってからアイスランドへ輸入されます。関税のためにもともとの安さが失われて競争力をなくしてしまうのです」
スヴァヴァさんの会社では中国に生産拠点を作ったそうで、そこからの製品はアイスランド−中国間の自由貿易協定により非関税で入ってくるので、ずっと安く販売できるのだそうです。
というわけで、アイスランドへ来てくれる人を巡ってもいろいろな利益が絡み合っていますし、逆にアイスランドからボストンやロンドンに買い出しに出かける人も大勢あるということで、大きな目で見れば「世界はひとつ」に向かっているということでしょう。
日本もアイスランドと自由貿易協定を結んでくらないかなあ。トヨタ車が安くなってくれるんだけど...マイ・カローラは夏で九年目に入るし買い換えたいんだけど、高くて無理じゃ...
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
観光局のハルドール・アリンビャルトナソンさんの話しによると、2014年にアイスランドを訪れた外国人は2013年に比べて31%も増加しました。ところがホテルの宿泊数の伸びは24%にとどまっています。
「調べたのですがふたつの理由があります。ひとつはホテルではない個人宅などに宿泊する人が増えていること。ふたつ目は特に冬場の旅行期間が以前より短くなっていることです」とハルドールさん。
ウェッブサイトにはairbnb.comという個人の住居への宿泊を斡旋するものがあり、アイスランドでは千人(千件)が登録されているそうです。また料金を取らない仕組みのcouchsurfing.orgにも八千弱の登録があるとか(これは「世界で」かもしれません。アイスランド国内では多すぎる気がします)。
観光局のリサーチによると、これらの「個人宅宿泊者」が全体の9%にも上るのだそうです。ほぼ一割ですよね。百万人が来たとしたら十万人です。これはバカにできない。
で、このシステムを利用するのは主に34歳以下の比較的若くまた収入が低い世代で、学生に限っていうと一番利用されている宿泊形態だそうです。これは筋が通っていますよね。
さらに南・中央ヨーロッパからの利用者がアジアからの利用者の二倍以上なのだそうです。これも割りとナットク。
旅行の長さに関しては、二年前には夏季のハイシーズンで平均6,6泊だったものが昨年は6,1泊に短くなっています。さらに冬場のローシーズンでは3〜4日の週末に合わせた旅行が増えてきたとのこと。
今、観光客を当て込んでホテル建築をあっちでもこっちでもやってますからねえ。レイキャビク郊外を運転していたらほんの短い区間で大型クレーンが八台も立っていました。これらのホテルを満杯にするには、パイ全体を大きくしないといけないのでしょうが、そうなるかどうか。シンパイです。ホテルではなく、パイが大きくなりすぎることの方ですが。
ところで昨年の外国人観光客数は「初めて百万人台に乗った」と報じられていたのですが、年を超えて正確な数が出たらこれが997.556人で、僅かに百万人に欠けていたことが分かりました。
「みんなショックだったんですけどね」とハルドールさん。「でも豪華観光客船できた人たちが104.516人いましたので、これを加えると百万人を越します」えっ?船できた人たちは観光客じゃないの?「ツーリストとは最低一泊をその国で過ごす人のこととして考えられています」船に宿泊している皆さんは勘定されないようで。
もうひとつのトピックは服飾業界についてです。というか服飾の販売業についてです。
ビフロスト大学の商店リサーチ所(変な名称ですが、要するに「販売するところ」のリサーチです)のエミル・カルスソンさんの話しでは「毎年クリスマス時期は服飾の売り上げが伸びるものなのですが、昨年は対前年比が実数で3,6%、インフレとかを考慮すると1,5%の減少となっています」とのこと。
服飾販売の低迷を示すチャート Morgunnbladid(16.1.2015)より
付随していたチャートを見ても、確かに服飾(Fot:緑線)はここ三年間横ばいのままです。電化機器(Raftaeki:水色線)、家具インテリア(Husgogn:紫線)に比べると違いは明らかです。ちなみに赤線(Afengi)はアルコール類、青線(Dagvara)は日用品のことです。
この状況の背景にはふたつの理由があります。もっともこのふたつは互いに関係しています。ひとつ目は税金です。服飾や靴には一率で24%も消費税がかかります。昨年までは25,5%だったのが年明けから1,5%下がりました。しかしそれでも高いのです。
大きなスーパーとかへ行っても一般に服は「ものすごく」高いです。ものの質も考慮すると、例えばユニクロなどとは「月とスッポン」と言ってもいいでしょう。ちなみに私もユニクロで買いだめします。日によっては着ているものがユニクロ尽くしのこともあります。(*^^*)
というわけで「大して品もよくないのにやたらに高い服をアイスランドで買うよりは...」とクリスマス前などにはアイスランドの人たちは大挙してボストン、ロンドン、グラスゴーなどへ「お買い物ツアー」に出ていってしまうのです。これは一時期盛んだったのですが、また拍車をかけて盛り上がってきているそうです。これが二つ目の理由です。
ついでにこれに付属して、ふたつ目半の理由。ネットで海外から服を購入する人も増えていることです。ネットで購入されるものの支払いの20%が服飾品だそうです。買主は主に若い世代の女性だとか。
要するに値段が高いということが問題なのです。
この状況に危機感を募らせているのはSVTH(商店及びサービス業協会)という商工会議所のような団体です。責任者のアンドリェス・マグヌスソンさんの話しでは「衣服や靴を販売する商店はまだ恐慌後の低迷から立ち直っていないのです」
「政府にはこれまでもずっと主張してきているのですが、衣服や靴に対しての24%の課税がお客さんを遠ざけているのです。税の軽減は絶対に必要です。服飾販売業界は世界的に見てしのぎ合いが厳しい業界なのです」
財務大臣のビャルトゥニ・ベネディクトスソン氏もその点は認めているような発言をしています。「国際間での適正な競争を可能にする環境を作らないといけない」とどこかで述べたようです。イギリスでは服飾品は課税が20%ですが、子供用の衣服にはまったくの非課税になっているそうです。そうですよねえ、少なくともパンツや靴はどう考えても生活必需品ですから、11%課税の品目に入れてもらわないと...
アイスランド国内に16店舗の販売網を持つNTCという会社の経営者スヴァヴァ・ヨハンセンさんは関税の引き下げの重要さも指摘します。「アジアで生産される基本的に生産費の低い衣料品は、一度ヨーロッパに入ってからアイスランドへ輸入されます。関税のためにもともとの安さが失われて競争力をなくしてしまうのです」
スヴァヴァさんの会社では中国に生産拠点を作ったそうで、そこからの製品はアイスランド−中国間の自由貿易協定により非関税で入ってくるので、ずっと安く販売できるのだそうです。
というわけで、アイスランドへ来てくれる人を巡ってもいろいろな利益が絡み合っていますし、逆にアイスランドからボストンやロンドンに買い出しに出かける人も大勢あるということで、大きな目で見れば「世界はひとつ」に向かっているということでしょう。
日本もアイスランドと自由貿易協定を結んでくらないかなあ。トヨタ車が安くなってくれるんだけど...マイ・カローラは夏で九年目に入るし買い換えたいんだけど、高くて無理じゃ...
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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最近発表された「世界・男女平等ランキング」で日本は142カ国中なんと104位だった。果たして1位の国はどこなのか?取材班が飛んだのはアイスランド、しかも6年連続1位だという。実はアイスランドが女性活用に舵を切ったのはリーマンショックが契機だという。それまで漁師国家ならではの「男社会」だったというが、どうしてここまで劇的に変わったのか?
お知らせくださりありがとうございます。
知り合いが出ますので、ぜひ見てください。