こんにちは/こんばんは。
この冬は温暖でほとんど雪もなく過ぎていきました。ただ四月に入ってから急に気温が下がり、レイキャビクではほぼ毎日氷点下になっています。雪も降り、久しぶりに、出かける前の車の除雪が必要となりました。
「パースカー(復活祭)には雪が降る」というアイスランドの都市伝説は今年も生きていたことになります。
アイスランドでは、気温や天候で季節を測ることはできません。一年中冬のような日があり得るという意味ですが。八月に雪が舞い、セーターが必要になることもあります。

アイスランドの春は「陽光」だより
Myndin er eftir Norris_Niman@Unsplash
ここでは、季節を測る決め手は「日の光の強さ」「長さ」です。これは絶対に裏切らないテッパンの自然現象ですね。
例えば、今これを書いているのは九日の金曜日なのですが、明け方はマイナス6度まで冷え込み、朝8時半でもマイナス3度でした。
ところが日の出は6時16分で、8時半にはもうきらめく朝日が辺りを覆っています。日の光がもう元気になっていますので、家の中にいると暑いくらいの熱をあたえてくれます。
冬の間の朝8時半。真っ暗で、風の音がゴーゴーと耳に付く毎日。気温は同じようなものでも、四月の8時半はまったく違ったものなのです。太陽光はなんとかホルモンの分泌に関係するとかですが、自然と人間の不思議な関係を感じます。ちなみにこの日の日没は夜の8時43分。
さて、もうひとつの自然現象、マグマ噴出の続報です。

噴出した直後の新たなマグマ流出箇所
Myndin er ur Visir.is/VILHELM
レイキャネス半島を中心とする二月末からの地震の連発。三月中旬のマグマ噴出。これらについてはお知らせしてきました。本当に不思議なのですが、マグマが出てきてからは、地震はぴたりと止まりました。そういうもんなんすかね?
その流出するマグマ噴出地帯が観光スポット化しているのですが、この一週間で展開がありました。まだ復活祭中の五日の午前中に、今、マグマを噴出している箇所とは別のところで、新たにマグマが流れ出したのです。
ふたつめの噴出口というものは、実は始めのものすぐ横にできていましたので、正確にはこれはみっつめの噴出口となります。
面白いのは、これも始めの噴出の時と同じく、なんでもない普通の原野の一部が裂けて、そこから溶岩が流れ出始めたのです。何の前触れもなし。
始めの時と違うのは、今回はマグマ見物にやってきた観光客がうじゃじゃけて周囲にいることでした。コワッ! 新たな噴出口が人の群れに重ならなくてよかった。
始めの噴出口があるゲルディンガダーリルには、その南方から観光登山客/ハイカーが接近するのですが、新たな噴出口はゲルディンガダーリルの北東約七百メートルのところに出現しましたので、マグマ流出による人的な危険はありませんでした。
新たな噴出口からの溶岩は、真っ赤な –というか、オレンジ色?– の一筋の川となってさらに東にあるMeradalirメーラダーリルという低地に溜まっているようです。
(* さらにこちらの時間で土曜日の未明に、さらに別の場所から噴出が始まったと報道されました。場所は下のマップの斜線部分の中にあるようです)

左側の紫部分が始めからの溶岩流出 中央右の薄紫が今回 間の斜線部分はマグマ地帯の上
Myndin er ur Visir.is

今の様子 マグマが溜池化?してます
Myndin er ur RUV.is
Geldingadalurゲルディンガダーリル、Meradalurメーラダーリルという地名のDalirダーリル(単数はdalur ダールル)とは「谷」を意味します。新たな噴出口からの溶岩は、山というか丘の合間の低地地帯を川となって、さらに低い土地へ流れ込んだのです。
普通、火山とか溶岩とかって、人里離れたところにあるもの、というイメージがありますよね。まあ、桜島は別です。阿蘇山、浅間山だって、そんなに遠くじゃない。富士山だって、そこに見えるではないか、という方もありましょうが、「見える」ということと「近くにある」とは別もんです。
Visir.isとうネットメディアに、ちょうど良いイラストが載っていましたので、ちょっと無断拝借して掲載します。

マグマ地帯と周辺のマップ
Myndin er ur Visir.is
左側に青で囲んだところがケフラビク国際空港です。右側で囲んだところがハフナーフョルズルというレイキャビクの隣りの港町です。空港からハフナーフョルズルまでが、普通に車で走って20分ほどの距離になります。
中央の赤とオレンジ色で示されたところが、今回噴出しているマグマ地帯です。ゲルディンガダールは線の左下方、新しい噴出口は右上方に位置します。こうしてみると、そう遠いところで起こっているわけではない、と納得いただけるかと思います。
さて、当初より、マグマの流出に伴う有害なガスについて心配されていました。始めの噴出の場合は、それほどの濃度はなかったようで、「いつも風上にいるように」と観光客に注意がなされただけで、特に立ち入り禁止とかにはなりませんでした。
ついでに、毒ガスマスクが売り切れになったそうです。毒ガスマスクなんて、そこらで売っていることすら知らなかったですよ、ワタシは。
それが、この一週間くらい、有毒ガスの濃度が濃くなってきており、当局もようやく本気で心配し始めたようで、「入山禁止もあり得る」と報じられています。金曜夜のニュースでは「有毒ガスの濃度は初期に比べて二倍以上になっており、喘息等の持病がある人は近づかないように」という注意がなされていました。
木曜日のニュースでは、ガスに巻かれて倒れた十六歳の女の子がインタビューを受けていました。その子はそんなに溶岩自体には近づかなかったものの、気分が急にに悪くなり動けなくなりました。
レスキュー隊が、非常に迅速に少女を担ぎ出し、救急車でケフラビクの病院に搬送。大事には至らず幸いでしたが、ガス対策はこれ以降はより重要になってくることでしょう。
というのは、コロナで冷え切ったアイスランド観光業界は、早くも真剣にこのマグマ観光をマーケッティングに乗せ始めているからです。いろいろな観光案内サイトに、宣伝を載せ始めたとか。
「まさしく天からの贈り物。宣伝しなくても、世界中のメディアにこのマグマの前で撮ったセルフィーとか、航空写真が溢れています」とツーリストビジネスの関係者。
世界中に写真が溢れていたとしても、コロナが収束してくれないうちは「捕らぬ狸の... 」という感じがしないでもありませんが。それに有毒ガス。
多分、旅行業者がガスマスクも準備することになるのでしょうね。テレビでハワイとかインドネシアの火山の「マグマを見に行く!」とかいうのを時々見かけますが、大体ガスマスクが用意されていますからね。
Ertu buin/n ad fara og skoda eldgos? 「マグマ、見に行った?」というのが、最近のアイスランド社会の挨拶言葉になってきています。私自身は、今すぐに行くつもりはありません。
なんせ、寒いし。雪降ってるし。歩くの嫌いだし... マグマが足元から出て来ない保障はないし。もう少し暖かくなってからなら、考えてもいいかもしれません。
いずれにせよ、ひとりじゃ絶対に行かないから、ワタシは。ということは、多分、絶対に行けない、か?
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
Facebook: Toma Toshiki
この冬は温暖でほとんど雪もなく過ぎていきました。ただ四月に入ってから急に気温が下がり、レイキャビクではほぼ毎日氷点下になっています。雪も降り、久しぶりに、出かける前の車の除雪が必要となりました。
「パースカー(復活祭)には雪が降る」というアイスランドの都市伝説は今年も生きていたことになります。
アイスランドでは、気温や天候で季節を測ることはできません。一年中冬のような日があり得るという意味ですが。八月に雪が舞い、セーターが必要になることもあります。

アイスランドの春は「陽光」だより
Myndin er eftir Norris_Niman@Unsplash
ここでは、季節を測る決め手は「日の光の強さ」「長さ」です。これは絶対に裏切らないテッパンの自然現象ですね。
例えば、今これを書いているのは九日の金曜日なのですが、明け方はマイナス6度まで冷え込み、朝8時半でもマイナス3度でした。
ところが日の出は6時16分で、8時半にはもうきらめく朝日が辺りを覆っています。日の光がもう元気になっていますので、家の中にいると暑いくらいの熱をあたえてくれます。
冬の間の朝8時半。真っ暗で、風の音がゴーゴーと耳に付く毎日。気温は同じようなものでも、四月の8時半はまったく違ったものなのです。太陽光はなんとかホルモンの分泌に関係するとかですが、自然と人間の不思議な関係を感じます。ちなみにこの日の日没は夜の8時43分。
さて、もうひとつの自然現象、マグマ噴出の続報です。

噴出した直後の新たなマグマ流出箇所
Myndin er ur Visir.is/VILHELM
レイキャネス半島を中心とする二月末からの地震の連発。三月中旬のマグマ噴出。これらについてはお知らせしてきました。本当に不思議なのですが、マグマが出てきてからは、地震はぴたりと止まりました。そういうもんなんすかね?
その流出するマグマ噴出地帯が観光スポット化しているのですが、この一週間で展開がありました。まだ復活祭中の五日の午前中に、今、マグマを噴出している箇所とは別のところで、新たにマグマが流れ出したのです。
ふたつめの噴出口というものは、実は始めのものすぐ横にできていましたので、正確にはこれはみっつめの噴出口となります。
面白いのは、これも始めの噴出の時と同じく、なんでもない普通の原野の一部が裂けて、そこから溶岩が流れ出始めたのです。何の前触れもなし。
始めの時と違うのは、今回はマグマ見物にやってきた観光客がうじゃじゃけて周囲にいることでした。コワッ! 新たな噴出口が人の群れに重ならなくてよかった。
始めの噴出口があるゲルディンガダーリルには、その南方から観光登山客/ハイカーが接近するのですが、新たな噴出口はゲルディンガダーリルの北東約七百メートルのところに出現しましたので、マグマ流出による人的な危険はありませんでした。
新たな噴出口からの溶岩は、真っ赤な –というか、オレンジ色?– の一筋の川となってさらに東にあるMeradalirメーラダーリルという低地に溜まっているようです。
(* さらにこちらの時間で土曜日の未明に、さらに別の場所から噴出が始まったと報道されました。場所は下のマップの斜線部分の中にあるようです)

