goo blog サービス終了のお知らせ 

レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

凡庸人の、結構面白かった二十五年

2017-04-02 06:00:00 | 日記
四月になりましたね。日本では新学年の始まりから、社会人としての新しい生活の始まり、はたまたプロ野球開幕等々、様々な「新しさ」を感じる時期です。ですから四月をなんとなく迎えることはなかなか難しいでしょう。

こちらでは毎年日付けが変わる「復活祭」がこの時期であるおかげで、そちらの方に頭がいってしまって知らぬ間に四月になっていることがよくありました。

しかし、今年は違いました。きちんと待ち構えて?この四月を迎えました。なぜかというと、今日の四月二日で私がアイスランドへ移ってきてから二十五周年になるからです。

実際の年齢の誕生日の方が、だんだんと「終着点」へ着くカウントダウンのようになってきたのをヒシヒシと感じていますので、むしろこの「二十五周年」の方がマダマダ感があってより嬉しくさえ感じられるのです。

二十五年のアイスランド暮らしといっても、歳がいってから移ってきた私にとてっては、まだまだ人生の半分をここで過ごしたというほどではありません。そうなるにはまだ相当かかり、八年ほど待つことになります。そこまで息をしていられるかどうかが、多少心配になります。(^-^;

ところが周囲の日本の方を見ると、結構いるんですよ「生涯の半分を日本外で過ごしてきた」というような人が。

例えば先日お茶(ワタシはビールでしたが。それも女性ウェイターに「Happy Hourだから二杯目はタダよ」とそそのかされて二杯)した、邦人の妹的シングルマザーの美女は「今年で日本を出てから、人生の半分を過ごしたことになります」と言っていました。

そう、彼女は二十歳くらいで日本を離れたので、「なるほど。言われてみればタシカニー」という感じでした。

また、別の懇意にしていただいている邦人のきれいな奥様も、やはり人生の半分以上をすでに日本外で過ごされているはずです。今まで気がつかなかったのですが、先ほど考えてみて思い当たりました。

まあ、今では滞在先が一応の先進国エリアであるならば、日本を離れるとしても、ひと昔前のような「日本を取るか?移る先を取るか?」というような二者択一的な感覚はないと思いますよね。コミュニケーションが絶えることはなくなってきましたから。

私の経験した範囲でさえ、移った当初からの十年間以上は、日本からの情報は本当に限られたものしかありませんでした。まだその頃は「二者択一」的な面が残っていたように思います。その例がZardですよ。Zardがデビューしたのが1991年、私がこちらへ来たのが翌年の1992年。Zardが昨年デビュー二十五周年を迎えたのはファンの方ならご承知のこと。

ですが、私はZardの存在も坂井泉水さんという素晴らしいミュージシャンさんのこともまったく知りませんでした。知ったのは坂井さんが亡くなった時から。日本−アイスランド間のライフギャップに消えてしまった事柄の中での、残念に思われるもののひとつです。

ただ逆を言えば、こちらにきたからこそ経験できたこと、知り合えてありがたかった人々もあるわけで、私が日本を離れて逸したことばかり挙げたのでは自分勝手というものでしょう。





私は凡庸な人間ですので、やはり自分の生きられる世界は限られた範囲にあるように思われます。世の中には世界を股にかけて飛び回っている人も多くいますし、旅をして回ることが生活の基盤になっているような職業 −例えば大リーグの選手− もありますよね。

ただ私が言うのは、日本とか、アイスランドとか必ずしも土地に縛られたものではなくて、なんというか「自分の度量にふさわしいレンジ」「自分が勝手を知っていて安心できるエリア」あるいはさらに「自分が心地よく感じられる生活環境」というようなもののことです。

それは必ずしも向こうから自動的にやってきてくれるものではないでしょうし、求めて探さなくてはならないことの方が普通でしょう。そして「求めて探す」ことのうちには、それなりの努力をして「それを創り出す」ことも含まれています。

あるいはそれ以前に、自分がどんな環境のどんな生活を求めていいのかわからない、とうことも実際には頻繁にある状況でしょうね。人って、案外自分のことがわかっていない部分もありますからね。

こちらへ移って一年後に、田舎の村に引っ越して暮さねばならない時期がありました。小さな山の麓の酪農地の一画で、隣りの農家まで歩いて十分。反対側の隣りには人家はおろか建造物は皆無というようなところでした。

一応東京都出身の私には当初「生活不能地」に思われたのですが、居着いてみると意外にこれが快適。「周りに人がいない」「何をしても自由」というのが相当な快感であることを学びました。(^-^;

ともあれ今は、地理的にはレイキャビクの西街に落ち着いていますし、「生活のエリア」という点では、アイスランドの社会と教会の職務、さらに日本人としての背景が重なるようなところに(地理的なものだけではなく)、「心地良〜く」納まっています。

もちろん、自分の生活、生涯である以上、そこでずーっと納まってしまうのか?何か新しいエリアを開拓するのか?というような問いかけは、機をみてなされるべきだと思います。というか、経験から言わせてもらうと、何事もいつまでも同じ状態ではなく変化していきますから、「次はどう進むか?」という問いに答えるのは必然のことになりますね。

ここまでのアイスランドでの二十五年間は、決して良いこと楽しいことばかりではなく、相当な辛抱、フラストレーション、どタマにくる経験も数多くありました。それでも総じてみれば「結構面白かった二十五年」、あるいはもうちょっと正直言うと「実にオモシロイ」ものとなりました。神と周囲の皆さんに感謝。

私のマイナーなこのブログに目を通してくださるような奇特な皆さんは、おそらくギラギラのビジネス志向ではなく、ご自分の生活の質や満足度を考えるタイプではないかと想像します。

そのような皆さんに、凡庸な私の経験からなにかお役に立つことを見つけてくだされば「これ幸い」と感じ入ります。皆さんが「心地良〜く」感じられる生活空間を見出して、生活の基盤を置いていらっしゃることを、あるいはそうなることを願っています。


応援します、若い力。Meet Iceland

藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする