レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

庶民が怒る三十の理由

2014-11-09 05:00:00 | 日記
こちらでは先の水曜日の五日からAirwaves音楽祭が始まりました。また日本からも大勢いらっしゃっていることでしょう。私はそちらの方はトンと疎いし、他に書く人がたくさんいらっしゃると思うのでパスさせていただきます。

そのさらに二日前の三日の月曜日に、大きな反政府集会がありました。そちらの方のことを今回は取り上げます。

私は先週末までとても忙しくしていたため、この集会の呼びかけは知ってはいましたが、「いつどこで何時」ということまで頭に入っていませんでした。他のイベントでダウンタウンの図書館へ行ったのですが、五時過ぎという時間にもかかわらず駐車場がいっぱい。あちこちぐるぐる回ってやっと空き場所を見つけることができました。

「何だこりゃ?月初めでみんな飲み食いしに出てきたのか?」とか考えながら図書館に入ると、イベント担当者が「今日は抗議集会がかち合っちゃってるから...」と言っていたので、ようやくその集会のことを思い出しました。

アルシンキ(国会)前のオイストゥルヴァットゥリルに四千五百人が集まったといいますから、かなり盛り上がった?抗議集会です。抗議する相手は政府というか現政権。現政権は前回の選挙で大躍進した進歩党(という名前の保守党)といつも手堅い独立党の連立です。

進歩党の支持率は選挙当時と比べて半分以下の12,3%、独立党はそこまでは下がっておらず23,6%、政権としては33%です。まあ、政権を獲ってから支持率が下がるのは常道ですが、進歩党の激減はやはり特筆に値します。

さて、有権者たちは何がそんなに不満なのでしょうか?抗議集会の呼びかけ人のひとりであるグビュズムンデュル・ハルズル氏が自身のブログで「十一月三日に抗議する三十の理由」というのを挙げていますので、そこから理由を見ていきたいと思います。各項目に続くコメントは私のものです。




4.500人が集まって怒りをぶつけた抗議集会
Myndin er ur Visir.is / Eftir Fridrik


1)食品税の税率アップ
これは法案が提出されましたが、まだ決議されてません。7%から12%へのアップ。
2)保健衛生システムの崩壊
今現在(七日夜)医師のストが続いています。理由は労働条件の改善。適正な給与にしろ!

3) 一般市民は現在医療費の20%を自分の財布から払っている。
税金が高いのですから、これでは意味がありません。
4)国の2%の家族が、負債のついていない財産の半分近くを所有している。
「平らな社会」はもはや神話になりました。

5)所得の高い方から10%の人が全所得の三分の一を占めている。同じく20%の人が56%の所得を占めている。
これは知りませんでした。ビックリ。
6)銀行の高給取りのボーナスが上昇している。
この国をめちゃくちゃにした連中がいまだにでかい顔をしている。

7)少なからず人が貨幣価値指数連動の学生ローンを一生支払わなければならない。
貨幣価値指数連動というのは、もともとはインフレなどでの貨幣価値の変動を計算してのものでしたが、2008年の経済崩壊でアイスランドの通貨価値が大激減してしまったために、一般のローンがとんでもなく膨張してしまいました。そのため学生ローンの返済が「一生もの」となっていることがあります。

8)漁業関係における天然資源利用料が、漁業関係者が2009年以来800億の利益をあげてきたにもかかわらず引き下げられている。
漁業関係者は進歩党、独立党双方の支持基盤です。

9)経済的困窮に巻き込まれる子供の数の増加。
つまり子供いる家庭の経済困窮が多いということです。
10)不動産価格が実際の収入と不釣り合いになってしまっている。

12)貨幣価値指数連動の仕組みが、何十億というお金を一般市民から金融機関へ移動させている。2013年には4,2%のインフレで負債が700億クローネも上昇した。昨年末の時点で、全国の家庭の負債額は1兆9270億に達している。

13)2009年からの五年間で約2兆5千億クローネの魚業関連を含む企業の負債が帳消しにされている。一般家庭の負債は同じ時期に3千億クローネのみ帳消しになっている。
14)高地の自然は高圧電線と高速道の建設に脅かされている。
15)年金システムの崩壊。|
16)新憲法制定案がお蔵入りになったままだ。
新憲法‼︎ 「母さん、私たちの新憲法、どこへ行ってしまったんでしょうか?」♬Mamma, do you remember...?♪「そんなこともあったなあ...」という感じになっています。

全部は書ききれませんので約半分のみです。大きな問題から小さな問題までごちゃまぜの感はあります。しかし、これだけ見てもこの国の庶民は怒っていることが分かると思います。

この国はまだまだ経済崩壊の傷を深く負っているのです。いくら見かけは立ち直ったかのように見えても、医療システムや年金システム、税制の公平など以前は庶民が信頼を置けた仕組みが今ではまったく信頼の置けないものになってしまっているのです。

それにしても、前回の選挙で進歩党の口先の公約に乗って投票した方もどうかと思いますけどね。私は選挙権がないので野次馬根性で勝手に言わせてもらいますが。窮地に追い込まれると奇跡を期待してしまうのは人間の性(さが)なのでしょうか?

ちなみに明日の月曜(十日)にも抗議集会が呼びかけられています。どのくらい盛り上がるでしょうか?


まだまだ凄い。国営放送の火山の英語情報はこちら。


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is

コメント
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