左側の紫部分が始めからの溶岩流出 中央右の薄紫が今回 間の斜線部分はマグマ地帯の上
Myndin er ur Visir.is

今の様子 マグマが溜池化?してます
Myndin er ur RUV.is
Geldingadalurゲルディンガダーリル、Meradalurメーラダーリルという地名のDalirダーリル(単数はdalur ダールル)とは「谷」を意味します。新たな噴出口からの溶岩は、山というか丘の合間の低地地帯を川となって、さらに低い土地へ流れ込んだのです。
普通、火山とか溶岩とかって、人里離れたところにあるもの、というイメージがありますよね。まあ、桜島は別です。阿蘇山、浅間山だって、そんなに遠くじゃない。富士山だって、そこに見えるではないか、という方もありましょうが、「見える」ということと「近くにある」とは別もんです。
Visir.isとうネットメディアに、ちょうど良いイラストが載っていましたので、ちょっと無断拝借して掲載します。

マグマ地帯と周辺のマップ
Myndin er ur Visir.is
左側に青で囲んだところがケフラビク国際空港です。右側で囲んだところがハフナーフョルズルというレイキャビクの隣りの港町です。空港からハフナーフョルズルまでが、普通に車で走って20分ほどの距離になります。
中央の赤とオレンジ色で示されたところが、今回噴出しているマグマ地帯です。ゲルディンガダールは線の左下方、新しい噴出口は右上方に位置します。こうしてみると、そう遠いところで起こっているわけではない、と納得いただけるかと思います。
さて、当初より、マグマの流出に伴う有害なガスについて心配されていました。始めの噴出の場合は、それほどの濃度はなかったようで、「いつも風上にいるように」と観光客に注意がなされただけで、特に立ち入り禁止とかにはなりませんでした。
ついでに、毒ガスマスクが売り切れになったそうです。毒ガスマスクなんて、そこらで売っていることすら知らなかったですよ、ワタシは。
それが、この一週間くらい、有毒ガスの濃度が濃くなってきており、当局もようやく本気で心配し始めたようで、「入山禁止もあり得る」と報じられています。金曜夜のニュースでは「有毒ガスの濃度は初期に比べて二倍以上になっており、喘息等の持病がある人は近づかないように」という注意がなされていました。
木曜日のニュースでは、ガスに巻かれて倒れた十六歳の女の子がインタビューを受けていました。その子はそんなに溶岩自体には近づかなかったものの、気分が急にに悪くなり動けなくなりました。
レスキュー隊が、非常に迅速に少女を担ぎ出し、救急車でケフラビクの病院に搬送。大事には至らず幸いでしたが、ガス対策はこれ以降はより重要になってくることでしょう。
というのは、コロナで冷え切ったアイスランド観光業界は、早くも真剣にこのマグマ観光をマーケッティングに乗せ始めているからです。いろいろな観光案内サイトに、宣伝を載せ始めたとか。
「まさしく天からの贈り物。宣伝しなくても、世界中のメディアにこのマグマの前で撮ったセルフィーとか、航空写真が溢れています」とツーリストビジネスの関係者。
世界中に写真が溢れていたとしても、コロナが収束してくれないうちは「捕らぬ狸の... 」という感じがしないでもありませんが。それに有毒ガス。
多分、旅行業者がガスマスクも準備することになるのでしょうね。テレビでハワイとかインドネシアの火山の「マグマを見に行く!」とかいうのを時々見かけますが、大体ガスマスクが用意されていますからね。
Ertu buin/n ad fara og skoda eldgos? 「マグマ、見に行った?」というのが、最近のアイスランド社会の挨拶言葉になってきています。私自身は、今すぐに行くつもりはありません。
なんせ、寒いし。雪降ってるし。歩くの嫌いだし... マグマが足元から出て来ない保障はないし。もう少し暖かくなってからなら、考えてもいいかもしれません。
いずれにせよ、ひとりじゃ絶対に行かないから、ワタシは。ということは、多分、絶対に行けない、か?
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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